JP2001132851A - 高分子材料のシールを採用したシールに背圧をかけないロータリーベーン式舵取機のシール構造 - Google Patents

高分子材料のシールを採用したシールに背圧をかけないロータリーベーン式舵取機のシール構造

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JP2001132851A
JP2001132851A JP31615399A JP31615399A JP2001132851A JP 2001132851 A JP2001132851 A JP 2001132851A JP 31615399 A JP31615399 A JP 31615399A JP 31615399 A JP31615399 A JP 31615399A JP 2001132851 A JP2001132851 A JP 2001132851A
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Japan
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ring
seal
oil
rotor
ring seal
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English (en)
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Takayuki Wakabayashi
喬之 若林
Takashi Morimoto
孝 森本
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Japan Hamworthy and Co Ltd
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Japan Hamworthy and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リングシール材の背面に圧油をかけることを
廃した、リングシール材の損傷を防止できる、信頼性の
高い高分子材料のシールを採用したロータリーベーン式
舵取機のシール構造を提供する。 【解決手段】 リングシール材11を、リング状基部1
1aと同基部から下方に2本に分岐して伸びたリング状
スカート部11bとからなる一体構造に、弾性を有する
高分子材料で成形し、リングシール材11のシール面1
1cにリング状の油溝11dを設け、リング状基部11
aに、リング状スカート部11bと環状スリット10の
底面との間に形成する空間と、油溝11dとを連通する
適当数の小さい連通孔11eを設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶の舵取機の技
術に係り、高分子材料のシールを採用したシールに背圧
をかけないロータリーベーン式舵取機のシール構造に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のロータリーベン式舵取機は、例え
ば図23〜図25に示すようなものであり、ハウジング
1と、その内部に収納するローター2とを有し、ロータ
ー2は、その下部軸部2aをハウジング1の底部に設け
たボス部1aにて、またローター2の上部軸部2bをハ
ウジング1の上部開口に配置する環状のカバー3にて、
それぞれ支持されている。
【0003】下部軸部2aにはラジアル軸受部材4aと
スラスト軸受部材4bを、また上部軸部2bにはラジア
ル軸受部材4cをそれぞれ介在せしめることにより、ロ
ーター2は、半径方向、軸方向に荷重のかかった状態
で、船体に固定されたハウジング1の内部で回動自在と
されている。舵軸(図示省略)を内部貫通孔2cに嵌合
固定したローター2は、外周面の周方向に沿った等間隔
の位置に複数のベーン5を突設している。他方、ハウジ
ング1は、内周面の周方向に沿った等間隔の位置に、上
記ベーンと同数のセグメント6を突設している。
【0004】ローターの上記ベーン5には、上下の端面
にそれぞれ横シール材5aを、また、半径方向の先端の
縁部に縦シール材5bをそれぞれスリット5c、5d内
に保持せしめている。また、ハウジングの上記セグメン
ト6には、半径方向の先端の縁部に縦シール材6aをス
リット6b内に保持せしめている。ローター2がハウジ
ング1内で回転するとき、上下端面に横シール材5a、
および半径方向の縁部に縦シール材5bを装着したロー
ターのベーン5と、半径方向の縁部に縦シール材6aを
装着したハウジングのセグメント6との間に油室7a、
7b、7c、7dが形成される。かつ、これら油室から
圧油が、ローター2の上部端面2dとカバー3との間の
微小な間隙、およびローター2の下部端面2eとハウジ
ング1との間の微小な間隙を通って、隣接する油室に、
および大気に通ずるローター軸部2a、2bにそれぞれ
漏洩するのを防ぐために、以下の構成を設けている。
【0005】つまり、ローター2の上部端面2dに対向
するカバー3の部位には、環状の上部リングシール材8
aを、その外側周縁部がローターのベーンの横シール材
5aの内周側下端縁5e、およびハウジングのセグメン
トの縦シール材6aの内周側下端縁6cとそれぞれ接触
する位置に、スリット8b内に保持せしめている。ま
た、ローターの下部端面2eに対向するハウジング1の
底部の部位には、環状の下部リングシール材8cを、そ
の外側周縁部がローターのベーンの横シール材5aの端
部、およびハウジングのセグメントの縦シール材6aの
端部と接触する位置に、スリット8d内に保持せしめて
いる。
【0006】ローター2の回転軸を介して対称の位置に
ある油室7aと7c、および油室7bと7dは、それぞ
れ連通しており、例えば油室7aに油圧ポンプから圧油
が供給されると、対称の位置にある油室7cにも同時に
圧油が供給され、一方、他の油室7bおよび7dからは
同時に油が排出され、油圧ポンプ側に戻される。かく
て、圧油によるローター2の回転が成立する。
【0007】形成される油室7a、7b、7c、7dに
おいて、油密を確保するために、接触摺動する箇所であ
るローターのベーン5の上下の横シール材5aと半径方
向縁部の縦シール材5b、およびハウジングのセグメン
ト6の半径方向縁部の縦シール材6a、および上下のリ
ングシール材8a、8cの各背面には、以下の構成を設
けている。
【0008】つまり、横および縦シール材に関してはス
リット5c、5d、6bを油路として、また、上下部リ
ングシール材に関してはそれら油路に連通する油孔3
a、1bを穿孔して、スリット8b、8dの背面に至る
油路となし、圧力側となっている油室から圧油を導き、
各シール材を摺動面に油圧で押し付け、油密を維持して
いる。
【0009】これは、油室に作用する油圧が高くなるほ
ど、油室から漏洩する量が多くなろうとするが、他方、
シール材を背面から摺動面に押し付ける力も大きくなる
ので、漏洩量は多くならずに済むというものである。な
お、ローター2には、上部リングシール材8aの位置よ
り内側のローター下面と下部リングシール材8cの位置
より内側のローター上面とを連通するバランス孔2fを
設けており、もし上下リングシール材8a、8cから圧
油が漏洩した場合、この漏洩油によるローター上下の面
に作用する圧力が上下方向にバランスするようになって
いる。これにより、ローター2に軸方向に差圧による不
均等な力が発生するのを防いでいる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の構成に
おいては、上下リングシール材8a、8cは、それぞれ
背面に圧油が導かれ、シール面がそれぞれ対向する面
(ローターの上部端面および下部端面)に押し付けられ
て摺動するようになっており、その押し付け力は、作動
油圧が高くなるほど、それに比例して強くなる。
【0011】而して、リングシール材8a、8cのシー
ル面の外周側は常に油(高圧あるいは大気圧に近い低
圧)に曝されているものの、内周側は、漏洩油が存在す
るときにのみ、油に曝されることになり、しかも大気圧
に近い低圧である。このような状態において、もしリン
グシール材8a、8cの外周側から内周側への油の漏洩
が全く無いか、あるいは、あっても極く微量である場合
は、シール面が圧油によって対向面に強く押し付けられ
て摺動することにより、内周側の接触面が潤滑切れとな
って、リングシール材を損傷する可能性があった。
【0012】しかも、背面に圧油を導いているので、作
動油圧が高くなるほど、それに比例してシール面を強く
押し付けることになるので、潤滑切れをより生じ易いと
いう問題があった。また、ローターの下部端面2eとリ
ングシール材8a、8cのシール面との間に不必要な摩
擦損失を生ずるという問題があり、更に、背面に圧油が
かけられることでリングシール材8a、8cは変形を生
じ、その変形がローターベーンの横シール材5aの内周
側下端縁5e、およびハウジングのセグメントの縦シー
ル材6aの内周側下端縁6cとの接触部に強い干渉を生
ぜしめ、その摩擦により、リングシール材8a、8c、
横シール材5a、縦シール材6aを破損に至らしめる可
能性があった。かかる作用により、リングシール材の内
部に不当な繰返し応力を生じ、遂には疲労破断に至る可
能性があった。リングシール材がこのように破断してし
まうと、リングシール材の背面に導かれていた油室の圧
油がリングシール材の破断部から抜けてしまうので、油
室そのものが機能を失い、舵取機が作動不能になる危険
性があった。
【0013】また、上下リングシール材8a、8cの背
面に圧油を導くための油孔3a、1bの穿孔など、加工
コストが高くなるという問題があった。他方、ローター
2には、その自重のほか、舵軸および舵本体の重量が加
わった軸方向荷重が作用しているため、通常の作動状態
では、ローター2の下部端面2eはハウジング1の内面
底部(スラスト軸受部材4b)に常に押し付けられてお
り、従って、下部リングシール材8cのシール面とロー
ター2の下部端面との間の接触は常に維持される。
【0014】しかし、上部リングシール材8aにおいて
は、そのシール面とローター2の上部端面との間の接触
が十分に確保されない可能性が存在する。そのために、
上部リングシール材8aについては、十分な接触を確保
するために、好ましいことではないが、背面から圧油を
かけて押し付けることがどうしても必要となっている。
【0015】また、ロータリーベーン式舵取機の構造
上、上部リングシール材8aについては、ハウジングの
カバー3を上方に取り外すだけで、その点検および損傷
時の取替えが容易に行えるが、下部リングシール材8c
については、それがローター2の下面に対向するので、
点検または交換は、舵取機を分解し、ローター2を取り
外して行うことが必要となり、従って、洋上での作業は
できず、船をドックに入れて行わねばならず、作業に多
大の時間と手数と費用がかかるという問題がある。
【0016】本発明は、上記した諸問題に鑑み、少なく
とも下部リングシール材8cについては背面に圧油をか
ける構成にしなくても済むように、かつ、少なくとも船
の定期入渠まではそれを交換しなくても済むようにする
もので、リングシール材の損傷を防止した信頼性の高い
高分子材料のシールを採用したシールに背圧をかけない
ロータリーベーン式舵取機のシール構造を提供すること
を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の高分子材料のシールを採用したシールに背
圧をかけないロータリーベーン式舵取機のシール構造
は、舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納し
てローターの周囲に油室用空間を形成するハウジング
と、ハウジングの上部開口に配置する環状のカバーとを
有し、ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置
に複数のベーンを配置し、ハウジングの内周面の周方向
に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、ベ
ーンとセグメントによって前記油室用空間を複数の油室
に区画するロータリーベーン式舵取機において、ベーン
の上下の端面に形成した横スリットに、ハウジングの底
面およびカバーの下面に摺接する横シール材を配置し、
ベーンの先端の縁部に形成した縦スリットにハウジング
の内周面に摺接する縦シール材を配置し、セグメントの
先端の縁部に形成した縦スリットにローターの外周面に
摺接する縦シール材を配置し、ハウジングの底面および
カバーの下面に形成し、かつ、油圧源に連通するいかな
る油路もその底面に開口しない環状スリットにリングシ
ール材を配置するとともに、リングシール材を横シール
材およびセグメントの縦シール材に縁部を重ねて配置
し、リングシール材を、リング状基部と同基部から下方
に2本に分岐して伸びたリング状スカート部とからなる
一体構造に、弾性を有する高分子材料で成形し、リング
シール材のシール面にリング状の油溝を設け、リング状
基部に、リング状スカート部と環状スリットの底面との
間に形成する空間と、油溝とを連通する適当数の小さい
連通孔を設けたもの、あるいは、リングシール材を、リ
ング状基部と同基部から内周方向に向かって上下に2本
に分岐して伸びたリング状リップ部とからなる一体構造
に、弾性を有する高分子材料で成形し、リングシール材
のリング状基部により形成される副シール面とリング状
リップ部により形成される主シール面の境界部にリング
状の油溝を設けたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本実施の形態は先に図23〜図2
5において説明したものと基本的に同様であり、同様の
作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省
略する。 (実施例1)図1〜図4に示すように、ハウジング1の
ボス部1aの表面に、断面形状が方形の環状スリット1
0を形成する。
【0019】このスリットに配置する下部リングシール
材11は、リング状基部11aと、同基部から下方に2
本に分岐して伸びたリング状スカート部11bとからな
る一体構造であり、弾性を有する高分子材料で成形され
る。リング状基部11aの半径方向の幅Aは、環状スリ
ット10の幅(内周側側面と外周側側面との間の距離)
と同じにするが、リング状スカート部11bは、その半
径方向の幅Bが、下端部において環状スリット10の幅
よりも大きくなるように、即ち、リング状スカート部1
1bの内周側は内側に、また外周側は外側にそれぞれ角
度αで張り出すように傾斜して成形する。
【0020】かつ、最初にリングシール材11をスリッ
ト10に装着したあと、ローター2をその上に乗せたと
きに、リングシール材11が主としてスカート部11b
の形状変化と弾性圧縮とによってスリット10内に圧縮
収容され、シール面11cがローター下部端面2eと適
切な面圧をもって接することになるように、リングシー
ル材11の高さHを定める。
【0021】かつ、リングシール材のシール面11cに
は、リング状の油溝11dを設ける。これにより、油室
7a、7b、7c、7dから漏洩した油がこの油溝11
dに蓄積されることになり、以ってシール面11cの内
周側の面にも油が適当に波及して潤滑が確保される。な
お、リングシール材11がスリット10に圧縮収容され
ることに伴って、2本のリング状スカート部11bとス
リット10との間に密閉空間が形成されるのを防ぐため
に、スカート部11bの基部とシール面11cの油溝1
1dとの間に適当数の小さい連通孔11eを設ける。シ
ール面11cにおいて、もし高圧の油洩れがあったとき
は、油溝11dの油圧の上昇は、連通孔11eを通し
て、2本のスカート部11bの間の空間の油の圧力を高
めるので、リングシール材のシール面11cとローター
下部端面2eとの接触圧が高められ、漏洩を抑制する。
【0022】弾性を有するリングシール材の両スカート
部11bを中央側に寄せつつ、リングシール材11を、
ハウジング1(ボス部1a)の環状スリット10内に、
スカート部11bの端部がスリット10の底に達するま
で押し入れる。その状態においては、リングシール材の
シール面11cは、ハウジング1(ボス部1a)の表面
よりも、(より正確に言えば、スラスト軸受部材4bの
表面よりも)僅かに突出した位置にある。
【0023】この初期装着状態において、ローター2を
スラスト軸受部材4bの上に乗せると、僅かに突出して
いたリングシール材シール面11cは、ローターの下部
端面2eによって、リングシール材11の主としてスカ
ート部11bが圧縮変形されることにより、下方に押し
下げられる。リングシール材11の上方向の圧縮変形反
発力によって、リングシール材のシール面11cは、ロ
ーターの下部端面2eに対向して、適度の接触圧をもっ
て摺動し得る状態になる。また、この圧縮変形は同時
に、リングシール材11の基部11aおよび両スカート
部11bの外表面と環状スリット10の表面との接触を
緊密にするので、油室7a、7b、7c、7d内の圧油
が環状スリット10の溝部を通って外部に漏洩するのが
防止される。
【0024】この下部リングシール材11は、図4に示
すように、油室7a、7b、7cあるいは7d内の圧油
がローター2の下部端面2eを通って軸側に抜けないよ
うにシール性を保つ機能を持つ以外にも、次のシール機
能を発揮する。即ち、先ず、高圧側の油室、例えば7a
と7cから圧油が、ハウジング1のセグメント6の縦シ
ール材6aの内周側下端縁6cを通って低圧側の油室7
bと7dに漏洩することに対しては、図1に示すよう
に、下部リングシール材11のシール面11cの外周側
の縁11fが縦シール材6aの内周側下端縁6cと接触
していることによって漏洩が防止される。
【0025】この際、縦シール材6aには、その背面に
油室7a、7cから導かれた圧油がかけられているの
で、作動油圧が高くなるほど、つまり、油室7a、7c
から油室7b、7dに圧油が漏洩し易くなるほど、縦シ
ール材6a内周側下端縁6cとリングシール材11シー
ル面11c外周側縁11fとの接触がより緊密になっ
て、漏洩防止する機能がより強くなる。
【0026】次に、高圧側の油室、例えば7aと7cか
ら圧油が、ローターのベーン5の横シール材5aの内周
側下端縁5eを通って低圧側の油室7bと7dに漏洩す
ることに対しては、図3に示すように、下部リングシー
ル材11のシール面11cの外周側の縁11fが横シー
ル材5aの内周側下端縁5eと接触していることによっ
て漏洩が防止される。この際、横シール材5aには、そ
の背面に油室7a、7cから導かれた圧油がかけられて
いるので、作動油圧が高くなるほど、つまり、油室7
a、7cから油室7b、7dに圧油が漏洩し易くなるほ
ど、横シール材5a内周側下端縁5eとリングシール材
11シール面11c外周側縁11fとの接触がより緊密
になって、漏洩防止する機能がより強くなる。
【0027】なお、以上述べた実施例1の下部リングシ
ール材11の構成は、上部リングシール材にも、条件を
適切に設定することにより、適用が可能であり、従来の
上部リングシール材8aの、背面に圧油をかける構成を
廃することができる。即ち、上部リングシール材の構成
を下部リングシール材11の構成と同様にするが、ただ
し、スラスト軸受部材4bの摩耗によるローター2の上
部端面2dの下降量を予め推定して、ガハー3を装着す
る前の上部リングシール材のシール面の初期突出量を適
切に選定することにより、スラスト軸受部材4bが摩耗
しても、上部リングシール材のシール面とローター2の
上部端面2dとの接触圧力が許容される範囲内に収まる
ようにする。 (実施例2)図5〜図8に示すように、ハウジング1の
ボス部1aの表面に、ほぼ逆台形状の環状スリット20
を形成する。環状スリット20の断面形状において、両
側面は、表面から適当な深さの点までの部分mは等間隔
であるが、それ以下の部分nは、下方になるほど間隔が
狭くなるように、中心側に角度βだけ傾斜した面となっ
ている。
【0028】このスリットに配置する下部リングシール
材21は、断面が方形のリング状基部21aと、同基部
から下方に2本に分岐して伸びたリング状スカート部2
1bとからなる一体構造であり、弾性を有する高分子材
料で成形される。リング状基部21aの半径方向の幅a
は、環状スリット20の部分mの幅(内周側の側面と外
周側の側面との間の距離)と同じであり、両リング状ス
カート部21bの外側の面は、環状スリット20の部分
nの面の傾斜βよりも僅かに少ない傾斜γをもつように
成形する。
【0029】かつ、最初にリングシール材21をスリッ
ト20に装着したあと、ローター2をその上に乗せたと
きに、リングシール材21が主としてスカート部21b
の形状変化と弾性圧縮とによってスリット20内に圧縮
収容され、シール面21cがローター下部端面2eと適
切な面圧をもって接することになるように、リングシー
ル材21の高さhを定める。
【0030】かつ、リングシール材21のシール面21
cには、リング状の油溝21dを設ける。これにより、
油室7a、7b、7c、7dから漏洩した油がこの油溝
21dに蓄積されることになり、以ってシール面21c
の内周側の面にも油が適当に波及して潤滑が確保され
る。なお、リングシール材21がスリット20に圧縮収
容されることに伴って、2本のリング状スカート部21
bとスリット20との間に密閉空間が形成されるのを防
ぐために、スカート部21bの基部とシール面21cの
油溝21dとの間に適当数の小さい連通孔21eを設け
る。シール面21cにおいて、もし高圧の油洩れがあっ
たときは、油溝21dの油圧の上昇は、連通孔21eを
通して、2本のスカート部21bの間の空間の圧力を高
めるので、リングシール材のシール面21cとローター
下部端面2eとの接触圧が高められ、漏洩を抑制する。
【0031】弾性を有するリングシール材21をハウジ
ング1(ボス部1a)の環状スリット20内に、リング
シール材21のスカート部21bの下端部がスリット2
0の底に達するまで押し入れる。その際、リングシール
材21の両スカート部21bは、それが下方に進むにつ
れて、環状スリット20の部分nの傾斜βの面に沿って
内側に寄せられるように弾性変形しつつ、下降する。リ
ングシール材21がハウジング1(ボス部1a)の環状
スリット20内に押し入れられた初期装着状態において
は、リングシール材のシール面21cは、ハウジング1
(ボス部1a)の表面よりも、(より正確に言えば、ス
ラスト軸受部材4bの表面よりも)僅かに突出した位置
にある。
【0032】この初期装着状態において、ローター2を
スラスト軸受部材4bの上に乗せると、僅かに突出して
いたリングシール材のシール面21cは、ローター下部
端面2eによって、下方に押し下げられる。この押し下
げは、主としてリングシール材21の両スカート部21
bが圧縮変形されることによって受容される。リングシ
ール材21の上向きの圧縮変形反発力によって、リング
シール材のシール面21cは、ローター下部端面2eに
対向して、適度の接触圧をもって摺動し得る状態にな
る。なお、本実施例2においては、環状スリット20の
部分nが傾斜面となっているため、リングシール材21
の圧縮変形反発力の上方向のベクトルが容易に得られ
る。また、この圧縮変形は同時に、リングシール材21
の基部21aおよびスカート部21bの外表面と環状ス
リット20の表面との接触を緊密にするので、油室7
a、7b、7c、7d内の圧油が環状スリット20の溝
を通って外部に漏洩するのが防止される。
【0033】この下部リングシール材21は、図8に示
すように、油室7a、7b、7cあるいは7d内の圧油
がローター2の下部端面2eを通って軸側に抜けないよ
うにシール性を保つ機能を持つ以外にも、次のシール機
能を発揮する。即ち、先ず、高圧側の油室、例えば7a
と7cから圧油が、ハウジング1のセグメント6の縦シ
ール材6aの内周側下端縁6cを通って低圧側の油室7
bと7dに漏洩することに対しては、図5に示すよう
に、下部リングシール材21のシール面21cの外周側
の縁21fが縦シール材6aの内周側下端縁6cと接触
していることによって漏洩が防止される。この際、縦シ
ール材6aには、その背面に油室7a、7cから導かれ
た圧油がかけられているので、作動油圧が高くなるほ
ど、つまり、油室7a、7cから油室7b、7dに圧油
が漏洩し易くなるほど、縦シール材6a内周側下端縁6
cとリングシール材21シール面21c外周側縁21f
との接触がより緊密になって、漏洩防止する機能がより
強くなる。
【0034】次に、高圧側の油室、例えば7aと7cか
ら圧油が、ローターのベーン5の横シール材5aの内周
側下端縁5eを通って低圧側の油室7bと7dに漏洩す
ることに対しては、図7に示すように、下部リングシー
ル材21のシール面21cの外周側の縁21fが横シー
ル材5aの内周側下端縁5eと接触していることによっ
て漏洩が防止される。この際、横シール材5aには、そ
の背面に油室7a、7cから導かれた圧油がかけられて
いるので、作動油圧が高くなるほど、つまり、油室7
a、7cから油室7b、7dに圧油が漏洩し易くなるほ
ど、横シール材5a内周側下端縁5eとリングシール材
21シール面21c外周側縁21fとの接触がより緊密
になって、漏洩防止する機能がより強くなる。
【0035】なお、以上述べた本実施例2の下部リング
シール材21の構成は、上部リングシール材にも、条件
を適切に設定することにより、適用が可能であり、従来
の上部リングシール材8aの、背面に圧油をかける構成
を廃することができる。即ち、上部リングシール材の構
成を下部リングシール材21の構成と同様にするが、た
だし、スラスト軸受部材4bの摩耗によるローター2の
上部端面2dの下降量を予め推定して、カバー3を装着
する前の上部リングシール材のシール面の初期突出量を
適切に選定することにより、スラスト軸受部材4bが摩
耗しても、上部リングシール材のシール面とローター2
の上部端面2dとの接触圧力が許容される範囲内に収ま
るようにする。
【0036】また、高分子材料である下部リングシール
材11(あるいは21)の長年の使用により、経年弾性
劣化あるいはシール面11c(あるいは21c)の摩耗
によって、初期に与えられたリングシール材の圧縮反発
力と形状変化復元反発力のみによってはシール面11c
(あるいは21c)とローター下部端面2eとの間の必
要な接触圧力が失われるような場合が予想されるとき、
以下に説明する接触圧力増強装置を設けることができ
る。これは本実施例1、実施例2とも共通して適用でき
るので、実施例1に適用した場合について、図9に基づ
いて説明する。即ち、下部リングシール材用の環状スリ
ット10の底面にリング状リテイナー30を置く。環状
スリット10の深さは、実施例1の場合よりもリング状
リテイナー30の厚さ分だけ深くしてあるので、下部リ
ングシール材11の環状スリット10内の初期装着状態
およびローター2を乗せたときの最終装着状態は実施例
1の場合と同じである。ハウジング1のボス部1aの、
リング状リテイナー30の環状中心線上の等間隔の数点
に相当する位置に、ねじ孔をあけ、これにハウジング1
のボス部1aの下面から調節スクリュー31を螺合せし
め、この調節スクリューの先端がリング状リテイナー3
0の裏面に接触するようにする。もし、リングシール材
11の長年の使用による経年弾性劣化あるいはシール面
11cの摩耗によって、シール面11cとローター下部
端面2eとの間の接触圧力の不足を来した場合は、ハウ
ジング1の下外面に突出する調節スクリュー31のスク
リューヘッドを回転させることにより、リング状リテイ
ナー30、すなわちリングシール材11は上方に押し上
げられ、シール面11cとローター下部端面2eとの間
の必要な接触圧力を回復させることができる。
【0037】この構成は、上部リングシール材に実施例
1(あるいは実施例2)の構成を適用した場合にも適用
可能であり、図10にそれを示す。その構成と作用は、
図9に示す下部リングシール材にリング状リテイナーを
装着した場合と同様であり、対応する符号にダッシュを
付して示す。さらに、他の接触圧力増強装置として、図
9、図10における調節スクリュー31の代わりに、リ
ング状リテイナー30の裏面と環状スリット10あるい
は10′の底面との間に、適当数のバネ板を等間隔に介
在せしめることにより、もしリングシール材11あるい
は11′の長年の使用による経年弾性劣化あるいはシー
ル面11cあるいは11c′の摩耗が生じても、バネ板
の作用によって、シール面11cあるいは11c′とロ
ーター下部端面2eあるいはローター上部端面2dとの
間の接触圧力が維持されるようにすることができる。
【0038】また、製作誤差等の関係で、リングシール
材の初期装着状態におけるシール面の突出量が所定通り
にならない場合に容易にそれを調節できるようにするた
めに、環状スリット10(または20)の底面に薄板の
リング状シム材を重ねて挿入することもできる。特に、
本実施例1(または2)の構成を上部リングシール材に
も適用した場合、上部の環状スリットの底面に薄板のリ
ング状シム材を挿入することは、スラスト軸受部材4b
の摩耗によるローター2の下降により上部リングシール
シール面とローター上部端面2dとの間の接触圧力が減
じてシール効果が減少することに対する調整を容易にす
るという効果を発揮する。
【0039】(実施例3)図11−図14、および図1
5−18に示すように、下部リングシール材の半径方向
断面を直角三角形状にすることにより、リングシール材
圧縮装着後の弾性反発力の上方向ベクトルを大きくし、
シール面をローター下部端面に押し付ける接触圧力がよ
り容易に得られるようにしたものである。
【0040】図11−図14に示すものは、リングシー
ル材の半径方向断面形状において、内周側の側面を垂直
に、外周側の側面を斜面にした直角三角形状のものであ
り、また、図15−図18に示すものは、外周側の側面
を垂直に、内周側の側面を斜面にした直角三角形状のも
のである。前者の場合、図11−図14に示すように、
ハウジング1のボス部1aの表面に、半径方向断面が直
角三角形状の環状スリット40を形成する。すなわち、
環状スリット40の、内周側(ローター軸心側)の側面
40aは垂直の面、外周側の側面40bは傾斜した面を
なしている。
【0041】後者の場合、図15−図18に示すよう
に、ハウジング1のボス部1aの表面に、半径方向断面
が直角三角形状の環状スリット40′を形成するが、こ
のスリットの内周側(ローター軸心側)の側面40a′
が傾斜した面、外周側の側面40b′が垂直の面をなし
ている。(以下、前者の場合と後者の場合とは共通事項
が多いため、以降の実施例3の説明においては、後者の
場合に符号にダッシュを付けることによって説明を簡略
化する。) このスリットに配置する下部リングシール材41または
41′は、断面が台形のリング状基部41aまたは41
a′と、同基部から下方に向かって2本に分岐して伸び
たリング状スカート部41bまたは41b′とからなる
一体構造であり、弾性を有する高分子材料で成形され
る。下部リングシール材41または41′のリング状基
部41aまたは41a′の断面寸法は、それが収容され
る環状スリット40または40′の部位の断面に沿って
僅かに大きい寸法とされ、両リング状スカート部41b
または41b′については、その各外側面がリング状基
部41aまたは41a′の各外側面から若干の角度δを
もってそれぞれ外側に張り出すように成形される。
【0042】かつ、最初に下部リングシール材41また
は41′を環状スリット40または40′に装着したあ
と、ローター2をその上に乗せたときに、リングシール
材41または41′が、主として両リング状スカート部
41bまたは41b′の形状変化と弾性圧縮とによっ
て、環状スリット40または40′内に圧縮収容され、
シール面41cまたは41c′がローター下部端面2e
と適切な面圧をもって接することになるような下部リン
グシール材の諸元とする。
【0043】かつ、リングシール材のシール面41cま
たは41c′にはリング状の油溝41dまたは41d′
を設ける。これにより、油室7a、7b、7c、7dか
ら漏洩した油がこの油溝41dまたは41d′に蓄積さ
れることになり、以ってシール面41cまたは41c′
の内周側の面にも油が適当に波及して潤滑が確保され
る。
【0044】なお、両リング状スカート部41bまたは
41b′の基部とシール面41cまたは41c′のリン
グ状の油溝41dまたは41d′の間を連通するための
小さい連通孔41eまたは41e′を適当数設ける。シ
ール面41cまたは41c′において、もし高圧の油漏
洩があったときは、油溝41dまたは41d′の油圧の
上昇は、連通孔41eまたは41e′を通して2本のリ
ング状スカート部41bまたは41b′の間の空間の油
の圧力を高めるので、リングシール材のシール面41c
または41c′とローター下部端面2eとの接触圧が強
められ、漏洩を抑制する。
【0045】弾性を有する下部リングシール材41また
は41′を環状スリット40または40′の中に最初に
押し入れる初期装着状態においては、シール面41cま
たは41c′は、ハウジング1(ボス部1a)の表面よ
りも、(より正確に言えば、スラスト軸受部材4bの表
面よりも)僅かに突出した位置にある。この初期装着状
態において、ローター2をスラスト軸受部材4bの上に
乗せると、僅かに突出していたリングシール材のシール
面41cまたは41c′は、ローター下部端面2eによ
って、リングシール材41または41′の主としてスカ
ート部41bまたは41b′が圧縮変形されることによ
り、下方に押し下げられる。この最終装着状態におい
て、リングシール材のシール面41cまたは41c′
は、その上方向の圧縮変形反発力によって、ローター下
部端面2eと適度の接触圧をもって摺動し得る状態にな
る。この場合、環状スリット40の傾斜した外周側の側
面40b、または環状スリット40′の傾斜した内周側
の側面40b′により、リングシール材41または4
1′の圧縮変形反発力の上向きのベクトルが大きくな
り、シール面41cまたは41c′の接触圧を維持する
のが容易になる。また、リングシール材41または4
1′の圧縮変形は同時に、リングシール材のリング状基
部41aまたは41a′および両リング状スカート部4
1bまたは41b′の外表面と環状スリット40または
40′の表面との接触を密にするので、油室7a、7
b、7c、7d内の圧油が環状スリット40または4
0′の溝部を通って外部に漏洩するのが防止される。
【0046】なお、リングシール材41または41′の
単独の弾性圧縮変形反発力を補完するために、環状スリ
ット40の内周側の垂直面40aに、または環状スリッ
ト40′の内周側に傾斜した側面40a′に、円周等間
隔に適当数のスプリングリセスを設け、この中にスプリ
ングを配して、リングシール材41または41′を半径
方向外周側に押し付けるようにすることもできる。
【0047】また、下部リングシール材41または4
1′の最終装着状態においては、その外周側の上端縁4
1fまたは41f′は、実施例1および実施例2におい
て説明したのと同様に、ハウジングセグメント6の縦シ
ール材6aの内周側下端縁6cおよびローターベーン5
の横シール材5aの内周側下端縁5eとそれぞれ接触し
ており、しかも、作動油圧が高くなるほどその接触がよ
り緊密になるので、高圧側の油室、例えば7aと7cの
中の圧油が、これら接触部を通じて低圧側の油室7bと
7dに漏洩することが防止される。
【0048】なお、以上述べた実施例3の下部リングシ
ール材41または41′の構成は、実施例1および実施
例2において説明したのと同様に、上部リングシール材
にも、条件を適切に設定することにより、適用が可能で
あり、従来の上部リングシール材8aの、背面に圧油を
かける構成を廃することができる。 (実施例4)図19−図22に示すように、ハウジング
1のボス部1aの表面に、断面形状が方形の環状スリッ
ト50を形成する。このスリットに配置する下部リング
シール材51は、リング状基部51aと、同基部から内
周方向に向かって上下に2本に分岐して伸びたリング状
リップ部51bとからなる一体構造であり、弾性を有す
る高分子材料に成形される。
【0049】リング状基部51aの軸方向の自由長さL
は、環状スリット50の底面とローター2の下部端面2
eとの間の長さL0より僅かに大きい寸法に成形し、2
本のリング状リップ部51bの軸方向の自由全長Mは、
上記長さL0よりも大きくなるように、即ち、2本のリ
ング状リップ部51bがリング状基部51aから上下に
それぞれ角度εで張り出すように傾斜して成形する。上
記の両リング状リップ部51bの諸元は、下部リングシ
ール材51を環状スリット50内に自由装着したあとロ
ーター2をその上に乗せたときに、2本のリング状リッ
プ部51bの形状変化と弾性圧縮とによって、上側のリ
ング状リップ部51bの上表面が主シール面51cとな
って、ローター2の下部端面2eと適切な面圧をもって
接触することになるように定める。また、上記のリング
状基部51aの諸元は、同じく下部リングシール材51
を環状スリット50内に自由装着したあとローター2を
その上に乗せたときに、僅かに弾性圧縮され、リング状
基部51aの上面が副シール面51dとなって、ロータ
ー下部端面2eと適切な面圧をもって接触するととも
に、リング状基部51aの外周側の上端縁51eがハウ
ジングセグメント6の縦シール材6aの内周側下端縁6
cおよびローターベーン5の横シール材5aの内周側下
端縁5eとそれぞれ適切な面圧をもって接触することに
なるように、かつ、油室7a、7b、7c、7d内の作
動油に曝されるリング状基部51aの外周側の上端縁5
1eの突出円弧部分に圧力油が作用したときリング状基
部51aが大きな形状変化を生ずることのないような圧
縮強度を持つように定める。
【0050】下部リングシール材51の上表面の、リン
グ状基部51aとリング状リップ部51bの境界部にリ
ング状の油溝51fを設ける。これにより、油室7a、
7b、7c、7dから副シール面51dを通って減圧漏
洩した油がこの油溝51fに蓄積されることになり、以
って主シール面51cにも油が適当に波及して潤滑が確
保される。
【0051】かくて、油室7a、7b、7c、7d内の
圧油がローター2の下部端面2eを通って軸側に抜ける
ことに対しては、下部リングシール材51の副シール面
51dと主シール面51cの二段のシール面によって漏
洩が防止され、また、高圧側の油室、例えば7aと7c
の中の圧油が、ハウジングセグメント6の縦シール材6
aの内周側下端縁6cおよびローターベーン5の横シー
ル材5aの内周側下端縁5eのそれぞれを通って低圧側
の油室7bと7dに漏洩することは、上記各下端縁6c
および5eと下部リングシール材51の外周側の上端縁
51eとの接触によって阻止される。かつ、摺動面であ
る副シール面51dと主シール面51cの潤滑は、油室
7a、7b、7c、7dからの減圧漏洩油およびそれが
リング状の油溝51fに蓄積されることにより確保され
る。
【0052】なお、下部リングシール材51を環状スリ
ット50内に装着するに際して、2本のリング状リップ
部51bの間の空間に、該リング状リップ部を上下に拡
張する方向に、ばねを円周方向等間隔に適当数、介在せ
しめることができる。このばねは、長年の使用による下
部リングシール材51のリング状リップ部51bの経年
弾性劣化、あるいはシール面51cの摩耗が生じても、
シール面51cとローター下部端面2eとの間の接触圧
力を維持させることができる。
【0053】なお、この実施例4の構成は、上部リング
シール材にも、スラスト軸受部材4bの摩耗によるロー
ター2の上部端面2dの下降量を予め推定して、リング
状基部51aとリング状リップ部51bの諸元を定める
など、条件を適切に設定することにより、適用が可能で
あり、従来の、上部リングシール材8aの背面に圧油を
かける構成を廃することができる。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、従
来、問題の多かった、リングシール材の背面に圧油をか
ける構成を廃することができ、弾性を有する高分子材料
でなるリングシール材の圧縮弾性反発力と形状変化復元
反発力によってリングシール材のシール面とローター端
面との間に適切なシール効果を発揮し得る接触圧力を与
えるようにしたので、また、シール面に油室からの漏洩
油を蓄えられるリング状の油溝を設け、リングシール材
のシール面の内周側の潤滑も確保できるようにすると共
に、リングシール材の両スカート部の間の密閉空間と該
油溝との間を連通する連通孔を設けて、シール面におい
て高圧の油洩れがあったときは、油溝の油圧の上昇によ
って、連通孔を通して2本のスカート部の間の空間の圧
力が高まり、リングシール材のシール面とローター端面
との接触圧が高められ、漏洩を抑制できるようにしたの
で、あるいは、リングシール材をリング状基部と横方向
のリング状リップ部で構成して、リング状基部の圧縮弾
性反発力による副シール面とリング状リップ部の形状変
化復元反発力による主シール面の二段のシール面にして
漏洩防止効果を高めるようにするとともに、両シール面
の間にリング状の油溝を設け、これに蓄積された減圧漏
洩油でシール面の潤滑を確保できるようにしたので、リ
ングシール材の損傷あるいは破断の危険のない、寿命の
長い、信頼性の極めて高いロータリーベーン式舵取機の
シール構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における実施例1の下部リ
ングシール材の装着状態を示す図であり、ハウジングの
セグメントを含む半径方向縦断面である。
【図2】同実施例1の下部リングシール材の半径方向縦
断面である。
【図3】同実施例1の下部リングシール材の装着状態を
示す図であり、ローターのベーンを含む半径方向縦断面
である。
【図4】同実施例1の下部リングシール材の装着状態を
示す図であり、油室を含む半径方向縦断面である。
【図5】本発明の実施の形態における実施例2の下部リ
ングシール材の装着状態を示す図であり、ハウジングの
セグメントを含む半径方向縦断面である。
【図6】同実施例2の下部リングシール材の半径方向縦
断面である。
【図7】同実施例2の下部リングシール材の装着状態を
示す図であり、ローターのベーンを含む半径方向縦断面
である。
【図8】同実施例2の下部リングシール材の装着状態を
示す図であり、油室を含む半径方向縦断面である。
【図9】同実施例1の下部リングシール材にリング状リ
テイナーを装着した状態を示す図であり、ハウジングの
セグメントを含む半径方向縦断面である。
【図10】同実施例1のリングシール材の構成を上部リ
ングシール材に適用し、かつ、リング状リテイナーも装
着した状態を示す図であり、ローターのベーンを含む半
径方向縦断面である。
【図11】本発明の実施の形態における実施例3のう
ち、下部リングシール材の直角三角形状断面の内周側側
面を垂直面とした場合の下部リングシール材の装着状態
を示す図であり、ハウジングのセグメントを含む半径方
向縦断面である。
【図12】同実施例3の同上の場合の下部リングシール
材の半径方向縦断面である。
【図13】同実施例3の同上の場合の下部リングシール
材の装着状態を示す図であり、ローターのベーンを含む
半径方向縦断面である。
【図14】同実施例3の同上の場合の下部リングシール
材の装着状態を示す図であり、油室を含む半径方向縦断
面である。
【図15】本発明の実施の形態における実施例3のう
ち、下部リングシール材の直角三角形状断面の外周側側
面を垂直面とした場合の下部リングシール材の装着状態
を示す図であり、ハウジングのセグメントを含む半径方
向縦断面である。
【図16】同実施例3の同上の場合の下部リングシール
材の半径方向縦断面を示す図である。
【図17】同実施例3の同上の場合の下部リングシール
材の装着状態を示す図であり、ローターのベーンを含む
半径方向縦断面である。
【図18】同実施例3の同上の場合の下部リングシール
材の装着状態を示す図であり、油室を含む半径方向縦断
面である。
【図19】本発明の実施の形態における実施例4の下部
リングシール材の装着状態を示す図であり、ハウジング
のセグメントを含む半径方向縦断面である。
【図20】同実施例4の下部リングシール材の半径方向
縦断面である。
【図21】同実施例4の下部リングシール材の装着状態
を示す図であり、ローターのベーンを含む半径方向縦断
面である。
【図22】同実施例4の下部リングシール材の装着状態
を示す図であり、油室を含む半径方向縦断面である。
【図23】従来のロータリーベーン式舵取機の構成を示
す縦断面図である。
【図24】同ロータリーベーン式舵取機の鳥瞰図(部分
破断面)である。
【図25】同ロータリーベーン式舵取機の水平断面図で
ある。
【符号の説明】
1 ハウジング 1a ボス部 1b 油孔 2 ローター 2a 下部軸部 2b 上部軸部 2c 内部貫通孔 2d 上部端面 2e 下部端面 2f バランス孔 3 カバー 3a 上部リングシール用油孔 4a ラジルア軸受部材 4b スラスト軸受部材 5 ベーン 5a 横シール材 5b 縦シール材 5c 横スリット 5d 縦スリット 5e 横シール材内周側下端縁 6 セグメント 6a 縦シール材 6b 縦スリット 6c 縦シール材内周側下端縁 7a,7b,7c,7d 油室 8a 上部リングシール材 8b 上部リングシール材用スリット 8c 下部リングシール材 8d 下部リングシール材用スリット 10 環状スリット 11 下部リングシール材 11a リング状基部 11b リング状スカート部 11c シール面 11d 油溝 11e 連通孔 11f シール面外周側縁 20 環状スリット 21 下部リングシール材 21a リング状基部 21b リング状スカート部 21c シール面 21d 油溝 21e 連通孔 21f シール面外周側縁 30 リング状リテイナー 31 調節スクリュー 11′ 上部リングシール材 11a′リング状基部 11b′リング状スカート部 11c′シール面 11d′油溝 11e′連通孔 30′ リング状リテイナー 31′ 調節スクリュー 40、40′ 環状スリット 40a、40a′ 環状スリット内周側側面 40b、40b′ 環状スリット外周側側面 41、41′ 下部リングシール材 41a、41a′ リング状基部 41b、41b′ リング状スカート部 41c、41c′ シール面 41d、41d′ リング状油溝 41e、41e′ 連通孔 41f、41f′ 外周側の上端縁 50 環状スリット 51 下部リングシール材 51a リング状基部 51b リング状リップ部 51c 主シール面 51d 副シール面 51e 外周側の上端縁 51f リング状油溝

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 舵軸に嵌合装着するローターと、ロータ
    ーを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハ
    ウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のカ
    バーとを有し、ローターの外周面の周方向に沿った等間
    隔の位置に複数のベーンを配置し、ハウジングの内周面
    の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配
    置し、ベーンとセグメントによって前記油室用空間を複
    数の油室に区画するロータリーベーン式舵取機におい
    て、 ベーンの上下の端面に形成した横スリットに、ハウジン
    グの底面およびカバーの下面に摺接する横シール材を配
    置し、ベーンの先端の縁部に形成した縦スリットにハウ
    ジングの内周面に摺接する縦シール材を配置し、セグメ
    ントの先端の縁部に形成した縦スリットにローターの外
    周面に摺接する縦シール材を配置し、ハウジングの底面
    およびカバーの下面に形成し、かつ、油圧源に連通する
    いかなる油路もその底面に開口しない環状スリットにリ
    ングシール材を配置するとともに、リングシール材を横
    シール材およびセグメントの縦シール材に縁部を重ねて
    配置し、 リングシール材を、リング状基部と同基部から下方に2
    本に分岐して伸びたリング状スカート部とからなる一体
    構造に、弾性を有する高分子材料で成形し、リングシー
    ル材のシール面にリング状の油溝を設け、リング状基部
    に、リング状スカート部と環状スリットの底面との間に
    形成する空間と、油溝とを連通する適当数の小さい連通
    孔を設けたことを特徴とする高分子材料のシールを採用
    したシールに背圧をかけないロータリーベーン式舵取機
    のシール構造。
  2. 【請求項2】 リングシール材を、リング状基部と同基
    部から内周方向に向かって上下に2本に分岐して伸びた
    リング状リップ部とからなる一体構造に、弾性を有する
    高分子材料で成形し、リングシール材のリング状基部に
    より形成される副シール面とリング状リップ部により形
    成される主シール面の境界部にリング状の油溝を設けた
    ことを特徴とする、請求項1に記載の高分子材料のシー
    ルを採用したシールに背圧をかけないロータリーベーン
    式舵取機のシール構造。
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