JP2009172029A - 内視鏡用注射針及び先端部に針体が固定された内チューブ - Google Patents

Abstract

【課題】 低コストで製造でき且つ高粘性の薬液でも容易に注射することが可能な内視鏡用注射針を提供する。
【解決手段】 外チューブ及び該外チューブ内に進退自在に配置され先端部に針体６が固定された内チューブ５を有する挿入部と、前記外チューブが固定的に連結され内チューブ５の進退操作を行う操作部とを備える内視鏡用注射針において、針体６の先端と反対側の端部にコイル状部材８を外嵌してコイル状部材８を針体６に固着し、コイル状部材８に内チューブ５を外嵌して固着する。好適には、針体６の外径より小径な内径を持つコイル状部材８を針体６に外嵌し、針体６に外嵌された状態のコイル状部材８の外径より小径な内径を持つ内チューブ５をコイル状部材８に外嵌する。
【選択図】 図４

Description

本発明は内視鏡の鉗子チャネル内に挿入して用いる注射針に係り、特に、高粘性の薬液を注射するのに好適な内視鏡用注射針及び先端部に針体が固定された内チューブに関する。

内視鏡の鉗子チャネルに挿入して消化器の粘膜下に薬液を注入することを目的とする処置具として、例えば下記の特許文献１に記載されている様な内視鏡用注射針がある。

この内視鏡用注射針は、細長い可撓性を持った挿入部と、挿入部の基端側に設けられた操作部とを備え、挿入部が内視鏡の鉗子チャネル内に挿入される。挿入部は、外チューブと内チューブとで構成され、内チューブは外チューブ内で進退自在に配置される。内チューブの先端部には消化管の粘膜に穿刺される針体が固定され、内チューブを通して薬液が針体から消化管粘膜下に注射される構成になっている。

特開２００１―５８００６号公報

内視鏡用注射針で生理食塩水等の低粘度の薬液を注入する場合には、内チューブとして内径が針体の外径と同じ細いものを用いても薬液の送出は可能である。しかし、ヒアルロン酸ナトリウム溶液などの高粘度の薬液は、管路抵抗を小さくしてやらないと注入ができないため、内チューブの内径（送液部）を広くしてやることが効果的である。

しかるに、針体としては、粘膜に対する穿刺性を考慮すると細い方がよい。このため、内チューブの内径と針体の外径との間にクリアランスが生まれてしまい、両者間のクリアランスを埋める部材を設ける必要が生じる。

針体としては、ＪＩＳで規定されるステンレスを使用することになり、このため、針体と内チューブとの間のクリアランスを埋める部材もステンレス製にするのが好ましい。

一方、内チューブは、外チューブ内で進退自在とするため、滑り性の良い材料で製造する必要があり、通常は、テフロン（登録商標）で知られるフッ素樹脂で成形されたチューブが用いられる。

フッ素樹脂製の内チューブとステンレス製の針体との締結には、主として圧入による締結を用い、接着による締結を補助的に併用している。この接着による締結力を高めるには、ステンレス材に接着材だまりとなる多数の溝を形成するのが効果的である。しかるに、針体に溝部を形成すると、針先研磨の際に溝部がひっかかり、研磨が困難となり、製造歩留まりが低下してしまう。

近年では、薬液として粘性の高いヒアルロン酸ナトリウム溶液を使用することが多くなり、高粘性溶液の流動が容易となるように内径の大きい内チューブを用いる必要が生じている。つまり、上記のクリアランスを埋める部材が必要となり、この部材が針体と内チューブとの間に入ってもＪＩＳ規格の締結力を得る工夫が必要になる。更に、内視鏡用注射針で交換して使用される針体一体の内チューブは使い捨てが原則なため、製造コストの低減も要求される。

本発明の目的は、低コストで製造でき且つ高粘性の薬液でも容易に注射することが可能な内視鏡用注射針を提供することにある。

本発明の内視鏡用注射針は、外チューブ及び該外チューブ内に進退自在に配置され先端部に針体が固定された内チューブを有する挿入部と、前記外チューブが固定的に連結され前記内チューブの進退操作を行う操作部とを備える内視鏡用注射針において、前記針体の先端と反対側の端部にコイル状部材を外嵌して該コイル状部材を該針体に固着し、該コイル状部材に前記内チューブを外嵌して固着したことを特徴とする。

本発明の内視鏡用注射針は、前記針体の外径より小径な内径を持つ前記コイル状部材を該針体に外嵌したことを特徴とする。

本発明の内視鏡用注射針は、前記針体に外嵌された状態の前記コイル状部材の外径より小径な内径を持つ前記内チューブを該コイル状部材に外嵌したことを特徴とする。

本発明の内視鏡用注射針は、前記針体に外嵌された部分の前記コイル状部材の長さが該針体の長さの少なくとも１／４以上あることを特徴とする。

本発明の内視鏡用注射針は、前記針体及び前記コイル状部材がステンレス製であり、前記内チューブがフッ素樹脂製であることを特徴とする。

本発明の内視鏡用注射針は、前記コイル状部材が前記針体に溶接あるいは接着材により固着されることを特徴とする。

本発明の内視鏡用注射針は、前記コイル状部材に接着材を付けて前記内チューブを外嵌し固着したことを特徴とする。

本発明の先端部に針体が固定された内チューブは、内視鏡用注射針に交換可能に使用される上記のいずれかに記載の内チューブであることを特徴とする。

本発明によれば、低コストで製造でき、太い内径を持つ内チューブに細い針体を所要の締結力で一体化することが可能となり、高い粘性の薬液でも液漏れなく効率的に注射することが可能になる。

以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。

図１は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用注射針の全体構成図である。本実施形態に係る内視鏡用注射針１は、操作部２と、操作部２から突出する細長い可撓性を有する挿入部３とを備える。

図２は、図１に示す挿入部３の先端部分IIの拡大断面図である。挿入部３は、可撓性を有し操作部２に対して固定的に連結される外チューブ４と、この外チューブ４内で進退可能に配置され基端側が操作部２の送液パイプ２ａに一体的に接続される内チューブ５とを備える。

内チューブ５は、フッ素樹脂製のものを用い、この内チューブ５の先端部に、詳細は後述する様にして、針体６が固定される。

外チューブ４の先端部４ａは内チューブ５の外径より縮径され、針体６は外部に突出されるが内チューブ５は外部に突出されない大きさの内径に絞られている。このため、挿入部３の内チューブ５が、図１に示す操作部２のスライダ移動に連動して進退操作され、外チューブ４内で先端部４ａ側に送り出されたときは、針体６だけが外部に突出して消化管粘膜に穿刺される。また、内チューブ５が操作部２側に引き戻されたときは、針体６は完全に外チューブ４内に戻される。

尚、図１の操作部２に隣接して図示した部材１０は、輸送時のストッパであり、この内視鏡用注射針１を使用するときは外される。

図３は、針体６が取り付けられた内チューブ５の先端部分の外観斜視図であり、図４はその側面図、図５は図４に示す部分Ｖの拡大図である。

針体６の内チューブ結合部にはステンレス製のコイルスプリング８が外嵌され、このコイルスプリング８の外周部に、コイルスプリング８の全長を覆うように内チューブ５が外嵌される構造になっている。

コイルスプリング８としては、その内径が、針体６の外径より若干小径のものが用いられる。このため、コイルスプリング８が針体６に外嵌されたとき、コイルスプリング８は自身の弾力によって針体６の外周を締め付け、コイルスプリング８の内周面と、針体６の外周面との間の密着性を向上させることができる。

また、本実施形態で用いるコイルスプリング８は、針体６の全長（おおよそ１２〜１３ｍｍ程度）の少なくとも１／４を覆う長さ、好ましくは半分程度を覆う長さ、図示の例では６割程度を覆う長さものが用いられる。これにより、コイルスプリング８が針体６に外嵌されたとき、針体６の外周面とコイルスプリング８の内周面との間の密着する長さを長くすることができる。この結果、内チューブ５内の薬液が両者間の隙間から漏れる虞がなくなる。

尚、図示する実施形態は好適実施形態であるため、針体６の後端面位置と、コイルスプリング８の後端面位置とが一致するようにコイルスプリング８を針体６に外嵌させているが、針体６の後端面位置がコイルスプリング８の後端面位置から若干突出しても問題はない。

コイルスプリング８が針体６の外周に外嵌された状態で、両者間はレーザ溶接やロウ付け等で強固に固着される。

内チューブ５としては、その内径が、針体６に外嵌された状態のコイルスプリング８の外径より小径のものを用い、内チューブ５がコイルスプリング８に外嵌されたとき、内チューブ５の弾力でコイルスプリング８を締め付け、内チューブ５の内周面と、コイルスプリング８の外周面との密着性を高める構成になっている。コイルスプリング８として長手のものを用いているため、この密着する長さが長くなり、内チューブ５内の薬液が両者間の隙間から漏れる虞がなくなる。

内チューブ５を、針体６に外嵌されたコイルスプリング８に外嵌するとき、コイルスプリング８に接着材を塗布して外嵌する。コイルスプリング８は、螺旋状の隙間が外周面に幾十もあるため、これらが接着材溜まり９となり、接着性の低いフッ素樹脂製チューブであっても、内チューブ５とコイルスプリング８とを効果的に接着することが可能となる。

以上述べた実施形態によれば、ステンレス材に特殊な加工を施すことなく、安価な既製品のコイルスプリングやフッ素樹脂製の内チューブを用いて液漏れが無く効率的に薬液注入ができる内視鏡用注射針が製造可能となる。

また、図５に示すクリアランスｔ（針体６の外周と内チューブ５の内周との間のクリアランス）を大きくとる様に太いステンレス線材を巻いて製造されたコイルスプリングを用いても、上記の製造方法で針体を内チューブ先端部に取り付けることで、内チューブ５と針体６との間の締結力を所要の締結力以上にすることができるため、太い内チューブ５を用い高粘性薬液の効率的な注入すなわち液漏れの少ない注入が可能となり、細い針体６を用いることで、被検者への負担を軽減することが可能となる。

尚、上述した実施形態では、コイルスプリング８を用いているが、これに限るものではなく、細長い板材をコイル状に巻いて形成した羅管などの他の部材で代用することも可能である。

また、針体６とコイルスプリング８とを溶接するとして説明したが、上述した実施形態の構成を採用することで、溶接ではなく、接着材を用いて針体６とコイルスプリング８とを接着固定しても、ＪＩＳ規格の締結力を得ることが可能となる。

この場合、注射針の先端部分の製造手順として、針体にコイルスプリングを外嵌し、コイルスプリングに内チューブを外嵌する手順の他に、内チューブの先端部にコイルスプリングを内挿して一体化させ、次にコイルスプリング内に針体を圧入する手順を採用することも可能となる。溶接が不要となるため、製造コストの一層の低減を図ることができる。

更に、上述した実施形態では、コイルスプリング８と内チューブ５との間を接着材を用いて締結しているが、接着材を用いなくても、コイルスプリング８の外周部には多数の溝部があるためこれに内チューブ５を外嵌圧入するだけでも両者間にＪＩＳ規格の締結力を得ることが可能となる。

本発明に係る注射針は、製造が容易で低コストで実現できるため、高粘性の薬液注入用の内視鏡用注射針として有用である。

本発明の一実施形態に係る内視鏡用注射針の全体構成図である。 図１に示す挿入部先端部分IIの拡大断面図である。 図２に示す針体が固体された内チューブ先端部分の外観図である。 図３に示す内チューブ先端部分の側面断面図である。 図４に示すコイルスプリングと針体との接続部分Ｖの拡大断面図である。

符号の説明

１ 内視鏡用注射針
２ 操作部
３ 挿入部
４ 外チューブ
５ 内チューブ
６ 針体
８ コイルスプリング

Claims (8)

1. 外チューブ及び該外チューブ内に進退自在に配置され先端部に針体が固定された内チューブを有する挿入部と、前記外チューブが固定的に連結され前記内チューブの進退操作を行う操作部とを備える内視鏡用注射針において、前記針体の先端と反対側の端部にコイル状部材を外嵌して該コイル状部材を該針体に固着し、該コイル状部材に前記内チューブを外嵌して固着したことを特徴とする内視鏡用注射針。
2. 前記針体の外径より小径な内径を持つ前記コイル状部材を該針体に外嵌したことを特徴とする請求項１に記載の内視鏡用注射針。
3. 前記針体に外嵌された状態の前記コイル状部材の外径より小径な内径を持つ前記内チューブを該コイル状部材に外嵌したことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の内視鏡用注射針。
4. 前記針体に外嵌された部分の前記コイル状部材の長さが該針体の長さの少なくとも１／４以上あることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の内視鏡用注射針。
5. 前記針体及び前記コイル状部材がステンレス製であり、前記内チューブがフッ素樹脂製であることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の内視鏡用注射針。
6. 前記コイル状部材が前記針体に溶接あるいは接着材により固着されることを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の内視鏡用注射針。
7. 前記コイル状部材に接着材を付けて前記内チューブを外嵌し固着したことを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の内視鏡用注射針。
8. 内視鏡用注射針に交換可能に使用されることを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の先端部に針体が固定された内チューブ。

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