JP2009173003A - 木目調化粧材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材12の表面12aに木目柄がインクジェット塗装された木目調化粧材1において、前記表面には、カラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装され、前記木目柄の導管部の部分1a及び導管部を除く部分1bのいずれか一方に、クリアインクがインクジェット塗装されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
例えば下記特許文献1には、基材表面に通電処理を施し、通電性を付与する工程と、紫外線硬化型の粉体塗料を基材上に塗装し、塗装後粉体塗料を加熱溶融して塗膜を形成する工程と、塗膜に紫外線を照射して硬化させる工程と、硬化塗膜上に意匠を印刷する工程とを備えた意匠製造方法が開示されている。
これによれば、上記印刷工程の後にクリヤ塗料を塗装することにより、耐久性に優れ、光沢感及び深み感を有したものが得られるとされている。
しかしながら、本物の木質は、木肌の表面に受けた光が細胞内部で反射或いは散乱することによって光沢が生じるが、下記特許文献1に記載のものは、このような光沢を表現することができないものであった。すなわち、基材の表面一面にクリヤ塗料が施されるものであるから、表面一面に光沢が施されるため、本物の木目特有の光沢や照りが表現しきれていなかった。
これによれば、エンボス導管が付型されて導管部だけにワイピング着色剤が充填されるので、模様樹脂層に凹凸が付与され、本物の木材により近いリアルな木質柄表現が得られるとされている。
しかしながら、印刷層の木目柄と後に形成するエンボス導管とを一致させる必要があるため、付型加工が難しく、また形成された導管部にワイピング着色剤を充填される工程も必要であった。よって製造工程が簡易とはいえず、多品種少量生産の傾向にある昨今の製造事情にはそぐわない。
これによれば、着色インクを吐出した後に、クリアインクを吐出すると、両インクが反応して被印刷面上に着色インクが強固に付着し、着色インクのにじみを防止することができる。
しかしながら、これも上述の特許文献1の場合と同様に、表面一面にクリアインクが施されるものであるから、木目特有の光沢、照りを表現することは難しいものであった。
また本発明に係る木目調化粧材は、基材の表面に木目柄がインクジェット塗装されたものであって、表面には、カラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装され、前記木目柄の導管部の部分には、クリアインクがインクジェット塗装され、前記導管部を除く部分には、前記導管部の部分に塗装したクリアインクとは光沢の異なるクリアインクがインクジェット塗装されていることを特徴とする。
基材の表面に木目柄がインクジェット塗装された木目調化粧材の製造方法としては、カラーインクによって、前記表面に木目柄をインクジェット塗装した後、導管部の部分及び導管部を除く部分のいずれか一方に、クリアインクをインクジェット塗装して製造することができる。
また、マイカ粒子、メタリック粒子などの光を反射させる粒子をクリアインクに含有させれば、木目調化粧材に光が当たると光が反射したり、光が散乱するので、簡易に擬似的な光沢、照り表現をよりリアルなものにすることができる。
図1は、本発明に係る木目調化粧材の第1の実施形態を説明するための説明図であり、概略平面図、図2は図1と同様図であり、図1のX−X矢視断面図及び概略説明図、図3は同実施形態に係る木目調化粧材の製造するために用いられる塗装装置の一例を示すブロック図、図4(a)は同実施形態の他の例を説明するための説明図であり、概略要部断面図、図4(b)は同実施形態の更に他の例を説明するための説明図であり、概略要部断面図、図5は同実施形態の更に他の例を説明するための図2と同様図、図6は本発明に係る木目調化粧材の第2の実施形態を説明するための概略説明図、図7は本発明に係る木目調化粧材の第3の実施形態を説明するための概略説明図、図8は第3の実施形態に係る木目調化粧材の製造するために用いられる塗装装置の一例を示すブロック図である。
なお、これら図面はいずれも、説明のために模式的に示したものである。
木目調化粧材1は、略直方体形状とされ、基材12の表面12aにカラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装されたものであり、木目柄をよりリアルに表現するため、年輪や導管が表現された導管部の部分1aには、クリアインクがインクジェット塗装されている。基材12としては、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板などの木質系基板が用いられる。
図1及び図3に示すように塗装装置Aは、各手段の制御を行うCPU20a、各種操作を行うための操作手段20b、制御プログラム或いは塗装する木目柄のパターンデータなどを記憶する記憶手段20cを備えた制御ユニット20を有している。また塗装装置Aは、載置された基材12を搬送する搬送手段60と、カラーインクが搭載された第1インクヘッド70及びクリアインクが搭載された第2インクヘッド80を備えたインクジェット塗装ユニット40とを備えている。
図1中、30は基台3に隣接して設けられた装置本体、50は装置本体30に連結され、インクジェット塗装ユニット40(第1インクヘッド70、第2インクヘッド80)を支持するノズルアームである。
第1インクヘッド70はカラーインクが噴射する4つのインクヘッドを備えており、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの各色のインク滴がそれぞれ噴射されるよう構成されている。
第2インクヘッド80は、インクジェット塗装により印刷された導管部の部分1aの太さなど形状に応じて素早くクリアインクを塗装することができるよう3つのインクノズル80aで構成されている。
よって、例えば図2のY部に示すような幅広の導管部の部分1aを塗装する際には、3つのインクノズル80aからクリアインクが吐出され、図2のY部を挟んで両側に印刷されているような幅細の導管部の部分1aを塗装する際には、1つのインクノズル80aのみからクリアインクが吐出される。
なお、クリアインクを噴射する第2インクヘッド80の構成は図1のように幅方向(図1矢印方向参照)に移動するものに限定されず、第1インクヘッド70のように基材12の幅方向全体に構成されたものとしてもよい。また第2インクヘッド80を構成するインクノズル80aの数も3つに限定されるものではない。
以下に第1の実施形態における木目調化粧板1の製造方法について図2を参照しながら、説明する。
まず前処理工程が施された基材12を搬送手段60によって所定位置に搬送する。インクジェット塗装前の前処理の工法は、特に限定されるものではないが、インクの定着、発色などをよくするため、白地インク受理層(不図示)を施したものとしてもよい。
所定位置に基材12が到着したことを検知センサ(不図示)などが検知すると、制御ユニット20の記憶手段20cに記憶された木目柄のパターンデータに基づいて、第1インクヘッド70のインク吐出口からカラーインクを吐出させる。
するとインクジェット塗装により基材12の表面12aに高画質な木目柄が印刷され、年輪、導管などの木目柄特有の導管部が表現される。
図中11はカラー印刷層、10はクリア印刷層を示している。
なお、塗装されるカラーインクとクリアインクとは、光沢の異なるものとすれば、より一層、本物の木質を感じさせる光沢、照りを表現することができる。
なお、第1インクヘッド70と第2インクヘッド80の構成は図例のものに限定されず、一体にユニット化されたものとしてよいが、図例のように別にすることで、カラーインクとクリアインクとを時間差で塗装することが可能になるとともに、クリアインクを塗装する工程が確実にカラーインクの後になされることになるので、望ましい。また前処理工程、後処理工程については特に限定されるものではなく、公知の工程が採用される。
また木目柄は制御ユニット20に記憶されたパターンデータに基づいたインクジェット塗装により表現されるので、グラビア印刷などのように版面を要せず、低コストで基材12の表面12aに多品種の木目柄を印刷することができる。よって多品種少量生産に対応することができる。
図4(a)(b)は、第1の実施形態の他の例を説明するための説明図である。
図4(a)には、3つのインクノズル80aのそれぞれには、光沢が異なるクリアインクが投入されている。
インクノズル80aに形成されたインク吐出口80bから吐出されるインク滴10aの径はそれぞれ同一となるよう設けられている。
光沢がそれぞれ異なるクリアインクが投入されたインクノズル80aをどのように配置するかは限定されるものではないが、例えば中央に配置されたインクノズル80aの中に光沢値の高いクリアインクを投入し、両側に配置されたインクノズル80aの中には、それぞれ光沢の異なるクリアインクを投入するようにしてもよい。
ここで光沢とはインクジェット塗装され、乾燥した状態において生じる光沢(つや感、光を反射する程度)をいい、この光沢は、光沢計によって光沢値として数値測定も可能なもので、グロス感、つや感をクリアインクに含有される樹脂材料、顔料、溶剤などの公知の調合により適宜調整可能である。
このとき、3つのインクノズル80aから吐出されるクリアインクの光沢がそれぞれ異なるので、木目柄の表現がより一層本物の木質に近いリアルな表現となる。特に年輪を表現した導管部の部分1aや幅広の導管部の部分1aが印刷されたカラー印刷層11の上に、光沢が異なる複数のクリア印刷層10が形成されるので、表現力が向上する。
なお、発明者が種々試作したところによれば、このように光沢が異なるクリアインクを複数用いて塗装すれば、リアルな木質感を得ることができることがわかっている。
図4(b)に示すように、基材12の表面12aに形成されたカラー印刷層11の印刷された導管部の部分1aの上にクリアインクをインクジェット塗装し、クリア印刷層10(図2参照)を形成する。
このように液滴サイズを異ならせても、木目柄の表現力を向上させることができる。
吐出される液滴サイズが異なるインクノズル80aをどのように配置させるかは限定されるものでないが、例えば、図2のY部に示す導管部の部分1aを塗装する場合は、図4(b)に示すように中央のインクノズル80aから吐出される液滴サイズを大きく設定し、両側のインクノズル80aから吐出される液滴サイズをそれぞれ異ならせるようにしてもよい。
これによれば、導管部の部分1aのうち、中央には、液滴の大きいインク滴10aがインクジェット塗装されるので、その他の導管部の部分1aとは違った光沢を放ち、一層本物の木質に近い、リアルな木質感を表現することができる。
なお、用いられるクリアインクの成分によっては、液滴サイズが小さい方が光沢を良好に表現できる場合もある。このような場合は、リアルな木質感を表現するために、導管部の部分1a直上に液滴サイズを小さく設定したインクノズル80aが配しインクジェット塗装を行うようにしてもよい。
図5は、第1の実施形態の更に他の例を説明するための説明図であり、図2と同様図である。上述の実施形態と共通する部分には同じ符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
ここに示す例は、導管部の部分1aにインクジェット塗装するクリアインクに光を反射される粒子を含有させたものである。クリアインクに含有させる粒子は光を反射するものであれば、特に限定するものでないが、例えばマイカ粒子10b、メタリック粒子10cなどを含有させることができる。マイカ粒子10bを含有させると、真珠のような光沢を醸し出すことができ、メタリック粒子10c(例えば、アルミフレークとよばれる微細アルミ粒子など)を含有させると粒子の並び方の違いから、見る角度によって見え方が変化し、きらめいた光沢を醸し出すことができる。
よって、無色透明のクリアインクだけでは表現できない導管部の光沢、照りの表現をすることができ、上記粒子に光が当たると光が反射したり散乱するので、擬似的な光沢、照り表現がよりリアルなものとなる。
粒子の粒径も特に限定するものではないが、インクノズル80aのノズル吐出口80bに詰まらない大きさであればよく、例えば0.1μm〜10.0μmの粒子をクリアインクに含有させることができる。
第1の実施形態と共通する部分には同じ符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
第2の実施形態に示す木目調化粧材1は、基材12の表面12aに木目柄がインクジェット塗装されたものであって、表面12aには、カラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装され、木目柄の導管部を除く部分1bに、クリアインクがインクジェット塗装されている。
図6に示すように導管部を除く部分1bにクリアインクを塗装することにより、導管部の部分1aと導管部を除くの部分1bで光沢を異ならせても、本物の木質を感じさせる光沢感、硬質感が表現することができる。
また塗布するクリアインクに関しても第1の実施形態の例を適用することができる。よってインクノズル80aに投入するクリアインクの光沢は同じ光沢のクリアインクを用いてもよいし、図4(a)に示す例のように、光沢の異なる複数のクリアインクを用いてもよい。また図4(b)に示す例のようにインクノズル80aから吐出される液滴サイズを異ならせてクリアインクを塗装してもよいし、図5に示す例のようにクリアインクにマイカ粒子、メタリック粒子などの光を反射させる粒子を含有させてもよい。
第1の実施形態と共通する部分には同じ符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
第3の実施形態に示す木目調化粧材1は、基材12の表面12aに木目柄がインクジェット塗装されたものであって、表面12aは、カラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装され、木目柄の導管部の部分1aには、クリアインクがインクジェット塗装され、導管部を除く部分1bには、導管部の部分1aに塗装したクリアインクとは光沢の異なるクリアインクがインクジェット塗装されている。
よって第3の実施形態における塗装装置Aには、図8に示すようにクリアインクが投入された第3インクヘッド90が更に設けられている。
図7に示すように導管部の部分1aに塗装するクリアインクと、導管部を除く部分1bに塗装するクリアインクの光沢を異ならせることにより、本物の木質を感じさせる光沢感、硬質感が表現することができる。
またこれによれば、カラー印刷層11の上面全体にクリア印刷層10が形成されることになるので、カラー印刷層11の保護層の役目も担うことができる。
クリアインクの塗装工程は特に限定されるものではないが、第2インクヘッド80で導管部の部分1aを塗装した後、第3インクヘッド90で導管部を除く部分1bを塗装するようにしてもよい。もちろん、第2インクヘッド80で先に導管部を除く部分1bを塗装した後、第3インクヘッド90で導管部の部分1aを塗装してもよい。
第2インクヘッド80と第3インクヘッド90とを一体にユニット化されたものとしてもよいが、図例のように別にすることで、光沢の異なるクリアインクを時間差で確実に塗装することが可能になる。
第2インクノズル80と第3インクノズル90に投入するクリアインクの光沢は異なるものが投入される。クリアインクの光沢が異なるものとしては、光沢値が異なるものとしてもよいし、同じ光沢のクリアインクを用意して、一方のクリアインクにマイカ粒子、メタリック粒子などの光を反射させる粒子を含有させることにより、光沢を異ならせるようにしてもよい。
1a 導管部の部分
1b 導管部を除く部分
A 塗装装置
12 基材
12a 表面
Claims (6)
- 基材の表面に木目柄がインクジェット塗装された木目調化粧材において、
前記表面には、カラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装され、前記木目柄の導管部の部分及び導管部を除く部分のいずれか一方に、クリアインクがインクジェット塗装されていることを特徴とする木目調化粧材。 - 基材の表面に木目柄がインクジェット塗装された木目調化粧材において、
前記表面には、カラーインクによって、木目柄がインクジェット塗装され、前記木目柄の導管部の部分には、クリアインクがインクジェット塗装され、前記導管部を除く部分には、前記導管部の部分に塗装したクリアインクとは光沢の異なるクリアインクがインクジェット塗装されていることを特徴とする木目調化粧材。 - 請求項1又は請求項2において、
前記導管部の部分には、光沢の異なる複数のクリアインクがインクジェット塗装されていることを特徴とする木目調化粧材。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項において、
前記クリアインクには、光を反射させる粒子が含有されていることを特徴とする木目調化粧材。 - 請求項4において、
前記粒子は、マイカ粒子及びメタリック粒子の少なくともいずれか一方であることを特徴とする木目調化粧材。 - 基材の表面に木目柄がインクジェット塗装された木目調化粧材の製造方法において、
カラーインクによって、前記表面に木目柄をインクジェット塗装した後、導管部の部分及び導管部を除く部分のいずれか一方に、クリアインクをインクジェット塗装することを特徴とする木目調化粧材の製造方法。
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