JP2009174093A - カーボンファイバ製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒活性時にカーボンファイバの収量を増大し触媒低活性時もカーボンファイバの収量を確保することができるカーボンファイバ製造方法を提供すること。
【解決手段】本カーボンファイバ製造方法は、反応炉12に原料ガスと水素ガスの濃度比を制御して流入させることで反応炉12内で、触媒高活性時は水素ガス濃度の比率を高めに制御してアモルファスカーボン等のカーボン不純物の合成を抑制し、触媒低活性時は原料ガス濃度を高く制御して触媒能力を最大にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応炉内で基板上の触媒に原料ガスを作用させて触媒を合成核として基板上にカーボンファイバを成長させて製造するカーボンファイバ製造方法に関するものである。
カーボンファイバ、例えばカーボンナノチューブは、直径が微細でかつ高アスペクト比であり、電子エミッタ材料等に汎用されつつある。このようなカーボンナノチューブは、触媒に原料ガスを作用させてカーボンナノチューブを合成するようにしている(特許文献1参照)。
このようなカーボンナノチューブを製造する製造装置としては、反応炉外のヒータで反応炉を加熱しつつ反応炉中に配置した基板上に原料ガスを導入すると共に触媒で原料ガスを分解して基板上にカーボンナノチューブを製造する、いわゆる熱CVD法による製造装置がある。
しかしながら、このような製造装置を用いた従来の製造方法では触媒活性時はカーボンナノチューブの合成が促進されても、同時に、カーボンナノチューブ以外のアモルファスカーボン等のカーボン不純物も触媒活性で合成されてしまいカーボンナノチューブの合成率が下がり、カーボンナノチューブの収量が減る。また、触媒活性時は合成されたカーボン不純物で触媒が容易にキャップされたりしてカーボンナノチューブの収量を減らす要因となる。さらには触媒活性の低下時は、カーボンナノチューブの収量が低下する、という課題があった。
特開2005−145743号公報
本発明により解決すべき課題は、触媒活性時はカーボン不純物の合成を抑制してカーボンファイバの合成率を高めてその収量を増大し、触媒活性の低下時も、カーボンナノチューブの収量確保を可能としたカーボンファイバ製造方法を提供することである。
本発明に係るカーボンファイバ製造方法は、触媒付き基板が配置されている加熱雰囲気内に導入する原料ガスと水素ガスそれぞれの濃度の比率を触媒活性程度に応じて制御することで基板上にカーボンファイバを製造する方法であり、触媒アニール時は触媒のアニール進行に有効な水素ガス濃度を高く制御し、触媒高活性時は原料ガス濃度に対して水素ガス濃度の比率を高めに制御してアモルファスカーボン等のカーボン不純物の合成を抑制し、触媒低活性時は原料ガス濃度を高く制御して触媒能力最大限でカーボンファイバの成長させることを特徴とするものである。
本発明では、触媒高活性時は水素ガス濃度を高めに制御してアモルファスカーボン等のカーボン不純物の合成を抑制するので、触媒高活性時ではカーボンファイバのみの合成を促進し、カーボンファイバの収量を増進することができる。同時に本発明では触媒高活性時にカーボン不純物の合成を抑制するから、触媒高活性時に合成され易いカーボン不純物で触媒がキャップされてカーボンナノチューブの収量を減らされることを抑制できる。また、本発明では触媒低活性時では、原料ガス濃度を高く制御して触媒能力を例えば最大限にまで引き上げるので、触媒低活性時でもカーボンファイバの収量を確保することができる。したがって、本発明では、製造全体を通じてカーボンファイバの合成を効率的に行うことができその収量を従来よりも増大することができる。
本発明の好ましい一態様は、触媒アニール時、触媒高活性時、および触媒低活性時のそれぞれで原料ガスと水素ガスそれぞれの濃度を制御することで原料ガス中のカーボンが、カーボンファイバやカーボン不純物に変換固定化されて消費される消費率を増大させることである。
なお、上記カーボンファイバは、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノバンブ、グラファイトナノファイバを含むことができる。
なお、触媒の材料は、その構成要素に炭素を含有する化合物ガスに作用する材料であれば特に限定されず、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等およびこれらの酸化物を例示することができる。
本発明によれば、触媒高活性時も触媒低活性時もカーボンファイバの合成を効率的に行うことでその収量を増大することができるカーボンファイバ製造方法を提供することができる。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るカーボンファイバ製造方法を説明する。このカーボンファイバ製造装置ではカーボンファイバの一例であるカーボンナノチューブ(以下CNTと称する)を製造する。実施の形態のカーボンファイバ製造方法はCNT以外の他のカーボンファイバを製造することにも同様に適用することができる。図1は実施の形態に係る製造方法の実施に用いるカーボンファイバ製造装置の概略構成を示す。図2は左から右方向が製造時間の経過を示し、図2(a)は同カーボンファイバ製造装置を用いてCNTを製造する場合の原料ガスであるアセチレン(C22)ガス濃度とキャリアガスである水素(H2)ガス濃度との変化を示し、図2(b)は触媒活性の変化を示し、図2(c)はCNTの基板上での成長速度を示し、図2(d)はアモルファスカーボンやグラファイトカーボン等のカーボン不純物の発生量を示す。カーボン不純物は製造目的であるCNT以外のカーボン化合物のことであり、アモルファスカーボンやグラファイトカーボンはそれの参考例である。
これらの図を参照して実施の形態のカーボンファイバ製造装置10は、反応炉12と、この反応炉12を外部から加熱することにより当該反応炉12内を一定温度の加熱雰囲気に制御する加熱炉14と、を備える。反応炉12には、反応炉12内へのガス導入を制御するガス導入制御装置12aと、反応炉12外へのガス排気を制御するガス排気制御装置12bとが付設されている。反応炉内12には複数枚の基板16を等間隔に縦方向に配置収納した基板載置台18が配置されている。反応炉12等は簡略化して示している。
上記製造装置を用いた、本実施の形態によるカーボンファイバ製造方法を以下説明する。まず、図2(b)のハッチング領域内では、図2(a)で示すように原料ガスであるC22ガスが存在しているので、アニール進行線Aで示すように基板上の触媒はこのC22ガスによりアニールされて活性化する。そしてこのアニール領域では、同図2(a)で示すように触媒のアニール進行に有効なH2ガスの濃度がC22ガスの濃度よりも高い。そのため触媒は同アニール進行線Aで示すように高効率で活性化する。この触媒アニールの進行により触媒が高活性化する。この触媒高活性時では、ガス導入制御装置12aにより図2(c)のCNT成長線Cで示すように反応炉12内に導入されているC22ガスでCNTの合成が行われる。このとき、触媒高活性時では図2(a)のC22とH2それぞれの濃度制御線で示すようにガス導入制御装置12aによりアモルファスカーボンやグラファイトカーボン等のカーボン不純物の合成を抑制するようH2ガス濃度を高めに制御する。H2ガス濃度を高めに制御するのは、カーボン不純物が触媒表面を覆うなどにより触媒が失活することを抑制するためである。このためカーボン不純物は図2(d)の破線で示すようにその合成が抑制される。そして、CNTの成長に伴い触媒の活性が図2(b)の活性変化線Bで示すように低下してくるが、触媒の活性が低下する時では図2(a)のC2H2とH2それぞれの濃度制御線で示すようにC22ガス濃度をH2ガス濃度よりも高く制御して触媒能力を最大限に制御してCNTの合成を行い、CNTの収量を確保する。
なお、図2(a)ないし図2(d)はC22ガスとH2ガスの濃度制御の一例として連続直線状的に濃度制御するようにしたが、例えば、触媒アニール、触媒高活性時、触媒低活性時でそれぞれ、階段状的や曲線状的に濃度制御してもよい。
なお、図3(a)で示すように触媒アニール前では触媒20は基板16上で膜状になっていて、触媒アニールにより図3(b)で示すように触媒20は微粒子化される。このアニールに際してはこの基板16上のH2ガス濃度は図2(a)のハッチング領域で示すように高く制御されてアニール進行が高効率で促進される。また、図2(b)で示す触媒高活性時では、図2(a)で示すようにH2ガス濃度を高く制御して、アモルファスカーボン等のカーボン不純物の生成は抑制される一方、C22ガスは効率的に触媒20に作用する結果、図3(c)で示すように、CNT22は成長する。さらに、図2(b)で示す触媒低活性時では、図2(a)で示すようにC22ガス濃度が高濃度に制御されているので、触媒活性が低くてもその触媒能力は最大限に発揮されて、図3(d)で示すように、CNT22が成長する。
こうして実施の形態では触媒アニール時は触媒20のアニール進行に有効な水素ガスの濃度を高く制御し、触媒高活性時は水素ガスの濃度を高めに制御してアモルファスカーボン等のカーボン不純物の合成を抑制し、触媒低活性時は原料ガス濃度を高く制御して触媒能力を大きくしてカーボンファイバを合成させるので、触媒高活性時も触媒低活性時もカーボン不純物の合成を抑制しカーボンファイバのみの合成を促進できる結果、カーボンファイバの収量を増進することができる。
また、本実施の形態では、触媒アニール時、触媒高活性時、触媒低活性時のいずれでも原料ガスと水素ガスの濃度比を制御することで原料ガス中のカーボンが、カーボンファイバやカーボン不純物に変換され固定化されて消費される消費率を増大できる。この消費率は90%以上である。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々な変更ないしは変形を含むものである。
図1は実施の形態の製造方法の実施に用いるカーボンファイバ製造装置の概略構成を示す図である。 図2は実施の形態の製造方法の説明に用いるもので、図2(a)はC2H2ガス濃度とH2ガス濃度との関係を示し、図2(b)は触媒活性を示し、図2(c)はCNTの成長速度を示し、図2(d)はカーボン不純物の発生量を示す図である。 図3は基板上でのCNTの成長過程を示し、図3(a)は基板上に膜状に触媒が形成されている状態を示し、図3(b)はアニールにより微粒子化された触媒を示し、図3(c)は触媒高活性時でのCNTの成長を示し、図3(d)では触媒低活性時でのCNTの成長を示す図である。
符号の説明
10 カーボンファイバ製造装置
12 反応炉
12a ガス導入制御装置
12b ガス排気制御装置
14 加熱炉
16 基板
20 触媒
22 CNT

Claims (2)

  1. 触媒付き基板が配置されている加熱雰囲気内に導入する原料ガスと水素ガスそれぞれの濃度の比率を触媒活性程度に応じて制御することで基板上にカーボンファイバを製造する方法であり、触媒アニール時は触媒のアニール進行に有効な水素ガス濃度を高く制御し、触媒高活性時は原料ガス濃度に対して水素ガス濃度の比率を高めに制御してアモルファスカーボン等のカーボン不純物の合成を抑制し、触媒低活性時は原料ガス濃度を高く制御して触媒能力最大限でカーボンファイバの成長させる、ことを特徴とするカーボンファイバ製造方法。
  2. 触媒アニール時、触媒高活性時、および触媒低活性時のそれぞれで原料ガスと水素ガスそれぞれの濃度を制御することで原料ガス中のカーボンが、カーボンファイバやカーボン不純物に変換固定化されて消費される消費率を増大させる、ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンファイバ製造方法。
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