JP2009162290A - ロータリーベーン式舵取機のシール構造および下部リングシールの取り替え方法 - Google Patents

ロータリーベーン式舵取機のシール構造および下部リングシールの取り替え方法 Download PDF

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幸雄 冨田
Toshiro Namatame
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喬之 若林
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Abstract

【課題】洋上であっても下部リングシールの取替えが可能であるロータリーベーン式舵取機のシール構造を提供する。
【解決手段】下部リングスリット1e内に挿入された下部リングシール11のリングシール面11aがローターの下部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面11aの外周縁部11bがベーンの下部横シールおよびセグメント1bの縦シール1dのそれぞれ内周側下端縁1jに接触し、下部リングシール11は一箇所において直截した切断面11f,11gを有し、切断面11f,11gは、舵軸の軸心を中心とする半径に対して、周方向に45°の角度で傾斜し、下部リングシール11の外径公差は、下部リングシール11の外径が下部リングスリット1eの外周面の直径よりも所定量だけ大きく、下部リングシール11の背面および内周側の側面に作動油室5dの油圧をかけるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロータリーベーン式舵取機のシール構造およびこのロータリーベーン式舵取機に設けられている下部リングシールの取り替え方法に関する。
従来のロータリーベーン式舵取機は、例えば図8〜図12に示すようなものであり、ハウジング1と、その内部に収納されて回転するローター2とを有している。ローター2は、半径方向には下部軸部2aがハウジング1の底部に設けたボス部1aでラジアル軸受4aを介して支持され、上部軸部2bがハウジング1の上部開口を塞ぐように配置した環状のトップカバー3でラジアル軸受4bを介して支持され、また、軸方向には、ローター2の下端面がハウジング1の内底面でスラスト軸受4cを介して支持されている。
ローター2は、舵軸7の軸頭7aを装入して緊合する内部貫通孔2cを有し、外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーン2dを突設している。ハウジング1は内周面の周方向沿った等間隔の位置に、上記ベーン2dと同数のセグメント1bを突設している。
ローター2の各ベーン2dは、上端面に形成した上部横スリット2e内に、トップカバー3の下面に摺接する上部横シール2fを保持し、下端面に形成した下部横スリット2g内に、ハウジング1の内底面に摺接する下部横シール2hを保持し、半径方向の先端の縁面に形成した縦スリット2i内に、ハウジング1の内周面に摺接する縦シール2jを保持している。
また、ハウジング1のセグメント1bは、半径方向の先端の縁面に形成した縦スリット1c内に、ローター2の外周面に摺接する縦シール1dを保持している。なお、上記各シール2f、2h、2j、1dはそれぞれゴム等の弾性材料によって形成されている。
ローター2はハウジング1内において、ベーン2dの上部および下部横シール2f、2hがそれぞれトップカバー3の裏面およびハウジング1の内底面に摺接し、同縦シール2jがハウジング1の内周面に摺接し、また、ローター2の外周面がハウジング1のセグメント1bの縦シール1dに摺接する状態で回転する。これにより、ローター2の外側周囲に形成された油室用空間5がベーン2dとセグメント1bとによって複数の作動油室5a5b、5c、5dに区画される。
トップカバー3は、ローター2の上部端面の半径方向端面に対向する部位に形成した上部リングスリット3a内に、一体構造の環状の上部リングシール3bを保持している。また、ハウジング1は、ローター2の下部端面の半径方向端部に対向する部位に形成した下部リングスリット1e内に、一体構造の環状の下部リングシール1fを保持している。上部および下部リングシール3b、1fはそれぞれゴム等の弾性材料によって形成されている。
図8、図12に示すように、上記上部リングシール3bは、リングシール面3cがローター2の上部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面3cの外周縁部3dがベーン2dの上部横シール2fの内周側上端縁2k(図8参照)とセグメント1bの縦シール1dの内周側上端縁1h(図8参照)とにそれぞれ接触している。
また、上記下部リングシール1fは、上部リングシール3bと同様に、リングシール面1gがローター2の下部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面1gの外周縁部1iがベーン2dの下部横シール2hの内周側下端縁2m(図8参照)とセグメント1bの縦シール1dの内周側下端縁1j(図8参照)とにそれぞれ接触している。
これらにより、各作動油室5a、5b、5c、5dの圧油が、ローター2の上部端面とトップカバー3との間の微小な間隙およびローター2の下部端面とハウジング1の内底面との間の微小な間隙を通って、また、上部リングスリット3aおよび下部リングスリット1eのそれぞれ外周側面を通って、あるいは、ベーン2の上部および下部横シール2f、2hの上下の各内周端縁部2k、2mおよびセグメント1bの縦シール1dの上下の各内周端縁部1h、1jを通って、高圧側となる作動油室から隣接する低圧側となる作動油室に漏洩するのを防ぐとともに、大気に通ずるローター軸部2a、2bへ漏出するのを防いでいる。
ローター2の回転軸心に対して対極の位置にある作動油室5a、5c同士、および作動油室5b、5d同士はそれぞれ連通しており、例えば作動油室5aに油圧ポンプから圧油が供給されると、対極の位置にある作動油室5cにも同時に圧油が供給され、一方、残りの作動油室5b、5dからは同時に油が排出されて油圧ポンプ側に戻される。これにより、圧油によるローター2の回転が成立する。
上記の各シールの断面形状については、ローター2のベーン2dの上部横シール2f、下部横シール2h、縦シール2j、およびハウジング1のセグメント1bの縦シール1dは図11に示すようなものであり、ハウジング1の下部リングシール1fおよびトップカバー3の上部リングシール3bは図12に示すようなものである。いずれも、接触摺動する相手面との間のシーリング効果を高めるために、各シール1d、2f、2h、2j、1f、3bのそれぞれの背面2n、2o、2p、1k、1m、3eに、高圧側となる作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)から圧油を導いて、この油圧によりシール面を相手面に押し付けるようにしている。そして、これら各シール1d、2f、2h、2j、1f、3bの背面2n、2o、2p、1k、1m、3eに導いた圧油が各スリット1c、2e、2g、2i、1e、3aの側面を通って低圧側に漏洩しないようにするために、各シール1d、2f、2h、2j、1f、3bのそれぞれの背面2n、2o、2p、1k、1m、3eの側に、スカート部2q、2r、2s、1n、1o、3fを有している。
高圧側となる作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)から圧油を各シール1d、2f、2h、2j、1f、3bの背面2n、2o、2p、1k、1m、3eに導く手段として、各ベーン2dの縦シール2j、および上部および下部横シール2f、2hに対しては、図8に示すように、各ベーン2dを貫通する各油室連通孔2tにそれぞれ圧力バルブ6を装着し、いずれか高圧側となった作動油室の圧油が圧力バルブ6を通って各ベーン2dの各縦シール2jの背面2pに通じ、そして、縦シール2jの背面2pの両スカート部2sの間の空間が上部および下部横シール2f、2hの各背面2n、2oの各両スカート部2q、2rの間の空間と連通していることにより、上記圧油が縦シール2jの背面2pを通って、上部および下部横シール2f、2hの各背面2n、2oにも作用する。
また、各セグメント1bの縦シール1dに対しては、ベーン2dと同様に、図8に示すように、各セグメント1bを貫通する各油室連通孔2tにそれぞれ圧力バルブ6を装着し、いずれか高圧側となった作動油室の圧油が圧力バルブ6を通って各セグメント1bの縦シール1dの背面1kに導かれている。
また、上部および下部リングシール3b、1fに対しては、図8に示すように、セグメント1bの縦シール1dの背面1kの上端部から上部リングシール3bの背面3e(図12参照)に通じる油路3gがトップカバー3に穿孔されている。また、上記縦シール1dの背面1kの下端部から下部リングシール1fの背面1m(図12参照)に通じる油路1pがハウジング1の底部に穿孔されている。これによって、高圧側となる作動油室5a〜5dからの圧油を上部および下部リングシール3b、1fの各背面3e、1mに作用させている。
なお、弾性材料に許容される製造公差として、例えば外径680mmの上部および下部リングシール3b、1fでは、直径で約3mmの公差が設けられているが、従来の上部および下部リングシール3b、1fにおいては、これを負側の公差、すなわち680 −3mmとしている。これは、もしも正側の公差、すなわち、680+3 mmとすると、上部および下部リングシール3d、1fをそれぞれ上部および下部リングスリット3a、1e内に装着するとき、外周面が圧縮されて波状となり、作動による温度上昇でこれが更に増大されることになり、シーリング性能の低下をもたらすと考えられていたからである。
上部および下部リングシール3b、1fの直径の製造公差が680 −3mmの場合、上部および下部リングシール3d、1fをそれぞれ上部および下部リングスリット3a、1e内に装着するとき、上部および下部リングシール3b、1fは、周方向に3×πmm(=約9mm)引き伸ばされることになり、これによる断面収縮により、上部および下部リングシール3b、1fのそれぞれ外周側の側面と上部および下部リングスリット3a、1eのそれぞれ外周側の側面との間に僅かな間隙が生じることになり、従って、作動の初期状態においては、シーリング性能がその分低下するが、作動による温度上昇で上記間隙は消失すると考えられていた。
尚、上記のような主な構成を有するロータリーベーン式舵取機としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
特開2006−214496
上記した従来の構成においては、下部リングシール1fが損傷あるいは摩損したことにより新しいものに取り替える場合、舵軸7を何らかの手段により支持した後、トップカバー3をハウジング1から取り外し、ローター2の内部貫通孔2cと舵軸7の軸頭7aとの間の極めて強固な緊合を弛緩せしめ、ローター2を、下部軸部2aが舵軸7の頂部に達するまで吊り上げ、しかる後に、損傷あるいは摩損した下部リングシール1fをハウジング1の底面の下部リングスリット1eから取り外して、舵軸7の頂部を越えてハウジング1の上方外部へ搬出する。
次に、新しい下部リングシール1fを、ハウジング1の上方外部から舵軸7の頂部を越えてハウジング1内へ搬入し、下部リングスリット1e内に装着する。そして、ローター2を元の位置に吊り下げ、再び、ローター2の内部貫通孔2cと舵軸7の軸頭7aとの間を極めて強固に緊合し、その後、トップカバー3をハウジング1に取り付けなければならなかった。
かかる作業は多大の労力と時間を必要とする問題があるばかりでなく、洋上では、舵軸7を支持して、ローター2と舵軸7の軸頭7aとの緊合を弛緩させることが困難であるため、下部リングシール1fの取替え作業を行うことができず、この作業のために船を乾ドックに入渠させねばならないという大きな問題があった。このように、下部リングシール1fの交換がロータリーベーン式舵取機のメンテナンスにおける最大の問題であった。
さらに、上記した下部リングシール1fの従来の製造公差、すなわち、例えば外径680mmの下部リングシール1fで負側に3mmの公差の場合、下部リングシール1fを下部リングスリット1eに装着するとき、下部リングシール1fは周方向に約9mm引き伸ばされることになるので、この状態で、もしも何らかの原因により下部リングシール1fが折損すれば、折損部が拡開して、この折損部において作動油が漏洩して、舵取機の作動が急激に不能に陥ってしまうという問題もあった。
本発明は、上記した課題を解決するものであり、下部リングシールが従来と同じ性能を発揮し、洋上であっても下部リングシールの取替えが可能であり、かつ、万一下部リングシールが折損しても舵取機の作動が急激に不能に陥ることがないようなロータリーベーン式舵取機のシール構造および下部リングシールの取り替え方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明は、舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のトップカバーとを有し、
ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーンを配置し、
ハウジングの内周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、
ベーンとセグメントとによって上記油室用空間を複数の作動油室に区画し、
ローターの各ベーンに、トップカバーの裏面およびハウジングの内周面と内底面とにそれぞれ対向するように、その上下両端面と半径方向先端面とにそれぞれ上部および下部横スリットと縦スリットを形成し、
縦スリットに、ハウジングの内周面に摺接する縦シールを挿入し、
上部横スリットに、トップカバーの裏面に摺接する上部横シールを挿入し、
下部横スリットに、ハウジングの内底面に摺接する下部横シールを挿入し、
セグメントに、ローターの外周面に対向するように縦スリットを形成し、
縦スリットに、ローターの外周面に摺接する縦シールを挿入し、
ローターの上部端面の半径方向端部に対向するトップカバー裏面の部位に形成した上部リングスリット内に上部リングシールを挿入し、
上部リングシールのリングシール面がローターの上部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面の外周縁部がベーンの上部横シールおよびセグメントの縦シールのそれぞれ内周側上端縁に接触し、
ローターの下部端面の半径方向端部に対向するハウジング底面の部位に形成した下部リングスリット内に下部リングシールを挿入し、
下部リングシールのリングシール面がローターの下部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面の外周縁部がベーンの下部横シールおよびセグメントの縦シールのそれぞれ内周側下端縁に接触し、
上記各シールを弾性材料で形成し、
上記各シールの背面に圧油をかけるようにしたロータリーベーン式舵取機におけるシール構造であって、
下部リングシールは、リングシール面の一箇所において、直截した切断面を有し、
切断面は、舵軸の軸心を中心とする半径に対して、下部リングシールの周方向に所定角度傾斜しており、
下部リングシールの外径公差は、下部リングシールの外径が下部リングスリットの外周面の直径よりも少なくとも所定量だけ大きいものとし、
下部リングシールの背面および内周側の側面に作動油室の油圧をかけるようにしたものである。
これによると、下部リングシールが損傷あるいは摩損して、新しい下部リングシールに交換するに際して、トップカバーを取り外し、舵軸の軸頭にローターを緊合したままで、舵軸に対して通常設けられている上下方向の可動行程(通常30〜50mm)の範囲内で舵軸と一体にロータを吊り上げ、下部リングシールの横断面高さが通常約20mmであることに鑑み、舵軸の吊り上げにより生じたローターの下部端面とハウジングの底面との間の間隙を通して、損傷あるいは摩損した下部リングシールを下部リングスリットから抜き上げることができるから、下部リングシールの切断部を拡開せしめて、作動油室の空間を通して下部リングシールをハウジングの上端開口から上方外部に取り出すことができる。
次に、逆の順序で、新しい下部リングシールを下部リングスリットに装着することができる。すなわち、新しい下部リングシールの切断部を拡開して、作動油室の空間を通して新しい下部リングシールを下部リングスリットに装着できる。かかる作業は、船を乾ドックに入渠させなくても、洋上で行うことができる。
而して、かかる下部リングシールの作動においては、下部リングシールの外径が下部リングスリットの外周面の直径よりも所定量だけ大きい公差が設けられていること、すなわち、例えば外径が680mmの下部リングシールの場合、製造公差が680+2.0 mmにされていることにより、下部リングシールを下部リングスリットに装着した初期状態において、下部リングシールの外周面と下部リングスリットの外周面との間の緊合、また、下部リングシールの切断面の緊合が確保される。また、作動油室に圧力が発生したときは、この圧油は、下部リングシールの背面と内周側の側面とに導入されるから、下部リングシールのリングシール面とローターの下部端面との間のシーリング性を高めるのみならず、下部リングシールの外周面を下部リングスリットの外周面に押し付けている面圧を増強する。
さらには、下部リングシールの切断部において、切断面は舵軸の軸心を中心とする半径に対して下部リングシールの周方向に所定角度傾斜しているため、下部リングシールの内周側の側面に作用する圧油は、下部リングシールの外周側に向く一方の切断面を内周側に向く他方の切断面に押し付けるように作用して、両切断面同士の緊合を増強する。
さらに、上述したように、従来において、上記油圧は、下部リングシールの背面のみに作用していたことにより、下部リングシールの外周面を下部リングスリットの外周面に押し付けるようには作用せず、従って、この面における油密性が増強することはなかった。これに対して、本発明では、上記油密性を増強できる。
また、下部リングシールが何らかの原因により折損した場合、上述したように、従来では、折損部が拡開することにより、折損部からの作動油の漏洩により舵取機が急激に作動不能に陥る虞れがあった。これに対して、本発明では、下部リングシールが万一折損した場合でも、下部リングシールは常に圧縮された状態で下部リングスリット内に装着されているので、万一下部リングシールが折損しても、折損部を拡開させることがなく、さらに、下部リングシールの内周面に作用する圧油が下部リングシールを外周方向に下部リングスリットの外周面へ押し付けるため、下部リングシールの折損部の緊合性が保たれるとともに、下部リングシールの外周面を下部リングスリットの外周側面に押し付けることが保たれ、舵取機が急激に作動不能に陥ることがない。
かくて、下部リングシールの外周面と下部リングスリットの外周面との間を通っての圧油の漏洩、下部リングシールの切断面を通っての圧油の漏洩、下部リングシールの外周縁部とベーンの下部横シールの内周側下端縁との間を通っての圧油の漏洩、下部リングシールの外周縁部とセグメントの縦シールの内周側下端縁との間を通っての圧油の漏洩、および、下部リングシールのリングシール面を通っての圧油の漏出は全て防止される。かつ、万一下部リングシールが折損しても、上記の圧油の漏洩および漏出は全て防がれ、舵取機が急激に作動不能に陥ることがない。
本第2発明は、所定角度は約45°であるものである。
本第3発明は、上記第1発明又は第2発明に記載のロータリーベーン式舵取機のシール構造における下部リングシールの取り替え方法であって、
トップカバーをハウジングから取り外し、
舵軸の軸頭にローターを嵌合装着したままで、舵軸の上下方向の可動行程範囲内で舵軸と一体にローターを吊り上げ、
これにより生じたローターの下部端面とハウジングの内底面との間の間隙および作動油室の空間を通じて、下部リングシールをハウジングの上方外部に取り出し、
その後、切断面を拡開せしめた新しい下部リングシールを下部リングスリットの上方に位置せしめ、
切断面同士を当接させた状態で下部リングシールを下部リングスリット内に装着し、
舵軸と一体にローターを元の位置に下ろし、
トップカバーをハウジングに取り付けるものである。
本第4発明は、切断面を拡開せしめた新しい下部リングシールを下部リングスリットの上方に位置せしめ、
下部リングシールの切断面同士を接着剤で接着し、
下部リングシールを下部リングスリット内に装着するものである。
以上のように、本発明によると、従来ロータリーベーン式舵取機のメンテナンスにおいて最大の問題とされていた、下部リングシールの取替え作業の問題を解決することができる。すなわち、損傷あるいは摩損した下部リングシールを新しい下部リングシールに取り替えるに際し、舵軸の軸頭とローターとの強固な緊合を外す必要はなく、舵軸を、舵軸に通常設けられている上下方向の可動行程量(通常30〜50mm)だけ吊り上げることにより、下部リングシールの取替え作業を行うことができる。これにより、下部リングシールの取替え作業の労力と時間を大幅に低減することができる。この作業は洋上で行うことができるため、従来避けられなかった、取替え作業のために船を乾ドックに入渠させる必要性による大きな損失をなくすることができ、かつ、かかる利便性が生まれるにもかかわらず、下部リングシールとしての性能は従来以上のものを確保できる。さらに、万一下部リングシールが折損しても、従来と違って、舵取機が急激に作動不能に陥ることがない。
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
なお、先に図8〜図12において説明した従来のものと基本的に同様の作用を行う部材については、同一番号を付して説明を省略する。
図1〜図4に示すように、ハウジング1の、ローター2の下部端面の半径方向端部に対向する部位に形成した下部リングスリット1e内に、環状の下部リングシール11を保持する。尚、下部リングスリット1eの設計外径寸法が例えば680mmである場合、下部リングスリット1eの製造外径公差を680 −0.1mmとしている。
図1〜図4は、下部リングシール11とハウジンク1のセグメント1bの縦シール1dとが当接する部位のみを拡大して示したものであり、リングシール面11aがローター2の下部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面11aの外周縁部11bがゼグメント1bの縦シール1dの内周側下端縁1j(図1〜図2参照)とにそれぞれ接触している。
下部リングシール11の横断面形状については、リングシール面11aの背面11cの外周側に環状の外周リングスカート11dを、また、内周側に環状の内周リングスカート11eを突設する。自由状態においては、外周および内周リングスカート11d、11eの先端部は、それぞれ外周方向および内周方向に僅かに突出し、かつ、リングシール面11aと外周および内周リングスカート11d、11eのそれぞれ底面との間の寸法は、下部リングスリット1eの深さよりも僅かに長いものになっている。
図4に示すように、下部リングシール11は、リングシール面11aの一箇所において、直截した一対の切断面11f,11gを有する。これら両切断面11f,11gは、舵軸7の軸心7bを中心とする半径Rに対して、下部リングシール11の周方向に45°(所定角度θの一例)傾斜している。尚、所定角度θは45°に限定されるものではなく、約45°または45°以外の角度であってもよい。
下部リングシール11の製造される外径公差は、下部リングシール11の外径が下部リングスリット1eの外周面の直径よりも少なくとも所定量だけ大きいものになっている。すなわち、下部リングシール11の設計外径寸法が例えば680mmである場合、下部リングシール11の製造外径公差を680+2.0 mmとする。尚、この場合、上記公差0〜+2.0mmが請求項1における所定量に該当する。ここでは、所定量の一例として公差0〜+2.0mmに設定しているが、この数値に限定されるものではない。
ハウジング1の内底面に、ハウジンク1のセグメント1bの縦シール1dの背面1kと下部リングスリット1eの底面の幅方向ほぼ中央部とを連通する油孔12を穿孔し、さらに、下部リングスリット1eの底面に油孔12の開口部と連通する半径方向の横溝13を設け、また、下部リングスリット1eの内周側の側面に、横溝13に連通して底部から頂部まで貫通する縦溝14を設ける。横溝13および縦溝14は、全周にわたって所定数だけ設ける。下部リングスリット1eの内周側の側面の上部に各縦溝14を円周方向に連通するように環状溝15を設ける。なお、縦溝14の頂部がハウジング1の内底面とローター2の下部端面との間に存在する微小な環状の間隙に通じるが、この間隙に入った圧油は、ローター2の下部軸部2aの下端部に設けたグランドシール8(一例として図8に示したOリング)によって外部への漏出が避けられる。
なお、図示は省略するが、下部リングシール11のリングシール面11aの外周縁部11bは、ローター2のベーン2dの下部横シール2hの内周側下端縁2m(図8参照)とも接触している。
以下、上記した構成における作用を説明する。
下部リングシール11をハウジング1の内底面の下部リングスリット1e内に装着した初期状態においては、下部リングシール11の上記した製造公差により、下部リングシール11の外周側の側面は、下部リングスリット1eの外周側の側面に対して、面圧なく当接するか、あるいは、下部リングシール11が周方向に若干圧縮変形することによる反発力に相当する面圧をもって当接する。このとき、下部リングシール11の外周および内周リングスカート11d、11eは、外周リングスカート11dは内周方向に、また、内周リングスカート11eは外周方向にそれぞれ僅かに圧縮変形して、その反発力により、外周リングスカート11dの外周下端部を下部リングスリット1eの外周側面に、また、内周リングスカート11eの内周下端部を下部リングスリット1eの内周側面に押し付けて油密性を与えるとともに、上下方向に僅かに圧縮変形して、その反発力により、リングシール面11aをローター2の下部端面に押し付ける。
また、下部リングシール11の両切断面11f,11g同士も、下部リングシール11の上記した製造公差のゆえに、面圧なく当接するか、あるいは、下部リングシール11の周方向圧縮変形による反発力に相当する面圧をもって当接する。
従って、下部リングシール11の背面11cに油圧がかからない状態、すなわち、作動油室5a、5b、5c、5dに油圧が発生していない状態においても、リングシール面11a、リングシール面11aの外周縁部11bがセグメント1bの縦シール1dの内周側下端縁1j(図1〜図2参照)と接触する部位、および、リングシール面11aの外周縁部11bがベーン2dの下部横シール2hの内周側下端縁2m(図8参照)と接触する部位におけるシーリング性が確保される。また、下部リングシール11の切断面11f,11gにおける密着性が確保される。
作動油室5a、5b、5c、5dに油圧が発生した状態においては、この圧油は、セグメント1bの縦シール1dの背面1kから、油孔12を通って、下部リングシール11の背面11cの外周および内周リングスカート11d、11eの間に入り、リングシール面11aをローター2の下部端面に押し付けて、その間のシーリング性を高めるとともに、外周リングスカート11dを下部リングスリット1eの外周面に押し付けて、外周および内周リングスカート11d、11eの間に導入された圧油が下部リングシール11の外周面との間を通って低圧側に漏洩するのを防ぐ。
この圧油はさらに、下部リングスリット1eの底面に全周にわたって所定数穿った横溝13を通って、下部リングスリット1eの内周側の側面に全周にわたって所定数穿った縦溝14に入り、さらに、下部リングスリット1eの内周側側面の上部に設けた、各縦溝14を円周方向に連通する環状溝15に入り、下部リングシール11の内周側の側面の全周を外周方向に押すように作用する。この場合、各縦溝14および環状溝15に作用する油圧による、下部リングシール11を外周方向(すなわち半径R方向の外周側)に押す力イは、高圧側となった作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)の油圧が、下部リングスリット1eの頂面から突き出ている下部リングシール11の外側面(すなわち、図3において突出量B=0.2〜0.6mm)を内周方向(すなわち半径R方向の内周側)へ押す力ロよりも遥かに大きいことから、下部リングシール11の外周面が下部リングスリット1eの外周面から離れることはない。
また、低圧側となった作動油室(5b、5dあるいは5a、5c)に対向する下部リングシール11の部位においては、各縦溝14および環状溝15に作用する油圧による、下部リングシール11を外周方向に押す力イは、そのまま下部リングシール11の外周面を下部リングスリット1eの外周面に押し付ける力として作用する。これにより、下部リングシール11の外周面が下部リングスリット1eの外周面に全周にわたって押し付けられて、高圧側となる作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)の圧油が下部リングシール11の外周側面を通って低圧側に漏洩することは防止される。
上記の下部リングシール11の内周側面に作用する油圧は、下部リングシール11の切断面11f,11gの部位において、両切断面11f,11gを密着させるように作用する。すなわち、図4(a)に示すように、下部リングシール11の切断面11f,11gの部位においても、上述したように、下部リングシール11の内周側の側面には下部リングスリットleの縦溝14および環状溝15の圧油により、下部リングシール11の内周側の側面を外周方向に押す力イが働く。
これに対して、下部リングシール11の外周側の、下部リングスリットleの頂面から突き出た外周側面(すなわち、図3においてB=0.2〜0.6mm)には、切断面11f,11gの部位に対向する作動油室(5a、5b、5cあるいは5d)が高圧側となった場合は、作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)の油圧により、下部リングシール11の外周側の側面を内周方向に押す力ロが働くが、前者による力イは後者による力ロよりも遥かに大きい。
また、下部リングシール11の切断面11f,11gの部位に対向する作動油室(5a、5b、5cあるいは5d)が低圧側となった場合は、上記の前者による力イと後者による力ロとの差はさらに拡大する。而して、この前者と後者との差力は、切断面11f,11gがどの作動油室(5a、5b、5cあるいは5d)に対向していようとも、内周側の側面から外周側に向かって押す力として作用する。
そして、切断面11f,11gは舵軸7の軸心7bを中心とする半径Rに対して下部リングシール11の周方向に45°(=θ)傾斜しているため、下部リングシール11の内周側の側面に作用する圧油は、下部リングシール11の外周側に向く一方の切断面11fを内周側に向く他方の切断面11gに押し付けるように作用して、両切断面11f,11g同士の緊合を増強する。これにより、両切断面11f,11gの密着性が増強されて、下部リングシール11の内周側面に作用する高圧油が両切断面11f,11g間の隙間を通って低圧側となる作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)に漏洩することは防止される。
尚、参考までに、以下(1)(2)において切断面11f,11gに作用する力についての詳細な説明を記載する。
(1)図5に示すように、切断面11f,11gが対向する作動油室(例えば5d)が高圧側となった場合、切断面11f,11gに作用する力は以下のようになる。
・リングシール11の内周側からの力イ(=Ph×Ai)により、切断面11f,11gに直角に作用する力Fiは、Fi=Ph×Ai×sinθとなる。
・高圧側の作動油室5aからの力ロ(=Ph×Ac)により、切断面11f,11gに直角に作用する力Fcは、Fc=Ph×Ac×sinθとなる。
ここで、上記Phは高圧側の作動油室内の圧力、Aiはリングシール11の内周面の面積、Acはリングシール11の外側面の突出した部分Bの面積である。尚、面積Aiは面積Acよりも遥かに大きい(Ai>Ac)。また、θは、舵軸7の軸心7bを中心とする半径Rに対する、下部リングシール11の周方向への切断面11f,11gの傾斜角度である。この傾斜角度θは一例として45°に設定されている。
・リングシール11のリングスリットleの外周側面からの反力により、切断面11f,11gに直角に作用する力Frは、Fr=Fi−Fcとなる。
ここで、上記のように面積Aiは面積Acよりも遥かに大きいため、上記力Fcは力Fiに比べて無視できるほど小さな値となり、Fr≒Fiとみなすことができる。これにより、切断面11f,11gは、Fr(≒Fi)の力で互いに押し合い、密着する。
(2)図6に示すように、切断面11f,11gが対向する作動油室5dが低圧側となった場合、切断面11f,11gに作用する力は以下のようになる。
・リングシール11の内周側からの力イ(=Ph×Ai)により、切断面11f,11gに直角に作用する力Fiは、Fi=Ph×Ai×sinθとなる。
・低圧側の作動油室5aからの力ロ(=Pl×Ac)により、切断面11f,11gに直角に作用する力Fcは、Fc=Pl×Ac×sinθとなる。
ここで、上記Plは低圧側の作動油室内の圧力である。
・リングシール11のリングスリットleの外周側面からの反力により、切断面11f,11gに直角に作用する力Frは、Fr=Fi−Fcとなる。
ここで、上記のように面積Aiは面積Acよりも遥かに大きく、さらに、圧力Plは圧力Phよりも低圧であるため、上記力Fcは力Fiに比べて無視できるほど小さな値となり、Fr≒Fiとみなすことができる。これにより、切断面11f,11gは、Fr(≒Fi)の力で互いに押し合い、密着する。(このときは、リングスリットleの外周側面からの反力は、上記(1)の場合よりも大きくなっている。)
すなわち、切断面11f,11gは、切断面11f,11gが対向する作動油室(例えば5d)が高圧側となったときでも低圧側となったときでも、同じく十分な押し付け力でもって密着する。
尚、上記(1)(2)の説明で示した式および内容は単純化したモデルに対応するものであり、実際には、リングシール11はゴム等の弾性材料でできているため、複雑な式になる。また、上記(1)(2)では、切断面11f,11gが作動油室5dに対向している場合について説明したが、切断面11f,11gがその他の作動油室5a〜5cに対向している場合についても同様である。
尚、下部リングシール11は、外径が正側の製造公差をもつことにより、下部リングスリット1e内に装着するとき、圧縮変形を受けており、そして、舵取機が作動に入って温度が上昇すると、熱膨張による周方向の伸びにより、さらに圧縮変形を受ける。例えば、下部リングシール11の外径が680mmであって、製造公差が680+2.0 mmであり、50℃の温度上昇を伴う作動による約1%の線膨張があるとすれば、下部リングシール11の周方向の圧縮量は、公差による圧縮が約6mm、温度上昇による圧縮が約21mm、計約27mmの圧縮を受けることになる。この圧縮量は、下部リングシール11の外周長さ約2100mmに対して約1.2%であり、下部リングシール11が下部リングスリット1e内で十分圧縮変形できる程度のものである。この圧縮による反発力は、下部リングシール11の外周側面と下部リングスリット1eの外周側面との間の密着性、すなわちシーリング性を増強するように作用する。他方、下部リングシール11の下部リングスリット1e内での、上記圧縮による変形は、下部リングシール11の外周側面を下部リングスリット1eの外周側面に対して波状に接触させ、局部的にシーリング性を低下させる可能性があるが、本発明の実施の形態においては、下部リングシール11の内周側面に、縦溝14および環状溝15により、全周にわたって高圧の作動油が作用し、下部リングシール11の外周側面を下部リングスリット1eの外周側面に押し付けるので、上述した波状の変形を生じることはなく、高いシーリング性を確保できる。
下部リングシール11が損傷あるいは摩損して新しいものに取り替える場合、トップカバー3を取り外し、図7に示すように、舵軸7の軸頭7a(図示省略)にローター2を緊合したままで、舵軸7に通常設けられている上下方向の可動行程の範囲(30〜50mm)内で舵軸7と一体にローター2を吊り上げ、これにより生じたローター2の下部端面とハウジング1の内底面との間の間隙Sを通して下部リングシール11を下部リングスリット1eから抜き上げ、下部リングシール11の両切断面11f,11gを拡開せしめ、作動油室5a、5b、5c、5dの空間を通して下部リングシール11をハウジング1の上部開口から上方外部に取り出すことができる。
そして、新しい下部リングシール11は、上記と逆の手順で、下部リングスリット1eに装着できる。すなわち、新しい下部リングシール11の両切断面11f,11gを拡開せしめ、作動油室5a、5b、5c、5dの空間、および、ローター2の下部端面とハウジング1の内底面との間の間隙Sを通して、新しい下部リングシール11を下部リングスリット1eに装着し、しかる後に、舵軸7すなわちローター2を元の位置に吊り下げ、トップカバー3を取り付けて作業を完了する。
かかる作業は、洋上で行うことができる。そのため、下部リングシールの取替えに際して従来避けられなかったところの、舵軸とローターとを分離し、舵軸を支承して下部リングシールの取替え作業を可能にするために船を乾ドックに入渠させねばならないという必要性はなくなる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
下部リングシール11が損傷あるいは摩損して新しいものに取り替える場合、トップカバー3を取り外し、図7に示すように、舵軸7の軸頭7a(図示省略)にローター2を緊合したままで、舵軸7に通常設けられている上下方向の可動行程の範囲(30〜50mm)内で舵軸7と一体にローター2を吊り上げ、先述した第1の実施の形態と同様にして、損傷又は摩損した下部リングシール11をハウジング1の上方外部に取り出す。
その後、先述した第1の実施の形態と同様にして、ローター2の下部端面とハウジング1の内底面との間の間隙Sを通して新しい下部リングシール11を下部リングスリットle内に装着する。この際、上記間隙Sおよび作動油室5a〜5dの空間において接着作業が可能である場合は、下部リングシール11の両切断面11f,11gを接着剤で接着することもできる。
すなわち、新しい下部リングシール11の両切断面11f,11gを拡開せしめ、作動油室5a、5b、5c、5dの空間、および、ローター2の下部端面とハウジング1の内底面との間の間隙Sを通して新しい下部リングシール11を下部リングスリットleの上方に位置せしめ、下部リングシール11の両切断面11f,11g同士を接着剤で接着し、しかる後に、新しい下部リングシール11を下部リングスリットle内に装着する。
かかる作業は、同じく、洋上で行うことができるため、下部リングシールの取替えに際して従来避けられなかったところの、舵軸とローターとを分離し、舵軸を支承して下部リングシールを取替えるという作業を可能にするために船を乾ドックに入渠させねばならないという必要性はなくなる。
もしも切断面が、本実施の形態におけるような、舵軸7の軸心7bを中心とする半径Rに対して下部リングシール11の周方向に45°傾斜した切断面11f,11g(図4参照)ではなく、舵軸7の軸心7bを中心とする半径Rの方向の切断面であるとすれば、作動中にもしも接着剤が剥離した場合、下部リングシール11に作用する上述の作動油圧は両切断面11f,11gの拡開を妨げるようには作用せず、従って、両切断面11f,11gの拡開による作動油の漏洩を生じてしまう。
これに対して、本実施の形態においては、図4(a)に示すように、両切断面11f,11gが舵軸7の軸心7bを中心とする半径Rに対して下部リングシール11の周方向に45°(=θ)傾斜しているため、両切断面11f,11g同士を接着剤で接着した構成においても、前述したように、一方の切断面11fが他方の切断面11gに常に押し付けられるように力が作用しているため、仮に接着剤が剥離しても、両切断面11f,11g同士の密着性は確保される。これにより、下部リングシール11の内周側面に作用する高圧油が両切断面11f,11g間の隙間を通って低圧側となる作動油室(5a、5cあるいは5b、5d)に漏洩することは防止される。
上記した以外の作用と効果は、先に説明した、第1の実施の形態のものと同じである。
また、上記第2の実施の形態では、下部リングシール11の両切断面11f,11g同士を接着剤で接着しているが、上記間隙Sおよび作動油室5a〜5dの空間が狭くて接着作業が十分に行えない場合には、上記両切断面11f,11g同士を接着しなくてもよい。
尚、上記各実施の形態において記載した下部リングシール11の外径や公差、切断面11f,11gの傾斜角度θなどの具体的な数値は一例であって、各数値に限定されるものではない。
本発明の実施の形態におけるロータリーベーン式舵取機のシール構造の全体構成を示す図で、図2におけるa−a矢視断面図である。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造の全体構成を示す図で、図1におけるb−b矢視断面図である。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造の下部リングシールを示す図で、図1におけるc−c矢視断面図である。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造の下部リングシールの切断部分の平面図であり、(a)は下部リングシールを装着した状態、(b)は下部リングシールの切断面同士を拡開した状態を示す。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造の下部リングシールの切断面に作用する力を説明する図であり、切断面が対向する作動油室が高圧側となった場合を示す。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造の下部リングシールの切断面に作用する力を説明する図であり、切断面が対向する作動油室が低圧側となった場合を示す。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造において、下部リングシールの交換時の、図2の状態からの全体構成の変移を示す図であり、可動行程の範囲内で舵軸と一体にローターを吊り上げた状態を示す。 従来のロータリーベーン式舵取機を示す全体縦断面図であり、図10におけるd−d矢視縦断面である。 同、ロータリーベーン式舵取機を示す一部切欠斜視図である。 同、ロータリーベーン式舵取機の全体水平断面図である。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造に用いられるロータリーベーン用の横シールと縦シール、および、ハウジングセグメント用の縦シールの横断面図である。 同、ロータリーベーン式舵取機のシール構造に用いられる上部および下部リングシールの横断面図である。
符号の説明
1 ハウジング
1b セグメント
1c 縦スリット
1d 縦シール
1e 下部リングスリット
1h 縦シールの内周側上端縁
1j 縦シールの内周側下端縁
1k 縦シールの背面
2 ローター
2d ベーン
2e 上部横スリット
2f 上部横シール
2g 下部横スリット
2h 下部横シール
2i 縦スリット
2j 縦シール
2k 上部横シールの内周側上端縁
2m 下部横シールの内周側下端縁
2n 上部横シールの背面
2o 下部横シールの背面
2p 縦シールの背面
3 トップカバー
3a 上部リングスリット
3b 上部リングシール
3c 上部リングシールのリングシール面
3d 上部リングシールの外周縁部
3e 上部リングシールの背面
5 油室用空間
5a、5b、5c、5d 作動油室
7 舵軸
7b 軸心
11 下部リングシール
11a 下部リングシールのリングシール面
11b 下部リングシールの外周縁部
11c 下部リングシールの背面
11f,11g 下部リングシールの切断面
R 半径
S 間隙
θ 所定角度

Claims (4)

  1. 舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のトップカバーとを有し、
    ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーンを配置し、
    ハウジングの内周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、
    ベーンとセグメントとによって上記油室用空間を複数の作動油室に区画し、
    ローターの各ベーンに、トップカバーの裏面およびハウジングの内周面と内底面とにそれぞれ対向するように、その上下両端面と半径方向先端面とにそれぞれ上部および下部横スリットと縦スリットを形成し、
    縦スリットに、ハウジングの内周面に摺接する縦シールを挿入し、
    上部横スリットに、トップカバーの裏面に摺接する上部横シールを挿入し、
    下部横スリットに、ハウジングの内底面に摺接する下部横シールを挿入し、
    セグメントに、ローターの外周面に対向するように縦スリットを形成し、
    縦スリットに、ローターの外周面に摺接する縦シールを挿入し、
    ローターの上部端面の半径方向端部に対向するトップカバー裏面の部位に形成した上部リングスリット内に上部リングシールを挿入し、
    上部リングシールのリングシール面がローターの上部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面の外周縁部がベーンの上部横シールおよびセグメントの縦シールのそれぞれ内周側上端縁に接触し、
    ローターの下部端面の半径方向端部に対向するハウジング底面の部位に形成した下部リングスリット内に下部リングシールを挿入し、
    下部リングシールのリングシール面がローターの下部端面の半径方向端部の面と接触するとともに、リングシール面の外周縁部がベーンの下部横シールおよびセグメントの縦シールのそれぞれ内周側下端縁に接触し、
    上記各シールを弾性材料で形成し、
    上記各シールの背面に圧油をかけるようにしたロータリーベーン式舵取機におけるシール構造であって、
    下部リングシールは、リングシール面の一箇所において、直截した切断面を有し、
    切断面は、舵軸の軸心を中心とする半径に対して、下部リングシールの周方向に所定角度傾斜しており、
    下部リングシールの外径公差は、下部リングシールの外径が下部リングスリットの外周面の直径よりも少なくとも所定量だけ大きいものとし、
    下部リングシールの背面および内周側の側面に作動油室の油圧をかけるようにしたことを特徴とするロータリーベーン式舵取機のシール構造。
  2. 所定角度は約45°であることを特徴とする請求項1記載のロータリーベーン式舵取機のシール構造。
  3. 上記請求項1又は請求項2に記載のロータリーベーン式舵取機のシール構造における下部リングシールの取り替え方法であって、
    トップカバーをハウジングから取り外し、
    舵軸の軸頭にローターを嵌合装着したままで、舵軸の上下方向の可動行程範囲内で舵軸と一体にローターを吊り上げ、
    これにより生じたローターの下部端面とハウジングの内底面との間の間隙および作動油室の空間を通じて、下部リングシールをハウジングの上方外部に取り出し、
    その後、切断面を拡開せしめた新しい下部リングシールを下部リングスリットの上方に位置せしめ、
    切断面同士を当接させた状態で下部リングシールを下部リングスリット内に装着し、
    舵軸と一体にローターを元の位置に下ろし、
    トップカバーをハウジングに取り付けることを特徴とするロータリーベーン式舵取機のシール構造の下部リングシールの取り替え方法。
  4. 切断面を拡開せしめた新しい下部リングシールを下部リングスリットの上方に位置せしめ、
    下部リングシールの切断面同士を接着剤で接着し、
    下部リングシールを下部リングスリット内に装着することを特徴とする請求項3記載のロータリーベーン式舵取機のシール構造の下部リングシールの取り替え方法。
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