JP2009175730A - 感光性樹脂組成物、フォトスペーサー及びその形成方法、保護膜、着色パターン、表示装置用基板、並びに表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する樹脂と、〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、〔C〕光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
ところが、ステップ露光方式では、一枚の基板において複数回露光し、その度ごとに位置合せを行なうため、ステップ移動に要する時間が発生する。そのため、ステップ露光方式では、一括露光方式に比較して、スループット低減が危惧されている。また、一括露光方式では、3,000J/m2程度でパターニング可能な露光感度で許容されていたが、ステップ露光方式では、1,500J/m2以下で良好なパターニングが行なえる露光感度が求められている。しかしながら、既存の材料では、1,500J/m2以下の露光量では良好なスペーサ形状及び膜厚を得ることは困難である。
即ち、本発明は、感度が高く、液状態での保存性に優れ、かつ成膜後の感光性膜の経時安定性や力学特性に優れる、パターン構造物や保護膜を形成可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、低い感度で形成された場合においても、高さ均一性・均一な断面形状に優れるフォトスペーサー及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、低い感度で形成された場合においても、膜厚均一性・均一な断面形状に優れる保護膜又は着色パターンを提供することを目的とする。
また、本発明は、表示装置に用いた際に表示ムラを抑制できる表示装置用基板、及び表示ムラが抑制された表示装置を提供することを目的とする。
<2> 前記置換アルキル基が、下記一般式(1)で表される基であることを特徴とする上記<1>に記載の感光性樹脂組成物である。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたフォトスペーサーである。
<5> 少なくとも下記工程(イ)〜(ニ)を含むフォトスペーサーの形成方法である。
(イ)上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程
(ロ)前記被膜の少なくとも一部を露光する工程
(ハ)露光後の前記被膜を現像する工程
(ニ)現像後の前記被膜を加熱する工程
<7> 上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された着色パターンである。
<8> 上記<4>に記載のフォトスペーサー、上記<6>に記載の保護膜、及び上記<7>に記載の着色パターンの少なくとも1つを備えた表示装置用基板である。
<9> 上記<8>に記載の表示装置用基板を備えた表示装置である。
また、本発明によれば、低い感度で形成された場合においても、高さ均一性・均一な断面形状に優れるフォトスペーサー及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、低い感度で形成された場合においても、膜厚均一性・均一な断面形状に優れる保護膜又は着色パターンを提供することができる。
また、本発明によれば、表示装置に用いた際に表示ムラを抑制できる表示装置用基板、及び表示ムラが抑制された表示装置を提供することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキルエステル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2つのエチレン性不飽和結合を有する樹脂(以下、単に「〔A]樹脂」ともいう。)と、〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、〔C〕光重合開始剤と、を含有する。
一般に感光性樹脂組成物を用いて基板上にパターン構造物(例えば、フォトスペーサー、着色パターン、等。以下同じ)や保護膜を形成する場合、露光のみでは重合硬化が不十分であった。また、液状態での保存性、かつ、成膜後の感光性膜の経時安定性は必ずしも十分ではなかった。
さらに、前記成膜後の感光性膜の経時安定性を確保するため、露光・現像後に高温の加熱処理する場合、形成しようとするパターン構造物や保護膜が劣化したり、既に基板上に形成されているパターン構造物や保護膜が劣化したりすることがある。例えば、着色パターンを有するカラーフィルタ基板上にフォトスペーサーを形成する場合には、形成しようとするフォトスペーサーが劣化したり、既に基板上に形成されている着色パターンが劣化したりすることがある。
そこで、感光性樹脂組成物を上記本発明の構成とすることにより、本発明の感光性樹脂組成物は、感度が高く、粘度上昇が起き難く、露光時の重合硬化性が向上し、液状態での保存性に優れ、かつ成膜後の感光性膜の経時安定性に優れる、パターン構造物や保護膜を形成可能となる。
〔A〕樹脂は、側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有し、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する(置換された)構成である。
また、分岐及び/又は脂環構造を有しているので、形成されたパターン構造物の外力を受けた際の圧縮弾性率、圧縮変形からの弾性回復性を高めることができる。これより、例えば表示装置用のフォトスペーサーなどのパターン構造物を構成するのに有用である。
〔A〕樹脂は、樹脂の主鎖に結合する側鎖に、分岐及び/又は脂環構造の少なくとも1種を含む。分岐及び/又は脂環構造は、〔A〕樹脂の側鎖中に複数含まれていてもよい。また、分岐及び/又は脂環構造は、〔A〕樹脂の側鎖中に、酸性基、及び/又は、2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基とともに含まれていてもよい。
また、分岐及び/又は脂環構造は、〔A〕樹脂の主鎖に直接結合して分岐及び/又は脂環構造のみで〔A〕樹脂の側鎖を構成されていてもよいし、〔A〕樹脂の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、分岐及び/又は脂環構造を有する基として〔A〕樹脂の側鎖を構成されていてもよい。
前記アルキレン基としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは1〜10のアルキレン基である。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどの基が挙げられ、これらは分岐/環状構造、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、オクチレン基である。
前記アリーレン基としては、総炭総数6〜20のアリーレン基が好ましく、さらに好ましくは6〜12のアリーレン基である。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基である。
置換されている場合の置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン基、芳香環基、脂環構造を有する基などが挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、嵩高い官能基 で圧縮弾性率、弾性回復性が良好になる点で、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニルが特に好ましい。
中でも、二重結合部位の反応性による弾性回復率の点で、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
前記市販品としては、日立化成工業(株)製:FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、
H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S),512Mが好ましい。
〔A〕樹脂は、主鎖に連結する側鎖に、酸性基の少なくとも1種を含む。酸性基は、側鎖中に複数含まれていてもよい。また、酸性基は、〔A〕樹脂の側鎖中に、前記分岐及び/又は脂環構造、並びに主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基とともに含まれていてもよい。
また、前記酸性基は、〔A〕樹脂の主鎖に直接結合し酸性基のみで〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよいし、〔A〕樹脂の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、酸性基を有する基として〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよい。ここで、2価の有機連結基については前記分岐及び/又は脂環構造における説明で例示した2価の有機連結基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
〔A〕樹脂は、主鎖に連結する側鎖に、2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基(以下、単に「置換アルキル基」ともいう。)を少なくとも1種を含む。前記置換アルキル基は、〔A〕樹脂の側鎖中に複数含まれていてもよい。
また、置換アルキル基は、〔A〕樹脂の側鎖中に、前記分岐及び/又は脂環構造、並びに酸性基とは異なる構造単位に含む形態である。
また、前記置換アルキル基は、〔A〕樹脂の主鎖に直接結合し置換アルキル基のみで〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよいし、〔A〕樹脂の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、置換アルキル基を有する基として〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよいし、また、置換アルキル基を有するエステル基と主鎖の間に、さらに前記2価の有機連結基を有してもよい。
すなわち、置換アルキル基とエステル基(−COO−)との間、及び/又は、置換アルキル基と〔A〕樹脂の主鎖との間に、他の原子や他の連結基(1〜9のアルキレン基、)が含まれていてもよい。
直鎖構造としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等が挙げられ、炭素数1〜9が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。
分岐構造としては、前記分岐及び/又は脂環構造の項に記載された分岐構造等が挙げられ、炭素数3〜8が好ましく、炭素数3〜5がより好ましい。
脂環構造としては、前記分岐及び/又は脂環構造の項に記載された脂環構造等が挙げられ、炭素数5〜20が好ましく、炭素数5〜15がより好ましい。
B1としては、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)が好ましく、単結合がより好ましい。
B2としては、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)が好ましく、単結合がより好ましい。
B1とB2は、同一であっても、また異なる構造であってもよい。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に、2個の(メタ)アクリロイル基を導入する方法としては、例えば、上記(1)酸性基を持つ繰り返し単位に、エポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加し、その後にヒドロキシル基を(メタ)アクリル酸クロライドなどでエステル化して得る方法、ヒドロキシル基を(メタ)アクリレート基含有のイソシアネート(例えば昭和電工(株)製のカレンズMOI、MOIEG、AOIなど)でウレタン化して得る方法等、公知の方法を組み合せて合成することができる。
本発明における〔A〕樹脂には、その他の単量体を用いて、その他の基が導入されていてもよい。
前記その他の単量体としては、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエーテル、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基、炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
また、例示化合物中のx、y、及びz(並びにSt)は、各繰り返し単位の組成比(質量比)を表し、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。また、各例示化合物の重量平均分子量も、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。
〔A〕樹脂は、モノマーの(共)重合反応の工程と2個のエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程又は三段階の工程から合成することができる。
まず、(共)重合反応は種々のモノマーの(共)重合反応によって作られ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
〔A〕樹脂の総炭素数としては、弾性係数(硬さ)の点で、10以上が好ましい。中でも、総炭素数は、10〜30がより好ましく、特に好ましくは10〜15である。
〔A〕樹脂の分子量としては、重量平均分子量で10,000〜10万が好ましく、12,000〜60,000が更に好ましく、15,000〜45,000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、樹脂(好ましくは共重合体)の製造適性、現像性の点で望ましい。また、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点で、また、架橋不良となり難い点、現像でのスペーサ形状の残渣がない点で好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCについては、後記する実施例の項で詳細に示す。
〔A〕樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサが得られる。
〔A〕樹脂の酸価は、とりうる分子構造により好ましい範囲が変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、40mgKOH/g以上であることはより好ましく、50〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサが得られる。
更に、前記〔A〕樹脂の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
具体的には、前記〔A〕樹脂は、分岐及び/又は脂環構造を有する繰り返し単位:X(xモル%)と、酸性基を有する繰り返し単位:Y(yモル%)と、主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基を有する繰り返し単位:Z(zモル%)と、を少なくとも有する3元共重合以上の共重合体であることが好ましい。さらに、必要に応じてその他の繰り返し単位:L(lモル%)を有していてもよい。
このような共重合体は、例えば、分岐及び/又は脂環構造を有する単量体と、酸性基を有する単量体と、主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基を有する単量体と、必要に応じて他の単量体と、を共重合させて得ることができる。このうち、嵩高い官能基で圧縮弾性率、弾性回復性が良好になる点で、少なくとも前記分岐及び/又は脂環構造を有する単量体として、前記一般式(4)で表される単量体を共重合させて、分岐及び/又は脂環構造を有する基が導入された共重合体である場合が好ましい。この場合、〔A〕樹脂は、前記一般式(4)で表される単量体に由来の構成単位を主鎖に有する。
〔A〕樹脂における、分岐及び/又は脂環構造を有する繰り返し単位の組成比(x)は、10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。組成比(x)が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
〔A〕樹脂における、酸性基を有する繰り返し単位の組成比(y)は、5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。組成比(y)が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
〔A〕樹脂における「主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基」を有する繰り返し単位の組成比(z)は、10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。組成比(z)が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、感度及び重合硬化性が良好であり、調液後の液保存性、及び塗布後の乾膜状態で長期保持された際の経時安定性が良好になる。
更には、〔A〕樹脂としては、組成比(x)が10〜70モル%(更には15〜65モル%、特には20〜50モル%)であって、組成比(y)が5〜70モル%(更には10〜60モル%、特には30〜70モル%)であって、組成比(z)が10〜70モル%(更には20〜70モル%、特には30〜70モル%)である場合が好ましい。
〔A〕樹脂は、後述するその他の樹脂と併用できるが、前記〔A〕樹脂のみで構成される場合が好ましい。
前記〔A〕樹脂と併用することができる樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の少なくとも一種を含有する。後述の光重合開始剤からのラジカルの作用を受けて重合反応を起こし、硬化膜を形成する。
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を少なくとも1種含有する。
本発明における光重合開始剤としては特に限定はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。公知の光重合開始剤としては、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]や特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の開始剤を挙げることができる。公知の光重合開始剤の例としては、感度の点で、上記以外のアミノアセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、更にヘキサアリールビイミダゾール化合物/芳香族メルカプト化合物/助剤を組み合わせた混合型開始剤を含有することが好適である。
アミノアセトフェノン系化合物の具体例としては、IRGACURE(Irg)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、DAROCUR TPOや、Irgacure(Irg)819(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。また、オキシムエステル系化合物の具体例としては、IRGACURE(Irg)OXE01やCGI242等(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。ヘキサアリールビイミダゾール化合物/芳香族メルカプト化合物/助剤を組み合わせた混合型開始剤としては2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(B−CIM、保土ヶ谷化学工業)/2−メルカプトベンゾイミダゾール/4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンが挙げられる。
以下に、これらの開始剤の構造を示す。
本発明における感光性樹脂組成物は、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤と共に、力学強度の点で、微粒子を少なくとも1種含有することが好ましい。
微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる点から、コロイダルシリカが好ましい。
本発明における感光性樹脂組成物は、樹脂、特定重合性化合物、光重合開始剤、及び必要に応じて含まれる微粒子以外に、さらに必要に応じて、光重合開始助剤などの他の成分を含んでいてもよい。
上記以外の他の光重合開始助剤として、例えば、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。前記アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。前記チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
また、光重合開始助剤として市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
本発明のフォトスペーサーは、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。感光性樹脂組成物の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
本発明のフォトスペーサーは、本発明の感光性樹脂組成物を用いて構成されるので、低露光でも均一な断面形状を有し、高さバラツキが抑制される。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、フォトスペーサーとして必要とされる高い圧縮弾性率、変形回復性を持つフォトスペーサーが得られる。
前記矩形に近い形状としては、基板法線方向に平行であって、かつパターン構造物の基板法線方向からみたエッジ(円柱状の構造物の場合はエッジの接線)と直行する平面で該パターン構造物を切断したときに切断面において、パターン構造物側面に相当する線とパターン構造物下面に相当する線とのなす角(以下、「テーパー角度」ともいう)が80°以上100°以下である形状がより好ましい。
ここで、前記パターン構造物下面とは、パターン構造物の面のうち、該パターン構造物が形成された下地との接触面をいう。また、前記パターン構造物側面とは、パターン構造物の面のうち、前記パターン構造物下面にもパターン構造物上面(前記パターン構造物下面と平行な面であって、前記下地と接触しない面)にも該当しない面をいう。
本発明のフォトスペーサーの形成方法は、(イ)既述の本発明の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程(以下、「被膜形成工程」ともいう。)と、(ロ)前記被膜の少なくとも一部を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)と、(ハ)露光後の前記被膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう。)と、(ニ)現像後の前記被膜を加熱する工程(以下、「被膜加熱工程」ともいう。)とを設けて構成されており、必要に応じて更に他の工程を設けて構成されてもよい。
被膜形成工程は、既述の本発明の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する。被膜として感光性樹脂層を形成することができ、この感光性樹脂層は、後述の露光工程や現像工程等の他工程を経ることにより、セル厚を均一に保持し得るスペーサを構成する。本発明のスペーサを用いることにより、特にセル厚の変動で表示ムラが生じやすい表示装置(特に液晶表示装置)における画像中の表示ムラが効果的に解消される。
感光性組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリットノズルあるいはスリットコーターによる方法が好適である。
転写は、感光性転写材料を用いて、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を所望の基板面に例えば加熱及び/又は加圧したローラー又は平板を用いて圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂層を基板上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
感光性転写材料を構成する仮支持体、酸素遮断層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性転写材料の作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法を適用することができる。
露光工程では、前記被膜形成工程で形成された被膜の少なくとも一部を露光し、潜像を形成する。その後の現像工程では、前記露光工程で露光された被膜を現像し、所望の形状のスペーサーパターンを形成することができる。
被膜加熱工程では、前記現像工程における現像後の被膜を加熱する。加熱によって被膜の硬化がより促進し、高強度を有し、圧縮弾性率、弾性回復性の良好なスペーサが得られる。
本発明の表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等の着色画素が設けられてもよい。
前記黒色遮蔽部及び着色部とフォトスペーサーとは、感光性樹脂組成物を塗布する塗布法と感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記黒色遮蔽部及び着色部並びに前記フォトスペーサーはそれぞれ感光性樹脂組成物から形成でき、具体的には、例えば、基板に液体の前記感光性樹脂組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光・現像を行ない、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成し、その後、別の液体の前記感光性樹脂組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光・現像を行うことによりフォトスペーサーをパターン状に形成することができる。
このようにして、フォトスペーサーが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
本発明の保護膜は、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。
本発明の保護膜は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて構成されるので、低露光で形成された場合においても膜厚均一性に優れる。
本発明の着色パターンは、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。ここで、感光性樹脂組成物は、既述の各成分に加え、更に、着色剤の少なくとも1種を含有する形態が好適である。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤の中から適宜選択して用いることができる。公知の着色剤としては、具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤などを挙げることができる。
なお、本発明の着色パターンが、複数色の着色パターンを有するカラーフィルタの一要素として用いられる場合は、少なくとも一色の着色パターンが本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されていればよい。
本発明の表示装置用基板は、本発明のフォトスペーサー、本発明の保護膜、及び本発明の着色パターンの少なくとも1つを備えて構成される。
本発明の表示装置用基板は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された、断面形状及び膜厚(高さ)均一性が良好な構造物(本発明のフォトスペーサー、本発明の保護膜、及び本発明の着色パターンの少なくとも1つ。以下同じ)を備えるため、表示装置に用いた際に表示ムラを抑制できる。
表示装置用基板の具体例としては、表示素子や表示装置の構成によっても異なるが、例えば、着色パターン(以下、「着色画素」ともいう)を備えたカラーフィルタ基板、駆動手段を備えた駆動手段付き基板(例えば、単純マトリクス基板、アクティブマトリクス基板、等)、離隔壁を備えた離隔壁付き基板(例えば、ブラックマトリクスを備えたブラックマトリクス付き基板、等)、着色パターンと駆動手段との双方を備えたカラーフィルタオンアレイ基板、パターン構造物や被膜が設けられていないガラス基板等が挙げられる。
本発明の表示装置用基板を用い、表示素子を形成することができる。
表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)を少なくとも備えた液晶表示素子が挙げられる。
本発明の表示装置は、上記の表示装置用基板を備えたものである。
本発明の表示装置は、断面形状及び膜厚(高さ)均一性が良好な構造物が設けられた本発明の表示装置用基板を備えるため、表示ムラが抑制される。
液晶表示装置は、例えば、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間をフォトスペーサーで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
まず、感光性樹脂組成物中の樹脂として、〔A〕樹脂(例示化合物PD−52、PU−52、PD−51、PD−53、PD−46、PD−47、PU−53)の合成を行った。
(例示化合物PD−52の合成)
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MFG、日本乳化剤(株)製)7.48部をあらかじめ加え、90℃に昇温し、スチレン(St)3.1部、トリシクロペンテニルメタアクリレート(日立化成工業(株)製のTCPD−M;x)4.28部、メタクリル酸(MAA;y)11.7部、アゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製、V−601)2.08部、及び1−メトキシ−2−プロパノール55.2部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.15部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.34部を加えた後、メタクリル酸グリシジル(GLM,東京化成工業(株)製)26.4部を2時間かけて滴下した(GLM−MAA;z)。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒1−メトキシ−2−プロピルアセテート(MMPGAc、ダイセル化学工業(株)製)を添加することにより調製し、不飽和基を1個持つ化合物Xを得た。
更に、前記化合物Xにメタクリル酸クロライド(東京化成(株))を付加反応させて、例示化合物PD−52(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た(x:y:z:St=30mol%:27mol%:37mol%:6mol%)。
ここで、GLM−MAAは、メタクリル酸にグリシジルメタクリレートが結合したものを示す(以下、同様である)。
なお、例示化合物PD−52の分子量Mwは、重量平均分子量を示し、重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて行なった(以下、同様である)。
(例示化合物PU−52の合成)
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MFG、日本乳化剤(株)製)7.48部をあらかじめ加え、90℃に昇温し、スチレン(St)3.1部、トリシクロペンテニルメタアクリレート(日立化成工業(株)製のTCPD−M;x)4.28部、メタクリル酸(MAA;y)11.7部、アゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製、V−601)2.08部、及び1−メトキシ−2−プロパノール55.2部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.15部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.34部を加えた後、メタクリル酸グリシジル(GLM,東京化成工業(株)製)26.4部を2時間かけて滴下した(GLM−MAA;z)。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒1−メトキシ−2−プロピルアセテート(MMPGAc、ダイセル化学工業(株)製)を添加することにより調製し、不飽和基を1個持つ化合物を得た。
更に、前記化合物にカレンズMOI(昭和電工(株))を付加反応させて、例示化合物PU−52(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た(x:y:z:St=30mol%:27mol%:37mol%:6mol%)。
ここで、GLM−MAAは、メタクリル酸にグリシジルメタクリレートが結合したものを示す(以下、同様である)。
なお、例示化合物PU−52の分子量Mwは、重量平均分子量を示し、重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて行なった(以下、同様である)。
(例示化合物PD−51の合成)
前記例示化合物PD−52の合成において、スチレンを用いず、例示化合物PD−51中のx:y:zが34mol%:27mol%:39mol%になるように、TCPD−M(x)、メタクリル酸(y)、及びGLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、前記例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ例示化合物PD−51(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;72.5mgKOH/g、Mw;22,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
(例示化合物PD−53の合成)
前記例示化合物P−52の合成において、スチレンを用いず、トリシクロペンテニルメタアクリレートをジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業(株)製のファンクリルFA−512M)に代え、例示化合物PD−53中のx:y:zが46.2mol%:24.3mol%:29.5mol%になるように、FA−512M(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、の添加量を変更した以外は、前記例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ例示化合物PD−53(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;71.2mgKOH/g、Mw;25,500、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
(例示化合物PD−46の合成)
前記例示化合物PD−52の合成において、トリシクロペンテニルメタアクリレートをADMA(出光興産(株)製)に代え、化合物PD−1にスチレン由来の構造単位を加えた組成x:y:z:Stが30mol%:24mol%:38mol%:8mol%になるように、ADMA(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、及びスチレンの添加量を変更した以外は、前記例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、例示化合物PD−46(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;74.1mgKOH/g、Mw;29,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
(例示化合物PD−47の合成)
前記例示化合物PD−52の合成において、トリシクロペンテニルメタアクリレートをメタクリル酸ノルボルニル(に代え、組成x:y:z:Stが34mol%:24mol%:36mol%:6mol%になるように、メタクリル酸ノルボルニル(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、及びスチレンの添加量を変更した以外は、例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、例示化合物PD−47(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;72.9mgKOH/g、Mw;29,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
(例示化合物PU−53の合成)
合成例2の例示化合物PU−52の合成において、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業(株)製のファンクリルFA−512M)に変更し、スチレンを用いずに組成x:y:zが46.2mol%:24。3mol%:29.5mol%になるように、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、例示化合物PU−52の合成と同様の方法により合成し、例示化合物PU−53(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,500、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を仕込んだ。引き続き、スチレン5部、メタクリル酸20部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル25部、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン25部、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル20部、及び1,3−ブタジエン5部を仕込み、窒素置換した後、ゆるやかに攪拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度で5時間保持し、共重合体1を含む重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分濃度は45.0%であり、重合体の重量平均分子量は18,000であった。
<カラーフィルタ基板の作製>
特開2005−3861号公報の段落番号[0084]〜[0095]に記載の方法により、ブラックマトリクス、R(赤色)画素、G(緑色)画素、B(青色)画素を有するカラーフィルタを作製した(以下、これをカラーフィルタ基板と称する。)。ここで、カラーフィルタ基板の基板サイズは、550mm×650mmとした。
次いで、得られたカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
上記で作製したITO透明電極がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO透明電極上に、スピンナーにて、下記表1に示す処方(実施例1では処方1)からなる感光性樹脂層用塗布液をスリット塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、90℃のホットプレート上で3分間プリベークし、膜厚5.2μmの感光性樹脂層を形成した(被膜形成工程)。
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、上記で得られたカラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
得られた感光性樹脂層用塗布液及びフォトスペーサについて、下記の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表2に示す。
得られたフォトスペーサに対して、微小硬度計(DUH−W201、(株)島津製作所製)により次のようにして測定を行ない、評価した。測定は、50μmφの円錘台圧子を採用し、最大荷重50mN、保持時間5秒として、負荷−除荷試験法により行なった。この測定値から下記式により変形回復率〔%〕を求め、下記評価基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行なった。
変形回復率(%)
=(荷重開放後の回復量[μm]/荷重時の変形量[μm])×100
〈評価基準〉
5:変形回復率が90%以上であった。
4:変形回復率が87%以上90%未満であった。
3:変形回復率が85%以上87%未満であった。
2:変形回復率が80%以上85%未満であった。
1:変形回復率が75%以上80%未満であった。
0:変形回復率が75%未満であった。
得られた感光性樹脂層用塗布液に対して、露光量を種々変化させたときにスペーサパターンを形成できるかできないかを観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
◎:60mJ/cm2未満でパターン形成が可能であった。
○:60〜100mJ/cm2未満でパターン形成が可能であった。
△:100〜200mJ/cm2でパターン形成が可能であった。
×:パターン形成に200mJ/cm2を超える露光量が必要であった。
(1)液保存性
上記で得られた感光性樹脂層用塗布液を密栓し、密栓後の自然経時(25℃)180日が経過した後、及び感光性樹脂層用塗布液を60℃のオーブンに入れて2週間経過した後の、それぞれの塗布液を用い、前記「感度」の評価における操作と同様にして、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
○:60mJ/cm2未満でパターン形成が可能であった。
△:60mJ/cm2以上150mJ/cm2未満でパターン形成が可能であった。
×:パターン形成に150mJ/cm2以上300mJ/cm2未満の露光量が必要であった。
××:パターン形成に300mJ/cm2以上の露光量が必要であった。
プリベーク後の感光性樹脂層(感光性樹脂層が形成されたカラーフィルタ基板)を60℃のオーブンに14日間入れ、前記「感度」の評価における操作と同様にして、下記評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
○:60mJ/cm2未満でパターン形成が可能であった。
△:60mJ/cm2以上150mJ/cm2未満でパターン形成が可能であった。
×:パターン形成に150mJ/cm2以上300mJ/cm2未満の露光量が必要であった。
××:パターン形成に300mJ/cm2以上の露光量が必要であった。
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液の処方を前記表1に示すように変更すると共に、感光性樹脂層用塗布液の調製に用いた化合物PD−52(〔A〕樹脂)、微粒子、及び開始剤を、下記表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様して、フォトスペーサ及び液晶表示装置を作製した。得られたフォトスペーサは、円柱形状とした。
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液(処方1)の塗布に代えて以下に示すスペーサ用感光性転写フィルムを用いた転写を行なうことにより、感光性樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様して、フォトスペーサ及び液晶表示装置を作製した。得られたフォトスペーサは、円柱形状であった。
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方Aからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚15.0μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 25.0部
(=55/11.7/4.5/28.8[モル比]、重量平均分子量90,000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 … 58.4部
(=63/37[モル比]、重量平均分子量8,000)
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 39.0部
・下記界面活性剤1 … 10.0部
・メタノール … 90.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 51.0部
・メチルエチルケトン …700部
・下記構造物1 …30%
・メチルエチルケトン …70%
・ポリビニルアルコール …3.22部
(PVA−205(鹸化率80%)、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン …1.49部
(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・メタノール …42.3部
・蒸留水 …524部
得られたスペーサ用感光性転写フィルムのカバーフィルムを剥離し、露出した感光性樹脂層の表面を、実施例1と同様にして作製したITO透明電極がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO透明電極上に重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧・加熱条件下で搬送速度2m/分にて貼り合わせた。その後、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去し、感光性樹脂層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写した(被膜形成工程)。
次いで、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フィルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、円柱状のスペーサパターンを300μm×300μmに1本のスペーサ間隔となるように形成した。
次に、スペーサパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、230℃下で30分間加熱処理を行なう(被膜加熱工程)ことにより、カラーフィルタ基板上にフォトスペーサを作製した。得られたフォトスペーサは、直径15.1μm、平均高さ4.7μmの円柱形状であった。
そして、フォトスペーサが作製されたカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様にして、PVAモード液晶表示装置を作製した。
・CGI−242:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製〕
得られたスペーサについても、実施例では、比較例に比して、より高さ均一性及び変形回復率ともに良好であった。
<保護膜の形成>
実施例1中、カラーフィルタ基板の作製において、ブラックマトリクス、R画素、G画素、及びB画素形成後、ブラックマトリクス及び各画素上に、更に、前記処方1からなる感光性樹脂組成物を塗布し、マスクを介さずに露光し(全面露光)、加熱処理して保護膜を形成した。ここで、塗布、露光、加熱処理の条件は、マスクを介さずに露光する以外は実施例1のフォトスペーサーの形成における塗布、露光、加熱処理の条件と同様である。
次いで、得られた保護層上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
上記で形成されたITO透明電極上に、感光性樹脂組成物として実施例1で用いた感光性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法によりフォトスペーサーを形成した。
次に、前記フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様の方法により液晶表示装置を作製した。
得られた保護膜及び液晶表示装置について、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表3に示す。
<着色パターンの形成>
実施例1中、カラーフィルタ基板の作製において、R画素を下記方法により形成した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
即ち、前記処方1に、さらにピグメントレッド254(19.4部)及びピグメントレッド177(4.83部)を添加して、R画素用感光性樹脂組成物を調製した。
調製されたR画素用感光性樹脂組成物を用いたこと及びフォトマスクとしてR画素用フォトマスクを用いたこと以外は実施例1のフォトスペーサーの形成と同様の方法により、R画素を形成した。
上記で形成されたITO透明電極上に、感光性樹脂組成物として実施例1で用いた感光性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法によりフォトスペーサーを形成した。
次に、前記フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様の方法により液晶表示装置を作製した。
得られた保護膜及び液晶表示装置について、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表3に示す。
比較例4は実施例10の[A]樹脂の構造PD−52の代わりに共重合体1を用いた以外は、また、比較例5は実施例11の[A]樹脂の構造PD−52の代わりに共重合体1を用いた以外は、それぞれ実施例10及び11と同様に行ってそれぞれ保護膜、着色材料を作成し、同様に評価した。
Claims (9)
- 〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する樹脂と、
〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、
〔C〕光重合開始剤と、
を含有する感光性樹脂組成物。 - 前記置換アルキル基の置換基が、(メタ)アクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたフォトスペーサ。
- 少なくとも下記工程(イ)〜(ニ)を含むフォトスペーサーの形成方法。
(イ)請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程
(ロ)前記被膜の少なくとも一部を露光する工程
(ハ)露光後の前記被膜を現像する工程
(ニ)現像後の前記被膜を加熱する工程 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された保護膜。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された着色パターン。
- 請求項4に記載のフォトスペーサー、請求項6に記載の保護膜、及び請求項7に記載の着色パターンの少なくとも1つを備えた表示装置用基板。
- 請求項8に記載の表示装置用基板を備えた表示装置。
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