ところで、従来の空調機の室内ユニットでは、塵埃貯留部内の塵埃量が一定のレベルに達しているか否かを検知する塵埃検知部が1つしか設けられていない。このため、塵埃検知部が故障すると、塵埃貯留部内の塵埃量が一定のレベルに達しているか否かを検知することができなくなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアフィルタから除去した塵埃を貯留する塵埃貯留部を有する空調機の室内ユニットにおいて、塵埃貯留部内の塵埃量を検知する機能の信頼性を向上させることにある。
第1の発明は、吸込口(13)と吹出口(14)とが形成されたケーシングと、上記吸込口(13)から吸い込んだ空気を吹出口(14)へ送る室内ファン(21)と、上記吸込口(13)から吸い込んだ空気に含まれる塵埃を捕捉するエアフィルタ(30)とを備え、上記吸込口(13)から吸い込んだ空気を空気調和して上記吹出口(14)から室内空間へ吹き出す空調機の室内ユニットを対象とする。そして、この室内ユニットは、上記エアフィルタ(30)に捕捉された塵埃を該エアフィルタ(30)から除去する塵埃除去部と、上記エアフィルタ(30)から除去された塵埃が貯留される塵埃貯留部(60,90)と、上記塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量が一定のレベルに達している塵埃到達状態になっているか否かをそれぞれが個別に検知する第1塵埃検知部(36,37)及び第2塵埃検知部(38,71)とを備えている。
第1の発明では、第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)のそれぞれが、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量が一定のレベルに達している塵埃到達状態になっているか否かを個別に検知する。このため、第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)の一方が故障しても、他方で塵埃到達状態になっているか否かが検知される。この第1の発明では、塵埃検知部(36,37,38,71)が1つ故障しても塵埃到達状態になっているか否かを検知する機能が失われないように、塵埃検知部(36,37,38,71)が少なくとも2つ設けられている。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1塵埃検知部(36,37)が、上記塵埃貯留部(60,90)から塵埃を除去してからの上記室内ファン(21)又は上記空調機の運転積算時間を計測する計測タイマ(37)を備え、該計測タイマ(37)の計測時間に基づいて上記塵埃到達状態になっているか否かを検知し、上記第2塵埃検知部(38,71)が、上記塵埃貯留部(60,90)に塵埃が所定の高さまで貯まっているか否かを検知するための検知センサ(71)を備え、該検知センサ(71)の出力によって上記塵埃到達状態になっているか否かを検知する。
第2の発明では、第1塵埃検知部(36,37)が、計測タイマ(37)の計測時間に基づいて塵埃到達状態になっているか否かを検知する。一方、第2塵埃検知部(38,71)は、検知センサ(71)の出力によって塵埃到達状態になっているか否かを検知する。この第2の発明では、計測タイマ(37)を用いる第1塵埃検知部(36,37)と検知センサ(71)を用いる第2塵埃検知部(38,71)の2種類の塵埃検知部(36,37,38,71)が設けられている。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記第1塵埃検知部(36,37)が、上記計測タイマ(37)の計測時間又は該計測時間から演算した時間が所定の基準時間に達した場合に上記塵埃到達状態になっていると検知する一方、上記第1塵埃検知部(36,37)では、上記第1塵埃検知部(36,37)では、上記塵埃到達状態になっていることを上記第2塵埃検知部(38,71)が検知する前に第1塵埃検知部(36,37)が検知した場合には上記基準時間が長い時間に変更され、該塵埃到達状態になっていることを第1塵埃検知部(36,37)が検知する前に第2塵埃検知部(38,71)が検知した場合には上記基準時間が短い時間に変更される。
第3の発明では、空気中に含まれる塵埃量が比較的少ない室内空間に対して室内ユニット(1)が設置された場合に、塵埃貯留部(60,90)に塵埃が貯まるペースが比較的遅くなる。このため、検知センサ(71)の出力によって塵埃到達状態になっていることが検知される高さまで塵埃が貯まるのに要する時間が比較的長くなる。つまり、塵埃到達状態になっていることを第2塵埃検知部(38,71)が検知するまでの時間が比較的長くなる。一方、空気中に含まれる塵埃量が比較的多い室内空間に対して室内ユニット(1)が設置された場合には、塵埃貯留部(60,90)に塵埃が貯まるペースが比較的速くなる。このため、塵埃到達状態になっていることを第2塵埃検知部(38,71)が検知するまでの時間が比較的長くなる。このように、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間は、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて変化する。そして、この第3の発明では、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知する前に、第1塵埃検知部(36,37)が塵埃到達状態になっていることを検知した場合には、基準時間が長い時間に変更される。一方、第1塵埃検知部(36,37)が塵埃到達状態になっていることを検知する前に、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知した場合には、基準時間が短い時間に変更される。つまり、基準時間は、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間に応じて変更される。従って、基準時間が室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節される。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記第1塵埃検知部(36,37)には、上記基準時間の上限時間及び下限時間の少なくとも一方が設定されている。
第4の発明では、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間に応じて変更される基準時間に対して、上限時間及び下限時間の少なくとも一方が設定されている。このため、基準時間の上限時間が設定されている場合には、検知センサ(71)の誤検知等により第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間が極端に長くなる場合に、基準時間が極端に長くなることが防止される。また、基準時間の下限時間が設定されている場合には、検知センサ(71)の誤検知等により第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間が極端に短くなる場合に、基準時間が極端に短くなることが防止される。この第4の発明では、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて基準時間を調節する機能を設けることによって、かえって基準時間が極端に長い時間や短い時間に設定されることが防止される。
第5の発明は、上記第3又は第4の発明において、上記塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去が必要であることを知らせるための掃除サインを出力する掃除サイン出力部(33,48)を備え、上記掃除サイン出力部(33,48)では、上記第2塵埃検知部(38,71)が上記塵埃到達状態になっていることを検知した場合に第1の掃除サインが出力され、更に該塵埃到達状態が継続している場合には、該第1の掃除サインの出力時点からの上記室内ファン(21)又は上記空調機の運転積算時間又は該運転積算時間から演算した時間が、上記基準時間から演算した判定時間に達した場合に、第2の掃除サインが出力される。
第5の発明では、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知した場合に、掃除サイン出力部(33,48)から第1の掃除サインが出力される。そして、塵埃到達状態が継続している場合には、第1の掃除サインの出力からの室内ファン(21)又は空調機の運転積算時間、又は該運転積算時間から演算した時間が判定時間に達した場合に、掃除サイン出力部(33,48)から第2の掃除サインが出力される。判定時間は基準時間から演算した時間である。また、上述したように、基準時間は室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節される。従って、基準時間の調節に伴って、判定時間も室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節される。
第6の発明は、上記第2乃至第4の何れか1つの発明において、上記塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去が必要であることを知らせるための掃除サインを出力する掃除サイン出力部(33,48)を備え、上記掃除サイン出力部(33,48)では、上記第1塵埃検知部(36,37)が上記塵埃到達状態になっていることを検知した場合と、上記第2塵埃検知部(38,71)が上記塵埃到達状態になっていることを検知した場合とで、異なる掃除サインが出力される。
第6の発明では、第1塵埃検知部(36,37)が塵埃到達状態になっていることを検知した場合と、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知した場合とに、掃除サインが出力される。前者の場合と後者の場合とでは、異なる掃除サインが出力される。このため、検知センサ(71)の出力に基づく掃除サインであるか、計測タイマ(37)の計測時間に基づく掃除サインであるかが識別される。
第7の発明は、上記第2乃至第6の何れか1つの発明において、上記塵埃貯留部(60,90)が、互いに接続された第1容器(60)及び第2容器(90)を備え、該塵埃貯留部(60,90)では、上記塵埃除去部(40,50)によって上記エアフィルタ(30)から除去された塵埃が上記第1容器(60)を通って第2容器(90)へ送られる一方、上記第2塵埃検知部(38,71)は、上記検知センサ(71)の出力によって上記第1容器(60)に所定の高さまで塵埃が貯まっているか否かを検知する。
第7の発明では、塵埃除去部(40,50)が除去した塵埃が、第1容器(60)を通って第2容器(90)へ送られる。このため、第2容器(90)が満杯になると、第1容器(60)から第2容器(90)へ送ることができなくなる。そして、第1容器(60)に塵埃が貯まってゆく。この第7の発明では、塵埃を送る際に上流側となる第1容器(60)に対して検知センサ(71)が設けられいる。第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知すると、第2容器(90)が一杯になって第1容器(60)に塵埃が所定の高さまで貯まっている状態になっている。つまり、第1容器(60)及び第2容器(90)からなる塵埃貯留部(60,90)がほぼ一杯の状態になっている。
本発明では、塵埃到達状態になっているか否かを個別に検知する塵埃検知部(36,37,38,71)を少なくとも2つ有しているので、塵埃検知部(36,37,38,71)が1つ故障しても塵埃到達状態になっているか否かを検知することが可能である。従って、塵埃検知部が1つだけの場合に比べて、塵埃到達状態になっているか否かを検知する機能が失われる状態に陥りにくいので、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量を検知する機能の信頼性を向上させることができる。
また、上記第2の発明では、計測タイマ(37)を用いる第1塵埃検知部(36,37)と検知センサ(71)を用いる第2塵埃検知部(38,71)の2種類の塵埃検知部(36,37,38,71)が設けられている。ここで、検知センサ(71)と計測タイマ(37)とでは構成が異なるので、寿命や耐久性が異なる。従って、第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)が近い時期に故障する可能性が低く、第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)の両方が機能しなくなる状態に陥りにくい。このため、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量を検知する機能の信頼性をさらに向上させることができる。
また、上記第3の発明では、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間に応じて基準時間を変更することで、基準時間が室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節されるようにしている。従って、第1塵埃検知部(36,37)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間が、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて変化するので、第1塵埃検知部(36,37)で塵埃到達状態になっているか否かを正確に検知することが可能になる。
また、上記第4の発明では、基準時間の上限時間及び下限時間の少なくとも一方が設定されているので、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて基準時間を調節する機能を設けることによって、かえって基準時間が極端に長い時間や短い時間に変更されることが防止される。従って、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて基準時間を調節する機能を設けることによって、かえって第1塵埃検知部(36,37)による検知結果の正確性が損なわれることを防止することができる。
また、上記第5の発明では、第2の掃除サインを出力するか否かを判定するための判定時間が、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節されるようにしている。従って、第2の掃除サインを出力するか否かが、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じた調節された判定時間に基づいて判定されるので、第2の掃除サインを適切なタイミングで出力することができる。
また、上記第6の発明では、検知センサ(71)の出力に基づく掃除サインであるか、計測タイマ(37)の計測時間に基づく掃除サインであるかが識別されるようにしている。このため、使用者は、検知センサ(71)の出力に基づく掃除サインであるか、計測タイマ(37)の計測時間に基づく掃除サインであるかを認識した上で、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃の除去を行うか否かを判断することができる。
また、上記第7の発明では、塵埃を送る際に上流側となる第1容器(60)に対して検知センサ(71)を設けることで、第1容器(60)及び第2容器(90)からなる塵埃貯留部(60,90)がほぼ一杯になっているか否かが検知される。従って、塵埃貯留部(60,90)に塵埃が貯まり過ぎることを防ぎつつ、塵埃貯留部(60,90)の容量を最大限生かして、塵埃貯留部(60,90)に多くの塵埃を貯留することが可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、本発明に係る空調機の室内ユニット(1)である。この室内ユニット(1)は、室内空間の天井に設置される天井設置型の室内ユニットである。この室内ユニット(1)には、エアフィルタ(30)の清掃を自動的に行う、いわゆるお掃除機能が設けられている。なお、空調機は、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路を備え、空調運転として冷房運転と暖房運転を実行可能に構成されている。室内ユニット(1)には、冷媒回路に接続された構成機器のうち室内熱交換器(22)が設けられている。
図1及び図2に示すように、室内ユニット(1)は、略直方体の箱状の本体ケーシング(10)と、矩形板状の化粧パネル(11)とからなるケーシング(20)を備えている。本体ケーシング(10)は天井裏に設置される。本体ケーシング(10)は、上側ケーシング(10a)と、上側ケーシング(10a)の下部に取り付けられる下側ケーシング(10b)とを備えている。上側ケーシング(10a)の内面には、断熱材(17)が積層されている。
化粧パネル(11)には、吸込口(13)と吹出口(14)とが形成されている。吸込口(13)は、化粧パネル(11)の吸込グリル(12)の中央部に形成されている。吸込口(13)は、複数のスリットから構成され、全体として略正方形状に形成されている。
吹出口(14)は、吸込グリル(12)と、化粧パネル(11)の外周部分との間に形成されている。吹出口(14)は、化粧パネル(11)の外周の全周囲に沿って形成されている。この室内ユニット(1)では、吹出口(14)が、化粧パネル(11)の外周の各辺に沿う部分だけでなく各コーナー部にも形成されている。また、吸込グリル(12)には、後述する塵埃貯留部(60,90)から塵埃を除去するための挿入口(18)が形成されている。
化粧パネル(11)は、本体ケーシング(10)の下側を覆うように本体ケーシング(10)に取り付けられる。この状態では、化粧パネル(11)の前面(下面)が室内空間に露出すると共に、化粧パネル(11)の背面(上面)の外周部分が天井板(16)に当接する。
化粧パネル(11)の各コーナー部は、図3に示すように、コーナーパネル(45)により構成されている。各コーナーパネル(45)は、化粧パネル(11)の本体に対して取り外し可能になっている。4つのコーナーパネル(45)のうちの1つには、後述する制御部(35)の制御によって点灯する点灯部(33)が取り付けられている。点灯部(33)は、3つのLED(発光ダイオード)からなる発光部と、透明アクリル樹脂製の光拡散部とを備えている。発光部は、2つの緑色LEDと1つの赤色LEDから構成されている。また、点灯部(33)は、その一端面が室内空間に露出する露出部になっている。点灯部(33)では、発光部が発光すると、発光部からの光が光拡散部へ入射して、その入射した光が光拡散部の露出部から出射される。
上側ケーシング(10a)の内部には、室内熱交換器(22)、ドレンパン(23)、及び室内ファン(21)が設けられている。また、図4に示すように、下側ケーシング(10b)の内部には、エアフィルタ(30)、フィルタ駆動部(40)、ブラシユニット(50)、塵埃捕集容器(60)、及び塵埃貯留容器(90)が設けられている。フィルタ駆動部(40)及びブラシユニット(50)は塵埃除去部(40,50)を構成している。塵埃捕集容器(60)及び塵埃貯留容器(90)は塵埃貯留部(60,90)を構成している。塵埃貯留部(60,90)では、塵埃捕集容器(60)が第1容器になり、塵埃貯留容器(90)が第2容器になる。
室内ファン(21)は、いわゆるターボファンである。室内ファン(21)は、上側ケーシング(10a)の真ん中付近に配置されている。室内ファン(21)は、ファンモータ(21a)と羽根車(21b)とを備えている。ファンモータ(21a)は、上側ケーシング(10a)の天板に固定されている。羽根車(21b)は、ファンモータ(21a)の回転軸に連結されている。室内ファン(21)の下側には、吸込口(13)に連通するベルマウス(24)が設けられている。室内ファン(21)は、ベルマウス(24)を介して下側から吸い込んだ空気を周方向へ吹き出すように構成されている。
室内熱交換器(22)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。室内熱交換器(22)は、平面視でロ字状に形成され、室内ファン(21)の周囲を囲うように配置されている。室内熱交換器(22)では、室内ファン(21)によって送られる室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。
ドレンパン(23)は、室内熱交換器(22)の下側に設けられている。ドレンパン(23)は、室内熱交換器(22)において空気中の水分が凝縮して生じるドレン水を受けるためのものである。ドレンパン(23)には、ドレン水を排水するためのドレンポンプが設けられている(図示省略)。
エアフィルタ(30)は、吸込口(13)からベルマウス(24)へ向かう空気中の塵埃を捕捉するためのものである。エアフィルタ(30)は円板状に形成されている。エアフィルタ(30)は、下側ケーシング(10b)の上端部の仕切板(25)に形成された円形の通気口を覆うように取り付けられている。エアフィルタ(30)は、仕切板(25)の通気口を4分割するリブ(図示省略)の中心に、回転自在に取り付けられている。エアフィルタ(30)の外周面には、フィルタ側ギア部が形成されている(図示省略)。
フィルタ駆動部(40)は、モータと、モータによって回転するモータ側ギア部とを備えている。フィルタ駆動部(40)は、モータ側ギア部がフィルタ側ギア部と噛み合うように、エアフィルタ(30)の外側に設けられている。フィルタ駆動部(40)は、後述するブラシユニット(50)によってエアフィルタ(30)から塵埃を除去する清掃運転の際に、モータの回転によってエアフィルタ(30)を回転させる。
ブラシユニット(50)は、エアフィルタ(30)に捕捉された塵埃を除去するためのものである。ブラシユニット(50)は、後述する塵埃捕集容器(60)に取り付けられている。ブラシユニット(50)は、エアフィルタ(30)に接触する回転ブラシ(51)と、回転ブラシ(51)を回転させるブラシ駆動部(53)とを備えている。ブラシユニット(50)では、上記清掃運転の際に、ブラシ駆動部(53)が回転ブラシ(51)を回転させる。
塵埃捕集容器(60)は、図5に示すように、上側部分がブラシユニット(50)を収納する収納部(61)になり、下側部分がエアフィルタ(30)から除去された塵埃が溜まる貯留部(62)となっている。貯留部(62)では、後述する発光LED(72)とフォトトランジスタ(73)に対面する部分に、透明の部材により構成された第1窓部(64)及び第2窓部(65)が設けられている。貯留部(62)には、回転ブラシ(51)によってエアフィルタ(30)から掻き落とされた塵埃や、収納部(61)に設けられた清掃用ブラシ(52)によって回転ブラシ(51)から掻き落とされた塵埃が溜まってゆく。
塵埃捕集容器(60)には、内部に第1室と第2室とが形成されたダンパボックス(81)が接続されている。ダンパボックス(81)には、第1室と第2室との間の連通口を開閉するダンパ(82)が設けられている。第1室の上面には、ベルマウス(24)の上側に開口する導入用ダクト(86)が接続されている。ダンパ(82)を開状態に設定した状態で室内ファン(21)を運転させると、室内ファン(21)の吹出空気が導入用ダクト(86)及びダンパボックス(81)を通じて塵埃捕集容器(60)に流入するので、塵埃捕集容器(60)内の塵埃が塵埃貯留容器(90)へ搬送される。なお、ダンパ(82)は、空調運転中は開状態に設定される。
また、ダンパボックス(81)の第2室の下面には、挿入口(18)に連通する吸引用ダクト(87)が接続されている。挿入口(18)に掃除機の塵埃吸入口を接続して掃除機を運転させると、塵埃貯留容器(90)及び塵埃捕集容器(60)の塵埃が掃除機によって吸引される。
塵埃貯留容器(90)は、エアフィルタ(30)の下側に配置され、搬送用ダクト(88)を介して塵埃捕集容器(60)に接続されている。塵埃貯留容器(90)には、排気口(91)が形成されている。排気口(91)には、フィルタ(92)が取り付けられている。排気口(91)は、下側ケーシング(10b)の排気通路(19)を通じて、ケーシング(20)の外部に連通している。
本実施形態では、図5に示すように、塵埃捕集容器(60)に対して、塵埃捕集容器(60)における塵埃の貯留量を検知するための検知センサ(71)が設けられている。検知センサ(71)は光センサにより構成されている。検知センサ(71)は、塵埃捕集容器(60)の貯留部(62)に取り付けられたセンサボックス(70)に収容されている。
検知センサ(71)は、同じ高さに設置された一対の発光LED(72)及びフォトトランジスタ(73)を備えている。発光LED(72)及びフォトトランジスタ(73)は、貯留部(62)の真ん中の高さよりも少し下の高さに設けられている。検知センサ(71)では、発光LED(72)が発した光が、第1窓部(64)と第2窓部(65)を順番に透過し、その透過した光の光度がフォトトランジスタ(73)により検出される。フォトトランジスタ(73)で検出された検出光度は、後述する制御部(35)へ出力される。検知センサ(71)によれば、検出光度が後述する判定光度以下になる場合に、塵埃捕集容器(60)に検知センサ(71)の高さまで塵埃が貯まっていることが検知される。
−制御部の構成−
本実施形態の室内ユニット(1)には、空調運転及び清掃運転を制御する制御部(35)が設けられている。制御部(35)は、下側ケーシング(10b)が収容された制御ボックス(32)内の制御基板(31)に設けられている。
また、室内ユニット(1)には、塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去が必要であることを知らせるための掃除サインを出力する掃除サイン出力部(33,48)が設けられている。掃除サイン出力部(33,48)は、化粧パネル(11)の点灯部(33)と、使用者が電源のオン/オフ等を入力するリモコン(48)とから構成されている。掃除サイン出力部(33,48)の制御は、制御部(35)によって行われる。
また、リモコン(48)には、図6に示すように、設定温度等を表示する液晶表示部(34)と、禁止解除入力部を構成するリセットボタン(55)と、LEDにより構成されたリモコン点灯部(56)とが設けられている。なお、リセットボタン(55)は、制御部(35)を構成する制御基板(31)にも設けられている。
制御部(35)は、掃除サインを出力するか否かを判断して、掃除サインを出力すると判断した場合には掃除サイン出力部(33,48)に掃除サインを出力させるように構成されている。制御部(35)は、図6に示すように、計測タイマ(37)と第1出力判定部(36)と第2出力判定部(38)と出力指示部(39)とを備えている。第1出力判定部(36)と計測タイマ(37)とは、第1塵埃検知部(36,37)を構成している。また、第2出力判定部(38)と検知センサ(71)とは、第2塵埃検知部(38,71)を構成している。第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)は、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量が一定のレベルに達している塵埃到達状態になっているか否かをそれぞれが個別に検知する。
なお、この室内ユニット(1)は、注意サイン、警告サイン、第1異常サイン、及び第2異常サインの4種類の掃除サインを出力可能に構成されいる。警告サインは第1の掃除サインに相当する。また、第1異常サインは第2の掃除サインに相当する。
計測タイマ(37)は、室内ファン(21)の運転積算時間を計測するように構成されている。計測タイマ(37)は、フォトトランジスタ(73)で検出された検出光度が後述する判定光度以下の状態から判定光度を上回る状態に変化したことが検知されると、塵埃貯留部(60,90)内から塵埃が除去されたものとして、リセットされる。また、計測タイマ(37)は、検出光度が判定光度を上回る状態でリセットボタン(55)の入力があった場合にもリセットされる。計測タイマ(37)では、塵埃貯留部(60,90)から塵埃を除去してからの室内ファン(21)の運転積算時間(但し、室内ユニット(1)の設置直後の場合は、その設置直後からの室内ファン(21)の運転積算時間)である第1積算時間が計測される。
第1出力判定部(36)は、計測タイマ(37)の計測時間(第1積算時間)に基づいて注意サインを出力するか否かを判断するように構成されている。第1出力判定部(36)には、注意サインを出力するか否かを判断するための基準時間Tsdの初期値(例えば8760時間=1年)が予め設定されている。第1出力判定部(36)は、計測タイマ(37)の計測時間が基準時間Tsdに達すると、注意サインを出力することを決定する。
第2出力判定部(38)は、フォトトランジスタ(73)の検出光度に基づいて警告サインを出力するか否かを判断するように構成されている。第2出力判定部(38)には、警告サインを出力するか否かを判断するための判定光度が予め設定されている。第2出力判定部(38)は、上記検出光度が判定光度以下になると、警告サインを出力することを決定する。なお、第2出力判定部(38)は、後述する塵埃搬送動作が終了する度にフォトトランジスタ(73)の検出光度を読み取り、警告サインの出力後は一定の周期でフォトトランジスタ(73)の検出光度を読み取りにゆく。
また、本実施形態の制御部(35)は、塵埃貯留容器(90)が満杯になる前にフォトトランジスタ(73)からの検出光度が判定光度以下にならないように、ダンパ(82)を開状態にして室内ファン(21)を運転させることによって塵埃捕集容器(60)内の塵埃を塵埃貯留容器(90)へ搬送する塵埃搬送動作を行うように構成されている。具体的には、制御部(35)は、清掃運転の終了後に毎回塵埃搬送動作を実行する。このため、第2出力判定部(38)が警告サインを出力することを決定した段階では、搬送用ダクト(88)が詰まっていなければ塵埃貯留容器(90)が満杯になっており、塵埃捕集容器(60)に溜まった塵埃を塵埃貯留容器(90)へ搬送することができない状態になっている。この実施形態では、警告サインの段階の塵埃の貯留量が第1レベルとなっている。第1レベルは、塵埃捕集容器(60)が満杯になるまだ余裕がある貯留量である。
また、第2出力判定部(38)は、第1異常サインを出力するか否かも判断するように構成されている。第2出力判定部(38)は、上記第1レベルに達していると判断した時点からの室内ファン(21)の運転積算時間である第2積算時間に基づいて、第1異常サインを出力するか否かを判断する。具体的に、第2出力判定部(38)は、第1レベルに達していると判断した時点の計測タイマ(37)の計測時間を記憶する。そして、第2出力判定部(38)は、現在の計測タイマ(37)の計測時間と記憶した時間との差から第2積算時間を算出し、その第2積算時間が所定の第1判定時間T1に達すると、第1異常サインを出力することを決定する。なお、第1判定時間T1は、以下に示す式1によって算出される。下記の式1において、Aは所定の第1係数(例えばA=0.04)を表している。
式1:T1=Tsd×A
この実施形態では、第1異常サインの段階の塵埃の貯留量が、図7に示すように、第1レベルよりも多い塵埃量の第2レベルとなっている。第2レベルは、塵埃捕集容器(60)がほぼ満杯になっている状態で、ブラシユニット(50)等が故障には至らないがブラシユニット(50)等の機能が低下し始める状態を想定している。第2レベルに達した後は、塵埃捕集容器(60)から塵埃が室内空間へ落下したり、清掃運転を行ってもエアフィルタ(30)に塵埃の取れ残りが生ずるおそれがある。
また、第2出力判定部(38)は、第2異常サインを出力するか否かも判断するように構成されている。第2出力判定部(38)は、上記第2レベルに達していると判断した時点からの室内ファン(21)の運転積算時間である第3積算時間に基づいて、第2異常サインを出力するか否かを判断する。具体的に、第2出力判定部(38)は、第2レベルに達していると判断した時点の計測タイマ(37)の計測時間を記憶する。そして、第2出力判定部(38)は、現在の計測タイマ(37)の計測時間と記憶した時間との差から第3積算時間を算出し、その第3積算時間が所定の第2判定時間T2に達すると、第2異常サインを出力することを決定する。なお、第2判定時間T2は、以下に示す式2によって算出される。下記の式2において、Bは所定の第2係数(例えばB=0.04)を表している。第2係数は第1係数と同じ値である。
式2:T2=Tsd×B
この実施形態では、第2異常サインの段階の塵埃の貯留量が、第2レベルよりも多い塵埃量の第3レベルとなっている。第3レベルは、ブラシユニット(50)等が故障に至るほど塵埃捕集容器(60)に塵埃が貯まっている状態を想定している。第3レベルに達した後は、ブラシユニット(50)が回転しない事態や、塵埃捕集容器(60)から塵埃が落下する事態や、掃除機によって挿入口(18)から塵埃貯留部(60,90)内の塵埃を回収することができない事態が生ずるおそれがある。
出力指示部(39)は、第1出力判定部(36)が注意サインの出力を決定すると、掃除サイン出力部(33,48)に注意サインを出力させる。注意サインの場合には、リモコン(48)のみから掃除サインが出力される。リモコン(48)では、出力指示部(39)からの出力指示により、塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去を使用者に促す文字が表示される。具体的に、液晶表示部(34)には、「ダストボックスを清掃して下さい」という文字が表示される。
また、出力指示部(39)は、第2出力判定部(38)が警告サインの出力を決定すると、掃除サイン出力部(33,48)に警告サインを出力させる。警告サインの場合には、点灯部(33)及びリモコン(48)の各々から掃除サインが出力される。点灯部(33)では、出力指示部(39)からの出力指示により、発光部の赤色LEDが点灯する。また、リモコン(48)では、出力指示部(39)からの出力指示により、注意サインのときと同様に、「ダストボックスを清掃して下さい」という文字が液晶表示部(34)に表示される。
なお、リセットボタン(55)が使用者によって入力されると、出力指示部(39)は、掃除サイン出力部(33,48)に警告サインの出力を停止させる。これにより、点灯部(33)では赤色LEDが消灯する。但し、出力指示部(39)は、検出光度が判定光度以下の状態が継続している限りは、リセットボタン(55)の入力からの室内ファン(21)の運転積算時間が所定の第3判定時間T3(例えば2時間)に達する度に、掃除サイン出力部(33,48)に警告サインを出力させる。なお、第3判定時間T3は、第1判定時間T1及び第2判定時間T2よりも短い時間になるように設定されている。
また、出力指示部(39)は、第2出力判定部(38)が第1異常サインの出力を決定すると、掃除サイン出力部(33,48)に第1異常サインを出力させる。第1異常サインの場合には、点灯部(33)及びリモコン(48)の各々から掃除サインが出力される。点灯部(33)では、出力指示部(39)からの出力指示により、発光部の赤色LEDが点滅する。また、リモコン(48)では、出力指示部(39)からの出力指示により、「ダストボックスを清掃して下さい」という文字が液晶表示部(34)に表示されると共に、リモコン点灯部(56)が点滅する。
また、本実施形態では、第1異常サインの出力が決定されると、制御部(35)が、空調運転及び清掃運転を禁止するように構成されている。この室内ユニット(1)では、第1異常サインの出力と同時に、空調運転が禁止された空調禁止状態になり、清掃運転が禁止されて清掃禁止状態になる。
この状態で、リセットボタン(55)が入力されると、出力指示部(39)が、掃除サイン出力部(33,48)に第1異常サインの一部の出力を停止させる。また、制御部(35)は、塵埃貯留部(60,90)内の清掃が行われなくても、空調禁止状態及び清掃禁止状態を一時的に解除する。これにより、点灯部(33)及びリモコン点灯部(56)が消灯する。なお、液晶表示部(34)では、掃除サインの表示が継続される。また、室内ユニット(1)は、空調運転及び掃除運転が可能な状態になる。
但し、検出光度が判定光度以下の状態が継続している限りは、リセットボタン(55)の入力からの室内ファン(21)の運転積算時間が上記第3判定時間T3に達する度に、出力指示部(39)は、再び点灯部(33)及びリモコン点灯部(56)を点滅させ、制御部(35)は、再び空調運転及び清掃運転を禁止する。空調禁止状態及び清掃禁止状態は、点灯部(33)及びリモコン点灯部(56)の点滅の停止中だけ解除される。
また、出力指示部(39)は、第2出力判定部(38)が第2異常サインの出力を決定すると、掃除サイン出力部(33,48)に第2異常サインを出力させると共に、異常箇所が塵埃貯留部(60,90)であることを示す異常コードをリモコン(48)に表示させる。第2異常サインの場合には、点灯部(33)及びリモコン(48)の各々から掃除サインが出力される。点灯部(33)では、出力指示部(39)からの出力指示により、発光部の赤色LEDが点滅する。また、リモコン(48)では、リモコン点灯部(56)が点滅すると共に、液晶表示部(34)に異常コードが表示される。液晶表示部(34)には、異常コードと共に、空調機のメンテナンスを行うサービスセンターの連絡先も表示される。
なお、本実施形態では、第2異常サインの以後も、制御部(35)が、空調運転及び清掃運転の禁止を継続するように構成されている。この室内ユニット(1)では、リセットボタン(55)の入力によって空調運転及び清掃運転が一時的に解除されている場合には、第2異常サインの出力と同時に、空調運転が禁止された空調禁止状態になり、清掃運転が禁止されて清掃禁止状態になる。
この状態で、リセットボタン(55)が使用者によって入力されると、出力指示部(39)が、掃除サイン出力部(33,48)に第2異常サインの出力を停止させる。また、制御部(35)は、塵埃貯留部(60,90)内の清掃が行われなくても、空調禁止状態を一時的に解除する。この実施形態では、空調禁止状態のみ解除され、清掃禁止状態を解除することができるのは、第2異常サインの出力が決定されるまでに限られている。制御部(35)は、第2異常サインの出力決定後は、リセットボタン(55)の入力があっても、塵埃貯留部(60,90)内の清掃が行われない限り、清掃禁止状態を解除しない。これにより、点灯部(33)及びリモコン点灯部(56)が消灯する。液晶表示部(34)では、異常コードの表示が継続される。そして、室内ユニット(1)は、空調運転が可能な状態になる。
但し、検出光度が判定光度以下の状態が継続している限りは、リセットボタン(55)の入力からの室内ファン(21)の運転積算時間が上記第3判定時間T3に達する度に、出力指示部(39)は、再び点灯部(33)及びリモコン点灯部(56)を点滅させ、制御部(35)は、再び空調運転を禁止する。空調禁止状態は、点灯部(33)及びリモコン点灯部(56)の点滅の停止中だけ解除される。
本実施形態では、警告サインが出力されるまでは、使用者がリセットボタン(55)を入力することで、計測タイマ(37)がリセットされる。このとき、掃除サインが出ていれば、掃除サインは解除される。また、警告サインの出力後は、使用者が塵埃貯留部(60,90)から塵埃を除去することで、フォトトランジスタ(73)の検出光度が判定光度を上回って、計測タイマ(37)が自動的にリセットされる。このとき、掃除サインが出ていれば、掃除サインは解除される。
また、本実施形態では、制御部(35)が、空調運転中に点灯部(33)の2つの緑色LEDを連続的に点灯させ、清掃運転中に点灯部(33)の2つの緑色LEDを点滅させるように構成されている。但し、リモコン(48)には、使用者が点灯部(33)を点灯させるか否かを選択することができるように、点灯操作ボタン(54)が設けられている。制御部(35)では、点灯操作ボタン(54)が入力される度に、空調運転中及び清掃運転中に点灯部(33)を点灯させる第1設定と、点灯部(33)を点灯させない第2設定との間で切り換わる。なお、制御部(35)は、第2設定に設定されていても、警告サイン、第1異常サイン、及び第2異常サインの出力が決定された場合には、点灯部(33)を点灯させる。
また、本実施形態では、室内ユニット(1)を設置する室内空間の空気中の塵埃量に応じた時間になるように上記基準時間Tsdを学習させる学習機能が設けられている。具体的に、第1出力判定部(36)は、警告サインの出力を決定する前に注意サインの出力を決定した場合には、基準時間Tsdを長い時間に変更する。この場合、基準時間Tsdは、以下に示す式3によって得られた値Tsd’に変更される。なお、下記の式3において、Tsdは変更前の基準時間を表し、Tsd’は変更後の基準時間を表し、Cは1よりも大きい第3係数(例えばC=1.2)を表している。
式3:Tsd’=Tsd×C
また、第1出力判定部(36)は、注意サインの出力を決定する前に警告サインの出力を決定した場合には、基準時間Tsdを短い時間に変更する。この場合、基準時間Tsdは、以下に示す式4によって得られた値Tsd’に変更される。なお、下記の式4において、Dは1未満の第4係数(例えばD=0.7)を表している。
式4:Tsd’=Tsd×D
なお、第1出力判定部(36)には、基準時間Tsdの上限時間(例えば10800時間)と下限時間(例えば900時間)とがそれぞれ設定されている。変更後の基準時間Tsd’が上限時間を超える場合には、変更後の基準時間Tsd’は上限時間に設定され、変更後の基準時間Tsd’が下限時間を下回る場合には、変更後の基準時間Tsd’は下限時間に設定される。このため、検知センサ(71)の誤検知等により基準時間Tsdが極端に短い時間や長い時間に調節されることがない。
本実施形態では、空気中の塵埃量が比較的多い室内環境では、比較的短い時間で塵埃貯留部(60,90)に塵埃が貯まるので、塵埃貯留部(60,90)から塵埃を除去してから警告サインが出力されるまでの時間が比較的短くなる。このような場合、基準時間Tsdは、学習機能によって短い時間に調節される。一方、空気中の塵埃量が比較的少ない室内環境では、塵埃貯留部(60,90)から塵埃を除去してから警告サインが出力されるまでの時間が比較的長くなる。このような場合、基準時間Tsdは、学習機能によって長い時間に調節される。このように、本実施形態では、警告サインの出力タイミングに応じて基準時間Tsdが調節されるので、基準時間Tsdが室内空間の空気中の塵埃量に応じた時間に調節されてゆく。従って、注意サインが適切なタイミングで出力されるようになる。
また、第1異常サインを出力するか否かを判断するための第1判定時間T1と、第2異常サインを出力するか否かを判断するための第2判定時間T2は、基準時間Tsdから算出している。従って、第1判定時間T1及び第2判定時間T2は、基準時間Tsdの変更に伴って変更される。具体的に、空気中の塵埃量が比較的多い室内環境では、第1判定時間T1及び第2判定時間T2は短い時間に調節され、空気中の塵埃量が比較的少ない室内環境では、第1判定時間T1及び第2判定時間T2は長い時間に調節される。第1判定時間T1及び第2判定時間T2も、基準時間Tsdと同様に、室内空間の空気中の塵埃量に応じた時間に変更されてゆく。従って、警告サイン及び第2異常サインが適切なタイミングで出力されるようになる。
なお、第2出力判定部(38)には、第1判定時間T1の下限時間(例えば100時間)と、第2判定時間T2の下限時間(例えば100時間)とがそれぞれ設定されている。変更後の第1及び第2判定時間T1,T2が下限時間を下回る場合には、変更後の第1及び第2判定時間T1,T2は下限時間に設定される。このため、第1及び第2判定時間T1,T2が極端に短い時間や長い時間に調節されることがない。
−実施形態の効果−
本実施形態では、塵埃到達状態になっているか否かを個別に検知する塵埃検知部(36,37,38,71)を少なくとも2つ有しているので、塵埃検知部(36,37,38,71)が1つ故障しても塵埃到達状態になっているか否かを検知することが可能である。従って、塵埃検知部が1つだけの場合に比べて、塵埃到達状態になっているか否かを検知する機能が失われる状態に陥りにくいので、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量を検知する機能の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、計測タイマ(37)を用いる第1塵埃検知部(36,37)と検知センサ(71)を用いる第2塵埃検知部(38,71)の2種類の塵埃検知部(36,37,38,71)が設けられている。ここで、検知センサ(71)と計測タイマ(37)とでは構成が異なるので、寿命や耐久性が異なる。従って、本実施形態では、第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)が近い時期に故障する可能性が低く、第1塵埃検知部(36,37)と第2塵埃検知部(38,71)の両方が機能しなくなる状態に陥りにくい。このため、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量を検知する機能の信頼性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、第2塵埃検知部(38,71)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間に応じて基準時間を変更することで、基準時間が室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節されるようにしている。従って、第1塵埃検知部(36,37)が塵埃到達状態になっていることを検知するまでの時間が、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて変化するので、第1塵埃検知部(36,37)で塵埃到達状態になっているか否かを正確に検知することが可能になる。
また、本実施形態では、基準時間の上限時間及び下限時間が設定されているので、基準時間の学習機能を設けることによって、かえって基準時間が極端に長い時間や短い時間に変更されることが防止される。従って、基準時間の学習機能を設けることによって、かえって第1塵埃検知部(36,37)による検知結果の正確性が損なわれることを防止することができる。
また、本実施形態では、第1及び第2異常サインを出力するか否かを判定するための判定時間が、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じて調節されるようにしている。従って、第1及び第2異常サインを出力するか否かが、室内空間の空気に含まれる塵埃量に応じた調節された判定時間に基づいて判定されるので、第1及び第2異常サインを適切なタイミングで出力することができる。
また、本実施形態では、検知センサ(71)の出力に基づく掃除サインのときと、計測タイマ(37)の計測時間に基づく掃除サインのときで、異なる掃除サインが出力される。従って、検知センサ(71)の出力に基づく掃除サインであるか、計測タイマ(37)の計測時間に基づく掃除サインであるかが識別されるので、使用者は、検知センサ(71)の出力に基づく掃除サインであるか、計測タイマ(37)の計測時間に基づく掃除サインであるかを認識した上で、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃の除去を行うか否かを判断することができる。
また、本実施形態では、検知センサ(71)が、塵埃貯留部(60,90)内の高さを正確に検知できる光センサにより構成されている。このため、検知センサ(71)の出力によって警告サインが出力された状態では、検知センサ(71)に故障等のトラブルがない限り、塵埃貯留部(60,90)内に所定の高さまで塵埃が貯まっている。このため、警告サインは、塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去が必要であることを正確に示している。一方、計測タイマ(37)の計測時間に基づく注意サインは、塵埃貯留部(60,90)内の塵埃量を直接的に検知している訳ではない。このため、注意サインは、警告サインほど正確に、塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去が必要であることを正確に示している訳ではない。従って、使用者は、注意サインであるか、警告サインであるかを認識することで、塵埃貯留部(60,90)からの塵埃の除去がどの程度必要であるかを認識することができる。
また、本実施形態では、塵埃を送る側の塵埃捕集容器(60)に対して検知センサ(71)を設けることで、塵埃捕集容器(60)及び塵埃貯留容器(90)からなる塵埃貯留部(60,90)がほぼ一杯になっているか否かが検知される。つまり、塵埃貯留部(60,90)から塵埃が溢れる前の状態が検知される。従って、塵埃貯留部(60,90)から塵埃が溢れることを防ぎつつ、塵埃貯留部(60,90)の容量を最大限生かして、塵埃貯留部(60,90)に多くの塵埃を貯留することが可能になる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態については、掃除サイン出力部(33,48)が、掃除サインとして音声を発するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態について、第1出力判定部(36)は、計測タイマ(37)の計測時間の代わりに、室内ファン(21)の回転速度が大きいほど長い時間になるように該計測時間を補正した第1補正時間を用いて、注意サインを出力するか否かを判断してもよい。なお、計測タイマ(37)の計測時間を補正するのではなく、室内ファン(21)の回転速度が大きいほど短い時間になるように、室内ファン(21)の回転速度によって基準時間Tsdを補正してもよい。
また、上記実施形態について、第2出力判定部(38)は、第1レベル又は第2レベルに達していると判断した時点からの室内ファン(21)の運転積算時間の代わりに、該運転積算時間を室内ファン(21)の回転速度が大きいほど長い時間になるように補正した第2補正時間を用いて、第1異常サイン及び第2異常サインを出力するか否かを判断してもよい。
また、上記実施形態について、警告サインの出力を決定した時点の計測タイマ(37)の時間に基準時間が変更されるように、基準時間の学習が行われてもよい。
また、上記実施形態について、清掃運転を行いながら塵埃搬送動作が行われてもよい。この場合、塵埃捕集容器(60)は塵埃の通路として機能し、エアフィルタ(30)から除去された塵埃は塵埃捕集容器(60)に一時的に貯留されることなくそのまま塵埃貯留容器(90)に搬送される。
。また、上記実施形態について、塵埃除去部がエアフィルタ(30)の塵埃を掃除機のように吸引する吸引装置として構成されていてもよい。この場合も、塵埃捕集容器(60)は塵埃の通路として機能する。
また、上記実施形態について、室内ユニット(1)が、一般家庭でよく使用される壁掛け型の室内ユニットであってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。