JP2009160546A - 塗布ノズル検査装置および検査方法ならびに塗液の塗布方法 - Google Patents

塗布ノズル検査装置および検査方法ならびに塗液の塗布方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ディスプレイ装置の蛍光体や色素材の塗布に用いる塗布ノズルの検査方法において、塗布ノズルに形成された多数の微小な塗液量が適切であるかどうかを検査し、吐出量の適切さを評価できる塗布ノズル検査装置を提供する。
【解決手段】吐出口92から連続的に液体を吐出させ柱状流を形成させておき、その柱状流に光をあてて35,36、透過光の輝度を測定する。透過光の状態は柱状流の直径に応じて変化するため、得られた輝度情報を処理することによって吐出量の違いを検査することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ装置の蛍光体や色素材の塗布に用いる塗布ノズルの検査方法に関する。
液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置といったフラットディスプレイ装置では、カラー表示をするために、3原色もしくは色彩表現をより豊かにするために3原色に更にもう1色を加えた4色のカラーパターンを有している。例えば、液晶ディスプレイ装置では、カラーフィルターによって、背面からの光に色づけされた光を放出する。また、プラズマディスプレイ装置では、微小な枠(セル)中に蛍光体を配置して放電させ、蛍光体の発する色光を放出している。いずれの場合も、微小でかつ一定の大きさを持ったセルに色素材や蛍光体を塗布する必要がある。これらの枠の配置の方法もいくつか提案されているが、製造が容易であるのは一列に色を配置する方法である。
図10(a)にセルへの塗布の一例を示す。図10においてはプラズマディスプレイパネルの場合について示す。パネル101には微小なセル102が列毎に配置されている。それぞれのセルには、列毎に赤、青、緑といった色に発光する蛍光体が塗布される。ここで塗布ノズル90には、同じ色の蛍光体が塗られる位置に吐出口が一列に連なるように配列されており、列毎に同一色を一斉に塗布する。列毎に塗液を塗布する方法には他にもいくつかの方法があるが、図10(a)のように塗布用の塗布ノズルを用いた方法は、高速に処理できる点で有用である。
なおここで本発明においては、塗液の供給を受けてこれらを微細な孔から吐出し、対象物に塗布するための部材全体を「塗布ノズル」と称し、この塗布ノズルが有する直径1mm以下の微細な孔を「吐出口」と称し、以下の説明で用いる。
一方この塗布方法で注意すべき点は、塗布ノズルの吐出口の口径が塗布量を決める大きな要因となるため、多くの吐出口の口径については、高い精度で作製される必要があるということである。従って、塗布ノズルは、錆による塗液の汚染(コンタミ)を防止するため耐食性が優れ、且つ加工精度の高いステンレス鋼で作製される場合が多い。また、塗液を貯留するマニホールドの内壁は、その内壁に付着するゴミによるコンタミを最小限とするため、研磨されるのが好ましい。
図10(b)に塗布ノズルの断面を例示する。本図の場合、塗布ノズルはノズル本体97と上面部96で構成されており、更にノズル本体97によって塗布ノズルの吐出口92とマニホールド99が形成される。ここで図10(b)では、マニホールド99に塗液91が上部に空気室を残して充填されている様子を示している。
また、吐出口の口径は、パネルの画素が小さくなるに従って小さくなる。特に近年の表示パネルの高画質化は、吐出口径の縮小化を招くことになる。表示パネルにおいては、たとえ1画素でも不良であるとパネル全体が不良となるため、塗布ノズルに形成された微小な吐出口は全て、所定量の塗液の吐出が可能でなければならない。
しかし、多数の微小な吐出口は、どこかで目詰まりが生じる場合があり、洗浄して組み上げた後、吐出口に詰まりがあるかないかといった検査が必要となる。
従来このような塗布ノズルの目詰まり検査に関する発明としては、インクジェットノズルの検査方法が知られている。例えば、特許文献1では、検査のために試し印刷をした後、製品などに組み込まれたインクジェットノズルの中で溶剤が蒸発し、残った固形分が目詰まりの原因となることが示されている。これを解決するために、特許文献1では、固形分を有しない液体を試験印刷に用いる発明が開示されている。
また、特許文献2には、インクジェットノズルから液滴が出るか否かを検査する方法として、液滴の飛行経路の途中に発光部と受光部を有する検出器が開示されている。この検出器は、光の前を液滴が通過した際に、受光部が光を受けなくなることを検知して、インクジェットノズルから液滴が吐出されたか否かを判断する。
特開2003−311976号公報 特開2006−69226号公報
インクジェットノズルのように非常に小さな液滴を吐出する場合は、液滴が出ているか否かの判断だけでもよい。しかし、ディスプレイパネルのフィルターや蛍光体の塗布は、吐出量も問題となる。なぜなら、塗液が吐出してはいるものの、吐出量が規定値に達しない場合は、その列だけ色が薄くなるなどの弊害が生じ、パネル全体として不良となりうるからである。
すなわち、塗布ノズルに形成された多数の微小な吐出口から供給される塗液量が適切であるかどうかを検出しなければならないという課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたもので、塗布ノズルの吐出口から吐出された液体の直径を光の輝度に変換し、さらにこの輝度情報から得られる柱状流による透過光の遮蔽度を求めることで、吐出量の適切さを判断するものである。
すなわち、本発明の第1の局面は、
塗布ノズルの検査装置において、連続的に吐出される液体によって形成される柱状流を生成する吐出口が一列に配列されている塗布ノズルに液体を供給する液体供給手段と、前記柱状流に光を放射する照明手段と、前記柱状流を挟んで前記照明手段と対向する位置で光を受光可能な受光手段と、少なくとも前記受光手段に接続され、受光手段からの出力を受信する制御手段を有する塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第2の局面は、
前記受光手段の分解能Rは、前記吐出口の直径をφとして(1)式を満足することを特徴とする第1の局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
Figure 2009160546
また本発明の第3の局面は、
前記塗布ノズルを保持する塗布ノズル保持手段と、前記照明手段を保持する照明手段保持手段と、前記受光手段を保持する受光手段保持手段を有し、前記塗布ノズル、もしくは前記受光手段の少なくともどちらか一方を前記塗布ノズルに一列に配列された前記吐出口の配列方向に相対移動させるガイド手段と駆動手段を有する第1又は2の局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第4の局面は、
前記制御手段に接続され、前記ガイド手段上での前記塗布ノズル、もしくは前記照明手段と前記受光手段の位置を示す情報を検知し出力する位置検出手段をさらに有する第1乃至第3の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第5の局面は、
前記塗布ノズルの下に設置され、前記液体を受け止める貯留手段と、前記貯留手段から前記液体を吸い上げ前記塗布ノズルに供給する循環手段を有する第1乃至第4の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第6の局面は、
前記塗布ノズルの検査を実施する前に前記塗布ノズル内に固着した異物の固着力を弱める異物固着力低減手段を有する第1乃至第5の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第7の局面は、
前記異物固着力低減手段が、前記液体に気泡を含有させる気泡発生手段である第1乃至第6の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第8の局面は、
前記異物固着力低減手段が、前記塗布ノズル、もしくは前記液体の少なくともどちらか一方を振動させる超音波振動手段である第1乃至第7の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第9の局面は、
前記制御手段に接続された検査結果を表示するための表示手段を有する第1乃至第8の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
また本発明の第10の局面は、
塗布ノズルに形成された吐出口によって形成された柱状流を含む空間に照明手段から光を放射し、前記柱状流を挟んで照明手段と対向して設けられた受光手段によって光を受光して輝度値を得る測定工程と、前記測定工程によって得られる前記輝度値を遮蔽度として所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断するデータ処理工程を有する塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第11の局面は、
前記受光手段が複数の受光素子を有しており、少なくとも前記柱状流の一部を含む空間から得られた輝度値を前記遮蔽度とすることを特徴とし、更に受光手段の分解能Rは、前記吐出口の直径をφとして(1)式を満足することを特徴とする第10の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
Figure 2009160546
また本発明の第12の局面は、
前記受光手段が複数の受光素子を有しており、少なくとも前記柱状流の幅方向の全長にわたる空間から受光素子単位に分割された二次元輝度情報を得た後、前記二次元輝度情報のうちから所定の閾値を下回った輝度情報の数を得て前記遮蔽度とすることを特徴とする第10の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第13の局面は、
前記測定工程は、さらに前記柱状流の位置情報も得る工程である第10乃至第12の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第14の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流に対して前記位置情報と前記遮蔽度を複数回求める工程であり、前記データ処理工程は、前記複数回求めた遮蔽度から少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である第13の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第15の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での遮蔽度と、前記柱状流の位置情報を得る工程であり、前記データ処理工程は、前記複数個所での遮蔽度から少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である第13又は第14の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第16の局面は、
前記データ処理工程は、前記測定工程によって得られる遮蔽度から、前記遮蔽度に対応する前記吐出口の位置情報を求め、前記遮蔽度と所定の閾値を比較し、異常値か否かを判断する工程である第10乃至第12の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第17の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流に対して前記遮蔽度を複数回得る工程であり、前記データ処理工程は、前記複数回求めた遮蔽度から前記吐出口の位置情報と、少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である第16の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第18の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での遮蔽度を得る工程であり、前記データ処理工程は、前記複数個所での遮蔽度のうち少なくとも1つの前記遮蔽度から前記吐出口の位置情報を求め、さらに、前記複数個所での遮蔽度から少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である第16又は第17の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第19の局面は、
前記データ処理工程で判断の対象となる前記柱状流に対して、少なくとも、隣接する2つ以上の柱状流の前記遮蔽度平均値同士をさらに平均することで遮蔽度平均値に対する閾値を求める処理か、隣接する2つ以上の柱状流の前記遮蔽度標準偏差値同士をさらに平均することで遮蔽度標準偏差値に対する閾値を求める処理か、のいずれか、もしくは両方の処理を行う閾値算出工程をさらに有する第10乃至第18の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第20の局面は、
前記塗布ノズルに気泡を含む液体を供給する工程を有する第10乃至第19の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第21の局面は、
前記塗布ノズル、もしくは前記液体の少なくともどちらか一方に超音波振動を加える工程を有する第10乃至第20の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第22の局面は、
前記データ処理工程において異常値と判断された点の前記位置情報を表示する工程を有する第10乃至第21の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
また本発明の第23の局面は、
塗布装置に塗布ノズルを搭載する前に、第1乃至第9の何れかの局面の塗布ノズル検査装置、もしくは第10乃至第22の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を用いて塗布ノズルの良否を判定し、不良のないノズルを選別して塗布に用いることを特徴とする塗液の塗布方法を提供するものである。
本発明は、塗布ノズルの吐出口から吐出される液体に光を照射した場合に柱状流の直径(太さ)によって光の透過状態(遮蔽度)が変化することを利用し、その透過光の輝度を測定することで柱状流による透過光遮蔽度を得て柱状流の直径の大小を求め、更にその情報から吐出口毎の吐出量を相対的に測定可能にできる。従って、塗布ノズルに設けられた多数の吐出口から液体が出ているか否かだけでなく、吐出量が不足しているか否かを検査することができる。
特に洗浄後、組み立てられた塗布ノズル(更に厳密には、生産時に液体が内壁に接する可能性のある塗布ノズル付属部品全てを含む)に異物が残留していると、生産開始直後に異物が吐出口に詰まって装置不良を誘発し、新たな塗布ノズルに付け替えなければいけない。つまり、手間取りが生じる。
しかし、洗浄・組み立て後の塗布ノズルに本検査を実施することで、異物を内包していた塗布ノズルは再洗浄へ戻し、異物を内包していない塗布ノズルはそのまま適切に生産に使用できるので、工程稼働率の低下を防止できる。
図1に本発明の塗布ノズル検査装置の構成を示す。なお本明細書中においては説明の都合上、塗布ノズルに一列に配列された複数の吐出口の配列方向と実質的に同じ方向に発光領域をもつ照明手段を設置し、当該配列方向と実質的に同じ方向に受光手段を相対移動させる構成を例に挙げたが、実際には塗布ノズルを相対移動させても良いし、複数の柱状流の一部を照明できるコンパクトな照明手段を用いて、照明手段も受光手段との位置関係を保ったまま塗布ノズルと相対移動する構成とすることもできる。また吐出口がひとつの塗布ノズルについては一般的な列という概念を満たさないので、この場合は塗布ノズルと照明手段、受光手段の相対移動を行う必要はない、もしくは相対移動の方向は任意で良いと考えることとする。
また一般的に透過光とは、光学系を構成する雰囲気中において検査対象物に照射された光が検査対象物の内部を通過し、再度、当該雰囲気中に放たれた光を示す。しかし本明細書中においては説明の都合上、検査対象物を含む所定の空間に光を照射する系において、前述によって定義された透過光に加え、検査対象物に当たらずに照明手段の対向側へ通過する光をも含むものとする。
本発明の塗布ノズル検査装置は、レール11と、ステージ12と駆動モータ13と位置センサ14と、照明手段15と受光手段16と、制御手段17が含まれる。なお後述するように位置センサ14は必ずしも必要ではない。検査対象物である塗布ノズル90は、レール11の前方に、図示していないフレーム体によって保持される。図1においては、塗布ノズル90は上から見た図になっており、吐出口92が紙面裏側に向けて形成されている。
本発明の塗布ノズル検査装置は、さらに、表示器19、超音波振動装置20、気泡発生装置21、貯留手段であるパン25、ポンプ26およびフィルター27が含まれていてもよい。
図2には、レール11側から見た状態を示す。塗布ノズル90は図示されていないフレーム体によってパン25の上方に保持される。
以下に図1および図2を参照してより詳細な説明を行う。
本発明の塗布ノズル検査装置は、塗布ノズルの吐出口から吐出する液体の吐出量を調べるので、塗布ノズルからは連続的に液体が吐出されている状態にする必要がある。この連続的な液体は柱の形状になるために、“柱状流”と呼ぶ。パン25、ポンプ26は、検査の最中に塗布ノズル90が柱状流を吐出し続けるために用意されるものである。これらは液体供給部と呼んでもよい。液体供給部は検査の間、連続的な柱状流の吐出がなされれば良いのでパンとポンプだけに限られるものではない。
パン25の底部には、図示していないが排出用の口があり、そこからパイプがポンプ26に接続されている。また、ポンプ26からは、塗布ノズルの液供給口93にパイプが接続されている。ポンプ26から供給される液体31は、塗布ノズルの液供給口93から塗布ノズル90のマニホールド内に入り、各吐出口から連続的に流れ出る柱状流95としてパン25に落下する。なお検査用の液体の液供給口93は塗布用の塗液の供給口と同じであっても良いが、異なる構成でも良い。パン25に落下した液体30は、ポンプの陰圧によって再びポンプ26に戻る。このように、検査用の液体は循環し、柱状流を形成し続ける。
なお液体流路をこのような閉ループで構成した場合には、塗布ノズル内部に吐出口径よりも小さい異物(詰まりの原因にはならないもの)が残留していた場合に異物が再び塗布ノズル内に戻って検査後に残留異物となり、実際の生産で塗液に混入して製品に悪影響を及ぼす可能性がある。これに対しては流路におけるポンプ26直後に充分に目の細かいフィルター27を装着することによって異物を液体内から除去できるため好ましい。また液体は再利用せず、常に新鮮なものを供給できるように流路を構成しておけば吐出された異物が塗布ノズル内に戻ることが無く、好ましい。
塗布ノズル90の前方には、測定対象である塗布ノズルに列状に並んで配列された吐出口の並び方向(列)と平行にレール11が設置される。レール11は、後述するステージを常に同一軌道で移動させるためのガイドである。従って、図1では、2本レールを示しているが、2本でなくてもよい。またステージを移動させるための手段としてはボールネジ駆動ステージやリニアモータ、エアーアクチュエータなどの一般的な工業用ステージ全般が使用可能である。
レール11にはステージ12が移動可能に設置されている。移動可能になる手段は、車輪、空気による浮上、磁気による浮上など、特に限定されるものではないが、ステージ12の下側にレール幅の車輪を取り付けておくのが簡便である。ステージ12は受光手段16を搭載するので、移動中に上下や左右に振動が発生しにくい移動可能手段を有するのがより好ましい。レールの真直度は1.0mm以下が好ましく、0.1mm以下が更に好ましい。
また、受光手段16を搭載するステージ12においては、受光手段16の取り付け位置と角度が微小調整可能な構成となっていることが好適である。本発明の検査装置は、光の透過光を利用するため、後述する照明手段15と受光手段16の取り付け角度は検出する信号のSNR(Signal Noise Ratio)に直接関係するからである。
ステージ12には、駆動モータ13が取り付けられている。駆動モータ13は、ステッピングモータやACモータ、DCモータ、サーボモータなどが好適に用いられる。また、駆動モータ13は後述する制御手段17からの指示Cdvによって、レール11上を左右に移動または停止といった動作を行う。
また、ステージ12には、位置センサ14が搭載されてもよい。位置センサ14は、ステージ12が現在レール11上のどこに位置するかという位置情報Ipsを後述する制御手段17に送る。また位置情報Ipsは、測定対象である塗布ノズル90に設けられた吐出口のうち、どの吐出口に対して測定を行っているかという吐出口に関する位置情報であってもよい。最終的に必要なのは測定された吐出口の位置情報である。位置センサ14は、ポテンショメータを利用するもの、リニアエンコーダを用いるもの、ステージ移動制御量をフィードバックしたもの、モータ回転数をカウントするもの、レーザー式変位計を用いるものなど、特に限定されることなく利用できる。
更に塗布ノズル90の後方(塗布ノズル90の吐出口92の下に形成される柱状流を受光手段16と挟んで反対側)には照明手段15が設置される。照明手段15としては、レーザーやLED(Light Emitting Diode)、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプのように一般的な計測に使用されるランプなどが好適に利用でき、光を、柱状流を含む空間に照射可能なように構成される。全ての柱状流を照明するため、照明手段15の光照射部分は列状に並んだ複数の吐出口92の最端吐出口から他方の最端吐出口までの長さを全て照射できる長さであることが好ましい。また省エネのため、少なくとも一つの柱状流とそれを含む空間を照射できるサイズの照明手段を用い、柱状流を挟んで対向側に設置された受光手段16との相対的な位置関係を保ちつつ受光手段16と共に、吐出口92の並び方向に塗布ノズル90と相対移動できるような構成にしても良い。また照明手段からの光線は柱状流に当てるので、分かり易いように可視光領域の光を出せるものがより好ましい。柱状流を含む空間に照射された光は、透過光(柱状流に当たる光36、柱状流に当たらない光35を含むもの)となって受光手段16に受光され、電気信号Irfに変換される。電気信号Irfは輝度値Irfと呼んでもよい。
輝度値IrfはA/D変換されたデジタル信号として説明を続けるが、受光手段16からはアナログ信号のまま出力され制御手段でデジタル化されてもよい。受光手段16は、フォトダイオードやCCD(Charge Coupled Device)等が好適に利用できる。電気信号Irfは、後述する制御手段17に送られ、処理される。照明手段15や受光手段16は収束用のレンズを備えていても良い。
本発明では上記した透過光(柱状流に当たる光36、柱状流に当たらない光35を含むもの)の強度を示す輝度値Irfで、柱状流の太さを検出し、吐出の不良を検出する。ここで本発明のポイントとなるのが、前記透過光の通過する経路内に柱状流がどのような状態で存在するかによって受光手段16が得る輝度値Irfが変化するということであり、特に柱状流直径が存在する領域では得られる輝度値Irfが小さくなるため、本光学系によって得られる輝度値Irf(もしくは輝度値Irfの空間分布)がもたらす情報を“遮蔽度”と称する。以下、詳細な原理について説明を加える。なお本明細書においては説明の都合上、柱状流に当たる光36は柱状流によって遮蔽、もしくは屈折・反射作用などによって進路を変更されて受光手段16には全く捉えられない場合を想定する。しかし実際には柱状流に当たる光36は前記した柱状流による光学効果によって、柱状流に当たらない光35に比して輝度の弱い光となって受光手段16に捉えられる場合があるが、このような場合においても本発明は適用可能である。
図3(a)には、照明手段15からの照射光Li(柱状流に当たる光36と柱状流に当たらない光35を含むもの)と、理想的に直径dが吐出口の直径φと同じである一本の正常な柱状流Fと、透過光Ltと、透過光Ltを捉える受光手段16の受光素子の空間分解能イメージ高分解能Rhと低分解能Rlの関係を、柱状流を輪切りにする方向からの平面イメージで示す。また一本の柱状流を含む単位空間の幅をWとし、この単位空間に照射された照射光Liに対して透過光Ltが受光手段16側へ通過した幅をWt(便宜上、図3において左側の通過幅をWtl、右側の通過幅をWtrとする)、通過できなかった幅をWsとする。
次に図3(b)では、吐出口に異物を詰めた場合に柱状流F’の直径d’が吐出口の直径φよりも小さくなり、かつ流路の中心が吐出口の中心から外れた様子を示している。当然のことながら透過光Ltの透過幅Wtl’、Wtr’および非透過幅Ws’の位置および幅は(a)に示された透過光Ltの透過幅Wtl、Wtrおよび非透過幅Wsの位置および幅とは異なる。
更に図3(c)では、吐出口に大きな異物を詰めた場合に吐出口が完全に塞がれてしまい、柱状流が生成されなかった様子を示している。当然のことながら照射光Liは柱状流に邪魔されることなくそのまま透過光Ltとなり、単位空間幅Wと同じ幅の透過幅Wt”が得られることとなる。
本件発明においては図3(a)乃至(c)に示す柱状流の有無および直径と、これに影響されて変化する透過光Ltの状態を測定することで、実際の柱状流の状態を検査することが可能となるので、次に透過光Ltの状態を測定する方法について説明する。このためにまず、受光手段16の分解能Rについて説明する。
受光手段16の分解能Rとは、一回の受光動作において受光手段の受光素子が捕らえることのできる領域面積を示し、受光素子自体のサイズやレンズの倍率などで制御可能である。ここで受光素子とは、例えば受光手段がフォトダイオードの場合は1つのフォトダイオードであるし、CCDカメラの場合は1つのCCD素子である。一般的にはひとつの受光素子について定義される言葉であるが、本件発明の場合、複数の受光素子群をまとめてひとつの受光素子(領域)と捉え、受光素子(領域)内の各受光素子のデータを積算しても同様の効果が得られるため、このような場合も分解能の定義に含めることとする。
本件発明においては、透過光Ltの状態を測定するのに受光手段16の分解能Rをどの程度に設定すればよいのかと言う点にポイントがあり、測定したい吐出口の直径に対して充分に小さくするか(高分解能Rh)、大きくするか(低分解能Rl)のどちらかで目的を達成可能である。そこでまずは第一の測定方法として高分解能Rhに設定した場合を考える。
図3(a)乃至(c)の下方(一点鎖線で囲まれた部分)に受光手段16の分解能を高分解能Rhに設定した場合のイメージを示す。分解能が高いということは、ある単位空間幅Wをより細かく分割して透過光Ltを細かい領域毎に受光できるということを示している。まず図3(a)の場合、透過光Ltが照明手段15から見て柱状流Fの対向側に透過する状態に対し、透過幅Wtl、Wtr、非透過幅Wsが生じる。このため図3(a)の例では分解能Rhの一列における左側2個分、右側2個分の領域には透過光Ltが入射して受光手段16は高輝度を感知し、中央の16個分には光が入射しないために低輝度を感知、もしくは輝度を感知することができない。
このようにして得られた分解能Rh単位の輝度の差に閾値を設定し、閾値を下回った領域を指標化(つまり測定データの個数をカウント)すれば、非透過幅Wsに対応した検査指標値が得られることとなり、図3(a)の場合は分解能16個分ということになる。つまり、高分解能Rhによる第一の測定方法においては、単位空間幅W内において、柱状流によって透過光が影響を受けた非透過幅Wsに対応した分解能Rh単位の個数が検査指標値である遮蔽度となり、柱状流が太いほど(つまり正常に近いほど)大きな値を示すものである。
同様に図3(b)についても考えると、(a)の場合と同じ高分解能Rhに対し、柱状流F’の直径d’が(a)の柱状流Fの直径dよりも小さいがために非透過幅Ws’もWsより小さくなり、これに対応して遮蔽度は分解能6個分と小さくなる。
更に図3(c)について考えると、(c)では(a)(b)とは異なって照射光Liに影響を与える柱状流が存在しないため、遮蔽度としては分解能0個分と言うことになる。
このように、充分に高い分解能Rhで柱状流を含む空間を観察することで、柱状流の有無、および直径によって影響を受ける分解能単位の個数、つまり検査の指標値である遮蔽度を測定可能となり、この遮蔽度に対して閾値を設定すれば対象柱状流、ひいてはその柱状流を形成する吐出口に異物が詰まっているか、否かを判定することが可能となる。
また分解能Rhの決め方についてであるが、これは必要な検査精度に基づいて適宜決定すればよい。分解能を高く(=細かく)すればするほど柱状流直径の測定精度(どれだけ微細に測定可能か)は上がるが、そのためには受光工程に時間がかかる、電気的・機械的な外乱に影響されやすくなる、情報量が多くなるためデータ処理工程への負荷が大きくなるなどの弊害がある。一方で分解能を低く(=粗く)すればするほど、柱状流直径の測定精度は下がらざるを得ないが、受光工程の時間短縮や、外乱に強い系の構築、処理工程の負担軽減などのメリットが見込める。つまり分解能Rhは、測定精度と検査時間や装置構成の簡便さ等のトレードオフの関係をよく調査した上で、最も効果の上がる設定とすることが好ましい。
ここまでは受光手段16の分解能をなるべく高くし、柱状流の直径に影響されて変化する遮蔽度を分解能単位のデータ個数で指標化する方法について述べたが、一方で受光手段16の分解能を比較的粗い分解能Rlとすることで遮蔽度を指標化することもできる。分解能を粗くできることで、受光工程時間を短縮できる、電気的・機械的な外乱に影響されにくくなる、情報量を減らせるためデータ処理工程への負荷を小さくできるなどの有利な点が見込めるので、次に第二の測定方法として低分解能Rlに設定した場合について説明する。
図3(a)乃至(c)の下方(一点鎖線で囲まれた部分)に受光手段16の分解能を低分解能Rlに設定した場合のイメージを示す。分解能が低いということは、ある単位空間幅Wをより粗く分割して透過光Ltを広い領域で受光できるということを示している。まず図3(a)の場合、透過光Ltが照明手段15から見て柱状流Fの対向側に透過する状態に対し、透過幅Wtl、Wtr、非透過幅Wsが生じる。ここで仮に分解能Rlが図3(a)のように単位空間幅Wと同じ幅に設定されていた場合、分解能Rlにおける遮蔽割合Sは以下の(2)式で表される。なお実際には、分解能Rlは幅方向だけでなく縦方向(柱状流の流れる方向)にも有限の大きさを持ち、一般的には幅方向と縦方向は同じサイズで構成される。ただし特にこの第二の測定方法においては柱状流の形状が安定した領域を測定対象とするものとし、これによって分解能Rl内での柱状流の変化はない、もしくは小さいと考えることができるため、遮蔽割合S、また後述する輝度Kは幅方向のみについて透過光Ltの遮蔽される/されない領域の比率と考えても差し支えない。ただし現実には実際に使用する受光手段の分解能Rl内で受光した光の総量が適正であることが測定機の現実的な性能につながるため、受光手段のゲイン設定や照明手段の出力設定、レンズの絞り設定などの受光量に関わる条件を適正に調整することが好ましい。すなわち、測定対象や測定工程のばらつきを考慮した上で、受光手段の測定レンジ全てを無駄なく使用できるように上記の条件を設定することが理想であるが、本件については後に図4を用いても説明する。
Figure 2009160546
更にこの分解能Rl内における幅方向の受光状態を考えると、単位空間幅W内において柱状流Fによる透過光の遮蔽が生じるため、受光手段16が受光可能な透過光Ltは柱状流Fの直径dに影響を受けなかった透過幅Wtl、Wtrを通る光のみであることがわかる。ここで受光手段16は受光素子で受光した光の総量に対する何らかの出力を外部へ出力可能なものを使用することが一般的であることから、例えば受光手段16として受光素子であるCCDが受光した光の総量に応じた電圧を信号として出力するCCDカメラであるとすると、その出力信号は(3)式で求められる輝度Kに比例した値となる。ここではまず遮蔽割合Sと輝度Kの関係を考えると、遮蔽割合Sが大きい(小さい)ほど、輝度Kは小さく(大きく)なるというトレードオフの関係となる。
Figure 2009160546
以上からわかるように、低分解能Rlによる第二の測定方法においては、分解能Rl単位が含む単位空間幅W内において、柱状流によって透過光が影響を受けた非透過幅Wsの占める割合が検査指標である遮蔽割合Sであり、逆に影響を受けなかった透過幅Wtの占める割合が実際に測定できる輝度Kとなる。遮蔽割合Sは第一の測定方法と同様に柱状流が太いほど(つまり正常に近いほど)大きな値を示すものであるが、実際に測定できる輝度Kは逆に柱状流が太いほど小さな値を示すものである。
次に図3(b)について考えると、(a)の場合と同じ分解能Rlに対し柱状流F’の直径d’が(a)の柱状流Fの直径dよりも小さいがために非透過幅Ws’もWsより小さくなっている。これに対する遮蔽割合S’は以下の(4)式で求められ、WsとWs’の関係からS>S’は明確である。
Figure 2009160546
更に上記した遮蔽度と分解能Rlによる受光状態で決まる輝度の関係を考えると(5)式が成り立ち、(a)と(b)の状態でのS>S’の関係から、K<K’もまた明らかである。
Figure 2009160546
また更に図3(c)を考えると、(c)では(a)(b)とは異なって照射光Liに影響を与える柱状流が存在しないため、Ws”=0と考えることができ、(6)式のように遮蔽割合S”は0ということになり、上記した(a)(b)の状態における遮蔽度との関係はS>S’>S”(=0)である。
Figure 2009160546
当然のことながら上記した考え方の通り、輝度については(7)式のように得られるため、K<K’<K”(=1)も明らかである。
Figure 2009160546
このように、比較的低い分解能Rlで柱状流を含む空間を観察することで、柱状流の有無、および直径によって影響を受ける分解能単位の輝度(=受光する透過光の総量)、つまり検査の指標値である遮蔽度に対応して変化する物理量を測定可能となり、実際の装置としてはこの輝度に応じて変化するカメラの出力電圧値に対して閾値を設定すれば対象柱状流、ひいてはその柱状流を形成する吐出口に異物が詰まっているか、否かを判定することが可能となる。
また分解能Rlの決定の仕方について図4を用いて説明する。図4は柱状流の状態変化に対して分解能を粗く設定した第二の測定方法の測定感度を表したグラフであり、縦軸は受光素子が捕らえた輝度の総和に応じた出力信号の階調(例として10bit=1024階調)を表し、横軸は面積率(%)を表す。吐出口が完全に詰まって柱状流が形成されない場合に最も明るい輝度に応じた値、すなわち1024階調が得られるように照明手段の出力やカメラのゲインを調整することが好ましい。また面積率とは、吐出口の面積に対する柱状流の断面積の割合である。ここで分解能Rlを吐出口直径φとの比較で考え、直径よりも小さくした場合(Rl<φ)、同じにした場合(Rl=φ)、大きくした場合(Rl>φ)について、図中に実線で感度特性グラフを示した。
まず分解能Rlが吐出口直径φよりも小さい場合、Rl<φという関係が成り立ち、この設定での感度特性は図4のグラフ[Ri<φ]となる。面積率が小さい、つまり重大欠陥であれば面積率の変化に対して信号も変化し、測定可能である。しかし面積率100%(正常)に近い領域では不感帯aが生じている。不感帯とは面積率が変化しても信号が変化しない、つまり測定できない領域を示しており、この不感帯は分解能Rlを吐出口直径φよりも小さくしていくに従って広くなる。これは測定対象とする柱状流の直径に対して分解能が小さすぎるため、対象の柱状流変化が生じたとしても受光素子には光が入射せず(つまり多少の変化では常に柱状流によって入射光が遮蔽されるため)、柱状流による遮蔽度の変化を輝度の変化として捉えることができないことを意味しており、好ましい状態ではない。
次に分解能Rlを吐出口直径φと同じにした場合、Rl=φという関係が成り立ち、この設定での感度特性は図4のグラフ[Rl=φ]となる。この場合、吐出口によって生成される柱状流の正常状態の直径と分解能が実質的に同じと考えられるため、面積率が100%の状態から減少すると直ちに受光素子に透過光が入射し始め、これに伴って信号も増加し始めるため、測定したい面積率の全領域に対して測定機が感度を持つこととなり、好ましい。
更に分解能Rlが吐出口直径φよりも大きい場合、Rl>φという関係が成り立ち、この設定での感度特性は図4のグラフ[Rl>φ]となる。この場合も[Rl=φ]の場合と同様に不感帯なく、測定したい面積率の全領域に対して測定機が感度を持つこととなり、測定機としての使用は可能である。しかし、あまりに分解能を吐出口直径に対して大きく設定し過ぎてしまうと、面積率が正常100%に近い領域においては理想的には信号=0となって欲しいところ、柱状流に影響されずに透過してきた光が受光素子に入射するために幾分かの信号が発生してしまう。すると測定に使用できる信号の分解能が装置的に1024階調あったとしても、図4に示すように使用不可信号領域bが生じてしまい、使用不可信号領域bの分だけ測定分解性能が低下することとなる(装置の持つ測定レンジをフルに使用できない)。ちなみに例えば照明手段の出力を弱めて面積率100%時の信号を0に近づけたとしても、図4中のグラフ[Rl>φ(低輝度)]に示されるように、今度は面積率が小さい領域で使用不可信号領域b’が生じてしまい、解決には至らない。
一方で現実的な吐出口の加工精度を考えると、その直径の加工精度の許容範囲は求められる塗布の性能からある一定の範囲内に決められ、吐出口直径の加工ばらつきもこの範囲内に納められているものの、当然、完全に揃うことはない。従って本発明の低分解能Rlの設定も吐出口の直径加工ばらつきを考慮して設定することが好ましい。
以上を踏まえると分解能の設定は、感度特性としては面積率が100%の場合に最低輝度(=0)が得られることが好ましいが、更には吐出口直径の加工ばらつきに対しても不感帯が生じないように設定されていることが必要であり、一般的な吐出口加工精度の状態を鑑みて実質的には(1)式を満たすことが好ましい。
Figure 2009160546
以上のような関係を有する照明手段15と受光手段16は柱状流95を挟んで対向するように配置される。また特に受光手段16を吐出口92の並び方向に移動させる場合、受光手段16は移動ステージ12上に固定される。そして塗布ノズル90の吐出口92の位置は、塗布ノズル90毎に異なる場合もあるので、これを補正するために、例えば照明手段15か受光手段16のいずれか若しくは両方とも可動できるようにしてあってもよい。
図1に戻って、制御手段17は、駆動モータ13、位置センサ14、照明手段15、受光手段16、表示器19と接続されている。駆動モータ13には駆動命令Cdvを送信し、位置センサ14からは現在の位置情報Ipsを受け取る。照明手段15へは発光命令Ceを送り、受光手段16からはデジタル変換された輝度値Irf情報を受ける。
制御手段17は受け取った情報を処理し、処理結果を表示部19に表示させる。なお、処理結果に基づいた何らかの擬似制御信号を外部に送信してもよい。ここで擬似制御信号とは、何らかの値であっても良いし、メッセージであってもよい。
また、制御手段17は、超音波振動装置20や図示しない液体に振動を与える超音波振動装置、気泡発生装置21と接続されていてもよい。超音波振動装置20は、図示していないフレーム体に固定され、塗布ノズル90に微小振動を加える装置である。また超音波振動装置は、塗布ノズルへの液体流入前にその液体自体にあらかじめ微小振動を加える装置の場合もある。これらは例えば、ピエゾ振動板から構成される振動付与器であってもよい。制御手段17は、超音波振動装置20に対して振動のON、OFFを指示する駆動命令Cvを送る。また、気泡発生装置21は、微小泡を検査用の液体に混入する装置である。気泡発生装置21へもON、OFFを指示する動作命令Cblを送る。
次に本検査装置を用いた検査方法について説明する。すでに説明したように検査装置のレールは、ステージが塗布ノズルに列状に並んで配列された吐出口の並び方向(列)と平行に移動するようにセットされているものとする。
図5には、検査方法の全体フローを示す。検査がスタートすると(S1000)、事前処理として、液体を塗布ノズルへ流入させ(S1010)、各吐出口から液体を吐出させる。この操作により、塗布ノズル内に異物が残留していれば異物は液体によって吐出口へ運ばれる。異物のサイズや形状によって異物は、
(1)吐出口を完全に塞ぐ、
(2)吐出口の一部を塞ぐ、
(3)吐出口から完全に排出される、
の3種類の現象のうちの何れかを引き起こす。無論、本検査においては上記(1)(2)の状態を検出することを目的としている。ここで上記(3)の場合、液体の吐出動作によって塗布ノズル内に残留していた異物が除去されることになるので、内包されていた異物の有無を検出することはできないが異物が除去されるのであるから問題はない。
一方、異物が塗布ノズル内壁に固着している場合も考えられる。この場合、生産開始直後はあたかも正常な塗布動作を実施したとしても、いずれ塗液によって異物が移動させられ、吐出口を詰めてしまう場合があり、やはり問題となる。このため、検査スタート前に超音波振動装置20や図示しない液体に振動を与える超音波振動装置、気泡発生装置21のような、ノズル壁面に対する異物の固着力を弱める異物固着力低減手段を用いて、塗布ノズルのマニホールド内に刺激を与えて異物の固着力を弱め、液体による異物のハンドリングをサポートすることが好ましい。
従って予想される異物の種類などによっては異物固着を弱める操作を実施(S1012)することが好ましい。なお、この処理を行うか否かの判断(S1011)は、手動で行なう他、予め入力する測定レシピなどで自動的に行なうようにしてもよい。このように異物が吐出口へ運ばれた後、充分な時間を見計らって検査がスタートする(S1080)。検査処理を開始したら、最初に検査終了・継続を判断する(S1090)。検査終了は、手動で行ってもよい。
次に測定を行い(S1100)、データ処理を行う(S1200)。データ処理の結果は、表示器に表示され(S1250)、詰まりが検出された場合には当該塗布ノズルには再洗浄を施すこととし、検査終了判定(S1090)に戻る。
以下にそれぞれの処理についての詳細を説明する。
<測定処理>
図6に測定処理のフローを示す。測定処理がスタートすると(S1100)、まず初期設定を行う(S1102)。初期設定は、ステージを初期位置に戻したり、測定回数を初期化するなどの処理である。そして、所定の移動速度vでステージを進める(S1104)。ステージの移動速度vは、受光手段からのデータ転送速度と設定している受光手段の分解能の兼ね合いで決まる。
例えば、柱状流の直径φが100μmであり、分解能が20μmに設定されていたとすると、受光手段からのデータのサンプリングが転送速度もあわせて10msec程度必要であるなら、ステージの移動速度は毎秒2mmに設定する必要がある。
ステージが動き始めると、測定回数Scanが所定の回数m回に達したか否かを判定する(S1106)。1回の測定とは、吐出口列の端から端までステージがスキャンを行って全ての吐出口に対する輝度測定を行うことを言う。吐出口からの柱状流は、測定した際に適量が吐出していたとしても、時間的に変化したりする場合がある。ここで、「適量」とは、正常値レベルの遮蔽度(高分解能撮像であれば遮蔽された分解能単位の個数、低分解能撮像であれば分解能内での輝度の低さ)が得られる柱状流が形成される吐出量をいう。従って、時間をおいて複数回計測し、それらのデータを処理することで、より確度の高い検査結果を得ることができる。ただしもちろん、測定回数は1回であってもよい。
測定回数に達していない場合は、測定回数をインクリメントし(S1108)、位置センサから位置情報Ipsを取得する(S1110)。この位置情報Ipsに基づいて、ステージが吐出口列の端まで移動したか否かを判断する(S1112)。吐出口列の端まで行っていない場合は、測定すべき所定位置か否かを判断する(S1114)。測定する位置は、予め測定位置のリストを持っているか、初期設定の際に吐出口列の全長を確認し、どの位置を測定するかを決めておいても良い。測定位置は、柱状流が存在すると期待される点だけでなく、その周囲の部分も測定位置として含めたほうがよい。柱状流による透過光の遮蔽が検出されなかった場合に、測定位置がずれたために透過光を受光したのか、実際に遮蔽が起こらず、透過光を受光してしまったのかを容易に判断できるからである。
また、測定位置であるか否かは、ステージが動き始めてからの時間で判断してもよい。例えば、所定時間間隔毎に測定を行うこととすれば、位置情報Ipsは、ステージ移動速度と制御手段内部の時計によって得ることができる。この場合は、位置センサ14は不要となる。
また、位置情報Ipsを取得することなく、輝度値Irfを測定し続け、輝度値の連続情報から塗布ノズル間隔設計値、カメラ測定周期、テーブル移動速度、そしてこれらに生じる誤差量を加味した上で、後述するデータ処理の段階で実際の吐出口との対応関係を求めてもよい。この場合も、位置センサは不要である。
具体的には、所定位置か否かの判断ステップ(S1114)で常にY分岐を行い、測定のステップ(S1116)では、位置情報Ipsを取得しない。さらに位置情報を取得するステップ(S1110)でも位置情報を取得しない。吐出口列の端まで行ったか否かの判断(S1112)では、位置情報を使ってもよいが、別の方法で吐出口列の端まで進んだか否かを判断してもよい。
図6のフローの説明を続ける。所定位置と判断した場合は、その時の位置情報Ipsと輝度値Irfを取得して記憶部に記録する(S1116)。測定すべき位置でなかった場合は、ステップS1116をスキップして位置情報Ipsの取得ステップ(S1110)に戻る。
一方、ステップS1112の判断で吐出口列の端までステージが移動していた場合は、ステージの進行方向を反転し(S1118)、測定回数の判断に戻る(S1106)。折り返し測定を継続するためである。なお、ここでは再度ステージを最初の位置まで戻してから動き始めても良い。
測定回数が所定の回数m回になったら、ステージを停止して(S1120)、メインの処理に戻る(S1122)。以上の処理が終了すると、測定した位置情報Ipsと、そのときの輝度値Irfのスキャン毎のデータセットが記憶部に記録されている。位置センサを用いていない場合でも、少なくとも輝度値Irfのスキャン毎のデータセットが記憶部に記録されている。
<データ処理>
測定が終了したら、記憶部に記憶された測定データを処理する。なお以降の説明においては、受光手段の分解能を低分解能Rlに設定し、遮蔽度を分解能内での輝度変化によって評価する第二の測定方法を代表例として用いることとする。またこの第二の測定方法においては柱状流によって透過光が受けた影響、つまり遮蔽割合を輝度の“暗さ”として評価し、測定対象の良否を判定しようとしているが、一般的には受光手段は対象物の“明るさ”を測定するものであり、説明としては明るさ変化を検出するシステムについて述べた方が理解しやすい。よって本明細書においては処理の最初に、測定処理段階で得られた輝度データの値を反転する処理をあえて施した場合を考える。つまり1024階調(0〜1023)の出力信号を出力できる受光手段であれば、実際に得られた輝度値Irf(上記した輝度Kに比例する値)は(8)式によって反転されて判定後の実処理対象信号である遮蔽度IS(上記した遮蔽割合Sに比例した値)となり、以降の説明で用いる。
Figure 2009160546
(8)式による信号反転操作により、正常な柱状流で生じる大きな遮蔽状態に対しては、輝度値Irfでは小さい値が得られるが、変換後の遮蔽度ISでは逆に大きい値(完全な正常状態で最大)が得られることとなる。つまり、吐出口に異物が詰まって柱状流が小さくなることによる遮蔽割合Sの減少に伴って実処理対象信号である遮蔽度ISも減少していくという感度特性が得られたことになり、遮蔽度ISの減り具合に閾値を設けて欠陥を判定すればよい。なお、この操作は一般的な考え方に沿って説明しやすくするために行うもので検査としては必須ではない。つまり輝度値Irfと遮蔽度ISは値が反転しているだけであるので、輝度値Irfを用いた感度特性のままで実用化したとしてもなんら問題はない。
また受光手段の分解能を高分解能Rhに設定し、遮蔽度を単位空間幅内における遮蔽された分解能単位の個数によって評価する第一の測定方法を採用した場合についても補足しておく。第一の測定方法を用いる場合には、所定の柱状流が存在すべき場所を位置Ips情報から認識し、各柱状流における、輝度値Irfが所定の閾値よりも低い分解能単位の個数をそのまま遮蔽度ISとすればよい。本方法であれば、正常な柱状流で生じる大きな遮蔽状態に対して遮蔽度ISが大きな値となり、吐出口に異物が詰まって柱状流が小さくなることによる遮蔽状態の変化に伴って、遮蔽度ISは減少していくため、上記の信号反転処理を施した第二の測定方法と同様に、遮蔽度ISの減り具合に閾値を設けて欠陥を判定すれば良い。つまり信号反転操作の必要はない。
柱状流直径変化に基づく遮蔽度変化を、分解能内での輝度変化によって評価する第二の測定方法に戻って説明を続ける。
図7に、測定データの例を示す。横軸は位置Ipsを表し、縦軸は遮蔽度ISを表す。図7(a)乃至(c)は、それぞれ1回からm回目のスキャンでのデータ例を示す。それぞれのスキャンで吐出口のピッチ86毎に遮蔽度ISの高い部分が観測される。遮蔽度ISが高いということは透過光が柱状流によって遮蔽されている割合が高く、つまり柱状流が正常状態に近いということである。なお、縦線87は吐出口の中心と推定される位置である。
図8にデータ処理のフローの例を示す。データ処理が開始されたら(S1200)、記憶部から測定データを読み出し(S1202)、必要があれば図示しないステップ1203において上記した信号反転処理を行ってから吐出口のピッチ毎に遮蔽度ISs(Ips)を求める(S1204)。
もし、位置センサを使用していない場合には位置情報Ipsを信号波形自身から得る。具体的には、吐出口間隔設計値、カメラ測定周期、テーブル移動速度、等の情報から、柱状流による透過光の遮蔽が生じて(反転処理後の)信号がピーク状になる信号波形上の位置を推測し、誤差量を加味した上で設定した許容領域内をサーチし、最大信号位置を抽出し、この位置を求めてIpsとすればよい。仮に異物の詰まりが発生して透過光の遮蔽が生じなかったために信号波形にピークが得られない場合は、誤差を含まない理論上の位置をIpsとすればよい。
このように、位置情報を測定ステップ(S1100)で直接取得せずに、データ処理ステップ(S1200)で求めることもできる。従って、位置情報Ipsの取得は、測定ステップ(S1100)で行うこととしてもよいし、データ処理ステップ(S1200)で行うこととしてもよい。
また位置センサを使用した場合の受光手段による測定方法は特に限定されるものではなく、吐出口があると推定される点87における輝度値を測定する他、より好ましくは測定系に生じる外乱を加味した上で点87付近に設定した許容領域内の遮蔽度最大値を測定値としてもよい。
なお、ISs(Ips)においては、ISの添え字である「s」はスキャン回数を表し、「(Ips)」は位置を表す。なお、「(Ips)」は吐出口の番号としてもよい。吐出口の位置若しくは番号を表す場合は「(n)」を用いる。この場合は、例えば吐出口列の左端から順に吐出口に番号が振られる。同様の処理は全てのスキャン時のデータにも施される。
次に特定の吐出口についての遮蔽度ISについて、遮蔽度平均値AvISと遮蔽度標準偏差値EfISを求める(S1206)。遮蔽度平均値AvIS(n)とは、各スキャン時のデータで同じ位置情報Ipsの点での遮蔽度ISs(Ips)の平均である。具体的には、図7において、位置情報Ipsがnの点での遮蔽度IS1(n)、IS2(n)、・・・・、ISm(n)の平均値である。
遮蔽度平均値AvIS(n)は次の(9)式によって表される。
Figure 2009160546
また、輝度標準偏差値EfIS(n)は位置情報Ipsがnの点(もしくはn番目の吐出口)での遮蔽度ISs(n)と遮蔽度の平均値AvIS(n)を用いて次の(10)式で表される。
Figure 2009160546
なお、本検査においてはスキャン回数が1回の場合も検査可能であるとしているが、この時には遮蔽度平均値AvIS(n)はm=1として求める。つまり、厳密には複数のデータの統計結果として平均値を求めることはできないが、本発明においては便宜上、複数ではなくただ1つのデータから求めた平均値として扱う。またこの場合、遮蔽度標準偏差値EfIS(n)を求めることは出来ないため、遮蔽度標準偏差値を用いた検査は実行できない。ただし後述する空間的な測定・データ統計処理を行う場合には、スキャン回数が1回の場合でも空間的な位置が異なる複数のデータから遮蔽度平均値AvIS(n)、遮蔽度標準偏差値EfIS(n)を求めることが可能である。
以上の処理によって、塗布ノズルの吐出口に対応する遮蔽度平均値と遮蔽度標準偏差値が求まる。そして次のステップとしては、終了判定(S1208)をはさんで遮蔽度平均値および遮蔽度標準偏差値を所定の閾値と比較する評価処理を行う。終了判定は、全ての吐出口の位置情報Ipsに対する遮蔽度平均値と遮蔽度標準偏差値の評価が終了したか否かで決まる。評価すべき値が残っている場合は、それぞれの吐出口毎に遮蔽度平均値が所定の閾値Athより小さいか、また遮蔽度標準偏差値が所定の閾値Ethより大きいかを判断する(S1210)。
遮蔽度平均値が閾値Athより小さいということは、塗布ノズルの吐出口からの吐出量が少ないために柱状流が所定の太さよりも細く、測定透過光を所定レベルまで遮蔽しきれていないということである。つまり蛍光体塗液などを、この塗布ノズルを用いて塗布した際に、その吐出口からの塗液だけ少ないことを意味する。従って、どの程度まで吐出量が少なくてもよいかという観点でこの閾値は決められる。
また、遮蔽度標準偏差値が閾値Ethより大きいということは、経過時間によって吐出量に変化があることを意味する。これはその吐出口で塗布された部分は、部分的に薄くなったり濃くなったりすることを意味する。従って、どの程度まで吐出量の変化を許容するかという観点でこの閾値は決められる。
上記した遮蔽度平均値による判定、遮蔽度標準偏差値による判定は、少なくともどちらか一方を行はなくてはならないが、両方を行って結果のand、もしくはorによって最終的な判定を行っても良い。
以上は遮蔽度平均値若しくは遮蔽度標準偏差値に対して固定の閾値を設定する場合について説明したが、これらの閾値は、測定対象となる吐出口以外の吐出口から得られたデータを基準とした相対値として設定してもよい。これはつまり異常が発生している吐出口では正常な吐出口に比して遮蔽度平均値は低く、遮蔽度標準偏差値は大きくなるため、吐出口同士の相対比較によって欠陥を判定しても良いことを意味する。
この方法は特に、経時的に照明手段の出力が衰え、測定によって得られる輝度値が全体的に減少した場合や標準偏差値が小さくなった場合などに有効である。例えば照明手段15の出力が衰えた場合には、遮蔽度の高い正常柱状流においても遮蔽度の低い異常柱状流においても得られる輝度値Irfは低くなり、これを反転して得られる遮蔽度IS情報は正常柱状流においても異常柱状流においても高くなってしまうため、固定の閾値による判定では欠陥部を見逃してしまう恐れがある。
このため具体的には上記した通り欠陥判定の評価値とする遮蔽度平均値AvIS、遮蔽度標準偏差値EfISを求めた後、測定対象とする吐出口以外で、かつ当該吐出口近辺の少なくとも2つ以上の吐出口のAvIS、EfISを平均化して閾値基準遮蔽度平均値AvIS’、閾値基準遮蔽度標準偏差値EvIS’を求め、予め設定しておいた係数、例えば平均値判定であれば0.8、標準偏差値判定であれば1.2を乗算して当該吐出口検査のための閾値とするなどである。
この閾値算出工程は、図8中ではステップS1208の前、若しくはステップS1210の前に行われ、例えば図示しないステップS1207とすることができる。この閾値算出工程が行われた場合は、遮蔽度平均値や遮蔽度標準偏差値が比較される対象の閾値は閾値基準遮蔽度平均値AvIS’および閾値基準遮蔽度標準偏差値EvIS’に予め設定しておいた係数を乗じた値となる。
なお、ここまでは、スキャン毎に得られる遮蔽度を統計処理する方法について説明を行ったが、これは計測時刻が異なる時点毎の遮蔽度に基づいて遮蔽度平均値や遮蔽度標準偏差値を求めることにあたる。一方で、吐出口から吐出される柱状流に対して空間的に広い領域を同時に測定し、柱状流における複数点の測定情報について遮蔽度平均値、遮蔽度標準偏差値を求めてもよい。
空間的に複数点の測定情報を統計処理することにより、1点(正確には分解能単位サイズで柱状流を横切る1列の空間)を測定した場合に比べて電気ノイズや正常な吐出口における柱状流にも発生するレベルの柱状流形成不安定さなどの外乱影響を低減できると共に、柱状流における上流と下流では吐出されたタイミング(時間)に差があるため、異常な吐出口において微小時間内における吐出状態の変動があった場合には、これを検出することができる。また更にこの空間的な統計処理を行いつつ、更に前述の複数回測定(時間的な統計処理)を行うことによって比較的長時間における柱状流の変動を加味した測定ができるため、空間的な統計処理と時間的な統計処理を組み合わせることも好ましい。
上記空間的な統計処理について詳しく説明する。図9には吐出口から吐出された柱状流を含む空間を2次元画像として撮像した例を示す。受光手段によって得られた画像70には、塗布ノズル90と柱状流95が5本写っている場合を示している。2次元の撮像手段を用いる場合には、ステージを移動させながら2次元撮像手段が撮像した画像をつなぎ合わせて画像70を構成する。一方で1次元の撮像手段を用いる場合には、撮像素子の並び方向と柱状流の吐出方向を合わせた形に配置し、ステージを移動させながら1次元撮像手段が撮像した1次元画像をつなぎ合わせて画像70を構成する。
なお無論、2次元撮像手段を用いるにしても1次元撮像手段を用いるにしても、測定処理を施す空間領域に対しては上述の光学原理が保てるように柱状流の吐出方向と同方向に充分に幅広い発光領域を有する照明手段が必要である。
符号77の点は符号76の点よりも、また符合76の点は符号75の点よりも時間的に過去に吐出口を出た液体である。そこで、この画像で吐出口から下方に向けて求めた遮蔽度に基づいて遮蔽度平均値や遮蔽度標準偏差値を求めても良い。具体的には、符号77の点の遮蔽度をIS1(n)とし、符号76の点での遮蔽度をIS2(n)とし、符号75の点での遮蔽度をIS3(n)とするなどである。
空間的な統計処理の後、時間的な統計処理も行う場合には、空間的な統計処理においてはあるひとつの吐出口(柱状流)に対して複数の空間領域による遮蔽度平均値だけを求めてこれを一回のスキャンの代表値とし、続く時間的な統計処理においてはこの代表値を元に複数回スキャンによる遮蔽度平均値、および遮蔽度標準偏差値を求めれば良い。
例えば遮蔽度平均値が閾値より小さく、かつ遮蔽度標準偏差値が閾値より大きい場合(異常値判定が、遮蔽度平均値と遮蔽度標準偏差値の両方が閾値を超えた条件で異常と判定するように設定されている場合を仮定)は、異常値として位置情報とともに記録する(S1212)。すなわち、データ処理の結果異常値には、位置情報Ipsに加えて、その時の遮蔽度平均値AvIS(Ips)および遮蔽度標準偏差値EfIS(Ips)が少なくとも記録される。そうでない場合は、終了判断のステップS1208まで戻る。
なお、位置情報Ipsは、異常を示す吐出口の番号であってもよい。なお、位置情報Ipsの取得は2次元の画像データを取得した後、この画像データの輝度情報や、吐出口間隔設計値、カメラ測定周期、テーブル移動速度などを用いてデータ処理工程で求めてもよいのは、2次元でない場合と同じである。評価すべきデータがなくなったら、処理をメインに戻す(S1214)。
またここで受光手段の分解能を高分解能Rhに設定し、遮蔽度を単位空間幅内における遮蔽された分解能単位の個数によって評価する第一の測定方法を採用した場合について補足しておく。測定のために使用する液体、吐出の圧力、吐出穴の形状やサイズなどによっては、図9の符号74の点に示すノズル下面直近において、柱状流の形状(メニスカス)が液体の吐出量に応じて激しく変化する場合がある。この場合には、符号75、76、77の点に示す柱状流が完全に円柱状に形成されている部分でその直径に伴って変化する遮蔽度を測定するよりも、符号74の点に示すノズル下面直近で液体のメニスカス形状を、分解能Rhを柱状流の流れ方向と幅方向に配置した2次元空間で透過光量を測定し、所定の2次元領域で遮蔽度を求めることが好ましい。この手法によってより柱状流の状態変化に敏感な測定が可能となる場合がある。
<データ表示>
図5を再度参照して、データ表示処理(S1250)は、データ処理の結果、異常値として記録された場所を示すものである。これは、位置情報Ips若しくは吐出口番号nと、遮蔽度平均値AvIS(Ips)若しくは遮蔽度標準偏差値EfIS(Ips)のいずれか、もしくは両方ともを表示する。
以上のように本発明の塗布ノズル検査装置を用いて、上記に示した方法で検査を行うことで、実際に塗布する前にノズルの吐出口からの塗液の吐出量異常を検出することができる。従って、この検査によって良好と判断されたノズルを用いて、塗液を塗布することで、むらのない、均一な製品を得ることができる。
本発明は塗液を塗布するための吐出口を有する塗布ノズルの吐出量を検査する場合に利用できる。
本発明の塗布ノズル検査装置の構成を示す図である。 本発明の塗布ノズル検査装置の構成を示す図である。 柱状流と透過光の様子を説明する図である。 分解能設定による柱状流断面積の測定感度を示す図である。 塗布ノズルの検査の処理を示すフローを示す図である。 測定の処理のフローを示す図である。 測定結果の例を示す図である。 データ処理のフローを示す図である。 柱状流を2次元画像として取得した際の例を示す図である。 塗布ノズルによる塗布を示す図である。
符号の説明
101 パネル
102 セル
11 レール
12 ステージ
13 駆動モータ
14 位置センサ
15 照明手段
16 受光手段
17 制御手段
19 表示器
20 超音波振動装置
21 気泡発生装置
25 パン
26 ポンプ
27 フィルター
30 パンに落下した液体
31 ポンプから供給される液体
35 柱状流に当たらない光
36 柱状流に当たる光
70 受光手段によって得られた二次元画像
74 ノズル下面直近の空間位置を示す符号
75 ある時間に吐出された液を捉える空間位置を示す符号
76 75よりも前に吐出された液を捉える空間位置を示す符号
77 76よりも前に吐出された液を捉える空間位置を示す符号
90 塗布ノズル
91 塗液
92 吐出口
93 液供給口
95 柱状流
96 上面部
97 ノズル本体
99 マニホールド
a 不感帯
b 使用不可信号領域(面積率正常側)
b’ 使用不可信号領域(面積率異常側)
d 吐出口に異物が詰まっていない場合の柱状流の直径
d’ 吐出口に異物を詰めた場合の柱状流の直径
F 吐出口に異物が詰まっていない場合の柱状流
F’ 吐出口に異物を詰めた場合の柱状流
Li 照射光
Lt 透過光
Rh 高分解能
Rl 低分解能
W 単位空間幅
Ws 正常な柱状流における透過光が通過できなかった幅
Ws’ 異常な柱状流における透過光が通過できなかった幅
Wt” 柱状流が存在しない単位空間を透過光が通過した幅
Wtl 透過光が正常な柱状流の左側を通過した幅
Wti’ 透過光が異常な柱状流の左側を通過した幅
Wtr 透過光が正常な柱状流の右側を通過した幅
Wtr’ 透過光が異常な柱状流の右側を通過した幅
φ 吐出口の直径

Claims (23)

  1. 塗布ノズルの検査装置において、連続的に吐出される液体によって形成される柱状流を生成する吐出口が一列に配列されている塗布ノズルに液体を供給する液体供給手段と、前記柱状流に光を放射する照明手段と、前記柱状流を挟んで前記照明手段と対向する位置で光を受光可能な受光手段と、少なくとも前記受光手段に接続され、受光手段からの出力を受信する制御手段を有する塗布ノズル検査装置。
  2. 前記受光手段の分解能Rは、前記吐出口の直径をφとして(1)式を満足することを特徴とする請求項1記載の塗布ノズル検査装置。
    Figure 2009160546
  3. 前記塗布ノズルを保持する塗布ノズル保持手段と、前記照明手段を保持する照明手段保持手段と、前記受光手段を保持する受光手段保持手段を有し、前記塗布ノズル、もしくは前記受光手段の少なくともどちらか一方を前記塗布ノズルに一列に配列された前記吐出口の配列方向に相対移動させるガイド手段と駆動手段を有する請求項1又は2に記載された塗布ノズル検査装置。
  4. 前記制御手段に接続され、前記ガイド手段上での前記塗布ノズル、もしくは前記照明手段と前記受光手段の位置を示す情報を検知し、出力する位置検出手段をさらに有する請求項1乃至3の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
  5. 前記塗布ノズルの下に設置され、前記液体を受け止める貯留手段と、前記貯留手段から前記液体を吸い上げ前記塗布ノズルに供給する循環手段を有する請求項1乃至4の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
  6. 前記塗布ノズルの検査を実施する前に前記塗布ノズル内に固着した異物の固着力を弱める異物固着力低減手段を有する請求項1乃至5の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
  7. 前記異物固着力低減手段が、前記液体に気泡を含有させる気泡発生手段である請求項1乃至6の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
  8. 前記異物固着力低減手段が、前記塗布ノズル、もしくは前記液体の少なくともどちらか一方を振動させる超音波振動手段である請求項1乃至7の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
  9. 前記制御手段に接続された検査結果を表示するための表示手段を有する請求項1乃至8の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
  10. 塗布ノズルに形成された吐出口によって形成された柱状流を含む空間に照明手段から光を放射し、前記柱状流を挟んで照明手段と対向して設けられた受光手段によって光を受光して輝度値を得る測定工程と、前記測定工程によって得られる前記輝度値を遮蔽度として所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断するデータ処理工程を有する塗布ノズル検査方法。
  11. 前記受光手段が複数の受光素子を有しており、少なくとも前記柱状流の一部を含む空間から得られた輝度値を前記遮蔽度とすることを特徴とし、更に受光手段の分解能Rは、前記吐出口の直径をφとして(1)式を満足することを特徴とする請求項10記載の塗布ノズル検査方法。
    Figure 2009160546
  12. 前記受光手段が複数の受光素子を有しており、少なくとも前記柱状流の幅方向の全長にわたる空間から受光素子単位に分割された二次元輝度情報を得た後、前記二次元輝度情報のうちから所定の閾値を下回った輝度情報の数を得て前記遮蔽度とすることを特徴とする請求項10記載の塗布ノズル検査方法。
  13. 前記測定工程は、さらに前記柱状流の位置情報も得る工程である請求項10乃至12の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
  14. 前記測定工程は、前記柱状流に対して前記位置情報と前記遮蔽度を複数回求める工程であり、前記データ処理工程は、前記複数回求めた遮蔽度から少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である請求項13に記載された塗布ノズル検査方法。
  15. 前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での遮蔽度と、前記柱状流の位置情報を得る工程であり、前記データ処理工程は、前記複数個所での遮蔽度から少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である請求項13又は14に記載された塗布ノズル検査方法。
  16. 前記データ処理工程は、前記測定工程によって得られる遮蔽度から、前記遮蔽度に対応する前記吐出口の位置情報を求め、前記遮蔽度と所定の閾値を比較し、異常値か否かを判断する工程である請求項10乃至12の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
  17. 前記測定工程は、前記柱状流に対して前記遮蔽度を複数回得る工程であり、前記データ処理工程は、前記複数回求めた遮蔽度から前記吐出口の位置情報と、少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である請求項16に記載された塗布ノズル検査方法。
  18. 前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での遮蔽度を得る工程であり、前記データ処理工程は、前記複数個所での遮蔽度のうち少なくとも1つの前記遮蔽度から前記吐出口の位置情報を求め、さらに、前記複数個所での遮蔽度から少なくとも遮蔽度平均値か遮蔽度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し、異常値か否かを判断する工程である請求項16又は17に記載された塗布ノズル検査方法。
  19. 前記データ処理工程で判断の対象となる前記柱状流に対して、少なくとも、隣接する2つ以上の柱状流の前記遮蔽度平均値同士をさらに平均することで遮蔽度平均値に対する閾値を求める処理か、隣接する2つ以上の柱状流の前記遮蔽度標準偏差値同士をさらに平均することで遮蔽度標準偏差値に対する閾値を求める処理か、のいずれか、もしくは両方の処理を行う閾値算出工程をさらに有する請求項10乃至18の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
  20. 前記塗布ノズルに気泡を含む液体を供給する工程を有する請求項10乃至19の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
  21. 前記塗布ノズル、もしくは前記液体の少なくともどちらか一方に超音波振動を加える工程を有する請求項10乃至20の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
  22. 前記データ処理工程において異常値と判断された点の前記位置情報を表示する工程を有する請求項10乃至21の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
  23. 塗布装置に塗布ノズルを搭載する前に、請求項1乃至9の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置、もしくは請求項10乃至22の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法を用いて塗布ノズルの良否を判定し、不良のないノズルを選別して塗布に用いることを特徴とする塗液の塗布方法。
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