JP2009160748A - 皮革積層体、皮革と樹脂フォームの接着方法および皮革積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォーム2に皮革シート3を接着した皮革積層体1であって、接着剤による膜の形成や前記気泡を満たす程の塊の形成、多量の接着剤の浸透による前記皮革シートおよび樹脂フォームの硬化を伴うことなく、接着剤によって前記樹脂フォーム表面の切断された気泡の隔壁端縁と前記皮革シート裏面が接着されている。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、凹凸模様付表皮材の製造方法に関して、接着剤層の目付量は、この実施例では固形分換算で75g/m2としているが、必ずしもこれに限定させる必要はなく、20〜200g/m2、特に50〜100g/m2が好ましく、20g/m2未満では接着性に劣り、耐久性が悪くなり、一方200g/m2を超えると固化した接着剤により風合が損なわれるとの記載、及び、この
実施例の表皮材は、前記裏打層が積層されたワディングウレタンフォーム層の表面に接着剤層を塗布したのち、この接着剤層上に、該接着剤層中に含有される水分が30重量%以上、好ましくは50重量%以上の湿潤状態のうちに表面層を載置し、50℃の雰囲気下で0.5g/cm2の圧力でもって、3分間ネット圧着して積層加工を施したものであるとの記載がある。すなわち、特許文献1には単位面積当たりの接着材量および接着時の圧力が開示されている。また、特許文献2には、革とウレタンフォームとを不織布状ホットメルト材を挟んで積層し、180℃で加熱し、30秒間加圧する積層課程が開示されている。
当該皮革積層体40を表皮44を内側にして湾曲させると、図示したように表皮44に浮き部45が生じる。これは樹脂フォーム41と皮革シートの間に接着剤42による層が形成されることによって生じる現象である。すなわち、接着剤42が伸縮しない境界層となり接着剤42の内側(皮革シートの下層43および皮革シートの表皮44)には湾曲に伴い圧縮力が作用し、伸縮しにくい表皮44が下層43との結合力に打ち勝って上方に飛び出てしまうというものである。このように、従来の皮革積層体では表面側を内側にして湾曲させると、接着剤42による境界層の内側に浮き部45が生じてしまう。
接着剤を多く使用したりホットメルトなどの強固な接着剤を用いると、皮革シートと樹脂フォームの結合は強固なものとなる。しかし、その反面皮革の柔軟性が失われるとともに、表皮を内側にして湾曲させた場合には接着層の内側にある表皮層が圧縮され、その圧縮によって部分的に表皮が浮いたような皺が生じ、皮革シートあるいは皮革シートを用いた商品の価値を低下させてしまう。
本願発明は当該課題を解決するものであり、表皮に浮いたような皺が生じにくい裏面に
発泡素材シートを貼り付けた皮革シートおよびその関連技術を提供するものである。
気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォームに皮革シートを接着した皮革積層体であって、
接着剤による膜の形成や前記気泡を満たす程の塊の形成、多量の接着剤の浸透による前記皮革シートおよび樹脂フォームの硬化を伴うことなく、
接着剤によって前記樹脂フォーム表面の切断された気泡の隔壁端縁と前記皮革シート裏面が接着されていることを特徴とする皮革積層体。
気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォーム表面に単位面積当たりの塗布量が一定となるように接着剤を塗布し、当該接着剤を塗布した樹脂フォーム表面に皮革シートの裏面を重ね合わせ、
当該樹脂フォームと皮革シートを重ね合わせた積層体の表裏全面を略均等の圧力により加熱しながら押圧することにより、
前記樹脂フォーム表面と皮革シートの裏面を接着したことを特徴とする皮革と樹脂フォームの接着方法。
前記接着剤の塗布量は固形成分量で大凡10g/m2乃至20g/m2であり、前記加圧時の温度が大凡70℃乃至80℃であり、前記加圧時の圧力が大凡3.9MPa乃至7.9MPaであることを特徴とする請求項2記載の皮革と樹脂フォームの接着方法。
気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォーム表面に単位面積当たりの塗布量が一定となるように接着剤を塗布し、当該接着剤を塗布した樹脂フォーム表面に皮革シートの裏面を重ね合わせ、
当該樹脂フォームと皮革シートを重ね合わせた積層体の表裏全面を略均等の圧力により加熱しながら押圧することにより、
前記樹脂フォーム表面と皮革シートの裏面を接着したことを特徴とする皮革積層体の製造方法。
前記接着剤の塗布量は固形成分量で大凡10g/m2乃至20g/m2であり、前記加圧時の温度が大凡70℃乃至80℃であり、前記加圧時の圧力が大凡3.9MPa乃至7.9MPaであることを特徴とする請求項4記載の皮革積層体の製造方法。
また、本願発明に係る皮革と樹脂フォームの接着方法は、皮革シートと樹脂フォームが強固に接着された皮革積層体を提供するものであり、かつ当該方法により接着された皮革積層体は柔軟性を失うことがなく、皮革表面を内側にして湾曲させても表皮が浮きにくく、車両用シートや内装品その他家具などに使用してもその美観を損なうことがないという効果を有している。
また、本願発明に係る皮革積層体の製造方法は、皮革シートと樹脂フォームが強固に接着された皮革積層体を提供するものであり、かつ当該方法により接着された皮革積層体は柔軟性を失うことがなく、皮革表面を内側にして湾曲させても表皮が浮きにくく、車両用シートや内装品その他家具などに使用してもその美観を損なうことがないという効果を有している。
また、当該樹脂フォーム2の肉厚は好ましくは大凡5mm乃至10mmである。図1示した例は、樹脂フォーム2として外形を矩形に形成したシートを示しているが、外形形状や外形寸法は後述する接着剤の塗布装置や貼り合わせ用のプレス装置に適用可能であれば特に限定されるものではない。
樹脂フォーム2は、隔壁によって仕切られた微細な気泡4を多数有するものであるので、前述した刃物によって気泡4が剪断されると、表層には気泡の剪断による凹部5と当該凹部5を形成する隔壁の端縁6が不規則に表出する。当該不規則に表出した隔壁の端縁6を有する樹脂フォーム2の表面が皮革シート3との接着面となる。
ローラー8の外周部には、接着剤の溶液を貯留する液溜め手段10が設けられている。当該液溜め手段10は、貯留された接着液がローラー8の長手方向に亘る表面と接するようになっており、当該部位を通過することによって規定量の接着剤がローラー8表面に対して均一に保持されるようになっている。
図3に示したA矢示図は、接着剤が塗布された後の樹脂フォーム2の表面部分を拡大して表した説明図である。樹脂フォーム2の表面は前述した図2を用いた説明の通り、微細な気泡4の切断端面によって形成された凹部5、当該凹部5を形成する隔壁の端縁6が不規則に表出した状態となっている。そして、当該隔壁の端縁6を中心に接着剤11が付着する。
逆をいえば、前記隔壁の端縁6を中心として接着剤11が付着するように、接着剤の粘度、塗布量、塗布時における樹脂フォーム2の圧縮量等が最適に調節されるようになっている。たとえば、粘度の低い接着剤を加圧しない状態で多量に塗布すると、接着剤が樹脂
フォーム内に浸透し、硬化した際に接着剤による硬い層が形成されることになる。本願発明の特徴の一つは、硬化した接着剤が樹脂フォーム2の伸縮や曲げ伸ばしを極力阻害しないことにあるので、当該状態を実現するために隔壁の端縁6を中心に接着剤が付着するようにしている。接着剤の塗布量は、固形成分量で大凡10g/m2乃至20g/m2が好適であり、10g/m2未満の場合には接着力がやや弱くなり、20g/m2を超えると接着剤層が形成され樹脂フォーム2の伸縮や曲げ伸ばしを阻害する傾向がある。
そして、加圧テーブル14と天板16の間に、前述した樹脂フォーム2の接着剤塗布面に皮革シート3を重ね合わせた積層物17を装着した後、当該積層物17を表裏両面から均等に加圧し両者を接着する。
温度設定の一つの条件は、クロムを使用せずに鞣しを行った皮革が縮まない上限付近の温度であるということである。クロムを使用した鞣し革は約160〜180℃までの高温に耐えることが出来る。しかし、クロムを使用しない鞣し革の耐熱温度は約70〜80℃であり、それ以上の高温に曝すと組織が縮んでしまい製品として使用できなくなってしまう。
また、温度設定の条件として、使用する接着剤の性質も考慮される。本実施の形態では、水性の接着剤を使用しており、加圧と同時に行う加熱により接着剤に含まれる水分の大半を除去する方法を採用している。本実施の形態で用いる接着剤は、スチレンブタジエン合成樹脂とアクリルポリマー混合物を主成分とした固形物を30〜40%程度含むものを用いており、当該接着剤による接着作用を有効に機能させる観点からも、加熱温度や加熱時間が定められる。
20kg/cm2)を超えるように設定される。
図5(a)を見ると明らかなように、下方の樹脂フォーム2と上方の皮革シート3裏面
の繊維状の部分が、接着剤によって部分的に接着されていることがわかる。接着されている部分は、図3のA矢示図を用いて説明した微細な気泡4の切断端面である隔壁の端縁6の部分である。
すなわち、写真に示した状態は、接着剤が気泡4を埋め尽くすような強固な接着層を形成せず、樹脂フォーム2や皮革シート3自体の柔軟性を損なわないように接着が行われている状態である。
皮革シート3には、鞣し加工後に表裏を削ることによって肉厚が調整され、染色、ウレタン塗装等が行われたものが使用されている。また、必要に応じて高級感を出すためのエンボス加工が表面に施される。
皮革シート3の表面には、組織の密度が比較的高い薄い層である表皮18があり、当該表皮18の下に組織の密度が比較的低い柔軟性のある下層19がある。下層19の表面(皮革シート3の裏面)の組織は繊維が毛羽立ったような状態となっており、当該下層19の表面が、接着剤11によって樹脂フォーム2表面の切断された気泡(凹部5)周囲の隔壁端部6と接着されている。
この湾曲時に理想とされる状態は、皮革シート3の下層19および樹脂フォーム2がストレス無く伸展し、皮革シート3の表面の表皮18部分に作用する圧縮力が小さくなることである。
本実施の形態に係る皮革積層体1は、樹脂フォーム2と皮革シート3との間に介在する接着剤11が、強固な接着膜や塊を形成することなく点状や線状等の不規則な接着部を形成している。この作用により樹脂フォーム2と皮革シート3の接着面が硬直化することなく、樹脂フォーム2表面の伸縮および皮革シート3の下層19の伸縮を妨げないようになっている。その結果、皮革シート3の表面の表皮18部分に作用する圧縮力が小さくすることができ、皮革シート3の表面に生じる浮き皺の発生を防止している。
2 樹脂フォーム
3 皮革シート
4 気泡
5 凹部
6 端縁
7 塗布装置
8 ローラー
9 加圧ローラー
10 液溜め手段
11 接着剤
12 プレス装置
13 油圧シリンダ
14 加圧テーブル
15 フレーム
16 天板
17 積層物
Claims (5)
- 気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォームに皮革シートを接着した皮革積層体であって、
接着剤による膜の形成や前記気泡を満たす程の塊の形成、多量の接着剤の浸透による前記皮革シートおよび樹脂フォームの硬化を伴うことなく、
接着剤によって前記樹脂フォーム表面の切断された気泡の隔壁端縁と前記皮革シート裏面が接着されていることを特徴とする皮革積層体。 - 気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォーム表面に単位面積当たりの塗布量が一定となるように接着剤を塗布し、当該接着剤を塗布した樹脂フォーム表面に皮革シートの裏面を重ね合わせ、
当該樹脂フォームと皮革シートを重ね合わせた積層体の表裏全面を略均等の圧力により加熱しながら押圧することにより、
前記樹脂フォーム表面と皮革シートの裏面を接着したことを特徴とする皮革と樹脂フォームの接着方法。 - 前記接着剤の塗布量は固形成分量で大凡10g/m2乃至20g/m2であり、前記加圧時の温度が大凡70℃乃至80℃であり、前記加圧時の圧力が大凡3.9MPa乃至7.9MPaであることを特徴とする請求項2記載の皮革と樹脂フォームの接着方法。
- 気泡を多く含んだ柔軟性を有するスポンジ状の樹脂フォーム表面に単位面積当たりの塗布量が一定となるように接着剤を塗布し、当該接着剤を塗布した樹脂フォーム表面に皮革シートの裏面を重ね合わせ、
当該樹脂フォームと皮革シートを重ね合わせた積層体の表裏全面を略均等の圧力により加熱しながら押圧することにより、
前記樹脂フォーム表面と皮革シートの裏面を接着したことを特徴とする皮革積層体の製造方法。 - 前記接着剤の塗布量は固形成分量で大凡10g/m2乃至20g/m2であり、前記加圧時の温度が大凡70℃乃至80℃であり、前記加圧時の圧力が大凡3.9MPa乃至7.9MPaであることを特徴とする請求項4記載の皮革積層体の製造方法。
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