JP2011025795A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2011025795A
JP2011025795A JP2009172398A JP2009172398A JP2011025795A JP 2011025795 A JP2011025795 A JP 2011025795A JP 2009172398 A JP2009172398 A JP 2009172398A JP 2009172398 A JP2009172398 A JP 2009172398A JP 2011025795 A JP2011025795 A JP 2011025795A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
metal wire
pneumatic radial
radial tire
wires
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009172398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5354788B2 (ja
Inventor
Naohiko Obana
直彦 尾花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2009172398A priority Critical patent/JP5354788B2/ja
Publication of JP2011025795A publication Critical patent/JP2011025795A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5354788B2 publication Critical patent/JP5354788B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】ベルト端部での剥離や操縦安定性の悪化、ベルト折れの発生等のタイヤ諸性能の不具合を解消した軽量化空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】ベルトプライ内の扁平形状金属線20または30の単線または束がベルト幅方向に間隔を空けて平行かつ平面的にベルト幅方向に配列されゴム中に埋設されてベルトプライを形成し、扁平形状金属線20または30の単線または束の幅Wと厚みTとが、
0.346×(W/T)−0.3416≦T≦0.343×(W/T)−0.2549
表される関係を満足し、ベルトプライに対する扁平形状金属線20の単線または束の打込み本数P(本/50mm)が、
−9.197×Ln(W/T)+39.986≦P≦−10.390×Ln(W/T)+44.912
で表される関係を満足する空気入りラジアルタイヤである。
【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤの諸性能を損なうことなしに軽量化を達成した空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、特に、乗用車用ラジアルタイヤとして好適な空気入りラジアルタイヤに関する。
近年、自動車の燃費を向上させるために、タイヤを軽量化する要求は、ますます高まってきている。最近では、軽量化の有力な手段として、タイヤの補強ベルト用のスチールコードが見直されるようになり、その構造やコード配列について、種々の技術が提案されてきている。
例えば、特許文献1には、金属単線を予め螺旋形に型付けした減衰の大きいベルトコードを用いる技術が開示されており、これにより、タイヤの軽量化を図るとともに乗り心地の低下を防止できるとの記載がある。また、特許文献2には、円形断面の複数本の金属フィラメントを、撚らずにベルト幅方向に並べて引き揃えた束としてゴム中に埋設した補強ベルトが開示されており、これにより、転がり抵抗および乗り心地が改善され、ベルト端部セパレーションも抑止されるとの記載がある。
さらに、特許文献3には、ベルトプライ内の少なくとも大部分の金属線が、ベルトプライ幅方向に長い扁平形状の1本または複数本の金属線を撚り合わせることなくベルト幅方向に並列に引き揃えた金属単線または金属線束として存在し、この金属単線または金属線束が、ベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行に平面的にベルト幅方向に配列されてゴム中に埋設されてベルト層が形成されている空気入りラジアルタイヤが開示されており、これにより、ベルトの端部剥離やコード折れを抑止し、乗り心地と操縦安定性等のタイヤ諸性能を良好に保ちながら、タイヤの軽量化と転がり抵抗の低減を達成できるとの記載がある。
特開平11−91311号公報(特許請求の範囲等) 特開平10−292275号公報(特許請求の範囲等) 特開2001−328407号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、上記の従来技術は、いずれも未だ十分なものではなかった。すなわち、特許文献1に記載の螺旋形に型付けされたベルトコードでは、金属線の径が太いので、走行中に繰り返し曲げ変形が加わった際に金属線の表面に大きな歪が発生し、悪路走行中に大きな曲げ変形が加わった際に、金属線が折れやすいという欠点があった。
また、特許文献2に記載のベルト幅方向に引き揃えた金属線束からなる補強ベルトにおいては、ベルト端部のセパレーションは改善されているものの、ベルト曲げ剛性の不足という問題は依然として残されており、その改良が必要であった。さらに、特許文献3に開示されている技術は、ゴム中に埋設される扁平形状金属線の単線または束の幅や厚み、打込み数の条件によっては、タイヤ諸性能を損なうことなく軽量化を図るには不十分である場合があった。
そこで本発明の目的は、さらなるタイヤの軽量化ニーズに対応すべく、特殊な断面形状を有する金属線を単線または引き揃えた束としてタイヤ補強用ベルトに使用するにあたり、これに伴って生じうる、ベルト端部での剥離や操縦安定性の悪化、ベルト折れの発生等のタイヤ諸性能の不具合を解消した空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、金属線を用いる補強ベルトの構造、材質および配列について鋭意検討した結果、下記構成とすることにより上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビードコア間にわたってトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のクラウン領域のタイヤ半径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカス層のクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層と、を備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト層の少なくとも1枚のベルトプライは、ベルトプライ内の少なくとも大部分の金属線がその長手方向に直交する断面で見たときにベルト幅方向に長い扁平形状を呈する1本または複数本の金属線を撚り合わせることなくベルト幅方向に並列に引き揃えてなる金属単線または金属線束として存在し、該扁平形状金属線の単線または束がベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行かつ平面的にベルト幅方向に配列されゴム中に埋設されて形成されてなり、該扁平形状金属線の単線または束の幅W(mm)と厚みT(mm)とが次式(1)、
0.346×(W/T)−0.3416≦T≦0.343×(W/T)−0.2549 (1)
(式中、束の幅Wは、扁平形状金属線の幅をWf(mm)、束の本数をNとしたとき、W=N×Wfで表され、Nは2または3である)で表される関係を満足し、かつ、
前記ベルトプライに対する前記扁平形状金属線の単線または束の打込み本数P(本/50mm)が次式(2)、
−9.197×Ln(W/T)+39.986≦P≦−10.390×Ln(W/T)+44.912 (2)
(式中、Lnは自然対数を示す)で表される関係を満足することを特徴とするものである。
本発明においては、前記ベルト層が2枚のベルトプライからなること、および、前記ベルト層の全てのベルトプライが、ベルトプライ内の少なくとも大部分の金属線がその長手方向に直交する断面で見たときにベルトプライ幅方向に長い扁平形状の1本または複数本の金属線を撚り合わせることなくベルト幅方向に並列に引き揃えてなる金属単線または金属線束として存在し、該扁平形状金属線の単線または束がベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行かつ平面的にベルト幅方向に配列されてゴム中に埋設されて形成されていることが、実施にあたり有利である。
また、前記扁平形状金属線の単線または束の幅W(mm)と厚みT(mm)との比が次式、
0.1≦T/W≦0.34
で表される関係を満足することが好ましく、前記扁平形状金属線の断面形状が、一対の平行な直線部と、その外側に凸となって対向する一対の円弧部と、を有するトラック形であること、および、一対の平行な直線部と、その外側に凸となって対向する一対の円弧部と、さらに該直線部から該円弧部に推移する部位にもう一対の円弧部と、を有するトラック形であることが好ましい。
さらに、前記扁平形状金属線の、厚みTfが0.15〜0.26mmであり、幅Wfと厚みTfとの比が次式、
0.12≦Tf/Wf≦0.34
で表される関係を満足することが好ましい。さらにまた、前記扁平形状金属線の抗張力が3300〜4000MPaであることが有利である。
本発明によれば、タイヤの軽量化を図ることができるとともに、これに起因する種々の問題点、すなわち、ベルト端部での剥離や操縦安定性の悪化、ベルト折れの発生等のタイヤ諸性能を改善した軽量空気入りラジアルタイヤを実現することが可能となった。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示す幅方向断面図である。 本発明に係る扁平形状金属線の3本束の例を示す幅方向断面図である。 本発明に係る扁平形状金属線の単線の例を示す幅方向断面図である。 本発明に係る扁平形状金属線の2本束の例を示す幅方向断面図である。 従来の断面円形の金属線を1×3構造に撚り合わせた例を示す幅方向断面図である。 従来の断面円形の金属線を等間隔に配列した例を示す幅方向断面図である。 従来の断面円形の金属線の3本束の例を示す幅方向断面図である。 各実施例および比較例における金属線の単線または束の幅と厚みとの比W/Tと厚みTとの関係を示すグラフである。 各実施例および比較例における金属線の単線または束の幅と厚みとの比W/Tと打込み本数Pとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤについて、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1に、本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の空気入りラジアルタイヤ10は、一対のビードコア1間にわたってトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカス層2と、このカーカス層2のクラウン領域のタイヤ半径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部4と、トレッド部4とカーカス層2のクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する少なくとも1枚、例えば2〜3枚、好適には図示するように2枚のベルトプライ3a,3bからなるベルト層3と、を備えている。
本発明においては、ベルト層3の少なくとも1枚のベルトプライ、好適には全てのベルトプライが、以下の条件を満足することが必要である。すなわち、ベルトプライ内の少なくとも大部分の金属線がその長手方向に直交する断面で見たときにベルトプライ幅方向に長い扁平形状の1本または複数本の金属線を撚り合わせることなくベルト幅方向に並列に引き揃えてなる金属単線または金属線束として存在し、この扁平形状金属線の単線または束がベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行かつ平面的にベルト幅方向に配列されゴム中に埋設されてベルトプライが形成されている。
図2に、本発明に係る扁平形状金属線20の一例の断面図を示す。従来一般的に、タイヤの周方向剛性を補強するためにベルト層に使用されていた金属線は、図5〜図7にその一例を示すように、その長さ方向に直交する断面の形状が略円形であったが、本発明においてベルト層に使用される金属線は、図2〜図4にその一例を示すように、その断面が扁平形状である点に特徴を有する。同一断面積で比較した場合、このような扁平形状金属線は円形断面金属線に比べて、長さ方向の引張り弾性率は略同等であるが、厚さ方向の曲げ変形に際して曲げ弾性率が低く、表面に発生する歪も小さい。したがって、扁平形状金属線20を、図2に示すように、その長径がベルト層に平行になるように並べて用いた本発明に係るベルトプライは、補強ベルトとしての周方向剛性は十分に保持しながら、繰り返し曲げ変形に対しては、表面での歪が小さいので線折れが発生しにくい、耐久性の良いベルトになる。
ベルトプライの補強材として断面形状が扁平である扁平形状金属線を使用するその他の利点は、断面積を大きくして伸線加工の生産性を向上することができ、トリート材の加工効率が良くなり、コードの表面凹凸が少なくなり、ベルト引張り剛性の強化および操縦安定性の向上に役立つことなどが挙げられる。
また、本発明においては、扁平形状金属線の単線または束の幅W(mm)と厚みT(mm)とが次式(1)、
0.346×(W/T)−0.3416≦T≦0.343×(W/T)−0.2549 (1)
(式中、束の幅Wは、扁平形状金属線の幅をWf(mm)、束の本数をNとしたとき、W=N×Wfで表され、Nは2または3である)で表される関係を満足することが必要である。ここで、ベルトプライが、扁平形状金属線11の単線からなる場合には、単線の幅Wf=Wであって、厚みTf=Tである。束の厚みTが常にT=Tfとならないのは、実際のトリート材内では、束を構成する扁平形状金属線が若干ずれると考えられるためである。厚みTが0.346×(W/T)−0.3416未満では、タイヤの補強用ベルトとしての強度を確保するためには、金属線の抗張力を高くする必要があり、製造が困難となる。一方、厚みTが0.343×(W/T)−0.2549を超えると、曲げ大変形時にワイヤ表面歪が大きくなって、車両急旋回時などの際にワイヤの折れが発生しやすくなってしまう。また、扁平形状金属線の束の本数Nを2本または3本とするのは、束の本数が4本以上になると、トリート材を製造する工程で平面的に引き揃える加工作業が難しくなるためである。
さらに、本発明においては、ベルトプライに対する扁平形状金属線の単線または束の打込み本数P(本/50mm)が次式(2)、
−9.197×Ln(W/T)+39.986≦P≦−10.390×Ln(W/T)+44.912 (2)
(式中、Lnは自然対数を示す)で表される関係を満足することも必要である。打込み本数Pが−9.197×Ln(W/T)+39.986未満では、タイヤの補強用ベルトとして用いた際の強度が不足する。一方、打込み本数Pが−10.390×Ln(W/T)+44.912を超えると、扁平形状金属線をベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行かつ平面的に配置した際の隣り合う単線間または束間の間隙が狭くなり、ベルト層端部の剥離の発生と伝播を抑制できなくなる。
本発明においては、上記に加えて、扁平形状金属線の単線または束の幅W(mm)と厚みT(mm)との比が次式、
0.1≦T/W≦0.34
で表される関係を満足することが好ましい。T/Wが0.1未満では、トリート材を製造する工程で平面的に引き揃える加工作業が難しくなる。一方、T/Wが0.34を超えると、タイヤの補強ベルトとして用いた場合の強度を確保するためには扁平形状金属線の厚みTfが厚くなり、その結果、扁平形状金属線の単線または束の厚みTも厚くなって、タイヤ軽量化に不利となる。
扁平形状金属線20の断面形状としては、具体的には例えば、図2に示すように、一対の平行な直線部11と、その外側に凸となって対向する一対の円弧部12と、を有するトラック形であることが好ましい。この場合の円弧部12の曲率半径R(mm)は、好適には、厚みT(mm)に対し、下記式、
0.6354×T≦R≦0.77×T+0.019
で表される関係を満足するものとする。円弧部12の曲率半径Rが0.6354×T未満では、曲率半径が小さ過ぎるために金属線とゴムとの接着界面に発生する剪断応力が局所的に大きくなって、セパレーションが生じ易くなる。一方、曲率半径Rが0.77×T+0.019を超えると、直線部11と円弧部12との境界領域において金属線とゴムとの接着界面に発生する剪断応力が局所的に大きくなって、セパレーションが生じ易くなる。また、本発明においては、特には、図3に示すように、一対の平行な直線部21と、その外側に凸となって対向する一対の円弧部22と、さらに直線部21から円弧部22に推移する部位にもう一対の円弧部23と、を有するトラック形の断面形状を有する扁平形状金属線30を用いることで、車両の急旋回時などの際の曲げ大変形時のワイヤの折れをより効果的に抑制でき、好適である。この場合の円弧部22の曲率半径Ra(mm)は、好適には厚みT(mm)に対し、下記式、
0.5×T≦Ra≦0.77×T+0.019
で表される関係式を満足するものとする。この曲率半径Raが0.5×T未満では、曲率半径が小さすぎるために金属線とゴムの接着界面に発生する剪断応力が局所的に大きくなって、セパレーションが生じ易くなる。一方、曲率半径Raが0.77×T+0.019を超えると、円弧部23との境界領域において金属線とゴムとの接着界面に発生する剪断応力が局所的に大きくなって、セパレーションが生じ易くなる。さらに、円弧部23の曲率半径Rbは、好適には厚みT(mm)に対し、下記式、
T≦Rb≦2.5×T
で表される関係式を満足するものとする。円弧の曲率半径RbがT未満では、曲率半径が小さすぎるために曲げ大変形時に円弧部23の局所歪が大きくなって、車両の急旋回時などの際にワイヤの折れが発生しやすくなってしまう。一方、曲率半径Rbが2.5×Tを超えると、ワイヤの円弧部22との境界領域において金属線とゴムとの接着界面に発生する剪断応力が局所的に大きくなって、セパレーションが生じ易くなる。また、直線部21との境界領域において曲げ大変形時に発生する歪が局所的に大きくなって、車両の急旋回時などの際に金属線の折れが発生しやすくなってしまう。
また、扁平形状金属線の厚みTfは、0.15〜0.26mmであることが好ましい。厚みTfが0.15mm未満では、ベルト層の剛性が不足し、タイヤの操縦安定性が損なわれる。一方、厚みTfが0.26mmを超えると、曲げ大変形時の扁平形状金属線の表面歪が大きくなり、車両の急旋回時などの際に金属線の折れが発生しやすくなる。
さらに、扁平形状金属線の幅Wfと厚みTfとの比が次式、
0.12≦Tf/Wf≦0.34
で表される関係を満足することが好ましい。Tf/Wfが0.12未満である高扁平率の金属線の圧延加工では、金属線材の割れが発生しやすい。一方、Tf/Wfが0.34を超えると、タイヤの補強用ベルトとして用いた場合の強度を確保するためには金属線の厚みTfが厚くなり、その結果、金属線の単線または束の厚みTも厚くなって、タイヤの軽量化に不利となる。
さらに、本発明に用いる扁平形状金属線の抗張力は、3300〜4000MPaであることが好ましい。抗張力が3300MPa未満では、ベルト層強力を確保するためには金属線の使用量が増大し、タイヤの軽量化に不利となる。あるいは、打込み本数を増加させる必要が生じ、隣り合う金属線または束間の間隔が狭くなって、ベルト層端部の剥離の発生および伝播を抑止できなくなる。一方、抗張力が4000MPaを超える金属線は、その製造が難しく、量産に適さない。
本発明に係る扁平形状金属線は、通常の円形断面の金属線を製造するための従来の設備および工程をそのまま利用して、その伸線加工の後半部においてローラ間で圧延するか、または、扁平穴のダイスを通す等により扁平化することで、経済的かつ簡便に製造することが可能である。
本発明においては、ベルト層を構成するベルトプライに用いる金属線について、上記条件を満足するものであればよく、それ以外のタイヤ構造の詳細や各部材の材質等については特に制限されず、従来公知のもののうちから適宜選択して構成することができる。例えば、本発明においてカーカス層2を構成するカーカスプライは好適には1〜2枚とすることができる。また、ベルト層3を構成するベルトプライのコード角度は、好適には、タイヤ周方向に対し15°〜30°である。
さらに、トレッド部4の表面には適宜トレッドパターンが形成され、ビードコア1のタイヤ半径方向外側にはビードフィラー(図示せず)が配置され、タイヤの最内層にはインナーライナーが配設される。さらにまた、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を変えた空気、または窒素等の不活性ガスを用いることが可能である。
以下、図面および表を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1に示す構造を有する空気入りラジアルタイヤ(タイヤサイズ175/70R14)を、タイヤ周方向に対し右20°の角度で傾斜する第1ベルトプライ3aと、左20°の角度で傾斜する第2ベルトプライ3bとからなるベルト層3を適用して、作製した。各ベルトプライには、下記表中のコード仕様欄に示されたスペックに従うコードをそれぞれ用いた。
従来例1で用いたベルトコードは、図5に示すように断面が円形である従来の金属線を1×3構造に撚り合わせたものである。また、比較例1,2で用いたベルトは、断面が円形である従来の金属線を、比較例1では図6に示すように均一に打込んだもの、比較例2では6本の金属線束として打込んだもの(図示せず)である。さらに、実施例1〜12および比較例5〜12で用いたベルトは、扁平形状金属線を、実施例1〜3,8,9,12、比較例5については均一に打込んだもの、実施例4,5,10、比較例6,8,10については2本束配列で打込んだもの、実施例6,7,11、比較例7,11については3本束配列で打込んだもの、比較例9は4本束配列で打込んだもの、比較例12は6本配列で打込んだものである。さらにまた、比較例3については抗張力が高いものを均一に打込み、比較例4については、抗張力が低いものを3本束配列で打込んだ。
各供試タイヤにつき、以下に従い各性能試験を実施した。その結果を、下記表中に併せて示す。また、図8,9に、各実施例および比較例(比較例1,2を除く)における、金属線の単線または束の幅と厚みとの比W/Tと厚みTとの関係を示すグラフ、および、金属線の単線または束の幅と厚みとの比W/Tと打込み本数Pとの関係を示すグラフを、それぞれ示す。なお、各グラフ中の2本の曲線は、それぞれ、前記式(1),(2)の上限値および下限値に対応する。
<耐ベルト端部剥離試験>
各供試タイヤを正規リムに組み付け、1.5kgf/ cmの内圧を充填してテスト用乗用車に装着し、一般道路を6万km走行させた後、タイヤを解剖して、ベルトの端部に発生している亀裂の長さを測定した。結果は、各供試タイヤの亀裂長さの逆数を算出して、従来例1のタイヤの逆数値を100とした指数で示した。この指数が大きいほど、耐ベルト端部セパレーション性に優れている。また、この指数が90以上であれば、実用上問題とならない。
<操縦安定性試験>
JIS規格D4202に準じて調整した各供試タイヤを、外径3mのドラム試験機に設置して、所定サイズおよび内圧により決定される荷重を負荷し、30km/hの速度で30分間予備走行させた後、昇温による内圧増加の影響を除くため、荷重を除いて内圧を規格値に再調整した。その後、再び同一速度および同一荷重の下にスリップ角度を±1°から±4°まで1°ごとに正負連続して付けて、正負各角度での単位角度あたりのコーナリングフォース(CF)を測定し、それらの平均値を算出してコーナリングパワー(CP)を求めた。結果は、各供試タイヤのCPを、従来例1のタイヤのCPで除して指数化して表示した。この数値が大きいほど、操縦安定性は良好である。
<ベルト折れ試験>
各供試タイヤを実車に装着して、一定間隔で曲折するつづら折れ道路を時速60kmで2万km走行させた後、タイヤを解剖してベルト層内のベルトコードを採取し、折れた状態にあるベルトコードの本数を調査して、その逆数を従来例1のタイヤを100として指数表示した。この数値が大きいほど、耐ベルト折れ性が良好である。また、この数値が95以上であれば、実用上問題とならない。
<圧延加工作業性試験>
ベルトコードとゴムとを複合する前の、ベルトコードの準備作業および圧延(カレンダー)作業に要する時間を測定して、従来例1のベルトコードの作業時間との比較で、20%以内の時間増加を「○」で、それ以上の時間増加を「×」で示した。
<ベルト重量>
各供試タイヤに用いたベルトプライの単位面積あたりの重量を測定し、従来例1を100として指数表示した。この数値が小さいほどベルトプライ重量が小さく、軽量であるといえる。
Figure 2011025795
Figure 2011025795
Figure 2011025795
Figure 2011025795
Figure 2011025795
Figure 2011025795
上記表中に示すとおり、本発明の条件を満足する実施例1〜12のタイヤにおいては、耐ベルト端部剥離性や耐ベルト折れ性が実用上問題とならない程度の低下に抑えられ、かつ、従来例1対比軽量化が達成されている。これに対し、比較例3のタイヤは、金属線の抗張力が4000MPaを超えるため、製造が難しく、量産に向かないことがわかる。また、比較例4のタイヤは、金属線の抗張力が3300MPa未満で、ベルト層強力を確保するために金属線の使用量が増加したため、軽量化に不利となっている。さらに、比較例5〜12のタイヤについては、本発明の条件を満足しないために、耐ベルト端部剥離性や耐ベルト折れ性、圧延作業性のいずれかが悪い結果となっている。
以上により、本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、軽量化に起因する種々の問題点、すなわち、ベルト端部の耐剥離性、操縦安定性、耐ベルト折れ性等の諸性能を改善した軽量空気入りラジアルタイヤが得られることが確かめられた。
1 ビードコア
2 カーカス層
3 ベルト層
3a 第1ベルトプライ
3b 第2ベルトプライ
4 トレッド部
W 金属線の単線または束の幅
T 金属線の単線または束の厚み
Wf 金属線の幅
Tf 金属線の厚み

Claims (8)

  1. 一対のビードコア間にわたってトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のクラウン領域のタイヤ半径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカス層のクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層と、を備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記ベルト層の少なくとも1枚のベルトプライは、ベルトプライ内の少なくとも大部分の金属線がその長手方向に直交する断面で見たときにベルト幅方向に長い扁平形状を呈する1本または複数本の金属線を撚り合わせることなくベルト幅方向に並列に引き揃えてなる金属単線または金属線束として存在し、該扁平形状金属線の単線または束がベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行かつ平面的にベルト幅方向に配列されゴム中に埋設されて形成されてなり、該扁平形状金属線の単線または束の幅W(mm)と厚みT(mm)とが次式(1)、
    0.346×(W/T)−0.3416≦T≦0.343×(W/T)−0.2549 (1)
    (式中、束の幅Wは、扁平形状金属線の幅をWf(mm)、束の本数をNとしたとき、W=N×Wfで表され、Nは2または3である)で表される関係を満足し、かつ、
    前記ベルトプライに対する前記扁平形状金属線の単線または束の打込み本数P(本/50mm)が次式(2)、
    −9.197×Ln(W/T)+39.986≦P≦−10.390×Ln(W/T)+44.912 (2)
    (式中、Lnは自然対数を示す)で表される関係を満足することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ベルト層が2枚のベルトプライからなる請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ベルト層の全てのベルトプライが、ベルトプライ内の少なくとも大部分の金属線がその長手方向に直交する断面で見たときにベルトプライ幅方向に長い扁平形状の1本または複数本の金属線を撚り合わせることなくベルト幅方向に並列に引き揃えてなる金属単線または金属線束として存在し、該扁平形状金属線の単線または束がベルト幅方向に単線間または束間で間隔を空けて平行かつ平面的にベルト幅方向に配列されてゴム中に埋設されて形成されている請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記扁平形状金属線の単線または束の幅W(mm)と厚みT(mm)との比が次式、
    0.1≦T/W≦0.34
    で表される関係を満足する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記扁平形状金属線の断面形状が、一対の平行な直線部と、その外側に凸となって対向する一対の円弧部と、を有するトラック形である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記扁平形状金属線の断面形状が、一対の平行な直線部と、その外側に凸となって対向する一対の円弧部と、さらに該直線部から該円弧部に推移する部位にもう一対の円弧部と、を有するトラック形である請求項5記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記扁平形状金属線の、厚みTfが0.15〜0.26mmであり、幅Wfと厚みTfとの比が次式、
    0.12≦Tf/Wf≦0.34
    で表される関係を満足する請求項1〜6のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 前記扁平形状金属線の抗張力が3300〜4000MPaである請求項1〜7のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
JP2009172398A 2009-07-23 2009-07-23 空気入りラジアルタイヤ Expired - Fee Related JP5354788B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009172398A JP5354788B2 (ja) 2009-07-23 2009-07-23 空気入りラジアルタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009172398A JP5354788B2 (ja) 2009-07-23 2009-07-23 空気入りラジアルタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011025795A true JP2011025795A (ja) 2011-02-10
JP5354788B2 JP5354788B2 (ja) 2013-11-27

Family

ID=43635072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009172398A Expired - Fee Related JP5354788B2 (ja) 2009-07-23 2009-07-23 空気入りラジアルタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5354788B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012091614A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Bridgestone Corp 空気入りラジアルタイヤ
CN112867609A (zh) * 2018-10-17 2021-05-28 株式会社普利司通 轮胎
DE112022003065T5 (de) 2021-06-14 2024-03-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Metalldraht und Gummiverbundkörper

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6112989A (ja) * 1984-02-27 1986-01-21 ザ グツドイア− タイヤ アンド ラバ− コンパニ− ゴム物品の補強用製造物品
JP2001328407A (ja) * 2000-05-23 2001-11-27 Bridgestone Corp 空気入りラジアルタイヤ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6112989A (ja) * 1984-02-27 1986-01-21 ザ グツドイア− タイヤ アンド ラバ− コンパニ− ゴム物品の補強用製造物品
JP2001328407A (ja) * 2000-05-23 2001-11-27 Bridgestone Corp 空気入りラジアルタイヤ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012091614A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Bridgestone Corp 空気入りラジアルタイヤ
CN112867609A (zh) * 2018-10-17 2021-05-28 株式会社普利司通 轮胎
US11833867B2 (en) 2018-10-17 2023-12-05 Bridgestone Corporation Tire
DE112022003065T5 (de) 2021-06-14 2024-03-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Metalldraht und Gummiverbundkörper

Also Published As

Publication number Publication date
JP5354788B2 (ja) 2013-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5587739B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4756871B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
WO2013176082A1 (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP2007107136A (ja) ゴム物品補強用スチールコードおよび空気入りラジアルタイヤ
JP5083974B2 (ja) ゴム物品補強用ワイヤおよびそれを用いたゴム物品
JP5035983B2 (ja) ゴム物品補強用ワイヤおよびそれを用いたゴム物品
JP4424822B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP5615665B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP5354788B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2001334810A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP6109558B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP5126976B2 (ja) ゴム物品補強用ワイヤおよびそれを用いたゴム物品
JP5584053B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5837399B2 (ja) トラック・バス用空気入りラジアルタイヤ
JP2013244782A (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP2013199195A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2011020644A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2011173455A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2013199189A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2012171366A (ja) 空気入りタイヤ
JP6320866B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5718087B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6280449B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2012076632A (ja) 空気入りタイヤ
JP2011143858A (ja) 空気入りラジアルタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120720

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130614

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130823

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5354788

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees