JP2008213032A - プロジェクションボルトの通過制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 空気噴射で供給通路内を送給されるプロジェクションボルトを、ストッパユニットで停止・通過させることと、供給ロッドの進退位置とを有機的に関連させることのできるプロジェクションボルトの通過制御装置を提供する。
【解決手段】 ボルト10に空気噴射をしてストッパユニット29のストッパ片54で一旦停止し、その後、ストッパユニット29の送出管57から供給ロッド17の保持ヘッド18に保持させるものであって、供給ロッド17が後退位置に停止しているときの保持ヘッド18と送出管57との相対位置が合致するようにし、供給ロッド17の後退位置信号によってストッパ片54を停止位置から開通位置に移動させる。
【選択図】図4

Description

この発明は、プロジェクションボルトを鋼板部品に電気抵抗溶接で溶接するのに際して、同ボルトの移送通過を制御するものに関している。
進退動作式の供給ロッドの保持ヘッドに保持されたプロジェクションボルトを電気抵抗溶接電極に設けた受入孔に挿入し、その後、前記電極の進出によって待機している鋼板部品にプロジェクションボルトを溶接するものが、特許第2509103号公報によって知られている。また、ロボット装置にクランプされた鋼板部品の移動動作と、プロジェクションナットを電極に供給する動作とが同期しているものが、特開平9−574583号公報によって知られている。
特許第2509103号公報 特開平9−574583号公報
上述の特許文献に開示されている技術においては、プロジェクションボルトを1つずつ送り出す送出制御装置と、高速で供給通路内を搬送されてきたプロジェクションボルトの衝撃を緩和させるストッパユニットと、供給ロッドの進退位置との相互関係が合理的な態様で形成されていない。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、空気噴射で供給通路内を送給されるプロジェクションボルトを、ストッパユニットで停止・通過させることと、供給ロッドの進退位置とを有機的に関連させることのできるプロジェクションボルトの通過制御装置の提供を目的とする。
問題を解決するための手段
請求項1記載の発明は、プロジェクションボルトに空気噴射をして供給通路内を送給し、この送給されてきたプロジェクションボルトをストッパユニットのストッパ片で一旦停止し、その後、ストッパ片を開通位置に移動させてストッパユニットの送出管から供給ロッドの保持ヘッドに保持させる形式のものにおいて、供給ロッドが後退位置に停止しているときの保持ヘッドと前記送出管との位置が適正に合致するように保持ヘッドと送出管の相対位置を設定し、供給ロッドの後退位置において発せられる後退位置信号によって前記ストッパ片を停止位置から開通位置に移動させることを特徴とするプロジェクションボルトの通過制御装置である。
発明の効果
空気噴射によって供給通路内を移動してきたプロジェクションボルトは、閉止状態となっているストッパ片で一旦停止とされ、保持ヘッドに対する衝撃が緩和される。それに引き続いて前記後退位置信号により、ストッパ片が開通位置に移動してプロジェクションボルトが保持ヘッドに到達する。
すなわち、供給ロッドが後退したとき、保持ヘッドが送出管に合致するように、送出管と保持ヘッドとの相対位置が設定されている。このように供給ロッドが後退位置に停止し、後退位置信号によってストッパ片が動作して、停止させられていたプロジェクションボルトが、ストッパ片を通過して保持ヘッドに受け止められるようになっている。したがって、供給ロッドが戻り切った状態でストッパユニットは通過可能状態になる。
上述のように、供給ロッドの後退位置において後退位置信号が出され、この信号に応答させてストッパユニットが動作するものであるから、供給ロッドが復帰して送出管と保持ヘッドが合致している状態のところへプロジェクションボルトが送り出される。したがって、プロジェクションボルトは確実に保持ヘッドに保持されて、信頼性の高い動作がえられる。
とくに、送出管と保持ヘッドとの相対位置は、供給ロッドの停止位置が少しでも狂ったりすると、プロジェクションボルトが正常に保持ヘッドへ移行されないという現象が生じるため、供給ロッドの動作位置を正確に把握した状態のもとでストッパユニットを通過状態にする必要がある。本発明においては、このような重要な要件を、供給ロッドの進退位置との相関で確実に満足させることができる。
請求項2記載の発明は、前記プロジェクションボルトに対する空気噴射は、供給ロッドが進出して目的箇所へプロジェクションボルトが到達するのとほぼ同時に行われるように構成した請求項1記載のプロジェクションボルトの通過制御装置である。
この目的箇所へのプロジェクションボルト到達とほぼ同時に、空気噴射を供給通路内のプロジェクションボルトに対して行うようにしている。すなわち、供給ロッドによるプロジェクションボルトの目的箇所への供給とほぼ同時に供給通路内へ空気噴射が行われる。したがって、供給完了後の供給ロッドの復帰動作と、ストッパユニットに向かうプロジェクションボルトの移送とを並行して進行させることができて、装置の動作時間の短縮にとって効果的である。
さらに、前記空気噴射で1つのプロジェクションボルトをストッパユニットに移送し、それを供給ロッドの後退位置信号に応答させて保持ヘッドに到達させることになる。つまり、1つ目が確実に保持ヘッドへ移行されてから、つぎの供給ロッドのストロークに応じた2つ目のプロジェクションボルトが空気噴射でストッパユニットへ移送されてくることとなる。したがって、1つのプロジェクションボルトが確実に供給ロッドの進出で送り出されてから、つぎのプロジェクションボルトが移送されてくることとなり、正確で安定した供給サイクルとなって、装置の動作信頼性が向上する。
請求項3記載の発明は、前記プロジェクションボルトに対する空気噴射の空気噴射口は、プロジェクションボルトを1つずつ送り出す送出制御装置またはその近傍に配置されている請求項1または請求項2記載のプロジェクションボルトの通過制御装置である。
前記空気噴射口が、送出制御装置の内部構造として配置されているか、または送出制御装置の近傍に配置されているので、送出制御装置で選定されたプロジェクションボルトが確実にストッパユニットへ送出される。
つぎに、本発明のプロジェクションボルトの通過制御装置を実施するための最良の形態を説明する。
図1〜図7は、実施例1を示す。
プロジェクションボルトについて説明する。
図2(B)に示すように、プロジェクションボルト10は鉄製であり、軸部11に円形のフランジ部12が一体に形成され、軸部11とは反対側のフランジ面に円形の溶着用突起13が設けてある。そして、フランジ部12は軸部11と同心円の状態とされている。各部の寸法は、軸部11の直径は5mm、軸部11の長さは23mm、フランジ部の直径は13mm、フランジ部の厚さは1mm、溶着用突起13の直径は9mm、溶着用突起13の突出厚さは1.2mmである。なお、以下の説明においては、プロジェクションボルトを単にボルトと記載する場合がある。
溶接装置全体について説明する。
図1(A)は、溶接装置全体を示す側面図である。床1にほぼ鉛直方向の支柱2が固定され、その上端と下方に支持アーム3,4がほぼ水平方向に固定されている。支持アーム3に進出加圧手段であるエアシリンダ5がほぼ鉛直方向に取付けられ、このエアシリンダ5のピストンロッドに可動電極6が結合されている。前記進出加圧手段は進退出力をするものであればよく、エアシリンダ5以外に進退出力をする電動モータや、ラックピニオン機構等を採用することができる。
一方、支持アーム4には、可動電極6と対をなす固定電極7が同軸状態で取り付けてある。符号O−Oは、両電極6,7の電極軸線である。さらに、溶接電流を供給する溶接トランス8が支柱2に固定されている。上述のようなエアシリンダ5,可動電極6,固定電極7,溶接トランス8等によって電気抵抗溶接機構100が構成されている。なお、固定電極7を昇降可動式にすることも可能である。すなわち、図1(B)に示すように、支持アーム4にエアシリンダ9を固定し、このエアシリンダ9の出力で電極7を昇降させる。こうすることによって、両電極6,7間のスペースを拡大し、鋼板部品の移動を容易にすることができる。
前述のように、上側の電極6を進退させることに換えて、下側の電極7を進退させるようにすることもできる。あるいは、両電極6,7とも進退できるようにすることも可能である。このようにすることによって、一対の電極のいずれか一方または両方が電極軸線に沿って進出加圧手段によって進退するのである。
可動電極6にボルト10を保持させるために、溶接部品供給機構101が設けてある。図4にも示すように、三角形状の基部材14の傾斜部分にガイド筒15が固定され、その端部に進退駆動手段であるエアシリンダ16が結合されている。このエアシリンダ16のピストンロッドに供給ロッド17が結合され、その先端に保持ヘッド18が固定されている。したがって、供給ロッド17は電極軸線O−Oに対して斜め方向から交差するように配置されている。前記進退駆動手段は進退出力をするものであればよく、エアシリンダ16以外に進退出力をする電動モータや、ラックピニオン機構等を採用することができる。
図2(A)に示すように、可動電極6に受入孔20が電極軸線O−Oと同軸の状態で設けられ、ここに軸部11を挿入するために、基部材14,ガイド筒15,エアシリンダ16,供給ロッド17を一体にして昇降するようになっている。この昇降を行うために、挿入駆動手段であるエアシリンダ21が設けられている。エアシリンダ21は、鉛直方向に配置されたピストンロッド22が静止部材である支持アーム3に固定され、シリンダボディー23が基部材14に結合されている。したがって、シリンダボディー23が昇降部材となっている。
ボルト10は、パーツフィーダ24の送出通路部材25から連続的に送出され、送出制御装置26が動作して1つずつ送り出される。この送出制御装置26から出た1つのボルト10は、供給ホース28を経て基部材14に固定されたストッパユニット29に送られる。ボルト10には空気噴射管27から空気を噴射して、ストッパユニット29にとどけられる。
プロジェクションボルト10が溶接される鋼板部品は、符号30で示されている。鋼板部品30の形状としては、ほぼ平板状のもの、断面L字型のもの、凹部と湾曲部と平板部等が組み合わされたもの等種々なものがある。ここでの鋼板部品30は、平板状の部分に湾曲した部分が連続した比較的単純な形状である。
鋼板部品30に1つ目のボルト10が溶接されたら、次の溶接箇所を電極軸線O−Oの位置に移動させて2つ目のボルト10を溶接する。このような移動を行うために、鋼板部品移動機構102が設けられている。この機構102は、鋼板部品30を保持して移動させることのできる機構であればよく、ここでは一般的に使用されているロボット装置31である。このロボット装置31は、通常の6軸タイプのものである。なお、符号32は、鋼板部品30を掴むチャック機構である。
電極の受入孔20は図2(A)に示すように、可動電極6に設けられているが、これを固定電極7側に設けてもよい。こうするときには、供給ロッド17を斜め下側から進退させて、上側からボルト10を差し込むようにする。このようにして、いずれか一方の電極に電極軸線と同軸状態の受入孔が形成されることになる。
つぎに、供給ロッド17の詳細構造を説明する。
図2(A)に示すように、供給ロッド17の先端に結合されている保持ヘッド18は、非磁性材料であるステンレス鋼で作られたブロック材を加工したもので、上方に開放した円形の収容孔33内にフランジ部12が収容される。収容孔33には環状の段部34が形成され、ここにフランジ部12の表面が着座する。保持ヘッド18に埋設した永久磁石35の吸引力がフランジ部12に作用して、前記着座が確実に行われる。
収容孔33の底部に開口する空気通路36が設けられ、この空気通路36は供給ロッド17の内部を通って空気ホース37に連通している。空気ホース37は、供給ロッド17にジョイント管(図示していない)を介して結合され、供給ロッド17の進退時に伸縮できるようにコイル状に形成され、後述の空気切換弁に接続されている。なお、受入孔20の奥部に永久磁石38が固定され、受入孔20に入ってきた軸部11を吸引してボルト10が落下しないようにしている。
つぎに、送出制御装置26の詳細構造を説明する。
図3に示すように、送出通路部材25から連続的に出てきたボルト10を、送出制御装置26から1つずつ送り出す。ほぼ直方体の形をした外箱40内でその長手方向に摺動する移動片41が設けられている。この移動片41は、直方体形状でありその中央部に受入凹部42が形成されている。この受入凹部42は外箱40に形成した進入口43を経て送出通路部材25に連通している。移動片41は、外箱40に固定したエアシリンダ39によって進退するようになっている。移動片41に永久磁石44が埋設され、受入凹部42に入ってきたボルト10の位置決めが行われる。なお、図3(A)には理解しやすくするために、同図(B)に図示した蓋板45は図示していない。
外箱40の底板47に送出口46が設けられ、それと同軸位置の蓋板45に空気噴射口48があけられ、前記空気噴射管27が接続されている。この空気噴射管27は後述の空気切換弁に接続されている。また、送出口46に供給ホース28が接続されている。供給ホース28はウレタン樹脂で作られ所要の形状に湾曲することができるようになっている。なお、符号32(図4参照)は、供給ホース28内の供給通路を示している。
送出通路部材25内のボルト10が永久磁石44に吸引されて受入凹部42内に収容されると、移動片41はエアシリンダ39の動作で移動し、受入凹部42が送出口46と合致した位置で停止する。この停止と同時に空気噴射口48から空気が噴射され、ボルト10は供給ホース28内を勢いよく移送されて、ストッパユニット29に到達する。
前記空気噴射口48は送出制御装置26に形成されているが、この空気噴射口48を2点鎖線で示すように、送出制御装置26の近傍の供給ホース28に開口させることも可能である。
つぎに、ストッパユニット29の詳細構造を説明する。
図4に示すように、ユニットケース50に進入口51と送出口52が対向した位置関係で設けられ、通過孔53があけられたストッパ片54がユニットケース50内を摺動するようになっている。このストッパ片54は、ユニットケース50に取付けたエアシリンダ55によって進退する。通過孔53の隣に配置された中実部分が停止部56とされている。
図示の状態は、停止部56が進入口51を閉じているもので、前記送出制御装置26から高速で空気搬送をされてきたボルト10は、その溶着用突起13が勢いよく停止部56に衝突して2点鎖線図示のように、一旦停止の状態になる。このようにしてボルト10は一旦停止の状態とされて、ボルト10が保持ヘッド18の段部34を直撃するのを回避して、保持ヘッド18の傷みを防止している。つぎに、エアシリンダ55の動作でストッパ片54が移動して通過孔53が進入口51と送出口52に合致すると、ボルト10はユニットケース50に結合された送出管57内へ落下してゆく。
供給ロッド17が後退位置におかれている状態、すなわちエアシリンダ16のピストン19が最も後退した位置におかれている状態のとき、保持ヘッド18の収容孔33が送出管57の通路に合致して、ボルト10のフランジ部12が円滑に収容孔33内に落ち込むようになっている。つまり、供給ロッド17が後退したときに、収容孔33が送出管57に合致するように、送出管57と供給ロッド17との相対位置が設定されている。
装置全体の動作部分の移動距離は、つぎのとおりである。
供給ロッド17の後退位置、すなわち図4に示すように、保持ヘッド18の収容孔33が送出管57の通路に正確に合致している状態から、供給ロッド17の前進位置、すなわち図2(A)に示すように、保持ヘッド18に保持されたボルト10の軸部11が受入孔20と同軸になった状態までのストローク距離S1(図1(A)参照)は、350mmである。また、保持ヘッド18の進出が停止して軸部11が電極軸線O−Oと同軸になっているときの軸部11の先端と可動電極6の下端面との間隔S2(図2(A)参照)は、17mmである。さらに、エアシリンダ21の動作で軸部11の先端部が受入孔20に進入し、空気通路36からの空気噴射に備えている状態での軸部11の受入孔20への進入長さS3(図2(A)参照)は、3mmである。
つぎに、装置全体を動作させる制御システムを説明する。
図5は、制御システムを示すブロック図である。制御は制御装置103によって行われる。この制御装置103は、一般的に採用されているシーケンス装置やコンピュータ装置によって構成される。また、各エアシリンダに動作空気を供給する空気切換弁60が、制御装置103から出力される動作信号によって機能するようになっている。さらに、タイマー装置61からの計時信号が制御装置103に通知され、それに基づいて出力される動作信号で受入孔20への軸部11の挿入動作が実行されるようになっている。タイマー装置61自体は、計時開始から所定時間経過毎に、例えば、空気噴射開始信号、保持ヘッドの後退開始信号、供給ロッドの復帰開始信号等を発するものであり、図5(B)や後述の説明に記載されている。
図5において、矢線は、制御装置103にエアシリンダ16のストローク位置信号を通知したり、制御装置103とタイマー装置61間の信号の授受を行ったり、制御装置103から空気切換弁60に動作信号を供給したりする通信線である。また、空気切換弁60と各エアシリンダを結ぶ線は、空気給排用の空気管である。
エアシリンダ16には、供給ロッド17の前進位置を検知する前進位置センサー62と、供給ロッド17の後退位置を検知する後退位置センサー63が取付けられている。そして、両センサー62,63の中間に供給ロッド17の中間位置センサー64が配置されている。これらのセンサー62,63および64は、供給ロッド16のピストン19の位置を検知する形式のものであり、一般的に使用されている電磁的検知センサーである。このような3位置を検出するために別の方法として、エアシリンダ16のストローク動作で位置信号を発するパルスエンコーダーを用いてもよい。
図5(A)の状態は、供給ロッド17が後退位置にあり、それによって後退位置センサー63からの信号が制御装置103に入力される。これによって発せられた動作信号が空気切換弁60に送信され、空気切換弁60からストッパユニット29のエアシリンダ55に動作空気が供給されて、ストッパ片54が停止位置から通過位置に移動し、図4の2点鎖線図示のように待機していたボルト10が保持ヘッド18に落下して段部34に着座する。ストッパ片54をボルト10が通過すると、空気切換弁60の動作で直ちにストッパ片54は元の停止位置に復帰する。
上述の状態で制御装置103から起動信号が出力され、空気切換弁60から動作空気がエアシリンダ16に供給されて供給ロッド17が前進し、前進位置センサー62の検知信号によって供給ロッド17の前進が停止する(図6(A)参照)。すなわち、前進位置センサー62の信号が制御装置103に入力され、それによって空気切換弁60が動作してエアシリンダ16の進出が停止する。この状態では図2(A)に示すように、軸部11が受入孔20と同軸状態になっている。
前進位置センサー62の検知信号、すなわち図5(B)に示す「供給ロッド前進位置信号」によって挿入駆動手段であるエアシリンダ21に動作空気が供給され、保持ヘッド18に保持されたボルト10が上昇する。エアシリンダ21の上昇動作開始と同時に、前記「供給ロッド前進位置信号」によってタイマー装置61が計時を開始する。
タイマー装置61の計時開始後0.3秒経過すると、噴射開始信号がタイマー装置61から制御装置103に通知され、これによってエアシリンダ21の上昇が停止する(図6(B)参照)。この停止位置は、軸部11の先端部が受入孔20に距離S3すなわち3mm進入した箇所である。この停止と同時に空気切換弁60からの空気が空気ホース37を通って空気通路36から溶着用突起13とフランジ部12に噴射され、ボルト10は永久磁石35の吸引力に抗して受入孔20内に進入し、フランジ部12の上面が可動電極6の端面に密着して停止する(図6(C)参照)。この停止位置は、永久磁石38の吸引力によって維持されている。空気噴射がなされるときには、軸部11が3mm受入孔20に進入しているので、軸部11は受入孔20から逸脱することなく、円滑に高速で進入して行く。
上述のように、軸部11の先端部が3mm進入した箇所で停止するようにするために、間隔S2と距離S3の合計寸法である20mmを0.3秒で移動するように、エアシリンダ21の進出速度が設定されている。この進出速度は、空気切換弁61からの空気供給速度によって設定される。そして、この空気供給速度は、制御装置103からの信号によって空気切換弁61が制御されることによって設定される。あるいは、エアシリンダ21に取付けた空気絞り弁(スピードコントロール弁)で速度調整をすることができる。換言すると、0.3秒間の計時時間を設定しておくことにより、軸部11を3mm進入した位置で正確に停止させることができるのである。このような正確な停止位置の確保は、エアシリンダ21の上昇速度が正確に設定できることによって、可能となっている。したがって、軸部11の先端部が3mm進入した箇所で軸部11の進入を停止し、引き続いて空気噴射に変換するという微細な制御が、タイマー装置61の時間刻みによって正確になされるのである。このようなエアシリンダ21に換えて、パルスエンコーダーを備えた進退出力式の電動モータを使用することもできる。
保持ヘッド18が空気噴射位置に上昇している時間は、タイマー装置61の計時開始後0.5秒経過するまでの0.2秒である。この0.2秒の時間内に空気噴射がなされる。空気噴射によってボルト10が受入孔に入り切るのに要する時間は、きわめて短時間である。すなわち、0.2秒を大幅に下回る時間で空気噴射によるボルト10の進入が完了する。この進入に要する時間を計測することは、ボルト10が短距離を高速で移動するものである関係上困難であるが、0.01秒〜0.03秒であると推測される。したがって、上記0.2秒というゆとりのある時間内に確実に空気噴射でボルト10の進入を完了させることができる。
なお、上記の0.01秒〜0.03秒は、保持ヘッド18の空気通路36の開口径は3mmとされ、空気圧力は5Kgf/cmで動作させた場合の数値である。
つぎに、タイマー装置61の計時開始から0.5秒経過すると、タイマー装置61から後退開始信号が出される。この後退開始信号によってエアシリンダ21が下降し、保持ヘッド18は可動電極6の真下、すなわち図2(A)に示す位置に戻される(図6(D)参照)。この戻り距離は前述のように20mmであり、それに要する時間は0.1秒を見込んである。したがって、この戻り所要時間を0.2秒にタイマー装置61で設定しておけば、すなわち計時開始から0.7秒経過するまでに図6(D)に示す位置まで戻ればよいので、この点においてもゆとりのある時間内で戻り動作が確実に実行できるという効果がある。
図6(D)に示す位置まで保持ヘッド18が戻った後、計時開始から0.7秒経過すると、エアシリンダ16で供給ロッド17を後退させる復帰開始信号がタイマー装置61から制御装置103に発信され、制御装置103からの動作信号でエアシリンダ16が復帰し、供給ロッド17は後退位置に戻される。
空気通路36からの空気噴射は前述のように、噴射開始信号によって開始され、噴射終了は、供給ロッド17(保持ヘッド18)が前進位置センサー62と後退位置センサー63との中間位置に戻った時点とされている。したがって、中間位置センサー64からの検知信号が制御装置103に送信され、それによって空気切換弁60が動作して空気噴射が終了する。このように、保持ヘッド18が中間位置に戻るまで空気噴射を継続することによって、保持ヘッド18に残留しているボルト10を戻り動作中に空気噴射で吹き飛ばして(図6(D)の2点鎖線図示参照)、軸部11が送出管57に衝突したりして保持ヘッド18の収容孔33を損傷することが防止される。このような、いわゆる「ボルトの連れ帰り現象」は、空気噴射圧力が何等かの原因で低くなったり、収容孔33内に鉄くずのような異物が入ったりして発生することがあり、そのような場合に備えて供給ロッド17の戻り動作中にボルト10を落下させるようにしている。
ボルト10が受入孔20に完全に挿入されたことを示す信号としては、タイマー装置61の計時信号、例えば、計時開始後0.4秒経過によって発せられる信号とすることができる。ここでは、十分に余裕を見込んで供給ロッド17の復帰ストローク途上の所定位置、すなわち供給ロッド17の復帰時に中間位置センサー64でえられる信号としている。この所定位置は、保持ヘッド18がエアシリンダ16の復帰動作で十分に戻る距離を見込んで設定される。
さらに、図5(A)に示すように、ロボット装置31自体にロボット制御装置66が配置され、そこからの信号でロボット装置31の種々な挙動が行われる。この挙動において、鋼板部品30に対するボルト10の溶接箇所が固定電極7に合致すると、ロボット制御装置66から信号が発せられ、制御装置103に送信される。
前述のボルト10が受入孔20に完全に挿入されたことを示す信号と、鋼板部品30に対するボルト10の溶接箇所が固定電極7に合致することによって発せられる信号とが、制御装置103においてアンド処理をされて可動電極6が進出を開始するようになっている。つまり、ボルト10が確実に可動電極6に保持されていることと、鋼板部品30が電極に対して適正な位置に存在していることが確認されてから、可動電極6の進出がなされる。なお、鋼板部品30におけるボルト10の溶接箇所が固定電極7に対して適正に先行して合致され、その後、供給ロッド17の復帰信号を機能させるような場合には、復帰信号が復帰ストロークの途上でえられる中間位置センサー64の方が時間短縮の面で有利である。もし、この復帰信号を後退位置センサー63からえるようにした場合には、センサー64から63までの復帰ストローク時間が余計にかかることとなる。
上述のようにして、制御装置103は、少なくとも前記受入孔20へのボルト挿入完了信号と、鋼板部品30の移動完了信号を受けて、進出加圧手段であるエアシリンダ5の動作信号を出力し、この動作信号によって後退状態の可動電極6の進出を開始するのである。
このようにして可動電極6が進出してボルト10の溶着用突起13が鋼板部品30に加圧され溶接電流が通電されて溶接が完了する。
供給ロッド17が後退したときに、収容孔33が送出管57に合致するように、送出管57と供給ロッド17との相対位置が設定されている。このように供給ロッド17が後退位置に停止し、後退位置センサー63からの後退位置信号が制御装置103に送信されて、エアシリンダ55が動作して停止させられていたボルト10が、通過孔53を通って保持ヘッド18の収容孔33に受け止められるようになっている。したがって、供給ロッド17が戻り切った状態でストッパユニット29は通過可能状態になる。
前記噴射開始信号によってボルト1が受入孔20に挿入されるのであるが、この動作による挿入完了は、供給ロッド17が進出して目的箇所である受入孔20に到達させられた状態に相当している。そして、この目的箇所へのボルト到達とほぼ同時に、送出制御装置26からの空気噴射をボルト10に対して行うようにしている。すなわち、保持ヘッド18の空気通路36からの空気噴射開始と同時に、空気噴射口48からボルト10に空気噴射がなされて、ストッパユニット29へボルト移送がなされ、ボルト停止が行われる。換言すると、保持ヘッド18において空気噴射が行われているときには、供給ロッド17が前進位置に存在していて、ストッパユニット29の停止部56にはボルト10が係止されないままで閉止状態になっている。したがって、保持ヘッド18での空気噴射と同時に空気噴射口48から空気を噴射することにより、供給ホース28内をボルト10が移送されることと、供給ロッド17が復帰することとを並行して行わせることができ、装置の動作時間の短縮にとって効果的である。
図1(A)は、鋼板部品30にはすでにボルト10が溶接され、ロボット装置31によって鋼板部品30が移動し、次の溶接箇所が固定電極7に合致している状態を示している。このような動作は、ボルト10が溶着して可動電極6が後退すると、後退位置センサー63からの信号によってロボット制御装置66から起動信号が発信されて、ロボット装置31が次の溶接箇所への移動を行うようになっている。
図1(A)に示すような単純な移動は、電極軸線O−O含む空間内で行われる。しかし、鋼板部品30を反転させるような場合には、両電極6,7間の狭い空間スペースでは反転ができないので、鋼板部品30を両電極6,7間から外側へ移動させて反転する。したがって、このような反転は、電極軸線O−Oを含まない空間内で行われることになる。
図7は、供給ロッド17の進退動作と、ロボット装置31による鋼板部品30の移動と、可動電極6の進退動作との関係を示すタイミングチャートである。図7から明らかなように、受入孔20にボルト10が挿入される動作と、ロボット装置31によって溶接箇所を固定電極7に合致させる動作が重複している。そして、供給ロッド17が後退し鋼板部品30の溶接箇所が固定電極7に合致させられると、それに引き続いて可動電極6が進出し加圧・通電がなされる。
前記パーツフィーダ24は、振動式ボウルの送出通路部材25からボルト10を送出するものであるが、それ以外に回転板に取り付けた磁石で所定個数の部品を吸着してそれを送出通路から送出するもの、あるいは、回転円板で搬送通路に部品を移動させこの部品が移送通路から送出されるもの等いろいろなものが採用できる。
上述の実施例においては各種のエアシリンダが採用されているが、これに換えて進退出力をする電動モータや、ラックピニオン機構などを採用してもよい。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
空気噴射によって供給通路32内を移動してきたボルト10は、閉止状態となっているストッパ片54で一旦停止とされ、保持ヘッド18に対する衝撃が緩和される。それに引き続いて前記後退位置センサー63からの信号により、ストッパ片54が開通位置に移動してボルト10が保持ヘッド18に到達する。
すなわち、供給ロッド17が後退したとき、保持ヘッド18が送出管57に合致するように、送出管57と保持ヘッド18との相対位置が設定されている。このように供給ロッド17が後退位置に停止し、後退位置センサー63の信号によってストッパ片54が動作して、停止させられていたボルト10が、ストッパ片54を通過して保持ヘッド18に受け止められるようになっている。したがって、供給ロッド17が戻り切った状態でストッパユニット29は通過可能状態になる。
上述のように、供給ロッド17の後退位置において後退位置センサー63の信号が出され、この信号に応答させてストッパユニット29が動作するものであるから、供給ロッド17が復帰して送出管57と保持ヘッド18が合致している状態のところへボルト10が送り出される。したがって、ボルト10は確実に保持ヘッド18に保持されて、信頼性の高い動作がえられる。
とくに、送出管57と保持ヘッド18との相対位置は、供給ロッド17の停止位置が少しでも狂ったりすると、ボルト10が正常に保持ヘッド18へ移行されないという現象が生じるため、供給ロッド17の動作位置を正確に把握した状態のもとでストッパユニット29を通過状態にする必要がある。本実施例においては、このような重要な要件を、供給ロッド17の進退位置との相関で確実に満足させることができる。
ボルト10に対する空気噴射は、供給ロッド17が進出して目的箇所である受入孔20へボルト10が挿入されるのとほぼ同時に行われるように構成した。
この受入孔20へのボルト挿入とほぼ同時に、空気噴射を供給通路32内のボルト10に対して行うようにしている。すなわち、供給ロッド17によるボルト10の受入孔20への挿入とほぼ同時に供給通路32内へ空気噴射が行われる。したがって、供給完了後の供給ロッド17の復帰動作と、ストッパユニット29に向かうボルト10の移送とを並行して進行させることができて、装置の動作時間の短縮にとって効果的である。
さらに、前記空気噴射で1つのボルト10をストッパユニット29に移送し、それを供給ロッド17の後退位置信号に応答させて保持ヘッド18に到達させることになる。つまり、1つ目が確実に保持ヘッド18へ移行されてから、つぎの供給ロッド17のストロークに応じた2つ目のボルト10が空気噴射でストッパユニット29へ移送されてくることとなる。したがって、1つのボルト10が確実に供給ロッド17の進出で送り出されてから、つぎのボルト10が移送されてくることとなり、正確で安定した供給サイクルとなって、装置の動作信頼性が向上する。
ボルト10に対する空気噴射の空気噴射口48は、ボルト10を1つずつ送り出す送出制御装置26またはその近傍に配置されている。
前記空気噴射口48が、送出制御装置26の内部構造として配置されているか、または送出制御装置26の近傍に配置されているので、送出制御装置26で選定されたボルト10が確実にストッパユニット29へ送出される。
図8は、実施例2を示す。
この実施例2は、前述の実施例1における電気抵抗溶接機構100をCガンタイプに変えたものである。したがって、C型アーム68に結合部材69が固定され、この結合部材69にエアシリンダ21のピストンロッド22が固定されている。そして、エアシリンダ21に前述の基部材14が結合されている。また、結合部材69に別のロボット装置70が結合してある。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。また、作用効果も先の実施例1と同じである。
図9は、実施例3を示す。
先の各実施例における供給ロッド17は、斜め方向から電極軸線O−Oに対して進退するものであるが、この実施例3では供給ロッド17が電極軸線O−Oに対して直角に交差する方向から進退するものである。そして、供給ロッド17がエアシリンダ21によって上昇して軸部11の先端部が受入孔20に挿入された後、空気噴射でボルト10の挿入が完了する。このようにして挿入が完了すると、供給ロッド17は下降しないでそのまま後退する。つまり、符号71で示すスクエアーモーションが行われるようになっている。
したがって、この実施例3では、空気噴射でボルト10が受入孔20に挿入されたら、供給ロッド17はそのままの位置でエアシリンダ16によって後退する。このような動作をさせる場合には、前述の後退開始信号で供給ロッド17を下降させる動作を止めることができる。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の各実施例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。また、それ以外の作用効果は、先の各実施例と同じである。
上述のように、本発明によれば、空気噴射で供給通路内を送給されるプロジェクションボルトを、ストッパユニットで停止・通過させることと、供給ロッドの進退位置とを有機的に関連させることのできるので、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
装置全体を示す側面図である。 供給ロッドと可動電極を示す断面図である。 送出制御装置の平面図と断面図である。 ストッパユニットの断面図である。 装置の制御システムを示すブロック図である。 プロジェクションボルトの挿入過程を示す断面図である。 各部の動作を示すタイミングチャートである。 他の実施例を示す側面図である。 さらに他の実施例を示す縦断側面図である。
符号の説明
5 進出加圧手段,エアシリンダ
6 可動電極
7 固定電極
10 プロジェクションボルト
16 進退駆動手段,エアシリンダ
17 供給ロッド
18 保持ヘッド
20 受入孔
21 挿入駆動手段,エアシリンダ
24 パーツフィーダ
26 送出制御装置
27 空気噴射管
29 ストッパユニット
30 鋼板部品
31 ロボット装置
36 空気通路
48 空気噴射口
54 ストッパ片
60 空気切換弁
61 タイマー装置
62 前進位置センサー
63 後退位置センサー
64 中間位置センサー
100 電気抵抗溶接機構
101 溶接部品供給機構
102 鋼板部品移動機構
103 制御装置

Claims (3)

  1. プロジェクションボルトに空気噴射をして供給通路内を送給し、この送給されてきたプロジェクションボルトをストッパユニットのストッパ片で一旦停止し、その後、ストッパ片を開通位置に移動させてストッパユニットの送出管から供給ロッドの保持ヘッドに保持させる形式のものにおいて、供給ロッドが後退位置に停止しているときの保持ヘッドと前記送出管との位置が適正に合致するように保持ヘッドと送出管の相対位置を設定し、供給ロッドの後退位置において発せられる後退位置信号によって前記ストッパ片を停止位置から開通位置に移動させることを特徴とするプロジェクションボルトの通過制御装置。
  2. 前記プロジェクションボルトに対する空気噴射は、供給ロッドが進出して目的箇所へプロジェクションボルトが到達するのとほぼ同時に行われるように構成した請求項1記載のプロジェクションボルトの通過制御装置。
  3. 前記プロジェクションボルトに対する空気噴射の空気噴射口は、プロジェクションボルトを1つずつ送り出す送出制御装置またはその近傍に配置されている請求項1または請求項2記載のプロジェクションボルトの通過制御装置。
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