JP2009173846A - 有機修飾無機酸化物微粒子、その製造方法、その分散スラリ及び樹脂組成物 - Google Patents

有機修飾無機酸化物微粒子、その製造方法、その分散スラリ及び樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液中で分散性が良く、保管時に溶液中で凝集を起こさず、樹脂との相溶性が良く、エポキシ樹脂等の樹脂との複合化に好適で、微細粗面形成に好適に使用することができる有機修飾無機酸化物微粒子、その製造方法を提供する。
【解決手段】例えば、平均1次粒子径が50nm以下の無機酸化物微粒子の表面において、イミダゾール基を有する有機修飾層1を形成し、次いで、有機修飾層1を有する無機酸化物微粒子を、熱硬化樹脂のモノマー中に含有させて反応溶液を形成し、前記反応溶液を加熱処理することにより、前記無機酸化物微粒子が前記表面層を介してエポキシ樹脂と結合し有機修飾層2を形成することで、溶液中、樹脂中で良好に分散し、経時による凝集、沈降を起こさない表面処理無機酸化物微粒子、その製造方法、その分散スラリ及び樹脂組成物などを提供した。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機修飾無機酸化物微粒子、その製造方法、その分散スラリ及び樹脂組成物に関し、より詳細には、樹脂組成物中でも良好な分散性を維持し、熱硬化樹脂中に分散させた場合にも良好な分散性を維持できる有機修飾無機酸化物微粒子、その製造方法、それを溶媒中に分散させた分散スラリ、及び有機修飾無機酸化物微粒子をエポキシ樹脂などに含有する樹脂組成物に関する。
電子機器の高性能化、高機能化、小型軽量化に伴い、搭載される半導体パッケージの高集積化、小型化、薄型化が進んでいる。また、ICチップを実装するプリント配線板も、薄板化、導体パターンの高密度化が進んでいる。集積度の向上等によりICチップの発熱量が増加し、ICチップからプリント配線板への熱伝導は大きくなる。加えて、導体パターンの高密度化によりプリント配線板の発熱量も大きくなる。このため、プリント配線板には、一層の耐熱性、寸法安定性が要求される。
プリント配線板として加工される銅張積層板は、プリプレグあるいは絶縁フィルムと銅箔とを積層成形して、作製されている。プリプレグは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物をガラスクロス等に含浸し、これを加熱乾燥し、同樹脂を半硬化状態(Bステージ)にして製造される(例えば、特許文献1参照。)。また、絶縁フィルムは、同樹脂組成物を加熱硬化させて製造される。
その他の方法として、例えば、特許文献2〜4に開示の方法がある。特許文献2では、粘土にエチレン−ビニルアルコール共重合体を含浸し、ポリアミドと溶融混連してポリプロピレン樹脂との積層フィルムを得る方法である。また、特許文献3では、層状ケイ酸塩とポリアーレンスルフィド樹脂とを複合させた樹脂組成物の製法を開示している。さらに、特許文献4では、層状リン酸塩誘導体とポリアミドモノマーとを加熱重合し、前記層状リン酸塩と前記ポリアミドとを複合化させたポリアミド樹脂組成物の製法を開示している。
一方、プリント配線板の耐熱性等を向上させるために、マトリックス樹脂にシリカ等の無機酸化物微粒子をフィラーとして配合した樹脂組成物を用いる試みがなされている。この場合、フィラーをできるだけ多量に配合することが望ましい。
しかしながら、粒子径の小さなフィラーを使用した場合、フィラーを樹脂中に均一に分散させることは難しい。また、フィラーを多量に配合すると、硬化後にクラック等を生じ、所望の絶縁フィルムやプリプレグを製造することができない。
このように、樹脂組成物を硬化させた硬化物において、粒子径の小さなフィラーを高密度に配合させることは難しい。
特開2004−115634号公報 特開平5−86241号公報 特開平5−194851号公報 特開平5−306370号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、粒子径の小さな無機酸化物微粒子を均一に配合した硬化物を成形することのできる有機修飾無機酸化物微粒子と、その製造方法、それを溶媒中に分散させた分散スラリ、及び樹脂組成物を提供することにある。また、その樹脂組成物を用いることにより、フィラーの配合割合が高く、耐熱性、寸法安定性等に優れた絶縁フィルム、プリプレグに使用可能な有機機修飾無機酸化物微粒子とその分散スラリ及び樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、無機酸化物を分散させるために、熱硬化性樹脂と相溶性が高いイミダゾール基を有する化合物に着目し、これに対して、種々の変更及び改良を加えることにより、例えば、35nm以下の平均粒径を有するような無機酸化物微粒子であっても、溶液中、樹脂中で良好な分散性を実現させることを試みた。
また、無機酸化物微粒子を、溶液中、樹脂中で安定に分散させるためには、ゼータ電位等の粒子表面の活性度とともに、分散媒、複合化する樹脂との相溶性が重要となる。一般的には、界面活性剤の導入や、表面修飾剤の導入によって分散性の向上が行われてきたが、上記35nm以下という平均粒径を有する無機酸化物微粒子では、その表面積の多さ、活性の高さによって、2次凝集をおこしてしまう。したがって、微粒子の表面修飾剤の種別、処理方法に、種々変更を加えることによって、上記目的を達成することを試みた。
さらに、樹脂組成物中でも良好な分散性を維持し、熱硬化樹脂中に分散させた場合には、その硬化物中で良好な分散性を維持できる有機修飾無機酸化物微粒子の表面修飾材料、製造方法ならびに分散スラリとエポキシ樹脂を中心として樹脂組成物の製造方法を検討した。
上記の試みや検討した結果、無機酸化物微粒子の表面を、例えばイミダゾール基を有する化合物で改質処理し、これを減圧加熱することにより、表面有機修飾層1を固定化し、次いで、前記無機酸化物微粒子を、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂のモノマー中に配合させて反応溶液を形成し、前記反応溶液を分散処理することにより、前記無機酸化物微粒子が前記有機修飾層1を介してエポキシ樹脂と結合し、溶液中、樹脂中で良好に分散し、経時による凝集、沈降を起こさない表面処理無機酸化物微粒子、分散スラリ、樹脂組成物を得ることができることを見出した。また、イミダゾール基を有する化合物の処理量により、有機修飾無機酸化物微粒子の経時安定性に違いがあることを見出し、おおむね5%以上で経時安定性を持つ有機修飾無機酸化物微粒子とその分散スラリが得られ、これを用いて分散性の良い無機酸化物微粒子を含む樹脂組成物を得ることができることも、見出した。本発明は、こうした知見に基づいて、さらに検討を重ね、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記一般式(1)で表されるイミダゾール化合物により表面修飾された無機酸化物微粒子が有機溶媒中に分散された溶液と、該イミダゾール化合物と結合可能な熱硬化樹脂モノマーとを加熱処理したことを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子が提供される。
Figure 2009173846
[一般式(1)中、Mは、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な3価又は4価の金属元素を示し、mは0又は1であり、nはメチレン基の連鎖数を表す2〜8の整数であり、*1−、*2−及び*3−の少なくとも1つは、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な結合種であって、無機酸化物微粒子の表面と結合が可能な官能基を有する。]
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記熱硬化樹脂モノマーは、1つ以上のグリシジルエーテル基を有することを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記無機酸化物微粒子の平均1次粒子径が50nm以下であることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記イミダゾール化合物の表面修飾処理量は、無機酸化物微粒子に対し、重量比で5〜50%であることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記無機酸化物微粒子は、シリカ微粒子であることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、前記シリカ微粒子は、溶融シリカ又はコロイダルシリカであることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る有機修飾無機酸化物微粒子を、エポキシ樹脂中に分散したことを特徴とする樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前記有機修飾無機酸化物微粒子の含有量は、樹脂組成物全量に対し、5〜50重量%であることを特徴とする樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る有機修飾無機酸化物微粒子の製造方法であって、平均1次粒子径が50nm以下である前記無機酸化物微粒子の表面に、イミダゾール基を有する有機修飾層1を形成する工程と、前記工程で形成された有機修飾無機酸化物微粒子を、前記熱硬化樹脂モノマーの原料と混合する工程と、得られた混合物を50〜170℃の温度範囲で加熱し、有機修飾層2を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る有機修飾無機酸化物微粒子を、溶媒中に分散させた有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリであって、有機修飾無機酸化物微粒子の固形分濃度が1〜80%であることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリが提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第10の発明において、第9の発明に係る有機修飾無機酸化物微粒子の製造方法において、前記無機酸化物微粒子の表面にイミダゾール基を共有結合させて、有機修飾層1を有する有機修飾無機酸化物微粒子を熱硬化樹脂モノマーと混合し、加熱処理することで有機修飾層2を固定化し、熱硬化樹脂モノマー中に分散させ、有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリを形成することを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第11の発明において、前記熱硬化樹脂モノマーは、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA グリシジルエーテル)であることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリの製造方法が提供される。
本発明の有機修飾無機酸化物微粒子は、イミダゾール基を有する有機修飾層1と、グリシジル基を有する有機修飾層2で、表面処理されているので、長期に渡って凝集が抑制されるという効果を奏する。また、本発明では、無機物微粒子あるいは無機物が溶媒に分散されたスラリーの状態で、長期に渡って無機物微粒子が凝集しない状態を維持できる。さらに、成形体などに充填する無機物充填剤において、本発明の有機修飾無機酸化物微粒子あるいはスラリーを用いて成形体などを製造すれば、本発明の有機修飾無機酸化物微粒子あるいはスラリーの保管期間の差異が多少あっても、無機物微粒子の分散性が安定しているため、品質の安定した成形体などを得ることができる。
以下、本発明の有機修飾無機酸化物微粒子、その製造方法、分散スラリ、及び樹脂組成物などについて、項目毎に説明する。なお、本発明の有機修飾無機酸化物微粒子などは、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
1.有機修飾無機酸化物微粒子
本発明で使用する無機酸化物微粒子は、上記一般式(1)で表されるイミダゾール基を持つイミダゾール化合物の有機修飾層1により修飾するものである。
上記一般式(1)は、下記一般式(2)で表されるように、イミダゾール基に置換基を有するものであっても良い。
Figure 2009173846
一般式(2)において、Mは、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な3価又は4価の金属元素を示し、mは0又は1であり、nはメチレン基の連鎖数を表す2〜8の整数であり、R、Rは、1〜2個の炭素原子が互いに連結してなる直列鎖の脂肪族基若しくは水素を示し、*1−、*2−及び*3−の少なくとも1つは、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な結合手であって、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な構造を有する。
無機酸化物微粒子の表面と結合可能な3価又は4価の金属元素(M)としては、例えば珪素、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム及びスズ等の4価金属原子や、アルミニウムやホウ素等の3価金属原子が好ましく、中でも珪素、チタン、アルミニウムが更に好ましく、珪素が最も好ましい。
*1−、*2−及び*3−は、それぞれ無機酸化物微粒子の表面と結合可能な結合手であり、*1−、*2−及び*3−の少なくとも1つは、無機酸化物微粒子の表面と結合していれば良く、複数が結合していても良い。
無機酸化物微粒子の表面と結合しない場合の*1−、*2−及び*3−と、結合する置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基等)、炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基等)が挙げられるが、上記式(1)の連結基の無機酸化物微粒子への結合のしやすさの点で、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メチル基又はメトキシ基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。
無機酸化物微粒子の表面に結合するイミダゾール分子は、分散媒である有機溶媒(DMF、アセトン等の非プロトン性極性溶媒が望ましい)との相互作用により、互いに相溶し、その結果、無機酸化物微粒子が互いに凝集しがたく、安定に分散するようになる。
前記一般式(1)で表されるイミダゾール基に、特に制限はないが、熱硬化樹脂モノマーとの反応性が高いものが望ましく、1−(トリエトキシシリルペンチル)イミダゾールのように、イミダゾール基の反応性に立体障害の影響を及ぼさないものであれば、後述の有機修飾層2との結合が速やかに進む。
前記有機修飾層1は、例えば、イミダゾール基を有するアルコキシシラン系化合物、クロロシラン系化合物などの有機ケイ素化合物、イミダゾール基を有するアルコキシチタン、クロロチタン等の有機チタン化合物、イミダゾール基を有するアルコキシジルコニウム、クロロジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物を用いた表面処理によって形成する。
前記有機ケイ素化合物としては、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメトキシシリルイミダゾール、1−(メトキシシリルオクチル)イミダゾール、1−(エトキシシリルペンチル)イミダゾールなどを例示することができる。
また、前記有機チタン化合物としては、1−トリメチルチタンイミダゾール、N−トリメトキシチタンイミダゾール、1−(メトキシチタンオクチル)イミダゾールなどを例示することができる。
さらに、前記有機ジルコニウム化合物としては、1−トリメチルジルコニウムイミダゾール、N−トリメトキシジルコニウムイミダゾール、1−(メトキシジルコニウムオクチル)イミダゾールなどを例示することができる。
上記有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物の中でも、有機ケイ素化合物を用いた表面処理が好ましい。
なお、シリカ微粒子を1−(エトキシシリルペンチル)イミダゾールで表面処理し、前記シリカ微粒子において、イミダゾール基を有する有機修飾層1を形成する(前記シリカ微粒子の表面にイミダゾール基を付加する)際の反応式について説明した参考文献として、「入門エポキシ樹脂」(室井、石村 共著 高分子刊行会 )129頁が挙げられる。
本発明では、無機酸化物微粒子としての例えば、シリカ微粒子と、分散媒である有機溶剤、イミダゾール化合物とをホモジナイザーで撹拌混合の後、ジェットミルにて、シリカの凝集を解砕し、イミダゾール化合物を表面修飾する。
これにより得られた分散スラリを、減圧下で加熱処理することで、シリカ微粒子表面に有機修飾層1を固定化する。分散媒は、イミダゾール化合物との相溶性が高いものが望ましく、DMF、トルエン、キシレン、アセトン、DMAC、MEK等が望ましい。中でも、DMFとトルエンの混合溶媒が望ましく、DMFとトルエンの比率が1:2〜1:50、好ましくは1:8〜1:15重量部である。
このとき、前記無機酸化物微粒子の、前記イミダゾール化合物による処理量、すなわち前記無機酸化物微粒子に対する、前記イミダゾール化合物を有する有機修飾層1の厚みが0.5nm以上であることが望ましい。前記有機修飾層1の厚みが0.5nm未満であると、前記後述の処理を施した有機修飾無機酸化物微粒子の溶液中で安定性が低下し、分散性が悪化し、2次凝集が発生する。また、製造直後は、良好な分散性を有していても、経時変化により2次凝集が発生する。
また、前記イミダゾール化合物による処理量は、前記無機物微粒子100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは4〜25重量部である。イミダゾール化合物による処理量が1重量部未満であると、有機修飾無機酸化物微粒子の溶液中で安定性が低下し、分散性が悪化し、2次凝集が発生する。一方、イミダゾール化合物による処理量が50重量部を超えると、無機酸化物の表面に付着、結合可能なイミダゾール化合物量を超えるため、イミダゾール化合物が遊離し、期待以上に反応性が高くなり、保存安定性の低下、配合時の硬化、凝集が発生するおそれがある。
有機修飾層1が処理されたシリカ微粒子を含む分散スラリに対して、例えば、熱硬化樹脂モノマーであるエポキシモノマーの2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を1〜10wt%加え、さらに、ジェットミルにて混合することにより、表面修飾層2が処理された有機修飾無機酸化物微粒子を生成し、そのスラリを得ることができる。
熱硬化樹脂モノマーは、例えばグリシジル基を1つ以上もつものであれば、有機修飾層2を形成可能であるが、樹脂組成物としての利用を前提に考えると、グリシジル基は、2個以上が望ましい。表面有機修飾層2の処理量は、後に複合化する熱硬化樹脂との結合をふまえ、少なくとも有機修飾層1のイミダゾール基当量の2倍以上のエポキシ当量とする必要がある。
また、表面修飾層2を有するために、熱硬化樹脂モノマー化合物のエポキシ当量が100〜3000であることが望ましい。
さらに、熱硬化樹脂モノマー化合物の処理量が、前記無機物微粒子100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは4〜25重量部である。
他の熱硬化樹脂モノマーとしては、ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(ビスフェノールF グリシジルエーテル)、ビスフェノールS グリシジルエーテル、ビスフェノールM グリシジルエーテル、などの2官能グリシジルエーテルタイプや、フェノールノボラックグリシジルエーテルなどの複数のグリシジル基を持つ他官能エポキシ樹脂の利用が可能であり、表面修飾層2の形成のしやすさでは、ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(ビスフェノールF グリシジルエーテル)が相溶性、反応性の面から好適である。
この際、処理前の有機修飾層2を形成する熱硬化樹脂モノマーと有機修飾層1を処理されたシリカ微粒子の相溶性を向上させるために、分散媒の変更や溶媒の追加を行っても良い。
さらに、前記無機酸化物微粒子の種類は、特に限定されるものではないが、好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア又はこれらの複合酸化物を用いることができる。入手のし易さ、コスト、表面処理のし易さなどを考慮すると、シリカまたはアルミナ、特に、シリカを用いることが好ましい。
シリカに代表される酸化珪素類は、本発明における無機酸化物微粒子の材質として好ましく用いられるが、これは珪素原子−酸素原子結合を化学構造の主体とするものである。最も好ましい酸化珪素類の化学組成は、シリカ組成(SiO)である。シリカ組成以外の元素(例えば、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素等の非金属元素の他、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属元素、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類元素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、セリウム、ユウロピウム、テルビウム、亜鉛等の金属元素)を含有していてもよいが、その含有量は、化学的安定性や無色性の点から通常可及的に小さいことが好ましく、酸化珪素類の組成中の該元素の重量として、通常0〜30重量%であり、その上限は、好ましくは20重量%、更に好ましくは10重量%である。酸化珪素類の化学組成は、酸化珪素類を含有する熱可塑性樹脂組成物を空気中650℃で2時間燃焼させた残渣の組成分析で決定される。
酸化珪素類の原料としては、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)が安価に使用可能であるが、ナトリウム等のアルカリ金属が残留し、熱可塑性樹脂組成物の化学的安定性を損なう場合がある。従って、酸化珪素類は、可及的に高純度のシリカ組成であることが好ましく、そのためには、原料としてアルコキシシラン類及び/又はそのオリゴマーを用いる加水分解縮合反応(いわゆるゾル−ゲル法)により酸化珪素類を製造することが好ましい。
かかるアルコキシシラン類としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類等が例示され、かかるアルコキシシラン類のオリゴマーとしては三菱化学(株)製MKCシリケート(登録商標)MS−51等のテトラメトキシシランの数量体が例示される。
また、前記無機酸化物微粒子をシリカから構成する場合、前記シリカは、その大きさ及び形状を簡易に制御できるという観点から、溶融シリカ又はコロイダルシリカから構成することが好ましい。
溶融シリカは、粉砕した原料珪石を高温の火炎中で溶融し、例えば、表面張力により球状化させたタイプなどがある。
また、コロイダルシリカは、二酸化ケイ素またはその水和物のコロイド溶液であり、通常、水、メチルアルコール、エチルアルコール等を分散媒としている。市販されているコロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)のスノーテックスC(登録商標、無水珪酸含有量20〜21wt%、水素イオン濃度8.5〜9.0、粒子径10〜20nm)、スノーテックスN(登録商標、無水珪酸含有量20〜21wt%、粒子径10〜20nm)、日華化学製のプライムトーンFF−1(登録商標、無水珪酸含有量20〜21wt%、水素イオン濃度6.0、粒子径20〜30nm)、共栄社化学製のCLA−530(登録商標、無水珪酸含有量20〜21wt%、水素イオン濃度3〜4、粒子径1〜10nm)などがある。
さらに、前記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは34nm以下であり、その平均一次粒径の下限は、5nm以上であり、特に平均一次粒径が10〜30nmのものが望ましい。平均一次粒径が100nmを超えると、処理をしなくとも凝集し難くなるため、本件有機修飾による効果が得られ難くなる。
前記無機酸化物微粒子の形状は、球状、亜鈴状又は鎖状であることが好ましい。この場合、前記樹脂組成物における前記無機酸化物微粒子の充填材としての配合効果が増大し、前記無機酸化物微粒子の、前記イミダゾール基との共有結合の効果とは別個に、前記無機酸化物微粒子の配合自体によって、前記樹脂組成物の機械的強度などを増大させることができる。
2.分散スラリ
本発明の分散スラリは、前記の有機修飾層1、2を持つ無機酸化物微粒子を溶媒中に分散させたものであり、有機溶媒中や、熱硬化樹脂モノマー中、熱硬化樹脂モノマー及び有機溶媒中に分散させたものである。分散スラリを無機酸化物微粒子の有機修飾処理で用いた溶媒と微粒子のみで構成するものは、簡便かつ容易な方法であるが、更に、熱硬化樹脂モノマーであるBis−Aや多官能エポキシ樹脂原料を加え、分散スラリとすることも、可能である。
この時、分散スラリ中のシリカの比率は、重量比で1〜80%程度まで可能であるが、樹脂組成物での利用を前提とすると、重量比20〜80%程度が適当である。重量比が低い場合は、無機酸化物微粒子の配合比率を向上させようとした場合、溶媒量が増加してしまう。また、無機酸化物微粒子の濃度を多くした場合は、微粒子の分散性がわるくなる。
また、溶媒は、シリカなどの無機物微粒子100重量部に対し、10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部である。
3.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明による前記有機修飾無機酸化物微粒子を1〜80wt%含有し、均一に配合した硬化物を成形することのできる樹脂組成物を形成する。その樹脂組成物を用いることにより、フィラーの配合割合が高く、耐熱性、寸法安定性等に優れた絶縁フィルム、プリプレグに使用可能な樹脂組成物とするものである。
有機修飾層1及び2を持つ無機酸化物微粒子は、最外層の有機修飾層2が熱硬化樹脂モノマー有するため、その表面状態は、熱硬化樹脂モノマーに近く、熱硬化性樹脂モノマーとの相溶性は、非常に良好となる。表面修飾層の形成の容易さをマトリックス樹脂となる熱硬化樹脂との反応性によって、選択してもよいが、最終的に微粒子が均一分散した樹脂組成物として利用することが肝要であるため、マトリックス樹脂との相溶性により決定できる。マトリックス樹脂となる樹脂としては、熱硬化性樹脂であればその反応性を利用することが可能である。
本発明の樹脂組成物は、無機酸化物微粒子を所定量含有している効果により、30℃から80℃に昇温した場合の線膨張係数が30〜60ppm/Kとなる。この値は、本発明の目的から可及的に小さいことが好ましいので、その上限は好ましくは50ppm/K、下限は透明性の点で好ましくは35ppm/K、更に好ましくは40ppm/Kである。なお、通常のエポキシ樹脂硬化物の線膨張係数は70ppm/K程度である。線膨張係数の測定は、本発明による樹脂組成物を厚さ70μmで成形し、加熱硬化させた硬化物を、測定装置所定の大きさ(TMAの場合は幅3mm、長さ30mm)に切断し、測定装置所定の測定治具に装着し、昇温速度を5℃/分で200℃まで昇温して室温まで冷却した後、荷重32mmN、昇温速度を5℃/分で260℃まで昇温して、熱機械分析(TMA)又はディラトメータ測定により行う。
また、前記無機酸化物微粒子の、樹脂組成物中における含有量は、5〜70重量%の範囲となるように設定することが好ましい。前記含有量が5重量%未満では、機械的強度などの諸特性の向上が認められ難くなる。一方、前記含有量が70重量%を超えると、比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、コスト面でも不利となり、また衝撃強度の低下も無視できないものとなる。前記含有量は、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上であり、一方、60重量%以下が好ましく、更に50重量%以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物における無機酸化物微粒子の含有量は、空気中での熱重量分析による熱減量により測定され、その測定は、市販の熱重量分析計(TG−DTA)にて室温から600℃まで60分で昇温させ続いて600℃で60分保持して行う。
例えば、測定装置の概要などを以下に示す。
(i)測定装置のメーカー型番:
・粒度分布計:Marvern Instruments Ltd製 Zetasizer Nano ZS
・SEM:JEOL JSM−6700F
(ii)処理装置:
・ジェットミル:株式会社ジーナスPR02−30T−U
・表面改質装置:自作装置、加熱温度;30℃〜250℃、減圧;ダイヤフラムポンプ
(iii)処理条件:
・ジェットミル:10分間
・表面改質装置:減圧レベル10〜100Pa、撹拌速度10〜100rpm
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。なお、以下に示す各実施例及び各比較例において、粒度分布での分散状態は、以下のようにして評価した。
(i)粒度分布計による粒度分布:Marvern Instruments Ltd製 Zetasizer Nano ZSを用いた。
また、実施例、比較例中で記載する各原料は、以下のものを使用した。
(i)シリカ微粒子:
・シリカ微粒子:電気化学工業株式会社製、超微粒子シリカ UFP−80 平均1次粒子径約34nm
・シリカ微粒子:日産化学製、球状コロイダルシリカ スノーテックスST、平均1次粒子径約20nm
(ii)イミダゾール化合物:
・1−(トリエトキシシリルペンチル)イミダゾール
(iii)熱硬化樹脂モノマー:
・エポキシモノマー:ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ樹脂828、分子量約370)
[参考実施例1、2及び参考比較例1〜5](無機酸化物微粒子への有機修飾層1の付加):
シリカ微粒子として、デンカ溶融シリカ(電気化学工業(株)製UFP−80、平均1次粒子径約34nm)を用い、前記シリカ微粒子を、次の化学式で表される1−(トリエトキシシリルペンチル)イミダゾールで表面処理し、前記シリカ微粒子の表面にエポキシ基の付加反応を行った。この時の処理フローを図1に示す。
なお、前記シリカ微粒子の処理量は、1−(トリエトキシシリルペンチル)イミダゾールの比重量1.15、分子量300、シリカ微粒子の表面積より、必要処理量を計算し、表面厚みを0.5nmになるよう調整し、アセトン、DMFを加え、表1中の実施例1の配合原料とした。
また、表面厚みを2.1nmになるように調整した物を実施例2とした。さらに、表面厚みが0.1nmとなるものを比較例1とした。また、表1に示すように、参考実施例1、2及び参考比較例1〜5とした。
Figure 2009173846
Figure 2009173846
上記の配合を超音波ホモジナイザー(US−300T、日本精機製作所製)を用いて10分間混合撹拌した。これを、ジェットミル(株式会社ジーナス製PR02−30T−U)を用いて、200MPaの処理圧力、1〜1000ml/minの流量で1分間〜1時間処理することで、シリカ微粒子を解砕し、1−(トリエトキシシリルペンチル)イミダゾールをシリカ表面に修飾する。この処理溶液を140℃に加熱し、10〜100Paに減圧処理することで低沸点溶媒であるアセトンを溜去し、有機修飾層1を固定化した。
[実施例1、2](無機酸化物微粒子への有機修飾層1、有機修飾層2の付加):
さらに、参考実施例1、2における有機修飾層1を固定化したものを、図2の処理フローに従い、超音波ホモジナイザー(US−300T、日本精機製作所製)を用いて1〜10分混合撹拌し、これを、ジェットミル(株式会社ジーナス製PR02−30T−U)を用いて、200MPaの処理圧力、1〜1000ml/minの流量で1分間〜1時間処理することで、イミダゾールシランカップリング剤で表面処理されたシリカ微粒子の最外層にエポキシモノマーを有機修飾層2として持つシリカ微粒子を作製した。
このシリカ微粒子溶液の製造直後の状態と、製造後15日間経過した時の粒度分布の変化を、実施例1につき図3、実施例2につき図4に示す。この図で、シリカ微粒子が本溶液中で安定に存在していることが示されている。
[比較例1](無機酸化物微粒子の分散処理):
実施例1、2の処理方法を施したものであるが、処理原料として、イミダゾールシランカップリング剤を配合せず、エポキシ樹脂モノマーも配合していないものである。
[比較例2](無機酸化物微粒子への有機修飾層1の付加):
実施例1、2の処理方法を施したものであるが、処理原料として、イミダゾールシランカップリング剤の処理量が1wt%で、エポキシモノマーのビスフェノールAエポキシを配合していないものである。
このシリカ微粒子溶液の製造直後の状態と、製造後15日間経過した時の粒度分布の変化を、図5に示す。この図で、シリカ微粒子が本溶液中で安定せず、凝集してしまったことが示されている。
[実施例3](樹脂組成物の製造):
ビフェニル骨格を有する多官能エポキシ樹脂(日本化薬株式会社:NC−3000H)100重量部をDMF溶媒80重量部中で溶解した溶液に、前記実施例1で得られたシリカ微粒子を配合し、攪拌した後、ビフェニル骨格を有するフェノール硬化剤(明和化成株式会社:MEH−7851−H)を80重量部加え、更に良く攪拌した。
得られた溶液を厚さ約100μmのシート状となるように成形、乾燥した後、加熱硬化(180℃3時間)して、シート状の成形品を得た。前記成形品のTgをTMAによるTg測定を行った結果、165℃であった。
シート状の成形品中で、シリカ微粒子が分散していることを把握するため、走査型電子顕微鏡(SEM:JEOL JSM−6700F)により破断面の観察を行った結果を図6に示す。図6は、破断面のSEM写真像であるが、シリカ微粒子が樹脂とよく相溶していることが解る。また、切断研磨したSEM写真像を図7に示す。図7から、シリカ粒子が高分散であることが解る。
[比較例3](樹脂組成物の製造):
ビフェニル骨格を有する多官能エポキシ樹脂(日本化薬株式会社:NC−3000H)の溶融液に、前記比較例1で得られたシリカ微粒子を配合し、攪拌した後、ビフェニル骨格を有するフェノール硬化剤(明和化成株式会社:MEH−7851−H)を配合し、実施例3と同一比率のイミダゾールシランカップリング剤を配合撹拌した後、実施例3と同様にしてシート状の成形品を得た。前記成形品のTgをTMAによるTg測定を行った結果、156℃であった。
実施例3で示したものと同様の切断研磨面のSEM写真像を図8に示す。図8では、シリカの凝集が多く観察された。
ここで、「入門エポキシ樹脂」(室井、石村 共著 高分子刊行会)164ページ記載のように、熱硬化樹脂のTgは、3次元の網目構造の橋かけ点間平均分子量(架橋点間分子量)が小さくなるほど、高くなり、大きくなると低くなる。前記実施例3では、すなわち、有機修飾されたシリカ微粒子が高分散された状態では、シリカ微粒子が樹脂を拘束する点が多く存在するため、擬似的に橋かけ構造が密になり、Tgが上昇するものと、思われる。加えて、シリカ微粒子の有機修飾層が樹脂と化学的に結合し、樹脂との相互作用が更に高まり、橋かけ構造をも形成していると思われる。しかし、比較例3のように、シリカ微粒子の凝集が多く存在する場合には、シリカ微粒子が樹脂を拘束する点が少ないため、Tgの向上が比較的に小さい。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ペンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。
本発明の有機修飾無機酸化物微粒子、分散スラリ並びに、本発明の樹脂組成物は、樹脂の持つ柔軟性や製造性を犠牲にすることなく、高い耐熱性と寸法安定性を実現し、ソリなどを抑制し得るという特性を兼ね備えているため、これらの機能が要求される部材に好適であり、例えば、電子機器のプリント配線板、銅張り積層板などの絶縁フィルムとしての使用や、自動車内装材として計器盤の透明カバーなどに、自動車外装材では窓ガラス(ウィンドウ)やヘッドランプ、サンルーフ及びコンビネーションランプカバー類などに、更には、家電や住宅に用いられる透明部材・備品・家具などに用いることができる。
本発明のイミダゾール基を有する有機修飾層1を持つ無機酸化物微粒子の製造に関するフローシートである。 本発明の有機修飾層1と有機修飾層2を有する無機酸化物微粒子の製造に関するフローシートである。 本発明の実施例1において、有機修飾層1と有機修飾層2を有するシリカ微粒子溶液の製造直後の状態と、製造後15日間経過した時の粒度分布の変化を示す図である。 本発明の実施例2において、有機修飾層1と有機修飾層2を有するシリカ微粒子溶液の製造直後の状態と、製造後15日間経過した時の粒度分布の変化を示す図である。 本発明の比較例2において、有機修飾層1を有するシリカ微粒子溶液の製造直後の状態と、製造後15日間経過した時の粒度分布の変化を示す図である。 本発明の実施例3の樹脂組成物を用いて作製した成形品の破断面SEM写真(凝集無し)である。 本発明の実施例3の樹脂組成物を用いて作製した成形品の切断研磨面SEM写真(凝集無し)である。 本発明の比較例3の樹脂組成物を用いて作製した成形品の切断研磨面SEM写真(凝集有り)である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されるイミダゾール化合物により表面修飾された無機酸化物微粒子が有機溶媒中に分散された溶液と、該イミダゾール化合物と結合可能な熱硬化樹脂モノマーとを加熱処理したことを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子。
    Figure 2009173846
    [一般式(1)中、Mは、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な3価又は4価の金属元素を示し、mは0又は1であり、nはメチレン基の連鎖数を表す2〜8の整数であり、*1−、*2−及び*3−の少なくとも1つは、無機酸化物微粒子の表面と結合可能な結合種であって、無機酸化物微粒子の表面と結合が可能な官能基を有する。]
  2. 前記熱硬化樹脂モノマーは、1つ以上のグリシジルエーテル基を有することを特徴とする請求項1に記載の有機修飾無機酸化物微粒子。
  3. 前記無機酸化物微粒子の平均1次粒子径が50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機修飾無機酸化物微粒子。
  4. 前記イミダゾール化合物の表面修飾処理量は、無機酸化物微粒子に対し、重量比で5〜50%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機修飾無機酸化物微粒子。
  5. 前記無機酸化物微粒子は、シリカ微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機修飾無機酸化物微粒子。
  6. 前記シリカ微粒子は、溶融シリカ又はコロイダルシリカであることを特徴とする請求項5に記載の有機修飾無機酸化物微粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機修飾無機酸化物微粒子を、エポキシ樹脂中に分散したことを特徴とする樹脂組成物。
  8. 前記有機修飾無機酸化物微粒子の含有量は、樹脂組成物全量に対し、5〜70重量%であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機修飾無機酸化物微粒子の製造方法であって、
    平均1次粒子径が50nm以下である前記無機酸化物微粒子の表面に、イミダゾール基を有する有機修飾層1を形成する工程と、
    前記工程で形成された有機修飾無機酸化物微粒子を、前記熱硬化樹脂モノマーの原料と混合する工程と、
    得られた混合物を50〜170℃の温度範囲で加熱し、有機修飾層2を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機修飾無機酸化物微粒子を、溶媒中に分散させた有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリであって、有機修飾無機酸化物微粒子の固形分濃度が1〜80%であることを特徴とする有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリ。
  11. 請求項9に記載の有機修飾無機酸化物微粒子の製造方法において、
    前記無機酸化物微粒子の表面にイミダゾール基を共有結合させて、有機修飾層1を有する有機修飾無機酸化物微粒子を熱硬化樹脂モノマーと混合し、加熱処理することで有機修飾層2を固定化し、熱硬化樹脂モノマー中に分散させ、有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリを形成することを特徴とする請求項10に記載の有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリの製造方法。
  12. 前記熱硬化樹脂モノマーは、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA グリシジルエーテル)であることを特徴とする請求項11に記載の有機修飾無機酸化物微粒子分散スラリの製造方法。
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