しかしながら、特許文献1に記載の情報表示システムでは、一旦表示端末に送信された電子証明書等のコンテンツを印刷して使用することは想定されていない。従って、紙にコンテンツを印刷した場合、表示端末でもコンテンツが原本として表示可能な状態のまま残されていると、紙と表示端末との両方で原本が存在することとなる。このように原本が複製されることにより、コンテンツの発行者は、原本を発行する毎に徴収できるはずの料金を徴収できない等の不利益を被るという問題点があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、一旦表示端末によって取得されたコンテンツが印刷された場合でも、表示端末と印刷物との間でコンテンツの原本を一元管理することができ、原本の複製に起因したコンテンツ発行者の不利益の発生を防止することができる表示端末、印刷装置、読取装置、及び表示端末で動作する情報管理プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の表示端末は、印刷を行う印刷装置と接続可能であり、文字又は画像からなるコンテンツを表示する表示手段を備えた表示端末であって、コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、前記コンテンツ取得手段によって取得されたコンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段に記憶されたコンテンツを原本としての表示形態で前記表示手段に表示させる原本表示制御手段と、前記コンテンツ記憶手段に記憶されたコンテンツの印刷指示を受け付ける印刷指示受付手段と、前記印刷指示受付手段によって印刷指示が受け付けられたコンテンツの印刷データを前記印刷装置に送信する印刷データ送信手段と、前記印刷装置により印刷されたコンテンツについて、前記表示手段に原本として表示されることを不可能にする原本表示不可能化手段とを備えている。
また、本発明の請求項2に記載の表示端末は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記印刷データ送信手段によって送信されたコンテンツの印刷データの印刷が終了したことを通知する印刷終了通知を前記印刷装置から受信する印刷終了通知受信手段を備え、前記原本表示不可能化手段は、前記印刷終了通知受信手段によって印刷終了通知が受信されることを契機として、前記コンテンツが原本として表示されることを不可能にすることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の表示端末は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記原本表示不可能化手段は、印刷されたコンテンツを前記コンテンツ記憶手段から削除するコンテンツ削除手段であることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の表示端末は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記原本表示不可能化手段は、前記コンテンツ記憶手段にコンテンツを記憶したまま、印刷されたコンテンツの前記原本表示制御手段による原本としての表示を禁止する原本表示禁止手段であることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載の表示端末は、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記原本表示禁止手段によって原本としての表示が禁止されているコンテンツを、原本としての表示とは異なる表示形態で前記表示手段に表示させる非原本表示制御手段を備えている。
また、本発明の請求項6に記載の表示端末は、請求項4又は5に記載の発明の構成に加え、印刷媒体に割り振られた識別子を読み取る識別子読取手段を備えた読取装置を接続する接続手段と、コンテンツが印刷される印刷媒体に付与する識別子を前記印刷装置に送信する識別子送信手段と、前記識別子送信手段によって送信された識別子と前記識別子が付与された印刷媒体に印刷されたコンテンツとの対応を記憶する対応記憶手段と、前記識別子読取手段によって読み取られた識別子を前記読取装置から取得する識別子取得手段と、前記識別子取得手段によって取得された識別子に対応するコンテンツの、前記原本表示禁止手段による原本としての表示禁止を解除する解除手段とを備えている。
また、本発明の請求項7に記載の表示端末は、請求項4乃至6のいずれかに記載の発明の構成に加え、印刷媒体に割り振られた識別子を読み取る識別子読取手段を備えた読取装置を接続する接続手段と、前記印刷装置によってコンテンツが印刷された印刷媒体に付与されている識別子を前記印刷装置から受信する印刷時識別子受信手段と、前記印刷時識別子受信手段によって受信した識別子と前記識別子が付与されている印刷媒体に印刷されたコンテンツとの対応を記憶する対応記憶手段と、前記識別子読取手段によって読み取られた識別子を前記読取装置から取得する識別子取得手段と、前記識別子取得手段によって取得された識別子に対応したコンテンツの、前記原本表示禁止手段による原本としての表示禁止を解除する解除手段とを備えている。
また、本発明の請求項8に記載の表示端末は、請求項6又は7に記載の発明の構成に加え、前記識別子受信手段によって取得された識別子を有する印刷媒体に、原本としての使用を不可能とするための無効化処理を実行する指示を前記読取装置に送信する無効化指示送信手段を備えている。
また、本発明の請求項9に記載の表示端末は、請求項8に記載の発明の構成に加え、前記解除手段は、前記無効化指示送信手段によって無効化処理を実行する指示が送信されたことを契機として、前記原本表示禁止手段によるコンテンツの原本としての表示禁止を解除することを特徴とする。
また、本発明の請求項10に記載の情報管理プログラムは、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明の各種処理手段としてコンピュータを機能させる。
また、本発明の請求項11に記載の印刷装置は、請求項6乃至9のいずれかに記載の表示端末に接続可能な印刷装置であって、前記表示端末から送信された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段によって受信された印刷データに基づいてコンテンツを印刷媒体に印刷する印刷手段と、印刷媒体に付与する識別子を前記表示端末から取得する識別子取得手段と、前記印刷手段によってコンテンツの印刷が行われる場合に、前記識別子取得手段によって取得された識別子を印刷媒体に付与する取得コンテンツ付与手段とを備えている。
また、本発明の請求項12に記載の印刷装置は、請求項7乃至9のいずれかに記載の表示端末に接続可能な印刷装置であって、前記表示端末から送信された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段によって受信された印刷データに基づいてコンテンツを印刷媒体に印刷する印刷手段と、前記印刷データ受信手段によって印刷データが受信されたコンテンツの印刷を行う場合に、前記印刷媒体にあらかじめ付されている識別子を読み取る印刷時識別子読取手段と、前記印刷時識別子読取手段によって読み取られた識別子を前記表示端末に送信する第一印刷時識別子送信手段とを備えている。
また、本発明の請求項13に記載の印刷装置は、請求項7乃至9のいずれかに記載の表示端末に接続可能な印刷装置であって、前記表示端末から送信された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段によって受信された印刷データに基づいてコンテンツを印刷媒体に印刷する印刷手段と、コンテンツが印刷される前記印刷媒体に付与する識別子を決定する識別子決定手段と、前記印刷手段によってコンテンツの印刷が行われる場合に、前記識別子決定手段によって決定された識別子を前記印刷媒体に付与する決定コンテンツ付与手段と、前記決定コンテンツ付与手段によって前記印刷媒体に付与された識別子を前記表示端末に送信する第二印刷時識別子送信手段とを備えている。
また、本発明の請求項14に記載の読取装置は、請求項6乃至9のいずれかに記載の表示端末と接続される読取装置であって、印刷媒体に割り振られた識別子を読み取る識別子読取手段と、前記識別子読取手段によって読み取られた識別子を前記表示端末に送信する識別子送信手段と、識別子を読み取った前記印刷媒体に、原本としての使用を不可能とするための無効化処理を行う無効化手段とを備えている。
また、本発明の請求項15に記載の読取装置は、請求項14に記載の発明の構成に加え、印刷媒体の無効化処理を実行する指示を前記表示端末から受信する無効化指示受信手段を備え、前記無効化手段は、前記無効化指示受信手段によって無効化の指示が受信された場合に印刷媒体の無効化処理を行うことを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の表示端末によると、コンテンツの印刷が行われると、そのコンテンツの表示手段での原本としての表示を不可能にすることができる。これにより、表示手段での表示、及び印刷物の2つの形態で原本が同時に存在することを防止することができる。すなわち、表示手段と印刷物との間で原本を一元管理することができる。従って、表示手段に表示されていた原本が印刷物として複製されることを防ぐことができ、原本の複製に起因したコンテンツの発行者の不利益の発生を防止することができる。
また、本発明の請求項2に記載の表示端末は、請求項1に記載の発明の効果に加え、印刷装置に送信したコンテンツの印刷データの印刷が終了したことを示す印刷終了通知の受信を契機として、そのコンテンツが原本として表示されることを不可能にすることができる。従って、印刷装置で印刷が行われないにも関わらず、表示端末でも原本としての表示が不可能となる不具合を防止することができる。
また、本発明の請求項3に記載の表示端末は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、コンテンツの印刷が行われた場合に、そのコンテンツをコンテンツ記憶手段から削除することで、表示手段での原本としての表示を不可能にすることができる。これにより、メモリ容量の圧迫を軽減することができ、データの改ざんや複製によってコンテンツ発行者が不利益を被る虞を低減することもできる。
また、本発明の請求項4に記載の表示端末は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、コンテンツの印刷が行われた場合に、そのコンテンツの原本表示制御手段による原本としての表示を禁止することで、原本としての表示を不可能とすることができる。これにより、表示手段での表示、及び印刷物の2つの形態で原本が同時に存在することを防止することができる。
また、本発明の請求項5に記載の表示端末は、請求項4に記載の発明の効果に加え、印刷が行われて原本としての表示が禁止されているコンテンツを、原本としての表示とは異なる表示形態で表示手段に表示させることができるため、ユーザは表示手段に表示されているコンテンツが原本でないことを認識することができる。
また、本発明の請求項6に記載の表示端末は、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、コンテンツが印刷される印刷媒体に識別子を付与し、コンテンツと識別子との対応を記憶する。そして、読取装置によって識別子が読み取られると、識別子に対応付けられているコンテンツの原本としての表示禁止を解除することができる。すなわち、表示端末がコンテンツを再度取得しなくても、表示禁止を解除するだけで、印刷物から表示手段での表示に原本の形態を戻すことができる。さらに、原本であった印刷媒体の原本としての使用を禁止する無効化処理を、読取装置に実行させたり、原本を管理する管理者が実行したりすることで、表示手段と印刷物との間の原本の一元管理を行いつつ、ユーザの望む形態に原本の形態を移行させることができる。
また、本発明の請求項7に記載の表示端末は、請求項4乃至6のいずれかに記載の発明の効果に加え、コンテンツが印刷された印刷媒体にあらかじめ割り振られていた識別子を印刷装置から受信し、コンテンツと識別子との対応を記憶する。そして、識別子読取手段によって識別子が読み取られると、識別子に対応付けられているコンテンツの原本としての表示禁止を解除することができる。すなわち、表示端末がコンテンツを再度取得しなくても、表示禁止を解除するだけで、印刷物から表示手段での表示に原本の形態を戻すことができる。さらに、原本であった印刷媒体の原本としての使用を禁止する無効化処理を、読取装置に実行させたり、原本を管理する管理者が実行したりすることで、表示手段と印刷物との間の原本の一元管理を行いつつ、ユーザの望む形態に原本の形態を移行させることができる。
また、本発明の請求項8に記載の表示端末は、請求項6又は7に記載の発明の効果に加え、印刷媒体の識別子を読取装置から受信すると、その識別子に対応したコンテンツの原本としての表示禁止を解除し、印刷媒体の原本としての使用を不可能とするための無効化処理を読取装置に実行させることができる。これにより、原本を管理する管理者が印刷媒体の回収や廃棄等を行わなくても、印刷物から表示手段での表示に原本を戻すことができる。すなわち、表示手段と印刷物との間の原本の一元管理を行いつつ、ユーザの望む形態に原本の形態を移行させることができる。
また、本発明の請求項9に記載の表示端末は、請求項8に記載の発明の効果に加え、印刷媒体の原本としての使用を不可能とするための無効化指示が送信されることを契機として、表示手段におけるコンテンツの原本としての表示禁止を解除することができる。従って、印刷媒体の無効化指示が行われる前に、表示手段でのコンテンツの原本表示禁止が解除されることを防止することができる。よって、表示手段での表示、及び印刷物の2つの形態で原本が同時に存在することをより確実に防止することができる。
また、本発明の請求項10に記載の情報管理プログラムは、コンピュータに実行させることにより、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
また、本発明の請求項11に記載の印刷装置によると、コンテンツの印刷データを表示端末から受信すると共に、印刷媒体に付与する識別子を取得し、コンテンツが印刷される印刷媒体に識別子を付与することができる。従って、表示端末に記憶されているコンテンツと、印刷媒体に印刷されたコンテンツとを識別子によって対応付けてコンテンツの一元管理を行うことができる。
また、本発明の請求項12に記載の印刷装置によると、コンテンツの印刷が行われる場合に、印刷媒体にあらかじめ割り振られている識別子を読み取って表示端末に送信することができる。よって、識別子があらかじめ割り振られている印刷媒体を用いることで、表示端末に記憶されているコンテンツと、印刷媒体に印刷されたコンテンツとを識別子によって対応付けてコンテンツの一元管理を行うことができる。
また、本発明の請求項13に記載の印刷装置によると、印刷媒体に付与する識別子を決定して、コンテンツが印刷される印刷媒体に付与し、この識別子を表示端末に送信することができる。これにより、表示端末に記憶されているコンテンツと、印刷媒体に印刷されたコンテンツとを識別子によって対応付けてコンテンツの一元管理を行うことができる。
また、本発明の請求項14に記載の読取装置によると、印刷媒体に割り振られた識別子を読み取って表示端末に送信し、また、識別子を読み取った印刷媒体を無効化することができる。従って、印刷媒体が原本であるか否かを識別子によって判断することが可能となる。さらに、原本を管理する管理者が印刷物の回収や廃棄等を行わなくても印刷媒体を無効化することができ、原本の形態を印刷物から表示手段での表示に戻すことができる。
また、本発明の請求項15に記載の読取装置は、請求項14に記載の発明の効果に加え、印刷媒体の原本としての使用を不可能とする無効化の指示を表示端末から受信した場合に、印刷媒体の無効化処理を行うことができる。従って、表示端末においてコンテンツの原本としての表示禁止が解除されずに、原本であった印刷媒体も無効化されてしまう不具合の発生を防止することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態のコンテンツ管理システム100の概略について説明する。図1は、本実施形態のコンテンツ管理システム100のハードウェアブロック図である。図1に示すように、コンテンツ管理システム100は、表示端末1と、複合機2とから構成されている。
表示端末1は表示部15を備えた携帯型の端末であり、文字や画像からなるコンテンツを電子データとして記憶する。そして、記憶しているコンテンツを表示部15に表示させる。また、表示端末1は複合機2に接続可能となっており、記憶しているコンテンツの印刷データを出力して複合機2に印刷させることができる。ここで、本実施形態の表示端末1は、住民票のような公式文書やチケット等、複製を防止して原本性を保つことが必要なコンテンツを記憶し、表示部15に原本として表示させることができる。従って、ユーザは、表示端末1にこれらのコンテンツを記憶させて持ち運び、表示部15にコンテンツを表示させて提示することで、表示させたコンテンツを公式文書やチケットとして使用することができる。尚、表示端末1から他の機器へ電子データを複製することはできない構成となっている。さらに、詳細は後述するが、コンテンツの原本が表示端末1での表示でなく、印刷物となっている間は、ユーザはそのコンテンツを印刷させることはできない。これにより、コンテンツが複製されることを防止している。
複合機2は、表示端末1から印刷データを受信して印刷を実行する印刷装置としての機能と、印刷媒体である専用紙に設けられた磁気ストライプ(図示外)からコンテンツのIDを読み取る読取装置としての機能とを主に備えている。そして、原本性を保つことが必要なコンテンツを、コピーを取ることが不可能な専用紙に印刷すると共に、専用紙に設けられた磁気ストライプにコンテンツのIDを書き込むことができる。また、専用紙に設けられた磁気ストライプからコンテンツのIDを読み取り、このIDを表示端末1に送信することができる。尚、本実施形態では、複合機2での印刷に必要なデータは表示端末1で作成されて複合機2へ送信される。しかし、表示端末1からはコンテンツの電子データと印刷指示とを印刷データとして送信し、印刷に必要なデータへの展開を複合機2側で行ってもよい。
そして、以下説明する実施形態では、コンテンツの電子データの複製、及びコンテンツが印刷された印刷媒体のコピーによる複製を共に防止しつつ、表示端末1で原本として表示されていたコンテンツを印刷して、表示端末1でのコンテンツの原本表示を禁止することができる。また、原本であった印刷媒体の原本としての使用を不可能とし、表示端末1でのコンテンツの原本表示禁止を解除することもできる。すなわち、表示端末1での表示と印刷物との間で原本の形態を変更することができる。これにより、コンテンツを公式文書やチケットとして取り扱うユーザやコンテンツ発行者の利便性を高めつつ、コンテンツが複製されることによるコンテンツの発行者の不利益を防止することができる。
次に、図1及び図2を参照して、表示端末1のハードウェア構成について説明する。図2は、メモリカード19のコンテンツデータ記憶エリア191に記憶されるコンテンツデータの構成を示す模式図である。
図1に示すように、表示端末1には、表示端末1の制御を司るCPU10が設けられている。そして、このCPU10には、ROM11、RAM12、EEPROM13、入力部14、表示部15、メモリカードI/F16、及び外部通信I/F18がバスを介して接続されている。ROM11は、表示端末1を動作させるためのプログラム等を記憶しており、RAM12は各種のデータを一時的に記憶し、EEPROM13は不揮発性のメモリである。また、入力部14はユーザによる入力を受け付けるボタンや十字キーからなり、表示部15はコンテンツを表示する。また、メモリカードI/F16によって表示端末1にメモリカード19が接続され、外部通信I/F18によって表示端末1が複合機2等の他のデバイスに接続される。
そして、EEPROM13には、その表示端末1と他の表示端末とを識別するための、端末毎に固有の番号を記憶する端末固有番号記憶エリア131が設けられている。また、メモリカード19にはコンテンツデータ記憶エリア191が設けられている。
図2に示すように、コンテンツデータ記憶エリア191には、文字や画像、映像、又はこれらを組み合わせた情報であるコンテンツの内容と、コンテンツに関する付属の情報とからなるコンテンツデータが記憶されている。コンテンツに関する付属の情報には、コンテンツ名、ID、及び原本表示情報が含まれている。コンテンツ名は各コンテンツに付された名称である。IDは、各コンテンツに固有の情報であり、原本の形態を印刷物から表示端末1での表示に変更する際に、原本の形態を変更すべきコンテンツを特定するために用いられる。また、原本表示情報は、そのコンテンツの表示部15での原本としての表示が禁止されているか否かを示す情報である。この原本表示情報として「禁止中」が記憶されている場合には、その時点でのコンテンツの原本は印刷物であり、表示部15での原本としての表示と、コンテンツの更なる印刷とが禁止される。原本表示情報として「可」が記憶されている場合には、その時点でのコンテンツの原本は表示端末1での表示であり、コンテンツの原本としての表示、及び原本形態の印刷物への変更が可能となる。このように、コンテンツの内容、ID、及び原本表示情報が同一のメモリカード19に記憶されるため、メモリカード19がいずれの表示端末に接続されても、同じ処理を行うことができる。尚、コンテンツデータはEEPROM13等の他の記憶媒体に記憶されてもよい。
次に、図1を参照して、複合機2のハードウェア構成について説明する。図1に示すように、複合機2には、複合機2の制御を司るCPU20が設けられている。そして、このCPU20には、ROM21、RAM22、ハードディスク装置(HDD)23、入力部24、表示部25、印刷制御部26、磁気リードライト部27、及び外部通信I/F28がバスを介して接続されている。ROM21は、複合機2を動作させるためのプログラム等を記憶しており、RAM22は各種のデータを一時的に記憶し、HDD23は各種情報を記憶する。また、入力部24はユーザによる入力を受け付けるボタンや十字キーからなり、表示部25は画像を出力するディスプレイからなる。また、印刷制御部26は印刷動作を制御し、磁気リードライト部27は、専用紙に設けられた磁気ストライプへのIDの書き込みと、磁気ストライプに記憶されたIDの読み込みとを行う。そして、HDD23には、その複合機2と他の複合機とを識別するための、複合機毎に固有の番号を記憶する複合機固有番号記憶エリア231が設けられている。
次に、上記のように構成された第一の実施形態に係る表示端末1の動作について、図3乃至図5を参照して説明する。図3は、第一の実施形態の表示端末1で行われる表示端末メイン処理のフローチャートであり、図4は、表示端末メイン処理で実行される原本表示禁止処理のフローチャートであり、図5は、表示端末メイン処理で実行される原本表示禁止解除処理のフローチャートである。表示端末1では、電源が投入されるとROM11に記憶されているプログラムがRAM12に読み出されて起動され、図3に示す表示端末メイン処理がCPU10により実行される。
図3に示すように、表示端末メイン処理では、まずコンテンツを受信したか否かが判断される(S1)。本実施形態の表示端末1は、公式文書を発行する役所や、チケットを発行する発行元に設置された専用のデバイスに外部通信I/F18(図1参照)を介して接続されることで、コンテンツを受信することができる。受信すると(S1:YES)、図2の「文書3」に示すように、コンテンツ名と、コンテンツ内容と、原本表示が可能であることを示す原本表示情報とがメモリカード19のコンテンツデータ記憶エリア191に記憶される(S2)。そして、ユーザからの印刷指示が有るか否かの判断へ移行する(S3)。コンテンツを受信していない場合には(S1:NO)、そのままS3の判断へ移行する。次いで、入力部14(図1参照)が操作されることによって、表示部15に表示されているコンテンツの印刷指示が行われると(S3:YES)、原本表示禁止処理が行われる(S4)。
図4に示すように、原本表示禁止処理が開始されると、コンテンツデータ記憶エリア191(図2参照)の原本表示情報が参照され、コンテンツが原本表示禁止中であるか否かが判断される(S21)。原本表示情報に「禁止中」が記憶されており、表示部15での原本表示が禁止されている場合には(S21:YES)、その時点での原本は印刷物であるため、さらに印刷が行われると原本が印刷物の形態で複数存在することとなる。そこで、「印刷はできません」という印刷不可能メッセージが表示部15に表示されて(S23)、印刷が行われずに表示端末メイン処理へ戻る。すなわち、原本が印刷物となっているコンテンツについて、さらなる印刷を禁止するCPU10は、追加印刷禁止手段としての機能を有する。これにより、原本が印刷物と表示端末1での表示の2つの形態で存在することを防ぐことに加え、原本としての印刷物が複数存在することを防止している。
原本表示情報に「可」が記憶されており、原本表示禁止中でない場合には(S21:NO)、表示端末1に複合機2が接続されているか否かが判断される(S22)。接続されていなければ(S22:NO)、印刷不可能メッセージが表示されて(S23)、表示端末メイン処理へ戻る。
複合機2が接続されている場合には(S22:YES)、専用紙に付すIDが決定される(S24)。ここで、印刷が行われるコンテンツに対応したIDが既に存在する場合には、新たにIDを決定しなくてもよい。また、IDの決定は、既に他のコンテンツに使用されているIDと重複しないように行われる。次いで、コンテンツに対応したIDが複合機2へ送信され(S25)、さらにコンテンツの印刷データが複合機へ送信される(S26)。そして、印刷が終了したことを示す印刷終了通知を複合機2から受信するまで待機状態となり(S27:NO)、受信すると(S27:YES)、専用紙に付されたIDとコンテンツとが対応付けされてコンテンツデータ記憶エリア191に記憶される(S28)。次いで、印刷されたコンテンツの原本表示情報に「禁止中」が記憶されて(S29)、表示端末メイン処理へ戻る。これにより、表示端末1での表示から印刷物への原本の表示形態の移行が完了する。
そして、図3のフローチャートの説明に戻り、原本表示禁止処理(S4)が終了した場合、又はコンテンツの印刷指示が行われていない場合には(S3:NO)、複合機2からIDを受信したか否かが判断される(S5)。印刷物となっている原本の形態を表示端末1での表示に戻す場合、詳細は後述するが、コンテンツが印刷されている専用紙に付されたIDが複合機2によって読み取られ、表示端末1に送信される。このIDを受信すると(S5:YES)、IDに対応したコンテンツの原本表示禁止を解除するための原本表示禁止解除処理が行われる(S6)。
図5に示すように、原本表示禁止解除処理が開始されると、コンテンツデータ記憶エリア191が参照され、受信したIDによって記憶中のコンテンツが照合される(S31)。そして、照合できると(S32:YES)、印刷媒体の原本としての使用を不可能にするための印刷物無効化指示が複合機2へ送信され(S33)、照合されたコンテンツの原本表示情報に「可」が記憶されて(S34)、表示端末メイン処理へ戻る。これにより、印刷物から表示端末1での表示へ原本の表示形態が移行すると共に、コンテンツの印刷媒体への印刷が可能となる。すなわち、S34の処理においてコンテンツの追加印刷禁止を解除するCPU10は、追加印刷禁止解除手段としての機能を有する。また、照合できなかった場合には(S32:NO)、無効化の指示は行われずに、印刷媒体をそのまま排出する指示が複合機2へ送信されて(S35)、表示端末メイン処理へ戻る。
そして、図3のフローチャートの説明に戻り、原本表示禁止解除処理(S6)が終了した場合、又は複合機2からIDを受信していない場合には(S5:NO)、ユーザによるコンテンツの表示指示が行われたか否かが判断される(S7)。入力部14が操作されることによってコンテンツが選択され、表示指示が行われると(S7:YES)、そのコンテンツが原本表示禁止中であるか否かが判断される(S8)。禁止中でなければ(S8:NO)、表示指示が行われたコンテンツが原本としての表示態様でそのまま表示部15に表示されて(S9)、S11の処理へ移行する。原本表示禁止中であれば(S8:YES)、原本としての表示とは異なる非原本表示の態様でコンテンツが表示部15に表示されて(S10)、S11の処理へ移行する。尚、非原本表示の態様とは、表示部15に表示されているコンテンツが原本でないことが分かる態様であればよい。具体的には、コンテンツ名のみを表示させてコンテンツの内容を表示させない方法や、「これは原本ではありません」というメッセージを同時に表示させる方法、画面全体をグレーにして表示させる方法等、様々な方法がある。
コンテンツの表示処理(S9、S10)が終了した場合、又はコンテンツの表示指示が行われなかった場合には(S7:NO)、コンテンツの表示終了のための処理や表示端末1の設定の処理等、その他の処理が行われる(S11)。そして、S1の判断へ戻る。
次に、第一の実施形態に係る複合機2の動作について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、第一の実施形態の複合機2で行われる複合機メイン処理のフローチャートであり、図7は、複合機メイン処理で実行される印刷処理のフローチャートであり、図8は、複合機メイン処理で実行されるID読み取り処理のフローチャートである。以下説明する複合機メイン処理は、複合機2のROM21に記憶されているプログラムにより、CPU20において実行される。
図6に示すように、複合機メイン処理では、まず表示端末1からコンテンツの印刷データ及びIDを受信したか否かが判断される(S41)。受信した場合には(S41:YES)、印刷処理が行われる(S42)。
図7に示すように、印刷処理が開始されると、表示端末1から受信した印刷データが印刷媒体である専用紙に印刷される(S51)。この専用紙には磁気ストライプが設けられており、IDの読み書きを行うことが可能となっている。さらに、紙面には地紋が施されているため、コピーを取ることができない。これにより、原本である印刷媒体がコピーによって複製されることを防止しつつ、原本形態を変更する際にIDを用いてコンテンツを特定することを可能としている。
次いで、磁気リードライト部27(図1参照)により、専用紙の磁気ストライプにIDが書き込まれて(S52)、印刷及びIDの書き込みが終了するまで待機状態となる(S53:NO)。そして、印刷及びIDの書き込みが終了すると(S53:YES)、印刷が終了したことを示す印刷終了通知が表示端末1へ送信されて(S54)、複合機メイン処理へ戻る。
そして、図6のフローチャートの説明に戻り、印刷処理(S42)が終了した場合、又はコンテンツの印刷データ及びIDを受信していない場合には(S41:NO)、専用紙に付されているIDの読み取り動作の実行指示がユーザによって行われたか否かが判断される(S43)。IDの読み取り指示があった場合には(S43:YES)、ID読み取り処理が行われる(S44)。
図8に示すように、ID読み取り処理が開始されると、専用紙の磁気ストライプに記憶されているIDが磁気リードライト部27によって読み出される(S56)。そして、IDを読み取れた場合には(S57:YES)、表示端末1が接続中であるか否かが判断され(S58)、接続中であれば(S58:YES)、読み取られたIDが表示端末1へ送信されて(S59)、複合機メイン処理へ戻る。ここで、本実施形態の複合機2は、磁気ストライプの読み取りを行った専用紙を機器の内部に保持することができ、外部への排出を行うまでは専用紙は取り出せない構成となっている。そして、表示端末1にIDを送信した場合には、専用紙を内部に保持したままの状態となる。一方で、専用紙のIDが読み取れなかった場合(S57:NO)、若しくは表示端末1が接続されていなかった場合には(S58:NO)、表示部25にエラーが表示されて(S60)、印刷媒体である専用紙がそのまま外部へ排出され(S61)、複合機メイン処理へ戻る。
そして、図6のフローチャートの説明に戻り、ID読み取り処理(S44)が終了した場合、又はユーザからのID読み取り指示がなかった場合には(S43:NO)、表示端末1から印刷媒体無効化指示を受信したか否かが判断される(S45)。先述したように、印刷媒体無効化指示とは、印刷媒体の原本としての使用を不可能にする無効化処理を実行させるための指示である。受信した場合には(S45:YES)、印刷媒体無効化処理が行われる(S46)。この印刷媒体無効化処理では、印刷媒体の原本としての使用を不可能とすることができればよい。具体的には、紙面全体を黒く塗り潰す方法や、無効である旨のメッセージを印刷する方法、複合機2自体にシュレッダーの機能を設けて印刷媒体を裁断する方法、そのまま印刷媒体を回収して廃棄する方法等がある。本実施の形態では、印刷媒体無効化処理(S46)にて紙面全体を黒く塗り潰す無効化処理が実行された後、その印刷媒体が外部に排出されて(S48)、その他処理(S49)へ移行する。また、印刷媒体無効化指示を受信することなく(S45:NO)、印刷媒体排出指示を表示端末1から受信した場合には(S47:YES)、無効化処理が行われずに印刷媒体の排出のみが行われて(S48)、その他処理へ移行する。また、印刷媒体無効化指示及び印刷媒体排出指示のいずれも受信しなければ(S45:NO、S47:NO)、そのままその他処理へ移行する。そして、その他処理(S49)が終了すると、S41の判断へ戻る。
以上説明したように、第一の実施形態のコンテンツ管理システム100によると、表示端末1で原本として表示されていたコンテンツを複合機2が印刷すると共に、表示端末1はそのコンテンツを原本として表示させることを禁止する。これにより、表示端末1での表示から印刷物へ原本の形態を変更することができる。また、印刷媒体に付されたIDが複合機2によって読み取られると、表示端末1ではそのIDに対応したコンテンツの原本表示禁止が解除され、複合機2では、IDを読み取った印刷媒体の原本としての使用を不可能とする処理が行われる。これにより、印刷物から表示端末1での表示へ原本の形態を変更することができる。従って、表示端末1での表示、及び印刷物の2つの形式で原本が同時に存在することを防止し、表示端末1と印刷物との間でコンテンツの原本を一元管理することができる。
さらに、コンテンツの電子データは複製できない構成となっており、原本である印刷媒体のコピーを取ることもできないため、コンテンツの原本を複製することはできない。ここで、住民票等の公式文書を発行する役所は、公式文書の原本を1部発行する毎に料金を徴収することができるが、公式文書が複製されてしまうと、徴収できるはずの料金を徴収できない不利益を被る。また、チケットが複製されてしまうと、チケットの発行者が料金を徴収できないばかりでなく、正規にチケットを購入したユーザが定員オーバー等によりチケットを利用できなくなる場合も生じる。しかし、本発明によると、公式文書やチケット等のコンテンツを、表示端末1での表示、及び印刷物のいずれかの形態で所持することを可能にしつつ、コンテンツが複製されることによる種々の不利益の発生を防止することができる。
また、表示端末1は、印刷が行われたコンテンツをコンテンツデータ記憶エリア191から削除することなく、そのコンテンツの原本としての表示を禁止し、非原本としての表示態様でのみ表示可能とすることで、表示端末1での原本としての使用を不可能とする。従って、表示部15に表示されているコンテンツが原本でないことを、ユーザは容易に認識することができる。さらに、印刷物から表示端末1での表示に原本の形態を変更する場合、コンテンツの電子データを再び表示端末1に取得させなくても、原本表示禁止を解除するだけで原本の形態を変更することができる。また、表示端末1は、コンテンツの印刷が終了したことが通知されてから原本としての表示を禁止するため、印刷が行われないにも関わらず、表示端末1でも原本としての表示が不可能となる不具合を防止することができる。また、原本表示禁止の解除は、印刷媒体の無効化指示が複合機2に送信されることを契機として行われるため、無効化指示が送信される前に原本表示禁止が解除されることはない。従って、表示端末1及び印刷物の2つの形態で原本が同時に存在することをより確実に防止することができる。
また、複合機2は、コンテンツの印刷時に、印刷媒体である専用紙にIDを付与することができるため、表示端末1に記憶されているコンテンツと印刷されたコンテンツとをIDによって対応付けてコンテンツを管理することができる。また、IDの読み取り時には、IDを読み取った印刷媒体の原本としての使用を禁止するための無効化処理を行うことができる。よって、原本を管理する管理者(例えば、公式文書を発行する公務員や、チケットを発行する発行会社の従業員等)が印刷媒体の回収や廃棄等を行わなくても印刷媒体を無効化することができ、原本の表示形態を表示手段での表示に変更することができる。また、複合機2は、表示端末1から無効化指示を受信してから無効化処理を行うため、表示端末1で原本表示禁止が解除されずに、原本であった印刷媒体も無効化されてしまう不具合の発生を防止することができる。
尚、上記第一の実施形態において、表示部15が本発明の「表示手段」に相当し、図3のS2でコンテンツを取得する表示端末1のCPU10が「コンテンツ取得手段」として機能する。また、メモリカード19のコンテンツデータ記憶エリア191が「コンテンツ記憶手段」に相当し、図3のS9でコンテンツの原本表示処理を行う表示端末1のCPU10が「原本表示制御手段」として機能する。また、入力部14が「印刷指示受付手段」に相当し、図4のS26で複合機2に印刷データを送信する表示端末1のCPU10が「印刷データ送信手段」として機能する。また、図4のS29でコンテンツの原本表示を禁止する表示端末1のCPU10が「原本表示不可能化手段」及び「原本表示禁止手段」として機能する。
また、図4のS27で印刷終了通知を受信する表示端末1のCPU10が「印刷終了通知受信手段」として機能し、図3のS10でコンテンツの非原本表示処理を行う表示端末1のCPU10が「非原本表示制御手段」として機能する。また、複合機2と接続するために表示端末1に設けられた外部通信I/F18が「接続手段」に相当し、IDが「識別子」に相当し、図4のS25でIDを複合機2へ送信する表示端末1のCPU10が「識別子送信手段」として機能する。また、各コンテンツとIDとの対応を記憶するメモリカード19のコンテンツデータ記憶エリア191が「対応記憶手段」に相当し、図3のS5でIDを受信する表示端末1のCPU10が「識別子取得手段」として機能する。また、図5のS34でコンテンツの原本表示禁止を解除する表示端末1のCPU10が「解除手段」として機能する。また、図5のS33で印刷媒体無効化指示を複合機2へ送信する表示端末1のCPU10が「無効化指示送信手段」として機能する。
また、図6に示すS41で印刷データ及びIDを受信する複合機2のCPU20が「印刷データ受信手段」及び「識別子取得手段」として機能し、印刷を実行する印刷制御部26が「印刷手段」に相当する。また、専用紙にIDの書き込みを行う磁気リードライト部27が「取得コンテンツ付与手段」に相当する。
また、専用紙からIDを読み取る磁気リードライト部27が「識別子読み取り手段」に相当し、図8のS59でIDを表示端末1へ送信する複合機2のCPU20が「識別子送信手段」として機能する。また、図6のS46で印刷媒体無効化処理を行うCPU20、及び印刷制御部26が「無効化手段」に相当する。また、図6のS45で印刷媒体無効化指示を受信する複合機2のCPU20が「無効化指示受信手段」として機能する。
尚、上記第一の実施形態は様々な変形が可能である。まず、第一の実施形態では、コンテンツが印刷される専用紙に付与されるIDは表示端末1にて決定されていたが、これを変更することができる。以下、IDを決定する主体が異なる場合の変形例について説明する。尚、第一の実施形態における処理と同じ処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
まず、図4、図6、及び図9を参照して、専用紙に付与されるIDが複合機にて決定される変形例1のコンテンツ管理システムについて説明する。図9は、図7に示す印刷処理の変形例1のフローチャートである。変形例1における表示端末では、図4に示す原本表示禁止処理において、IDを決定する処理(S24)、及びIDを複合機へ送信する処理(S25)は行われない。そして、専用紙に付与されたIDが印刷終了通知と共に受信され(S27:YES)、印刷されたコンテンツに対応させてこのIDが記憶される(S28)。また、変形例1における複合機では、図6に示す複合機メイン処理において印刷データを受信すると(S41:YES)、図9に示す印刷処理において、印刷実行(S51)の前にIDの決定が行われる(S64)。そして、印刷データの印刷(S51)、及び決定されたIDの書き込み(S52)が終了すると(S53:YES)、印刷終了通知が表示端末へ送信され(S54)、さらに、専用紙に書き込まれたIDが表示端末へ送信される(S65)。
以上のように、変形例1のコンテンツ管理システムによると、専用紙に付与するIDを複合機にて決定し、IDを用いたコンテンツの管理を行うことが可能となる。尚、変形例1では、既に他のコンテンツに付与されているIDを複合機のHDD23(図1参照)等に記憶し、S64の処理において、既に使用されているIDが重複して決定されないように構成するのが望ましい。例えば、前回決定したIDを記憶しておき、前回のIDに「1」を加えた数字を次のIDとして決定するとよい。これにより、複数のコンテンツに対して同一のIDが付与されることを防ぐことができる。また、変形例1において、図9のS64でIDを決定する複合機のCPU20が「識別子決定手段」として機能し、S52でIDを書き込む複合機のCPU20が「決定コンテンツ付与手段」として機能する。また、S65で表示端末にIDを送信する複合機2のCPU20が「第二印刷時識別子送信手段」として機能する。
次に、図6、図10、及び図11を参照して、IDがあらかじめ付された専用紙を使用する変形例2のコンテンツ管理システムについて説明する。図10は、図4に示す原本禁止表示処理の変形例2のフローチャートであり、図11は、図7に示す印刷処理の変形例2のフローチャートである。変形例2における表示端末では、図10に示す原本表示禁止処理において、IDの決定及び複合機へのIDの送信は行われない。そして、印刷データの送信(S26)後、印刷終了通知と、あらかじめ専用紙に付されていたIDとが受信できなければ(S67:NO)、コンテンツの原本表示は禁止されることなく、そのまま表示端末メイン処理へ戻る。また、変形例2における複合機では、図6に示す複合機メイン処理において印刷データを受信すると(S41:YES)、図11に示す印刷処理において、印刷データの印刷(S51)と共に、専用紙の磁気ストライプにあらかじめ記憶されているIDが磁気リードライト部27によって読み取られる(S68)。そして、印刷及びIDの読み取りができた場合には(S69:YES)、印刷終了通知が表示端末へ送信され(S54)、さらに、専用紙から読み取られたIDが表示端末へ送信されて(S70)、複合機メイン処理へ戻る。また、IDが読み取れなかった場合には(S69:NO)、印刷が行われた印刷媒体は、磁気ストライプを有する専用紙ではないため、そのまま複合機メイン処理へ戻る。
以上のように、変形例2のコンテンツ管理システムによると、あらかじめ専用紙に付されているIDを用いてコンテンツの管理を行うことが可能となる。尚、変形例2では、専用紙でない印刷媒体にコンテンツが印刷された場合、その印刷物は原本として使用できないため、表示端末での原本表示を禁止せずに、表示端末での表示をそのまま原本として使用することができる。また、変形例2において、図10のS67でIDを受信する表示端末のCPU10が「印刷時識別子受信手段」として機能し、図11のS68でIDを読み取る複合機のCPU20及び磁気リードライト部27が「印刷時識別子読み取り手段」として機能する。また、図11のS70でIDを表示端末へ送信する複合機のCPU20が「第一印刷時識別子送信手段」として機能する。
また、上記実施形態及び変形例をさらに変更することも可能である。例えば、上記実施形態では、印刷装置としての機能と読取装置としての機能とを備えた複合機2を使用しているが、表示端末1、印刷装置、及び読取装置の3つの機器を使用しても本発明を実現できる。この場合、印刷装置は図6に示すS41,42の処理を少なくとも実行できればよく、読取装置はS43〜48の処理を少なくとも実行できればよい。また、複合機2を複数個所に設置できることは言うまでも無く、原本の形態の変更を異なる場所で複数回行うことが可能である。
また、図2に示すコンテンツデータ記憶エリア191のデータ構成も変更することができる。例えば、原本の形態を表示端末1での表示から印刷物に変更する際に、複合機2のHDD23における複合機固有番号記憶エリア231に記憶されている固有番号を、コンテンツデータ記憶エリア191に記憶させてもよい。また、原本の形態を印刷物から表示端末1での表示に変更する際に、固有番号を記憶させる構成としてもよい。これにより、原本の表示形態の変更を行った場所を、コンテンツデータ記憶エリア191の記憶内容から特定することができ、原本の表示形態の遷移をより正確に管理することができる。また、メモリカード19が他の表示端末1に装着される毎に、EEPROM13の端末固有番号記憶エリア131に記憶されている固有番号を記憶させてもよい。これにより、コンテンツの表示端末間での移動経路を管理することが可能となる。また、コンテンツを表示端末1に送信したデバイスを記憶させてもよい。
また、図4に示すS21では、印刷指示されたコンテンツが原本表示禁止中であれば、その時点での原本は印刷物であるため、原本の複製を防止するために印刷が行われないように設定されている。しかし、原本の複製を防止できればよいため、原本とは異なる態様で印刷を行うことは可能である。また、コンテンツに付与するIDは、コンテンツが作成される際に、コンテンツの作成者によって同時に決定されていてもよい。この場合、図3に示すS2の処理において、表示端末1はコンテンツの電子データと共にIDを取得し、メモリカード19に記憶する。また、図4に示すS24で行われるIDの決定は、ユーザに入力部14を操作させることによって、ユーザに決定させる構成としてもよい。このように、コンテンツに付与するIDの決定方法は各種条件に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、表示端末1に記憶されているコンテンツと、印刷物に印刷されたコンテンツとをIDによって対応付けて管理するために、磁気ストライプを有する専用紙を印刷媒体として用いているが、これも変更が可能である。例えば、RFIDタグを備えた専用紙を印刷媒体として使用し、このRFIDタグへのIDの書き込みと、RFIDタグからのIDの読み込みとを行うRFIDタグリーダライタを複合機に備えても、本発明を実現できる。また、バーコードやQRコード等を利用することもできる。さらに、印刷物に印刷されているコンテンツをスキャンし、スキャンされたデータ自体を表示端末1に記憶されているデータと比較することで、IDを用いずにコンテンツを特定することも可能である。このように、表示端末1に記憶されているコンテンツと、印刷媒体に印刷されたコンテンツとを対応付けて管理する管理方法は、適宜変更することができる。
次に、本発明の第二の実施形態に係るコンテンツ管理システムの動作について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、第二の実施形態の表示端末で実行される表示端末メイン処理のフローチャートであり、図13は、第二の実施形態の印刷装置で実行される印刷装置メイン処理のフローチャートである。第二の実施形態のコンテンツ管理システムは、表示端末及び印刷装置により構成されており、表示端末での表示から印刷物へ原本の形態を容易に変更できる点に特徴を有する。尚、第二の実施形態に係る表示端末のハードウェア構成は、第一の実施形態の表示端末1(図1参照)と同じである。また、第二の実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成は、第一の実施形態の複合機2(図1参照)から磁気リードライト部27が省かれたのみである。よって、第一の実施形態と同一の構成については同一の番号を付し、この説明を省略する。
まず、図12を参照して、表示端末での処理について説明する。図12に示すように、第二の実施形態の表示端末では、まず専用のデバイスからコンテンツを受信したか否かが判断され(S101)、受信した場合には(S101:YES)、受信したコンテンツがメモリカード19のコンテンツデータ記憶エリア191(図2参照)に記憶される(S102)。ここで、第二の実施形態では、コンテンツデータ記憶エリア191にID及び原本表示情報が記憶される必要はない。コンテンツの取得が終了した場合、又はコンテンツを受信していない場合には(S101:NO)、表示部15に表示されているコンテンツの印刷指示が行われたか否かが判断される(S103)。印刷指示が行われると(S103:YES)、表示端末に印刷装置が接続されているか否かが判断され(S104)、接続されていなければ(S104:NO)、印刷不可能メッセージが表示部15に表示されて(S105)、S110の判断へ移行する。
印刷装置が接続されている場合には(S104:YES)、コンテンツの印刷データが印刷装置へ送信される(S106)。そして、印刷が終了したことを示す印刷終了通知を印刷装置から受信するまで待機状態となり(S107:NO)、受信すると(S107:YES)、印刷されたコンテンツがメモリカード19から削除されて(S108)、S110の判断へ移行する。また、印刷指示が行われていなければ(S103:NO)、そのままS110の判断へ移行する。
そして、ユーザによるコンテンツの表示指示が行われたか否かが判断され(S110)表示指示が行われていなければ(S110:NO)、その他の処理が行われて(S112)、S101の判断へ戻る。また、コンテンツの表示指示が行われた場合には(S110:YES)、表示指示が行われたコンテンツが原本としての表示態様でそのまま表示部15に表示されて(S111)、その他の処理が行われた後(S112)、S101の判断へ戻る。
次いで、図13を参照して、印刷装置での処理について説明する。図13に示すように、第二の実施形態の印刷装置では、まず表示端末からコンテンツの印刷データを受信したか否かが判断される(S121)。受信していなければ(S121:NO)、その他の処理が行われて(S125)、S121の判断へ戻る。印刷データを受信した場合には(S121:YES)、受信した印刷データの専用紙への印刷が行われる(S122)。この専用紙には地紋が施されており、コピーを取ると地紋として施されていた文字が浮き出るため、コピーを取ることができない。次いで、印刷が終了するまで待機状態となり(S123:NO)、印刷が終了すると(S123:YES)、印刷終了通知が表示端末へ送信されて(S124)、その他の処理が行われた後(S125)、S121の判断へ戻る。
以上説明したように、第二の実施形態のコンテンツ管理システムによると、表示端末で原本として表示されていたコンテンツを印刷装置が印刷すると共に、表示端末はそのコンテンツをメモリカード19から削除し、表示端末において原本として使用されることを不可能とする。これにより、表示端末での表示、及び印刷物の2つの形態で原本が同時に存在することを防止すると共に、IDの読み書きを行ったりすることなく、表示端末での表示から印刷物へ原本の形態を容易に変更することができる。すなわち、表示端末と印刷物との間で原本を一元管理し、表示手段に表示されていた原本が印刷物として複製されることを防ぐことができるため、原本の複製に起因した種々の不利益の発生を防止することができる。また、コンテンツの原本が印刷物に変更された場合には、そのコンテンツをメモリカードから削除することで、表示端末における原本としての使用を不可能にすると共に、メモリ容量の圧迫を軽減することができる。さらに、悪意のある操作によりコンテンツを読み取ろうとしても、コンテンツのデータ自体が存在しないため、読み取られる心配がない。
尚、第二の実施形態に用いられる専用紙は容易にコピーを取れないものであれば、地紋が施されていなくてもよい。例えば、コンテンツが公式文書である場合、役所のみが入手できる紙に印刷を行えば、その紙を入手できない限り、そのコンテンツを原本として複製することはできない。