はじめに、本発明の土台となる構成部分について説明する。
図1は、磁気記録素子(以下、TMR:Tunneling Magneto−Resistive、と称する)を有する磁気記録装置(以下、MRAM:Magnetic Random Access Memory、と称する)の構成を示す回路図である。
ビット線BLとソース線SLとデジット線DLの組の複数が、図1中で左右方向に延びている。そして、これらの組が、上下方向に配列されている。また、これらの組の複数と交差して、ワード線WLが図1中で上下方向に延びている。当該ワード線WLは、左右方向に複数配列されている。また、ソース線SLは、共通に、センスアンプAMPの入力端に接続されている。
MRAMメモリセルMCは、ビット線BL、ソース線SL、およびワード線WLに囲まれた領域に設けられている。また、当該MRAMメモリセルMCは、図1に示すように、マトリックス状に配置されている。MRAMメモリセルMCの各々は、素子選択用トランジスタ106と、強磁性トンネル接合素子であるTMR素子101との直列接続を含む。より詳細には、TMR素子101は、デジット線DLとビット線BLとの交差部において配置される。
図2は、一つのMRAMメモリセルMCの構成を示す概略断面図である。
半導体基板10の上面内には、素子選択用トランジスタ106が形成されている。半導体基板10上には、層間絶縁膜130が形成されている。そして、当該層間絶縁膜130内には、ワード線WL、コンタクトビア201,202、ソース線SL、パッド電極PD、デジット線DL、ローカルビアLV、ストラップ配線LS、TMR素子101、トップビアTV、およびビット線BL等の各々が、配設されている。また、半導体基板10の表面内には、ソース/ドレイン不純物拡散層106a,106bが形成されている。
ワード線WLは、素子選択用トランジスタ106のゲート電極として機能している。ここで、図2では省略しているが、ゲート電極を含むゲート構造は、ゲート絶縁膜とゲート電極層とが当該順に積層した積層構造である。また、ゲート構造の両側面には、サイドウォール膜が形成されている。素子選択用トランジスタ106のドレイン106aは、コンタクトプラグ201、パッド電極PD、ローカルビアLV、およびストラップ配線(ローカルストラップとも称する)LSを介して、TMR素子101と接続される。素子選択用トランジスタ106のソース106bは、コンタクトプラグ202を介して、ソース線SLに接続される。
なお、パッド電極PDを有さない、スタックビア構造であるローカルビアLVを採用しても良い。
さらに、ストラップ配線LSと半導体基板10との間には、層間絶縁膜130を介して絶縁されつつ、デジット線DLが配設されている。また、TMR素子101とビット線BLとは、トップビア(コンタクトビア)TVを介して電気的に接続される。なお、図2に示すように、ストラップ配線LSの下面側には、ローカルビアLVの上部が接続されている。つまり、ローカルビア(コンタクトビア)LVにより、ストラップ配線LSと、当該ストラップ配線LSよりも下層に存在する部分(たとえば、ドレイン106a)とが電気的に接続される。他方、ストラップ配線LSの上面側には、TMR素子101の下面が接続されている。
図3は、TMR素子101の構造の詳細を示す断面図である。TMR素子101は、固定層(ピン層)11とトンネル絶縁層12と記録層(フリー層)13とが、半導体基板10側から順に積層された構造を有している。
固定層11の磁化は、予め所定の方向、例えばデジット線DLが延びる方向に固定されている。記録層13は、外部磁界によって磁化方向が変化する。そして図3(a)に示されるように、固定層11の磁化方向と、記録層13の磁化方向とが一致している状態を、TMR素子101が“0”を記憶している状態とする。また図3(b)に示されるように、固定層11の磁化方向と、記録層13の磁化方向とが逆向きの状態を、TMR素子101が“1”を記憶している状態とする。
固定層11は、例えば反強磁性層14bと強磁性層14aとの積層構造である。当該積層構造を採用することにより、固定層11では磁化方向を固定することができる。つまり、反強磁性層14bが強磁性層14aのスピンの向きを固定することで、強磁性層14aの磁化方向を固定している。この反強磁性層14bは、強磁性層14aの下に(つまり記録層13とはトンネル絶縁層12を介して反対側に)設けられている。強磁性層14aとしては、例えばCoFeを採用することができる。他方、反強磁性層14bとしては、例えばIrMnを採用することができる。
また、記録層13は強磁性層であり、例えばCoFe層とNiFe層との積層構造を有している。トンネル絶縁層12としては、例えばAlOxやMgOを採用することができる。一般に強磁性体には、結晶構造や形状などにより、磁化しやすい方向(エネルギーが低い状態)がある。当該磁化しやすい方向は、磁化容易軸(easy axis)と呼ばれる。これに対し、磁化しにくい方向は、磁化困難軸(hard axis)と呼ばれる。図2に示す構成では、記録層13の磁化容易軸及び磁化困難軸は、それぞれデジット線DLが延びる方向と、ビット線BLが延びる方向とに設定されている。
さらに、本発明に係るTMR素子101(特に、記録層13)は、書き込み特性向上の観点から、平面視において次の形状を有する(たとえば、特開2004−296858号公報参照)。つまり、TMR素子101(記録層13)の平面視形状は、当該記録層13の磁化容易軸方向に対し非対称で、磁化容易軸と垂直な対称軸(磁化困難軸方向とも把握できる)に対して対称である(当該形状を、単に非対称形状と称することとする)。なお、記録層13の当該非対称形状については、下記各実施の形態において詳しく説明する。
トンネル絶縁層12及び固定層11は、記録層13と同じ形状か、あるいは記録層13の形状を含んでこれよりも大きい面積を有していてもよい。なお、固定層11は、ストラップ配線LSと下部電極(例えばTaからなる導電膜、図示せず)を介して電気的に接続している。他方、記録層13は、その上の上部電極(例えばTaからなる導電膜、図示せず)と電気的に接続するトップビアTVを介して、ビット線BLと電気的に接続されている。
次に、TMR素子101への書き込み動作を説明する。
まず、ビット線BLとデジット線DLとに電流が流される。当該ビット線BLに電流が流されると、ビット線BLを取巻く方向に磁界が生じる。この磁界により、ビット線BLの下方にある記録層13には、磁化容易軸方向の第一の磁界が印加される。他方、デジット線DLに電流が流されると、デジット線DLを取巻く方向に磁界が生じる。この磁界により、デジット線DLの上方にある記録層13には、磁化困難軸方向の第二の磁界が印加される。よって、書き込み時においては、記録層13に対して、上記第一の磁界および第二の磁界の合成磁界が印加される。
記録層13の磁化の向きを反転させるために必要な磁界の大きさは、アステロイド曲線となる。たとえば、上記合成磁界磁界の値がアステロイド曲線よりも大きくなると、記録層13は、磁化容易軸方向に磁化する。
固定層11において、磁化が予め第一の磁界と同じ方向に磁化されている場合、TMR素子101においては、固定層11と記録層13との各磁化方向は平行となる(図3(a)の状態:“0”を記憶)。この場合には、TMR素子101の厚さ方向(記録層13と固定層11とが積層される方向)についての抵抗値が小さくなる。
固定層11において、磁化が予め第一の磁界と反対方向に磁化されている場合、TMR素子101においては、固定層11と記録層13との磁化方向は互いに反平行となる(図3(b)の状態:“1”を記憶)。
次に読み出し動作について説明する。
読み出し時には、所定のワード線WLを選択駆動することにより、そのワード線WLに接続された素子選択用トランジスタ106がオン状態とされる。更に、所定のビット線BLに電流を流すことによって、オン状態の素子選択用トランジスタ106に接続されたTMR素子101にトンネル電流が流される。このときのTMR素子101の抵抗に基づいて、記憶状態が判定される。
つまり、TMR素子101は磁化方向が平行では抵抗が小さく、反平行では抵抗が大きいという性質を有する。この性質を利用して、選択メモリセルの出力信号が参照セルの出力信号より大きいか小さいかが、センスアンプAMPによって検出される。以上のようにして選択メモリセルの記憶状態“0”、“1”が判定される。
以下の各実施の形態では、ストラップ配線LSに形成される、上記非対称形状を有する記録層13を備えるTMR素子101とローカルビアLVとの配置関係について、図面に基づいて具体的に説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態では、TMR素子101(または記録層13)は、平面視において図4に示す非対称形状を有する。つまり、少なくとも記録層13は、図4に示す非対称形状を有する。なお、以下の説明では、TMR素子101全体の平面視形状が、当該非対称形状を有することとする。
図4に示すように、TMR素子101は、磁化容易軸Sに対して非対称であり、磁化容易軸Sと垂直な対称軸(磁化困難軸方向と解される)Lに対して対称性を有する。当該図4に示す形状は、三日月型若しくは、ソラマメ型であると把握できる。つまり、図4に例示する非対称形状は、磁化容易軸Sに対向するTMR素子101の一方の輪郭部s1は、当該TMR素子101の内側(図4の右側)に窪んだ輪郭を有している。他方、磁化容易軸Sに対向するTMR素子101の他方の輪郭部s2は、当該TMR素子101の外側(図4の右側)に膨らんだ輪郭を有している。
ここで、上記一方の輪郭部s1および他方の輪郭部s2は共に、対称軸L上に存する小片部b1,b2を有する。さらに、小片部b1における接線および小片部b2における接線は共に、磁化容易軸S方向と平行である。
具体的に、図4に示す非対称形状(ソラマメ型)は、4つの異なる円弧s1〜s4を有している。そして、円弧s1、円弧s4、円弧s2、円弧s3、円弧s1は、この順に連結されて閉曲線を構成している。ここで、図4の構成の代わりに、円弧s3、円弧s4を有さない非対称形状(三日月型)を採用しても良い。当該三日月型形状では、円弧s3、s4の部分において、円弧s1と円弧s2の端部同士が鋭く交差する。
なお、円弧(一方の輪郭部)s1は、第一の曲率で規定される円弧である。また、円弧(他方の輪郭部)s2は、第二の曲率で規定される円弧である。ここで、第二の曲率の方が、第一の曲率よりも大きい。また、円弧s3および円弧s4は、共に第三の曲率で規定される円弧である。なお、第三の曲率は、第一の曲率および第二の曲率とは異なる値である。
図5は、ストラップ配線LSに形成される、TMR素子101とローカルビアLVとの配置関係を示す平面図である。ここで、図5に示すTMR素子101全体(若しくは、少なくとも記録層13)は、図4に示す非対称形状(ソラマメ型または三日月型)を有する(後述する図12〜15も同様)。なお、以下の図5および図12〜15に対する説明では、説明簡略化のため、TMR素子101全体が図4に示す非対称形状を有することとする。
図5に示すように、平面視において、上述した窪んだ輪郭を有する一方の輪郭部(円弧)s1は、ローカルビア(コンタクトビアと把握できる)LV形成側に対面している。換言すれば、膨らんだ輪郭を有する他方の輪郭部(円弧)s2は、ローカルビアLV形成側に対面していない。
また、図4に示す非対称形状では、重心(面積中心)は、対称軸L上に存在し、円弧s2よりも円弧s1に近い側に位置する。ここで、面積中心とは、所定の平面に質量が一様に分布されている場合における、当該所定の平面の質量中心のことである。したがって、図5の構成では、記録層13における面積中心に近い側の、当該記録層13の輪郭部(円弧)s1が、ローカルビアLV形成側に対面している。
ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている。
なお、ストラップ配線LSに形成された、TMR素子101とローカルビアLVとは、平面視において互いに所定の距離Laだけ離隔して配置されている。当該TMR素子101とローカルビアLVとの離隔形成は、次の理由に依る。
たとえば、図6に示すように、デジット配線DLおよびパッド電極PDが層間絶縁膜130a中に配設された構成を作成する。その後、図6に示すように、層間絶縁膜130a上に層間絶縁膜130bを形成する。そして、パッド電極PDが露出する開口部130dを、層間絶縁膜130bに形成する。
その後、図7に示すように、開口部130d内の一部を埋め込むように、層間絶縁膜130b上に、ストラップ配線LSを形成する。当該ストラップ配線LSの形成により、開口部130d内には、パッド電極PDと接続するローカルビアLVが形成される。つまり、当該製造方法の場合には、ストラップ配線LSの一部がローカルビアLVを構成する。また、ストラップ配線LSおよびローカルビアLVの形成により、開口部130dに起因して、ストラップ配線LS上に、凹部Daが形成される。
当該凹部Da内およびその近傍にTMR素子101が形成されると、TMR素子101の書き込み特性にばらつきが生じる。したがって、図8に示すように、ストラップ配線LS上にTMR素子101を形成するに際して、上記凹部Da(換言すれば、ローカルビアLV)からTMR素子101を十分に離して形成する必要がある。
また、次の方法を採用する場合においても、ストラップ配線LS上にTMR素子101を形成するに際して、ローカルビアLVからTMR素子101を十分に離して形成する必要がある。
そこで、凹部Daの影響を軽減するため、図6の構成の形成後、開口部130dを埋め込むように、例えばWまたはCuなどの導電膜を成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施す。これにより、開口部130d内にローカルビアLVを形成する(図9参照)。次に、層間絶縁膜130b上に、ストラップ配線LSを成膜する(図10参照)。当該CMP処理に起因して、図10に示すように、ローカルビアLVの上部において、ストラップ配線LSの上面に凹部Daが発生する。
したがって、後者の方法の場合においても、当該凹部Daに起因したTMR素子101の書き込み特性劣化防止を考慮する必要がある。よって、図11に示すように、ストラップ配線LS上において、上記凹部Da(換言すれば、ローカルビアLV)からTMR素子101を十分に離して形成する必要がある。
本実施の形態では、上記のように、円弧s1側をローカルビアLVに対面させるように、図4に示した非対称形状を有するTMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図5参照)。換言すれば、TMR素子101の重心(面積中心)に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)s1を、ローカルビアLV形成側に対面させる(図5参照)。
これにより、TMR素子101とローカルビアLVとを、両者の間隔を十分に取ってストラップ配線LS上に形成したとしても、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。具体的に説明すると、次の通りである。
上述したように、ストラップ配線LS上面(TMR素子101形成側面)には、ローカルビアLVの形成に起因して凹部が発生する。当該凹部の記録層13への影響を軽減するために、ストラップ配線LS上において、ローカルビアLVから十分な距離Laだけ離して、記録層13(TMR素子101)を形成する必要がある(図5参照)。
ここで、本実施の形態では、窪んだ輪郭部(円弧)s1を、ローカルビアLV側に対面させている。したがって、図12に示すように、膨らんだ輪郭部(円弧s2)を、ローカルビアLVに対面させるよりも、ストラップ配線LSの面積縮小化を図ることができる。これは、ストラップ配線LSのエッチングによる形成に際して、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間に所定の余裕(マージン)が必要だからである。
つまり、図5,12共に、ローカルビアLVから距離Laだけ離してTMR素子101が形成されている。図5の構成の場合には、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間隔を十分取れる。したがって、TMR素子101形成側のストラップ配線LSの端辺をより、TMR素子101に近づけることができる。他方、図12の構成の場合には、TMR素子101(記録層13)の円弧s3,s4は、ストラップ配線LSの端辺側に突出る。したがって、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間隔を十分取るために、TMR素子101形成側のストラップ配線LSの端辺をより、TMR素子101から遠ざける必要がある。
以上の比較から分かるように、図5の構成の方が、よりストラップ配線LSの面積縮小を図ることができる。当該ストラップ配線LSの面積縮小により、結果として、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。
なお、上記の通り、ストラップ配線LS上において、TMR素子101とローカルビアLVとの距離を十分に取っている。したがって、ローカルビアLVの形成に起因してストラップ配線LS上に発生した凹部の、TMR素子101に対する影響を抑制できる。よって、当該凹部の影響により、TMR素子101の書き込み特性がばらつくことを抑制できる。
また、三日月型のように鋭利な角を有する形状を、1回のリソグラフィーを用いて形成することは困難である。しかしながら、図4に示すような、鋭利な角の代わりに円弧s3,s4を有する非対称形状を採用することにより、1回のリソグラフィーのみで図4に示す非対称形状を容易に形成することができる。
また、ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている(図5参照)。
したがって、デジット線方向に隣接するセル間の距離を縮小して、効率良くストラップ配線LSを配置することができる。
また、図13に示すように、非対称形状が有する対称軸L上からずれて、ローカルビアLVがストラップ配線の下面に形成されても良い。しかし、図5に示すように、ローカルビアLVを、平面視において、非対称形状が有する対称軸Lの延長線上に配置させる方が好ましい。
これは、上記のように、ローカルビアLVと非対称形状を有するTMR素子101との間に所定の間隔Laを設けたとしても、図5に示す構成の方が、当該TMR素子101内部側にローカルビアLVをより近づけることができるからである。したがって、図5の構成の方が、ストラップ配線LSの長手方向の距離を縮めることができる。つまり、図5の構成の方が、よりストラップ配線LSの面積を縮小させることができる。また、ローカルビアLV側のストラップ配線LSの角部もエッチングで丸くなる。このため、ローカルビアLVをストラップ配線LSの短手方向の中央に配置することにより、エッチングずれが生じたとしても、ストラップ配線LSがローカルビアLVを踏み外すマージンを大きくすることができる。同様に、TMR素子101もストラップ配線LSの短手方向の中央に配置することにより、TMR素子101がストラップ配線LSを踏み外すマージンを大きくすることができる。
また、図14に示すように、TMR素子101の上記他方の輪郭部(円弧)s2に面する、ストラップ配線LSのコーナ部c1,c2を、当該他方の輪郭部s2の形状に沿った形状とすることもできる。
ストラップ配線LSが上記コーナ部c1,c2を有することにより、当該コーナ部c1,c2が垂直角である構成(例えば図5の構成)の場合よりも、ストラップ配線LSの占有面積が減少する。したがって、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加をより抑制することができる。なお、通常のリソグラフィ工程およびエッチング工程で形成されるストラップ配線LSの形状は、一般的にコーナ部が丸まる傾向にあり、直角のコーナ部を形成することの方が困難である。したがって、通常のリソグラフィ工程およびエッチング工程により、上記コーナ部c1,c2を有するストラップ配線LSを、容易に作成することができる。
また、図15に示すように、ストラップ配線LSの端縁部Scに面する、TMR素子101の上記他方の輪郭部s2と、当該端縁部Scとの間の距離は、少なくも0.1μm以上あることが望ましい。これは、ストラップ配線LSのエッチング処理の際に、エッチングずれが生じたとしても、TMR素子101に対するエッチング削れを防止できるからである。
また、上記他方輪郭部s2と上記端縁部Scとの間の間に存する、ストラップ配線領域A1(斜線領域)の幅は、0.1μm以上であれば、場所によって前後しても良い。しかしながら、図15に示すように、上記他方輪郭部s2と上記端縁部Scとの間に存する、ストラップ配線領域A1(斜線領域)の幅は、場所に依らず一定であることがより望ましい。
当該ストラップ配線領域A1の幅が一定である構成を採用することにより、当該幅は、上記エッチング削れの観点からのみ決定され、余分な領域が当該領域A1に存しなくなる。つまり、当該幅が一定である構成を採用することにより、上記エッチング削れを防止できると共に、ストラップ配線LSのさらなる占有面積削減を図ることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態では、TMR素子101(または記録層13)は、平面視において図16に示す非対称形状を有する。つまり、少なくとも記録層13は、図16に示す非対称形状を有する。なお、以下の説明では、TMR素子101全体の平面視形状が、当該非対称形状を有することとする。
図16に示すように、TMR素子101は、磁化容易軸Sに対して非対称であり、磁化容易軸Sと垂直な対称軸(磁化困難軸方向と解される)Lに対して対称性を有する。つまり、図16に例示する非対称形状は、磁化容易軸Sに対向するTMR素子101の一方の輪郭部804は、直線形状を有している。他方、磁化容易軸Sに対向するTMR素子101の他方の輪郭部801は、当該TMR素子101の外側(図16の右側)に膨らんだ輪郭を有している。
ここで、上記一方の輪郭部804は磁化容易軸S方向に平行である。また、他方の輪郭部801は、対称軸L上に存する小片部b12を有している。さらに、当該小片部b12における接線は、磁化容易軸S方向と平行である。
具体的に、図16に示す非対称形状は、3つの直線部802a,802b,804と、3つの円弧801,803a,803bを有している。そして円弧801、直線部802b、円弧803b、直線部804,円弧803a、直線部802a、および円弧801は、この順に連結されて閉曲線を構成している。なお、直線部804は、上記の通り磁化容易軸方向Sに対して平行である。また、直線部802a,802bは、磁化困難軸(対称軸L)に対して平行である。
なお、円弧(他方の輪郭部)801は、所定の曲率で規定される円弧である。また、円弧803aおよび円弧803bは共に、所定の曲率と異なる曲率で規定される円弧である。
ここで、図16の構成の代わりに、円弧803a,803bを有さない非対称形状を採用しても良い。当該非対称形状では、円弧803aの部分において、直線部802aと直線部804とが直角に交差し、円弧803bの部分において、直線部802bと直線部804とが直角に交差する(直角交差形状と称する)。しかし、当該直角交差形状を、1回のリソグラフィーを用いて形成することは困難である。しかしながら、図16に示すような、鋭利な角の代わりに円弧803a,803bを有する非対称形状を採用することにより、1回のリソグラフィーのみで図16に示す非対称形状を容易に形成することができる。また、逆に図16の構成の代わりに、直線部802a,802bを有さない非対称形状を採用しても良い。当該非対称形状では、円弧803a,803bが円弧801と直線部を介さず連結される。このような形状を採用することにより、1回のリソグラフィーのみで非対称形状を容易に形成することができる。
図17は、ストラップ配線LSに形成される、TMR素子101とローカルビアLVとの配置関係を示す平面図である。ここで、図17に示すTMR素子101全体(若しくは、少なくとも記録層13)は、図16に示す非対称形状を有する(後述する図18〜20も同様)。なお、以下の図17〜20に対する説明では、TMR素子101全体が図16に示した非対称形状を有することとする。
図17に示すように、平面視において、上述した直線形状を有する一方の輪郭部(直線部)804は、ローカルビア(コンタクトビアと把握できる)LV形成側に対面している。換言すれば、膨らんだ輪郭を有する他方の輪郭部(円弧)801は、ローカルビアLV形成側に対面していない。
また、図16に示す非対称形状では、重心(面積中心)は、対称軸L上に存在し、円弧801よりも直線部804に近い側に位置する。ここで、実施の形態1でも定義したように面積中心とは、所定の平面に質量が一様に分布されている場合における、当該所定の平面の質量中心のことである。したがって、図17に示す構成では、TMR素子101における面積中心に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(直線部)804が、ローカルビアLV形成側に対面している。
ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている。
なお、ストラップ配線LSに形成された、TMR素子101とローカルビアLVとは、平面視において互いに所定の距離Laだけ離隔して配置されている。また、図17に示す構成では、ローカルビアLVは、TMR素子101が有する上記対称軸Lの延長線上に配置されている。
本実施の形態では、上記のように、直線部804側をローカルビアLVに対面させるように、図16に示した非対称形状を有するTMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図17参照)。換言すれば、TMR素子101の重心(面積中心)に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(直線部)804を、ローカルビアLV形成側に対面させる(図17参照)。
これにより、TMR素子101とローカルビアLVとを、両者の間隔を十分に取ってストラップ配線LS上に形成したとしても、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。つまり、図18に示すように、他方の輪郭部(円弧)801をローカルビアLVに対面させる場合よりも、図17に示す構成の方が、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。
ストラップ配線LSのエッチングによる形成に際して、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間に所定の余裕(マージン)が必要である。ところで、図18に示す方向にTMR素子101を配置させるよりも、図17に示す方向にTMR素子101を配置させる方が、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間のマージンを大きく取れる。
つまり、図18の構成では、当該マージンを取るために、TMR素子101形成側のストラップ配線LSの端辺をより、TMR素子101から遠ざける必要がある。他方、図17に示す構成では、図18に示す構成よりも、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間のマージンを大きく取れる。したがって、図17に示す構成の方が、TMR素子101形成側のストラップ配線LSの端辺をより、TMR素子101に近づけることができる。
以上の比較から分かるように、図17の構成の方が、よりストラップ配線LSの面積縮小を図ることができる。当該ストラップ配線LSの面積縮小により、結果として、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。
なお、上記の通り、本実施の形態では、ストラップ配線LSに形成された、TMR素子101とローカルビアLVとの平面視における距離を十分に取っている。したがって、ローカルビアLVの形成に起因してストラップ配線LS上に発生した凹部の、TMR素子101に対する影響を抑制できる。よって、当該凹部の影響により、TMR素子101の書き込み特性がばらつくことを抑制できる。
また、ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている(図17参照)。
したがって、デジット線方向に隣接するセル間の距離を縮小して、効率良くストラップ配線LSを配置することができる。
また、図19に示すように、TMR素子101の上記他方の輪郭部(円弧)801に面する、ストラップ配線LSのコーナ部c11,c12を、当該他方の輪郭部801の形状に沿った形状とすることもできる。
ストラップ配線LSが上記コーナ部c11,c12を有することにより、当該コーナ部c11,c12が垂直角である構成(例えば図17の構成)の場合よりも、ストラップ配線LSの占有面積が減少する。したがって、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加をより抑制することができる。なお、通常のリソグラフィ工程およびエッチング工程で形成されるストラップ配線LSの形状は、一般的コーナ部が丸まる傾向にあり、直角のコーナ部を形成することの方が困難である。したがって、通常のリソグラフィ工程およびエッチング工程により、上記コーナ部c11,c12を有するストラップ配線LSを、容易に作成することができる。
また、図20に示すように、ストラップ配線LSの端縁部Scに面する、TMR素子101の上記他方の輪郭部801と、当該端縁部Scとの間の距離は、少なくも0.1μm以上あることが望ましい。これは、ストラップ配線LSのエッチング処理の際に、エッチングずれが生じたとしても、TMR素子101に対するエッチング削れを防止できるからである。
また、上記他方輪郭部801と上記端縁部Scとの間に存する、ストラップ配線領域A11(斜線領域)の幅は、0.1μm以上であれば、場所によって前後しても良い。しかしながら、図20に示すように、上記他方輪郭部801と上記端縁部Scとの間に存する、ストラップ配線領域A11(斜線領域)の幅は、場所に依らず一定であることがより望ましい。
当該ストラップ配線領域A11の幅が一定である構成を採用することにより、当該幅は、上記エッチング削れの観点からのみ決定され、余分な領域が当該領域A11に存しなくなる。つまり、当該幅が一定である構成を採用することにより、上記エッチング削れを防止できると共に、ストラップ配線LSのさらなる占有面積削減を図ることができる。
<実施の形態3>
本実施の形態では、TMR素子101(または記録層13)は、平面視において図21に示す非対称形状を有する。つまり、少なくとも記録層13は、図21に示す非対称形状を有する。なお、以下の説明では、TMR素子101全体の平面視形状が、当該非対称形状を有することとする。
図21に示すように、TMR素子101は、磁化容易軸Sに対して非対称であり、磁化容易軸Sと垂直な対称軸(磁化困難軸方向と解される)Lに対して対称性を有する。つまり、図21に例示する非対称形状は、磁化容易軸Sに対向するTMR素子101の一方の輪郭部850が、当該TMR素子101の外側(図21の左側)に膨らんだ、第一の曲率を有する輪郭を有している。他方、磁化容易軸Sに対向するTMR素子101の他方の輪郭部851は、当該TMR素子101の外側(図21の右側)に膨らんだ、第二の曲率を有する輪郭を有している。なお、第二の曲率は、第一の曲率より大きい。
ここで、上記一方の輪郭部850および他方の輪郭部851は共に、対称軸L上に存する小片部b31,b32を有する。さらに、小片部b31における接線および小片部b32における接線は共に、磁化容易軸S方向と平行である。
具体的に、図21に示す非対称形状は、曲率の異なる2つの円弧850,851を有している。そして、当該円弧850と円弧851とが連結されて閉曲線を構成している。なお、図21に示す非対称形状の輪郭には、直線部の輪郭が含まれていない。図21に示すような、円弧のみから成る非対称形状を採用することにより、1回のリソグラフィーのみで図21に示す非対称形状を容易に形成することができる。
図22は、ストラップ配線LSに形成される、TMR素子101とローカルビアLVとの配置関係を示す平面図である。ここで、図22に示すTMR素子101全体(若しくは、少なくとも記録層13)は、図21に示す非対称形状を有する(後述する図23〜25も同様)。なお、以下の図22〜25に対する説明では、TMR素子101全体が図21に示した非対称形状を有することとする。
図22に示すように、平面視において、第一の曲率を有する一方の輪郭部(円弧)850は、ローカルビア(コンタクトビアと把握できる)LV形成側に対面している。換言すれば、第二の曲率を有する他方の輪郭部(円弧)851は、ローカルビアLV形成側に対面していない。
また、図21に示す非対称形状では、重心(面積中心)は、対称軸L上に存在し、円弧851よりも円弧850に近い側に位置する。ここで、実施の形態1でも定義したように面積中心とは、所定の平面に質量が一様に分布されている場合における、当該所定の平面の質量中心のことである。したがって、図22に示す構成では、TMR素子101における面積中心に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)850が、ローカルビアLV形成側に対面している。
ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている。
なお、ストラップ配線LSに形成された、TMR素子101とローカルビアLVとは、平面視において互いに所定の距離Laだけ離隔して配置されている。また、図22に示す構成では、ローカルビアLVは、TMR素子101が有する上記対称軸Lの延長線上に配置されている。
本実施の形態では、上記のように、第一の曲率を有する円弧850側をローカルビアLVに対面させるように、図21に示した非対称形状を有するTMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図22参照)。換言すれば、TMR素子101の重心(面積中心)に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)850を、ローカルビアLV形成側に対面させる(図22参照)。
これにより、TMR素子101とローカルビアLVとを、両者の間隔を十分に取ってストラップ配線LS上に形成したとしても、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。つまり、図23に示すように、他方の輪郭部(円弧)851をローカルビアLVに対面させる場合よりも、図22に示す構成の方が、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。
ストラップ配線LSのエッチングによる形成に際して、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間に所定の余裕(マージン)が必要である。ところで、図23に示す方向にTMR素子101を配置させるよりも、図22に示す方向にTMR素子101を配置させる方が、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間のマージンを大きく取れる。
つまり、図23の構成では、当該マージンを取るために、TMR素子101形成側のストラップ配線LSの端辺をより、TMR素子101から遠ざける必要がある。他方、図22に示す構成では、図23に示す構成よりも、ストラップ配線LSの隅部とTMR素子101との間のマージンを大きく取れる。したがって、図22に示す構成の方が、TMR素子101形成側のストラップ配線LSの端辺をより、TMR素子101に近づけることができる。
以上の比較から分かるように、図22の構成の方が、よりストラップ配線LSの面積縮小を図ることができる。当該ストラップ配線LSの面積縮小により、結果として、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加を抑制することができる。
なお、上記の通り、本実施の形態では、ストラップ配線LSに形成された、TMR素子101とローカルビアLVとの平面視における距離を十分に取っている。したがって、ローカルビアLVの形成に起因してストラップ配線LS上に発生した凹部の、TMR素子101に対する影響を抑制できる。よって、当該凹部の影響により、TMR素子101の書き込み特性がばらつくことを抑制できる。
また、ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている(図22参照)。
したがって、デジット線方向に隣接するセル間の距離を縮小して、効率良くストラップ配線LSを配置することができる。
また、図24に示すように、TMR素子101の上記他方の輪郭部(円弧)851に面する、ストラップ配線LSのコーナ部c21,c22を、当該他方の輪郭部501の形状に沿った形状とすることもできる。
ストラップ配線LSが上記コーナ部c21,c22を有することにより、当該コーナ部c21,c22が垂直角である構成(例えば図22の構成)の場合よりも、ストラップ配線LSの占有面積が減少する。したがって、磁気記録装置(メモリセル)のサイズ増加をより抑制することができる。なお、通常のリソグラフィ工程およびエッチング工程で形成されるストラップ配線LSの形状は、一般的コーナ部が丸まる傾向にあり、直角のコーナ部を形成することの方が困難である。したがって、通常のリソグラフィ工程およびエッチング工程により、上記コーナ部c21,c22を有するストラップ配線LSを、容易に作成することができる。
また、図25に示すように、ストラップ配線LSの端縁部Scに面する、TMR素子101の上記他方の輪郭部851と、当該端縁部Scとの間の距離は、少なくも0.1μm以上あることが望ましい。これは、ストラップ配線LSのエッチング処理の際に、エッチングずれが生じたとしても、TMR素子101に対するエッチング削れを防止できるからである。
また、上記他方輪郭部851と上記端縁部Scとの間に存する、ストラップ配線領域A21(斜線領域)の幅は、0.1μm以上であれば、場所によって前後しても良い。しかしながら、図25に示すように、上記他方輪郭部851と上記端縁部Scとの間に存する、ストラップ配線領域A21(斜線領域)の幅は、場所に依らず一定であることがより望ましい。
当該ストラップ配線領域A21の幅が一定である構成を採用することにより、当該幅は、上記エッチング削れの観点からのみ決定され、余分な領域が当該領域A21に存しなくなる。つまり、当該幅が一定である構成を採用することにより、上記エッチング削れを防止できると共に、ストラップ配線LSのさらなる占有面積削減を図ることができる。
<実施の形態4>
上記各実施の形態では、1Tr−1TMRセル構成の場合について説明した。本実施の形態では、1Tr−4TMRセル構成の場合における、ストラップ配線LSに形成される、ローカルビアLVと各TMR素子(記録層13)との配置関係について説明する。ここで、1Tr−4TMR(1Tr−1TMR)とは、各メモリセルが、一つの素子選択用トランジスタと4つのTMR素子(または1つのTMR素子)とで構成されていることを意味する。
当該1Tr−4TMRセルの回路図を、図26に示す。また、1Tr−4TMRセルの構成を示す概略断面図を、図27に示す。
図26に示すように、1Tr−4TMRセルは、素子選択用トランジスタ106と、並列に複数接続されたTMR素子101との直列接続を含む。より詳細には、各TMR素子101は、デジット線DLとビット線BLとの交差部において配置される。
また、図27に示すように、1Tr−4TMRセルでは、半導体基板10の上面内には、素子選択用トランジスタ106が形成されている。半導体基板10上には、層間絶縁膜130が形成されている。そして、当該層間絶縁膜130内には、ワード線WL、コンタクトビア201,202、ソース線SL、パッド電極PD、4つのデジット線DL、ローカルビアLV、ストラップ配線LS、4つのTMR素子101、4つのトップビアTV、およびビット線BL等の各々が、配設されている。また、半導体基板10の表面内には、ソース/ドレイン不純物拡散層106a,106bが形成されている。
ワード線WLは、素子選択用トランジスタ106のゲート電極として機能している。ここで、図27では省略しているが、ゲート電極を含むゲート構造は、ゲート絶縁膜とゲート電極層とが当該順に積層した積層構造である。また、ゲート構造の両側面には、サイドウォール膜が形成されている。素子選択用トランジスタ106のドレイン106aは、コンタクトプラグ201、パッド電極PD、ローカルビアLV、およびストラップ配線(ローカルストラップとも称する)LSを介して、4つのTMR素子101と接続される。素子選択用トランジスタ106のソース106bは、コンタクトプラグ202を介して、ソース線SLに接続される。
なお、パッド電極PDを有さない、スタックビア構造であるローカルビアLVを採用しても良い。
さらに、ストラップ配線LSと半導体基板10との間には、層間絶縁膜130を介して絶縁されつつ、4つのデジット線DLが配設されている。また、各TMR素子101とビット線BLとは、トップビア(コンタクトビア)TVを介して電気的に接続される。なお、図27に示すように、ストラップ配線LSの下面側には、ローカルビアLVの上部が接続されている。つまり、ローカルビア(コンタクトビア)LVにより、ストラップ配線LSと、当該ストラップ配線LSよりも下層に存在する部分(たとえば、ドレイン106a)とが電気的に接続される。他方、ストラップ配線LSの上面側には、TMR素子101の下面が接続されている。
また、図27にも示されているように、平面視において、各TMR素子101は、各デジット線DLとビット線BLとの交差する領域に各々配置されている。
図26,27に示した1Tr−4TMRセルにより、4ビットのデータを記憶することができる。なお、1Tr−1TMRセルでは、1ビットのデータが記憶される。なお、1TR−4TMRセル構造については、たとえば特開2006−294179号公報に開示されている。
図28は、図27に示したストラップ配線LSの平面図である。
図28には、ストラップ配線LSに形成される、4つのTMR素子101と1つのローカルビアLVとの配置関係が図示されている。
ここで、図28に示すTMR素子101全体(若しくは、少なくとも記録層13)は、実施の形態1で説明した非対称形状(図4)を有する(後述する図29,30においても同様である)。なお、以下の図28〜30に対する説明では、TMR素子101全体が図4に示す非対称形状を有することとする。なお、当該TMR素子101の非対称形状は、実施の形態1で詳細に説明した。したがって、本実施の形態では、当該TMR素子101の形状説明は省略する。
図28に示されているように、本実施の形態では、ストラップ配線LSの上面に、TMR素子101が4つ形成されている。また、ストラップ配線LSの下面で接続しているローカルビアLVを中心に、左右2つずつのTMR素子101が配置されている。つまり、図28に示すように、ローカルビアLVの図面左側(第一の側と把握できる)において、2つの(第一の数と把握できる)のTMR素子101は並んで配置されている。また、ローカルビアLVの図面右側(第二の側と把握できる)において、2つの(第二の数と把握できる)のTMR素子101は並んで配置されている。ここで、隣接するTMR素子101同士間には、所定の間隔が設けられている。
さらに、実施の形態1において図5を用いて説明したように、全TMR素子101は、次のような向きで配置されている。つまり、全TMR素子101は、図28に示すように、平面視において、窪んだ輪郭を有する一方の輪郭部(円弧)s1は、ローカルビアLV形成側に対面している。換言すれば、膨らんだ輪郭を有する他方の輪郭部(円弧)s2は、ローカルビアLV形成側に対面していない。
また、各TMR素子101において、重心(面積中心)は、対称軸L上に存在し、円弧s2よりも円弧s1に近い側に位置する。ここで、面積中心とは、所定の平面に質量が一様に分布されている場合における、当該所定の平面の質量中心のことである。したがって、図28の構成では全TMR素子において、TMR素子101における面積中心に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)s1が、ローカルビアLV形成側に対面している。
ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、上述したように、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている。
なお、ストラップ配線LSに形成された、ローカルビアLVと当該ローカルビアLVと隣接するTMR素子101とは、平面視において互いに所定の距離Laだけ離隔して配置されている。また、隣接するTMR素子101同士は、前記距離Laとは異なる距離Lbだけ離れて配置されている。また、図28に示す構成では、各TMR素子101が有する各対称軸Lは同軸上に存在する。そして、当該対称軸Lの延長線上に、ローカルビアLVが配置されている。
本実施の形態では、上記のように、円弧s1側をローカルビアLVに対面させるように、図4に示した非対称形状を有する全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図28参照)。換言すれば、全TMR素子101において、TMR素子101の重心(面積中心)に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)s1を、ローカルビアLV形成側に対面させる(図28参照)。
したがって、図28に示す本実施の形態に係る配置の方が、後述する第一の例の配置および第二の例の配置の場合よりも、ストラップ配線LSの占有面積の縮小化を図ることができる。
ここで、第一の例の配置とは、図29に示すように、円弧s2側をローカルビアLVに対面させるように、図4に示した非対称形状を有する全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させるケースである。また、第二の例の配置とは、ローカルビアLVに近い側のTMR素子101では、円弧s2側をローカルビアLVに対面させ、ローカルビアLVから遠い側のTMR素子101では、円弧s1をローカルビアLVに対面させるケースである(図30参照)。なお、第一の例の配置および第二の例の配置共に、ローカルビアLVと当該ローカルビアLVに隣接するTMR素子101との間の間隔は、距離Laであり、隣接するTMR素子101同士の間隔は、距離Lbである。当該La,Lbは、図28で示した場合と同じである。また、第一の例の配置および第二の例の配置ともに、各TMR素子101およびローカルビアLVは、TMR素子101が有する対称軸L上に配置されている。
第一の例の配置では、ローカルビアLVから遠い側のTMR素子101が有する円弧s3,s4と、ストラップ配線LSとの間隔は、実施の形態1でも説明したように、十分なエッチングマージンが必要なる。したがって、当該第一の例の配置では、図28に示した配置の場合よりも、ストラップ配線LSの占有面積が広くなる。
また、第二の例の配置では、隣接するTMR素子101同士において、円弧s3同士、円弧s4同士が対面する。そして、当該円弧s3同士の間隔および円弧s4同士の間隔を、図28と同様に距離Lbだけ設ける必要がある。すると、第二の例の配置の場合には、対称軸L上における隣接するTMR素子101同士間の距離が、図28に示す配置の場合よりも大きくなる。つまり、図28に示す配置と比較して、第二の例の配置の方が、ストラップ配線LSの長手方向の距離が長くなる。したがって、当該第二の例の配置では、図28に示した配置の場合よりも、ストラップ配線LSの占有面積が広くなる。
以上より、1のストラップ配線LS上に複数のTMR素子101を形成する場合、図28に示す配置が、最もストラップ配線LSの占有面積縮小を図れることが分かる。
なお、上記の通り、ストラップ配線LS上において、TMR素子101とローカルビアLVとの距離Laを十分に取っている。したがって、ローカルビアLVの形成に起因してストラップ配線LS上に発生した凹部の、TMR素子101に対する影響を抑制できる。よって、当該凹部の影響により、TMR素子101の書き込み特性がばらつくことを抑制できる。
また、ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形であるとした。しかし、実施の形態1でも説明したように、TMR素子101の上記他方の輪郭部(円弧)s2に面する、ストラップ配線LSのコーナ部を、当該他方の輪郭部s2の形状に沿った形状とすることもできる(図14の符号c1,c2参照)。
また、実施の形態1でも説明したように、ストラップ配線LSの端縁部に面する、TMR素子101の上記他方の輪郭部s2と、当該端縁部との間の距離は、少なくも0.1μm以上あることが望ましい(図15参照)。なお、上記他方輪郭部s2と上記端縁部との間に存する、ストラップ配線領域の幅は、場所に依らず一定であることがより望ましい(図15の符号A1参照)。
また、本実施の形態では、TMR素子101は、1のストラップ配線LS上に4つ配置させている。しかし、1のストラップ配線LS上に配置されるTMR素子の数は、2以上であれば良い。つまり、1Tr−nTMRセル構造に、本実施の形態の配置方法を適用できる(n:2以上の正数)。ただし、当該1Tr−nTMRセル構造の場合においても、n個のTMR素子101全てにおいて、円弧s1側がローカルビアLVに対面させられてる。
また、本実施の形態では、平面視において、ローカルビアLVを中心として、当該ローカルビアの両サイドに、同数のTMR素子101が配設されている。しかし、円弧s1側をローカルビアLVに対面させるように、全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させるのであれば、これに限る必要はない。たとえば、ローカルビアLVの第一の側において、第一の数のTMR素子101が並んで配置されており、第一の側と反対側であるローカルビアLVの第二の側において、第二の数のTMR素子101が、並んで配置されていても良い(第一の数≠第二の数)。
また、本実施の形態では、実施の形態1で説明した非対称形状を有する、複数のTMR素子101(または、記録層13)を、1のストラップ配線LS上に配置させる場合に言及した。しかし、TMR素子101の非対称形状は、実施の形態2で説明した形状(図16)若しくは、実施の形態3で説明した形状(図21)であっても良い。
なお、複数のTMR素子101が図16に示す形状である場合には、直線部804側をローカルビアLVに対面させるように、全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図17参照)。他方、複数のTMR素子101が図21に示す形状である場合には、第一の曲率を有する円弧850側をローカルビアLVに対面させるように、全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図22参照)。ここで、これらの場合においても、図28に示すように、平面視において、ローカルビアLVの両側に、TMR素子101が配置される。
なお、上記の通り、複数のTMR素子101が図16に示す形状である場合には、ストラップ配線LSのコーナ部の形状として、図19に示した形状を採用できる。また、ストラップ配線LSの端縁部の形状として、図20に示した構成を採用することもできる。他方、複数のTMR素子101が図21に示す形状である場合には、ストラップ配線LSのコーナ部の形状として、図24に示した形状を採用できる。また、ストラップ配線LSの端縁部の形状として、図25に示した構成を採用することもできる。
<実施の形態5>
本実施の形態では、実施の形態4で示した1Tr−4TMRセル構成以外の、1Tr−4TMRセル構成について説明する。
本実施の形態では、半導体装置内において、TMR素子101および素子選択用トランジスタ106は、図31に示すように配置される。つまり、図32に示すように、本実施の形態では、複数のTMR素子101の全部は、平面視において、ローカルビアLVの一方側のみにおいて、並んで配置されている。ここで、図32は、図31のストラップ配線LSの平面図である。なお、1Tr−4TMRセルの回路図は、図26と同じである。また、図31の断面構成は、層間絶縁膜130内等における素子選択用トランジスタ106等の図面左右方向のレイアウト変更を除いては、図27の断面構成と同じである。なお、パッド電極PDを有さない、スタックビア構造であるローカルビアLVを採用しても良い。
以下、図32の平面図を用いて、本実施の形態に係る構造をより具体的に説明する。
図32には、ストラップ配線LSに形成される、4つのTMR素子101と1つのローカルビアLVとの配置関係が図示されている。
ここで、図32に示すTMR素子101全体(若しくは、少なくとも記録層13)は、実施の形態1で説明した非対称形状(図4)を有する。なお、以下の図32に対する説明では、TMR素子101全体が図4に示す非対称形状を有することとする。なお、当該TMR素子101の非対称形状は、実施の形態1で詳細に説明した。したがって、本実施の形態では、当該TMR素子101の形状説明は省略する。
図32に示されているように、本実施の形態では、ストラップ配線LSの上面に、TMR素子101が4つ形成されている。また、ストラップ配線LSの下面で接続しているローカルビアLVの一方側(図面左側)に、全てのTMR素子101が並んで配置されている。ここで、隣接するTMR素子101間には、所定の間隔が設けられている。したがって、ローカルビアLVの他方側(図面右側)には、ストラップ配線LSの短辺のみが存する。
さらに、実施の形態1において図5を用いて説明したように、全TMR素子101は、次のような向きで配置されている。つまり、全TMR素子101は、図32に示すように、平面視において、窪んだ輪郭を有する一方の輪郭部(円弧)s1は、ローカルビアLV形成側に対面している。換言すれば、膨らんだ輪郭を有する他方の輪郭部(円弧)s2は、ローカルビアLV形成側に対面していない。
また、各TMR素子101において、重心(面積中心)は、対称軸L上に存在し、円弧s2よりも円弧s1に近い側に位置する。ここで、面積中心とは、所定の平面に質量が一様に分布されている場合における、当該所定の平面の質量中心のことである。したがって、図32の構成では全TMR素子において、TMR素子101における面積中心に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)s1が、ローカルビアLV形成側に対面している。
ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形である。そして、上述したように、平面視において、ストラップ配線LSの長手方向に、ローカルビアLVとTMR素子101とが並んで配置されている。
なお、ストラップ配線LSに形成された、ローカルビアLVと当該ローカルビアLVと隣接するTMR素子101とは、平面視において互いに所定の距離Laだけ離隔して配置されている。また、隣接するTMR素子101同士は、前記距離Laとは異なる距離Lbだけ離れて配置されている。また、図32に示す構成では、各TMR素子101が有する各対称軸Lは同軸上に存在する。そして、当該対称軸Lの延長線上に、ローカルビアLVが配置されている。
本実施の形態では、上記のように、円弧s1側をローカルビアLVに対面させるように、図4に示した非対称形状を有する全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図32参照)。換言すれば、全TMR素子101において、TMR素子101の重心(面積中心)に近い側の、当該TMR素子101の輪郭部(円弧)s1を、ローカルビアLV形成側に対面させる(図32参照)。
したがって、図29,30を用いて説明したように、ストラップ配線LSの占有面積の縮小化を図ることができる。つまり、他方の輪郭部s2がローカルビアLV形成側に対面するように、何れか1つのTMR素子101がストラップ配線LS上に配置される場合よりも、図32に示す配置の方が、ストラップ配線LSの占有面積の縮小化を図ることができる。
なお、上記の通り、ストラップ配線LS上において、TMR素子101とローカルビアLVとの距離Laを十分に取っている。したがって、ローカルビアLVの形成に起因してストラップ配線LS上に発生した凹部の、TMR素子101に対する影響を抑制できる。よって、当該凹部の影響により、TMR素子101の書き込み特性がばらつくことを抑制できる。
また、本実施の形態では、ローカルビアLVの他方側(図32の左側)において、TMR素子101は形成されない。したがって、当該他方側において、TMR素子101の書き込み特性劣化抑制のための十分な距離Laを、設ける必要もない。したがって、実施の形態4と比較して、本実施の形態の方がより、ストラップ配線LSの占有面積の縮小化を図ることができる。
また、ストラップ配線LSの平面視形状は、略長方形であるとした。しかし、実施の形態1でも説明したように、TMR素子101の上記他方の輪郭部(円弧)s2に面する、ストラップ配線LSのコーナ部を、当該他方の輪郭部s2の形状に沿った形状とすることもできる(図14の符号c1,c2参照)。
また、実施の形態1でも説明したように、ストラップ配線LSの端縁部に面する、TMR素子101の上記他方の輪郭部s2と、当該端縁部との間の距離は、少なくも0.1μm以上あることが望ましい(図15参照)。なお、上記他方輪郭部s2と上記端縁部との間に存する、ストラップ配線領域の幅は、場所に依らず一定であることがより望ましい(図15の符号A1参照)。
また、本実施の形態では、TMR素子101は、1のストラップ配線LS上に4つ配置させている。しかし、1のストラップ配線LS上に配置されるTMR素子の数は、2以上であれば良い。つまり、1Tr−nTMRセル構造に、本実施の形態の配置方法を適用できる(n:2以上の正数)。ただし、当該1Tr−nTMRセル構造の場合においても、n個のTMR素子101全てにおいて、円弧s1側がローカルビアLVに対面させられてる。
また、本実施の形態では、実施の形態1で説明した非対称形状を有する、複数のTMR素子101(または、記録層13)を、1のストラップ配線LS上に配置させる場合に言及した。しかし、TMR素子101の非対称形状は、実施の形態2で説明した形状(図16)若しくは、実施の形態3で説明した形状(図21)であっても良い。
なお、複数のTMR素子101が図16に示す形状である場合には、直線部804側をローカルビアLVに対面させるように、全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図17参照)。他方、複数のTMR素子101が図21に示す形状である場合には、第一の曲率を有する円弧850側をローカルビアLVに対面させるように、全TMR素子101をストラップ配線LS上に配置させる(図22参照)。ここで、これらの場合においても、図32に示すように、平面視において、ローカルビアLVの一方側のみに、TMR素子101が配置される。
なお、上記の通り、複数のTMR素子101が図16に示す形状である場合には、ストラップ配線LSのコーナ部の形状として、図19に示した形状を採用できる。また、ストラップ配線LSの端縁部の形状として、図20と用いた示した構成を採用することもできる。他方、複数のTMR素子101が図21に示す形状である場合には、ストラップ配線LSのコーナ部の形状として、図24に示した形状を採用できる。また、ストラップ配線LSの端縁部の形状として、図25と用いた示した構成を採用することもできる。
また、TMR素子101全てにおいて、円弧s1側がローカルビアLVに対面しているなら、図33の配置を当然採用することもできる。つまり、ローカルビアLVの一方側にのみ、全TMR素子101が配置されていても、当該一方側と真逆であるローカルビアLVの他方側にのみ、全TMR素子101が配置されていても良い。
上記各実施の形態で説明したMRAMは、たとえば不揮発性メモリ混載MCU(Memory Control Unit)製品および混載のSOC(System On a Chip)製品等に適用される。
13 記録層、101 TMR素子、106 素子選択用トランジスタ、801,850,851 (膨らんだ)円弧、804 直線部、s1 一方の輪郭部、s2 他方の輪郭部、c1,c2,c11,c12,c21,c22 コーナ部、Sc 端縁部、A1,A11,A21 領域、L 対称軸、S 磁化容易軸(方向)、Da 凹部、BL ビット線、TV トップビア、LS ストラップ配線、LV ローカルビア、DL デジット配線、WL ワード線(ゲート電極)、MC メモリセル。