JP2009166118A - プロジェクションボルト用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】 受入孔内へのプロジェクションボルト挿入を確実に行うことができるプロジェクションボルト用電極の提供を目的とする。
【解決手段】 電極6の受入孔20に挿入されたプロジェクションボルト10を鋼板部品30に電気抵抗溶接をするものにおいて、受入孔20内に進退式の導入ロッド37が挿入され、この導入ロッド37の先端部が電極端面から後退した位置に置かれることにより受入孔20の開口部に深さS3の初期挿入部39が形成され、導入ロッド37の先端部にプロジェクションボルト10を接合状態とする一体化手段40が設けられている。これにより、受入孔20内において導入ロッド37に対してとボルト10が確実に接合される。
【選択図】図3

Description

この発明は、電気抵抗溶接におけるプロジェクションボルト用電極に関するものである。
特開2005−193276号公報には、先端部に磁石が取り付けられたガイドロッドが電極の受入孔から突き出てきて、待機しているプロジェクションボルトを吸引し、その状態でガイドロッドが後退して受入孔内へプロジェクションボルトを導入することが記載されている。また、特許第2852490号公報には、電極の受入孔から突出したガイドピンと供給ロッドとの間にプロジェクションボルトを挟み付け、この挟み付けた状態でプロジェクションボルトを受入孔内に挿入することが記載されている。
特開2005−193276号公報 特許第2852490号公報
以下の説明において、プロジェクションボルトを単にボルトと表現する場合がある。
上述の特許文献1に開示されている技術においては、ガイドロッドの軸線に対してボルトの軸線がずれていると、ガイドロッドが後退する際に、このずれた部分すなわちボルトの先端角部が受入孔の開口周縁部に突き当たって、ボルトが落下し受入孔内に導入されなくなるという問題がある。また、特許文献2に開示されている技術においては、ボルトが受入孔内に進入するときには、ボルトが供給ロッドとガイドピンの間に挟み付けられた状態となっているので、わずかな位置ずれが発生しても円滑に受入孔内へ挿入されなくなるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、受入孔内へのプロジェクションボルト挿入を確実に行うことができるプロジェクションボルト用電極の提供を目的とする。
問題を解決するための手段
請求項1記載の発明は、電極の受入孔に挿入されたプロジェクションボルトを鋼板部品に電気抵抗溶接をするものにおいて、前記受入孔内に進退式の導入ロッドが挿入され、この導入ロッドの先端部が電極端面から後退した位置に置かれることにより受入孔の開口部に初期挿入部が形成され、導入ロッドの先端部にプロジェクションボルトを接合状態とする一体化手段が設けられていることを特徴とするプロジェクションボルト用電極である。
発明の効果
上述のように、初期挿入部と一体化手段が設けられているので、ボルトの先端部が初期挿入部に進入してボルトが受入孔から外れない状態とされ、ついで導入ロッドでボルトを接合状態にして、受入孔へ完全に導入するものである。したがって、特許文献1に示すようなボルトの受入孔への入り損ないが防止でき、また、ボルトは導入ロッドによって確実に受入孔の奥の方へ引き込まれ、信頼性の高いボルト導入がえられる。
請求項2記載の発明は、プロジェクションボルトが保持吸引手段の吸引力によって進退動作式の供給ロッドの保持ヘッドに保持され、前記一体化手段による導入ロッドとプロジェクションボルトの接合力は、前記保持吸引手段の吸引力よりも大きく設定されている請求項1記載のプロジェクションボルト用電極である。
このような構成により、ボルトが導入ロッドで受入孔内へ引き込まれるときには、前記保持吸引手段による保持ヘッドのボルト保持状態が確実に解除されて、確実にボルトが受入孔内へ導入されてゆくのである。
つぎに、本発明のプロジェクションボルト用電極を実施するための最良の形態を説明する。
図1〜図3は、実施例1を示す。
最初にプロジェクションボルトについて説明する。
図2(D)に示すように、プロジェクションボルト10は鉄製であり、軸部11に円形のフランジ部12が一体に形成され、軸部11とは反対側のフランジ面に円形の溶着用突起13が設けてある。そして、フランジ部12は軸部11と同心円の状態とされている。各部の寸法は、軸部11の直径は5mm、軸部11の長さは23mm、フランジ部12の直径は13mm、フランジ部12の厚さは1mm、溶着用突起13の直径は9mm、溶着用突起13の突出厚さは1.2mmである。
溶接装置全体について説明する。
図1(A)は、溶接装置全体を示す側面図である。床1にほぼ鉛直方向の支柱2が固定され、その上端と下方に支持アーム3,4がほぼ水平方向に固定されている。支持アーム3に進出加圧手段であるエアシリンダ5がほぼ鉛直方向に取付けられ、このエアシリンダ5のピストンロッドに可動電極6が結合されている。前記進出加圧手段は進退出力をするものであればよく、エアシリンダ5以外に進退出力をする電動モータや、ラックピニオン機構等を採用することができる。
一方、支持アーム4には、可動電極6と対をなす固定電極7が同軸状態で取り付けてある。符号O−Oは、両電極6,7の電極軸線である。さらに、溶接電流を供給する溶接トランス8が支柱2に固定されている。上述のようなエアシリンダ5,可動電極6,固定電極7,溶接トランス8等によって電気抵抗溶接機構100が構成されている。なお、固定電極7を昇降可動式にすることも可能である。すなわち、図1(B)に示すように、支持アーム4にエアシリンダ9を固定し、このエアシリンダ9の出力で電極7を昇降させる。こうすることによって、両電極6,7間のスペースを拡大し、鋼板部品の移動を容易にすることができる。
前述のように、上側の電極6を進退させることに換えて、下側の電極7を進退させるようにすることもできる。あるいは、両電極6,7とも進退できるようにすることも可能である。このようにすることによって、一対の電極のいずれか一方または両方が電極軸線に沿って進出加圧手段によって進退するのである。
可動電極6にボルト10を保持させるために、溶接部品供給機構101が設けてある。三角形状の基部材14の傾斜部分にガイド筒15が固定され、その端部に進退駆動手段であるエアシリンダ16が結合されている。このエアシリンダ16のピストンロッドに供給ロッド17が結合され、その先端に保持ヘッド18が固定されている。したがって、供給ロッド17は電極軸線O−Oに対して斜め方向から交差するように配置されている。前記進退駆動手段は進退出力をするものであればよく、エアシリンダ16以外に進退出力をする電動モータや、ラックピニオン機構等を採用することができる。なお、基部材14の形状を四角い長方形の形状とすることにより、供給ロッド17を電極軸線O−Oに対して直交するように配置することができる。
図2(A)に示すように、可動電極6に受入孔20が電極軸線O−Oと同軸の状態で設けられ、ここに軸部11を挿入するために、基部材14,ガイド筒15,エアシリンダ16,供給ロッド17を一体にして昇降するようになっている。この昇降を行うために、挿入駆動手段であるエアシリンダ21が設けられている。エアシリンダ21は、鉛直方向に配置されたピストンロッド22が静止部材である支持アーム3に固定され、シリンダボディー23が基部材14に結合されている。したがって、シリンダボディー23が昇降部材となっている。
ボルト10は、パーツフィーダ24の送出通路部材25から連続的に送出され、送出制御装置26が動作して1つずつ送り出される。この送出制御装置26から出た1つのボルト10は、供給ホース28を経て基部材14に固定されたストッパユニット29に送られる。ボルト10には空気噴射管27から空気を噴射して、ストッパユニット29にとどけられる。このストッパユニット29においてボルト10が一旦停止をされることにより、保持ヘッド18に衝撃的にボルト10が供給されないようになっている。
プロジェクションボルト10が溶接される鋼板部品は、符号30で示されている。鋼板部品30の形状としては、ほぼ平板状のもの、断面L字型のもの、凹部と湾曲部と平板部等が組み合わされたもの等種々なものがある。ここでの鋼板部品30は、平板状の部分に湾曲した部分が連続した比較的単純な形状である。
鋼板部品30に1つ目のボルト10が溶接されたら、次の溶接箇所を電極軸線O−Oの位置に移動させて2つ目のボルト10を溶接する。このような移動を行うために、鋼板部品移動機構102が設けられている。この機構102は、鋼板部品30を保持して移動させることのできる機構であればよく、ここでは一般的に使用されているロボット装置31である。このロボット装置31は、通常の6軸タイプのものである。なお、符号32は、鋼板部品30を掴むチャック機構である。
電極の受入孔20は図2(A)に示すように、可動電極6に設けられているが、これを固定電極7側に設けてもよい。こうするときには、供給ロッド17を斜め下側から進退させて、上側からボルト10を差し込むようにする。このようにして、いずれか一方の電極に電極軸線と同軸状態の受入孔が形成されることになる。
つぎに、供給ロッドの詳細構造を説明する。
図2(A)に示した構造について説明すると、供給ロッド17の先端に保持ヘッド18が取付けられ、この保持ヘッド18はカップ状の形状であり、ボルト10を保持する保持凹部33が形成され、非磁性材料であるステンレス鋼で作られている。また、保持ヘッド18を平面的に見ると円形である。保持凹部33の底部には環状の段部34が形成され、ここにフランジ部12が着座するようになっている。この着座をより安定させるために、フランジ部12に対する保持吸引手段が設けられている。この保持吸引手段としては、空気バキュームを利用したものや、磁石を利用したもの等いろいろなものが採用できる。ここでは、後者の磁石方式である。環状の段部34の下側の箇所に永久磁石35が埋設してある。
つぎに、可動電極の詳細構造を説明する。
図2(A)に示すように、前記受入孔20内に進退式の導入ロッド37が挿入され、この導入ロッド37の先端部が電極端面38から後退した位置に置かれている。このような位置づけにより受入孔20の開口部に初期挿入部39が形成されている。この初期挿入部39の深さはS3で示されている。導入ロッド37の先端部にボルト10を接合状態とする一体化手段40が設けられている。ここでの一体化手段40は、導入ロッド37の先端部に埋め込んだ永久磁石41によって構成されている。この永久磁石41の吸引磁力を効果的に軸部11に作用させるために、導入ロッド37は非磁性材料であるステンレス鋼で作られている。
導入ロッド37の端面はその軸線に対して直交する平面で構成されている。また、軸部11の端面も同様にその軸線に対して直交する平面で構成されている。
前記深さS3の長さは、そこに挿入された軸部11が受入孔20の中心線に対してほぼ傾くことのない程度に設定されている。このようにして軸部11が初期挿入部39において大幅に傾かないようにし、軸部11の端面と導入ロッド37の端面がほぼ密着した状態となる。そのため、永久磁石41への吸着が確実に果たされ、導入ロッド37に対する軸部11の一体化接合が確実に達成される。
前記永久磁石41による導入ロッド37と軸部11の接合力は、前記保持吸引手段である永久磁石35の吸引力よりも大きく設定されている。このような力関係とすることにより、導入ロッド37が後退するときにフランジ部12を段部34から強制的に引き離すのである。
前記導入ロッド37を進退させるために、可動電極6の上部にエアシリンダ42が取り付けてある。このエアシリンダ6のピストンロッドによって導入ロッド37が構成されている。このエアシリンダ42に換えて、進退出力型の電動モータや電磁ソレノイドを用いることも可能である。
可動電極6は図1(A)に示すように、エアシリンダ5によって進退する。そのために、図2(A)の構造においては、結合部材36を介して可動電極6がエアシリンダ5のピストンロッドに結合されている。なお、図2(A)において、符号S2は、軸部11の端部から電極端面38までの距離を示している。
図2(B)は、前記一体化手段40の変形例を示す。これは、空気バキュームによって軸部11を吸引するもので、真空ポンプ(図示していない)に接続されている吸引通路44から吸引するようになっている。導入ロッド37の下端面に当たった軸部11が吸着されて一体化がなされる。
また、図2(C)は、導入ロッド37の先端に結合したコレットチャック45を用いたものである。円筒型のコレット46の上部が導入ロッド37に結合され、その下部がスカート状の弾性部分47とされている。この弾性部分47内に進入した軸部11の先端部が弾性的に掴まれ、導入ロッド37とボルト10との一体化が図られる。
つぎに、ボルトが受入孔内へ導入される動作を説明する。
図3(A)の状態は、図2(A)と同じ状態であり、供給ロッド17が距離S1(図1(A)参照)の進出をして停止し、この状態で軸部11と受入孔20が同軸になっている。この状態では、深さS3の初期挿入部39が形成されている。つぎに、図3(B)に示すように、エアシリンダ21の動作で保持ヘッド18が上昇して、軸部11の先端部が距離S3だけ受入孔20内に進入した位置で上昇が停止する。この状態では、軸部11の先端が導入ロッド37の端部に密着し、永久磁石41によって導入ロッド37とボルト10の一体化が成立している。
図3(C)の状態は、エアシリンダ42の動作で導入ロッド37が後退している途上を示している。ボルト10は保持ヘッド18から強制的に引き離されて導入ロッド37と一体になって受入孔20内へ引き込まれて行く。そして、図3(D)の状態になると、フランジ部12が電極端面38に密着した箇所で導入ロッド37の後退が停止し、ボルト10の挿入が完了する。このとき、導入ロッド37と軸部11との間に空隙ができても、永久磁石41の吸引力によってボルト10が抜け落ちることがない。
上述の動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能であり、制御装置またはシーケンス回路からの動作信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって確保することができる。実施例1では、図1(A)に示すように、供給ロッド17が最先位置に進出したときに先進位置センサー62によって信号を発信し、この信号でエアシリンダ21を上昇させるのである。あるいは、供給ロッド17が戻りきった位置を後退位置センサー63で検知し、これによって発信された信号によってストッパユニット29を通過状態に切り換えるのである。
また、エアシリンダ16の中間付近に取付けた中間位置センサー64によって供給ロッド17の戻り途上で可動電極6の進出を行わせるのである。このような時期に可動電極6を進出させることにより、保持ヘッド18が可動電極6から十分に離れてから可動電極6を進出させることができ、可動電極6が保持ヘッド18に干渉することがない。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
上述のように、初期挿入部39と、一体化手段である永久磁石41、吸引通路44、コレットチャック45等が設けられているので、ボルト10の先端部が初期挿入部39に進入してボルト10が受入孔20から外れない状態とされ、ついで導入ロッド37でボルト10を接合状態にして、受入孔20へ完全に導入するものである。したがって、特許文献1に示すようなボルト10の受入孔20への入り損ないが防止でき、また、ボルト10は導入ロッド37によって確実に受入孔20の奥の方へ引き込まれ、信頼性の高いボルト導入がえられる。
前記深さS3の長さは、そこに挿入された軸部11が受入孔20の中心線に対してほぼ傾くことのない程度の長さに設定されている。このようにして軸部11が初期挿入部39において大幅に傾かないことにより、軸部11の端面と導入ロッド37の端面がほぼ密着した状態になる。そのため、永久磁石41への吸着が確実に果たされ、導入ロッド37に対する軸部11の一体化接合が確実に達成される。このような両端面の密着が成立するのは、導入ロッド37の端面はその軸線に対して直交する平面で構成され、また、軸部11の端面も同様にその軸線に対して直交する平面で構成されているからである。換言すると、受入孔20内である初期挿入部39において、導入ロッド37に対して軸部11が衝合するために、前記密着が確実にえられるのである。
プロジェクションボルト10が永久磁石35の吸引力によって保持ヘッド18に保持され、永久磁石41による導入ロッド37とボルト10の接合力は永久磁石35の吸引力よりも大きく設定されている。
このような構成により、ボルト10が導入ロッド37で受入孔20内へ引き込まれるときには、永久磁石35による保持ヘッド18のボルト保持状態が確実に解除されて、確実にボルト10が受入孔20内へ導入されてゆくのである。
上述のように、本発明によれば、受入孔内へのプロジェクションボルト挿入を確実に行うことができるプロジェクションボルト用電極であるから、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
装置全体を示す側面図である。 供給ロッドと可動電極等を示す断面図である。 ボルトの挿入過程を示す断面図である。
符号の説明
5 進出加圧手段,エアシリンダ
6 可動電極
7 固定電極
10 プロジェクションボルト
16 進退駆動手段,エアシリンダ
17 供給ロッド
18 保持ヘッド
20 受入孔
21 挿入駆動手段,エアシリンダ
30 鋼板部品
33 保持凹部
37 導入ロッド
39 初期挿入部
40 一体化手段
41 永久磁石
44 吸引通路
45 コレットチャック
62 前進位置センサー
63 後退位置センサー
64 中間位置センサー
100 電気抵抗溶接機構
101 溶接部品供給機構
102 鋼板部品移動機構
S3 初期挿入部の深さ

Claims (2)

  1. 電極の受入孔に挿入されたプロジェクションボルトを鋼板部品に電気抵抗溶接をするものにおいて、前記受入孔内に進退式の導入ロッドが挿入され、この導入ロッドの先端部が電極端面から後退した位置に置かれることにより受入孔の開口部に初期挿入部が形成され、導入ロッドの先端部にプロジェクションボルトを接合状態とする一体化手段が設けられていることを特徴とするプロジェクションボルト用電極。
  2. プロジェクションボルトが保持吸引手段の吸引力によって進退動作式の供給ロッドの保持ヘッドに保持され、前記一体化手段による導入ロッドとプロジェクションボルトの接合力は、前記保持吸引手段の吸引力よりも大きく設定されている請求項1記載のプロジェクションボルト用電極。
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