JP2009173469A - 高濃度酸化錫ito焼結体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化錫濃度が20〜50質量%であっても、7.0g/cm3以上という高密度の高濃度酸化錫ITO焼結体を安定して多量に生産する。
【解決手段】 酸化ジルコニウムが0.1〜0.5質量%、酸化錫が20〜50質量%となるように、酸化ジルコニウム粉末、酸化錫粉末および酸化インジウム粉末を秤量し、酸化錫粉末および酸化ジルコニウム粉末を、水および分散剤と混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで粉砕し、これに酸化インジウム粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を加えて混合および粉砕し、噴霧乾燥させることにより造粒粉を得て、該造粒粉を加圧成形することにより成形体を得て、該成形体を常圧の酸素雰囲気中で焼成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレイ、およびタッチパネル等に用いる透明導電膜を形成する際に用いるITO焼結体およびその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレイ、およびタッチパネル等に用いる透明導電膜として、ITO膜が広く用いられている。
このようなITO膜を形成するための代表的な方法であるスパッタング法においては、ITO焼結体が原料として使用される。スパッタリング法でITO膜を成膜するためのターゲットとなるITO焼結体は、酸化インジウム粉末および酸化錫粉末、あるいは必要により酸化インジウム酸化錫合成粉末を原料として、加圧成形し、焼き固めるという粉末焼結法によって製造されている。
かかるITO膜には、フィルム基板などの各種基板に対する成膜への要請から、非晶質化または高曲げ性能などの特性が要求されている。また、タッチパネル用途では、ITO膜に高抵抗化が要求されている。ITO膜における酸化錫の濃度を20%以上とすることにより、かかる要求に応えることが可能となる。
このような高濃度酸化錫ITO膜の成膜には、ターゲットであるITO焼結体における酸化錫の濃度も同様に高濃度とすることになる。しかしながら、酸化錫は、酸化インジウムに比べて蒸気圧が高いため、焼結性において劣る。したがって、ITO焼結体は、酸化錫濃度を高くするにつれて、焼結性が悪化し、焼結体密度が低下するようになる。
ITO焼結体にとって、このような焼結体密度の低下、すなわち空孔の増加は、スパッタリング法による成膜時に、エロージョン近傍の突起物(ノジュール)発生、成膜速度の低下、または異常放電の原因となる。これらは、得られるITO膜における、膜厚分布の悪化、パーティクルの生成等の膜質の悪化を生じさせる。
また、高濃度酸化錫ITO焼結体には、割れやすいという問題がある。この原因としては、空孔の増加による焼結体密度の低下と、In4Sn312相の存在が挙げられる。In4Sn312相は、酸化錫と固溶する酸化インジウムとの中間化合物相であるが、酸化錫の含有量が増加するに従い、In4Sn312相の比率が高くなる。また、高濃度酸化錫ITO焼結体の主相となるIn4Sn312相は、層構造を有し、焼結時に歪みを蓄積しやすいとされる。焼結中に生成される空孔の増加および層状化合物の存在は、得られる高濃度酸化錫ITO焼結体の中の残留応力にも寄与し、加工中または保管中における高濃度酸化錫ITO焼結体の割れを発生させるという事態を招く。
これに対して、特開2003−27223号公報に記載されているように、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末を混合後、加圧成形および純酸素雰囲気中で加圧焼結する方法を用いたり、特開2004−143484号公報に記載されているように、原料粉末の比表面積および平均粒径を規制すると共に、その混合粉末をボールミルまたはビーズミルにて、20時間程度、混合粉砕する方法を用いたりして、高濃度酸化錫であっても高密度である高濃度酸化錫ITO焼結体を得ることが提案されている。
一方、ITO焼結体の焼結性および強度の向上と、低抵抗化を目的として、酸化ジルコニウムを原料粉末に添加することが提案されている。
例えば、特開平5−70942号公報に記載されているように、酸化錫を5〜15質量%含むITOターゲットにおいて、粉末の酸化インジウムと酸化錫に酸化ジルコニウムを0.01〜5質量%添加する方法を用いて、7.0g/cm3以上の高密度である焼結体を得ることが提案されている。
また、特開2004−315951号公報に記載されているように、酸化錫を1〜20質量%含むITOスパッタリングターゲットにおいて、酸化ジルコニウムを100〜280質量ppm添加する方法を用いて、ターゲットの破壊を抑制することが提案されている。
しかしながら、酸化ジルコニウムを添加した場合でも、酸化錫濃度が20質量%以上と高濃度になると、ITO焼結体において7.0g/cm3以上の高密度が達成されるわけではなく、また、加工中または保管中におけるターゲットの割れの発生も確認されている。
特開2003−27223号公報 特開2004−143484号公報 特開平5−70942号公報 特開2004−315951号公報
本発明の目的は、7.0g/cm3以上という高密度であり、かつ、残留応力による割れの問題もない高濃度酸化錫ITO焼結体、および、このような高濃度酸化錫ITO焼結体を安定して多量に生産することを可能とする製造方法を提供することにある。
本発明者等は、高濃度酸化錫ITO焼結体における高密度化および割れの抑制を実現するべく、研究を行った結果、酸化ジルコニウムを0.1〜0.5質量%添加すると共に、酸化ジルコニウム粉末を含めた原料粉末を、平均粒径が0.5μm以下になるまで微細に粉砕することで、焼結後において7.0g/cm3以上という高い焼結体密度を達成できるだけでなく、中間化合物相に起因する残留応力の影響も排除できるとの知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る高濃度酸化錫ITO焼結体は、20〜50質量%の酸化錫、および、0.1〜0.5質量%の酸化ジルコニウムを含有し、残部が酸化インジウムおよび不可避不純物からなり、7.0g/cm3以上の焼結体密度を有することを特徴とする。
かかる高濃度酸化錫ITO焼結体は、酸化ジルコニウムが0.1〜0.5質量%、酸化錫が20〜50質量%となるように、酸化ジルコニウム粉末、酸化錫粉末および酸化インジウム粉末を秤量し、酸化錫粉末および酸化ジルコニウム粉末を、水および分散剤と混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで粉砕し、これに酸化インジウム粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を加えて混合および粉砕し、噴霧乾燥させることにより造粒粉を得て、該造粒粉を加圧成形することにより成形体を得て、該成形体を常圧の酸素雰囲気中で焼成することを特徴とする本発明に係る高濃度酸化錫ITO焼結体の製造方法により得ることができる。
本発明により、高い焼結体密度を実現し、かつ、加工中および保管中に割れが発生しない高濃度酸化錫ITO焼結体を得ることが可能となる。また、スパッタリングターゲットとして用いることにより、フィルム基板等に適用し得るITO膜を安定して生産することが可能となる。
なお、本発明に係る高濃度酸化錫ITO焼結体は、スパッタリング法に用途が限定されることはなく、蒸着法、化学的気相成長法、その他の成膜方法の原料としても適用可能である。
本発明の高濃度酸化錫ITO焼結体は、酸化錫を20〜50質量%、酸化ジルコニウムを0.1〜0.5質量%、それぞれ含有し、残部が酸化インジウムおよび不可避不純物で構成される。
かかる高濃度酸化錫ITO焼結体の特徴は、酸化錫を20〜50質量%と高い濃度で含有しながら、ITO焼結体において7.0g/cm3以上と高い焼結体密度を達成している点にある。なお、本明細書において、焼結体密度とは、焼結体の質量と寸法の計測値とから算出された密度(かさ密度)をいう。
また、本発明により得られる高濃度酸化錫ITO焼結体では、空孔が減少し、高密度化することで、高強度となり、それにより残留応力の影響が抑制され、割れの発生もなくなる。
酸化ジルコニウムの濃度が、0.1質量%未満であるか、あるいは0.5質量%を超えると、高密度の高濃度酸化錫ITO焼結体は得られなくなる。酸化ジルコニウムの濃度は、0.2〜0.4質量%であることが好ましい。0.2質量%以上の方が高密度の焼結体が得易く、0.4質量%を超えると成膜時にノジュールおよび異常放電が発生する恐れが出てくるからである。
また、酸化錫粉末と酸化ジルコニウム粉末からなる混合粉の平均粒径が0.5μmを超えても、高密度の高濃度酸化錫ITO焼結体は得られず、また、得られたとしても、高濃度酸化錫ITO焼結体の中に残る残留応力により、割れが発生する。
本発明に係る高濃度酸化錫ITO焼結体の製造方法の特徴は、主成分である酸化インジウム粉末を混合する前において、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる混合粉末を平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下になるまで湿式粉砕する点にある。平均粒径が0.5μmを超えると、ITO焼結体の焼結体密度を十分に向上させることができない。平均粒径が小さくなるほど得られるITO焼結体において、より高い焼結体密度を得られるが、0.05μm以下とするには混合粉砕に時間がかかりすぎて操業上妥当でない。
具体的には、酸化錫粉末および酸化ジルコニウム粉末と、純水と、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩とを、粉末質量/(粉末質量+純水質量)で求められる混合粉の粉末濃度が、60〜80%となるように、好ましくは70〜75%となるように調合し、酸化錫と酸化ジルコニウムからなる混合粉の平均粒径が0.5μm以下となるまで混合粉砕を行う。混合粉砕には、硬質ZrO2ボールを用いたボールミルまたはビーズミルを用いることが好ましい。粉末濃度を70〜75%とすると、粉砕におけるボールの挙動がスムーズであり、粉末粉砕の進行が速く行われる。
その後、主成分である酸化インジウム粉末を加え、粉末質量/(粉末質量+純水質量+有機バインダー中の水分の質量)で求められる全原料粉の粉末濃度が、40〜70%となるように、好ましくは55〜60%となるように、純水、有機バインダーおよび分散剤を加え、さらに酸化錫、酸化ジルコニウムおよび酸化インジウムからなる全原料粉の平均粒径が0.5μm以下となるまで、混合粉砕を行う。
ここで、主成分である酸化インジウム粉末と、添加成分である酸化錫および酸化ジルコニウムを、同時に混合粉砕すると、この場合に得られる高濃度酸化錫ITO焼結体において、焼結体密度が向上し難くなる。
すなわち、焼結性が高く、平均粒径が1.0μm以下である酸化インジウム粉末を同時に粉砕するよりも、粒径が大きく焼結性の低い酸化錫粉末および酸化ジルコニウム粉末を重点的に微粉砕することが、焼結体密度を高くし、焼結性の向上に大きく寄与することになる。
したがって、前述の湿式混合粉砕工程により原料粉末を調整することが、酸化錫含有量が20〜50%と高く、かつ、7.0g/cm3以上という高い焼結体密度を有する高濃度酸化錫ITO焼結体を得る方法として有効である。
得られたスラリーを用いて、スプレードライヤーなどの乾燥設備を用いて造粒することにより、平均粒径が10μm以上である顆粒状の造粒粉を得ることが望ましい。これにより、流動性が向上し、成形型への充填が容易となる。さらに、造粒粉の水分量を調整し、造粒粉が硬くなりすぎないようにすることが望ましい。
次に、得られた造粒粉は、98MPa以上の圧力で加圧成形を行い、成形体とする。98MPa未満で成形を行うと、粒子間に存在する空孔を除去することが困難となり、得られる高濃度酸化錫ITO焼結体は、焼結体密度の低下をもたらす。また、成形体強度も低くなるため、安定した製造が困難となる。ここで、加圧成形を行う際には、高圧力が得られる冷間静水圧プレス(CIP)を用いることが望ましい。
得られた成形体は、常圧の酸素雰囲気中で、焼結保持温度を1500〜1600℃として焼結する。この時、成形体表面を酸化錫粉末で覆うようにすることが好ましい。これにより、焼結中に、ターゲット中に存在する酸化錫の揮発を抑制することが可能となる。なお、酸素雰囲気とは、純酸素雰囲気または高濃度酸素雰囲気をいう。
焼結保持温度が1500℃未満では、体積拡散および表面拡散が進行せず、得られる高濃度酸化錫ITO焼結体の高密度化が困難となる。焼結保持温度が1600℃を超えると、得られる高濃度酸化錫ITO焼結体の酸化錫揮発および炉床板との反応が激しくなる。
焼結時間は、20時間〜40時間が好ましい。20時間未満では、焼結体内部まで焼結が完了せず、高密度化が達成できない。40時間を超えると、得られる高濃度酸化錫ITO焼結体からの酸化錫揮発および炉床板との反応が激しくなる。
(実施例1)
平均粒径が0.4μmの酸化インジウム粉末と、平均粒径が1.4μmの酸化錫粉末を、質量比が60:40となるように、それぞれを秤量した。次に、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.36質量%となるように、平均粒径が2.5μmの酸化ジルコニウム粉末を秤量した。
その後、酸化錫粉末、酸化ジルコニウム粉末、純水および分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を、粉末質量/(粉末質量+純水質量)で求められる混合粉の粉末濃度が75質量%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。次に、硬質ZrO2ボールを投入したボールミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ2)を用いて、混合粉の平均粒径が0.11μmとなるように90時間、混合粉砕を行った。なお、粉末の粒度分布測定には、レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2200)を用いた。
その後、得られたスラリーに対して酸化インジウム粉末、純水、ポリビニルアルコールおよび分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を、粉末質量/(粉末質量+純水質量+有機バインダー中の水分の質量)で求められる全原料粉末の粉末濃度が60質量%であるスラリーとなるように加え、前述と同様に全原料粉末の平均粒径が0.5μm以下となるまで4時間、混合粉砕を行った。
得られたスラリーは、スプレードライヤー装置(大川原工機株式会社製、ODL−20型)にて噴霧乾燥し、顆粒状の造粒粉を作製した。得られた造粒粉を、常温にて196MPaの圧力にて成形した。得られた成形体は、表面を酸化錫粉末で覆い、1550℃で30時間、焼結処理した。
得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度は、7.15g/cm3であった。また、以上のようにして、30枚の高濃度酸化錫ITO焼結体を作製したが、いずれも焼結後および加工中の割れは発生しなかった。
(実施例2)
酸化ジルコニウム粉末を、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.30質量%となるようにしたことと、混合粉末の平均粒径が0.36μmとなるように40時間、混合粉砕を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、高濃度酸化錫ITO焼結体を作製した。
得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度は、7.12g/cm3であった。また、以上のようにして、20枚の高濃度酸化錫ITO焼結体を作製したが、いずれも焼結後および加工中の割れは発生しなかった。
(実施例3)
酸化ジルコニウム粉末を、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.17質量%となるようにしたことと、混合粉末の平均粒径が0.38μmとなるように40時間、混合粉砕を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、高濃度酸化錫ITO焼結体を作製した。
得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度は、7.04g/cm3であった。また、以上のようにして、20枚の高濃度酸化錫ITO焼結体を作製したが、いずれも焼結後および加工中の割れは発生しなかった。
(実施例4)
酸化ジルコニウム粉末を、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.32質量%となるようにしたことと、混合粉末の平均粒径が0.45μmとなるように40時間、混合粉砕を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、高濃度酸化錫ITO焼結体を作製した。
得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度は、7.07g/cm3であった。また、以上のようにして、20枚の高濃度酸化錫ITO焼結体を作製したが、いずれも焼結後および加工中の割れは発生しなかった。
(比較例1)
平均粒径が0.4μmの酸化インジウム粉末と、平均粒径が1.4μmの酸化錫粉末を、質量比が60:40となるように、それぞれを秤量した。次に、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.06質量%となるように、平均粒径が2.5μmの酸化ジルコニウム粉末を秤量した。
その後、酸化錫粉末、酸化ジルコニウム粉末、純水および分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を、粉末質量/(粉末質量+純水質量)で求められる混合粉の粉末濃度が75質量%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。次に、硬質ZrO2ビーズを投入したビーズミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ型)を用いて、混合粉の平均粒径が0.10μmとなるまで、混合粉砕を行った。なお、粉末の粒度分布測定には、レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2200)を用いた。 その後、得られたスラリーに対して酸化インジウム粉末、純水、ポリビニルアルコールおよび分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を、粉末質量/(粉末質量+純水質量+有機バインダー中の水分の質量)で求められる全原料粉末の粉末濃度が60質量%のスラリーとなるように加え、前述と同様に全原料粉末の平均粒径が0.5μm以下となるまで、混合粉砕を行った。
得られたスラリーは、スプレードライヤー装置(大川原工機株式会社製、ODL−20型)にて噴霧乾燥し、顆粒状の造粒粉を作製した。得られた造粒粉を、常温にて196MPaの圧力にて成形した。得られた成形体は、表面を酸化錫粉末で覆い、1550℃で30時間、焼結処理した。
得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度は、6.85g/cm3であった。また、以上のようにして、30枚の高濃度酸化錫ITO焼結体を作製したが、残留応力から焼結後に18枚、加工中に7枚の割れが発生した。
(比較例2)
酸化ジルコニウム粉末を、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.23質量%となるようにしたことと、混合粉の平均粒径が0.90μmとなるように1時間、混合粉砕を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、高濃度酸化錫ITO焼結体を作製した。
得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度は、6.77g/cm3であった。また、以上のようにして、30枚の高濃度酸化錫ITO焼結体を作製したが、残留応力から焼結後に4枚、加工中に12枚の割れが発生した。
(比較例3)
平均粒径が0.4μmの酸化インジウム粉末と、平均粒径が1.4μmの酸化錫粉末を、質量比が60:40となるように、それぞれを秤量した。次に、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.32質量%となるように、平均粒径が2.5μmの酸化ジルコニウム粉末を秤量した。
その後、酸化錫粉末、酸化ジルコニウム粉末、純水および分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を、粉末質量/(粉末質量+純水質量)で求められる混合粉末の粉末濃度が75質量%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。
得られたスラリーに対して酸化インジウム粉末、純水、ポリビニルアルコールおよび分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を、粉末質量/(粉末質量+純水質量+有機バインダー中の水分の質量)で求められる全原料粉の粉末濃度が60質量%のスラリーとなるように加え、硬質ZrO2ボールを投入したボールミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ2)を用いて、全原料粉末の平均粒径が0.7μm以下となるように10時間、混合粉砕を行った。
得られたスラリーは、スプレードライヤー装置(大川原工機株式会社製、ODL−20型)にて噴霧乾燥し、顆粒状の造粒粉を作製した。得られた造粒粉を、常温にて196MPaの圧力にて成形した。得られた成形体は、表面を酸化錫粉末で覆い、1550℃で30時間、焼結処理した。
全原料粉末の平均粒径が0.7μm以下に粉砕されたことにより、得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度が6.88g/cm3まで向上したが、以上のようにして作製した10枚の高濃度酸化錫ITO焼結体のうち、残留応力から焼結後に3枚、加工中に3枚の割れが発生した。
(比較例4)
酸化ジルコニウム粉末を、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末の総質量に対して0.31質量%となるようにしたことと、100時間、混合粉砕を行ったこと以外は、比較例3と同様にして、高濃度酸化錫ITO焼結体を作製した。
全原料粉の平均粒径が0.7μm以下に粉砕されたことにより、得られた高濃度酸化錫ITO焼結体の焼結体密度が6.92g/cm3まで向上したが、以上のようにして作製した10枚の高濃度酸化錫ITO焼結体のうち、残留応力から焼結後に1枚、加工中に3枚の割れが発生した。
Figure 2009173469
実施例1および2のように、酸化ジルコニウムの濃度が0.1質量%〜0.5質量%であり、かつ、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる混合粉の平均粒径が0.5μm以下である場合において、割れが発生しない高密度酸化錫ITO焼結体が得られた。
これらに対して、比較例1のように、酸化ジルコニウムの濃度が0.1質量%未満である場合、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる混合粉の平均粒径が0.5μm以下であっても、焼結体密度を7.0g/cm3以上にすることができない。
また、比較例2のように、全原料粉末の平均粒径が0.5μm以下であっても、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる混合粉末の平均粒径が0.5μmを超える場合や、比較例3および4のように、全原料粉末を同時に粉砕する場合には、高密度化を達成することができなかった。比較例4で行った100時間より長い時間、粉砕を行ってはいないが、100時間以上の粉砕は、工業的に困難である。
したがって、割れが発生しない高濃度酸化錫ITO焼結体を安定して多量に生産するためには、酸化ジルコニウムを0.1〜0.5質量%添加し、かつ、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる混合分の平均粒径を0.5μm以下に小さくすることが必要である。

Claims (2)

  1. 20〜50質量%の酸化錫、および、0.1〜0.5質量%の酸化ジルコニウムを含有し、残部が酸化インジウムおよび不可避不純物からなり、7.0g/cm3以上の焼結体密度を有する高濃度酸化錫ITO焼結体。
  2. 酸化ジルコニウムが0.1〜0.5質量%、酸化錫が20〜50質量%となるように、酸化ジルコニウム粉末、酸化錫粉末および酸化インジウム粉末を秤量し、酸化錫粉末および酸化ジルコニウム粉末を、水および分散剤と混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで粉砕し、これに酸化インジウム粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を加えて混合および粉砕し、噴霧乾燥させることにより造粒粉を得て、該造粒粉を加圧成形することにより成形体を得て、該成形体を常圧の酸素雰囲気中で焼成することを特徴とする高濃度酸化錫ITO焼結体の製造方法。
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