JP2009244323A - 感光性樹脂組成物及びフォトスペーサー - Google Patents

感光性樹脂組成物及びフォトスペーサー Download PDF

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Abstract

【課題】液状態での保存安定性が高く、硬化後には圧縮強度及び圧縮変形からの変形回復性に優れた硬化物が得られる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)不飽和カルボン酸又はその無水物に由来する構成単位の少なくとも1種とマレイミド系モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する共重合体と、(B)多官能性モノマーと、(C)光重合開始剤とを含んでいる。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物及びこれを用いたフォトスペーサーに関する。
従来、液晶表示装置は、高画質画像を表示する表示装置に広く利用されている。液晶表示装置は一般に、一対の基板間に所定の配向により画像表示を可能とする液晶層が配置されており、この基板間隔、すなわち液晶層の厚みを均一に維持することが画質を決定する要素の一つであり、そのために液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーが配設されている。この基板の間の厚みは一般に「セル厚」と称され、セル厚は通常、前記液晶層の厚み、換言すれば、表示領域の液晶に電界をかけている2枚の電極間の距離を示すものである。
スペーサーは、従来ビーズ散布により形成されていたが、近年では、感光性組成物を用いてフォトリソグラフィーにより位置精度の高いスペーサーが形成されるようになってきている。このような感光性組成物を用いて形成されたスペーサーは、フォトスペーサーと呼ばれている。
感光性組成物を用いてパターニング、アルカリ現像、及びベークを経て作製されたフォトスペーサーについては、そのスペーサドットの圧縮強度が弱く、パネル形成時に塑性変形が大きくなる傾向を有している。高画質の画像表示には、これに起因して液晶層の厚みが設計値より小さくなる等して均一性が保持できない問題や、画像ムラを生ずるといった問題がないことが要求される。また、液晶表示装置の高精度化の点では、感光性組成物のアルカリ現像残渣が生じないことも重要である。
上記に関連する技術として、液晶層の厚さ(セル厚)を一定に保つためのスペーサー形成技術として、スペーサー形成用にアリル基を有する樹脂を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、製造が容易で貯蔵安定性に優れたフォトスペーサー用の感光性組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更には、耐冷熱衝撃性に優れた組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物、エポキシ含有モノマー、およびマレイミド系モノマーの共重合体を用いたスペーサー用感放射線性樹脂組成物が知られており、強度、耐熱寸法安定性、耐熱圧縮特性等に優れるスペーサーを形成しうるとされている(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−207787号公報 特開2005−62620号公報 特開2002−287354号公報 特開2001−164072号公報
しかしながら、組成中にエポキシ基を含有している組成物の場合、硬化後にはある程度の圧縮強度が得られると考えられるものの、エポキシ基自体の活性により、液組成物として保存する際の安定性に支障を来す場合がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、液状態での保存安定性が高く、硬化後には圧縮強度及び圧縮変形からの変形回復性に優れた硬化物が得られる感光性樹脂組成物、並びに圧縮強度及び圧縮変形からの変形回復性に優れたフォトスペーサーを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)不飽和カルボン酸又はその無水物に由来する構成単位の少なくとも1種とマレイミド系モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する共重合体と、(B)多官能性モノマーと、(C)光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物である。
<2> 前記(A)共重合体は、更に、分岐及び/又は脂環構造を側鎖に有することを特徴とすることを特徴とする前記<1>に記載の感光性樹脂組成物である。
<3> 前記<1>又は前記<2>記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたフォトスペーサーである。
本発明によれば、液状態での保存安定性が高く、硬化後には圧縮強度及び圧縮変形からの変形回復性に優れた硬化物が得られる感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、圧縮強度及び圧縮変形からの変形回復性に優れたフォトスペーサーを提供することができる。
以下、本発明の感光性樹脂組成物、及びこれを用いたスペーサーについて詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)不飽和カルボン酸又はその無水物に由来する構成単位の少なくとも1種とマレイミド系モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する共重合体と、(B)多官能性モノマーと、(C)光重合開始剤とを含み、必要に応じて、さらに微粒子等の他の成分を用いて構成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物においては、樹脂成分として、不飽和カルボン酸又はその無水物とマレイミド系モノマーとが少なくとも共重合してなると共に、側鎖にエチレン性不飽和結合を有している共重合体を用いて構成することで、組成物の液状態での保存安定性(例えば室温下での長期保存)を保持しながら、硬化後にはパターンの外力に対する高い強度(例えば圧縮強度)が得られ、圧縮変形したときの変形回復性も高めることができる。
これより、例えば外力を受けたときの耐圧性や変形回復に優れた構造物(例えばフォトスペーサー)を得ることができる。
以下、本発明の感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳述する。
−(A)共重合体−
本発明の感光性樹脂組成物は、不飽和カルボン酸又はその無水物に由来する構成単位の少なくとも1種とマレイミド系モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する共重合体(以下、単に「樹脂」ということがある。)の少なくとも一種を含有する。この共重合体は、酸性基を有して現像性を具えると共に、(好ましくは主鎖に対しエステル基を介して)エチレン性不飽和結合を有することで、高い重合反応性を具えつつ、優れた経時での液保存性を有しており、また、マレイミドの環状構造を有し、形成されたパターン構造物の外力を受けた際の圧縮弾性率、圧縮変形からの変形回復性(以下、弾性回復性ともいう。)を高めることができる。これより、例えばカラーフィルタ用のフォトスペーサー等のパターン構造物を構成するのに有用である。
前記不飽和カルボン酸又はその無水物(以下、「化合物a」ということがある。)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸;及びこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
中でも、重合反応性及び入手容易性の点で、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
前記化合物aに由来する構成単位の共重合体中における含有割合としては、共重合体中の構成単位の合計量に対して、10〜70質量%が好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。この構成単位の含有割合は、10質量%以上であるとフォトスペーサーの圧縮強度が向上し、70質量%以下であると感光性樹脂組成物の液状態での保存安定性が向上する。また、含有割合が10質量%以上であるときには、硬化後の構造物の耐熱性、耐薬品性の点にも優れる。
この構成単位は、1種単独であるいは複数種を組み合わせて用いることができる。
前記マレイミド系モノマー(以下、「化合物b」ということがある。)としては、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミドを挙げることができる。
前記化合物bに由来する構成単位の共重合体中における含有割合としては、共重合体中の構成単位の合計量に対して、2〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。この構成単位の含有割合は、2質量%以上であると硬化後の構造物(例えばフォトスペーサー)の圧縮強度及び変形回復性が良好であり、50質量%以下であると感光性樹脂組成物の成膜性を高めることができる。
この構成単位は、1種単独であるいは複数種を組み合わせて用いることができる。
また、本発明における共重合体は、側鎖に、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有し、好ましくは、少なくとも1つの分岐及び/又は脂環構造を側鎖に有する。共重合体中におけるエチレン性不飽和結合並びに分岐及び/又は脂環構造は、それぞれが異なる側鎖中に含まれていてもよいし、一部が組み合わされて同じ側鎖中に含まれていてもよいし、全てが同じ側鎖中に含まれていてもよい。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを表し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを表し、(メタ)アクリルアニリドはアクリルアニリド又はメタクリルアニリドを表す。
〜エチレン性不飽和結合〜
(A)共重合体は、主鎖に連結する側鎖に、エチレン性不飽和結合の少なくとも1種を含む。このエチレン性不飽和結合は、側鎖中に複数含まれていてもよい。また、エチレン性不飽和結合は、前記化合物a,bに由来の構成単位に含まれてもよいし、(A)共重合体の側鎖中に例えば後述の分岐及び/又は脂環構造とともに含まれていてもよい。エチレン性不飽和結合は、(A)共重合体の主鎖との間に少なくとも1つのエステル基(−COO−)を介して結合された態様も好ましい。
また、エチレン性不飽和結合は、(A)共重合体の主鎖との間に少なくとも1つのエステル基(−COO−)を介して結合し、エチレン性不飽和結合とエステル基のみで(A)共重合体の側鎖を構成していてもよい。また、(A)共重合体の主鎖とエステル基との間、及び/又は、エステル基とエチレン性不飽和結合との間に、さらに2価の有機連結基を有してもよく、エチレン性不飽和結合は「主鎖との間にエステル基を介して配されたエチレン性不飽和結合を有する基」として(A)共重合体の側鎖を構成していてもよい。
前記2価の有機連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ又は組み合わせが好ましい。前記アルキレン基としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは1〜10が好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどが挙げられ、これらは分岐/環状構造、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、オクチレン基が好ましい。前記アリーレン基としては、総炭総数6〜20のアリーレン基が好ましく、さらに好ましくは6〜12が好ましい。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基が好ましい。
エチレン性不飽和結合は、共重合体の側鎖にエチレン性不飽和結合を導入するための単量体の重合による導入が可能である。
また、エチレン性不飽和結合は、(メタ)アクリロイル基を導入して配されることが好ましい。(A)共重合体の側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入する方法は、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ構成単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ構成単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、イソシアネート基を持つ構成単位にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。その中でも、酸性基を持つ構成単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009244323

但し、前記構造式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。
Figure 2009244323

但し、前記構造式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の中でも、構造式(1)で表される化合物が構造式(2)よりも好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基のものがより好ましい。
前記構造式(1)で表される化合物又は構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(10)が挙げられる。
Figure 2009244323

〜〜分岐及び/又は脂環構造〜〜
(A)共重合体は、その主鎖に結合する側鎖に、分岐及び/又は脂環構造の少なくとも1種を含むことが好ましい。分岐及び/又は脂環構造は、(A)共重合体の側鎖中に複数含まれていてもよい。また、分岐及び/又は脂環構造は、前記化合物a,bに由来の構成単位に含まれてもよいし、(A)共重合体の側鎖中に例えば前記エチレン性不飽和結合とともに含まれていてもよい。
また、分岐及び/又は脂環構造は、(A)共重合体の主鎖に直接結合して分岐及び/又は脂環構造のみで(A)共重合体の側鎖を構成されていてもよいし、(A)共重合体の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、分岐及び/又は脂環構造を有する基として(A)共重合体の側鎖を構成されていてもよい。ここで、2価の有機連結基については、エチレン性不飽和結合の項の説明で例示した2価の有機連結基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
分岐及び/又は脂環構造は、現像性、弾性回復率などの観点から、少なくともエステル基(−COO−)を介して(A)共重合体の主鎖に結合されている形態が好ましい。この形態は、分岐及び/又は脂環構造がエステル基(−COO−)のみを介して(A)共重合体の主鎖に結合されている形態に限られず、分岐及び/又は脂環構造がエステル基(−COO−)を含む2価の連結基を介して(A)共重合体の主鎖に結合されている形態であってもよい。すなわち、分岐及び/又は脂環構造とエステル鎖との間、及び/又は、エステル鎖と(A)共重合体の主鎖との間に、他の原子や他の連結基が含まれていてもよい。
前記分岐構造としては、炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基が挙げられ、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、i−アミル基、t−アミル基、3−オクチル、t−オクチル等が好ましい。これらの中でも、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等がより好ましく、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が特に好ましい。
前記脂環構造としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基が挙げられ、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、及びトリシクロペンタニル基等並びにこれらを有する基が好ましい。これらの中でも、ジシクロペンテニル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基等がより好ましく、ジシクロペンテニル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロペンテニル基等が更に好ましく、ジシクロペンテニル基が特に好ましい。
更には、分岐及び/又は脂環構造を有する基として、下記一般式(3)で表される基を有して構成された形態が好ましい。
Figure 2009244323
一般式(3)において、Xは、2価の有機連結基を表し、無置換でも置換基を有していてもよい。yは、1又は2を表し、nは0〜15の整数を表す。
前記2価の有機連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる1つ又は組み合わせが好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
前記アルキレン基としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは1〜10のアルキレン基である。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどの基が挙げられ、これらは分岐/環状構造、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、オクチレン基である。
前記アリーレン基としては、総炭総数6〜20のアリーレン基が好ましく、さらに好ましくは6〜12のアリーレン基である。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基である。
置換されている場合の置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン基、芳香環基、脂環構造を有する基などが挙げられる。
(A)共重合体の側鎖に分岐及び/又は脂環構造を導入するための単量体としては、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、(メタ)アクリレート類がより好ましい。
(A)共重合体の側鎖に分岐構造を導入するための具体的な単量体としては、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好ましく、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル等がより好ましい。
(A)共重合体の側鎖に脂環構造を導入するための単量体としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニル等が挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、嵩高い官能基ほど圧縮弾性率、弾性回復性が良好になる点で、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニルが特に好ましい。
また、(A)共重合体の側鎖に脂環構造を導入するための単量体としては、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(4)、(5)において、Xは2価の有機連結基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。yは1又は2を表し、nは0〜15を表す。一般式(4)、(5)の中でも、y=1又は2、n=0〜8が好ましく、更に好ましくは、y=1又は2、n=0〜4(より好ましくはn=0〜2)である。一般式(4)又は(5)で表される化合物の好ましい具体例として、下記化合物D−1〜D−11、T−1〜T−12が挙げられる。
中でも、弾性回復率の点で、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009244323
一般式(4)〜(5)において、Xで表される2価の有機連結基は、無置換であっても、置換基を有していてもよく、前記一般式(3)のXで表される2価の有機連結基と同義であり、好ましい態様も同様である。
Figure 2009244323
Figure 2009244323
Figure 2009244323
Figure 2009244323
(A)共重合体の側鎖に脂環構造を導入するための単量体としては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、日立化成工業(株)製:FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、
H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S),512Mが好ましい。
本発明における共重合体は、上記の化合物a及び化合物b、並びに「エチレン性不飽和結合」を導入するための単量体及び好ましくは「分岐及び/又は脂環構造」を側鎖に導入するための単量体に由来する構成単位を含んで構成されるほか、さらに他のモノマー(化合物c)に由来する構成単位を含んでもよい。
前記他のモノマー成分としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;メチルアクリレート、イソプロピルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル メタクリレート(いわゆるジシクロペンタニルメタクリレート)、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレートなどのメタクリル酸環状アルキルエステル;シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル アクリレート(いわゆるジシクロペンタニルアクリレート)、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレートなどのアクリル酸環状アルキルエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸アリールエステル;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸アリールエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどのジカルボン酸ジエステル;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシアルキルエステル;及びスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
中でも、重合反応性の点からは、スチレン、t−ブチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、p−メトキシスチレン、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、1,3−ブタジエンなどが好ましい。これらは、1種単独であるいは複数種を組み合わせて用いることができる。
前記共重合体は、化合物a、化合物b、並びに場合により「エチレン性不飽和結合」や「分岐及び/又は脂環構造」を導入するための単量体、化合物cを溶媒中で、重合開始剤の存在下にラジカル重合することによってモノマーの(共)重合反応を行なうことで合成、製造することができる。更に、(共)重合反応とは別に、エチレン性不飽和結合を導入する工程を設けて二段階の工程で合成してもよい。
共重合体の合成、製造に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。
また、共重合体の合成、製造に用いられる重合開始剤としては、一般にラジカル重合開始剤として知られているものが挙げられる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物;及び過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
前記(A)共重合体は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、通常、2×10〜5×10が好ましく、より好ましくは5×10〜1×10である。Mwは、2×10以上であると硬化後の圧縮強度が良好であり、5×10以下であると現像性が良好である。
*分子量
(A)共重合体の分子量としては、重量平均分子量で10,000〜10万が好ましく、12,000〜60,000が更に好ましく、15,000〜45,000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、樹脂(好ましくは共重合体)の製造適性、現像性の点で望ましい。また、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点で、また、架橋不良となり難い点、現像でのスペーサー形状の残渣がない点で好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCについては、後記する実施例の項で詳細に示す。
*ガラス転移温度
(A)共重合体のガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる。
*酸価
(A)共重合体の酸価は、とりうる分子構造により好ましい範囲が変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、40mgKOH/g以上であることはより好ましく、50〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる。
*Tg
前記(A)共重合体は、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる点で、ガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であることが好ましく、Tgが45〜140℃(更には50〜130℃)であり、かつ重量平均分子量が12,000〜60,000(更には15,000〜45,000)であることが好ましい。
更に、前記(A)共重合体の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
本発明における(A)共重合体は、不飽和カルボン酸又はその無水物に由来の構成単位とマレイミド系モノマーに由来の構成単位を含むと共に、エチレン性不飽和結合、並びに/又は、分岐及び/もしくは脂環構造をそれぞれ別の構成単位(共重合単位)として有する3元共重合以上の共重合体であることが、パターン構造物(例えばカラーフィルタ用のフォトスペーサー)を形成したときの変形回復率、現像残渣、レチキュレーションの観点から好ましい。
具体的には、(A)共重合体は、不飽和カルボン酸又はその無水物に由来の構成単位:X(xモル%)と、マレイミド系モノマーに由来の構成単位:Y(yモル%)と、エチレン性不飽和結合を有する構成単位:Z(zモル%)と、を少なくとも有する3元共重合以上の共重合体であることが好ましい。これに加えて、分岐及び/もしくは脂環構造を有する構成単位:M(mモル%)を有する4元共重合以上の共重合体が好適であり、必要に応じて、その他の構成単位:L(lモル%)を有していてもよい。
このような共重合体のうち、嵩高い官能基を含んで圧縮強度、変形回復性を良化できる点で、前記「分岐及び/又は脂環構造」を有する単量体として、前記一般式(4)で表される単量体を共重合させて、分岐及び/又は脂環構造を有する基が導入された共重合体である場合が好ましい。この場合、(A)共重合体は、前記一般式(4)で表される単量体に由来の構成単位を主鎖に有する。
前記(A)共重合体が共重合体である場合の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定される。一概に言えないが、下記の範囲とすることができる。
(A)共重合体における、不飽和カルボン酸又はその無水物に由来の構成単位の組成比(x)は、10〜60モル%が好ましく、20〜50モル%が更に好ましい。組成比(x)が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
(A)共重合体における、マレイミド系モノマーに由来の構成単位の組成比(y)は、1〜30モル%が好ましく、5〜25モル%が更に好ましい。組成比(y)が前記範囲内であると、良好な圧縮強度及び変形回復性が得られる。
(A)共重合体における、エチレン性不飽和結合を有する構成単位の組成比(z)は、10〜70モル%が好ましく、20〜60モル%が更に好ましい。組成比(z)が前記範囲内であると、感度及び重合硬化性が良好であり、調液後の液保存性、及び塗布後の乾膜状態で長期保持された際の経時安定性が良好になる。
(A)共重合体における、分岐及び/又は脂環構造を有する構成単位の組成比(m)は、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%が更に好ましい。組成比(m)が前記範囲内であると、より良好な圧縮強度及び変形回復性が得られると共に、硬化部の現像液耐性も良好である。
更には、(A)共重合体において、組成比(x)が10〜60モル%(特には20〜50モル%)であって、組成比(y)が5〜25モル%(特には10〜15モル%)であって、組成比(z)が20〜60モル%(特には25〜60モル%)である場合が好ましく、更にはこれらに加えて、組成比(m)が10〜50モル%(特には15〜50モル%)である場合が好ましい。
前記(A)共重合体の感光性樹脂組成物中における含有量としては、組成物の全固形分に対して、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。前記(A)共重合体は、後述するその他の樹脂と併用することが可能であるが、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)共重合体のみで構成された態様が好ましい。
〜その他の樹脂〜
前記(A)共重合体と併用可能な樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
前記(A)共重合体とその他の樹脂とを併用する場合、(A)共重合体と併用することができる樹脂との合計の含有量(固形分)としては、感光性樹脂層の全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。この含有量が、5質量%以上であると感光樹脂層の膜強度を維持でき、該感光樹脂層の表面のタック性を良好に保つことができ、70質量%以下であると露光感度が良好になる。
−(B)多官能重合性化合物−
本発明の感光性樹脂組成物は、多官能重合性化合物の少なくとも一種を含有する。多官能重合性化合物は、エチレン性不飽和結合などの重合性基を2以上有する重合性化合物であり、光重合開始剤からのラジカルの作用を受けて重合反応を起こし、硬化膜を形成する。
本発明における多官能重合性化合物としては、2以上の重合性基を有する化合物の中から選択することができるが、多官能モノマーがより好ましく、エチレン性不飽和結合を2以上有する多官能モノマーがより好ましく、特には2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
前記2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、アロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD HDDA、同HX−220、同R−604(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
前記3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、アロニックスM−309、同M−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−1310、同TO−1450,同M−1600、同M−1960、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同MAX−3510(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記の2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートは、1種単独であるいは複数種を組み合わせて用いることができる。
多官能重合性化合物の感光性樹脂組成物中における含有量としては、前記(A)共重合体100質量部に対して、10〜150質量部が好ましく、より好ましくは20〜120質量部の割合である。多官能重合性化合物の含有量は、10質量部以上であると塗布する際に塗膜を平坦化して設けやすく、150質量部以下であると基板との密着性が良好になる。
−(C)光重合開始剤−
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好適に挙げられる。例えば、ベンジル、ジアセチルなどのα−ジケトン類;ベンゾインなどのアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;アセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α’−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン類;アントラキノン、1,4−ナフトキノンなどのキノン類;フェナシルクロライド、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロゲン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド;及びジ−t−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物が挙げられる。
また、上市されている市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、IRGACURE−184、同369、同500、同651、同907、同1700、同819、同124、同1000、同2959、同149、同1800、同1850、Darocur−1173、同1116、同2959、同1664、同4043(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬(株)製)、LUCIRIN TPO(BASF Co.LTD製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD製)、SANDORAY 1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、QUANTACURE−PDO、同ITX、同EPD(以上、WARDBLEKINSOP Co.LTD製)等が挙げられる。
また、増感剤を光重合開始剤と併用することによって酸素による失活の少ない高感度の感光性樹脂組成物に調製することも可能である。
光重合開始剤の感光性樹脂組成物中における含有量としては、前記(A)共重合体100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、より好ましくは3〜35質量部の割合である。光重合開始剤の含有量は、1質量部以上であると高い強度が得られ、40質量部以下であると塗布したときの塗膜の透明性が良好になる。また、含有量が1質量部以上であるときには、耐熱性、耐薬品性の点でも有利である。
本発明の感光性樹脂組成物の好ましい態様としては、下記(1)〜(2)に示す態様が好適である。
(1)前記(A)共重合体が、前記不飽和カルボン酸又はその無水物のうちアクリル酸、メタクリル酸、及び無水マレイン酸に由来する構成単位より選ばれる少なくとも1つと、前記マレイミド系モノマーのうちフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミドに由来する構成単位より選ばれる少なくとも1つとを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する樹脂であって、前記(B)多官能重合性化合物が2官能以上の(メタ)アクリレートである態様。
(2)前記(A)共重合体が、前記不飽和カルボン酸又はその無水物のうちアクリル酸、メタクリル酸、及び無水マレイン酸に由来する構成単位より選ばれる少なくとも1つと、前記マレイミド系モノマーのうちフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミドに由来する構成単位より選ばれる少なくとも1つとを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合と分岐及び/又は脂環構造とを有し、分岐及び/又は脂環構造として前記一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物に由来する構成単位の少なくとも1つを有する樹脂であって、前記(B)多官能重合性化合物が2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートである態様。
−(D)微粒子−
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の成分に加え、力学強度の点で微粒子を含有することが好ましい。微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる点から、コロイダルシリカが好ましい。
微粒子の平均粒子径は、スペーサー等の外力を受けやすい構造を形成する場合には高い力学強度が得られる点で、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
微粒子の感光性樹脂組成物(スペーサー等の構造物を形成するときには構造物(又はこれを構成する感光性樹脂組成物で形成される層)中における含有量としては、高い力学強度を有する構造物(例えばスペーサー)を得る観点から、感光性樹脂組成物中の全固形分(質量)に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
−(E)他の成分−
本発明における感光性樹脂組成物は、上記の成分(A)〜(C)及び必要に応じて(D)微粒子以外に、さらに必要に応じて、光重合開始助剤などの他の成分を含んでいてもよい。
感光性樹脂組成物は、他の添加成分として光重合開始助剤を併用してもよい。光重合開始助剤は、光重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために、光重合開始剤と組み合わせて用いることができる。光重合開始助剤としては、アミン系化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
前記アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。また、アミン系やその他の光重合開始助剤を複数組み合わせて使用してもよい。
上記以外の他の光重合開始助剤として、例えば、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。前記アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。前記チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
また、光重合開始助剤として市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
光重合開始助剤の感光性樹脂組成物中における含有量としては、上記の光重合開始剤1質量部に対して、0.6質量部以上20質量部以下が好ましく、1質量部以上15質量部以下がより好ましく、とりわけ1.5質量部以上15質量部以下が好ましい。
また、その他の成分としては、公知の組成物を構成する成分から選択して用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0014]〜[0020]や特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0039]に記載の成分を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記した成分(A)〜(E)の各成分を混合することによって調製される。本発明の感光性樹脂組成物は、適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いることができる。
感光性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、少なくとも上記の成分(A)〜(C)及び他の成分の各成分を溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。具体的には、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。これらの溶剤の中でも、溶解性、各成分との反応性及び塗膜の形成のし易さの点で、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類、及びジエチレングリコール類が好ましい。
前記溶媒とともに高沸点溶媒を併用してもよい。高沸点溶媒としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、任意の硬化物の作製に用いることができるが、外力を受けた場合の強度や変形後の回復性が重要な物性として位置付けられる構造物の作製用途に好適であり、例えば液晶表示装置等の構成部材の1つであるカラーフィルタ用のフォトスペーサー等のパターン構造物を作製するのに有用である。
フォトスペーサーは、例えば、所望の基板、好ましくはR(赤)、G(緑)、及びB(青)等の着色パターン(例えば着色画素)が設けられたカラーフィルタ基板の上に形成されることにより、液晶表示素子等を構成するスペーサー付基板を得ることができる。
本発明のフォトスペーサーは、上記の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであり、圧縮強度及び圧縮変形したときの変形回復性に優れる。このため、フォトスペーサーを、例えば、セルギャップの変動で表示ムラが生じやすい表示装置(例えば、液晶表示装置等)に適用することにより、セルギャップの変動を抑制することができ、表示ムラを効果的に防止できる。本発明のフォトスペーサーは、少なくとも2枚の基板と、該基板間に設けられた液晶化合物と、該液晶化合物に電界を印加する2枚の電極と、前記基板間のセル厚を規制するためのフォトスペーサーとを備えた液晶表示装置における前記フォトスペーサーとして好適に用いることができる。
フォトスペーサーを製造する方法としては、例えば、2枚の基板の一方の上に、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて感光性の被膜を形成し(以下、「被膜形成工程」ということある。)、形成された被膜の少なくとも一部を露光し(以下、「露光工程」ということがある。)、露光後の被膜を現像する(以下、「現像工程」ということがある。)ことにより形成することができる。また、現像工程後には、必要に応じて、更に現像後の被膜を加熱して硬化する(以下、「被膜加熱工程」ということがある。)などの他の工程を設けることができる。
(イ)被膜形成工程
被膜形成工程は、既述の本発明の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する。被膜として感光性樹脂層を形成することができ、この感光性樹脂層は、後述の露光工程や現像工程等の他工程を経ることにより、セル厚を均一に保持し得るフォトスペーサーを構成する。本発明のフォトスペーサーを用いることにより、特にセル厚の変動で表示ムラが生じやすい表示装置(特に液晶表示装置)における画像中の表示ムラが効果的に解消される。
基板上に感光性樹脂層を形成する方法としては、(a)既述の本発明の感光性樹脂組成物を塗布する塗布法、及び(b)既述の本発明の感光性樹脂組成物で形成された感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、前記感光性樹脂層を加熱及び/又は加圧によりラミネート、転写する転写法が好適に挙げられる。
(a)塗布法
感光性組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリットノズルあるいはスリットコーターによる方法が好適である。
(b)転写法
転写は、感光性転写材料を用いて、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を所望の基板面に例えば加熱及び/又は加圧したローラー又は平板を用いて圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂層を基板上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
感光性樹脂層を形成する場合、感光性樹脂層と仮支持体との間には更に酸素遮断層(以下、「酸素遮断膜」又は「中間層」ともいう。)を設けることができる。これにより、露光感度をアップすることができる。また、転写性を向上させるために、クッション性を有する熱可塑性樹脂層を設けてもよい。
感光性転写材料を構成する仮支持体、酸素遮断層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性転写材料の作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法を適用することができる。
(a)塗布法、(b)転写法ともに感光性樹脂層を形成する場合、その層厚は0.5〜10.0μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。層厚が前記範囲であると、製造時における塗布形成の際のピンホールの発生が防止され、未露光部の現像除去を長時間を要することなく行なうことができる。
感光性樹脂層を形成する基板としては、例えば、透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば、薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。基板の厚みとしては、700〜1200μmが一般に好ましい。
(ロ)露光工程・現像工程
露光工程では、前記被膜形成工程で形成された被膜の少なくとも一部を露光し、潜像を形成する。その後の現像工程では、前記露光工程で露光された被膜を現像し、所望の形状のフォトスペーサーパターンを形成することができる。
これらの工程の具体例としては、特開2006−64921号公報の段落番号[0071]〜[0077]に記載の形成例や、特開2006−23696号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の工程などが、本発明において好適な例として挙げることができる。
(ハ)被膜加熱工程
被膜加熱工程では、前記現像工程における現像後の被膜を加熱する。加熱によって被膜の硬化がより促進し、高強度を有し、圧縮弾性率、弾性回復性の良好なフォトスペーサーが得られる。
上記のようにして、基板上にフォトスペーサーを備えた液晶表示装置用基板を作製することができる。フォトスペーサーは、基板上に形成されたブラックマトリクス等の黒色遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。また、ブラックマトリクス等の黒色遮光部やTFT等の駆動素子とフォトスペーサーとの間にITO等の透明導電層(透明電極)やポリイミド等の液晶配向膜が存在していてもよい。
例えば、フォトスペーサーが黒色遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、該基板に予め配設された黒色遮光部(ブラックマトリクスなど)や駆動素子を覆うようにして、例えば、感光性転写材料の感光性樹脂層を支持体面にラミネートし、剥離転写して感光性樹脂層を形成した後、これに露光、現像、加熱処理等を施してフォトスペーサーを形成することによって、液晶表示装置用基板を作製することができる。
本発明の液晶表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等の着色画素が設けられてもよい。
本発明のフォトスペーサーは、ブラックマトリクス等の黒色遮蔽部及び着色画素等の着色部を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記黒色遮蔽部及び着色部とフォトスペーサーとは、感光性組成物を塗布する塗布法と感光性組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記黒色遮蔽部及び着色部並びに前記フォトスペーサーはそれぞれ感光性組成物から形成でき、具体的には、例えば、基板に液体の前記感光性樹脂組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光・現像を行ない、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成し、その後、別の液体の前記感光性樹脂組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光・現像を行うことによりフォトスペーサーをパターン状に形成することができる。
このようにして、フォトスペーサーが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
本発明のフォトスペーサーの好ましい形態としては、例えば、液晶表示装置用基板上に備えられた形態が挙げられる。
ここで、液晶表示装置用基板としては、表示用遮光部(例えば、ブラックマトリクス等)や駆動素子(例えば、TFT等)等が備えられた基板を用いることができる。この場合、フォトスペーサーは、基板上に形成されたブラックマトリクス等の表示用遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。液晶表示装置用基板には更に、着色画素(赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等)、透明電極(ITO等の透明導電層)、液晶配向膜(ポリイミド等)等が設けられていてもよい。
フォトスペーサーが表示用遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、該基板に予め配設された表示用遮光部(ブラックマトリクスなど)や駆動素子を覆うようにして、例えば本発明の感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂層を有する感光性転写フィルムを用い、その感光性樹脂層を基板面にラミネートした後、剥離転写して感光性樹脂層を転写し、転写形成された感光性樹脂層に露光、現像、加熱処理等を施してフォトスペーサーを形成することによって、液晶表示装置用基板を作製することができる。
前記液晶表示装置用基板を設けて液晶表示素子を構成することができる。液晶表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)を少なくとも備えたものが挙げられる。
この場合、液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されているカラーフィルタ基板として用いることができる。このカラーフィルタ基板には、圧縮強度及び変形回復性の高いフォトスペーサーが設けられているため、該カラーフィルタ基板を備えた液晶表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間のセルギャップムラ(セル厚変動)の発生が抑えられ、色ムラ等の表示ムラの発生を効果的に防止することができる。これにより、作製された液晶表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
また、液晶表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間が圧縮強度及び変形回復性の高いフォトスペーサーにより所定幅に規制して構成されたものである。この場合も、本発明の液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されたカラーフィルタ基板として用いられる。
本発明において使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタ基板の前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリックスを形成してもよいし、逆にブラックマトリックスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
前記液晶表示装置用基板又は前記液晶表示素子を設けて液晶表示装置を構成することができる。
液晶表示装置は、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間を既述のように、本発明のフォトスペーサーで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
液晶表示装置における液晶表示モードとしては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。中でも、本発明の液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられ、本発明の液晶表示装置は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。本発明の液晶表示装置には、本発明の液晶表示素子を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
液晶表示装置は、既述のフォトスペーサーや液晶表示装置用基板、液晶表示素子を備える以外は、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、フォトスペーサー.視野角補償フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35/min、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
(樹脂の合成)
以下のようにして、(A)共重合体として下記の化合物P−1〜P−4を合成して樹脂溶液を得た。なお、各化合物の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定した。
−合成例1−
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MMmPGAC、ダイセル化学工業(株)製)75部を予め加えて90℃に昇温し、スチレン5部、イソプロピルメタクリレート30部、メタクリル酸45部、フェニルマレイミド20部、アゾ系重合開始剤(V−601、和光純薬(株)製)8部、及び1−メトキシ−2−プロパノール75部を混合した混合溶液を、窒素ガス雰囲気下、90℃に昇温した反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、得られたアクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22部及びテトエチルアンモニウムブロマイド0.74部を加えた後、グリシジルメタクリレート47部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させ後、固形分濃度45質量%になるように溶媒を添加することにより、エチレン性不飽和基を持つ化合物P−1の樹脂溶液(Mw;21,000、1−メトキシ−2−プロパノールの45質量%溶液)を得た。
−合成例2−
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MMPGAC、ダイセル化学工業(株)製)75部を予め加えて90℃に昇温し、スチレン5部、ジシクロペンテニルメタクリレート30部、メタクリル酸45部、フェニルマレイミド20部、アゾ系重合開始剤(V−601、和光純薬(株)製)8部、及び1−メトキシ−2−プロパノール75部を混合した混合溶液を、窒素ガス雰囲気下、90℃に昇温された反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、得られたアクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22部及びテトエチルアンモニウムブロマイド0.74部を加えた後、グリシジルメタクリレート47部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させ後、固形分濃度45質量%になるように溶媒を添加することにより、エチレン性不飽和基を持つ化合物P−2の樹脂溶液(Mw;21,000、1−メトキシ−2−プロパノールの45質量%溶液)を得た。
−合成例3−
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MMPGAC、ダイセル化学工業(株)製)75部を予め加えて90℃に昇温し、スチレン5部、ジシクロペンテニルアクリレート30部、メタクリル酸45部、シクロヘキシルマレイミド20部、アゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V−601)8部、及び1−メトキシ−2−プロパノール75部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、得られたアクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22部及びテトエチルアンモニウムブロマイド0.74部を加えた後、グリシジルメタクリレート47部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度45質量%になるように溶媒を添加することにより、側鎖にエチレン性不飽和基とエポキシ基を持つ化合物P−3の樹脂溶液(Mw;22,000、1−メトキシ−2−プロパノールの45質量%溶液)を得た。
−合成例4−
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MMPGAC、ダイセル化学工業(株)製)75部を予め加えて90℃に昇温し、スチレン20部、メタクリル酸20部、メタクリル酸グリシジル40部、フェニルマレイミド20部、アゾ系重合開始剤(V−601、和光純薬(株)製)8部、及び1−メトキシ−2−プロパノール75部を混合した混合溶液を、窒素ガス雰囲気下、90℃に昇温した反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、溶媒量を調整して固形分濃度45質量%になるように、側鎖にエポキシ基を有する化合物P−4の樹脂溶液(Mw;20,000、1−メトキシ−2−プロパノールの45質量%溶液)を得た。
−合成例5−
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MMmPGAC、ダイセル化学工業(株)製)75部を予め加えて90℃に昇温し、スチレン25部、イソプロピルメタクリレート30部、メタクリル酸45部、アゾ系重合開始剤(V−601、和光純薬(株)製)8部、及び1−メトキシ−2−プロパノール75部を混合した混合溶液を、窒素ガス雰囲気下、90℃に昇温した反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、得られたアクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22部及びテトエチルアンモニウムブロマイド0.74部を加えた後、グリシジルメタクリレート47部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させ後、固形分濃度45質量%になるように溶媒を添加することにより、エチレン性不飽和基を持つ化合物P−5の樹脂溶液(Mw;21,000、1−メトキシ−2−プロパノールの45質量%溶液)を得た。
(実施例1)
−感光性樹脂組成物の調製−
上記の合成例1で得られた化合物P−1の樹脂溶液((A)共重合体)200部と、DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート76部と1−メトキシ−2−プロピルアセテート24部との混合物;(B)多官能モノマー)72部と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア369、チバ・スペシャルティスペシャルティ・ケミカルズ社製;(C)光重合開始剤)22.5部とを混合し、固形分濃度が30質量%になるように、更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタで濾過して感光性樹脂組成物(R−1)を調製した。
−スペーサーパターンの形成−
ITO膜がスパッタ形成されたガラス基板のITO膜上に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーターMH−1600(エフ・エー・エス・アジア社製)にて、上記の感光性樹脂組成物(R−1)を塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、120℃で3分間プリベークすることにより、厚み4.0μmの感光性樹脂層を形成した(被膜形成工程)。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと感光性樹脂層とが向き合うように配置されたガラス基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層との距離を150μmとし、マスクを介して感光性樹脂層を露光量300mJ/cmにてプロキシミティー露光した(露光工程)。次いで、水酸化カリウム0.5質量%水溶液で25℃で1分間現像した後(現像工程)、純水で1分間リンスした。このようにして、感光性樹脂層の未露光部が除去され、ガラス基板上にスペーサーパターンを形成した。次いで、スペーサーパターンが設けられたガラス基板を220℃で60分間、加熱処理を行ない(被膜加熱工程)、フォトスペーサーを作製した。
得られたフォトスペーサーの直径を光学顕微鏡(オリンパス(株)製)で、フォトスペーサーの高さを表面プロファイラーP−10(TENCOR社製)で計測したところ、直径25μm、平均高さ3.6μmであった。
−評価−
(1.破壊荷重)
上記で作製したフォトスペーサーに対して、微小硬度計(DUH−W201、(株)島津製作所製)により、50μmφの円錘台圧子を採用して一定速度で荷重を加え(3.3mN/sec.)、フォトスペーサーに割れ、破壊が生じたときの荷重(破壊荷重)を測定し、フォトスペーサーの強度を評価する指標として、下記の評価基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行なった。破壊荷重の値は、数値が大きい程フォトスペーサーの強度が高いことを示す。
〈評価基準〉
5:破壊荷重が200mN以上であった。
4:破壊荷重が190mN以上200mN未満であった。
3:破壊荷重が180mN以上190mN未満であった。
2:破壊荷重が170mN以上180mN未満であった。
1:破壊荷重が160mN以上170mN未満であった。
0:破壊荷重が160mN未満であった。
(2.変形回復率)
上記で作製したフォトスペーサーに対して、微小硬度計(DUH−W201、(株)島津製作所製)により、50μmφの円錘台圧子を採用し、最大荷重100mN、保持時間5秒での負荷−除荷試験法を行なった。得られた測定値から下記式により変形回復率〔%〕を求め、下記の評価基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行なった。変形回復率は、数値が大きいほど形状回復が良好であることを示す。
変形回復率(%)=
(加重開放後の回復量[μm]/加重による変形量[μm])×100
〈評価基準〉
5:変形回復率が90%以上であった。
4:変形回復率が87%以上90%未満であった。
3:変形回復率が85%以上87%未満であった。
2:変形回復率が80%以上85%未満であった。
1:変形回復率が75%以上80%未満であった。
0:変形回復率が75%未満であった。
(3.感光性樹脂組成物の貯蔵安定性)
上記で調製した感光性樹脂組成物(R−1)を5℃と30℃との2環境下で30日間保管した後、上記と同様に被膜形成工程、露光工程、現像工程、及び被膜加熱工程を行なって作製したフォトスペーサーのサイズ(保管前に作製したフォトスペーサーからのサイズ変化)を確認すると共に、SEM観察によるフォトスペーサー周辺部分の残渣の有無を目視及び光学顕微鏡(オリンパス(株)製により確認し、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性を評価した。残渣の評価は、下記の評価基準にしたがって行なった。
〈評価基準〉
5:残渣は全く見られなかった。
4:パターン周辺に若干の残渣が見られたが、実用上許容可能な範囲であった。
3:パターン周辺に残渣が見られた。
2:パターン周辺とパターン近傍の基板上に残渣が見られた。
1:基板上の所々に残渣が確認された。
(実施例2)
実施例1において、化合物P−1の樹脂溶液を、前記合成例2で得た例示化合物P−2((A)共重合体)の樹脂溶液に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(R−2)を調製し、フォトスペーサーを作製すると共に、評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、化合物P−1の樹脂溶液を、前記合成例3で得た例示化合物P−3((A)共重合体)の樹脂溶液に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(R−3)を調製し、フォトスペーサーを作製すると共に、評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、化合物P−1の樹脂溶液を、前記合成例4で得た化合物P−4の樹脂溶液に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(R−4)を調製し、フォトスペーサーを作製すると共に、評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、化合物P−1の樹脂溶液を、前記合成例5で得た化合物P−5の樹脂溶液に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(R−5)を調製し、フォトスペーサーを作製すると共に、評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
Figure 2009244323
前記表1に示すように、実施例では、強度、圧縮特性に優れたフォトスペーサーを形成することができ、調製した感光性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れていた。これに対し、比較例では、強度、圧縮特性のいずれも劣っており、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性は著しく悪かった。

Claims (3)

  1. (A)不飽和カルボン酸又はその無水物に由来する構成単位の少なくとも1種とマレイミド系モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する共重合体と、(B)多官能重合性化合物と、(C)光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)共重合体は、更に、分岐及び/又は脂環構造を側鎖に有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたフォトスペーサー。
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