JP2010282180A - スペーサー形成用感放射線性樹脂組成物、スペーサー、スペーサーの形成方法、及び液晶表示素子 - Google Patents

スペーサー形成用感放射線性樹脂組成物、スペーサー、スペーサーの形成方法、及び液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度で、かつ、スペーサー形成後の密着性に優れたスペーサー用感放射線性樹脂組成物を提供する。また、本発明は、基板との密着性に優れたスペーサー及びその製造方法、並びに該スペーサーを備えた液晶表示素子を提供する。
【解決手段】(A)酸性基を有する樹脂、(B)重合性不飽和化合物、並びに(C)下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を含有するスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。

〔一般式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、スペーサー形成用感放射線性樹脂組成物、スペーサー、スペーサーの形成方法、及び液晶表示素子に関する。
従来、液晶表示装置は、高画質画像を表示する表示装置に広く利用されている。液晶表示装置は一般に、一対の基板間に所定の配向により画像表示を可能とする液晶層を備えており、この基板間隔、すなわち液晶層の厚みを均一に維持することが画質を決定する要素の一つであり、そのために、液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーが配設されている。この基板の間の厚みは一般に「セル厚」と称されている。セル厚は通常、前記液晶層の厚み、換言すれば、表示領域の液晶に電界をかけている2枚の電極間の距離を示す。
スペーサーは、従来ビーズ散布により形成されていたが、近年では、感光性組成物を用いてフォトリソグラフィーにより位置精度の高いスペーサーが形成されるようになってきている。このような感光性組成物を用いて形成されたスペーサーは、フォトスペーサーと呼ばれている。
フォトリソグラフィーにおける光源として使用される水銀ランプからの放射線は、通常、436nm付近(g線)、404nm付近(h線)、365nm付近(i線)、335nm付近、315nm付近(j線)、303nm付近等に強度の高いスペクトルを示すため、感放射線性樹脂組成物に含まれる感放射線性重合開始剤としては、これらの強度の高いスペクトルの波長領域に最大吸収波長を有する化合物を選択使用するのが普通である。ほとんどの場合、透明性の観点から、波長がi線以下の領域に最大吸収波長を有する感放射線性重合開始剤が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
波長がi線より長いg線又はh線付近に最大吸収波長を有する感放射線性重合開始剤を用いると、その感放射線性重合開始剤は可視光線に近い波長領域に吸収を有するため、この感放射線性重合開始剤を含有する感放射線性樹脂組成物が着色して、形成された被膜の透明性が低下する。
被膜の透明性が低いと、露光時に膜表面で硬化反応が進む一方、被膜の深さ方向への硬化反応が不十分となる。その結果、現像後に得られるスペーサーの形状は、逆テーパ(断面形状が、膜表面の辺が基板側の辺よりも長い逆三角形状)となり、その後の配向膜のラビング処理時にスペーサーが剥離する原因となる。
一方、実際のスペーサー形成プロセス、例えばカラーフィルターなどに用いられる透明基板上にフォトリソグラフィーによりスペーサーを形成する場合には、プロキシミティー露光機を使用することが多い。近年ではプロキシミティー露光機のスループット向上のため、一般に照度の高い水銀ランプが使用されている。この場合、スループットは向上するが、照度の高い水銀ランプをそのまま使用すると、露光機に用いられているミラーの寿命を低下させるため、高いエネルギーを有する350nm未満の短波長の放射線をフィルターでカットして使用する場合が多い。しかし、従来の感放射線性重合開始剤のほとんどが350nm未満に最大吸収波長を有するため、波長350nm未満の放射線をカットすると、感放射線性樹脂組成物の硬化に必要なラジカルなどの活性種を十分発生できず硬化反応が不十分となり、満足できるスペーサーの寸法や形状を得ることが困難になる。
特開2005−208360号公報
本発明は、高感度で、かつ、スペーサー形成後の密着性に優れたスペーサー用感放射線性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、基板との密着性に優れたスペーサー及びその製造方法、並びに該スペーサーを備えた液晶表示素子を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>
(A)酸性基を有する樹脂、(B)重合性不飽和化合物、並びに(C)下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を含有するスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。


〔一般式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。〕
<2>
前記(C)オキシムエステル化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である<1>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
〔一般式(2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYはそれぞれ独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。〕
<3>
前記(C)オキシムエステル化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である<2>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
〔上記一般式(3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。〕
<4>
前記酸性基がカルボキシル基及びフェノール性水酸基から選択される少なくとも1つである<1>〜<3>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<5>
前記(A)樹脂がさらに、架橋性基を有する樹脂である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<6>
前記架橋性基がエポキシ基及びオキセタニル基から選択される少なくとも1つである<5>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<7>
前記架橋性基がエチレン性不飽和基である<5>又は<6>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<8>
前記(A)樹脂がさらに、脂環構造を有する樹脂である<1>〜<7>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<9>
前記(A)樹脂の脂環構造が、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、シクロヘキシル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、及びイソボルニル基から選択される少なくとも1種である<1>〜<8>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<10>
前記脂環構造が、下記一般式(4)で表される単量体から誘導される構造である<9>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
〔一般式(4)中、Xは二価の有機連結基を表し、yは1又は2を表し、nは0〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。〕
<11>
前記一般式(4)中のXで表される二価の有機連結基が、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ以上又はそれらの組み合わせである<10>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<12>
前記脂環構造が、下記一般式(5)で表される単量体から誘導される構造である<9>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
〔一般式(5)中、Xは二価の有機連結基を表し、yは1又は2を表し、nは0〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。〕
<13>
前記一般式(5)中のXで表される前記二価の有機連結基が、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ以上又はそれらの組み合わせである<12>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<14>
前記(A)樹脂がさらに分岐構造を有する樹脂である<1>〜<13>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<15>
前記分岐構造が炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基を有する<14>に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<16>
前記(A)樹脂が、スチレン由来の構造単位をさらに含む、<1>〜<15>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<17>
前記(A)樹脂における、前記分岐構造及び/又は脂環構造の組成比(x)が10〜70モル%であって、前記酸性基の組成比(y)が5〜70モル%であって、前記架橋性基の組成比(z)が10〜70モル%である、<14>〜<16>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<18>
前記(B)重合性不飽和化合物の前記(A)樹脂に対する質量比[(B)/(A)比]が0.5〜2.5である<1>〜<17>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
<19>
<1>〜<18>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサー。
<20>
<1>〜<18>のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、該感光性樹脂層の少なくとも一部に、放射線を露光する工程と、露光後の感光性樹脂層を現像する工程と、現像後の感光性樹脂層を加熱する工程と、を含むスペーサーの製造方法。
<21>
<19>に記載のスペーサーを備えた液晶表示素子。
本発明によれば、高感度で、かつ、スペーサー形成後の密着性に優れたスペーサー用感放射線性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、基板との密着性に優れたスペーサー及びその製造方法、並びに該スペーサーを備えた液晶表示素子を提供することができる。
以下、本発明のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物(以下、単に「感放射線性樹脂組成物」ともいう)、スペーサー、スペーサーの製造方法、及び液晶表示素子について詳細に説明する。
<スペーサー形成用感放射線性樹脂組成物及びスペーサーの製造方法>
本発明のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物は、(A)酸性基を有する樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)オキシムエステル化合物を含有する。
本発明のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物は、上記特定の(A)樹脂、(B)重合性不飽和化合物、及び(C)オキシムエステル化合物を少なくとも含有する構成を有することにより、高感度で現像性に優れる。特に、350nm未満の波長を含まない波長でも高感度で、かつ硬化反応が良好である。
また、該感放射線性樹脂組成物により製造されるスペーサーは、圧縮性にも優れて高度の変形回復性を有するため、表示素子及び/または表示装置における表示ムラを解消することができる。
また、本発明のスペーサーの製造方法は、少なくとも2枚の基板と、前記基板間に配置された液晶材料と、前記液晶材料に電界を印加する2枚の電極と、前記基板間のセル厚を規制するスペーサーとを備えた液晶表示装置における前記スペーサーの製造方法として好適であり、前記2枚の基板の一方の上に、本発明の感放射線性樹脂組成物を含む感放射線性樹脂組成物層(以下、「感光性樹脂層」ともいう)を形成する層形成工程を有する。
[層形成工程]
本発明における層形成工程は、基板上に本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成する工程である。
この感光性樹脂層から、後述するパターニング工程等の他工程を経て、変形回復性が良好でセル厚を均一に保持し得る本発明のスペーサーが形成される。該スペーサーを用いることにより、特にセル厚の変動により表示ムラが生じやすい液晶表示装置における画像中の表示ムラが効果的に解消される。
基板上に感光性樹脂層を形成する方法の例としては、(a)本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布する方法、及び(b)前記感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、加熱及び又は加圧により感光性樹脂層をラミネート及び転写する転写法が挙げられる。
(a)塗布法
感放射線性樹脂組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリットノズルあるいはスリットコーターを用いる塗布方法が好適である。
(b)転写法
転写は、感光性転写材料を用いて、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を、ローラー又は平板を用いて、支持体(または基板)の表面に圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂層を支持体上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられる。異物の混入を防ぐ観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
感光性樹脂層を形成する場合、感光性樹脂層と仮支持体間には更に酸素遮断層(以下、「酸素遮断膜」または「中間層」とも言う。)を設けることができる。これにより露光感度をアップすることができる。また、転写性を向上させるためにクッション性を有する熱可塑性樹脂層を設けてもよい。
該感光性転写材料を構成する仮支持体、酸素遮断層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性転写材料の作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法を適用することができる。
(a)塗布法、(b)転写法共に感光性樹脂層を塗布形成する場合、その層厚は0.5μm〜10.0μmが好ましく、1μm〜6μmがより好ましい。層厚が前記範囲であると、製造時における塗布形成の際のピンホールの発生が防止され、未露光部の現像除去を長時間を要することなく行なうことができる。
感光性樹脂層をその上に形成する基板としては、例えば、透明基板(例えば、ガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えば、ITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(以下、カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば、薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。基板の厚みは、700μm〜1200μmが一般に好ましい。
〜感放射線性樹脂組成物〜
次に、感放射線性樹脂組成物について説明する。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)酸性基を有する樹脂(以下、「(A)樹脂」ともいう。)、(B)重合性不飽和化合物、並びに(C)オキシムエステル化合物を含有する。
また、必要に応じて、その他の成分を更に含んでも良い。
本発明の感放射線性樹脂組成物は上記(A)樹脂、(B)重合性不飽和化合物及び(C)オキシムエステル化合物を含む構成とすることにより、高感度で、かつ、スペーサー形成後の密着性に優れたものとすることができるが、特に、前記(A)樹脂と(C)オキシムエステル化合物を組合せる構成をとることにより、該組成物を用いて形成されるスペーサーは逆テーパ状の形状となることなく、更に、変形回復率が高い優れたものとなる。更に、該組成物は高感度となることから、高エネルギーの350nm未満の短波長の放射線を用いる必要がないため、使用される露光機ミラーの寿命低下を効果的に抑制させることができる。
(A)樹脂
(A)樹脂は、酸性基を有して構成され、更に架橋性基を有する樹脂が好ましく、また更に脂環構造及び/または分岐構造を有する樹脂が更に好ましい。
(A)樹脂は付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を含む重合体であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンやビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
(A)樹脂は、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を、全構成単位に対し、50モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有する重合体であることが特に好ましい。
前記(A)樹脂における分岐構造および/または脂環構造、酸性基、及び架橋性基は、それぞれが異なる側鎖中に含まれてもよいし、これらのうちの少なくとも2つが組み合わされて同じ側鎖中に含まれてもよいし、全てが同じ側鎖中に含まれていてもよい。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを表し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを表し、(メタ)アクリルアニリドはアクリルアニリド又はメタクリルアニリドを表す。
−分岐構造及び脂環構造−
分岐構造及び脂環構造について説明する。
本発明における(A)樹脂は、分岐構造及び/又は脂環構造を側鎖中に少なくとも1つを含むことが好ましい。
分岐構造及び/又は脂環構造は、(A)樹脂の同一の側鎖中に複数含まれていてもよい。また、分岐構造及び/又は脂環構造は、(A)樹脂の同一の側鎖中に、酸性基、エチレン性不飽和基をともに含まれていてもよい。
また、前記分岐構造及び/又は脂環構造は、(A)樹脂の主鎖に直接結合し分岐構造及び/又は脂環構造のみで(A)樹脂の側鎖を構成していてもよいし、また(A)樹脂の主鎖に二価の有機連結基を介して結合し、分岐構造及び/又は脂環構造を有する基として(A)樹脂の側鎖を構成していてもよい。
分岐構造の例としては、炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基が好ましく、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、i−アミル基、t−アミル基、3−オクチル基、t−オクチル基等並びにこれらを有する基が挙げられる。これらの中でも、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等並びにこれらを有する基が好ましく、さらにi−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等並びにこれらを有する基が好ましい。
脂環構造の例としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基が挙げられ、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、及びトリシクロペンタニル基等並びにこれらを有する基から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基等並びにこれらを有する基から選択される少なくとも1種が好ましく、更にシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基等並びにこれらを有する基から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記二価の有機連結基の例としては、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ以上又はそれらの組み合わせが挙げられる。
前記アルキレン基の例としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく挙げられ、さらに総炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどが挙げられ、これらは分岐構造、環状構造、又は官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、オクチレン基が挙げられる。
前記アリーレン基の例としては、総炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく挙げられ、さらに好ましくは総炭素数6〜12のアリーレン基が挙げられる。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐構造又は官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基が挙げられる。
(A)樹脂の側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を導入するための単量体の例としては、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
(A)樹脂の側鎖に分岐構造を導入するための単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−アミル、(メタ)アクリル酸−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられ、その中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好ましく、さらに好ましくは、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル等である。
(A)樹脂の側鎖に脂環構造を導入するための単量体の具体例としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的な例としては、(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸 1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシルなどを挙げることができ、中でも(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸 2−アダマンチルが好ましい。
また、(A)樹脂の側鎖に脂環構造を導入するための単量体の具体例としては、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物も挙げられる。一般式(4)又は(5)において、それぞれ独立に、Xは二価の有機連結基を表し、yは1又は2を表し、nは0〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。
一般式(4)又は(5)で表される化合物は、上記の中でも、それぞれ独立に、y=1又は2、n=0〜4である場合が好ましく、y=1又は2、n=0〜2である場合がより好ましい。
前記二価の有機連結基は、置換基を有していてもよく、前記二価の有機連結基の例として、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ又は組み合わせが挙げられる。
前記アルキレン基の例としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく挙げられ、さらに1〜10が好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどが挙げられ、これらは分岐構造、環状構造、又は官能基を有していてもよく、さらにメチレン基、エチレン基、オクチレン基が好ましい。
前記アリーレン基の例としては、総炭総数6〜20のアリーレン基が好ましく挙げられ、さらに総炭総数6〜12が好ましい。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐構造又は官能基を有していてもよく、さらにフェニレン基、ビフェニレン基が好ましい。
前記二価の有機連結基が有してもよい置換基の例としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン基、芳香環基、脂環構造を有する基などが挙げられる。
中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、一般式(4)又は(5)で表される化合物が好ましく、その具体例として、下記化合物D−1〜D−11、T−1〜T−12が挙げられる。
(A)樹脂の側鎖に脂環構造を導入するための単量体は適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品の例としては、FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M(全て商品名、日立化成工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S)及びFA−512Mが好ましい。
−酸性基−
(A)樹脂は、側鎖に酸性基を少なくとも1つ含む構成であるが、前記酸性基は同一の側鎖中に複数含まれていてもよい。また、酸性基は(A)樹脂の同一の側鎖中に分岐構造および/または脂環構造、並びに架橋性基とともに含まれていてもよい。
また、前記酸性基は、(A)樹脂の主鎖に直接結合し酸性基のみで(A)樹脂の側鎖を構成してもよいし、(A)樹脂の主鎖に二価の有機連結基を介して結合し、酸性基を有する基として(A)樹脂の側鎖を構成してもよい。ここで、二価の有機連結基の例としては前記分岐構造及び/又は脂環構造の項の説明で例示した二価の有機連結基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
前記酸性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。その例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、現像性、及び硬化膜の耐水性が優れる点から、カルボキシル基及びフェノール性水酸基から選択される少なくとも1つが好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。
前記(A)樹脂の側鎖に酸性基を導入するための単量体としては、特に制限はなく、その例としては、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
前記(A)樹脂の側鎖に酸性基を導入するための単量体の具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物に用いられる水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記環状酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
前記(A)樹脂の側鎖に酸性基を導入するための単量体として、その市販品は、東亜合成化学工業(株)製:アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5500、アロニックスM−5600(全て商品名)、新中村化学工業(株)製:NKエステルCB−1、NKエステルCBX−1(全て商品名)、共栄社油脂化学工業(株)製:HOA−MP、HOA−MS(全て商品名)、大阪有機化学工業(株)製:ビスコート#2100(商品名)等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、低コストである点で(メタ)アクリル酸等が好ましい。
−架橋性基−
架橋性基は、加熱処理で硬化反応を起こす基であれば特に限定はされない。好ましい架橋性基としては、エポキシ基及びオキセタニル基、並びに、エチレン性不飽和基を挙げることができる。
〜エポキシ基〜
エポキシ基としては以下のラジカル重合性単量体に由来する基を挙げることができる。前記ラジカル重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等を好ましい例として挙げることができる。また、特許第4168443号公報の段落0031〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられる。
また、〜エチレン性不飽和基〜の項で説明する下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物(例えば、例示化合物(1)〜(10))も好適である。
これらのエポキシ基を有する単量体は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
〜オキセタニル基〜
オキセタニル基としては、以下のラジカル重合性単量体に由来する基を挙げることができる。前記ラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
特に好ましいものとしては、(メタ)アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルである。これらのエポキシ基を有する単量体は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
〜エチレン性不飽和基〜
前記(A)樹脂は、架橋性基としてエチレン性不飽和基を有することが好ましく、エチレン性不飽和基としては、特に制限は無いが、エステル基を介して主鎖に結合していることが好ましい。
前記(A)樹脂の側鎖としてエステル基を介して主鎖に結合している「エチレン性不飽和基」としては、特に制限はないが、その例としては(メタ)アクリロイル基が挙げられる。前記エステル基(主鎖側:−COO−)はエチレン性不飽和基と(A)樹脂の主鎖とを連結する。
本明細書において、エステル基を介して主鎖に結合するエチレン性不飽和基とは、エチレン性不飽和基を含む原子団がエステル基によって樹脂の主鎖に結合していることを指す。このため、該エステル基は主鎖に直結しているが、該エチレン性不飽和基と該エステル基とは直接結合されていてもよいし、両者を連結する連結基を介して結合されていてもよい。
前記(A)樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法は公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ繰り返し単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、イソシアネート基を持つ繰り返し単位にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
前記構造式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。
前記構造式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の中でも、構造式(1)で表される化合物が構造式(2)よりも好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基であることがより好ましい。
前記構造式(1)で表される化合物又は構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(10)が挙げられる。
−その他の単量体−
前記(A)樹脂には、その他の単量体を用い、その他の基が導入されていてもよい。
前記その他の単量体としては、特に制限はなく、例えば分岐構造及び/又は脂環構造をもたない(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエーテル基、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基、炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
前記ビニルエーテル基としては、特に制限はなく、例えば、ブチルビニルエーテル基などが挙げられる。
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
前記(A)樹脂におけるその他の単量体の含有率としては、組成比が、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
(A)樹脂の具体例としては、例えば、下記構造で表される化合物(例示化合物P−1〜P−57)が挙げられる。
また、例示化合物中のx、l、y、z及びStは、各繰り返し単位の組成比(モル%)を表し、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。また、各例示化合物の重量平均分子量も、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。
<合成法>
(A)樹脂は、モノマーの(共)重合反応の工程とエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程から合成することができる。
まず、(共)重合反応としては、種々のモノマーの(共)重合反応が挙げられ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知の方法の中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
<炭素数>
(A)樹脂の総炭素数は、弾性係数(硬さ)の観点から、10以上が好ましい。中でも、総炭素数は、10〜40がより好ましく、特に好ましくは15〜25である。
<分子量>
(A)樹脂の分子量は、重量平均分子量で10,000〜10万が好ましく、12,000〜60,000が更に好ましく、15,000〜45,000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、樹脂(好ましくは共重合体)の製造適性、及び現像性の点で望ましい。また、重量平均分子量が前記範囲内であると、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点、架橋不良となり難い点、及び現像でのスペーサー形状の残渣がない点で好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCについては、後記する実施例の項で詳細に示す。
<ガラス転移温度>
(A)樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、及び力学強度を有するスペーサーが得られる。
<酸価>
(A)樹脂の酸価は、とりうる分子構造により好ましい範囲が変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、40mgKOH/g以上であることはより好ましく、50〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、及び力学強度を有するスペーサーが得られる。
前記(A)樹脂の好ましい例は、良好な現像性、及び力学強度を有するスペーサーが得られる点で、ガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であることが好ましく、Tgが45〜140℃であり、かつ重量平均分子量が12,000〜60,000であることがより好ましく、Tgが50〜130℃であり、かつ重量平均分子量が15,000〜45,000であることが特に好ましい。
更に、前記(A)樹脂の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
本発明において、(A)樹脂が、分岐構造及び/又は脂環構造と、酸性基と、架橋性基と、を有する場合、それぞれ別の繰り返し単位(共重合単位)に有する3元共重合以上の共重合体であることが、パターン構造物(例えば、カラーフィルタ用のスペーサー)を形成したときの変形回復率、現像残渣、レチキュレーションの観点から好ましい。
具体的には、前記(A)樹脂は、分岐構造及び/又は脂環構造を有する繰り返し単位:X(xモル%)と、酸性基を有する繰り返し単位:Y(yモル%)と、架橋性基を有する繰り返し単位:Z(zモル%)と、を少なくとも有する3元共重合以上の共重合体であることが好ましい。さらに、必要に応じてその他の繰り返し単位:L(lモル%)を有していてもよい。
このような共重合体は、例えば、分岐構造及び/又は脂環構造を有する単量体と、酸性基を有する単量体と、架橋性基を有する単量体と、必要に応じて他の単量体と、を共重合させて得ることができる。このうち、嵩高い官能基で圧縮弾性率、弾性回復性が良好になる点で、少なくとも前記分岐構造及び/又は脂環構造を有する単量体として、前記一般式(4)で表される単量体及び/又は一般式(5)で表される単量体を共重合させて、分岐構造及び/又は脂環構造が導入された共重合体であることが好ましい。この場合、(A)樹脂は、前記一般式(4)で表される単量体及び/又は一般式(5)で表される単量体に由来の構成単位を主鎖に有する。
前記(A)樹脂が分岐構造及び/又は脂環構造と、酸性基と、架橋性基と、を有する共重合体である場合の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定される。一概に言えないが、共重合組成比は下記の範囲とすることができる。
(A)樹脂における、分岐構造及び/又は脂環構造を有する繰り返し単位の組成比(x)は、10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。組成比(x)が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
(A)樹脂における、酸性基を有する繰り返し単位の組成比(y)は、5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。組成比(y)が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
(A)樹脂における「架橋性基」を有する繰り返し単位の組成比(z)は、10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。組成比(z)が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、感度及び重合硬化性が良好であり、調液後の液保存性、及び塗布後の乾膜状態で長期保持された際の経時安定性が良好になる。
更には、(A)樹脂としては、組成比(x)が10〜70モル%であって、組成比(y)が5〜70モル%であって、組成比(z)が10〜70モル%である場合が好ましく、組成比(x)が15〜65モル%であって、組成比(y)が10〜60モル%であって、組成比(z)が20〜70モル%である場合がより好ましく、組成比(x)が20〜50モル%であって、組成比(y)が20〜50モル%であって、組成比(z)が30〜70モル%である場合が特に好ましい。
本発明において、前記(A)樹脂の感放射線性樹脂組成物中における含有量は、組成物の全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
前記組成物の含有量が、5質量%以上であると感光樹脂層の膜強度を維持でき、該感光樹脂層の表面のタック性を良好に保つことができ、70質量%以下であると露光感度が良好になる。
(A)樹脂は、後述するその他の樹脂と併用できるが、前記(A)樹脂のみで構成される場合が好ましい。
〜その他の樹脂〜
前記(A)樹脂と併用することができる樹脂の例としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有する樹脂が好適に挙げられる。具体例としては、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(例えば、エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが挙げられる。
前記酸性基は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
基板上への感光性樹脂層の形成を転写法で行う場合、特に前記(A)樹脂とその他の樹脂とを併用すると良い。その場合、(A)樹脂と併用することができる樹脂との合計の含有量(固形分)としては、感光性樹脂層の全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。この含有量が、5質量%以上であると感光樹脂層の膜強度を維持でき、該感光樹脂層の表面のタック性を良好に保つことができ、70質量%以下であると露光感度が良好になる。
(B)重合性不飽和化合物
本発明における感放射線性樹脂組成物は、前記(A)樹脂と共に、(B)重合性不飽和化合物を含有する。
前記重合性不飽和化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物であり、公知の組成物を構成する成分から選択して用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分を挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン付加重合性化合物も好適であり、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
その他の例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートEO変性体などが、並びに、市販品としては、NKエステル A−TMMT、NKエステル A−TMM−3、NKオリゴUA−32P、NKオリゴUA−7200(以上、新中村化学工業(株)製)、アロニックス M−305、アロニックス M−306、アロニックス M−309、アロニックス M−450、アロニックス M−402、TO−1382(以上、東亞合成(株)製)、V#802(大阪有機化学工業(株)製)を好ましい例として挙げることができる。
前記(A)樹脂との関係において、(B)重合性不飽和化合物の(A)樹脂に対する質量比率[(B)/(A)比]が0.5〜2.5であることが好ましく、0.6〜2.2であることはより好ましく、0.8〜1.9であることが特に好ましい。(B)/(A)比が前記範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる。
(C)オキシムエステル化合物
本発明において、(C)オキシムエステル化合物(以下、「(C)成分」又は「オキシエステル化合物」ともいう。)の少なくとも1つを含む。
オキシムエステル化合物としては、公知のものから選択することが可能であるが、下記一般式(1)で表される化合物(以下、適宜、「新規オキシム化合物」ともいう。)であることが好ましい。
上記一般式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
前記Rで表される一価の置換基としては、以下に示す一価の非金属原子団であることが好ましい。
Rで表される一価の非金属原子団としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、フェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、パーフルオロアルキルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、エチロイル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、トルイル基、2−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基が好ましく、例えば、フェノキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2〜50のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基が好ましく、例えば、メチルチオカルボニル基、トリフルオロメチルチオカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基としては、炭素数7〜30のアリールチオカルボニル基が好ましく、例えば、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基としては、炭素数3〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
中でも、高感度化の点から、Rとしてはアシル基がより好ましく、具体的には、アセチル基、エチロイル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
前記Bで表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、又は、置換基を有してもよい複素環カルボニル基を表すことが好ましい。中でも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及びnは、それぞれ、後述する一般式(2)におけるY、X、及びnと同義であり、好ましい例も同様である。
前記Aで表される二価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキレン、置換基を有してもよいシクロヘキシレン、置換基を有してもよい炭素数2〜12のアルキニレンが挙げられる。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換された炭素数1〜4のアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換された炭素数1〜4のアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換された炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。
具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、等が挙げられる。中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
上記フェニル基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基、メトキシ基等のアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、フェニルチオ基、アリールチオ基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、メチル基等(炭素数1〜15)のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
一般式(1)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。
本発明におけるオキシムエステル化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。
一般式(2)におけるR、A、及びArは、前記一般式(1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
前記Xで表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアミノ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルオキシ基等がある。
置換基を有してもよいアルキルスルファニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルファニル基が好ましく、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、メトキシメチルスルファニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールスルファニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルファニル基が好ましく、例えば、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基、2−クロロフェニルスルファニル基、2−メチルフェニルスルファニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルファニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアミノ基としては、総炭素数0〜50のアミノ基が好ましく、例えば、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N、N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、モルホリノ基、3,5−ジメチルモルホリノ基、カルバゾール基等が挙げられる。
更に、前述した置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アミノ基等は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(2)におけるnは0〜5の整数を表すが、0〜2の整数が好ましい。
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、一般式(2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
本発明におけるオキシムエステル化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。
一般式(3)におけるR、X、A、Ar、及びnは、一般式(2)におけるR、X、A、Ar、及びnとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
以下、本発明におけるオキシムエステル化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記(A)樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)オキシムエステル化合物以外に、感度向上を目的として助剤を添加しても良い。
本発明の感放射線性樹脂組成物に用いられる助剤の例としては、芳香族メルカプト化合物が挙げられる。芳香族メルカプト化合物の例としては、ベンゼン環又は複素環を母核とし、メルカプト基を1つ又は2つ有する化合物等が挙げられる。前記メルカプト基を2つ有する場合には、一方のメルカプト基が、アルキル基、アラルキル基又はフェニル基により置換されていてもよく、また、アルキレン基を介在した二量体又はジスルフィドの形をとった二量体でもよい。
上記の中でも、芳香族メルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、及びN−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール等が好ましいものとして挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の感放射線性樹脂組成物に用いられる助剤の更なる例としては、チオキサントン化合物、クマリン化合物、ベンゾフェノン化合物、及びアクリドン化合物が挙げられる。
<助剤>
−チオキサントン化合物−
本明細書において、チオキサントン化合物とは置換基を有していても良いチオキサントンを意味する。
該置換基としては、例えば、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、及びフッ素原子、塩素原子又はヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。置換基の位置に特に制限はないが、好ましくは2−位及び/又は4−位である。
チオキサントン化合物としては、具体的には、チオキサントン;2−エチルチオキサントン、2−プロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−メチルエチルチオキサントンなどのアルキル置換チオキサントン;2−クロロチオキサントンなどのハロゲン化チオキサントンなどが挙げられる。
上記の中でも好ましくは、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、又は2−クロロチオキサントンが挙げられる。
−クマリン化合物−
クマリン化合物としては、下記一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物を挙げることができる。
一般式(I)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、N置換アミノアルキル基、ハロゲン原子、又は、アルコキシ基を表す。ここで、アルキル基及びアルコキシ基としては炭素数1〜4のものが好ましい。
一般式(II)中、Rは炭素数1〜7のアルキレン基を表し、好ましくは1〜4のアルキレン基を表す。R及びRは同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R又はRがアルキル基を表す場合、好ましくは1〜4のアルキル基を表す。
一般式(III)中、R及びRは同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜7(好ましくは1〜4)のアルキル基、又は、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
クマリン化合物の例としては、具体的には、7−{{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリン、7−{{4−メトキシ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリン、7−{{4−メトキシ−6−(ジエチルアミノプロピルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリン、N−(γ−ジメチルアミノプロピル)−N’−{3−フェニルクマリニル−(7)}ウレア、3−フェニル−7−(4’−メチル−5’−n−ブトキシ−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)クマリン等を挙げることができる。これらのなかでも、7−{{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリンが好ましい。
前記クマリン化合物としては、3−アリール置換クマリン化合物である下記の一般式(VIII)で示される化合物を挙げることができる。
一般式(VIII)中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を表し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基である。Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、下記一般式(VIIIA)で示される基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又は一般式(VIIIA)で示される基であり、特に好ましくは一般式(VIIIA)で示される基を表す。
10及びR11はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基、アミノ基、−N(R16)(R17)、又は、ハロゲン原子を表す。ここで、R16、及びR17はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基が挙げられる。炭素数1〜8のハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基などが挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が挙げられる。置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては例えば−Cl、−Br,−Fが挙げられる。なかでも、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、又は、−N(R16)(R17)、−Clである。
12は置換されてもよい炭素数6〜16のアリール基を表し、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、クミル基などが挙げられる。このアリール基に導入しうる置換基としては、アミノ基、−N(R16)(R17)、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えばクロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン(例えば−Cl、−Br,−F)が挙げられる。
13、及びR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)を表す。R13とR14は互いに結合し窒素原子とともに複素環(例えばピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピラゾール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環等)を形成してもよい。R16とR17は互いに結合し窒素原子とともに複素環(例えばピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピラゾール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環等)を形成してもよい。R15は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基)、アミノ基、N(R16)(R17)、ハロゲン(例えば−Cl、−Br,−F)を表す。
Zbは=O、=Sあるいは=C(R18)(R19)を表す。
18及びR19はそれぞれ独立に、シアノ基、−COOR20、−COR21を表す。R20及びR21はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えばクロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基)を表し、複素環、ベンゼン環であってもよい。
また、他のクマリン化合物の例として、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(IV)中、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、N置換アミノアルキル基、ハロゲン、アルキル基、もしくはアルコキシ基を表す。ここで、アルキル基及びアルコキシ基としては炭素数1〜4のものが好ましい。R及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、隣接するZと縮合環を構成することもできる。
Zは、好ましくは=O、=S、=C(CN)であり、特に好ましくは=Oである。 また、前記一般式(IV)で表される化合物に代表されるクマリン化合物の例としては、例えば、下記化合物1〜3や、林原生物化学研究所カタログによるNKX1316、1317、1767、1768、1320、1769、1319、1770、1771、846、3502、1619が挙げられ、市販品としても入手可能である。なかでも、NKX1767、1768、1619(商品名:林原生物化学研究所製)が好ましい。
上記化合物1において、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)を表す。
−ベンゾフェノン化合物−
ベンゾフェノン化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
−アクリドン化合物−
アクリドン化合物の例としては、特開2007−41082の[0032]〜[0042]に開示されている化合物が挙げられ、中でも特に好ましい化合物の例として、10−n−ブチル−2−クロロアクリドン(商品名:NBCA、黒金化成社製)が挙げられる。
本発明の感放射線性樹脂組成物における前記(C)成分の含有量は、感放射線性樹脂組成物の全固形分(感光性樹脂層の全固形分)に対して、0.5〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、光感度やスペーサー強度の低下を防止でき、スペーサーとして必要な変形回復性などの性能を向上させることができる。
前記助剤は前記(C)成分の含有量の範囲で用いることができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で上記助剤以外の他の光重合開始剤を含有することができる。他の光重合開始剤の例としては、アミノアセトフェノン系化合物、及びアシルフォスフィンオキサイド系化合物が挙げられる。
前記アミノアセトフェノン系化合物の具体例としては、IRGACURE(Irg)369やIRGACURE(Irg)379、及びIRGACURE(Irg)907等(全て商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、DAROCUR TPOや、Irgacure(Irg)819等(全て商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
<その他の成分>
本発明における感放射線性組成物は、前記(A)樹脂、(B)重合性不飽和化合物及び(C)オキシムエステル化合物を少なくとも含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分(微粒子等)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、公知の組成物を構成する成分から選択して用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分を挙げることができる。
−微粒子−
基板上への感光性樹脂層の形成を転写法で行う場合、感光性組成物は、微粒子を含有することが好ましい。
微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる点から、コロイダルシリカが好ましい。
前記微粒子の体積平均粒子径は、高い力学強度を有するスペーサーが得られる点で、5nm〜50nmであることが好ましく、10nm〜40nmであることがより好ましく、15nm〜30nmであることが特に好ましい。
前記微粒子の感光性樹脂層(即ちスペーサー)中における含有量は、高い力学強度を有するスペーサーを得る観点から、感光性樹脂層(スペーサー)中の全固形分(質量)に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
[露光工程、現像工程、及び加熱工程]
本発明のスペーサーの製造方法は、上記の層形成工程の後、基板上に形成された感光性樹脂層(被膜)の少なくとも一部に、放射線を露光する工程(露光工程)、露光後の感光性樹脂層を現像する工程(現像工程)、現像後の感光性樹脂層を加熱する工程(加熱工程)を含む。
本発明の製造方法により、基板変形回復率に優れたスペーサーを作製することができる。
基板上に形成された感光性樹脂層を露光及び現像してパターニングする工程を「パターニング工程」ということがある。
本発明でいう「放射線」の例としては、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、プロトンビーム線等が挙げられる。
−露光工程−
本発明における露光工程では、前記層形成工程で形成された感光性樹脂層(被膜)の少なくとも一部に、放射線を露光する。得られるスペーサーの形状と変形回復率の向上と基板との密着性の点で、また、露光機ミラーの寿命低下の抑制の点で、350nm未満の波長を実質的に含まない放射線が好ましい。
ここで、「350nm未満の波長を実質的に含まない」とは、350nm以上の波長の照射強度に対する照射強度比が0.1以下であることを意味する。即ち、後述の露光機ミラーの寿命に悪影響を与えることがない程度の照射強度を有する波長を含んでもよい。
前記感光性樹脂層の一部に露光する際には、所定のパターンマスクを介して露光する。本発明においては、高いエネルギーを有する350nm未満の短波長の放射線をカットすることにより、露光機に使用しているミラーの寿命低下を有効に抑制することができる。
前記露光に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用することができる。
光照射に用いる光源の例としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
波長が350nm未満の短波長を実質的に含まない放射線であれば特に限定されないが、190〜450nmの範囲にある放射線から350nm未満をカットしたものを用いることが好ましい。
前記放射線の露光量は、露光される放射線の波長(例えば、365nm)における強度を照度計(商品名:OAI model 356 、OAI Optical Associates Inc. 製)により測定した値として、通常、20〜50,000J/mであり、20〜1500J/mであることが好ましい。
前記放射線の350nm未満の波長をカットする手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、フィルターを用いる方法を採用することができる。
前記フィルターとしては、例えば、東芝ガラス(株)製紫外透過フィルター「UV−35」(商品名)を採用することができる。
−現像工程−
本発明における現像工程では、前記露光後の感光性樹脂層(被膜)を現像する。
現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液を用いてよいが、該希薄水溶液に更に、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。
前記現像の前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、感光性樹脂組成物層又は酸素遮断層の表面を均一に湿らせることが好ましい。
適当なアルカリ性物質の例としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。現像液中の、水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。更に、公知の界面活性剤を添加してもよく、現像液中の該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
前記現像液は、浴液として用いてもよく、あるいは噴霧液として用いてもよい。感光性樹脂組成物層の未硬化部分を除去する場合、感光性樹脂組成物層を、現像液中で回転ブラシ又は湿潤スポンジ等で擦るなどの方法を組合わせることができる。現像液の液温度は、通常室温(20℃)付近から40℃が好ましい。現像時間は、感光性樹脂組成物層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度、等に依るが、通常10秒〜2分程度である。短すぎると非硬化部(ネガ型の場合は非露光部)の現像が不充分となることがあり、長すぎると硬化部(ネガ型の場合は露光部)もエッチングされることがある。現像処理の後に水洗工程を入れることも可能である。この現像工程にてスペーサーは所望の形状に形成される。
−加熱工程−
本発明おける加熱工程では、前記現像工程によって得られた感光性樹脂層からなるパターン画像を加熱処理(ベーク処理ともいう)する。
加熱処理は、露光及び現像により形成されたパターン画像(例えば、スペーサーパターン)を加熱して硬化させるものである。これにより本発明のスペーサーを得ることができる。
加熱処理の方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、複数枚の基板をカセットに収納してコンベクションオーブンで処理する方法、ホットプレートで1枚ずつ処理する方法、赤外線ヒーターで処理する方法、等が挙げられる。
加熱工程における加熱温度は、通常150℃〜280℃であり、好ましくは180℃〜250℃である。加熱時間は、前記加熱温度によって変動するが、ベーク温度を240℃とした場合には、10分〜120分が好ましく、30分〜90分がより好ましい。
また、スペーサーの製造方法においては、前記露光及び現像工程によって形成されたスペーサーパターンを、不均一な膜減りを防止し、感光性樹脂層に含まれるUV吸収剤等の成分の析出を防止する観点から、加熱工程前にポスト露光してもよい。加熱処理を施す前にポスト露光を行なうと、ラミネート時に混入した微小な異物が膨れて欠陥となるのを効果的に防止することができる。
−ポスト露光−
ポスト露光に用いる光源としては、感光性樹脂層を硬化し得る波長領域の光(例えば、365nm、又は405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。
具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量は、前記露光を補う露光量であればよく、通常は50mJ/cm〜5000mJ/cmであり、好ましくは200mJ/cm〜2000mJ/cm、更に好ましくは500mJ/cm〜1000mJ/cmである。
本発明のスペーサーは、ブラックマトリクス等の黒色遮蔽部及び着色画素等の着色部を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記黒色遮蔽部及び着色部とスペーサーとは、感光性組成物を塗布する塗布法と感光性組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記黒色遮蔽部及び着色部並びに前記スペーサーはそれぞれ感光性組成物から形成できる。例えば、基板に液体の前記感光性組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光及び現像を行ない、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成し、その後、別の液体の前記感光性組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光及び現像を行うことによりスペーサーをパターン状に形成することができる。このようにして、スペーサーが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
<液晶表示装置用基板>
本発明において、液晶表示装置用基板は、前記本発明のスペーサーを備える。スペーサーは、支持体上に形成されたブラックマトリクス等の黒色遮光部の上、又はTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。また、ブラックマトリクス等の黒色遮光部又はTFT等の駆動素子と、スペーサーとの間にITO等の透明導電層(透明電極)又はポリイミド等の液晶配向膜が存在していてもよい。
例えば、スペーサーが黒色遮光部又は駆動素子の上に設けられる場合、該支持体に予め配設された黒色遮光部(ブラックマトリクスなど)又は駆動素子を覆うようにして、例えば、感光性転写材料の感光性樹脂層を支持体面にラミネートし、剥離転写して感光性樹脂層を形成した後、これに露光、現像、加熱処理等を施してスペーサーを形成することによって、液晶表示装置用基板を作製することができる。
また、上記と同様に、例えば、基板に液体の前記感光性組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光及び現像を行ない、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成し、その後、別の液体の前記感光性組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光及び現像を行うことによりスペーサーをパターン状に形成することができる。このようにして、スペーサーが設けられた液晶表示装置用基板を作製することができる。
液晶表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の3色等の着色画素が設けられてもよい。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は前記本発明のスペーサーを備えて構成される。
本発明においては、前記本発明のスペーサーを備える液晶表示装置用基板を設けて液晶表示素子を構成することができる。
液晶表示素子の1つの態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の液晶表示装置用基板を含む)と、この支持体間に、液晶層と液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む)とを少なくとも備えた素子が挙げられる。
この場合、本発明における液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されているカラーフィルタ基板として用いることができる。このカラーフィルタ基板には、弾性回復率及び加重変形量に優れた変形回復性の高いスペーサーが設けられているため、該カラーフィルタ基板を備えた液晶表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間のセルギャップ(セル厚)の変動に起因して液晶材料が偏在すること、低温発泡すること等による色ムラ等の表示ムラの発生が効果的に防止され得る。これにより、作製された液晶表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
また、液晶表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の液晶表示装置用基板を含む)と、この支持体間に、液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間が弾性回復率及び加重変形量に優れた変形回復性の高いスペーサーにより所定幅に規制された素子が挙げられる。この場合も、本発明の液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されたカラーフィルタ基板として用いることができる。
本発明において使用可能な液晶の例としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタ基板の前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリックスを形成してもよいし、逆にブラックマトリックスを形成した後に画素群を形成してもよい。RGB画素の形成については、特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
<液晶表示装置>
液晶表示装置は、前記液晶表示装置用基板を備える。また、液晶表示装置は、前記液晶表示素子を備える。すなわち、液晶表示装置は、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間を既述のように、本発明のスペーサーで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
液晶表示装置における液晶表示モードの例としては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。
中でも、液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2μm〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
液晶表示装置の構成態様の例としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられる。液晶表示装置は各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、工業調査会、1994年発行)」に記載されている。液晶表示装置には、本発明の液晶表示素子又は液晶表示装置用基板を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載されている。
液晶表示装置は、既述の液晶表示装置用基板又は液晶表示素子を備える以外は、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサー、視野角補償フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
(樹脂の合成)
(A)樹脂の例として既述した化合物P−4にスチレン由来の構造単位を加えた化合物P−4+Stの合成例を以下に示す。ただし、化合物P−4中のモノマー比は先に示されたものからは変更されている。
−合成例1−
反応容器中に1−メトキシ−2−プロパノール(商品名:MFG,日本乳化剤(株)製)7.48部をあらかじめ加え、90℃に昇温し、スチレン(St;w)3.1部、トリシクロペンテニルメタクリレート(日立化成工業(株)製のTCPD−M(商品名);x)4.28部、メタクリル酸(MAA;y)11.7部、アゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製、V−601(商品名))2.08部、及び1−メトキシ−2−プロパノール55.2部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.15部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.34部を加えた後、メタクリル酸グリシジル(GLM,東京化成工業(株)製)26.4部を2時間かけて滴下した(GLM−MAA;z)。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒1−メトキシ−2−プロピルアセテート(MMPGAc、ダイセル化学工業(株)製)を添加し、不飽和基を持つ化合物P−4+St((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た(x:y:z:St=30mol%:27mol%:37mol%:6mol%)。
ここで、GLM−MAAは、メタクリル酸にグリシジルメタクリレートが結合したものを示す(以下、同様である)。
なお、化合物P−4+スチレン化合物(化合物P−4+St)の分子量Mwは、重量平均分子量を示し、重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて行なった。
GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した(以下、同様である)。
以下、(A)樹脂の他の化合物として、既述の化合物P−4、P−3、P−53、P−57、P−25、及びP−18、並びにP−58を合成する合成例(合成例2〜合成例8)を示す。
−合成例2−
既述の化合物P−4の合成を以下のように行なった。ただし、化合物P−4中のモノマー比は先に示されたものからは変更されている。
合成例1において、スチレンを用いず、化合物P−4中のx:y:zが34mol%:27mol%:39mol%になるように、TCPD−M(x)、メタクリル酸(y)、及びGLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ化合物P−4((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;72.5mgKOH/g、Mw;22,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
−合成例3−
既述の化合物P−3の合成を以下のように行なった。ただし、化合物P−3中のモノマー比は先に示されたものからは変更されている。
合成例1において、スチレンを用いず、トリシクロペンテニルメタクリレートをメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA,東京化成工業(株)製)に変更して、化合物P−3中のx:y:zが32mol%:25mol%:43mol%になるように、メタクリル酸シクロヘキシル(x)、メタクリル酸(y)、及びGLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ化合物P−3((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;80.9mgKOH/g、Mw;21,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
−合成例4−
既述の化合物P−53の合成を以下のように行なった。ただし、化合物P−53中のモノマー比は先に示されたものからは変更されている。
合成例1において、スチレンを用いず、トリシクロペンテニルメタクリレートをジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成工業(株)製のファンクリルFA−512M(商品名))に変更し、化合物P−53中のx:y:zが46.2mol%:24.3mol%:29.5mol%になるように、FA−512M(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ化合物P−53((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;70.2mgKOH/g、Mw;30,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
−合成例5−
既述の化合物P−57の合成を以下のように行なった。
合成例1において、トリシクロペンテニルメタアクリレートをメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA,東京化成工業(株)製)に変更し、化合物P−57中のx:y:z:MMAが40.1mol%:26.6mol%:31.3mol%:2.0mol%になるように、メタクリル酸シクロヘキシル(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、及びメチルメタクリレート(MMA)の添加量を変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ化合物P−57((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;97.6mgKOH/g、Mw;31,300、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
−合成例6−
既述の化合物P−25の合成を以下のように行なった。
合成例1において、トリシクロペンテニルメタアクリレートをメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA,東京化成工業(株)製)に変更し、化合物P−25中のx:y:z:MMAが46.0mol%:20.0mol%:32.0mol%:2.0mol%になるように、メタクリル酸シクロヘキシル(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、及びメチルメタクリレート(MMA)の添加量を変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ化合物P−25((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;74.3mgKOH/g、Mw;33,600、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
−合成例7−
既述の化合物P−18の合成を以下のように行った。
合成例1において、スチレンを用いずに、トリシクロペンテニルメタアクリレートをメタクリル酸イソボルニル(IBXMA,共栄社化学(株)製)に変更し、化合物P−18中のx:y:zが40.0mol%:25.0mol%:35.0mol%になるように、メタクリル酸イソボルニル(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ化合物P−18((A)樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;70.2mgKOH/g、Mw;34,200、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た
−合成例8−
既述の化合物P−59の合成を以下のように行った。
合成例1において、モノマーとモノマーの添加量を、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPM)を20mol%、メタクリル酸を30mol%、GLM−MAAを30mol%、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを10mol%に変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、化合物P−59((A)樹脂)の樹脂溶液(Mw;39,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
−合成例9−
既述の化合物P−60の合成を以下のように行った。
合成例1において、モノマーとモノマーの添加量を、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPM)を20mol%、メタクリル酸を30mol%、OXE−30(大阪有機化学工業(株)製)を30mol%、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを10mol%に変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成し、化合物P−60((A)樹脂)の樹脂溶液(Mw;28,600、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
(オキシムエステル化合物の合成)
下記に、実施例及び比較例に用いるオキシム化合物(化合物1〜4)及び比較化合物(比較化合物1〜2)の詳細を示す。
−化合物1の合成−
まず、下記のスキームで、化合物Aを合成する。
N−エチルカルバゾール(100.0g、0.512mol)をクロロベンゼン260mlに溶解し、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(70.3g、0.527mol)を加える。続いて、o−トルイルクロリド(81.5g、0.527mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(75.1g、0.563mol)を加える。4−クロロブチリルクロリド(79.4g、0.563mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。35質量%塩酸水溶液156mlと蒸留水392mlとの混合溶液を0℃に冷却し、反応溶液を滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水とメタノールで洗浄し、アセトニトリルで再結晶後、下記構造の化合物A(収量164.4g、収率77%)を得た。
次に、化合物Aを用いて下記のスキームで化合物Bを合成する。
化合物A(20.0g、47.9mmol)をTHF64mlに溶解し、4−クロロベンゼンチオール(7.27g、50.2mmol)とヨウ化ナトリウム(0.7g、4.79mmol)を加える。続いて反応液に水酸化ナトリウム(2.0g、50.2mmol)を加え、2時間還流する。次に、0℃に冷却後、SM−28(11.1g、57.4mmol、日本触媒(株)製)を20分かけて滴下し、室温に昇温して2時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、亜硝酸イソペンチル(6.73g、57.4mmol)を20分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。反応液をアセトン120mlに希釈し、0℃に冷却した0.1N塩酸水溶液に滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水で洗浄した。続いて、アセトニトリルで再結晶し、下記構造の化合物B(収量17.0g、収率64%)を得た。
続いて、化合物Bを用いて下記のスキームで化合物1を合成する。
化合物B(18.0g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、下記構造の化合物1(収量19.5g、収率99%)を得た。
得られた化合物1の構造はNMRにて同定した。
H−NMR 400MHz CDCl):8.86(s,1H),8.60(s,1H),8.31(d,1H,J=8.0Hz),8.81(d,1H,J=8.0Hz),7.51−7.24(m.10H),7.36(q,2H,7.4Hz),3.24−3.13(m,4H),2.36(s,3H),2.21(s,3H),1.50(t,3H,7.4Hz).
−化合物1−1、化合物1−2の合成−
前記化合物1−1及び化合物1−2も、化合物1の合成と同様にして合成した。
−化合物2の合成−
下記構造のオキシム化合物C(17.3g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、化合物2(収量18.5g、収率99%)を得た。
得られた化合物2の構造はNMRにて同定した。
H−NMR 400MHz CDCl):8.86(s,1H),8.59(s,1H),8.33(d,1H,J=8.4Hz),8.07(d,1H,J=8.4Hz),7.50−7.26(m,8H),7.11(d,2H,J=9.2Hz),4.34(q,2H,J=7.4Hz),3.19−3.14(m,4H),2.37(s,3
H),2.31(s,3H),2.18(s,3H)、1.49(t,3H,J=7.4Hz)
−化合物3の合成−
下記構造のオキシム化合物D(17.7g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、化合物3(収量17.5g、収率92%)を得た。
得られた化合物3の構造はNMRにて同定した。
H−NMR 400MHz CDCl):8.05(d,1H,J=8.8Hz),7.78(d,1H,J=8.8Hz),7.47(d,1H,J=8.0Hz),7.42−7.26(m,10H),3.19−3.08(m,4H),2.35(s,
3H),2.17(s,3H)
−化合物3−1の合成−
前記化合物3−1も、化合物3の合成と同様にして合成した。
−化合物4の合成−
化合物4は、上記の化合物1〜化合物3の原料を化合物4に対応する原料に変更して、前記オキシムエステル化合物である化合物4を合成した。
[実施例1]
<カラーフィルタ基板の作製>
特開2005−3861号公報の段落番号[0084]〜[0095]に記載の方法により、ブラックマトリクス、R(赤色)画素、G(緑色)画素、B(青色)画素を有するカラーフィルタを作製した(以下、これをカラーフィルタ基板と称する)。ここで、カラーフィルタ基板のサイズは、400mm×300mmとした。
次いで、得られたカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
<フォトスペーサーの形成>
上記で作製したITO透明電極がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO透明電極上に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーターMH−1600(商品名;エフ・エー・エス・アジア社製)を用いて、下記表1に示す処方からなる感光性樹脂層用塗布液をスリット塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(商品名;東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、90℃のホットプレート上で3分間プリベークし、膜厚5.2μmの感光性樹脂層を形成した(層形成工程)。
続いて、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、直径15μmの円形パターンのマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと感光性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板と、を略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層の表面との間の距離を100μmとし、マスクを介して、東芝ガラス(株)製紫外透過フィルター「UV−35」(商品名)を透過させた紫外線を365nmにおける強度(露光量)が250W/mにて、10秒間、プロキシミティー露光した。
次に、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤を含有;商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて29℃で30秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、パターン像を形成した。引き続いて、洗浄剤(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤を含有;商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、円柱状のスペーサーパターンを300μm×300μmに1本のスペーサー間隔となるように形成した(パターニング工程)。
次に、スペーサーパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、220℃で60分間加熱処理を行なう(熱処理工程)ことにより、カラーフィルタ基板上にフォトスペーサーを作製した。
ここで、得られたフォトスペーサー1000個を、三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用いて、ガラス基板側から最も高いスペーサーの最も高い位置を測定(n=20)し、その平均値を高さ(平均高さ)とした。また、得られたフォトスペーサーの底面積の計測は、SEM写真を用いて行なった。その結果、フォトスペーサーは、直径15.1μm、平均高さ4.7μmの円柱形状であった。
<液晶表示装置の作製>
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、上記で得られたカラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた。その後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518(商品名)を貼り付けた。
次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(商品名;スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(商品名;スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(商品名;スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
[評価]
−変形回復率−
得られたフォトスペーサーに対して、微小硬度計(商品名:DUH−W201、(株)島津製作所製)により次のようにして測定を行ない、評価した。測定は、50μmφの円錘台圧子を採用し、最大荷重21mN、保持時間5秒として、負荷−除荷試験法により行なった。この測定値から下記式により変形回復率[%]を求め、下記評価基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行なった。
変形回復率(%)
=(荷重開放後の回復量[μm]/荷重時の変形量[μm])×100
〈評価基準〉
5:変形回復率が90%以上であった。
4:変形回復率が87%以上90%未満であった。
3:変形回復率が85%以上87%未満であった。
2:変形回復率が80%以上85%未満であった。
1:変形回復率が75%以上80%未満であった。
0:変形回復率が75%未満であった。
−感度1−
各実施例で用いた感光性樹脂層用塗布液に対して、露光量を種々変化させたときにスペーサーパターンを形成できるかできないかを上記現像条件同様に露光現像処理を行い、SEM観察し、パターン形成が可能な最小の露光量を感度として、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:露光量が60mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
B:露光量が60mJ/cm以上150mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
C:パターン形成に150mJ/cm以上300mJ/cm未満の露光量が必要であった。
D:パターン形成に300mJ/cm以上の露光量が必要であった。
−パターン密着性1−
得られたフォトスペーサー付基板を純水に浸漬し、30分間超音波をかけた後、ラビング用布を1kgfの力で10回擦りつけ、パターンがどれだけ基板上に残っているかを評価した。
〈評価基準〉
A:基板面内で、フォトスペーサーの脱落が0個であった。
B:基板面内で、フォトスペーサーの脱落が1個以上5個以下であった。
C:基板面内で、フォトスペーサーの脱落が6個以上10個以下であった。
D:基板面内で、フォトスペーサーの脱落が11個以上であった。
[実施例2〜18、比較例1〜2]
実施例1において、(A)樹脂及び光重合開始剤を表3に記載の化合物のように変更した以外は、実施例1と同様な方法で液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。得られたスペーサーは、全て、直径15.1μm、平均高さ4.7μmの円柱状であった。
[実施例19〜21]
実施例4において、表1記載のDPHA液を下記の液に変更した以外は、実施例4と同様な方法で液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例4と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。得られたスペーサーは、全て、直径15.1μm、平均高さ4.7μmの円柱状であった。
上記実施例、比較例で用いた樹脂等の成分比率(モル%)及び使用成分の略称を下に示す。
・P−61 x:y:z=72:28:0
・P−62 x:y:z=50:28:22
・P−63 x:y:z=30:25:45
・GLM:グリシジルメタクリレート
・OXE−30:大阪有機化学工業(株)のOXE−30
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
表3から明らかな通り、比較例に比べて、実施例の感放射線性樹脂組成物及びスペーサーは感度、変形回復率、及びパターン密着性のいずれの評価項目においても優れている。上記のごとく、本発明の組成物はスペーサーとして用いられたとき優れた性能を示す。
[実施例22〜28、比較例3〜4]
ガラス基板に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーターMH−1600(商品名;エフ・エー・エス・アジア社製)を用いて、下記表4処方((A)樹脂は固形で使用)からなる感光性樹脂層用塗布液をスリット塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(商品名;東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、90℃のホットプレート上で3分間プリベークし、膜厚3.0μmの感光性樹脂層を形成した。
〜感度2〜
現像条件を下記に固定し、20μm角の正方形ドットパターンに露光した場合にドットパターンが残る最低露光量を、i−線ステッパー(キャノン社製 FPA−3000i5+)を用いて、調べた。下記評価基準に従って評価した。
現像条件:
KOH系現像液(商品名:CD−K1(富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)を純水で1%に希釈したもの)を用いて25℃で40秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、引き続き20秒間純水で洗浄したパターン像を形成した。
〈評価基準〉
1:最低露光量が10mJ/cm未満。
2:最低露光量が10mJ/cm以上20mJ/cm未満。
3:最低露光量が20mJ/cm以上30mJ/cm未満。
4:最低露光量が30mJ/cm以上60mJ/cm未満。
5:最低露光量が60mJ/cm以上。
−パターン密着性2−
最低露光量の1.4倍の露光量で露光したこと、マスクを200μm×200μmの面積あたりに20μm角の正方形ドットパターンが1個の割合で形成できるものに変更したこと以外は、感度2評価と同様にパターンを形成した。
さらに230℃で60分間加熱処理を行なうことにより、多数のドットパターンが形成された基板を得た。
得られたドットパターン付基板を0.4%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)溶液に浸漬し、30分間超音波をかけた後、任意の10cm×10cm部分にラビング用布を1.2kgfの力で12回擦りつけ、パターンがどれだけ残っているかを評価した。
〈評価基準〉
1:10cm四方で、ドットパターンの脱落が0個であった。
2:10cm四方で、ドットパターンの脱落が1個以上5個以下であった。
3:10cm四方で、ドットパターンの脱落が6個以上であった。

上記表4から明らかな通り、本発明の組成物は、極めて高感度であることがわかる。
また、本発明の組成物を用いると、極めて密着性に優れたパターンを形成することができることが分かる。これは、特に、組成物中に含有される一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の構造により、露光波長とのマッチングが良好になったためと考えられる。
本発明の組成物は、スペーサーだけでなく、保護膜、平坦化膜などにも有用である。

Claims (21)

  1. (A)酸性基を有する樹脂、(B)重合性不飽和化合物、並びに(C)下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を含有するスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。


    〔一般式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。〕
  2. 前記(C)オキシムエステル化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。

    〔一般式(2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYはそれぞれ独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。〕
  3. 前記(C)オキシムエステル化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項2に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。

    〔上記一般式(3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。〕
  4. 前記酸性基がカルボキシル基及びフェノール性水酸基から選択される少なくとも1つである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  5. 前記(A)樹脂がさらに、架橋性基を有する樹脂である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  6. 前記架橋性基がエポキシ基及びオキセタニル基から選択される少なくとも1つである請求項5に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  7. 前記架橋性基がエチレン性不飽和基である請求項5又は請求項6に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  8. 前記(A)樹脂がさらに、脂環構造を有する樹脂である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  9. 前記(A)樹脂の脂環構造が、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、シクロヘキシル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、及びイソボルニル基から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  10. 前記脂環構造が、下記一般式(4)で表される単量体から誘導される構造である請求項9に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。

    〔一般式(4)中、Xは二価の有機連結基を表し、yは1又は2を表し、nは0〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。〕
  11. 前記一般式(4)中のXで表される二価の有機連結基が、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ以上又はそれらの組み合わせである請求項10に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  12. 前記脂環構造が、下記一般式(5)で表される単量体から誘導される構造である請求項9に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。

    〔一般式(5)中、Xは二価の有機連結基を表し、yは1又は2を表し、nは0〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。〕
  13. 前記一般式(5)中のXで表される前記二価の有機連結基が、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ以上又はそれらの組み合わせである請求項12に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  14. 前記(A)樹脂がさらに分岐構造を有する樹脂である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  15. 前記分岐構造が炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基を有する請求項14に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  16. 前記(A)樹脂が、スチレン由来の構造単位をさらに含む、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  17. 前記(A)樹脂における、前記分岐構造及び/又は脂環構造の組成比(x)が10〜70モル%であって、前記酸性基の組成比(y)が5〜70モル%であって、前記架橋性基の組成比(z)が10〜70モル%である、請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  18. 前記(B)重合性不飽和化合物の前記(A)樹脂に対する質量比[(B)/(A)比]が0.5〜2.5である請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物。
  19. 請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサー。
  20. 請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載のスペーサー形成用感放射線性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、該感光性樹脂層の少なくとも一部に、放射線を露光する工程と、露光後の感光性樹脂層を現像する工程と、現像後の感光性樹脂層を加熱する工程と、を含むスペーサーの製造方法。
  21. 請求項19に記載のスペーサーを備えた液晶表示素子。
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