JP2009164079A - アルカリマンガン電池の製造方法およびアルカリマンガン電池 - Google Patents

アルカリマンガン電池の製造方法およびアルカリマンガン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】界面活性剤を含有し、空気を巻き込んで気泡を含有し易い負極ゲルを高効率で脱泡し、保存安定性に優れ、高密度充填および等量充填が可能な負極ゲルを作製し、高容量、高出力および長寿命のアルカリマンガン電池を得る。
【解決手段】アルカリマンガン電池を製造するに際し、水酸化カリウム水溶液に、亜鉛合金粉末および/または亜鉛合金粉末、酸化亜鉛、ゲル化剤ならびに界面活性剤を添加してなる負極ゲルの真空脱泡工程を、複数回に分けて間欠的に行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリマンガン電池の製造方法およびアルカリマンガン電池に関する。さらに詳しくは、本発明は主に、アルカリマンガン電池に用いられる負極ゲルの真空脱泡方法の改良に関する。
アルカリマンガン電池は、マンガン電池よりもさらに高容量であり、放電特性に優れ、しかもマンガン電池との間で作動電圧および電池サイズの点で互換性がある。このため、アルカリマンガン電池は、各種電気電子機器、特に比較的大きな電力が必要でありかつ長時間の稼動が望まれる携帯用電子機器の電源として広く利用されている。このような携帯用電子機器としては、たとえば、カメラ、ビデオカメラ、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、CDプレーヤー、ヘッドホンステレオ、モーターを備える玩具などが挙げられる。
アルカリマンガン電池は、たとえば、正極端子を兼ねる正極ケースの中に、正極ケースに密着して円筒状の正極活物質層が配置され、その中央にセパレータを介して負極ゲルが充填された構造を有している。正極活物質層は、たとえば、正極活物質としての二酸化マンガン、導電材としての黒鉛粉末などを含有している。負極ゲルは、たとえば、亜鉛または亜鉛合金粉末(負極活物質)、酸化亜鉛、アルカリ電解液、ゲル化剤などを含有している。
負極ゲルは、たとえば、アルカリ電解液に亜鉛または亜鉛合金粉末、酸化亜鉛、ゲル化剤などを添加混合することにより調製されるが、その際に、負極ゲル内に気泡が発生し易い。負極ゲル中に気泡が存在すると、負極ゲルの高密度充填を行うことができず、電池の高容量化を図り得ない。また、負極ゲルの電池1個当たりの充填量が不均一になり易い。その結果、製品性能にばらつきが生じるおそれがある。
また、最近では、負極活物質である亜鉛または亜鉛合金粉末のアルカリ電解液による腐蝕を抑制するために、また、アルカリ電解液の電池外への漏液を防止するために、負極ゲルに界面活性剤が添加されている。しかしながら、界面活性剤は、負極ゲル中における気泡の発生を一層助長する。したがって、負極ゲルの高密度充填を行うことが、さらに難しくなる。また、製品性能のばらつきが一層大きくなる。
上記のような問題に鑑み、たとえば、減圧下で、ゲル状アルカリ電解液に負極活物質である亜鉛合金粉末を混合分散させて負極ゲルを調製するとともに、得られる負極ゲルを脱気するアルカリ電池の製造方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1には、負極ゲル中に界面活性剤を添加することは記載されていない。しかも、特許文献1のようにバッチ式で脱泡を行う技術において、負極ゲルに界面活性剤を添加して脱泡を行うと、脱泡後の負極ゲル中で脱泡密度のばらつきが生じるおそれがある。したがって、特許文献1の技術は、脱泡性能の点でさらなる改良の余地を残しており、現状における負極ゲルの高密度充填の要求を、十分充足できる水準には至っていない。また、特許文献1は、ゲル状アルカリ電解液に亜鉛合金粉末を混合分散させる際の、攪拌羽根の形状、回転数、混合分散用容器の形状などの各種条件について一切開示していない。
また、円筒状容器と、ポンプとを含む脱泡装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2の円筒状容器は、長手方向と鉛直方向とが一致するように設置される。該容器内部の上部には、ほぼ水平に回転する円盤が設けられる。また、容器の下部は、逆円錐形状(ロート形状)を有する逆円錐形状部になっている。ポンプは逆円錐形状部の下部に接続され、円筒状容器内を減圧状態にする。特許文献2では、負極ゲルを円筒状容器の頂部から落下させ、円盤の回転により負極ゲルを液滴化して容器内部の内壁面に飛散させ、内壁面に沿って流下させることにより、負極ゲルを逆円錐形状部に集めている。集められた負極ゲルはポンプで吸引され、円筒状容器の外部に連続的に排出される。
特許文献2の装置では、減圧状態にある円筒状容器の内部で、負極ゲルを液滴化することにより、負極ゲル中の気泡を効率良く除去しようとしている。しかしながら、特許文献2の装置では、負極ゲルを液滴化する工程があるため、工業的な規模での脱泡には適していない。すなわち、工業的な規模で脱泡を行うために、負極ゲルの円筒状容器内への供給量を増加させると、脱泡が不十分になり、負極ゲルの高密度充填を実現できない。脱泡を十分に行うためには、負極ゲルの円筒状容器内への供給量を減らす必要があるが、そうすると負極ゲルを工業的な規模で効率よく脱泡できない。すなわち、特許文献2の装置は、負極ゲルの大量生産には適していない。
なお、負極ゲルを高減圧下に置けば、負極ゲルの量が多くても脱泡が効率良く行われるように考えられるが、現実には高減圧下では負極ゲルの突沸が起こり易くなる。突沸が起こると、負極ゲル内に却って多くの気泡が発生するので、好ましくない。
また、従来の方法で脱泡された負極ゲルは保存安定性が十分ではなく、1週間程度保存すると、密度のばらつきを生じる。密度のばらつきを解消するために攪拌を行うと、気泡を巻き込み易い。したがって、1週間程度またはそれ以上保存した負極ゲルにおける密度のばらつきを解消するには、負極ゲルを減圧下で攪拌することが必要になり、工業的には不利である。
特開平6−295721号公報 特開2004−171918号公報
本発明の目的は、界面活性剤を含有する負極ゲルであっても工業的規模で効率よく脱泡することができ、保存安定性に優れかつ高密度充填が可能な負極ゲルが得られるアルカリマンガン電池の製造方法およびアルカリマンガン電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、負極ゲルの真空脱泡または減圧脱泡をバッチ式で複数回に分けて間欠的に行う場合には、負極ゲルを突沸させることなく、負極ゲルを高減圧下に脱泡することが可能になり、負極ゲルの脱泡を工業的規模で効率よく実施できることを見出した。さらに、耐圧性容器内に負極ゲルを収容し、アンカー型攪拌羽根による攪拌下に真空脱泡を行う場合には、負極ゲルの突沸の可能性が一層減少し、一層の高減圧下での脱泡が可能になり、高密度充填に適した負極ゲルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、水酸化カリウム水溶液に、亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末、酸化亜鉛、ゲル化剤ならびに界面活性剤を添加してなる負極ゲルを複数回に分けて間欠的に真空脱泡する工程を含むアルカリマンガン電池の製造方法に係る。
本発明の製造方法では、負極ゲルは、水酸化カリウム水溶液100重量部に対して、亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末170〜210重量部、酸化亜鉛1〜7重量部、ゲル化剤1〜3.5重量部ならびに界面活性剤0.05〜0.5重量部を含有することが好ましい。
本発明の製造方法では、耐圧性容器内に負極ゲルを収容し、攪拌下に真空脱泡を行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、耐圧性容器の下部がほぼ逆円錐形状であることが好ましい。
本発明の製造方法では、攪拌は、少なくとも一部が負極ゲルに浸漬するように設けられるアンカー型攪拌羽根を回転させることにより行われることが好ましい。
アンカー型攪拌羽根の回転数は50〜100rpmであることがさらに好ましい。
アンカー型攪拌羽根は、鉛直方向に延びる回転軸と、回転軸に支持されて水平方向に延びるように設けられる複数の攪拌羽根支持部材と、複数の攪拌羽根支持部材の一方の端部に支持される第1の攪拌羽根と、複数の攪拌羽根支持部材の他方の端部に支持される第2の攪拌羽根とを含むことが好ましい。
また、本発明は、本発明のアルカリマンガン乾電池の製造方法により製造されてなるアルカリマンガン電池に係る。
本発明の製造方法によれば、負極ゲルを高減圧状態に晒しても、負極ゲルの突沸が非常に起こり難い。このため、負極ゲルの脱泡を高減圧下に実施できるので、負極ゲルを工業的規模で効率よく脱泡できる。したがって、脱泡後の負極ゲルは、高密度充填が可能であり、アルカリマンガン電池の高容量化および高出力化に大きく寄与できる。また、本発明による脱泡後の負極ゲルを用いれば、電池1個当りの負極ゲルの充填量がほぼ均一になる。したがって、電池毎に性能差が生じるのを防止できる。
また、本発明の製造方法により脱泡された負極ゲルは保存安定性に優れ、1週間以上保存しても、密度のばらつきが発生し難い。また、保存により密度のばらつきが発生しても、本発明の方法で脱泡された負極ゲルは外力を受けても気泡を巻き込み難いので、減圧下ではなく大気圧下で攪拌を行うことにより、密度のばらつきを容易に解消できる。
本発明の製造方法により脱泡された負極ゲルが高密度充填されたアルカリマンガン電池は、高容量および高出力を有するとともに、従来のものよりも長い期間使用できる。
本発明のアルカリマンガン電池の製造方法(以下単に「本発明の製造方法」とする)は、負極ゲルを複数回に分けて間欠的に真空脱泡する工程を含むことを特徴とし、それ以外の構成は従来のアルカリマンガン電池の製造方法と同様にして実施できる。本発明の製造方法は、負極ゲルを間欠的に真空脱泡する工程を含むことによって、工程能力指数(Cpk)が顕著に向上し、工業的に有利な方法である。
また、本発明の製造方法において脱泡された負極ゲルは、高水準で脱泡され、空気を巻き込み難く、粘度および密度のばらつきが少なく、高密度充填および等量充填が可能である。また、保存安定性に優れ、1週間またはそれ以上の保存により、粘度および/または密度にばらつきが生じても、攪拌などの簡単な操作によりそれを解消できる。その際に、空気を巻き込むこともない。
本発明の製造方法は、たとえば、(1)アルカリ電解液調製工程、(2)負極ゲル調製工程、(3)負極ゲル脱泡工程および(4)組み立て工程を含む。
(1)アルカリ電解液調製工程
本工程では、アルカリ電解液を調製する。アルカリ電解液としては、たとえば、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。水酸化カリウム水溶液の水酸化カリウム濃度は、30〜38重量%程度が好ましい。アルカリ電解液は、水酸化カリウム以外のアルカリ金属水酸化物を適量含んでいてもよい。水酸化カリウム以外のアルカリ金属水酸化物には、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどがある。さらに、酸化亜鉛、珪酸カリウムなどの他の添加剤を適量含んでもよい。
アルカリ電解液は、たとえば、水酸化カリウムおよび必要に応じて他の添加剤を水に溶解させることにより調製できる。アルカリ電解液に酸化亜鉛を含有させる場合は、酸化亜鉛の水溶液に、水酸化カリウムおよび必要に応じて他の添加剤を添加して溶解させるのが好ましい。
(2)負極ゲル調製工程
本工程では、負極ゲルを調製する。本発明に置いて使用する負極ゲルは、たとえば、水酸化カリウム水溶液に、亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末、酸化亜鉛、ゲル化剤、界面活性剤などを添加してなるものである。
水酸化カリウム水溶液は、たとえば、電解質として機能する水酸化カリウムを含有している。水酸化カリウム水溶液における、水酸化カリウム濃度は、好ましくは30〜38重量%、さらに好ましくは32〜34重量%である。水酸化カリウム濃度が30重量%未満では、電導度の低下によるハイレート放電特性の低下、保存特性の低下などを引き起こすおそれがある。一方、水酸化カリウム濃度が38重量%を超えると、内部短絡が発生した場合に発熱が過剰になるおそれがある。水酸化カリウム水溶液は、その特性を損なわない範囲で、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの水酸化カリウム以外のアルカリ金属水酸化物を含有しても良い。
亜鉛粉末および亜鉛合金粉末は、たとえば、負極活物質として機能する。亜鉛合金としては、アルカリ電池の分野で常用される亜鉛合金を使用でき、たとえば、亜鉛と、ビスマス、アルミニウム、カルシウム、インジウム、マグネシウム、鉛および錫よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属との合金などが挙げられる。亜鉛合金粉末は、アルカリ成分に対する耐腐食性などの点で亜鉛粉末よりも優れている。亜鉛粉末および亜鉛合金粉末は、環境に対する影響性などを考慮すると、無汞化して用いるのが好ましい。亜鉛粉末および亜鉛合金粉末の粒径は特に制限されないが、体積平均粒子径が75〜200μmのものが好ましく、体積平均粒子径が100〜180μmのものがさらに好ましい。亜鉛粉末および亜鉛合金粉末は1種を単独でまたは両者を組み合わせて使用できる。また、2種以上の亜鉛合金粉末を組み合わせて使用しても良い。
亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末の使用量は、水酸化カリウム水溶液100重量部に対して、好ましくは170〜210重量部である。170重量部未満では得られる負極ゲルの粘性が低下し、210重量部を超えると得られる負極ゲルの粘性が増大し、ともに電池内に負極ゲルを注入する際に、注入量にばらつきが生じる原因になるおそれがある。
酸化亜鉛の使用量は、水酸化カリウム水溶液100重量部に対して、好ましくは1〜7重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。
ゲル化剤は、たとえば、液離礁を起こさず、放電性能確保できる粘度範囲で、負極活物質、水酸化カリウム、酸化亜鉛などを含有する水をゲル化するために用いられる。ゲル化剤としては、アルカリ電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸などの水溶性高分子化合物を使用できる。これらの中でも、耐アルカリ性などを考慮すると、ポリアクリル酸塩が好ましい。ゲル化剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。ゲル化剤の使用量は、水酸化カリウム水溶液100重量部に対して、好ましくは1〜3.5重量部、さらに好ましくは1.5〜2.5重量部である。1重量部未満では、液離礁が起こり、電池の容量、放電性能(出力性能)などが低下するおそれがある。一方、3.5重量部を超えると、負極がゲル状物ではなく固形状物になり、放電性能が顕著に低下するおそれがある。
界面活性剤は、たとえば、負極活物質である亜鉛粉末および亜鉛合金粉末の耐アルカリ性を向上させる機能を有する。界面活性剤としては、アルカリ電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルキルフェニル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アルキルアマイド・酸化エチレン縮合型界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は種々のものが知られており、いずれも使用可能である。
一例として、アルキルフェニル系界面活性剤の具体例を挙げると、たとえば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルとその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルとその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸とその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルメチレンカルボン酸とその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどがある。塩は、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩である。また、アルキル基としては、ペンチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、オクタデシル、イコシル、ペンタトリアコンチルなどの、直鎖状または分岐鎖状の炭素数35以下、好ましくは炭素数5〜18のアルキル基が好ましい。界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
界面活性剤の使用量は、水酸化カリウム水溶液100重量部に対して、好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.2〜0.4重量部である。
負極ゲルは、たとえば、水酸化カリウムを水に溶解させてアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液に酸化亜鉛およびゲル化剤を加えてゲル化し、これに負極活物質である亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末を添加混合することにより調製できる。
(3)負極ゲル脱泡工程
本工程では、負極ゲル調製工程で得られる負極ゲルを真空脱泡または減圧脱泡する。負極ゲル調製工程で得られた直後の負極ゲルは、成分、特に界面活性剤の添加混合操作などにより気泡を含んでおり、電池ケース内への高密度充填、電池ケース毎への等量充填などには適していない。このため、真空脱泡を行うことにより、負極ゲル中の気泡を除去し、負極ゲルを高密度充填、等量充填などに適したものにする。
本発明において、真空脱泡は、複数回に分けて間欠的に行われる。これにより、負極ゲルの突沸を伴うことなく、高減圧下で脱泡を実施できる。真空脱泡は、−100kPa以上の高減圧下に行われる。真空脱泡を行う回数は通常2回以上である。1回の真空脱泡を行う時間は、真空脱泡する負極ゲルの量、真空脱泡における減圧の程度などに応じて適宜選択できるが、通常5〜10分程度、好ましくは5分程度である。真空脱泡と次の真空脱泡との間隔は、通常1分程度である。
真空脱泡は、好ましくは、耐圧性容器内に負極ゲルを収容し、攪拌下に行われる。これにより、真空脱泡を一層の高減圧下に実施することが可能になる。その結果、負極ゲルの脱泡の度合が一層進み、さらなる高密度充填が可能になる。耐圧性容器は、円筒形状を有することが好ましい。耐圧性容器は、その長手方向と鉛直方向とが一致するように設置するのが好ましい。耐圧性容器の下部は、ほぼ逆円錐形状であることが好ましい。これにより、真空脱泡後の負極ゲルに空気の噛み込みなどを発生させることなく、真空脱泡後の負極ゲルを耐圧性容器の外部に効率良く排出できる。
耐圧性容器は、その内部に攪拌羽根を備えている。攪拌羽根は、その軸心が耐圧性容器の軸心に一致するように設けられる。また、攪拌羽根は、少なくとも一部が耐圧性容器内に収容される負極ゲルに浸漬するように設けられる。攪拌羽根が回転することにより、負極ゲルの攪拌が行われる。攪拌羽根の回転数は、好ましくは50〜100rpmである。50rpm未満では、攪拌不足により負極ゲルに密度のばらつきが生じるおそれがある。100rpmを超えると、攪拌羽根の軸部が磨耗し、耐圧性容器の密閉性が低下するおそれがある。
攪拌羽根の形状は、アンカー型であることが好ましい。アンカー型攪拌羽根を用いることにより、負極ゲルの突沸を一層確実に防止するとともに、さらなる高減圧で真空脱泡することが可能になる。また、真空度を急速に上昇させても負極ゲルの突沸が起こらず、負極ゲル中の気泡が膨張するので、脱泡効果が顕著に向上する。
アンカー型攪拌羽根としては特に制限されず、公知のものを使用できる。その中でも、図1および図2に示すアンカー型攪拌羽根1が好ましい。図1は、アンカー型攪拌羽根1の構成を模式的に示す側面図である。図2は、図1に示すアンカー型攪拌羽1を鉛直方向上方から見た上面図である。アンカー型攪拌羽根1により負極ゲルを攪拌すると、負極ゲルの突沸が抑制されるだけでなく、負極ゲルから気泡を除去する脱泡効率が向上し、気泡含有率が顕著に低く、高密度充填に適する負極ゲルが得られる。
アンカー型攪拌羽根1は、回転軸10、複数の攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11d(以下必要に応じて「攪拌羽根支持部材11」と総称する)、第1の攪拌羽根12および第2の攪拌羽根13を含む。
回転軸10は、鉛直方向に延びるように設けられ、図示しない支持手段により回転可能に支持されている。回転軸10の鉛直方向の少なくとも一端は図示しない駆動手段に直接または間接的に接続されている。回転軸10は、前記駆動手段により軸心回りに矢符15の方向に回転する。回転軸10は、たとえば、金属により形成される。
攪拌羽根支持部材11は、回転軸10に支持されてほぼ水平方向に延びるように設けられる複数の棒状部材または板状部材であり、その延びる方向が回転軸10の延びる方向とほぼ直交している。攪拌羽根支持部材11は、回転軸10の回転に伴って回転する。また、攪拌羽根支持部材11は、その長手方向の両端部で第1および第2の攪拌羽根12、13を支持する。本実施の形態では、攪拌羽根支持部材11は鉛直方向において間隔を空けて4つ設けられている。すなわち、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dは、鉛直方向上方から下方にかけてこの順番で回転軸10に固定される。攪拌羽根支持部材11の長手方向に垂直な方向の断面形状は特に制限されず、たとえば、円形、正方形、多角形などが挙げられる。
また、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dの長さは、同じもよくまたは異なっていてもよく、図示しない耐圧性容器の形状に応じて、適宜選択される。第1および第2の攪拌羽根12、13が耐圧性容器の内壁面に接触せずかつできるだけ近接するような範囲で、攪拌羽根支持部材11の長さを調整するのが好ましい。本実施の形態では、攪拌羽根支持部材11a、11b、11cがほぼ同じ長さであり、最も下部に存在する攪拌羽根支持部材11dのみが、攪拌羽根支持部材11a、11b、11cよりも短くなるように構成されている。
また、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dは、図2の上面図において、それぞれが水平方向における異なる方向に延びるように、回転軸10に取り付けられている。したがって、アンカー型攪拌羽根1を鉛直方向から見ると、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dは一部が重なっても、全体が完全に一致するように重なることはない。これにより、第1および第2の攪拌羽根12、13の形状自由度ひいては攪拌効率を向上させることができる。なお、本実施の形態では、前記のような構成を採るが、それに限定されず、アンカー型攪拌羽根1を鉛直方向から見た場合に、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dのうち少なくとも2つ以上が完全に重なるように、回転軸10に取り付けてもよい。また、本実施の形態では、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dは板状部材であり、それぞれ、回転軸10による支持部分から一方の端部までの部分の短手方向(幅方向)と、回転軸10による支持部分から他方の端部までの部分の短手方向(幅方向)とが、角度をなしてねじれるように形成されている。これにより、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11d自体が攪拌機能をも有している。なお、攪拌羽根支持部材11が板状部材である場合、攪拌羽根支持部材11は前記のようにねじれを有する形状に限定されず、全体がねじれ部分のない平板状に形成されていてもよい。
第1の攪拌羽根12は、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dの一方の端部に支持される板状または帯状部材である。第2の攪拌羽根13は、攪拌羽根支持部材11a、11b、11c、11dの他方の端部に支持される板状または帯状部材である。第1および第2の攪拌羽根12、13は、図1に示す側面図では、紡錘形状を形成している。第1および第2の攪拌羽根12、13は、回転軸10の回転に伴って回転する。
アンカー型攪拌羽根1の回転数は、好ましくは50〜100ppmである。
耐圧性容器には真空ポンプが接続され、この真空ポンプにより耐圧性容器内部が減圧状態になる。真空ポンプは、耐圧性容器の側壁において、耐圧性容器内に収容される負極ゲルの液面高さよりも高い位置に接続するのが好ましい。また、また、耐圧性容器の上部には、負極ゲルを耐圧性容器内に供給するための投入口が設けられる。投入口は開閉自在に設けられる。さらに、耐圧性容器の最下部には負極ゲル排出管が接続され、真空脱泡後の負極ゲルはこの排出管から外部に排出される。
(4)組み立て工程
本工程では、アルカリマンガン電池を組み立てる。アルカリマンガン電池は、たとえば、正極、負極ゲル、負極集電体、セパレータ、組立封口体、絶縁リング、電池ケース、外装ラベルおよびアルカリ電解液を含む。
アルカリマンガン電池の組み立ては、上記(1)〜(3)の工程で得られたアルカリ電解液および負極ゲルを用いる以外は、従来の組み立て方法と同様に実施できる。たとえば、まず、開口を有する電池ケースの内部に正極、セパレータ、負極ゲルおよび負極集電体をこの順番で収容し、アルカリ電解液を注液する。次いで、絶縁リングを介して組立封口体を電池ケースの開口に装着し、電池ケースの開口側端部をかしめて電池ケースを密封し、素電池とする。さらに素電池すなわち電池ケースの外周面に外装ラベルを装着する。これにより、アルカリマンガン電池が得られる。
正極は中空円筒状に形成され、その外周面が電池ケースの内周面に接するように、電池ケース内に収容される。正極は、二酸化マンガンなどのマンガン化合物および黒鉛などの導電材を含有する。正極は、たとえば、正極活物質と導電材とアルカリ電解液とを攪拌混合し、得られる混合物を圧縮成形してフレークを得、このフレークを中空円筒状に圧縮成形することにより作製できる。
負極ゲルは、上記(2)および(3)の工程で作製されるものである。負極ゲルは、気泡が十分に脱泡されているので、高密度充填および等量充填に適している。たとえば、単3形のアルカリマンガン電池において、従来技術よりも2.5重量%以上の負極ゲルの充填が可能になる。これは、アルカリマンガン電池の顕著な高出力化、高容量化および長寿命化をもたらす。また、単3形のアルカリマンガン電池において、たとえば、従来技術では負極ゲルを6.0g充填するのに、±0.25gの誤差が生じる。これに対し、本発明では、負極ゲルを6.15g充填するのに、±0.10gの誤差しか生じない。本発明の負極ゲルを用いることにより、負極ゲルの充填量が増加するとともに、充填量のばらつきが顕著に減少する。これは、負極ゲルの歩留まり向上をもたらす。
負極集電体は、負極ゲル中に貫入される棒状部材または釘状部材である。負極集電体は、たとえば、銀、銅、真鍮などの金属材料からなる線材をプレス加工することによって作製できる。
セパレータは、たとえば、有底円筒状、袋状などの内部空間を有する形状に作製される。セパレータは、たとえば、不織布などの絶縁性の多孔質シートから作製される。多孔質シートは好ましくは親水性材料を含む。多孔質シートの具体例としては、たとえば、ポリビニルアルコール系繊維およびセルロース系繊維を主体として混抄した不織布、ポリビニルアルコール系繊維、セルロース系繊維およびパルプ繊維バインダとしてのポリビニルアルコールと混抄した不織布、微多孔質フィルムの厚み方向の両面に前記のような不織布を積層してなる積層体などが挙げられる。ポリビニルアルコール系繊維としては、たとえば、ポリビニルアルコール繊維、ビニロン繊維などが挙げられる。また、セルロース系繊維としては、たとえば、セルロース繊維、アセチルセルロース繊維、マーセル化パルプ繊維、レーヨン繊維、ポリノジックレーヨン繊維などが挙げられる。また、有底円筒状のセパレータの場合は、円筒部と底部の材質を異なるものにしてもよい。
セパレータにはアルカリ電解液が注液される。アルカリ電解液は、上記(1)の工程で作製されるものである。
組立封口体は、樹脂封口体と、負極端子板とを含み、電池ケースの開口に装着され、電池ケースを密閉する。樹脂封口体には合成樹脂からなる円形部材が用いられる。
絶縁リングは、たとえば、絶縁材料からなる板状物を所定の寸法、形状にプレス打ち抜き加工することによって作製できる。絶縁材料としては、たとえば、合成樹脂、ゴムなどが挙げられる。合成樹脂としては、たとえば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂、スチロール樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。ゴムとしては、たとえば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。また、絶縁材料からなる板状物として、紙またはビニロン、レーヨンなどの合成樹脂を含む不織布を使用できる。
電池ケースは有底円筒状の容器状部材であり、その長手方向における一方の端部には正極端子が設けられ、他方の端部が開口している。電池ケースは、正極集電体の機能をも有している。電池ケースは、たとえば、鋼板、片面または両面にニッケルめっきを施した鋼板などを用いて作製される。電池ケースの内面には、たとえば、導電性塗料を塗布してもよい。導電性塗料は、たとえば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックなど)、樹脂(アクリル樹脂など)、水などを含む。
外装ラベルは、少なくとも、電池ケースの外周面に接するように設けられる。外装ラベルには、たとえば、熱収縮性樹脂のフィルム、シートなどの板状物が用いられる。熱収縮性樹脂としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびポリエチレンテレフタレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を使用できる。外装ラベルの電池ケースへの装着は、たとえば、熱収縮性樹脂の板状物を筒状に成形し、この筒状物に素電池を挿入して加熱し、熱収縮性樹脂を収縮させることによって行われる。
このような構成を有する本発明の製造方法を利用すれば、アルカリマンガン電池の製造工程における工程能力指数(Cpk)を向上させることが可能になる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(アルカリ電解液の調製工程)
蒸留水に水酸化カリウムを溶解させ、水酸化カリウムの40重量%水溶液であるアルカリ電解液を調製した。
(負極ゲルの調製工程)
亜鉛を約500℃まで加熱し溶融状態とし、ここに所定量のAl、Bi及びInを添加して溶融させ、これを細流状に滴下し、圧縮空気を噴射させて噴霧することにより、50ppmのAl、200ppmのBi、250ppmのInを含む亜鉛合金粉末を得た。そして、得られた亜鉛合金粉末を目開き75μmおよび425μmの篩にて分級し、粒径が75〜425μmの範囲にある亜鉛合金粉末を得た。
一方、水酸化カリウムの40重量%水溶液に、酸化亜鉛およびアニオン性界面活性剤(平均分子量約210のアルコールリン酸エステルナトリウム)を加え1分間攪拌した後、ポリアクリル酸ナトリウム(ゲル化剤)を加えて45分間混合した。その後、常温で10分間放置して電解液ゲルを調製した。この電解液ゲルに、上記で得られた亜鉛合金粉末を加え30分間混合し、負極ゲルを調製した。この負極ゲルには、水酸化カリウムの33重量%水溶液100重量部に対して、酸化亜鉛2重量部、界面活性剤0.3重量部、ポリアクリル酸ナトリウム2.2重量部および亜鉛合金粉末191重量部が含まれていた。この負極ゲルにおける気泡含有率は、負極ゲル全量の4体積%であった。
(負極ゲルの真空脱泡工程)
真空脱泡には、円筒状の耐圧性容器を用いた。耐圧性容器は、高さ:1m、内容積:100リットル、下部形状:逆円錐形、攪拌羽根:図1および図2に示すアンカー型攪拌羽根であった。この耐圧性容器の上部に設けられた投入口から上記で得られた負極ゲル50リットルを投入し、耐圧性容器内に負極ゲルを収容し、投入口を密閉した。耐圧性容器に収容された負極ゲルに対し、間欠的に1回の真空脱泡を行った。真空脱泡は、真空度:−98kPa、アンカー型攪拌羽根の回転数:60rpmに設定して5分行った。真空脱泡の休止時間は、1分とした。このとき、アンカー型攪拌羽根による攪拌は、真空脱泡時の回転数を維持して行った。このようにして、脱泡後の負極ゲルを得た。脱泡後の負極ゲルにおける気泡含有率は、負極ゲル全量の1.5%体積%であった。結果として、ゲル密度が2.5%向上した。
(正極合剤の作製)
二酸化マンガン粉末(体積平均粒径40μm、正極活物質)、黒鉛粉末(体積平均粒径15μm、導電剤)および上記で得られたアルカリ電解液を、重量比100:6:1で混合して圧縮成形し、正極合剤のフレークを作製した。ついでこのフレークを顆粒状に粉砕し、得られた顆粒を篩によって分級した。10〜100メッシュの顆粒を加圧成形して、ペレット状の正極合剤を作製した。
(電池の組み立て工程)
円筒形電池ケース内に上記で得られた正極合剤2個を挿入し、加圧治具により正極合剤を有底円筒形に再成形して正極とするとともに、該円筒の外壁を電池ケースの内壁に密着させた。そして、電池ケース内に配置された正極の内部に有底円筒形のセパレータを配置し、セパレータ内に上記で得られたアルカリ電解液を1.7ml注入した。15分経過後、上記で得られた負極ゲルをセパレータの内部に充填した。負極ゲルの充填量は6.15gであった。なお、セパレータには、ポリビニルアルコール繊維とレーヨン繊維を主体として混抄した不織布を用いた。
続いて、負極集電子を負極ゲルの中央に挿入した。なお、負極集電子には、ガスケット(樹脂封封口体)および負極端子板を予め一体化させた。そして、電池ケースの開口端部を、ガスケットの端部を介して、負極端子板の周縁部にかしめつけ、電池ケースの開口を封口した。最後に、外装ラベルで電池ケースの外表面を被覆して、本発明の単3形アルカリマンガン電池を作製した。
上記の電池の組み立て工程と同様にして、1000個のアルカリマンガン電池を作製した。1000個の電池における負極ゲルの充填量は、全て、6.15±0.10gの範囲に収まり、充填量のばらつきは非常に少なかった。また、全工程におけるCpkは1.67以上になった。このことから、本発明の製造方法を利用するアルカリマンガン電池の作製工程は、作業効率が非常に高く、工業的に有用なものであることが判った。
(比較例1)
真空脱泡を行わない以外は、実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。なお、電池の組み立て工程における負極ゲルの充填量は約6.00gであった。
(比較例2)
負極ゲルの真空脱泡工程を、下記のようにして行う以外は、実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。なお、電池の組み立て工程における負極ゲルの充填量は約6.00gであった。これに対し、実施例1の負極ゲル充填量は6.15gであり、本発明では充填量を2.5重量%以上増量できることが明らかである。
(負極ゲルの真空脱泡工程)
負極ゲルの真空脱泡を、特開平6−295721号公報に記載の方法に従い、負極ゲルの作製中に行った。すなわち、実施例1の(負極ゲルの調製工程)と同様にして電解液ゲルを調製した。この電解液ゲルに、真空度:約−2.67kPa(20mmHg)の減圧下、亜鉛合金粉末を添加混合し、負極ゲルを調製した。なお、各成分の使用量は、実施例1の負極ゲルと同じである。この工程で、真空度をさらに上げると、負極ゲルの突沸が起こり、負極ゲルを十分に脱泡することができなかった。
(電池の組み立て工程)
実施例1の電池の組み立て工程と同様にして、1000個のアルカリマンガン電池を作製した。1000個の電池における負極ゲルの充填量は、全て、6.00±0.25gの範囲になり、実施例1に比べると充填量のばらつきが大きかった。
(試験例1)
実施例1および比較例1〜2で得られた負極ゲル100リットルを、300リットル容攪拌タンク内にて、室温下および25rpmの攪拌下で1週間保存した。これらの負極ゲルを用いて、電池組み立て工程における負極ゲルの充填量を調べた。負極ゲルの充填量は、電池1000個について調べた。
実施例1の負極ゲルの充填量は保存前と変化なく、6.15±0.10gであったのに対し、比較例1の負極ゲルの充填量は5.85±0.40g、比較例2の負極ゲルの充填量は5.95±0.30gであり、実施例1に比べて充填量が減少し、充填量のばらつきも大きかった。これは、比較例1および2の負極ゲルでは、保存中に負極ゲルにおける密度のばらつきおよび粘度のばらつきが発生し、攪拌を行ってもそれが十分に解消されず、さらに攪拌によって空気を巻き込み、負極ゲル中の気泡含有率が増加したためであると考えられる。これに対し、実施例1の負極ゲルでは、保存中に密度のばらつきおよび粘度のばらつきが発生しても、攪拌によりそれが解消され、しかも気泡の混入もほとんどなかったため、保存前と同程度の高密度充填が可能になったものと考えられる。
本発明の製造方法は、アルカリマンガン電池を製造するのに好適に利用できる。また、本発明の製造方法により得られるアルカリマンガン電池は、従来のアルカリマンガン電池と同様の用途に使用できる。用途の具体例としては、各種電気電子機器、特に比較的大きな電力が必要でありかつ長時間の稼動が望まれる携帯用電子機器の電源が挙げられる。携帯用電子機器としては、たとえば、カメラ、ビデオカメラ、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、CDプレーヤー、ヘッドホンステレオ、モーターを備える玩具などが挙げられる。
本発明の製造方法に利用されるアンカー型攪拌羽根の構成を模式的に示す側面図である。 図1に示すアンカー型攪拌羽根の鉛直方向上方から見た上面図である。 従来技術の連続脱泡装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
1 アンカー型攪拌羽根
10 回転軸
11,11a,11b,11c,11d 攪拌羽根支持部材
12 第1の攪拌羽根
13 第2の攪拌羽根

Claims (8)

  1. 水酸化カリウム水溶液に、亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末、酸化亜鉛、ゲル化剤ならびに界面活性剤を添加してなる負極ゲルを複数回に分けて間欠的に真空脱泡する工程を含むアルカリマンガン電池の製造方法。
  2. 負極ゲルが、水酸化カリウム水溶液100重量部に対して、亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末170〜210重量部、酸化亜鉛1〜7重量部、ゲル化剤1〜3.5重量部ならびに界面活性剤0.05〜0.5重量部を含有する請求項1に記載のアルカリマンガン電池の製造方法。
  3. 耐圧性容器内に負極ゲルを収容し、攪拌下に真空脱泡を行う請求項1または2に記載のアルカリマンガン電池の製造方法。
  4. 耐圧性容器の下部がほぼ逆円錐形状である請求項3記載のアルカリマンガン電池の製造方法。
  5. 攪拌は、少なくとも一部が負極ゲルに浸漬するように設けられるアンカー型攪拌羽根を回転させることにより行われる請求項1〜4のいずれか1つに記載のアルカリマンガン電池の製造方法。
  6. アンカー型攪拌羽根の回転数が50〜100rpmである請求項5に記載のアルカリマンガン電池の製造方法。
  7. アンカー型攪拌羽根が、鉛直方向に延びる回転軸と、回転軸に支持されて水平方向に延びるように設けられる複数の攪拌羽根支持部材と、複数の攪拌羽根支持部材の一方の端部に支持される第1の攪拌羽根と、複数の攪拌羽根支持部材の他方の端部に支持される第2の攪拌羽根とを含む請求項5または6に記載のアルカリマンガン電池の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つの製造方法により製造されてなるアルカリマンガン電池。
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