JP2009166254A - 熱転写記録装置及び熱転写記録方法 - Google Patents

熱転写記録装置及び熱転写記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱転写インクシートと熱転写記録シートを圧接させ、サーマルヘッドからの熱エネルギを熱転写インクシートの裏面から印加して熱転写記録シートに記録を行う際に、銀塩写真のようにバックカールを付与する。
【解決手段】サーマルヘッド11と、プラテンローラ12と、キャプスタンローラ13と、ピンチローラ14とを備える。熱転写インクシート2と熱転写記録シート3とが圧接される位置に対して、熱転写記録シート3が湾曲した状態で給紙され、熱転写記録シート3のISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)が120mN〜200mNである。そして、キャプスタンローラ13のラップ角θ1とプラテンローラのラップ角θ2とが(式1)15≦N/θ1≦100と(式2)4≦N/θ2≦8を満足する。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱転写インクシートと熱転写記録シートを圧接させ、サーマルヘッドの熱エネルギを印加して熱転写インクシートの色素を熱転写記録シートの受容層に熱転写する際に、排出される熱転写記録シートに銀塩写真のようにハックカールを付与する熱転写記録装置及び熱転写記録方法に関する。
従来より、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置には、プラテンローラと対向するサーマルヘッドを有する熱転写記録装置を備えるものがある。そして、サーマルヘッドを用いる熱転写記録装置を用いたプリンタの場合には、記録方式として、昇華方式、溶融方式、感熱方式等が知られている。この種のプリンタは、プラテンローラ上に給紙された熱転写記録シートに対し、サーマルヘッドを熱転写インクシートの背面から熱転写記録シートに圧接して印画するようになっている。
ここで、サーマルヘッドは、ライン状に複数の発熱素子(抵抗素子)が配列されており、これらの発熱素子に対し、階調レベルに応じた選択的な通電を行って、その際に発生する熱エネルギを利用して、各種の熱転写記録シートに記録、すなわち印画を行う。すなわち、サーマルヘッドを用いた熱転写記録装置で熱転写記録シートに印画を行う場合には、最初に、キャプスタンローラを回転させ、プラテンローラ上に熱転写記録シートを給紙する。次に、プラテンローラから離れるように上昇しているサーマルヘッドを下降させ、熱転写インクシート及び記録シートを介してサーマルヘッドがプラテンローラを押圧するようにする。そして、サーマルヘッド駆動回路から出力されるそれぞれの信号に基づいて、サーマルヘッドに配列された複数の発熱素子(抵抗素子)を発熱させ、熱転写インクシートの色素を熱転写記録シートに転写する。
ところで、印画時に、サーマルヘッドに配列された複数の発熱素子(抵抗素子)を発熱させ、プラテンローラに熱転写記録シートを介してサーマルヘッドを押圧させると、熱転写記録シートは、サーマルヘッドによって印加される熱エネルギと押圧力との作用により、熱転写記録シートの受容層側の水分が蒸発したり、熱収縮によって、印画後、受容層側が凹んだ形にカールしてしまう(以下、トップカールともいう。他方、受容層側が凸になるカールをバックカールともいう。)。
ところで、熱転写記録シートは、熱転写記録装置を用いたプリンタの種類により枚葉シートが使用されたり、ロール状に巻回されたロール紙が使用されたりする。枚葉シートは、プリンタでのカット処理が不要で取り扱いも比較的容易であることからこれまで多用されてきたが、2枚以上が重なって給紙される重送問題のみならず、多量であると嵩張って容積が大きくなってしまい、給紙システムも複雑になるため、昨今のプリンタの高速化・大容量化にそぐわない。したがって、近年では、重送の心配が無く、容積も小さくできるロール紙の熱転写記録シートが用いられている。特に、受容層を内面に巻き上げたロール紙の熱転写記録シートは、受容層が設けられた熱転写記録シートの表面に塵埃や皮脂等の汚れが付着して生ずる、白抜け、変色やにじみ等印画品位の低下が無いため、多用されつつある。
しかしながら、受容層を内面に巻き上げたロール紙を用いる場合には、印画後のトップカールが生じ易く、このトップカールは、ロール直径の減少(曲率が大きくなる)と共に悪化する傾向がある。また、トップカールは、印画する画像の濃淡(印画率)や印画する環境温湿度にも影響を受ける。すなわち、一般的にパステル色やグレー色等淡色が多く印画率の低い画像を印画する場合や低温低湿環境下で印画を行う場合には、トップカールが発生しやすい。
ここで、図5は、従来の熱転写記録装置を用いたプリンタ110の要部を示す斜視図である。このプリンタ110は、ロール状に巻回された熱転写記録シート101を用いるものであり、熱転写インクシート102に対して熱エネルギを印加するサーマルヘッド111と、熱転写記録シート101の裏面101aと接触し、サーマルヘッド111とで、重なった状態の熱転写インクシート102と熱転写記録シート101とを圧接させるプラテンローラ112と、熱転写記録シート101の裏面101aと接触するキャプスタンローラ113と、熱転写記録シート101の表面101bと接触するピンチローラ114と、熱転写記録シート101を所定の長さで切断するカッタを有する切断機構115とを備えている。
図5に示すように、熱転写記録シート101は、キャプスタンローラ113が回転することにより、図5中矢印X方向に搬送される。また、熱転写記録シート101は、サーマルヘッド111により、熱転写インクシート102を介してプラテンローラ112に押圧される。そして、サーマルヘッド111によって熱エネルギが印加されることによって、熱転写インクシート102のインクが溶融又は昇華して熱転写記録シート101に転写され、印画が行われる。更に、印画後の熱転写記録シート101は、切断機構115のカッタによって切断され、排紙口から排出される。
ここで、印画後の熱転写記録シート101は、サーマルヘッド111の熱エネルギや押圧力により、図5に示すように、サーマルヘッド111側にカールする。すると、一般的な銀塩写真の印画紙とは逆のトップカールとなる。
そこで、このような問題を改善する目的で特許文献1のようなものがある。この特許文献1は、熱転写記録シートに対するサーマルヘッドの圧接位置が、熱転写記録シートとプラテンローラとの接触開始位置よりもプラテンローラの回転方向における下流側に所定量ずれるようにしている。
図6は、上記の特許文献1に記載のサーマルヘッドを用いたプリンタ120の要部を示す側面図である。ここで、熱転写記録シート101は、サーマルヘッド121と対向するプラテンローラ122の右下側から給紙されるようになっており、プラテンローラ122に角度θだけ巻き付いている。また、サーマルヘッド121は、熱転写記録シート101の排紙方向、すなわち図6中矢印Y方向と平行な状態でプラテンローラ122を押圧する。また、熱転写記録シート101は、キャプスタンローラ123とピンチローラ124に挟まれており、キャプスタンローラ123が回転することにより、図6中矢印Y方向に搬送される。また、熱転写インクシート102は、複数のガイド126によりガイドされることによって、サーマルヘッド121とプラテンローラ122との間に延在され、印画時図6中矢印Z方向に走行される。印画が終了すると、熱転写記録シート101は、切断機構115のカッタで切断される。
図6のプリンタ120によれば、サーマルヘッド121が、熱転写インクシート102を介して熱転写記録シート101に圧接する。そして、熱転写記録シート101に対するサーマルヘッド121の圧接位置は、熱転写記録シート101とプラテンローラ122との接触開始位置よりも下流側、すなわち図6中矢印Y方向にあり、接触終了位置と一致している。このため、熱転写記録シート101は、サーマルヘッド121の熱エネルギと押圧力とが加わる前に、プラテンローラ122によって角度θだけ予め曲げられている。すなわち、サーマルヘッド121の熱エネルギと押圧力とによって発生するトップカールに対し、反対方向に熱転写記録シート101を湾曲させるような作用が加えられることとなる。したがって、印画後の熱転写記録シート101は、カールが自動的に矯正された真っ直ぐなものとなる。
また、特許文献1の他にも、カールを矯正する技術が知られている。すなわち、特許文献2のように、一対のバーの間を熱転写記録シートが通過するようにしてカールを除去するものや、特許文献3のように、定着ランプの点灯による輻射熱で熱転写記録シートを加熱して、印画中に発生したロール紙のカールを矯正するものがある。しかしながら、特許文献1乃至特許文献3は、何れも熱転写記録シートに発生したカールを矯正し、真っ直ぐにするものであって、銀塩写真の印画紙と同様なバックカールを付与し、印画品質をより写真品質に近づけるものではない。
すなわち、熱転写記録装置を用いたプリンタで印画したものにおいても、写真画質は重視されるものがあり、このようなプリンタでは、画質を向上させるための様々な技術開発がなされ、画質的には写真と同等のものが得られるようになっている。
ところが、銀塩写真の印画紙は一般的にバックカールになっている。このため、画質的に写真と同等のものが得られていても、印画後の熱転写記録シートがトップカールであったり、カールがなく真っ直ぐであったりすると、銀塩写真と異なってしまい、見た目や印象が銀塩写真と異なってしまう。
このような問題を解決するため、本件出願人は、特許文献4を提案している。特許文献4では、プラテンローラ上におけるサーマルヘッドと熱転写記録シートとの圧接位置が、プラテンローラと熱転写記録シートとの接触終了位置よりも、プラテンローラの回転方向の上流側にずらすようにし、カールを付与するようにしている。この特許文献4によれば、サーマルヘッドの熱エネルギと押圧力とにより、たとえ熱転写記録シートがサーマルヘッド側に湾曲したとしても、その後、この熱転写記録シートを逆側(プラテンローラ側)に湾曲させる力が作用するため、バックカールにすることができる。
しかしながら、特許文献4では、上述のように熱転写記録シートを、受容層を内面に巻き上げたロール紙のロール直径の変化、印画しようとする画像の印画率の高低や印画する環境温湿度の変化に十分満足に対応できず改良の余地があった。
特許第2992204号 特開2002−37496号公報 特開2003−341117号公報 特開2006−44127号公報 特開2006−27264号公報
本発明は、以上のような課題に鑑み、熱転写インクシートと熱転写記録シートを圧接させ、サーマルヘッドからの熱エネルギを熱転写インクシートの裏面から印加して熱転写記録シートに記録を行う熱転写記録において、銀塩写真のようにバックカールを付与することができる熱転写記録装置及び熱転写記録方法を提供することを目的とする。
本発明は、熱転写インクシートと熱転写記録シートを圧接させ、熱エネルギを上記熱転写インクシートから印加して上記熱転写記録シートにインクを熱転写させて記録を行う熱転写記録装置において、上記熱転写インクシートに対して熱エネルギを印加するサーマルヘッドと、上記熱転写記録シートの裏面と接触し、上記サーマルヘッドとで、上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとを圧接させるプラテンローラと、上記熱転写記録シートの裏面と接触するキャプスタンローラと上記熱転写記録シートの表面と接触するピンチローラとで上記熱転写記録シートを狭持して該熱転写記録シートを走行させる走行手段とを備える。そして、上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとが圧接される位置に対しては、上記熱転写記録シートが湾曲した状態で給紙される。
ここで、上記熱転写記録シートのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)が120mN〜200mN、好ましくは150〜190mN、更に好ましくは156〜172mNである。
そして、上記キャプスタンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第1の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第1の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の下流側にずれた上記キャプスタンローラと上記ピンチローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ1)とし、上記プラテンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第2の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第2の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の上流側にずれた上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ2)としたとき、上記キャプスタンローラのラップ角度(θ1)及び上記プラテンローラとのラップ角度(θ2)が、
15≦ N/θ1 ≦100 ・・・(式1)
4≦ N/θ2 ≦8 ・・・(式2)
を満足する。
また、本発明は、熱転写記録シートの裏面と接触するキャプスタンローラと上記熱転写記録シートの表面と接触するピンチローラとで上記熱転写記録シートを狭持して該熱転写記録シートを走行させ、上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとをサーマルヘッドとプラテンローラで狭持して圧接させ、上記サーマルヘッドから熱エネルギを上記熱転写インクシートの裏面側から印加して上記熱転写記録シートにインクを熱転写させて記録を行う熱転写記録方法において、上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとが圧接される位置に対して、上記熱転写記録シートが湾曲した状態で給紙し、上記熱転写記録シートのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)が120mN〜200mNであり、上記キャプスタンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第1の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第1の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の下流側にずれた上記キャプスタンローラと上記ピンチローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ1)とし、上記プラテンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第2の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第2の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の上流側にずれた上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ2)としたとき、ラップ角度(θ1)及び上記ラップ角度(θ2)が、
15≦ N/θ1 ≦100 ・・・(式1)
4≦ N/θ2 ≦8 ・・・(式2)
を満足する。
本発明では、上記熱転写記録シートは、基材の片面に受容層を設けたものであって、上記受容層が内面になるようにロール状に巻回された状態で給紙部に配設されるものが好ましい。
本発明では、例えば、記録中の上記プラテンローラの回転方向における下流側から上流側に向かって順に、上記ピンチローラと上記キャプスタンローラ、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラが配設される。
そして、上記熱転写記録シートを上記プラテンローラの表面に接触させて湾曲させた後、上記熱転写記録シートは、受容層側が凹む方向に曲げることなく排出されることが好ましい。
本発明によれば、サーマルヘッドからの熱エネルギにより加熱された状態でデカール処理され、且つこれに隣接する熱のかからないキャプスタンローラ上でもデカール処理される、2箇所連動した多段デカール処理を行い、このデカール処理を行うキャプスタンローラとプランテンローラのラップ角θ1、θ2が上述した(式1)及び(式2)を満たすことによって、印画しようとする画像の印画率や印画する環境温湿度が変化しても、銀塩写真のようなバックカールを実現でき、外観に優れ、銀塩写真品質と同等な印画物を得ることができる。
以下、本発明に係る熱転写記録装置及び熱転写記録方法が適用された熱転写型プリンタについて、図面を参照して説明する。
(熱転写プリンタの説明)
図1及び図2に示すように、本発明が適用された熱転写型プリンタ1は、熱転写インクシート2と熱転写記録シート3を圧接させ、熱エネルギを熱転写インクシート2から印加して熱転写記録シート3にインクを熱転写させて記録を行うものであって、熱転写インクシート2に対して熱エネルギを印加するサーマルヘッド11と、熱転写記録シート3の裏面3aと接触し、サーマルヘッド11と協働して熱転写インクシート2と熱転写記録シート3とを圧接させるプラテンローラ12と、熱転写記録シート3の裏面3aと接触するキャプスタンローラ13と熱転写記録シート3の表面3bと接触するピンチローラ14とで上記熱転写記録シートを狭持して熱転写記録シート3を走行させる走行機構15とを備えている。
キャプスタンローラ13とピンチローラ14は、サーマルヘッド11とプラテンローラ12を挟んで熱転写型プリンタ1の排紙口19とは反対側に配設されており、印画時において、熱転写記録シート3を狭持して、図1及び図2中矢印B方向に回転駆動することによって、排紙方向となる図1及び図2中矢印A方向とは反対側に熱転写記録シート3を走行させる。なお、ピンチローラ14のピンチ圧は、5〜15kg、より好ましくは7〜13kgである。
なお、印画終了後等は、キャプスタンローラ13とピンチローラ14とは互いに離間し、印画された熱転写記録シート3は、切断機構21のカッタ21aが熱転写記録シート3を幅方向に横断することによって切断され、この後、図示しない排紙ローラ等によって、排紙口19より排紙される。
また、この熱転写型プリンタ1は、熱転写記録シート3がロール状に巻回されたロール紙4を収納する給紙部16を備えている。ここで、ロール紙4は、受容層が形成された表面3bが内側となるように巻回されており、回転中心に回転支持部材17が挿入された状態で、給紙部16に回転自在に収納される。給紙部16のロール紙4から給紙ローラによって引き出された熱転写記録シート3は、走行機構15の一部を構成する反転ローラ18によって反転するようにガイドされ、裏面3aがキャプスタンローラ13及びプラテンローラ12と接触し、受容層が形成された表面3bがピンチローラ14と接触し、更に、熱転写インクシート2と接触するようになっている。
なお、熱転写記録シートは、ISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)が120mN〜200mN、好ましくは150〜190mN、更に好ましくは156〜172mNである。この範囲の曲げ抵抗は、一般的な印画紙、特に昇華型のプリンタに用いられる印画紙の曲げ抵抗である。
熱転写インクシート2は、供給リール2aと巻取リール2bに巻回されており、複数のガイドローラ22によって、サーマルヘッド11とプラテンローラ12が配設された位置において、熱転写記録シート3の受容層が形成された表面3bと重なるように延在される。そして、熱転写インクシート2は、印画時、熱転写記録シート3と同方向となる図1及び図2中反矢印A方向に走行される。
熱転写インクシート2は、詳細は後述するが、図3に示すように、基材2d上に、イエロー、シアン、マゼンタの順でインク層2Y、2C、2Mが形成され、更に、マゼンタに次いで保護層2Lが形成されている。そして、1枚の画像を形成するにあたっては、図1及び図2中反矢印A方向に走行されることによって、イエロー、シアン、マゼンタの順でインク層2Y、2C、2Mが熱転写記録シート3の受容層に熱転写され、最後に、保護層2Lが熱転写される。
次に、以上のように構成された図1及び図2に示す熱転写型プリンタ1の印画動作について説明する。非印画時は、サーマルヘッド11がプラテンローラ12に対して上昇しており、プラテンローラ12と離間している。また、引き出された熱転写記録シート3は、プラテンローラ12上にセットされており、熱転写インクシート2も同様に、プラテンローラ12及び熱転写記録シート3上にセットされている。
そして、印画指令が入力されると、上昇していたサーマルヘッド11が下降してプラテンローラ12を押圧し、図1及び図2に示すように、サーマルヘッド11の発熱素子(抵抗素子)の配列部分とプラテンローラ12との間で、熱転写記録シート3及び熱転写インクシート2を挟持する。なお、プラテンローラ12がサーマルヘッド11に対して上昇したり、サーマルヘッド11とプラテンローラ12とが共に近接する方向に移動してもよい。そして、サーマルヘッド11の発熱素子(抵抗素子)は、プラテンローラ12上で、熱転写インクシート2を介して熱転写記録シート3と圧接する。ここで、熱転写記録シート3は、キャプスタンローラ13とピンチローラ14に対して、図4に示すガイド板20等で、表面3b側が凸になるトップカールのように湾曲した状態で進入するようになっている。
この状態において階調データが入力されると、キャプスタンローラ13が図1及び図2中矢印B方向に回転駆動され、図1及び図2中反矢印A方向に順次熱転写記録シート3が搬送されると共に、熱転写インクシート2が巻取りリール2bの回転駆動により、熱転写記録シート3と同じ速さで、イエローのインク層2Yから順に反矢印A方向に走行され、順次熱転写インクシート2が巻き取られる。なお、イエローのインク層2Yの熱転写が終了し、マゼンタのインク層2Mの熱転写に移行するとき、マゼンタのインク層2Mの熱転写が終了し、シアンのインク層2Cの熱転写に移行するとき、及びシアンのインク層2Cの熱転写が終了し、保護層2Lの熱転写に移行するときには、サーマルヘッド11とプラテンローラ12とは、離間し、送り出しローラによって熱転写記録シート3のみが図1及び図2中矢印A方向に画像形成分の距離だけ走行され、印画開始位置の頭出しが行われる。すなわち、この熱転写型プリンタ1では、所謂引き戻し印画が行われる。
また、サーマルヘッド11に配列された複数の発熱素子(抵抗素子)が選択的に通電駆動される。すると、熱転写インクシート2上の固体インクが軟化して色素が熱転写記録シート3の表面3bの受容層に拡散転写されて印画が行われる。そして、印画後の熱転写記録シート3は、図1及び図2中矢印A方向に送り出しローラによって搬送され、切断機構21のカッタ21aによって切断され、排紙口19から排出される。排出時には、熱転写記録シート3は、プラテンローラ12と熱転写記録シート3との接触終了位置から排紙口19まで熱転写記録シート3は直線的に搬送され、熱転写記録シート3の印画面(受容層面)側は、凹む方向に曲げられることなく直線的に排出される。
ここで、本発明が適用された熱転写型プリンタ1において、図4に示すように、熱転写記録シート3は、キャプスタンローラ13とプラテンローラ12に摺接しつつ搬送される。そこで、ピンチローラ14と熱転写記録シート3との圧接位置P2は、キャプスタンローラ13と熱転写記録シート3との接触終了位置P1よりも、印画中のプラテンローラ12の回転方向における下流側にずれている。このため、熱転写記録シート3は、ピンチローラ14の押圧力により、印画後にサーマルヘッド11側に湾曲するようになっても、その直後に冷えた状態でキャプスタンローラ13によって逆側(キャプスタンローラ13側)に、次に説明するラップ角度(θ1)だけ曲げられることになる。
また、サーマルヘッド11の発熱素子(抵抗素子)の配列部分と熱転写記録シート3との圧接位置P4は、プラテンローラ12と熱転写記録シート3との接触終了位置P3よりも、印画中のプラテンローラ12の回転方向における上流側にずれている。このため、熱転写記録シート3は、サーマルヘッド11の熱エネルギと押圧力とにより、印画のほぼ最中の加熱された状態でプラテンローラ12によって逆側(プラテンローラ12側)に次に説明するラップ角度(θ2)だけ曲げられることになる。
そして、印画後はプラテンローラ12と熱転写記録シート3との接触終了位置P3から排紙口19まで熱転写記録シート3は、送り出しローラによって直線的に搬送され、熱転写記録シート3の印画面(受容層面)側は、凹む方向に曲げられることなく排出される。
本発明が適用された熱転写型プリンタ1において、図4に示すように、キャプスタンローラ13とのラップ角θ1と、プラテンローラ12のラップ角(θ2)は、以下のように定義され、更に下記(式1)及び(式2)の関係を満たすようになっている。
ここで、具体的に、キャプスタンローラ13とのラップ角θ1は、キャプスタンローラ13の回転中心O1と熱転写記録シート3の第1の接触終了位置P1とを結ぶ線分と、第1の接触終了位置P1よりも記録中のプラテンローラの回転方向(図4中矢印B方向)の下流側にずれたキャプスタンローラ13とピンチローラ14との圧接位置P2とを結ぶ線分とがなす角である。
また、プラテンローラ12のラップ角(θ2)は、プラテンローラ12の回転中心O2と熱転写記録シート3の第2の接触終了位置P3とを結ぶ線分と、第2の接触終了位置P3よりも記録中のプラテンローラ12の回転方向の上流側(図4中反矢印B方向)にずれたサーマルヘッド11とプラテンローラ12との圧接位置とを結ぶ線分とがなす角である。また、Nは、熱転写記録シート3の曲げ抵抗である。
15≦ N/θ1 ≦100 ・・・(式1)
4≦ N/θ2 ≦8 ・・・(式2)
(式1)において、N/θ1の値が15未満及び(式2)において、N/θ2の値が4未満であるときには、熱転写記録シート3に対する矯正効果となるデカール効果が強すぎて過度なバックカールになり品質を損ねる。他方、(式1)において、N/θ1の値が100を超える、及び/又は式2においてN/θ2の値が8を超えるときには、熱転写記録シート3に対するデカール効果が弱くカール矯正が不足するため真っ直ぐなカール又はトップカールになるため銀塩写真同等の品質とは言えず印象が悪いものとなる。ここで、N/θ1の値が30〜70であり、及び/又はN/θ2の値が5〜7.5である場合には、更に良好なカール特性を得ることができる。
ここで言う良好なカール特性とは、あくまでも色々な温湿度環境下で印画率の異なる様々な画像を印画されても特定の範囲のバックカールになることであり、更にはロール紙4より供給されるロールの外径から内径のどの径であっても上記の範囲でカールが安定していることである。具体的に、カールの程度は、切断された熱転写記録シート3のサイズにもよるが、キングサイズを例にすると、−1〜−10mm(マイナスはバックカールを示し、プラスはトップカールを示す。)になることが好ましく、更に好ましくは−2〜−5mm程度になることであり、銀塩写真同等の品質にあると言える。ここで−1mmよりも大きくフラットやトップカールになれば印象が悪く、また−10mmよりも小さくバックカールが酷くても良好な品質と言えない。
なお、適切なデカール効果を得るべくこれまでにも提案がなされており、例えば上記特許文献5には、熱転写記録シート3の全体の厚み(L)とプラテンローラ12の半径(R)の比率が特定範囲にあり、且つこの熱転写記録シート3とプラテンローラ12の巻き付け角度が特定の範囲とするものがある。確かに、一定のデカール効果が認められるが、本発明の熱転写記録方法のように上記の如き色々な条件下で優れたカール制御を行うことは困難である。本発明が適用された熱転写型プリンタ1は、サーマルヘッド11からの熱エネルギにより加熱された状態でデカール処理され、且つこれに隣接する熱のかからないキャプスタンローラ13上でもデカール処理される、2箇所連動した多段デカール処理にある。このような熱転写型プリンタ1によれば、この多段デカール処理が有効で色々な温湿度環境下で印画率の異なる様々な画像を印画されても特定の範囲のバックカールになり、更にはロール形状で供される熱転写記録シート3の外径から内径のどの径であっても良好なカール特性を実現することが始めて可能になる。
以上のように、本発明が適用された熱転写型プリンタ1では、サーマルヘッド11からの熱エネルギにより加熱された状態でデカール処理され、且つこれに隣接する熱のかからないキャプスタンローラ13上でもデカール処理される、2箇所連動した多段デカール処理であるため、受容層を内面に巻き上げたロール状の熱転写記録シート3であっても、印画面側が凸となるバックカールを付与することができ、銀塩写真の印画紙と同様の仕上がりとなり、印画品質をより写真品質に近づけることができる。
また、熱転写型プリンタ1では、印画後の熱転写記録シート3に対し、キャプスタンローラ13及びプラテンローラ12側に巻き癖を付けることができるので、カッタ21aによって切断される。したがって、排出された熱転写記録シート3には、印画面側が凸となるバックカールが付与される。したがって、切断され排紙された熱転写記録シート3は、銀塩写真の印画紙と同様の仕上がりとなり、印画品質がより写真品質に近づいたものとなる。
なお、本発明は、昇華方式、溶融方式、感熱方式等従来公知のいわゆる熱転写記録方式におけるカール制御に効果があるが、その中でも一般的にサーマルヘッド11の熱エネルギが高いために熱転写記録シートへの影響が大きいと思われる昇華方式に有効である。但し、本発明がこれに限定されるものではない。
また、以上の例では、所謂引き戻し印画を例に説明したが、本発明は、これとは逆に、順方向、すなわち図1及び図2中矢印A方向に熱転写記録シート3に印画を行うようにしてもよい。この場合、キャプスタンローラ13とピンチローラ14は、サーマルヘッド11とプラテンローラ12より排紙口19側に位置し、サーマルヘッド11より下流側から熱転写記録シート3を引っ張るようにすると更に良い。
(熱転写記録シート)
本発明が適用された熱転写型プリンタ1に用いられる熱転写記録シート3は、従来公知のいずれの熱転写記録シートを用いることができ、次に説明するような各種基材の片面に受容層を塗設して形成されている。
ここで、基材としては、受像層を保持するという役割を有すると共に、熱転写時には熱エネルギが印加されるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。このような基材としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、又はサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、或いはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフイルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルム或いは発泡させた発泡シートも使用できる。ただし、基材としてはこれに限定されるものはない。
また、基材には、以上のような材料の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維を主成分とした原紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフイルムとの合成紙等を挙げることができる。
これらの基材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常10〜300μm程度であり、特に取り扱い易さや風合い等の観点からは100〜250μm程度であることが好ましい。
なお、より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフイルムや合成紙を用いることができる。微細空隙を有するプラスチックフイルム又は合成紙としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂或いはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を主体として、それに無機顔料及び/又はポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフイルム又は合成紙が好ましい。
これらのプラスチックフイルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故にこれらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフイルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフイルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。
また、各種基材の上に各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成することができる。微細空隙を形成する方法は従来公知のいずれの方法を用いることができる。具体的には、中空粒子をポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂に混ぜて塗設する方法等をあげることができる。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
本発明が適用された熱転写型プリンタ1に用いられる熱転写記録シート3において、受像層のバインダ樹脂としては公知のものを用いることができ、その中でも染料が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリスチレンアクリロニトリル等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、又は混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びセルロース誘導体が好ましい。このような受容層の厚みとしては、0.1〜10μm、より好ましくは1〜5μm程度である。
受容層には、熱転写インクシート表面との融着を防止する目的で、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンをはじめ各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種でも、或いは2種以上のものを併せて用いても良い。また、離型剤の添加量は、受像層形成用のバインダ樹脂100質量%に対し、0.5〜30質量%が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写インクシートと熱転写記録シートの受像層との融着若しくは印画感度低下等の問題が生じる場合がある。なお、これらの離型剤は受像層に添加せず、この受容層上に別途離型層として設けることもできる。
また基材と受容層との間に中間層を設けても良い。本発明で言う中間層とは、基材と受容層との間に存在する全ての層を指し、多層構造であってもよい。中間層の機能としては、耐溶剤性能、バリア性能、接着性能、白色付与能、隠蔽性能、帯電防止機能等が挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層全てが適用できる。
中間層に耐溶剤性能、バリア性能を付与させるためには、水溶性樹脂を用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン社製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。ここで言う水溶性樹脂とは、水を主体とする溶媒に、完全溶解(粒径0.01μm以下)、又はコロイダルディスパージョン(0.01〜0.1μm)、又はエマルジョン(0.1〜1μm)、又はスラリー(1μm以上)の状態になる樹脂のことである。これらの水溶性樹脂のなかで、特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の汎用溶剤により、溶解はもとより、膨潤さえしない樹脂である。この意味で、水を主体とする溶媒に完全に溶解する樹脂が最も好ましい。特に、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、セルロース樹脂が挙げられる。
中間層に接着性能をもたせるためには、基材の種類やその表面処理により異なるが、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が一般的である。また、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物のような硬化剤を併用すると良好な接着性が得られる。
中間層に白色付与能をもたせるためには、蛍光増白剤を用いることができる。使用する蛍光増白剤は、従来公知のいずれの化合物でも使用でき、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル−オキサゾール系、ピレン−オキサゾール系、クマリン系、アミノクマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、ジスチリル−ビフェニル系の蛍光増白剤等が挙げられる。白色度は、これら蛍光増白剤の種類と添加量で調整することができる。蛍光増白剤の添加方法としては、あらゆる方法を用いることができる。すなわち、水に溶解させて添加する方法、ボールミル、コロイドミルによって粉砕分散して添加する方法、高沸点溶媒に溶解して親水性コロイド溶液と混合し、水中油滴型分散物として添加する方法、高分子ラテックス中に含浸させて添加する方法等がある。
更に、基材のギラつき感や、ムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタンを添加してもよい。酸化チタンには、ルチル型酸化チタンと、アナターゼ型酸化チタンの2種類があるが、白色度及び蛍光増白剤の効果を考慮すると、ルチル型よりも紫外部の吸収がより短波長側であるアナターゼ型酸化チタンが好ましい。中間層のバインダ樹脂が水系で、酸化チタンが分散しにくい場合には、表面に親水性処理を施した酸化チタンを用いるか、若しくは、界面活性剤、エチレングリコール等の既知の分散剤により分散することができる。酸化チタンの添加量は、樹脂固形分100質量%に対して酸化チタン固形分として10〜400質量%が好ましい。
中間層に帯電防止機能をもたせるためには、導電性無機フィラーや、ポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等、従来公知の導電材料を中間層バインダ樹脂に合わせて適宜選択して使用することができる。このような中間層の厚みは、0.1〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
また、上記基材と受容層との接着強度を大きくする等の目的で、基材の表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すこともできる。
更に必要に応じて、支持体の受像層を設ける側とは反対側の面に、搬送性、筆記性や風合い等各特性を改善する目的で、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の樹脂や合成紙の層を設けることができる。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業社製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業社製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子社製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m、好ましくは2〜6g/mの範囲である。
また、従来公知のいずれのバックコート層を塗設することもできる。バックコート層としては、例えば、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン社製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のバインダ樹脂に各種無機顔料、有機顔料を添加することで搬送性、筆記性や風合い等各特性を改善することができる。このようなバックコート層の厚みは0.1〜10μm程度、より好ましくは1〜5μm程度である。
以上のように構成される熱転写記録シート3は、総厚みが100〜300μm、より好ましくは150〜280μm程度である。その曲げ抵抗(剛直性)Nは、ISO2493:1992に準拠して測定した給紙方向の値として120〜200mNが好ましく、より好ましくは150〜190mNである。ここで、曲げ抵抗が120mN未満では腰が弱く、200mNを超えるようでは腰が強すぎるため、どちらも取り扱い上不便であり、銀塩写真の如き品質を有さないため好ましくない。ところで、本発明が適用された熱転写型プリンタ1は、このような曲げ抵抗の範囲を有する色々な熱転写記録シートのカール特性を適切に調整することができ、言い換えれば、曲げ抵抗の異なる熱転写記録シートのカール特性を適切に調整するためには、その熱転写記録シートに適した、キャプスタンローラ13とのラップ角度θ1及びプラテンローラ12のラップ角度θ2が存在することを意味する。
更に、熱転写記録シート3は、上記したような基材の一部にセルロース繊維を主成分としてなる原紙を芯材として用いていることが好ましい。特に、以上のような熱転写記録シート3の総厚みの30〜90%を占めることが好ましく、より好ましくは40〜80%である。これにより、銀塩写真のような風合いを実現できるのみならず、良好なカール特性を実現することができる。
本発明の熱転写型プリンタ1に用いられる熱転写記録シート3は、内径2〜3インチで受容層が内面になるように巻かれたロール紙であることが好ましく、内径に合う紙製、プラスチック製の各種芯管に巻きつけても良く、芯管を用いない、いわゆるコアレスにすることもできる。ここで内径が2インチ未満の場合、曲率が大きすぎてカール特性が劣ったり、反転度合が大きいため基材や受容層等に亀裂が生ずることがあり好ましくない。内径が3インチを超えるようであると、巻き長さにも拠るがロール外径が大きくなり、熱転写型プリンタ1の寸法が増加するため好ましくない。
ロール状に巻回された熱転写記録シート3のその他の仕様については、熱転写型プリンタ1の仕様等によるため一概には言えないが、シート巾としては127±1mmや152±1mm、巻き長さとしては10〜100m程度、ロール外径としては10〜20cm程度に仕上げられる。
(熱転写インクシート)
昇華方式の熱転写インクシートの基材としては、プラスチックフイルム、紙、合成紙、セロハン等特に限定されるものではなく、サーマルヘッド11の加熱温度に耐えると共に、熱伝達が早く、均一に行えるよう薄膜で厚さむらがなく製造できるものが好ましい。例えば、基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリブテンー1、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド等の未延伸又は延伸フイルムを挙げることができる。これらの中でも、耐熱性が優れ、厚さのむらが少なく製造できるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやポリエーテルエーテルケトンのプラスチックフイルムが好ましい。プラスチックフイルムは、その表面に、背面層或いは染料層との接着を強固にするためのプライマーコート、コロナ放電処理等や、異物付着防止やシートの走行を安定するため帯電防止等の表面処理を行うことも好ましい。
基材フイルムの厚さは3.5〜12μmが好ましく、特に好ましくは4〜6μmである。基材フイルムが薄いと熱転写インクシート2の耐熱性が低下し、厚すぎると熱転写記録シート3と積層したときに段差を生じて色調の再現性が低下して好ましくない。基材フイルムの破断強度は縦、横ともに10〜40Kg/mm、破断伸延度が縦、横ともに50〜150%(いずれも、JIS C2318による)ものが好ましい。この範囲を外れるものは、巻取りや印画のときに伸びたり、破れたりするという虞がある。
インク層は、基材の一方の面に少なくとも昇華性染料とバインダ樹脂と溶剤とからなるインクを基材に印刷し、色毎に乾燥することにより形成される。また、必要に応じてプライマー層、及び背面層を設けてもよい。昇華性染料は、従来公知の熱転写シートに使用されている染料はいずれも本発明が適用された熱転写型プリンタ1の熱転写インシート2に使用でき特に限定されるものではない。例えば、マゼンタ染料には、MS Red G、Macrolex Red R、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、ResolinRed F3BS等が挙げられ、また、イエローの染料には、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、また、シアン染料には、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100等が挙げられる。
インク層に使用するバインダ樹脂としては、従来公知の熱転写インクシートに使用されるバインダ樹脂を使用することができ、例えば、セルロース付加化合物、セルロースエステル、セルロースエーテル等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸-ポリ塩化ビニル共重合体、ポリアクリルアミド、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸共重合体等のビニル系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール或いはセルロース系樹脂が好ましい。
インク層のバインダ樹脂として、更に、特公平5−78437号公報に記載のイソシアナート類と、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される活性水素を有する化合物との反応生成物、イソシアナート類が、ジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物、及び活性水素を有する化合物100質量%に対して、10〜200質量%の量である上記反応生成物;
天然及び/又は半合成水溶性高分子の分子内水酸基をエステル化及び/又はウレタン化した有機溶媒可溶性高分子、天然及び/又は半合成水溶性高分子;
特開平3−264393号公報に記載のアセチル化度が2.4以上かつ総置換度が2.7以上の酢酸セルロース;ポリビニルアルコール(Tg=85℃)、ポリ酢酸ビニル(Tg=32℃)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(Tg=77℃)等のビニル樹脂、ポリビニルブチラール(Tg=84℃)、ポリビニルアセトアセタール(Tg=110℃)等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアクリルアミド(Tg=165℃)等のビニル系樹脂、脂肪族ポリエステル(Tg=130℃)等のポリエステル樹脂等;
特開平7−52564号公報に記載のイソシアナート類と、含有するビニルアルコール部分の質量が15〜40%であるポリビニルブチラールとの反応生成物、上記イソシアナート類がジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物;
特開平7−32742号公報に記載の一般式(I)のフェニルイソシア変性ポリビニルアセタール樹脂;
特開平6−155935号公報に記載のイソシアナート反応性セルロース又はイソシアナート反応性アセタール樹脂の1種と、イソシアナート反応性アセタール樹脂、イソシアナート反応性ビニル樹脂、イソシアナート反応性アクリル樹脂、イソシアナート反応性フェノキシ樹脂及びイソシアナート反応性スチロール樹脂から選ばれる1種の樹脂及びポリソシアナート化合物を含有する組成物の硬化物;
ポリビニルブチラール樹脂(好ましくは分子量が6万以上、ガラス転移温度が60℃以上、より好ましくは70℃以上110℃以下、ビニルアルコール部分の質量%がポリビニルブチラール樹脂中10〜40%、好ましくは15〜30%のもの);
アクリル変性セルロース系樹脂、セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース等のセルロース系樹脂(好ましくはエチルセルロース)等を用いることができる。このような各種のバインダ樹脂は、その1種を単独で使用することもできるし、またその2種以上を併用することもできる。
熱転写型プリンタ1に用いられる熱転写インクシート2においては、熱転写性の保護層を備えていることが好ましい。該熱転写性の保護層は、熱転写記録シートに熱転写して形成された画像の表面を覆う保護層となる透明な樹脂層からなる。保護層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、これらの各樹脂のエポキシ変性樹脂、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ変性樹脂が挙げられる。
以上のような各インク層や保護層には、画像保存性を高める目的から紫外線吸収剤を添加することができる。ここで紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤があげられ、例えば、具体的には、Tinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 328、Tinuvin 312、Tinuvin 315(以上、チバガイギー社製)、Sumisorb−110、Sumisorb−130、Sumisorb−140、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−320、Sumisorb−340、Sumisorb−350、Sumisorb−400(以上、住友化学工業(株)製)、Mark LA−32、Mark LA−36、Mark 1413(以上、アデカアーガス化学(株)製)等を挙げることができる。
更に反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとがランダム共重合したTg60℃以上、好ましくは80℃以上のランダム共重合体を用いることもできる。このような反応性紫外線吸収剤は、従来公知のサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール系水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。具体的には、UVA635L、UVA633L(以上、BASFジャパン(株)製)、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等を用いることができる。
ここで、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体における反応性紫外線吸収剤の量は10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲である。また、このようなランダム共重合体の分子量は5000〜250000程度、好ましくは9000〜30000程度とすることができる。上述した紫外線吸収剤、及び、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体は、各々単独で含有させても良いし、両方を含有させても良い。反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体の添加量は、含有させる層に対し5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。
更に紫外線吸収剤以外にも他の耐光化剤を含有させても良い。ここで耐光化剤とは、光エネルギ、熱エネルギ、酸化作用等、染料を変質或いは分解する作用を吸収又は遮断して染料の変質や分解を防止する薬剤であり、具体的には上述した紫外線防止剤の他、従来合成樹脂の添加剤等として知られている酸化防止剤、光安定剤が挙げられる。
酸化防止剤としてはフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、アミン系等の一次酸化防止剤、或いは硫黄系、リン系等の二次酸化防止剤があげられる。また、光安定剤としてはヒンダードアミン系等があげられる。
上述した紫外線吸収剤を含む耐光化剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは含有させる層を形成する樹脂100質量%当たり0.05〜10質量%、好ましくは3〜10質量%の割合で使用する。使用量が少なすぎると耐光化剤としての効果が得難く、一方多すぎては不経済なためである。上述した耐光化剤の他にも、例えば、蛍光増白剤、充填剤等の各種の添加剤も同時に接着剤層に適当な量で添加することができる。
本発明にかかる熱転写インクシート2において、上述したようなインク層や保護層を塗設した基材の反対側の面には、耐熱滑性層を設けることが好ましい。この耐熱滑性層は、サーマルヘッド11と基材との熱融着を防止し、走行を滑らかに行うと共に、サーマルヘッドの付着物を除去する目的で設けられる。
耐熱滑性層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物が用いられる。耐熱滑性層の耐熱性をより高めるために、上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するためには、耐熱滑性層に固形或いは液状の離型剤又は滑剤を加えて耐熱滑性を良くしてもよい。離型剤又は滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。耐熱滑性層に含有される滑剤の量は5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度である。このような耐熱滑性層の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度とすることが好ましい。
次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、「%」及び「部」は特に断らない限り、溶剤に関するものを除いて固形分の「質量%」及び「質量部」を示す。
(熱転写型プリンタ)
ソニー製デジタルプリンタUP−CR10L(このプリンタは、プラテンローラの回転方向における下流側から、ピンチローラとこれに対向するキャプスタンローラ、サーマルヘッドとこれに対向するプラテンローラを順番に配置している。)を流用し、ピンチローラとサーマルヘッドをプラテンローラの回転方向における上流及び下流側にずらせるよう改造した。ここで、キャプスタンローラとプラテンローラは固定である。更に内径52mm、最大外径160mmの受容層を内面に巻き上げたロール紙でなる熱転写記録シートを給紙できるよう改造した。
(熱転写記録シートA)
漂白広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)50%と漂白針葉樹サルファイトパルプ(NBSP)30%及び広葉樹クラフトパルプ(LBKP)20%からなる原紙(坪量125g/m2)上に次の微細空隙層、中間層及び受容層を積層した。
(微細空隙層)
マイクロスフェアF30(中空粒子:松本油脂製薬製)70部、汎用SBR25部、PVA5部からなる微細空隙層を、ダイコーターを用いて固形15g/mになるように塗設した。
(中間層)
エチレン・ビニルアルコール樹脂(エチレンユニット20%)からなる中間層をダイコーターを用いて固形2g/mになるよう塗設した。
(受容層)
CAB 551−0.2(セルロースアセテートブチレート:イーストマンケミカル製)100部、SF−84271(変性シリコーン:東レダウコーニングシリコーン製)4部、ジシクロヘキシルフタレート5部、コロネートL−45E(ポリイソシアネート:日本ポリウレタン工業製)8部からなる受容層を、ダイレクトグラビアコーターを用いて固形分3g/mとなるように塗設した。
最終的に巾127mm、内径2インチ(コアレス)、外径156mm、受容層が内面となるようにロール形状にワインダー加工して目的の熱転写記録シートAを得た。この熱転写記録シートAのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)を測定したところ120mNであった。
(熱転写記録シートB〜E)
原紙の坪量を各々165、180、200及び205g/mと変化させた以外は熱転写記録シートAと同様にして作製し、熱転写記録シートB〜Eを得た。これら熱転写記録シートB〜EのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)を測定したところ、各々156、172、191及び200mNであった。
(熱転写インクシート)
ソニー製デジタルプリンタUP−CR10L用インクシートUPC−C14を用いた。
(実施例1〜4)
低温湿(10℃30%rh)及び高温湿(35℃85%rh)の各温湿度環境下で熱転写記録シートAを1日保管して調温湿した後、画像形成装置のキャプスタンローラ及びプラテンローラの各表面に熱転写記録シートAの裏面が接するように給紙してセットし、ライトグレー(R:200、G:200、B:200)及びブラック(R:0、G:0、B:0)のベタ印画を行った。この時、実施例1〜4におけるラップ角度θ1及びθ2の設定は表1に示した通りに変化させている。ベタ印画は155mm及び55mmのロール直径に該当する部分で行った。印画サイズは4×6インチ、すなわちKGサイズである。
ここで、連続印画を行うと熱転写型プリンタ内部やサーマルヘッド自身の温度が上昇して印画後の熱転写記録シートのカールに影響を及ぼす。したがって、連続印画は行わず、印画と印画の間に時間を取って十分にクーリングを行ってから、すなわち画像形成装置内部とサーマルヘッド温度が各環境の温湿度であることを確認してから各熱転写記録シートへの印画を行った。
(実施例5及び6)
熱転写記録シートAを熱転写記録シートBに変更し、且つラップ角度θ1及びθ2の設定を表1に示した通りに変化させた以外は実施例1と同様にして印画を行い、実施例5及び6の印画物を得た。
(実施例7〜10)
熱転写記録シートAを熱転写記録シートCに変更し、且つラップ角度θ1及びθ2の設定を表1に示した通りに変化させた以外は実施例1と同様にして印画を行い、実施例7〜10の印画物を得た。
(実施例11及び12)
熱転写記録シートAを熱転写記録シートDに変更し、且つラップ角度θ1及びθ2の設定を表1に示した通りに変化させた以外は実施例1と同様にして印画を行い、実施例11及び12の印画物を得た。
(実施例13〜16)
熱転写記録シートAを熱転写記録シートEに変更し、且つラップ角度θ1及びθ2の設定を表1に示した通りに変化させた以外は実施例1と同様にして印画を行い、実施例13〜16の印画物を得た。
(比較例1〜8)
ラップ角度θ1及びθ2の設定を表1に示した通りに変化させた以外は実施例1と同様にして印画を行い、比較例1〜8の印画物を得た。
(比較例9〜16)
熱転写記録シートAを熱転写記録シートEに変更し、且つラップ角度θ1及びθ2の設定を表1に示した通りに変化させた以外は実施例1と同様にして印画を行い、比較例9〜16の印画物を得た。
Figure 2009166254
(カール測定方法と評価)
上述のようにして得た実施例1〜16及び比較例1〜16の印画後の各熱転写記録シートについて、印画を行った温湿度環境下のまま、平机の上に受容層面を上又は下にして1時間放置した後、熱転写記録シートの4隅の高さを測定し、算術平均を行ってカール値とし、その結果をまとめて表2及び3に示した。
ここでプラスの値はトップカール(受容層面が凹になる)、マイナスの値はバックカール(受容層面が凸になる)を示す。カール特性としては、上述の各温湿度環境、各印画率及び各ロール直径であっても−1〜−10mmになることが好ましく、更に好ましくは−2〜−5mm程度である。これであれば銀塩写真同等の品質にあると言える。ここで−1mmよりも大きくフラットやトップカールになれば印象が悪く、また−10mmよりも小さくバックカールが酷くても良好な品質と言えない。
Figure 2009166254
Figure 2009166254
表2及び表3から判る通り、本発明の熱転写記録方法であれば、ロール直径が変化したり、印画しようとする画像の印画率や、印画する環境温湿度が変化しても優れたカール特性を示す印画物を得ることができた。
特に実施例5〜12の特定の曲げ抵抗を有する熱転写記録シートを用いた場合、いずれの条件下であっても印画後カールが−0.5〜−5mmの範囲にあり、更に好ましい結果となった。
他方、比較例1〜16では、熱転写記録シートとキャプスタンローラとのラップ角度(θ1)及び/又はプラテンローラとのラップ角度(θ2)が本発明で見出した最適な関係になっておらず、カール特性が劣る結果を得た。具体的には、比較例1、2、6、9、10及び14は、θ1又は/及びθ2が小さ過ぎるためマイナスカールになり過ぎている。
比較例3、4、5、7、8、11、12、13、15及び16は、θ1及び/又はθ2が大き過ぎるためトップカールを示しており、好ましくない結果となった。
本発明によれば、ロール直径が変化したり、印画しようとする画像の印画率や、印画する環境温湿度が変化してもカール特性が良好で外観に優れ、銀塩写真品質と同等な印画物が得られるため、近年の高速化・大容量化によりロール状に巻回された熱転写記録シートを採用することが多くなっている各種熱転写記録装置に有効利用できる。
本発明が適用された熱転写型プリンタの要部斜視図である。 本発明が適用された熱転写型プリンタの要部側面図である。 熱転写インクシートの要部平面図である。 本発明が適用された熱転写型プリンタのキャプスタンローラ、ピンチローラ、サーマルヘッド、プラテンローラが配置された部分を拡大した要部側面図である。 従来の熱転写型プリンタの要部斜視図である。 従来の他の熱転写型プリンタの要部側面図である。
符号の説明
1 熱転写型プリンタ、2 熱転写インクシート、3 熱転写記録シート、3a 裏面、3b 表面、11 サーマルヘッド、12 プラテンローラ、13 キャプスタンローラ、14 ピンチローラ、15 走行機構、16 給紙部、17 回転支持部材、18 反転ローラ、19 排紙口、20 ガイド板、21 切断機構、21a カッタ、22 ガイドローラ

Claims (6)

  1. 熱転写インクシートと熱転写記録シートを圧接させ、熱エネルギを上記熱転写インクシートから印加して上記熱転写記録シートにインクを熱転写させて記録を行う熱転写記録装置において、
    上記熱転写インクシートに対して熱エネルギを印加するサーマルヘッドと、
    上記熱転写記録シートの裏面と接触し、上記サーマルヘッドとで、上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとを圧接させるプラテンローラと、
    上記熱転写記録シートの裏面と接触するキャプスタンローラと上記熱転写記録シートの表面と接触するピンチローラとで上記熱転写記録シートを狭持して該熱転写記録シートを走行させる走行手段とを備え、
    上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとが圧接される位置に対して、上記熱転写記録シートが湾曲した状態で給紙され、
    上記熱転写記録シートのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)が120mN〜200mNであり、
    上記キャプスタンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第1の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第1の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の下流側にずれた上記キャプスタンローラと上記ピンチローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ1)とし、
    上記プラテンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第2の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第2の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の上流側にずれた上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ2)としたとき、
    上記ラップ角度(θ1)及び上記ラップ角度(θ2)が、
    15≦ N/θ1 ≦100 ・・・(式1)
    4≦ N/θ2 ≦8 ・・・(式2)
    を満足することを特徴とする熱転写記録装置。
  2. 上記熱転写記録シートは、基材の片面に受容層を設けたものであって、
    上記受容層が内側になるようにロール状に巻回された状態で給紙部に配設されている請求項1の熱転写記録装置。
  3. 上記熱転写記録シートのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)は、150〜190mNである請求項1記載の熱転写記録装置。
  4. 記録中の上記プラテンローラの回転方向における下流側から上流側に向かって順に、上記ピンチローラと上記キャプスタンローラ、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラが配設されている請求項1記載の熱転写記録装置。
  5. 上記熱転写記録シートを上記プラテンローラの表面に接触させて湾曲させた後、上記熱転写記録シートは、受容層側が凹む方向に曲げることなく排出される請求項4記載の熱転写記録装置。
  6. 熱転写記録シートの裏面と接触するキャプスタンローラと上記熱転写記録シートの表面と接触するピンチローラとで上記熱転写記録シートを狭持して該熱転写記録シートを走行させ、上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとをサーマルヘッドとプラテンローラで狭持して圧接させ、上記サーマルヘッドから熱エネルギを上記熱転写インクシートの裏面側から印加して上記熱転写記録シートにインクを熱転写させて記録を行う熱転写記録方法において、
    上記熱転写インクシートと上記熱転写記録シートとが圧接される位置に対して、上記熱転写記録シートが湾曲した状態で給紙し、
    上記熱転写記録シートのISO2493:1992に準拠した給紙方向の曲げ抵抗(N)が120mN〜200mNであり、
    上記キャプスタンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第1の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第1の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の下流側にずれた上記キャプスタンローラと上記ピンチローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ1)とし、
    上記プラテンローラの回転中心と上記熱転写記録シートの第2の接触終了位置とを結ぶ線分と、上記第2の接触終了位置よりも記録中の上記プラテンローラの回転方向の上流側にずれた上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの圧接位置とを結ぶ線分とがなす角をラップ角度(θ2)としたとき、
    ラップ角度(θ1)及び上記ラップ角度(θ2)が、
    15≦ N/θ1 ≦100 ・・・(式1)
    4≦ N/θ2 ≦8 ・・・(式2)
    を満足することを特徴とする熱転写記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023101164A1 (ko) * 2021-11-30 2023-06-08 디에스글로벌㈜ 디컬 기능을 구비한 열전사 인쇄장치

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