JP2009173831A - サイド部補強ゴム組成物およびランフラットタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム組成物の加工性を改善し、耐久性に優れたランフラットタイヤのサイド補強層用のゴム組成物を提供する。
【解決手段】 ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部と、一般式(1)で示されるシラン化合物を前記シリカの配合量の2〜30質量%含む、ランフラットタイヤのサイド部補強ゴム組成物。
(A)n−Si−Y(n−4) (1)
ここで、Aは、CH3CH2O−またはCH3O−で示される官能基であり、YはC65−、CH3−、CH3n(2n+1)−、CXm3-mn(2n+1)−(m、nは1〜4の整数であり、Xはハロゲンを示す。)で示される官能基である。
【選択図】図1

Description

本発明はランフラットタイヤのサイド部補強層に用いられるゴム組成物およびそれを用いたランフラットタイヤに関する。
一般にランフラットタイヤは、サイドウォール部の内側に高硬度のゴムよりなるサイド部補強層を配置する構造であり、パンクの際の内圧が低下した状態においても一定距離の走行が可能となりサービスステーションにたどり着くことが可能となる。このランフラットタイヤの装着により、スペアタイヤを常備する必要性がなくなり、車輌全体における質量の軽量化が期待できる。しかし、従来のランフラットタイヤのパンク時における走行速度および走行距離は十分ではなく、ランフラットタイヤの耐久性の一層の向上が期待されている。
従来、ランフラットタイヤの耐久性を向上させる技術として、タイヤサイド部の補強ゴムを厚くすることにより走行時の繰り返し変形を軽減し、破損を防ぐ方法がある。しかし、タイヤの質量が大きくなりランフラットタイヤの軽量化が達成できない。また、ランフラットタイヤの耐久性を向上させる他の技術として、カーボンブラックなどの補強用充填剤を増量することで補強用ゴムの硬度を上げ、走行時の変形量を抑える方法がある。しかし、混練り工程および押出し工程における負荷が大きく、また、加硫後物性において発熱性が高くなることから、ランフラット耐久性の向上は十分でない。
また前記耐久性を向上させるため、カーボンブラックを増量することなく加硫剤および加硫促進剤を多量に用いることも試みられている。この技術で加硫密度を上げ、変形、発熱を抑えることはできるが、ゴムの伸びが小さくなり破壊強度が低下する傾向が生じる。一方、タイヤのサイドウォール用ゴムに、雲母類などの薄板状天然鉱石を配合する技術も提案されている。しかしゴム組成物は耐屈曲性能が必要とされるため、硬度が低いためサイド補強用ゴムとして用いても荷重を支持するには不充分である。
特許文献1(特開2006−124473号)には、低発熱性および高硬度を両立して、ランフラットタイヤの耐久性を改善するゴム組成物として、ゴム成分100重量部に対して、カーボンブラックを10〜100重量部、および一般式
−(R−Sn−(式中、Rは(CH2−CH2−O)m−CH2−CH2、Aは3〜6の整数、nは10〜400の整数であり、mは2〜5の整数を表わす。)を満足する化合物を3重量部以上含有するタイヤ用ゴム組成物が開示されている。
特開2006−124473号公報
本発明はランフラット走行時の繰り返し屈曲変形においてサイド部補強層のゴム組成物の剛性を維持し発熱性が抑制でき、しかもゴムの混練り時に粘度を低減することで加工性に優れたサイド部補強層のゴム組成物を提供する。そして該ゴム組成物をランフラットタイヤのサイド部補強層に使用することで、パンク時の耐久性を改善して走行距離および速度を向上したランフラットタイヤを提供する。
本発明は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部と、一般式(1)で示されるシラン化合物を前記シリカの配合量の2〜30質量%含む、ランフラットタイヤのサイド部補強ゴム組成物である。
(A)n−Si−Y(n−4) (1)
ここで、Aは、CH3CH2O−またはCH3O−で示される官能基であり、YはC65−、CH3−、CH3n(2n+1)−、CXm3-mn(2n+1)−(m、nは1〜4の整数であり、Xはハロゲンを示す。)で示される官能基である。
前記ジエン系ゴム成分には、天然ゴム及び/またはエポキシ化天然ゴムを含むことが望ましい。
また本発明は、前記サイド部補強ゴム組成物をサイド部補強層に用いたランフラットタイヤに関する。
本発明は、サイド部補強層のゴム組成物にシリカとともに式(1)で示されるシラン化合物を併用したため、ランフラット走行時の屈曲変形においてサイド部補強層の剛性により変形量が軽減でき、またゴム組成物の発熱性が抑制できる。さらにゴムの混練り時に粘度を低減することができ加工性に優れたサイド部補強層のゴム組成物を提供する。
本発明は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部と、特定のシラン化合物を前記シリカの配合量の2〜30質量%含む、ランフラットタイヤのサイド部補強ゴム組成物である。以下、本発明を詳細に説明する。
<ジエン系ゴム成分>
本発明ではジエン系ゴム成分として天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(1,2BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPBd結晶)を含有するスチレンブタジエンゴム(以下、「PBd結晶SBR」という。)などが使用できる。これらのゴム成分は1種類または2種類を混合することができる。
前記SPBd結晶SBRを使用する場合は、SPBd結晶を5〜60質量%含んでいることが好ましい。SPBd結晶が5質量%以上のものは、ゴム組成物の強度を高めることができ、SPBd結晶が60質量%以下とすることで、加工性を維持する。SPBd結晶SBRを使用する場合は、ゴム組成物の剛性を高めランフラット性を改善するためジエン系ゴム成分中に20〜80質量%が混合できる。
本発明のゴム組成物をサイド部補強層に使用する場合、ゴム組成物の発熱性を軽減するためにジエン系ゴム成分中におけるポリブタジエンゴム(BR)の含有率を10質量%〜90質量%の範囲で混合できる。ポリブタジエンゴムが少ないとゴム組成物の発熱性が悪くなる傾向にある。一方、90質量%を超えるとゴム組成物の破壊強度が低下する傾向にあり、より好ましくはポリブタジエンゴム(BR)の含有率は20質量%〜80質量%である。
またジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)および/またはポリイソプレンゴム(IR)の含有率が10質量%〜90質量%であることが好ましい。天然ゴム(NR)および/またはポリイソプレンゴム(IR)の含有率が、10質量%未満では、ゴム組成物の伸び率が低く、生産性が低下する傾向がある。また、該含有率はゴム成分中に90質量%を超えるとランフラット走行時の発熱により、ゴムが劣化しランフラット性能が低下する傾向がある。
なお、ジエン系ゴムに天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱たんぱく天然ゴムなどの石油外資源の比率を高めることで地球に優しく、さらに将来の石油の供給量の減少に備えることができる。
<シリカ>
本発明のゴム組成物ではゴム成分100質量部に対してシリカが30〜100質量部、好ましくは50〜80質量部を配合する。シリカの配合量が30質量部未満ではゴム組成物の剛性が得られず、100質量部を超えるとシリカがゴム組成物中の分散が悪くなり、発熱性が高く、またゴム組成物の粘度が高くなる傾向がある。
前記シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は70〜300m2/gが好ましい。N2SAが70m2/g未満のシリカでは分散性改良効果や補強効果が小さくなる傾向があり、300m2/gを超えるシリカでは分散性が悪く、ゴム組成物の発熱性が増大する傾向がある。
シリカの種類は、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などを使用することができ、湿式法シリカが好ましく用いられる。好適な湿式法シリカとしては、たとえば、デグッサ社製ウルトラシル(Ultrasil) VN3(商品名)、日本シリカ工業(株)製のニップシールVN3 AQ(商品名)などが挙げられる。
<シラン化合物>
本発明のゴム組成物は、次の一般式(1)で示されるシラン化合物が配合される。
(A)n−Si−Y(n−4) (1)
ここで、Aは、CH3CH2O−またはCH3O−で示される官能基であり、YはC65−、CH3−、CH3n(2n+1)−、CXm3-mn(2n+1)−(m、nは1〜4の整数である。Xはハロゲンを示す)で示される官能基である。
上記一般式(1)で示されるシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランが上げられる。
前記シラン化合物は、シリカの配合量の2〜30質量%の範囲である。シラン化合物が2質量%未満の場合、シリカを配合することによるゴム組成物の粘度の増加を抑制することができず、一方、30質量%を超えるとゴム組成物の発熱性が悪くなる。
<シランカップリング剤>
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としてはとくに限定はないが、具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特にゴム組成物の加工性を改善するため、デグッサ社製(Si69:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグッサ社製(Si266:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、Si75、Si363、NAT、NAT−LV、NAT−ULV、NAT−Zを使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が1質量部未満では、加工性およびシリカの分散性が悪化し補強効果が低下する傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が15質量部をこえると、シランカップリング剤を配合することによる効果がみられずコストが増大する傾向がある。
<硫黄、硫黄化合物>
本発明のゴム組成物に用いられる硫黄または硫黄化合物としては、硫黄の表面析出を抑えるという観点から不溶性硫黄が好ましい。不溶性硫黄は、平均分子量が10,000以上、特には100,000以上で、500,000以下、特には300,000以下が好ましい。平均分子量が10,000未満では、低温での分解が起こりやすく表面析出しやすい傾向があり、500,000をこえるとゴム中での分散性が低下する傾向がある。
本発明における硫黄化合物1は、一般式(2)を満たす。
−(R−Sn− (2)
(式中、Rは(CH2−CH2−O)m−CH2−CH2、Aは3〜6の整数、nは10〜400の整数であり、mは2〜5の整数を表わす。)
前記硫黄化合物は加硫剤として用いられ、その他の加硫剤として硫黄、好ましくは不溶性硫黄と併用することが可能である。
式中、Aは3〜6の整数、好ましくは3〜5の整数である。Aが3未満では、加硫が遅延される傾向があり、Aが6をこえると、ゴム組成物の製造が困難となる。式中、nは10〜400の整数、好ましくは10〜300の整数である。nが10未満では、化合物1が揮発しやすく取り扱いが困難になり、nが400をこえると、ゴムとの相溶性が悪化する。式中、mは2〜5の整数、好ましくは2〜4の整数、さらに好ましくは2〜3の整数である。mが2未満では、屈曲性能が低下する傾向があり、mが5をこえると、ゴム組成物の硬度が不充分となる傾向がある。
硫黄化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上で10質量部以下ある。配合量が0.5質量部未満では、充分なランフラット性能が得られない。配合量が10質量部を超えると所定のゴム硬度が得られにくい傾向がある。
前記硫黄化合物を配合することで、(−S−CH2−CH2−O−)および(−S−O−)結合を含む架橋ユニットをゴムに導入することができ、加硫速度およびスコーチに影響を与えることなく、リバージョンを大幅に抑制することができる。また、一般の硫黄架橋では充分に得られないゴム組成物の耐熱性や、動的なストレスに対する耐性を得ることが可能である。さらに、ブルームしにくいため、外見上においても良好なゴム組成物を得ることができる。
硫黄と硫黄化合物を併用する場合の合計配合量は、2質量部以上、さらには3質量部以上であることが好ましく、10質量部以下、さらには8質量部以下であることが好ましい。硫黄および硫黄化合物が2質量部未満では、充分な硬さが得られない傾向があり、10質量部をこえると、未加硫ゴムの貯蔵安定性が損なわれる傾向がある。
<カーボンブラック>
本発明のゴム組成物にカーボンブラックを用いる場合は、低発熱性を維持するため、FEF、FPFなどのソフトカーボンが好ましい。例えば、窒素吸着比表面積(N2SA)は、30m2/g以上であり、好ましくは35m2/g以上である。N2SAが30m2/g未満では補強性が不足し、充分な耐久性が得られない。また、該カーボンブラックのN2SAは、100m2/g以下であり、好ましくは90m2/g以下、より好ましくは80m2/g以下である。N2SAが100m2/gを超えると、発熱性が高くなる。
前記カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)は、50ml/100g以上、好ましくは80ml/100g以上である。DBP吸油量が50ml/100g未満では、充分な補強性を得ることが困難になる。
前記カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。カーボンブラックが10質量部より少ないと、充分なゴム強度が得られない。また、カーボンブラックの含有量は100質量部以下であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。カーボンブラックが100質量部をこえると、ゴム組成物の粘度が上昇し、ゴムの混練り、押出しが困難になり、ランフラットタイヤのサイド部補強層に使用した場合ランフラット走行時の発熱が大きくなる。
<他の配合剤>
さらに、本発明のサイド補強用ゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常のゴム配合に用いられる酸化亜鉛、ワックス、ステアリン酸、オイル、老化防止剤、加硫促進剤などを含んでもよい。
前記加硫促進剤は、例えばスルフェンアミド系促進剤は、遅延系加硫促進剤として、製造過程において焼けが起こりにくく、加硫特性に優れているので、最も良く使用される。また、スルフェンアミド系促進剤を用いたゴム配合は、加硫後ゴム物性においても外力による変形に対して発熱性が低いため、ランフラットタイヤの耐久性が向上する。
スルフェンアミド系促進剤としては、たとえば、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、CBS(N-シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、DZ(N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)などが挙げられる。その他の加硫促進剤としては、たとえば、MBT(メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、DPG(ジフェニルグアニジン)などを用いることができる。
<ランフラットタイヤ>
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明のランフラットタイヤ1示す正規内圧状態におけるタイヤ断面図である。
図1において、本実施形態のランフラットタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層9を具えている。
前記カーカス6は、タイヤ周方向に対して45〜90°の角度で配列されるカーカスコードをトッピングゴムにより被覆した1枚以上のカーカスプライから形成される。図1では、カーカスコードを80〜90°の角度で配列した1枚のカーカスプライからなる場合が示されている。前記カーカスプライ6は、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを備える。
そして前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、例えばゴム硬度が65〜98度の硬質のゴムからなり、前記ビードコア5から半径方向外側に先細状にのびるビード補強用のビードエーペックス8が配される。ここでゴム硬度は、温度23℃で測定したデュロメータータイプAによる硬さを意味する。このビードエーペックス8のビードベースラインBLからのタイヤ半径方向の高さHaは、低くすぎるとランフラット耐久性が不充分となり、逆に高すぎるとタイヤ質量の過度の増加や乗り心地の悪化を招く恐れがある。かかる観点より、ビードエーペックス8の前記高さHaは、タイヤ断面高さの10〜60%、好ましくは20〜50%に設定される。
前記カーカス6のプライ折返し部6bが、前記ビードエーペックス8を半径方向外側に超えて巻き上がり、その外端部が、プライ本体部6aと前記ベルト層9との間に挟まれて終端する構造を具える。これにより、1枚のカーカスプライ6を用いて、サイド部を効果的に補強しうる。前記プライ折返し部6bとベルト層9との重なり部のタイヤ軸方向巾は、5mm以上で40mm以下に設定されることが好ましい。なお前記カーカス6が複数枚のカーカスプライから形成される場合には、少なくとも1枚のカーカスプライがこの態様をなすのが好ましい。
次に、前記ベルト層9の上側にはバンド7が積層されている。前記ベルト層9は、タイヤ周方向に対して例えば10〜45°の角度で配列したベルトコードをトッピングゴムにて被覆した2枚以上、本例では2枚のベルトプライで形成される。各ベルトコードは、プライ間相互で交差することによりベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強する。
また前記バンド7は、タイヤ周方向に対して5°以下の角度で螺旋状に巻回されるバンドコードをトッピングゴムにて被覆した1枚以上のバンドプライからなり、前記ベルト層9を拘束し、操縦安定性、高速耐久性等を向上させる。前記バンドは、図1に示す如くベルト層9の略全巾を覆うフルバンドプライのほか、ベルト層9のタイヤ軸方向外端部のみを被覆する左右一対のエッジバンドプライを採用できる。
また前記サイドウォール部3には、ランフラット機能を確保するためのサイド部補強層11が配される。このサイド部補強層11は、最大厚さTmを有する中央部分から、タイヤ半径方向内端11a及び外端11bに向かってそれぞれ厚さを徐々に減じてのびる断面三日月状をなす。前記内端11aは、ビードエーペックス8の外端よりもタイヤ半径方向内側に位置し、前記外端11bは、ベルト層9の外端よりもタイヤ軸方向内側に位置する。このとき、サイド部補強層11とビードエーペックス8とのタイヤ半径方向の重なり巾Waを5〜50mmとするのが好ましく、これにより前記外端11b及び内端11aでの剛性段差を緩和する。
前記サイド部補強層11は、本例では、カーカス6のプライ本体部6aの内側(タイヤ内腔側)に配される。そのため、サイドウォール部3の曲げ変形時には、サイド部補強層11には主として圧縮荷重が、またコード材を有するカーカスプライ6aには主として引張荷重が作用する。ゴムは圧縮荷重に強く、かつコード材は引張荷重に強いため、上記のようなサイド部補強層11の配設構造は、サイドウォール部3の曲げ剛性を効率良く高め、ランフラット走行時のタイヤの縦撓みを効果的に低減しうる。なおサイド部補強層11のゴム硬度(ショアA)は、60度以上、さらには65度以上であるのが好ましい。前記ゴム硬度が60度未満であると、ランフラット走行時の圧縮歪が大きくなって、ランフラット性能が不充分となる。逆にゴム硬度が高すぎても、タイヤの縦バネ定数が過度に上昇して乗り心地性を低下させる。このような観点より、前記サイド部補強層11のゴム硬度の上限は90度以下、さらには80度以下が好ましい。またサイド部補強層11の最大厚さTmは、タイヤサイズや、タイヤのカテゴリ等によって異なるが、乗用車用タイヤの場合は5〜20mmの範囲に設定される。
なお図1において、前記ビード部4には、リムプロテクトリブ12が凸設される場合が例示される。このリムプロテクトリブ12は、リムフランジJFを覆うようにタイヤの外側輪郭線から突出するリブ体である。ランフラット走行時には、リブ体の内側の斜面部がリムフランジJFの円弧部に寄りかかって接触するため、ビード変形量を軽減でき、ランフラット時の操縦安定性及びランフラット耐久性の向上に役立つ。
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に、実施例および比較例で用いた配合成分をまとめて示す。
実施例1〜5および比較例1〜4
表1に示す配合内容にしたがって、神戸製鋼製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、不溶性硫黄および加硫促進剤以外の成分を、150℃で4分間混練りした。得られた混練り物に不溶性硫黄と加硫促進剤を加えてオープンロールを用いて、80℃で2分間練り込んで未加硫ゴム組成物を得た。さらに未加硫ゴム組成物を幅3cm、厚さ1mmのテープ形状に押出し、ランフラットタイヤのサイド部補強層の形状に螺旋状に巻き付け、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを成形し、150℃で、30分間のプレス加硫すること加硫ゴム組成物を作製した。
以下の各評価を行なった。評価結果を表1に示す。
Figure 2009173831
(注1)NR:SIR20。
(注2)シリカ:デグサ社製のシリカVN3(窒素吸着比表面積:175m2/g)。
(注3)シリル化合物:信越化学社製のKBE103(フェニルトリエトキシシラン)。
(注4)老化防止剤:住友化学工業(株)製の老化防止剤FR。
(注5)ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」。
(注6)酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華。
(注7)硫黄:鶴見化学社製。
(注8)加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD。
(注9)加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)。
<工程通過性、ムーニー粘度>
ムーニー粘度(ML(1+4)@130℃)の値を測定し、実施例1の値を100として
、その相対値で指数評価をした。数字が小さいほうが粘度が小さく工程通過性に優れていることを示す。
工程通過性は、ムーニー粘度(ML(1+4)@130℃)の指数が100を超えるものを×印とし、100未満のものを○印とした。
<ランフラット性能、粘弾性特性>
加硫ゴム組成物から、所定のサイズのゴム試験片を切り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、測定温度70℃、初期歪み10%、動歪み±2%、周波数10HzにてE*(複素弾性率)を測定した。実施例1の値を100として、その相対値で指数評価をした。数字が小さいほうがランフラット性が優れている。
<評価結果>
表1から、シリル化合物を配合した実施例1〜5は、工程通過性(加工性)及び耐久性に優れていることがわかる。比較例1は、シリル化合物を配合していない例、比較例2はシリル化合物がシリカの40質量%と多い例、比較例3はシリカの配合量が120質量部と多い例、比較例4はシリカの配合量が20質量部と少ない例であり、いずれも工程通過性又は、耐久性に問題があることがわかる。
本発明によればランフラット性能に優れたサイド部補強層のゴム組成物およびそれを用いたランフラットタイヤが提供される。そして本発明は乗用車用タイヤに限定されず、軽トラック用タイヤ、トラックバス用タイヤ、自動二輪車等のランフラットタイヤにも適用することが可能である。
本発明のランフラットタイヤの断面図の右半分を示す。
符号の説明
1 ランフラットタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウオール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、7 バンド、8 ビードエーペックス、9 ベルト層、11 サイド部補強層、12 リムプロテクトリブ。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部と、一般式(1)で示されるシラン化合物を前記シリカの配合量の2〜30質量%含む、ランフラットタイヤのサイド部補強ゴム組成物。
    (X)n−Si−Y(n−4) (1)
    ここで、Xは、CH3CH2O−またはCH3O−で示される官能基であり、YはC65−、CH3−、CH3n(2n+1)−、CXm3-mn(2n+1)−(m、nは1〜4の整数であり、Xはハロゲンを示す。)で示される官能基である。
  2. ジエン系ゴム成分には、天然ゴム及び/またはエポキシ化天然ゴムを含む請求項1記載のサイド部補強ゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のサイド部補強ゴム組成物をサイド部補強ゴム層に用いたランフラットタイヤ。
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