JP2009173920A - ボールペン用o/w型エマルションインキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色剤としての油溶性染料溶解液がHLBが8以下のポリグリセリン脂肪酸エステルと、炭素数8以上のアシル乳酸のナトリウム塩をとから選ばれる添加剤で水中に分散されたボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。
【選択図】なし
Description
本願の発明者は、油溶性染料を水性インキに使用できれば、耐水性があって裏写りしない筆跡を形成できると考えたが、水中に油溶性染料を溶解した油性成分を分散するには、油滴の界面に親水基を配向させるためHLBの高い界面活性剤が必要となるが、HLBの高い界面活性剤を使用すると、筆跡上でエマルションの再乳化が起こり、油溶性染料を使用しているにもかかわらず筆跡の耐水性が得られないこととなる。また、HLBの高い界面活性剤を使用したエマルションは、環境温度の影響を受けやすく、ある程度の高温環境に置かれた場合などにはエマルションが破壊されて、凝集したり、油相と水相に分離してしまう問題がある。
物を要旨とするものである。
よって、上記組み合わせの活性剤を使用して油溶性染料の溶液を水中に乳化したO/W型エマルションインキによる筆跡は、耐水性に優れインキ粘度も低いため筆記感も軽い。
ド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701、オリエント オイル スカーレット#308、ニグロシンベースEX−BP(以上、オリエント化学工業(株)製の油性染料)、スピロンブラック GMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー−111(以上、保土谷化学工業(株)製の油性染料)、ローダミンBベース(C.I.45170B、住友化学工業(株)製の油性染料)、ビクトリアブルーF4R、ニグロシンベースLK(独国、BASF社製)、メチルバイオレット2Bベース(米国、National Anilne Div.社製)などが使用できる。
これらは単独で用いても複数を混合して用いてもよい。O/Wエマルション油性成分は少なくとも着色剤として油溶性染料を有機溶剤で溶解したインキ成分であることが必要であり油溶性染料の添加量は油性成分の5重量%から50重量%以下、好ましくは15重量%以上40重量%以下が使用できる。使用量が少ないとエマルションにしたときに筆跡濃度が薄くなり、多くなると有機溶剤に溶解せず油性成分部分が不安定になりエマルションの熱安定性が悪くなることがある。
70重量%以下、HLBが8以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとアシル乳酸のナトリウム塩の混合物である乳化剤成分は0.1重量%以上15重量%以下、水性成分は20重量%以上75重量%以下であることが好ましい。
スピロンバイオレットC−RH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 4.85重量%スピロンイエローC−GNH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.30重量%ベンジルアルコール 11.85重量%ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB=3.5) 12.00重量%ステアロイル乳酸ナトリウム 2.40重量%グリセリン 30.00重量%PVP K−90(ポリビニルピロリドン:ISPジャパン(株)製) 0.70重量%イオン交換水 34.90重量%
上記グリセリン、PVP K−90、イオン交換水以外の成分を80℃3時間加熱撹拌し、グリセリンを加えてさらに80℃で1時間撹拌してA液を作成する。PVP K−90とイオン交換水を20℃で1時間撹拌しB液を作成する。80℃でA液にB液を加えマグネチックスターラーで45分撹拌したあと撹拌しながら冷却し黒色エマルションインキを作成した。
スピロンイエローC−GNH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 2.45重量%スピロンレッドC−GH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.15重量%スピロンレッドC−BH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 4.00重量%ベンジルアルコール 5.40重量%エチレングリコールモノフェニルエーテル 15.00重量%モノステアリン酸テトラグリセリル(HLB=6.0) 4.50重量%ステアロイル乳酸ナトリウム 4.50重量%エチレングリコール 25.00重量%ケルザンAR(キサンタンガム:三晶(株)製) 0.60重量%イオン交換水 35.40重量%
上記エチレングリコール、ケルザンAR、イオン交換水以外の成分を80℃1時間加熱撹拌してA液を作成する。エチレングリコール、ケルザンAR、イオン交換水を20℃1時間撹拌しB液を作成する。スリーワンモーターでB液を75℃に加熱し撹拌しながらA液を滴下し75℃45分撹拌したあと、撹拌しながら冷却し赤色エマルションインキを作成した。
スピロンレッドC−BH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 0.95重量%ネオスーパーブルーC−555(染料、中央合成化学(株)製) 5.05重量%エチレングリコールモノフェニルエーテル 29.00重量%ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB=3.5) 5.00重量%イソステアロイル乳酸ナトリウム 0.30重量%グリセリン 40.00重量%
イオン交換水 19.70重量%
上記グリセリン、イオン交換水以外の成分を80℃3時間加熱撹拌してA液を作成する。80℃に加熱したグリセリンとイオン交換水をホモジナイザーで撹拌しながらA液を滴下し5分間処理したあと、スリーワンモーターで撹拌しながら冷却し青色エマルションインキを作成した。
スピロンイエローC−GNH 2.86重量%スピロンレッドC−BH 1.29重量%エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.85重量%ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB=3.5) 0.50重量%ステアロイル乳酸ナトリウム 0.10重量%グリセリン 10.00重量%
イオン交換水 79.40重量%
上記グリセリン、イオン交換水以外の成分を80℃3時間加熱撹拌してA液を作成する。80℃に加熱したグリセリンとイオン交換水をホモジナイザーで撹拌しながらA液を滴下し5分間処理したあと、さらに高圧ホモジナイザーで20℃に冷却しながら3パス処理し橙色エマルションインキを作成した。
スピロンイエローC−GNH 2.86重量%スピロンレッドC−BH 1.29重量%エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.85重量%ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB=3.5) 0.50重量%モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12.0) 1.00重量
ステアロイル乳酸ナトリウム 0.10重量%グリセリン 10.00重量%
イオン交換水 78.40重量%
上記モノオレイン酸デカグリセリル、グリセリン、イオン交換水以外の成分を80℃3時間加熱撹拌してA液を作成する。80℃に加熱したモノオレイン酸デカグリセリル、グリセリンとイオン交換水をホモジナイザーで撹拌しながらA液を滴下し5分間処理したあと、さらに高圧ホモジナイザーで20℃に冷却しながら3パス処理し橙色エマルションインキを作成した。
実施例5においてモノオレイン酸デカグリセリルの1.0重量%を0.5重量%としさらにモノリノール酸デカグリセリル(HLB=12.0)0.5重量%を加えた以外は実施例5と同様にして橙色エマルションインキを作成した。
実施例5においてモノオレイン酸デカグリセリルの1.0重量%をジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB=10.0)2.0重量%とし、イオン交換水を77.4重量%とした以外は実施例5と同様にして橙色エマルションインキを作成した。
実施例5においてモノオレイン酸デカグリセリルの1.0重量%を5.0重量%とし、イオン交換水を74.4重量%とした以外は実施例5と同様にして橙色エマルションインキを作成した。
実施例5においてモノオレイン酸デカグリセリルの全量をモノラウリン酸デカグリセリル(HLB=15.5)とした以外は実施例5と同様にして橙色エマルションインキを作成した。
実施例5においてモノオレイン酸デカグリセリルの全量をモノミリスチン酸デカグリセリル(HLB=11.0)とした以外は実施例5と同様にして橙色エマルションインキを作成した。
実施例5においてモノオレイン酸デカグリセリルの全量をポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(HLB=14.0)とした以外は実施例5と同様にして橙色エマルションインキを作成した。
スピロンバイオレットC−RH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 4.85重量%スピロンイエローC−GNH(着色剤:保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.30重量%ベンジルアルコール 11.85重量%ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB=3.5) 12.00重量%ステアロイル乳酸ナトリウム 2.40重量%PVP K−90(ポリビニルピロリドン:ISPジャパン(株)製) 0.70重量%エチレングリコールモノフェニルエーテル 64.90重量%
上記成分を80℃3時間加熱撹拌し染料を溶解して黒色油性インキを作成した。
実施例2においてステアロイル乳酸ナトリウムの全量をベンジルアルコールに置き換えた以外は実施例2と同様にして赤色エマルションインキを作成した。
実施例3においてペンタステアリン酸デカグリセリルをモノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12.0)に置き換えた以外は実施例3と同様にして青色エマルションインキを作成した。
粒子径は(株)島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7100を用いてエマルションインキである実施例1〜11と比較例2〜3の粒度分布を20℃で測定しメディアン径を平均粒子径として採用した。
エマルションインキである実施例1〜11と比較例2〜3のインキ10gを、フタ付きねじ口ガラス瓶(19×70mm、日電理化硝子(株)製)に入れ、−5℃に24時間置いた後に40℃で24時間置くことを1セットとした熱サイクルを5サイクル繰り返した直後に、粒子径測定と同様にして経時後粒子径を測定した。
エマルションインキである実施例1〜11と比較例2〜3のインキ10gを、フタ付きねじ口ガラス瓶(19×70mm、日電理化硝子(株)製)に入れ、50℃に24時間置いた後に20℃で5時間放置した後に、粒子径測定と同様にして経時後粒子径を測定した。
上記実施例1〜3及び比較例1〜3で得た各ボールペン用インキ組成物を、直径0.5mmの超硬製のボール抱持したボールペンペン先をもつノック式ボールペン(ノック式エナージェル、製品符号BLN75、ぺんてる(株)製)のインキ収容管に1.7g充填し、試験用ボールペンサンプルとした。
各ボールペン試験サンプルでJIS P3201筆記用紙Aに手書きで直径約2cmの連続した丸15個を2回筆記し、1時間放置した後、イオン交換水中に1時間浸漬する。その後、水中から取り出して退色の度合いをグレースケール(JIS L−0804)で判定した。グレースケールは1〜5号まであり、数字が大きい程、試験前後の筆跡の濃度
差が小さく、耐水性を有することを示す。
各ボールペン試験サンプルでJIS P3201筆記用紙Aに手書きで直径約2cmの連続した丸15個を2回筆記し、30℃,60%RHの環境下に1日放置した後、筆記裏面を観察した。
全くインキの滲み出しのなかったものを …… ◎
わずかな滲み出ししかなかったものを …… ○
明らかに滲み出しがあったものを …… ×
とした。
各試験の結果を表1に示す。
Claims (4)
- 着色剤としての油溶性染料と、該染料を溶解する有機溶剤と、HLBが8以下のポリグリセリン脂肪酸エステルと、炭素数8以上のアシル乳酸のナトリウム塩とを少なくとも含む油性成分を、水中に乳化分散したボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと炭素数8以上のアシル乳酸のナトリウム塩との配合比が、重量比でアシル乳酸のナトリウム塩1に対し、ポリグリセリン脂肪酸エステルが0.05以上20以下である請求項1記載のボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。
- 前記炭素数8以上のアシル乳酸のナトリウム塩が、ステアロイル乳酸のナトリウム塩である請求項1又は請求項2に記載のボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。
- 更に、脂肪酸の炭素数が18以上でありHLBが10以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを、インキ組成物全量に対して2重量%以下含む請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。
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