以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
空気調和機は、通常冷媒配管で互いに接続された室外機と室内機とで構成されており、図1及び図2は、本発明にかかる空気調和機の室内機を示している。
図1及び図2に示されるように、室内機は、本体2に室内空気を吸い込む吸込口として前面吸込口2a及び上面吸込口2bを有し、前面吸込口2aには開閉自在の可動前面パネル(以下、単に前面パネルという)4を有しており、空気調和機停止時は、前面パネル4は本体2に密着して前面吸込口2aを閉じているのに対し、空気調和機運転時は、前面パネル4は本体2から離反する方向に移動して前面吸込口2aを開放する。
本体2の内部には、前面吸込口2a及び上面吸込口2bの下流側に設けられ空気中に含まれる塵埃を除去するためのプレフィルタ5と、このプレフィルタ5の下流側に設けられ前面吸込口2a及び上面吸込口2bから吸い込まれた室内空気と熱交換するための熱交換器6と、熱交換器6で熱交換した空気を搬送するための室内ファン8と、室内ファン8から送風された空気を室内に吹き出す吹出口10を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下羽根12と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右羽根14とを備えている。また、前面パネル4の上部は、その両端部に設けられた複数のアーム(図示せず)を介して本体2の上部に連結されており、複数のアームの一つに連結された駆動モータ(図示せず)を駆動制御することで、空気調和機運転時、前面パネル4は空気調和機停止時の位置(前面吸込口2aの閉塞位置)から前方に向かって移動する。上下羽根12も同様に、その両端部に設けられた複数のアーム(図示せず)を介して本体2の下部に連結されている。
また、室内機の一方の端部(室内機正面から見て左側端部で、後述する隔壁46cのバイパス流路22側)には、室内空気を換気するための換気ファンユニット16が設けられており、換気ファンユニット16の後方には、静電ミストを発生させて室内空気を浄化する空気清浄機能を有する静電霧化装置18が設けられている。
なお、図1は前面パネル4及び本体2を覆う本体カバー(図示せず)を取り除いた状態を示しており、図2は室内機本体2と静電霧化装置18との接続位置を明確にするために本体2の内部に収容されている静電霧化装置18を本体2とは分離した状態を示している。静電霧化装置18は実際には図3に示される形状を呈し、図1あるいは図4に示されるように、本体2の左側部に取り付けられている。
図2乃至図4に示されるように、静電霧化装置18は、前面吸込口2a及び上面吸込口2bから熱交換器6、室内ファン8等を経由して吹出口10に連通する主流路20において、熱交換器6と室内ファン8とをバイパスするバイパス流路22の途中に設けられており、バイパス流路22の上流側に高電圧電源となる高電圧トランス24とバイパス送風ファン26が設けられ、バイパス流路22の下流側に静電霧化ユニット30の放熱を促進する放熱部28を有する静電霧化ユニット30とサイレンサ32が設けられている。したがって、上流側から順に高電圧トランス24、バイパス送風ファン26、放熱部28、静電霧化ユニット30、及びサイレンサ32が配置された状態で、バイパス流路22の一部を構成するケーシング34に収容されている。このようにケーシング34に収容することにより、組み立て性が向上し、ケーシング34で流路を形成するので、省スペース化を図るとともに、バイパス送風ファン26による空気の流れを、発熱部である高電圧トランス24や放熱部28に確実に当てて冷却することができるとともに、静電霧化ユニット30から発生した静電ミストを確実に空気調和機の吹出口10に導入することができ、発生した静電ミストを被空調室内に放出させることができる。
また、ケーシング34は、ケーシング34の内部を流れる空気流の方向が、主流路20を流れる空気流の方向に対して、室内機本体2の正面から見て平行にとなるように縦方向に配置されており、これにより室内機本体2の正面から見て換気ファンユニット16と重なる位置に隣接配置することができ、さらに省スペース化を達成している。
なお、高電圧トランス24は必ずしもケーシング34内に収容する必要はないが、バイパス流路の通風により冷却されるため、温度上昇の抑制あるいは省スペース化の点で、ケーシング34内に収容するのが好ましい。
ここで、従来公知の静電霧化ユニット30について図5及び図6を参照しながら説明する。
図5に示されるように、静電霧化ユニット30は、放熱面36aと冷却面36bとを有する複数のペルチェ素子36と、放熱面36aに熱的に密着して接続された上述した放熱部(例えば、放熱フィン)28と、冷却面36bに電気絶縁材(図示せず)を介して熱的に密着して立設された放電電極38と、この放電電極38に対し所定距離だけ離隔して配置された対向電極40とで構成されている。
また、図6に示されるように、換気ファンユニット16の近傍に配置された制御部42(図1参照)に、ペルチェ駆動電源44と高電圧トランス24は電気的に接続されており、ペルチェ素子36及び放電電極38はペルチェ駆動電源44及び高電圧トランス24にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、静電霧化ユニット30として放電電極38から高電圧放電させて静電ミストを発生させるためには、対向電極40を設けなくても可能である。例えば、放電電極38に高電圧電源の一方の端子を接続し、他方の端子をフレーム接続するようにしておけば、フレーム接続された構造体の放電電極38に近接した部分と放電電極38との間で放電することとなる。そのような構成の場合には、そのフレーム接続された構造体を対向電極40と見なすことができる。
上記構成の静電霧化ユニット30において、制御部42によりペルチェ駆動電源44を制御してペルチェ素子36に電流を流すと、冷却面36bから放熱面36aに向かって熱が移動し、放電電極38の温度が低下することで放電電極38に結露する。さらに、制御部42により高電圧トランス24を制御して、結露水が付着した放電電極38に高電圧を印可すると、結露水に放電現象が発生して粒子径がナノメートルサイズの静電ミストが発生する。なお、本実施の形態においては、高電圧トランス24としてマイナス高電圧電源を用いているので、静電ミストは負に帯電している。
また、本実施の形態においては、図7に示されるように、主流路20は、本体2を構成する台枠46の後部壁46aと、この後部壁46aの両端部より前方に延びる両側壁(図7では左側壁のみ示す)46bと、台枠46の下方に形成されたリヤガイダ(送風ガイド)48の後部壁48aと、この後部壁48aの両端部より前方に延びる両側壁(図7では左側壁のみ示す)48bとで形成されており、台枠46の一方の側壁(左側壁)46bとリヤガイダ48の一方の側壁(左側壁)48bとでバイパス流路22を主流路20から分離する隔壁46cを構成している。さらに、台枠46の一方の側壁46bにバイパス流路22のバイパス吸入口22aが形成される一方、リヤガイダ48の一方の側壁48bにバイパス流路22のバイパス吹出口22bが形成されている。
空気調和機の場合、冷房時においては、室内機の熱交換器6を通過した低温の空気は相対湿度が高く、静電霧化装置18において、水分を補給するためにペルチェ素子36を備えた場合に、ペルチェ素子36のピン状の放電電極38のみならずペルチェ素子36全体に結露が発生しやすくなる。一方、暖房時においては、熱交換器6を通過した高温の空気は相対湿度が低いため、ペルチェ素子36の放電電極38に結露しない可能性が極めて高い。
そこで上記構成のように、主流路20とバイパス流路22を隔壁46cで分離し、静電ミストを発生させる静電霧化装置18をバイパス流路22に設けたことにより、熱交換器6を通過せず温湿度調整がなされていない空気が静電霧化装置18に供給される。これにより、冷房時においては静電霧化ユニット30のペルチェ素子36全体に結露が発生することを有効に防止することで安全性が向上する。また、暖房時においては静電ミストを確実に発生させることができる。
バイパス流路22は、バイパス吸入管22cとケーシング34とバイパス吹出管22dから構成されており、台枠側壁46bに形成されたバイパス吸入口22aに一端が接続されたバイパス吸入管22cは左方(左側壁46bに略直交し、前面パネル4に略平行な方向)に延びて、その他端はケーシング34の一端に接続され、さらにケーシング34の他端に一端が接続されたバイパス吹出管22dは下方に延びて右方に折曲され、その他端はリヤガイダ48の一方の側壁48bのバイパス吹出口22bに接続されている。このようにバイパス流路22の一部をケーシング34で構成することで、省スペース化を達成することができるとともに、これらを一連に構成することでバイパス吹出管22dを介して静電霧化ユニット18から静電ミストを主流路20に向けて確実に誘引することができ、静電ミストを被空調室内に放出させることができる。
バイパス吸入口22aはプレフィルタ5と熱交換器6との間、すなわちプレフィルタ5の下流側で熱交換器6の上流側に位置しており、前面吸込口2a及び上面吸込口2bより吸い込まれた空気に含まれる塵埃はプレフィルタ5により有効に除去されるので、静電霧化装置18に塵埃が侵入することを抑制できる。これにより、静電霧化ユニット30に塵埃が堆積することを有効に防止でき、静電ミストを安定的に放出することができる。
このように本実施の形態においては、プレフィルタ5で静電霧化装置18と主流路20のプレフィルタを兼ねる構成となっているが、これによりメンテナンスはプレフィルタ5のみを清掃すればよく、それぞれ別に手入れをする必要がないので、手入れを簡略化することができる。さらには、後述するようなプレフィルタ自動清掃装置を備えた空気調和機においては、プレフィルタ5に特別の手入れは必要なく、メンテンナンスフリー化を実現することができる。
一方、バイパス吹出口22bは熱交換器6及び室内ファン8の下流側で吹出口10の近傍に位置しており、バイパス吹出口22bから吐出された静電ミストが主流路20の空気流に乗って拡散し部屋全体に充満するように構成されている。このようにバイパス吹出口22bを熱交換器6の下流側に配置したのは、熱交換器6の上流側に配置すると、熱交換器6は金属製のため、荷電粒子である静電ミストは熱交換器6にその大部分(約8〜9割以上)が吸収されるからである。また、バイパス吹出口22bを室内ファン8の下流側に配置したのは、室内ファン8の上流側に配置すると、室内ファン8の内部には乱流が存在し、室内ファン8の内部を通過する空気が室内ファン8の様々な部位に衝突する過程で静電ミストの一部(約5割程度)が吸収されるからである。
また、バイパス吹出口22bを設けたリヤガイダ48の一方の側壁48bの主流路20側は、室内ファン8により空気流に所定の速度が付与されることで、側壁48bの主流路20側とバイパス流路22側において圧力差が生じ、バイパス流路22に対し主流路20側が相対的に低圧となる負圧部となっており、バイパス流路22から主流路20に向かって空気が誘引される。したがって、バイパス送風ファン26は小容量のもので済み、場合によってはバイパス送風ファン26を設けなくてもよい。
さらに、バイパス吹出管22dは、主流路20との合流点(バイパス吹出口22b)において主流路20内の空気流に対し略直交する方向に指向するように隔壁46c(リヤガイダ48の側壁48b)に接続されている。これは、静電霧化ユニット30は、上述したように放電現象を利用して静電ミストを発生させていることから、必然的に放電音を伴い、放電音には指向性があるからである。したがって、バイパス流路22と主流路20の合流点(バイパス吹出口22b)において、バイパス流路22を前面パネル4に略平行に接続することで、室内機の前方あるいは斜め前方にいる人に対して、放電音が極力指向しないように構成して騒音を低減することができる。
また、図8に示されるように、バイパス吹出管22dを主流路20との合流点において隔壁46cに対し傾斜させ、主流路20内の空気流に対し上流側に指向するように接続すると、より一層放電音による騒音の低減に効果がある。
なお、バイパス吹出管22dの指向する方向が主流路20内の空気流の下流方向に指向して接続した場合においても、その延長線が吹出口10から外部に出ないようにしておけば、発生する放電音が吹出口10から直接外部に出る量が少なく、直接的に使用者の耳に入射することも少ないため、騒音低減効果を奏することができる。
以上説明したように、主流路20とバイパス流路22を隔壁46cで分離し、静電ミストを発生させる静電霧化装置18を熱交換器6をバイパスして主流路20に連通するバイパス流路22に設けたので、熱交換器6を通過せず温湿度調整がなされていない空気が静電霧化装置18に供給されるので、冷房時においては静電霧化ユニット30のペルチェ素子36全体に結露が発生することを有効に防止することで安全性が向上するとともに、暖房時においては静電ミストを確実に発生させることができ、空気調和機の運転モードに関わらず、すなわち、季節に関係なく静電ミストを安定的に発生させることができる。
次に、プレフィルタ5に付着した塵埃を吸引して除去する吸引装置を有するプレフィルタ自動清掃装置をさらに設けた空気調和機について説明する。図9を参照しながら換気ファンユニット16を説明すると、換気ファンユニット16は換気専用であっても、プレフィルタ自動清掃装置を有する室内機に設けられた吸引装置の給気用を兼ねるものであってもよい。図9に示される換気ファンユニット16は、隔壁46cのバイパス流路22側でプレフィルタ自動清掃装置の吸引装置58に組み込まれているが、プレフィルタ自動清掃装置は既に公知なので、図10を参照しながら簡単に説明する。プレフィルタ自動清掃装置の詳細な構造や運転方法については、特に限定されるものではない。
図10に示されるように、プレフィルタ自動清掃装置50は、プレフィルタ5の表面に沿って摺動自在の吸引ノズル52を備えており、吸引ノズル52はプレフィルタ5の上下端に設置された一対のガイドレール54により、プレフィルタ5と極めて狭い間隙を保って円滑に左右に移動することができ、プレフィルタ5に付着した塵埃は吸引ノズル52より吸引して除去される。また、吸引ノズル52には屈曲自在の吸引ダクト56の一端が連結され、吸引ダクト56の他端は吸引量可変の吸引装置58に連結されている。さらに、吸引装置58には排気ダクト60が連結され、室外へ導出されている。
また、吸引ノズル52の上下方向の周囲には吸引ノズル52に沿って摺動自在のベルト(図示せず)が巻回されており、吸引ノズル52のプレフィルタ5と対向する面には、プレフィルタ5の縦長さに略等しい長さのスリット状のノズル開口部が形成される一方、ベルトには、プレフィルタ5の縦長さの例えば1/4の長さのスリット状の吸引孔が形成されている。
上記構成のプレフィルタ自動清掃装置50は、必要に応じてプレフィルタ5の清掃範囲A,B,C,Dを順次清掃するが、範囲Aを吸引清掃する場合、ベルトを駆動してその吸引孔を範囲Aの位置に固定した状態で、吸引しながら吸引ノズル52をプレフィルタ5の右端から左端まで駆動することでプレフィルタ5の水平方向の範囲Aが吸引清掃される。
次に、ベルトを駆動してその吸引孔を範囲Bの位置に固定し、この状態で吸引しながら吸引ノズル52をプレフィルタ5の左端から右端まで駆動することで今度はプレフィルタ5の水平方向の範囲Bが吸引清掃される。同様に、プレフィルタ5の範囲C、Dも吸引清掃される。
プレフィルタ5に付着し、吸引ノズル52により吸引された塵埃は吸引ダクト56、吸引装置58、排気ダクト60を経由して室外へ排出される。
図9をさらに参照すると、吸引装置58の吸入路には開口部62が形成されるとともに、この開口部62を開閉するためのダンパ64が設けられており、換気ファンユニット16は、ダンパ64が開口部62を開いた時は換気用として、吸引清掃を行う場合はダンパ64により開口部62を閉じてベルトの吸引孔から塵埃を吸引する吸引用として使用される。すなわち、同じ吸引装置58を使用して吸引清掃機能と換気機能を実現させている。
なお、図9には排気ダクト60は図示されていないが、排気ダクト60は吸引装置58の排気口58aに接続されている。
図11はケーシング34を持たない静電霧化装置18Aを示しており、この静電霧化装置18Aは図12に示されるように室内機本体2に組み込まれる。あるいは、図12に示される破線領域18B(図9に示される静電霧化装置18においてバイパス流路22の下流側に設けられた静電霧化ユニット30とサイレンサ32と略同じ位置)に組み込まれる。これらは、静電霧化装置18Aを室内機の正面又は上面から見て換気ファンユニット16と重なる位置に配設するとともに、静電霧化装置18Aを換気ファンユニット16の開口部62及びダンパ64の近傍で、換気ファンユニット16による吸引空気が流れる部分に配置するものである。
さらに詳述すると、図11の静電霧化装置18Aは、放熱部28を有する静電霧化ユニット30とサイレンサ32が一体的に取り付けられ、放熱部28を除く静電霧化ユニット30部分とサイレンサ32はそれぞれのハウジング(ユニットハウジング66とサイレンサハウジング68)に収容され、サイレンサハウジング68にバイパス吹出管22dの一方が接続されて連通し、バイパス吹出管22dの他方が主流路20に接続されて連通している。この場合、隔壁46cにより主流路20から分離され、図示しない本体カバーの左側面との間に形成されて、換気ファンユニット16、静電霧化装置18A等が配設された収容部22eが前述したバイパス吸入管22cとケーシング34との代わりとなるとともに、バイパス吹出管22dまでも収容してバイパス流路22として構成することになる。
なお、バイパス吹出管22dは、主流路20の空気流に対して指向する向きで騒音低減が図れることは上述したとおりであるが、必ずしも必要というものではなく、サイレンサハウジング68を直接的にバイパス吹出口22bに接続してもよい。これにより、静電霧化装置18Aの構成をより簡素化することができる。ただし、騒音低減のために向きの配慮が必要なことはバイパス吹出管22dと同様である。
これにより、プレフィルタ5を介して本体2内に吸い込まれる空気は、プレフィルタ5の下流側のバイパス吸入口22aより収容部22eに吸い込まれ、その空気流の方向は、主流路20を流れる空気流の方向に対して、室内機本体2を正面から見て平行に収容部22e内を流れることになる。このように収容部22e内を流れた空気により放熱部28は冷却されるとともに、ユニットハウジング66に形成された開口部(図示せず)より静電霧化ユニット30に取り込まれる。
このように構成することで、室内機の正面又は上面から見て換気ファンユニット16と重なる換気ファンユニット16の周囲空間がバイパス流路22となり、換気ファンユニット16、静電霧化装置18A等の収容部22eを有効に活用して省スペース化を達成することができる。なお、この構成では、高電圧トランス24は換気ファンユニット16、静電霧化装置18A等の収容部22eにおける任意の部位に配置され、バイパス送風ファン26は設けられない。
また、このようにバイパス流路22を、主流路20を通過する空気流に対して、室内機本体2を正面から見て平行に空気流が流れるように構成することにより、上で詳述したように隔壁46cという簡略な構成で主流路20とバイパス流路22を分岐することができるため、容易にバイパス流路22が形成でき、部品点数を削減することができる。
さらに、本構成とすることで、静電霧化装置18Aのプレフィルタと主流路20のプレフィルタをプレフィルタ5で共有化することができる。共有化の効果については、先述の通りであるので、ここでは詳細は省略する。
なお、換気ファンユニット16の後部にあたる台枠46の下部近傍において、室内機と室外機とを接続する配管(図示せず)を引き出せるように開口46dを形成してもよい。上述したバイパス吸入口22aは、収容部22eに空気を吸い込むために隔壁46c(台枠側壁46b)に形成された収容部22eにおける1つの開口であり、室内機の外部とはプレフィルタ5を通して連通していたが、台枠46の下部に形成された開口46dにおいては、収容部22eが室内機の外部と直接連通して周囲の空気を吸い込む開口となる。このような場合には、収容部22eはプレフィルタ5をもバイパスするバイパス流路となる。したがって、静電霧化装置18Aに吸い込まれる空気は開口46dから流入したものとなってプレフィルタ5を通過しないことになるので、必要に応じて別途静電霧化装置18A用のプレフィルタを設ければよい。また、開口46dを形成した構成でも室内機の正面又は上面から見て換気ファンユニット16と重なる位置に静電霧化装置18Aが配設されていることは変わらず、収容部22eを有効に活用して省スペース化を達成することができるのは同様である。
上述したように、バイパス吹出口22bの主流路20側は、室内ファン8により空気流に所定の速度が付与されることで圧力差が発生して誘引される負圧部となっているので、バイパス送風ファン26は設けなくても、バイパス吹出管22dを介してバイパス流路である収容部22eから主流路20に向かって誘引される空気により放熱部28は冷却され、静電霧化ユニット30により発生した静電ミストが主流路20に誘引され、被空調室内に放出させることができる。また、放熱部28は、破線領域18Bのように開口部62及びダンパ64の近傍で、開口部62に吸い込まれる空気が流れる部分に配置したことから換気ファンユニット16による吸引空気によっても冷却される。
なお、図12に示されるように、静電霧化装置18Aの放熱部28を吸引装置58に設けられた開口部62に近接して配置することで、開口部62に吸い込まれる空気により放熱部28がより冷却され、静電霧化ユニット30からの放熱が促進される。また、換気ファンユニット16として換気専用のファンを使用した場合、ダンパ64は設けられることがないので、換気ファンユニット16の吸込口に放熱部28を近接配置することで、放熱部28は効率よく冷却される。
以上説明したように、上記構成によれば、主流路20とバイパス流路となる収容部22eとを隔壁46cで分離し、静電ミストを発生させる静電霧化装置18Aを収容部22eに設けたので、熱交換器6を通過せず温湿度調整がなされていない空気が静電霧化装置18Aに供給されるので、冷房時においては静電霧化ユニット30のペルチェ素子36全体に結露が発生することを有効に防止することで安全性が向上するとともに、暖房時においては静電ミストを確実に発生させることができ、空気調和機の運転モードに関わらず、すなわち、季節に関係なく静電ミストを安定的に発生させることができる。
(静電霧化装置の制御方法)
次に、上記構成の静電霧化装置18,18Aを汚れ検知手段の出力に応じて制御するための方法について説明する。
空気調和機運転中には被空調室内を脱臭、浄化するため静電霧化装置18,18Aをできるだけ運転するのが好ましいが、室内空気が塵埃などの各種の粒子状物質で汚れていると、帯電した塵埃などの一部が対向電極40に付着することで対向電極40が汚れて静電霧化装置18,18Aの能力が低下し、最悪の場合には、静電霧化装置18,18Aが使用不能になってしまう可能性がある。そのような事態を避け、長期間にわたり脱臭、浄化性能を維持継続するために上記制御は行われる。
汚れ検知手段としては、室内空気の汚れ度を直接検知するガスセンサ、光学式ホコリセンサ等の汚れセンサや、室内空気の汚れ度を間接的に検知する活動量センサ等が使用される。ガスセンサは臭気ガス、CO2、水蒸気などの各種のガス成分を直接検知することができるものである。例えば、被空調室内の在室者が喫煙をおこなった際は臭気ガスと同時にタバコ煙、ヤニなどの粒子状物質が放出され、また在室者が調理をおこなった際は臭気ガス、水蒸気などと同時に調理に伴う油煙など各種の粒子状物質が放出されるため、ガスセンサの出力と被空調室内空気中の粒子状物質濃度の相関は極めて高い。このため、通常の生活環境においては、ガスセンサにより直接的に粒子状物質の有無を精度良く検出することができる。このようなガスセンサは、例えば室内機の電源基板に実装してもよく、あるいは室内機のリモコン(遠隔制御装置)受光部の近傍に取り付けられる。
まず初めに、汚れ検知手段として、室内の汚れを直接検知するガスセンサを使用した場合について、図13のブロック図及び図14のフローチャートを参照しながら説明する。
図13に示されるように、ガスセンサ(以下、汚れセンサという)70は室内機に設けられた制御部72に駆動回路74を介して接続され、制御部72にはさらに表示部76が接続されている。制御部72は記憶部78を有し、記憶部78には汚れ度の第1の閾値及び第2の閾値が設定されている。また、表示部76には空気の汚れ度を表示し、例えばLED表示を用いて空気の汚れ度が大きい方から順に赤(大)、橙(中)、緑(清浄)のような複数色で表示したり、LEDの点灯数によって表示したりされるので、ユーザはこの表示部76を確認して空気の汚れ度の状態を容易に知ることができる。
汚れセンサ70により検知された室内の汚れ度は駆動回路74を介して制御部72に入力され、記憶部78に設定された第1の閾値あるいは第2の閾値と比較され、比較結果に応じて静電霧化装置18,18Aの能力が制御される。
図14のフローチャートを参照しながらさらに詳述すると、ステップS1において空気調和機が運転中の場合には、ステップS2において、汚れセンサ70により室内の汚れ度が検知される。次のステップS3において、検知された室内空気の汚れ度が第1の閾値と比較され、第1の閾値より小さい場合には、室内空気は「清浄」と判定して、ステップS4において、静電霧化装置18,18Aが運転(連続運転)されるとともに、表示部76に「緑」が点灯する。
一方、ステップS3において、検知された室内空気の汚れ度が第1の閾値以上と判定されると、ステップS5に移行し、検知された室内空気の汚れ度が第1の閾値より大きい第2の閾値と比較される。第2の閾値より小さい場合には、室内空気の汚れ度は「中(普通)」と判定して、ステップS6において、静電霧化装置18,18Aが間欠運転されるとともに、表示部76に「橙」が点灯する。この場合、静電霧化装置18,18Aの能力は、例えば運転率50%に設定され、約1秒間の運転と約1秒間の停止を繰り返すことになり、静電霧化装置18,18Aが発生した静電ミストの効果(室内脱臭浄化)と静電霧化装置18,18Aの汚れ防止効果を両立させている。
一方、ステップS5において、検知された室内空気の汚れ度が第2の閾値以上と判定されると、ステップS7において静電霧化装置18,18Aの運転を停止し、空気がかなり汚れている場合には静電霧化装置18,18Aを保護するようにしている。
そして、ステップS4,ステップS6あるいはステップS7において、静電霧化装置18,18Aの連続運転、間欠運転あるいは停止を所定時間継続して能力を制御した後、ステップS2に戻り、汚れセンサ70により室内空気の汚れ度が再度検知される。
このように、2つの閾値を用いてきめ細かく静電霧化装置18,18Aの能力を制御することにより、静電霧化装置18,18Aが発生した静電ミストの効果(室内脱臭浄化)と静電霧化装置18,18Aの汚れ防止効果を両立させながら、帯電した各種の粒子状物質が対向電極40に付着することが防止でき、長期間にわたり安定的に静電霧化装置18,18Aを動作させることができる。
なお、ステップS7において静電霧化装置18,18Aの運転を停止した場合には、室内空気が汚れている状態が放置されることになる。そのままでは、自然換気などによる汚れの低下を待つことになり時間が掛かる可能性があるので、図1に示すような換気ファンユニット16などの換気機能を室内機本体2に設けたり、家屋に備え付けの換気扇が連動するような機能を備えたりして動作させることが望ましい。これにより、静電霧化装置18,18Aが運転される汚れ度まで室内空気の浄化を迅速に行なうことができる。同様に、ステップS6において静電霧化装置18,18Aの能力を制御して運転率を低下させたときも、換気ファンユニット16などによる換気が行われれば室内空気の浄化を促進することができる。
また、静電霧化装置18,18Aの能力を制御する方法として、上記説明では運転と停止の運転率の変更により行ったが、これに限るものではなく、静電霧化装置18,18Aの放電電圧の変更などによって行っても良い。
次に、汚れ検知手段として、室内空気の汚れを間接的に検知する活動量センサを使用し、例えば人体検知センサを活動量センサとして使用した場合について説明する。室内空気の汚れ度を間接的に検知する方法は直接的に検知する方法と比較して精度は低下するが、人体検知センサを人がいる位置を検知して冷暖房の温度と風向の制御に用いている場合には、そのまま活動量センサとして兼用することは極めて容易であり、コストの上昇を抑制して静電霧化装置18,18Aを長期間にわたり安定的に動作させるために使用することができる。
図15は、前面パネル4の上部に取り付けられた複数(例えば、五つ)のセンサユニット80,82,84,86,88を有する室内機を示しており、図15(a)はセンサカバー90を取り外した状態を、図15(b)はセンサカバー90を取り付けた状態をそれぞれ示している。
センサユニット80は、回路基板と、回路基板に取り付けられたレンズと、レンズの内部に実装された人体検知センサとで構成されており、この構成は、他のセンサユニット82,84,86,88についても同様である。さらに、人体検知センサは、例えば人体から放射される赤外線を検知することにより人の在否を検知する赤外線センサにより構成されており、赤外線センサが検知する赤外線量の変化に応じて出力されるパルス信号に基づいて回路基板により人の在否が判定される。
図16は、センサユニット80,82,84,86,88で検知される人体位置判別領域を示しており、センサユニット80,82,84,86,88は、それぞれ次の領域に人がいるかどうかを検知することができる。
センサユニット80:領域A+C+D
センサユニット82:領域B+E+F
センサユニット84:領域C+G
センサユニット86:領域D+E+H
センサユニット88:領域F+I
すなわち、センサユニット80,82で検知できる領域と、センサユニット84,86,88で検知できる領域が一部重なっており、領域A〜Iの数よりも少ない数のセンサユニット80,82,84,86,88を使用して各領域A〜Iにおける人の在否を検知するようにしている。なお、各領域A〜Iにおける人の在否推定については、本願出願人が既に提案しているので(例えば、特許第3963935号公報参照)、その説明は割愛する。
ここで、上述した「活動量」について説明する。
人の活動量とは人の動きの大きさの度合いを示す概念で、複数の活動量に分類され、例えば「安静」、「活動量大」、「活動量中」、「活動量小」に分類される。
「安静」とは、ソファで寛いでいる、テレビを視聴している、パソコンを操作している等、同じ場所に人が継続している状態が持続している場合のことで、安静状態が持続した場合、塵埃発生量は極めて少ない。活動量「大」とは、室内の清掃等広域で活動している場合のことで、塵埃発生量は極めて多い。活動量「中」とは、炊事等狭域で活動している場合のことで、塵埃はある程度発生するが、極めて多いとは言えない。活動量「小」とは、食事等同じ場所で多少活動している場合のことで、塵埃発生量は少ない。
本実施の形態では、人の活動量レベルを複数の領域を含むブロック毎に判定しているので、このブロックについてまず説明する。
各領域A〜Iは、室内機から見て左側、中央、右側にそれぞれ位置する次の三つのブロックに区分される。
第1ブロック:領域A,C,G
第2ブロック:領域D,E,H
第3ブロック:領域B,F,I
次に、人の活動量の分類方法について図17のフローチャートを参照しながら詳述する。
まずステップS11において、所定時間T1毎に各センサユニット80,82,84,86,88の反応頻度(出力パルス有り)を計測し、ステップS12において、計測回数が所定回数に達したかどうかを判定する。なお、所定時間T1は、上述した人の在否判定における所定の周期と同じであるが、ここでは、例えば2秒に設定され、計測回数の所定回数は、例えば15回に設定されるものと仮定し、15回の計測を総称して1ユニット計測(30秒間の計測)という。また、ここでいう「計測回数」とは、領域A〜Iのいずれかの領域における計測回数のことで、全ての領域A〜Iに対し同様の計測が行われる。
ステップS12において、計測回数が所定回数に達していないと判定されるとステップS11に戻り、計測回数が所定回数に達し1ユニット計測が終了したと判定されると、ステップS13において、4ユニット計測(2分間の計測)が終了したかどうかを判定する。ステップS13において、4ユニット計測が終了していない場合にはステップS11に戻り、4ユニット計測が終了している場合にはステップS14に移行する。
ステップS14においては、4ユニット計測(現在の1ユニット計測を含め過去4回のユニット計測)のセンサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度が所定数(例えば、5回)に達したかどうかを判定し、所定数に達していれば、ステップS15において、「活動量小」と判定された後の合計ユニット計測数(p、詳しくは後述)がクリアされた後、ステップS16に移行する。
ステップS16においては、全領域A〜Iにおけるセンサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度が所定数(例えば、40回)に達したかどうかを判定し、所定数に達している場合には、ステップS17において、「安静」と判定されたブロックを除き在判定された全てのブロックが「活動量大」と判定される一方、所定数に達していない場合には、ステップS18において、4ユニット計測のセンサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度が所定数に達した領域の属するブロックが「活動量中」と判定される。ステップS17あるいはステップS18における活動量判定後、ステップS19において、ユニット計測数(q)から1を減算してステップS11に戻る。すなわち、連続する4ユニット計測で各センサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度が所定数を超え「活動量大」あるいは「活動量中」と判定された領域の属するブロックは、さらに次回の1ユニット計測後、その時点における4ユニット計測の合計反応頻度が所定数を超えた場合には、引き続き「活動量大」あるいは「活動量中」と判定される。
また、ステップS14において、4ユニット計測でセンサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度が所定数未満と判定されると、ステップS20において、その領域の属するブロックが「安静」かどうかが判定され、「安静」でなければ、ステップ21において「活動量小」と判定される。次のステップS22において、「活動量小」と判定された後の合計ユニット計測数(p)がカウントされ、ステップS23において、「活動量小」と判定された後60ユニット計測(30分間の計測)が終了したかどうかを判定する。
ステップS23において、60ユニット計測が終了していないと判定されると、ステップS19に移行する一方、60ユニット計測が終了したと判定されると、その領域だけが当該領域の属するブロックにある場合に限り、ステップS24において「安静」と判定された後、ステップS19に移行する。すなわち、ステップS19に移行することで、次の1ユニット計測を含む過去4回のユニット計測で各センサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度に応じて、各ブロックは「活動量大」、「活動量中」、「活動量小」あるいは「安静」と新たに判定されることになる。
空気調和機の電源をONした後の活動量計測当初は、どの領域の活動量も不明であるが、このフローチャートによれば、計測開始から4ユニット計測が終了して初めて、各領域A〜Iの属するブロックにおいて「活動量大」、「活動量中」あるいは「活動量小」の判定が行われ、60ユニット計測が終了して初めて、「安静」の判定が行われることになる。したがって、計測開始後しばらくは「安静」のブロックは存在しないので、ステップS20においてNOと判定され、ステップS21において「活動量小」と判定される。その後、「活動量小」と継続して判定されたブロックは、60ユニット計測終了後、ステップS24において「安静」と判定され、その後4ユニット計測のセンサユニット80,82,84,86,88の合計反応頻度が所定数未満であれば、引き続き「安静」と判定される。
なお、ステップS15において、「活動量小」と判定された後の合計ユニット計測数(p)をクリアするのは、「安静」との判定は、「活動量小」の判定が起点となるからである。
要約すると、各センサユニット80,82,84,86,88は、人体検知手段としての機能に加え、活動量検知手段としても機能し、図17のフローチャートにより、各領域A〜Iの属するブロックは、例えば次のように判定される。
(1)安静
センサ反応頻度が5回未満/2分が30分以上継続した領域のみあるブロック
(2)活動量大
全領域A〜Iのセンサ反応頻度の総和が40回以上/2分で、少なくとも一つの領域でセンサ反応頻度が2分間で5回以上継続した場合において、「安静」と判定されたブロックを除く全てのブロック
(3)活動量中
全領域A〜Iのセンサ反応頻度の総和が40回未満/2分の場合に、センサ反応頻度が2分間で5回以上継続した領域の属するブロック
(4)活動量小
安静、活動量大、活動量中と判定されなかった領域の属するブロック
以上、複数の人体検知センサを使用して、各領域A〜Iにおける人の活動量の分類方法について説明したが、各領域A〜Iをこのように分類して、図14のフローチャートと略同様に静電霧化装置18,18Aを制御することもできる。
すなわち、図14のフローチャートにおけるステップS3において、領域A〜Iのいずれかの領域に活動量「大」及び「中」の領域があるかどうかを判定し、活動量「大」及び「中」の領域がない場合に、ステップS4に移行する一方、領域A〜Iのいずれかの領域に活動量「大」あるいは「中」の領域がある場合に、ステップS5において、領域A〜Iのいずれかの領域に活動量「大」の領域があるかどうかを判定し、活動量「大」の領域がない場合に、ステップS6に移行し、活動量「大」の領域がある場合に、ステップS7に移行すればよい。
また、本発明においては、室内機が設置された部屋を一つのブロックとして、一つの人体検知センサを使用して当該ブロックにいる人の活動量を分類し、図14のフローチャートと略同様に、静電霧化装置18,18Aを制御することもできる。
さらに詳述すると、一つの人体検知センサの反応頻度に第1及び第2の閾値を設定し、反応頻度に応じて室内機が設置された部屋の活動量を「大」「中」「安静(活動量小を含む)」に分類することができる。人体検知センサの反応頻度としては、所定時間内のセンサ反応頻度の総和であってもよく、所定時間内のセンサ反応頻度の継続時間であってもよい。
さらに、汚れセンサ及び活動量センサにそれぞれ汚れ指数Ng,Naを設定して、この汚れ指数Ng,Naに応じて静電霧化装置18,18Aを制御することもでき、汚れ指数Ng,Naは、例えば次のように設定される。
(i)汚れセンサの場合
汚れ度「大」: 汚れ指数Ng=2
汚れ度「中」: 汚れ指数Ng=1
汚れ度「清浄」:汚れ指数Ng=0
(ii)活動量センサの場合
活動量「大」: 汚れ指数Na=2
活動量「中」: 汚れ指数Na=1
活動量「小」あるいは「安静」:汚れ指数Na=0
次に、汚れ指数Ng,Naに応じた静電霧化装置18,18Aの制御方法につき、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ステップS31において空気調和機が運転中の場合には、ステップS32において、汚れセンサ70により室内空気の汚れ度が検知され、検知された汚れ度に応じて汚れ指数Ngが設定される。次のステップS33において、活動量センサにより室内の活動量が検知され、検知された活動量に応じて汚れ指数Naが設定される。
ステップS34において、設定された二つの汚れ指数Ng,Naが合算されて汚れ指数N(N=Ng+Na)が求められ、ステップS35において、N=0かどうかを判定する。N=0と判定されると、汚れセンサにより検知された汚れ度は「清浄」で、かつ活動量センサにより検知された活動量は「小」あるいは「安静」なので、ステップS36において、静電霧化装置18,18Aが運転(連続運転)されるとともに、表示部76に「緑」が点灯する。
一方、ステップS35において、N=0ではないと判定されると、ステップS37に移行し、N=1かどうかを判定する。N=1と判定されると、汚れセンサにより検知された汚れ度は「清浄」でも、活動量センサにより検知された活動量は「中」か、あるいは、活動量センサにより検知された活動量は「小」あるいは「安静」でも、汚れセンサにより検知された汚れ度は「中」なので、室内空気は多少なりとも汚れていると判定し、ステップS38において、静電霧化装置18,18Aが間欠運転されるとともに、表示部76に「橙」が点灯する。この場合、静電霧化装置18,18Aの能力は、例えば運転率50%に設定され、約1秒間の運転と約1秒間の停止を繰り返すことになり、静電霧化装置18,18Aが発生した静電ミストの効果(室内脱臭浄化)と静電霧化装置18,18Aの汚れ防止効果を両立させている。
一方、ステップS37において、N=1ではないと判定されると、N≧2となるので、汚れセンサにより検知された汚れ度は「大」か、活動量センサにより検知された活動量は「大」か、あるいは、汚れセンサにより検知された汚れ度は「中」で、かつ活動量センサにより検知された活動量は「中」なので、室内空気はかなり汚れていると判定し、ステップS39において静電霧化装置18,18Aの運転を停止し、静電霧化装置18,18Aを保護するようにしている。
このように、汚れセンサ及び活動量センサにより静電霧化装置18,18Aの能力をきめ細かく制御することにより、静電霧化装置18,18Aが発生した静電ミストの効果(室内脱臭浄化)と静電霧化装置18,18Aの汚れ防止効果を両立させながら、帯電した各種の粒子状物質が対向電極40に付着することが防止でき、長期間にわたり安定的に静電霧化装置18,18Aを動作させることができる。
なお、ステップS36,ステップS38あるいはステップS39において、静電霧化装置18,18Aの連続運転、間欠運転あるいは停止を所定時間継続して能力制御した後、ステップS32に戻り、汚れセンサ70により室内空気の汚れ度が再度検知されるとともに、ステップS33において、活動量センサにより室内にいる人の活動量が再度検知される。
また、汚れセンサ70は煙草の煙等の汚れ、調理による油煙の汚れを直接検知するため精度が高いのに対し、活動量センサは人の活動量を検知して活動量が大きいほど室内の汚れ度は大きいと推定することで室内の汚れ度を間接的に検知しており、比較的精度が低い。また、日常生活でも、一時的な活動量の変化が散見されることがあることから、活動量センサの出力は参考にするが、制御にすぐ反映しない方が好ましい。
そこで、汚れセンサ70を主検知手段とし、活動量センサを汚れ検知のアシスト検知手段として、次のようにセンサに重み付けを行い、活動量センサが検知した活動量に比べ汚れセンサが検知した汚れ度をより静電霧化装置18,18Aの制御に反映することもできる。
(i)汚れセンサの場合
汚れ度「大」: 汚れ指数Ng=4
汚れ度「中」: 汚れ指数Ng=2
汚れ度「清浄」:汚れ指数Ng=0
(ii)活動量センサの場合
活動量「大」: 汚れ指数Na=2
活動量「中」: 汚れ指数Na=1
活動量「小」あるいは「安静」:汚れ指数Na=0
このようにセンサに重み付けした場合、図18のフローチャートのステップS35においてN=0あるいは1と判定されると、ステップS36に移行し、ステップS37においてN=2と判定されると、ステップS38に移行し、ステップS37においてN=2ではない(N≧3)と判定されると、ステップS39に移行して、汚れ指数Nに応じた静電霧化装置18,18Aの制御が行われる。
このように、精度の高い汚れセンサ70を主検知手段とし、活動量センサを汚れ検知のアシスト検知手段として重み付けを行った制御とすることで誤検知の可能性をより低減することが可能となり、静電霧化装置18,18Aが発生した静電ミストの効果(室内脱臭浄化)と静電霧化装置18,18Aの汚れ防止効果とをさらに両立させている。
なお、汚れセンサ70として、ガスセンサに代えて光学式ホコリセンサを用いると、室内の塵埃を直接検知できるので、活動量センサを設ける必要はない。
上記実施の形態において、室内空気の汚れ度に二つの閾値を設け、室内空気の汚れ度に応じて静電霧化装置18,18Aが連続運転、間欠運転あるいは停止を繰り返すように制御したが、室内空気の汚れ度に一つの閾値を設け、室内空気の汚れ度に応じて静電霧化装置18,18AをON/OFF制御することもできる。この場合、表示部76には室内空気の汚れ度が2色で表示される。また、三つ以上の閾値を設け、静電霧化装置18,18Aの間欠運転(運転率)をさらに細かく制御するようにしてもよく、この場合、表示部76には室内空気の汚れ度が4色以上で表示される。
このように閾値の数は任意に設定できるが、数が少ないほど静電霧化装置18,18Aによる空気清浄のきめ細かい制御は低下するが簡易な構成でコストの上昇を抑制することが可能となり、数が多いほど構成が複雑になるが静電霧化装置18,18Aによる空気清浄のきめ細かい制御が可能となる。
また、室内空気の汚れ度に応じて換気ファンユニット16に設けられた換気ファンの回転数制御を行い、汚れ度が大きい場合は換気ファンの回転数を増大すると、室内空気をより迅速に浄化することができるとともに、静電霧化装置18,18Aの運転率が増大し、静電ミストによる室内浄化作用も増大する。
以上、いくつかの構成を説明したように、汚れ検知手段が検知した室内空気の粒子状物質の多寡、すなわち汚れ度に応じて静電霧化装置18,18Aの能力を制御し、例えば汚れ度が小さい場合は静電霧化装置18,18Aを通常通り運転する一方、汚れ度が大きい場合は静電霧化装置18,18Aの能力を制限して運転するようにしたので、長期に渡り静電霧化装置18,18Aを正常運転することができ、静電ミストによる脱臭などの空気浄化機能を維持継続することができる。
(静電霧化装置の電極の自己浄化制御)
上述したように、室内空気が汚れていると、帯電した塵埃の一部が対向電極40に付着して対向電極40が汚れ、静電霧化装置18,18Aの機能が低下するので、空気調和機の運転が停止している時、室内ファン8及びバイパス送風ファン26を停止させた状態で、静電霧化装置18,18Aだけが所定時間運転されるように制御される。すなわち、空気調和機の運転が停止している時に静電霧化装置18,18Aの放電電極38と対向電極40とに所定の高電圧を印加する制御を行うものである。
このような制御を行うことで、静電霧化ユニット30で発生する静電ミストが室内機本体2の吹出口10にほとんど流出することなく、ユニットハウジング66(図11)に加えてケーシング34(図3)、又は隔壁46cと本体カバー(図示せず)との間に形成された収容部22e(図12)に充満し、放電電極38と対向電極40の周囲が静電ミストの雰囲気となる。これにより、放電電極38と特に対向電極40の汚れ成分を静電ミストによる親水性作用で浮かび上がらせて分解することにより、静電ミストを発生する放電電極38と対向電極40をきれいな状態に回復することで経時的な放電の悪化を防止することができる。すなわち、このような電極の自己浄化制御により静電霧化装置18,18Aの性能低下を防止することができる。
このような電極の自己浄化制御を行うのは、空気調和機の運転が停止している時、すなわち、空気調和機の運転停止直後から次回運転を開始するまでのうちいつでも可能である。
しかしながら、空気調和機の運転が停止している時に行う中でも、特に静電霧化装置を動作させながらの空気調和機の運転(送風を含む一連の空調運転)の停止直後に行うことが、静電霧化装置が動作していればそのまま電極の自己浄化制御として継続して動作することもできることから都合が良い。そして、この運転停止直後に行うことについても、毎回行っても良いし、選択的に行っても良い。そのうち、停止直後に毎回行う場合には、静電霧化装置を動作して電極の自己浄化制御を所定時間(例えば、1〜3分)行えば、電極38,40を常にきれいな状態に保持することができ、静電霧化装置18,18Aの性能低下を最小限に抑えることができる。
また、電極の自己浄化制御を運転停止直後に選択的に行う場合には、例えば空調運転(静電霧化装置運転)の積算時間や室内空気の汚れ度を考慮することで可能であり、静電霧化装置18,18Aの不要な動作を抑制した効率的な運転を行うことができる。以下、この選択的に行う制御を図19のフローチャートを参照しながら説明する。
まずステップS41において、空気調和機の運転が開始し、静電霧化装置18,18Aの運転が開始すると、ステップS42において、制御部72に設けられた運転時間積算手段により空気調和機の運転時間を積算して積算運転時間Thとし、次のステップS43において、汚れ検知手段により室内空気の汚れ度Dsを検知する。なお、積算運転時間Thは基本的には静電霧化装置18,18Aの運転の積算時間であるが、本発明の実施の形態では空気調和機の運転中は静電霧化装置18,18Aが常に動作しているとして、便宜上空気調和機の運転時間の積算として説明する。
ステップS44において、検知された汚れ度Dsを閾値D0(例えば、上述した第1の閾値)と比較し、汚れ度Dsが閾値D0より小さい場合には、ステップS43に戻る一方、汚れ度Dsが閾値D0以上の場合には、ステップS45において、制御部72に設けられた汚れ超過積算手段により汚れ超過積算時間TDsを算出する。
ステップS46において、空調運転の停止信号が制御部72に入力されたどうかを判定し、入力されていない場合には、ステップS42に戻る一方、入力された場合には、ステップS47において、空気調和機の積算運転時間Thを閾値T0(例えば、100時間)と比較し、積算運転時間Thが閾値T0以上の場合には、ステップS48において、積算運転時間Thをリセットした後、ステップS49において空気調和機の運転を停止し、室内ファン8を停止させ、前面吸込口2aを前面パネル4で閉止するとともに上下羽根12で吹出口10を閉止した状態で、静電霧化装置18,18Aを所定時間(例えば、3〜5分)運転した後、停止させる。なお、ここで前面吸込口2aと吹出口10とを閉止した状態としたのは、室内機本体2から静電ミストが流出せずに内部に充満しやすく、より効率的に自己浄化できるようにするものであり、これらを開放した状態とするより望ましいものである。
一方、ステップS47において、積算運転時間Thが閾値T0より短いと判定されると、ステップS50において、汚れ超過積算時間TDsを閾値TD0(例えば、50時間)と比較し、汚れ超過積算時間TDsが閾値TD0以上の場合には、ステップS51において、汚れ超過積算時間TDsをリセットした後、ステップS49に移行する。
ステップS50において、汚れ超過積算時間TDsが閾値TD0より短いと判定されると、ステップS52において、空気調和機の運転停止と同時に静電霧化装置18,18Aも停止させる。
すなわち、空気調和機の積算運転時間Thが短く、かつ室内空気が汚れた状態での汚れ超過積算時間TDsが短い場合には、空気調和機の運転停止直後に電極38,40の浄化を行わないことで、不要な浄化動作を抑制する一方、空気調和機の積算運転時間Thが長かったり、室内空気が汚れた状態での汚れ超過積算時間TDsが長かったりする場合には、空気調和機の運転停止直後に電極38,40の浄化を行うことで、静電霧化装置18,18Aの性能低下を防止している。
なお、図19のフローチャートにおいては、汚れ超過積算時間TDsを算出し、汚れ超過積算時間TDsが所定時間(閾値TD0)以上の場合に、空調運転停止直後に、静電霧化装置18,18Aを所定時間継続して運転した後、停止させるようにしたが、汚れ超過積算時間TDsを算出することなく、汚れ検知手段により検知した室内空気の汚れ度Dsが閾値D0以上の場合に、空調運転停止直後に、静電霧化装置18,18Aを所定時間継続して運転した後、停止させるようにしてもよい。静電霧化装置18,18Aをこのように制御すると、室内空気の汚れが一時的に大きくなったことに起因する想定外の電極38,40の汚れを浄化して性能低下を防止することができるとともに、室内空気の汚れ度Dsが小さい場合には、不要な動作をしなくて済む。
また、空気調和機の積算運転時間Thが長かったり、室内空気が汚れているときの汚れ超過積算時間TDsが長かったりした場合の静電霧化装置18,18Aの運転時間を、空気調和機の運転が停止する毎に静電霧化装置18,18Aを運転する場合の運転時間より長く設定したのは、前者の方が、電極38,40の汚れが大きいと予想されるからである。
さらに、空気調和機の運転停止直後に静電霧化装置18,18Aを所定時間運転して電極38,40の浄化を行うことを、運転時間積算手段による積算運転時間Thのみで判断するようにしても良く、このような制御を行うことで、空気がそれほど汚れていなくても長時間運転した場合の相応の汚れによる静電霧化装置18,18Aの性能低下を防止することができ、積算運転時間Thが短い場合には不要な動作をしなくて済む。
なお、空気調和機が運転中の静電霧化装置の動作は、先にも説明した室内空気の汚れ度や、温湿度条件によっては停止していることもあり、必ずしも空気調和機を停止する時に動作しているとは限らないので、その時にはあらためて静電霧化装置を動作させれば良い。室内空気の汚れ検知手段としては、上述した室内空気の汚れ度を直接検知する汚れセンサでもよく、室内空気の汚れ度を間接的に検知する活動量センサでもよい。
また、上述した電極38,40の自己浄化制御において、前面パネル4は固定式であってもよく、この場合、静電霧化装置18,18Aの所定時間の運転は上下羽根12で吹出口10を閉止した状態で行えばより効率的に浄化できる。
(熱交換器を含む本体内部の防かび・除菌制御)
空気調和機の暖房運転中は、本体2内部は乾燥しているが、冷房あるいは除湿運転中は、熱交換器6は濡れており、本体2内部の湿度が高く、かびや菌が発生しやすい。そこで、冷房あるいは除湿運転停止後、一旦冷凍サイクルを送風運転と除湿運転と暖房運転とのうちいずれか一つ以上に切り替え、乾燥運転として所定時間運転して本体内部を乾燥させた後、静電霧化装置18,18Aにより静電ミストを発生させることで、防かび・除菌を行う。
以下、この制御を図20のフローチャートを参照しながら説明する。
まずステップS61において、空調運転を開始すると、ステップS62において、空調運転が冷房あるいは除湿運転かどうかを判定する。冷房あるいは除湿運転の場合にはステップS63に移行する一方、冷房あるいは除湿運転でない場合にはステップS64に移行する。
ステップS63においては、空調運転の停止信号が制御部72に入力されたどうかを判定し、入力された場合にはステップS65において、室外機に設けられた四方弁を切り替えることにより冷凍サイクルを暖房運転に切り替えて熱交換器6を含む本体2内部の乾燥運転を行う一方、空調運転の停止信号が制御部72に入力されていない場合には、ステップS63に戻る。
ステップS65における本体2内部の乾燥運転が終了すると、ステップS66において室内ファン8を低速(例えば、約500rpm)で運転させ、前面吸込口2aを前面パネル4で閉止するとともに上下羽根12で吹出口10を閉止した状態、又は前面パネル4及び上下羽根12は後述する乾燥位置の状態で、静電霧化装置18,18Aが所定時間(例えば、約3分)運転されるように制御される。
このような制御を行うことで、室内機本体2の内部に静電ミストが撹拌されながら充満又は循環し、熱交換器6、室内ファン8等を含む本体2内部におけるかびや菌の発生を抑制することができる。特に、内部を乾燥してから静電ミストを充満させることで、静電ミストが水分により消滅してしまうことを防止して、少しでも長時間にわたって負の帯電を維持しながら隅々まで効果を行き渡らせることができる。
静電霧化装置18,18Aを所定時間運転した後、ステップS67において、静電霧化装置18,18Aを停止させる(室内機の完全停止)。
また、ステップS64においては、空調運転の停止信号が制御部72に入力されたどうかを判定し、入力された場合にはステップS67において、室内機を完全に停止させる一方、空調運転の停止信号が制御部72に入力されていない場合には、ステップS64に戻る。
次に、ステップS65において行う本体2内部の乾燥運転について図21のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図21に示されるように、本体2内部の乾燥運転を行う場合、時間t1において、室外機に設けられた圧縮機及び室外ファンが停止して冷房あるいは除湿運転は停止する。また、時間t1までの運転モードやリモコンの設定風量に応じて回転速度が決定されていた室内ファン8は第1の速度(例えば、約900rpm)に設定され、1回目の送風運転を行う。このとき、室外機に設けられた膨張弁は、冷房あるいは除湿運転時の圧縮機周波数に対応して決定される目標吐出温度になるように開度制御が行われており(吐出温制御)、四方弁はOFFで冷房運転時の冷凍サイクルが維持されている。
また、前面パネル4及び上下羽根12は開状態から乾燥位置に移動するが、この乾燥位置について図22を参照しながら説明する。
図22に示される乾燥位置においては、前面パネル4は前面吸込口2aから僅かに離反する(例えば、A=20mm)一方、上下羽根12の後縁部は吹出口10の下縁部に当接するとともに、その前縁部は吹出口10の上縁部より僅かに離反している(例えば、B=10mm)。
したがって、本体2内部の乾燥運転時は、室内ファン8から吹出口10に向かって送風された空気は、室内に送風されることなく上下羽根12により前面吸込口2aに導かれ、吹出口10から送風された空気が直接吸込口に吸い込まれて室内機内を循環する所謂「ショートサーキット」状態となる。
図21のタイミングチャートに戻って、本体2内部の乾燥運転をさらに説明すると、時間t1から時間t2まで(例えば、約3分)は送風運転を行い、時間t2において、圧縮機は周波数を抑えた第1の運転周波数(例えば、約16Hz)で運転を再開するとともに、室外ファンも低速度(例えば、約150rpm)で運転を再開し、除湿(本格除湿)運転を行う。除湿運転中、膨張弁は最大パルス(例えば、約480パルス)に設定されて全開し、室内ファン8は第1の速度より低い第2の速度(例えば、約500rpm)で運転を行う。ちなみに本格除湿とは、室内熱交換器の一部を加温に使用するなど工夫して、通常の除湿運転では室内温度が僅かずつではあるが低下してしまう問題点を解決した除湿方法である。
所定時間(例えば、約55分)の除湿運転終了後、時間t3において、2回目の送風運転に入り、圧縮機及び室外ファンは停止するとともに、室内ファン8は第2の速度から第1の速度に変更される。なお、膨張弁のパルス数は最大パルスに引き続き維持されている。
時間t3から所定時間(例えば、約3分)経過後の時間t4において、四方弁を切り替えて暖房運転に入り、本体2内部を乾燥させて冷房あるいは除湿運転中に生じた水分を塵埃とともに除去する。暖房運転中は、圧縮機は第1の運転周波数より高い第2の運転周波数(例えば、約30Hz)に維持され、室外ファンは除湿運転時と同じ速度で運転される。また、膨張弁は最大パルスより少ない所定のパルス(例えば、約400パルス)に設定され、室内ファン8は、再び第2の速度に設定される。
所定時間(例えば、約30分)の暖房運転終了後、時間t5において、四方弁をOFFにして冷房運転時の冷凍サイクルに戻し、圧縮機及び室外ファンを停止するとともに、室内ファン8を第2の速度から第1の速度に変更して3回目の送風運転を行う。このとき、膨張弁のパルス数は前記所定のパルスより最大パルスに再設定される。
3回目の送風運転を所定時間(例えば、約3分)行った後、時間t6において、全ての運転を停止する。なお、時間t1から時間t6までの間、前面パネル4及び上下羽根12は、図22に示される乾燥位置に保持される。
ここで、本体2内部の乾燥運転に際し、暖房運転の前に除湿(本格除湿)運転あるいは送風運転の組み合わせ運転を行っているが、これは、暖房運転で本体2内部の乾燥運転を行うと、それ以前の運転で熱交換器6に付着していた結露水が急激に蒸発して室内空間に流出し、部屋の湿度が上昇してユーザに不快感をあたえる虞があるが、本格除湿を行うことで湿気を室内空間に流出させることなく熱交換器6の結露水の一部を回収しながら洗浄することができるので、ユーザに不快感を与えることなく本体2内部の乾燥運転に移行できるからである。また、本体2内部の乾燥運転中、除湿運転と暖房運転の前後に合計3回の送風運転を行っているが、これは圧縮機の吸入圧力と吐出圧力との圧力差が大きいと起動に失敗する可能性があり、吸入圧力と吐出圧力を均一化するためである(圧縮機の起動保護)が、送風運転でも時間は掛かるが熱交換器6を乾燥させることができ、圧縮機の起動保護の間にも乾燥の促進としている。
上述した本体内部の防かび・除菌制御の効果を検証するため、静電ミストの有無による室内機各部の生残菌数をJIS Z 2801に準拠したテスト方法で調べたところ、表1及び表2のような結果が得られた。表1は黄色ブドウ球菌に対する静電ミストの効果を示しており、表2は大腸菌に対する静電ミストの効果を示している。また、図23及び図24のグラフは表1及び表2にそれぞれ対応している。
なお、「アルミフィン」は熱交換器6を構成するフィンを、「台枠材」は本体2の枠体を、「CFF材」は室内ファン(クロスフローファン)8をそれぞれ意味している。また、生残菌数の単位における「cfu」は「集落形成単位(colony forming unit)」のことであり、「抗菌活性値」はJIS Z 2801の抗菌性試験方法で規定されており、無加工品の24時間培養後の菌数を抗菌加工品の24時間培養後の菌数で除した数の対数値で表され、抗菌活性値=2.0は99%の死滅率に相当し、抗菌活性値2.0以上(99%以上の死滅率)で効果があると定義されている。
表1及び表2あるいは図23及び図24のグラフから分かるように、静電ミストにより生残菌数が激減しており、静電ミストの防かび・除菌効果は明らかである。
なお、静電霧化運転は、通常は空調運転中にも行われているものであり、室内機の乾燥運転の送風運転、本格除湿運転及び暖房運転中にも運転していても良く、この場合にはショートサーキット状態で室内機の内部を循環することで、静電ミストは熱交換器の金属や水分、室内ファンなどに衝突して多くが消滅するとはいえ、その分より長時間にわたって静電ミストを室内機本体の内部に循環させて隅々まで到達させることで防かびと除菌のより大きな効果を得ることができる。
また、乾燥運転は図21で説明した方法に限るものではなく、運転時間を変更したり、送風運転と暖房運転だけの組み合わせにしたりするなど、種々の方法が可能である。
また、上述した本体内部の防かび・除菌制御において、前面パネル4は固定式であってもよく、この場合、静電霧化装置18,18Aの所定時間の運転は上下羽根12で吹出口10を閉止した状態で行われる。
(前面パネルの汚れ防止制御)
この制御は静電ミストの汚れ成分を親水性作用で浮かび上がらせて分解する機能による汚れ防止効果を利用したものであり、空気調和機の運転を停止している時に、室内ファン8を運転し、吹出口10から送風された空気が直接吸込口(前面吸込口2a、上面吸込口2b)に吸い込まれて室内機内を循環する「ショートサーキット」状態で、前面パネル4の表面(前面)を静電ミストを含んだ空気が通過するように前面パネル4及び上下羽根12を位置制御した上で、静電霧化装置18,18Aを所定時間(例えば、約3分)運転することにより行われる。
図25乃至図27は、前面パネル4の汚れ防止制御を行う場合の前面パネル4と上下羽根12との位置関係を示しており、いずれの場合も、上下羽根12を上向きにして吹出口10から送風された空気が直接吸込口(前面吸込口2a、上面吸込口2b)に吸い込まれて室内機内を循環する「ショートサーキット」状態となるように設定されている。本発明の実施の形態における前面パネル4の汚れ防止制御においては、前面パネル4及び上下羽根12は図25乃至図27のうちのいずれかの状態になるように位置制御される。
(i)図25の状態
前面パネル4:上部「開」、下部「閉」
上下羽根12:吹出口10の上部「開」、下部「ほぼ閉」、風向は前方上向き
(ii)図26の状態
前面パネル4:上部「開」、下部「わずかに開」(下縁部は上下羽根12の前縁部より後方に位置する)
上下羽根12:吹出口10の上部「開」、下部「ほぼ閉」、風向は前方上向き
(iii)図27の状態
前面パネル4:上部「開」、下部「開」(下縁部は上下羽根12の前縁部より前方に位置する)
上下羽根12:吹出口10の上部「開」、下部「ほぼ閉」、風向は前方上向き
前面パネル4の表面を流れる風量は、図25の状態>図26の状態>図27の状態となる。図25の状態は、吹出口10から前方上方に吹き出した空気はすべて前面パネル4の表面に沿って流れるので、前面パネル4の表面の汚れ防止作用が最も効率よく行われる。また、前面パネル4が片支持となり、停止位置等の制御が容易である。
図26の状態は、吹出口10から吹き出した空気の大部分は前面パネル4の表面に沿って流れるが、空気の一部は前面パネル4の裏面に沿って流れたり、前面吸込口2aより本体2内部に流入したりするので、図25の状態より前面パネル4の表面の汚れ防止作用は低下するが、前面パネル4の裏面の汚れ防止作用や本体2内部の浄化作用もある程度達成することができる。
さらに、図27の状態は、吹出口10から吹き出した空気の約半分は前面パネル4の表面に沿って流れるが、空気の残りの約半分は前面パネル4の裏面に沿って流れたり、前面吸込口2aより本体2内部に流入したりするので、図26の状態より前面パネル4の表面の汚れ防止作用はさらに低下するが、前面パネル4の裏面の汚れ防止作用や本体2内部の浄化作用が向上する。
なお、前面パネル4は固定式であってもよく、図28は固定式前面パネルを有する室内機の汚れ防止制御を示している。この場合、上下羽根12は、図25乃至図27と同様に設定され、吹出口10から吹き出した空気はすべて前面パネル4の表面に沿って流れることになる。
また、図25と図26の状態のように、前面パネル4の下縁部が上下羽根12の前縁部より後方に位置するように構成すれば、吹出口10から吹き出した空気がよりスムーズに前面パネル4の表面に沿って流れるショートサーキットの状態を作ることができる。
前面パネル4の汚れ防止効果を検証するため、32リットルの箱に煙草30本の煙を30分で注入して、前面パネル4の表面に図25の状態で静電ミストを流した場合と流さない場合の表面の変色状態を比較した。煙の量は、容積換算すると、8畳の部屋で15本/日の煙草を10年間吸った場合に相当する。
色差計(ミノルタ製CR−200)を使用して変色前(使用前)と変色後の色差(耐煙草汚染性)を測定したところ、次のような結果が得られた。
静電ミストあり:ΔE=22.87
静電ミストなし:ΔE=34.28
この結果は、前面パネル4の表面に静電ミストを流すことで、前面パネル4の汚れが防止されることを示している。すなわち、前面パネルのメンテナンスの煩わしさを低減することができる。
なお、上述した静電霧化装置18,18Aの運転制御、電極38,40の自己浄化制御、本体内部の防かび・除菌制御、及び前面パネル4の汚れ防止制御は組み合わせて行うことも勿論可能で、空気調和機の運転中に静電霧化装置18,18Aの運転制御を行い、空気調和機の停止後に、電極38,40の自己浄化制御、本体内部の防かび・除菌制御、及び/又は、前面パネル4の汚れ防止制御を行えばよい。