JP2009160280A - 車両用シートの連結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用シートのリクライニング装置のように、二つの連結部材を軸方向に組み付けて構成される連結装置を小型化しても、この両連結部材を保持部材によって軸方向に良好に支えられるようにする。
【解決手段】車両用シートの連結装置であるリクライニング装置4はラチェット10とガイド20と保持部材70とを有する。保持部材70は、その一端にラチェット10の円筒部12の外盤面に軸方向に一定の間隔を開けて面が当てがわれる第1の当てがい面71が形成されており、他端にはガイド20の円筒部22の外盤面に軸方向に面が直接当てがわれるように第2の当てがい面72がかしめによって形成される。ガイド20の円筒部22と第1の当てがい面71との間には、ガイド20の円筒部22と軸方向に当接し、ラチェット10の円筒部12の外周位置まで張り出して第1の当てがい面71に直接当てがわれる当てリング80が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用シートの連結装置に関する。詳しくは、二つの対象部材を互いに相対回転可能に連結する車両用シートの連結装置に関する。
従来、車両用シートにおいて、シートバックがリクライニング装置を介してシートクッションと連結されており、その背凭れ角度の調整操作が可能とされた構成が知られている。ここで、下記特許文献1には、上記したリクライニング装置の構成が開示されている。この開示では、リクライニング装置は、シートクッションの骨格部とシートバックの骨格部とにそれぞれ一体的に連結される二枚の円盤状部材と、これらを軸方向に挟み込んで互いに重合させた状態に保持する保持部材とを有する。
上記した二枚の円盤状部材には、それぞれ、外周縁部が軸方向に突出した円筒部が形成されている。そして、両円盤状部材は、その一方側の円筒部内に他方側の円筒部が嵌め込まれて組み付けられることにより、互いの嵌合構造によって互いに相対回転可能に支え合う構成となっている。一方、保持部材は、上述した両円盤状部材の円筒部同士を軸方向に挟み込むフランジ状の挟持面を両端に有する円筒型形状に形成されている。
この保持部材は、予め上述した一方側の挟持面が曲げ加工されて形成されており、保持部材の円筒内部に両円盤状部材を組み付けた後、他方側の挟持面がかしめ処理によって曲げ形成されるようになっている。
特開2007−130237号公報
しかし、上記開示の従来技術では、リクライニング装置を小型化することにより、保持部材の他方側の挟持面を形成するかしめ処理が行い難くなる。すなわち、従来は、他方側の挟持面のかしめ処理は、先に形成された一方側の挟持面に受型が当てがわれて行われるようになっている。したがって、リクライニング装置の小型化によって、受型を当てがう受面の寸法が狭められることにより、かしめ処理時の支えが不安定になってしまうこととなる。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両用シートのリクライニング装置のように、二つの連結部材を軸方向に組み付けて構成される連結装置を小型化しても、この両連結部材を保持部材によって軸方向に良好に支えられるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートの連結装置は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、二つの対象部材を互いに相対回転可能に連結する車両用シートの連結装置であり、二つの連結部材と保持部材とを有する。二つの連結部材は、二つの対象部材の一方側或いは他方側にそれぞれ一体的に連結されて、互いに相対回転可能に支え合うように軸方向に組み付けられる。保持部材は、二つの連結部材を軸方向に支えて組み付けた状態に保持する。保持部材は、軸方向の一端に、一方側の連結部材の外周部に軸方向に一定の間隔を開けて面が当てがわれる第1の当てがい面を有する。保持部材の軸方向の他端には、他方側の連結部材の外周部に軸方向に面が直接当てがわれる第2の当てがい面が両連結部材の組み付け状態で曲げ形成されるようになっている。他方側の連結部材の外周部には、一方側の連結部材の外周部の外周位置まで張り出して第1の当てがい面に直接当てがわれる当て部が他方側の連結部材の外周部に一体的に或いは他方側の連結部材の外周部と軸方向に当接して別体的に設けられている。
この第1の発明によれば、他方側の連結部材の外周部から軸方向に張り出す当て部が設けられることにより、保持部材の第1の当てがい面には当て部が直接当てがわれる。したがって、両連結部材の小型化によって一方側の連結部材の外周部の半径方向の径が縮められても、第1の当てがい面に当てがわれる当て部によって、保持部材の他端に第2の当てがい面を曲げ成形する際の支持側の支え面を確保して成形性を担保することができる。よって、両連結部材が小型化されても、保持部材の第2の当てがい面を良好に形成することができ、両連結部材を保持部材によって軸方向に良好に支えられるようにすることができる。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、保持部材には、第1の当てがい面から一方側の連結部材の外周部に向けて軸方向に突起状に突出する突部が円周方向の複数箇所に配置形成されている。突部の軸方向の突出量は、一方側の連結部材の外周部から軸方向に張り出す当て部の張り出し量よりも小さくなっている。
この第2の発明によれば、保持部材に形成した突部により、保持部材と一方側の連結部材とは、互いに軸方向に点で接触するようになる。これにより、一方側の連結部材の回転時の保持部材との接触に伴う摺動抵抗の影響が小さく抑えられる。そして、このような突部を形成しても、当て部の張り出し量によって、突部と一方側の連結部材の外周部との間に軸方向の一定の適切な隙間を確保することができ、両連結部材の相対回転を円滑に行えるようにすることができる。
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、他方側の連結部材の外周部は、軸方向に円筒状に突出した円筒部として形成されている。当て部は、円筒部に軸方向に当接するリング形状に形成されている。
この第3の発明によれば、当て部が他方側の連結部材の外周部に対して別体的に形成されていることにより、外周部に必要な軸方向の厚みを薄く抑えることができる。したがって、外周部が他方側の連結部材の軸方向の半抜き加工によって形成される場合には、外周部を軸方向に深く絞り込まなくても当て部の設定をすることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の車両用シートの連結装置の構成について、図1〜図8を用いて説明する。ここで、図2には、本実施例の車両用シート1の概略構成が示されている。この車両用シート1は、背凭れとなるシートバック2が、その両サイドの下部位置に配設された左右一対のリクライニング装置4,4によって、着座部となるシートクッション3と連結されている。ここで、リクライニング装置4,4が本発明の車両用シートの連結装置に相当する。
これらリクライニング装置4,4は、互いのロック解除の操作を行う操作軸4c,4cが、連結ロッド4rによって一体的に連結されて構成されている。これにより、各リクライニング装置4,4は、シートバック2の背凭れ角度を固定したロック状態と、この固定状態を解除してシートバック2の背凭れ角度調整を行える状態にする解除状態とに、互いの作動状態の切換えが同期して行われるようになっている。ここで、各リクライニング装置4,4は、常時はロックした作動状態に附勢によって保持されている。
そして、各リクライニング装置4,4は、シートクッション3の側部位置に設けられた操作レバー5の引き上げ操作を行うことにより、それらのロック状態が一斉に解除操作される。これにより、シートバック2の背凭れ角度の固定状態が解かれるため、その背凭れ角度の調整移動を行うことができる。そして、シートバック2の背凭れ角度を調整した後に、操作レバー5の解除操作をやめれば、各リクライニング装置4,4は再び附勢によってロック状態に戻されるため、シートバック2はその調整した背凭れ角度位置に固定されることとなる。
ここで、シートバック2は、シートクッション3との間に掛着された図示しない附勢ばねの附勢力によって、常時は前倒しの回動方向に附勢されている。したがって、車両用シート1が着座使用されていない状態で、上述した各リクライニング装置4,4のロック状態を解除することにより、シートバック2は附勢によって前倒しされて、シートクッション3の上面部に畳み込まれた状態となる。
このとき、各リクライニング装置4,4は、通常、シートバック2が背凭れとして使用される角度領域にある時には、操作レバー5の解除操作をやめることによって、附勢によってロック状態に戻される。しかし、各リクライニング装置4,4の回転角度領域には、上記した解除操作をやめた際に附勢によってロック状態に戻されるロックゾーンと、解除操作をやめてもロック状態には戻されないフリーゾーンとが設定されている。
前者のロックゾーンは、通常、シートバック2が背凭れ使用される角度領域、具体的にはシートバック2が直立姿勢となる角度位置から後方側に倒し込まれる角度領域に設定されている。そして、後者のフリーゾーンは、シートバック2が背凭れ使用されることのない角度領域、すなわちシートバック2が直立姿勢となる角度位置から前方側に倒し込まれる角度領域に設定されている。
したがって、シートバック2を前倒しする操作時には、各リクライニング装置4,4のロック状態を解除して、シートバック2が直立姿勢から少しでも前に傾けば、あとは解除操作をやめてしまっても、シートバック2はシートクッション3の上面部に畳み込まれる位置まで自然と倒し込まれていく。以下、リクライニング装置4,4の構成について詳しく説明する。なお、各リクライニング装置4,4は、互いに左右対称の構成となっているが、実質的には同じ構成となっている。したがって、以下ではこれらを代表して、図2の紙面向かって右側に示されているリクライニング装置4の構成についてのみ説明をする。
このリクライニング装置4は、図1に示されるように、円盤形状のラチェット10及びガイド20と、これらの円盤面の間に挟まれて配置される上下一対のポール30,30及びスライドカム40と、このスライドカム40をスライド操作するためのヒンジカム50と、このヒンジカム50を回動附勢するための附勢ばね60と、ラチェット10及びガイド20を互いに板厚方向(軸方向)に挟み込んだ状態に保持するための保持部材70とが1つに組み付けられて構成されている。ここで、ガイド20が本発明の一方側の連結部材に相当し、ラチェット10が本発明の他方側の連結部材に相当する。
詳しくは、ラチェット10には、その円盤部11の外周縁において、板厚方向に円筒状に突出する円筒部12が形成されている。この円筒部12は、円盤部11の外周縁を板厚方向に半抜き加工して形成されている。そして、この円筒部12の内周面には、内歯12aと突出平面12bとが形成されている。この突出平面12bは、内歯12aよりも半径方向内方側に突出した位置に平坦な面を有して形成されており、円筒部12の内周面上の軸対称となる二箇所の位置に配置されている。
そして、この内歯12aの形成された円周方向の回転角度領域が、後述するポール30,30との噛合によるロックが行えるロックゾーンとして設定されており、突出平面12bが形成された回転角度領域が、上記したロックが行われないフリーゾーンとして設定されている。このラチェット10は、図3に示されるように、その円盤部11の外盤面が、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2fの板面と接合されることによって、シートバック2と一体的に連結されている。ここで、バックフレーム2fが本発明の二つの対象部材の一方側に相当する。
ここで、ラチェット10の円盤部11には、その外盤面から円筒状に突出する複数のダボ13a・・やDダボ13bが形成されている。これらダボ13a・・やDダボ13bは、円盤部11のより外周縁に近い位置で、円周方向に等間隔に並べて配置形成されている。このうち、Dダボ13bは、その突出した円筒形状の一部が断面D字状に切り欠かれて形成されており、円筒形状に突出したダボ13a・・とは形状が区別されるようになっている。
一方、バックフレーム2fには、上述したダボ13a・・やDダボ13bを嵌合させることのできるダボ孔2a・・やDダボ孔2bが貫通形成されている。したがって、これらダボ13a・・やDダボ13bを、バックフレーム2fに形成されたダボ孔2a・・やDダボ孔2bにそれぞれ嵌合させて、各嵌合部を溶着して接合することにより、ラチェット10がバックフレーム2fに対して強固に一体的に連結されている(図5参照)。
そして、このラチェット10の円盤部11の中心には、リクライニング装置4のロック解除の切換え操作を行う操作軸4c(図2参照)を挿通するための貫通孔14が形成されている。そして、バックフレーム2fにも、この貫通孔14と同軸線上の位置に、同じ目的で貫通孔2cが形成されている。
次に、図1に戻って、ガイド20の構成について説明する。このガイド20は、ラチェット10よりもひとまわり大きな外径をもった円盤形状に形成されている。このガイド20の円盤部21の外周縁には、ラチェット10に向けて板厚方向に円筒状に突出する円筒部22が形成されている。この円筒部22は、円盤部21の外周縁を板厚方向に半抜き加工して形成されている。この円筒部22は、図5に示されるように、ラチェット10の円筒部12を外周側から囲い込むことのできる大きさに形成されている。
この円筒部22の円筒内部にラチェット10の円筒部12が組み付けられた状態では、ガイド20とラチェット10とは、互いの円筒形状を嵌合させた状態として、互いに摺動し合って相対回転することのできる状態とされる。このガイド20は、図4に示されるように、その円盤部21の外盤面が、シートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3fの板面と接合されることによって、シートクッション3と一体的に連結されている。ここで、クッションフレーム3fが本発明の二つの対象部材の他方側に相当する。
ここで、ガイド20の円盤部21には、その外盤面から円筒状に突出する複数のダボ24a・・やDダボ24bが形成されている。これらダボ24a・・やDダボ24bは、円盤部21のより外周縁に近い位置で、円周方向に等間隔に並べて配置形成されている。このうち、Dダボ24bは、その突出した円筒形状の一部が断面D字状に切り欠かれて形成されており、円筒形状に突出したダボ24a・・とは形状が区別されるようになっている。
一方、クッションフレーム3fには、上述したダボ24a・・やDダボ24bを嵌合させることのできるダボ孔3a・・やDダボ孔3bが貫通形成されている。したがって、これらダボ24a・・やDダボ24bを、クッションフレーム3fに形成されたダボ孔3a・・やDダボ孔3bにそれぞれ嵌合させて、各嵌合部を溶着して接合することにより、ガイド20がクッションフレーム3fに対して強固に一体的に連結されている(図5参照)。
そして、このガイド20の円盤部21の中心には、リクライニング装置4のロック解除の切換え操作を行う操作軸4c(図2参照)を挿通するための貫通孔25が形成されている。そして、クッションフレーム3fにも、この貫通孔25と同軸線上の位置に、同じ目的で貫通孔3cが形成されている。なお、貫通孔3cは、後述する附勢ばね60もその孔内部に収め入れられるように形状が大きく形成されている。
そして、図1に戻って、ガイド20の円盤部21には、その内盤面が板厚方向に「十」符号状に凹んだガイド溝23が形成されている。このガイド溝23は、円盤部21を「十」符号状に板厚方向に半抜き加工することによって形成されている。ここで、前述したダボ24a・・やDダボ24bは、このガイド溝23が形成された外盤面上の位置にそれぞれ突出して形成されている。このガイド溝23は、その図示向かって上側と下側の溝部が、後述する各ポール30,30をそれぞれ内部に収め入れることのできるポール溝23a,23aとして形成されている。
これらポール溝23a,23aは、図7に示されるように、その左右両サイドに側壁となって形成される案内壁21a,21bや案内壁21c,21dの形状により、ポール30,30をその溝形状に沿ってガイド20の半径方向の内外方(図示上下方向)にのみスライドさせられるようにガイドする。そして、ガイド溝23の横方向に延びる図示向かって右側と左側とその間の溝部が、後述するスライドカム40を内部に収め入れることのできるスライドカム溝23bとしてひとつなぎに形成されている。
このスライドカム溝23bは、その上下両サイドに側壁となって形成される案内壁21a,21cや案内壁21b,21dの形状により、スライドカム40をその溝形状に沿ってガイド20の半径方向の内外方(図示左右方向)にのみスライドさせられるようにガイドする。そして、図1に戻って、ガイド20の円盤部21には、外盤面からピン形状に突出するばね掛部26,26が形成されている。これらばね掛部26,26は、後述する附勢ばね60(巻きばね)の外端62を掛着させるための機能部品となっており、その掛着位置を選択できるように円周方向の二箇所に形成されている。
次に、ポール30,30の構成について説明する。これらポール30,30は、前述したガイド20に形成された各ポール溝23a,23aの内部に収容される駒形状に形成されている。これらポール30,30は、互いに上下対称な形状に形成されている。具体的には、各ポール30,30は、その外周縁が、前述したラチェット10の円筒部12の内周面と合致する円弧状に湾曲した形状に形成されている。そして、この円弧状に湾曲した外周面には、上記ラチェット10の円筒部12の内周面に形成された内歯12aと噛合可能な外歯30a,30aが形成されている。
したがって、各ポール30,30は、図6に示されるように、後述するスライドカム40に押圧されて半径方向外方側にスライドすることにより、外歯30a,30aがラチェット10の内周面に形成された内歯12aと噛合した状態となる。これにより、各ポール30,30とラチェット10とは、互いの噛合によって、円周方向に一体的な状態となる。しかし、各ポール30,30は、ガイド20との関係においては、半径方向の内外方にしかスライドすることができないようになっている。
したがって、ラチェット10は、噛合状態となった各ポール30,30を介して、ガイド20に対する相対回転が規制された状態となる。これにより、リクライニング装置4がロックされた状態となる。このリクライニング装置4のロック状態は、図7に示されるように、各ポール30,30が半径方向内方側に引き込まれて、ラチェット10との噛合状態から外されることによって解除される。
ここで、各ポール30,30を半径方向の内外方にスライドさせる操作は、ポール30,30の間に配設されたスライドカム40の動きによって行われる。このスライドカム40は、図1に示されるように、前述したガイド20に形成されたスライドカム溝23bの内部に収容される駒形状に形成されている。このスライドカム40は、上下対称な形状に形成されている。具体的には、スライドカム40には、その図示上下側の縁部に、各ポール30,30を半径方向外方側に押し出すことのできる肩部42,42と、各ポール30,30を半径方向内方側に引き込むことのできるフック44,44とが形成されている。
ここで、前述したポール30,30は、その半径方向内方側の形状が一部肉抜きされた門型形状に形成されている。そして、各ポール30,30は、その門型の両脚をなす脚部32,32をそれぞれスライドカム40の上縁側と下縁側の面部とに当接させることにより、スライドカム40によって半径方向外方側に押圧操作されるようになっている。具体的には、図6に示されるように、各ポール30,30は、スライドカム40が図示左方側にスライドした状態では、各脚部32,32をスライドカム40の各肩部42,42に乗り上げさせた状態として半径方向外方側に押し出された状態に保持される。
これにより、各ポール30,30は、各外歯30a,30aをラチェット10の内歯12aに噛合させた状態として保持される。そして、各ポール30,30は、図7に示されるように、スライドカム40が図示右方側にスライドすることにより、その門型の内側に形成された各掛部31,31にスライドカム40の各フック44,44が引掛けられて、半径方向内方側に引張られる。これにより、各ポール30,30の各肩部42,42に乗り上げさせていた脚部32,32が、その左脇位置にある溝部43,43の内部へと引き込まれて、各ポール30,30とラチェット10との噛合状態が解除される。
これら溝部43,43は、各肩部42,42から滑らかに凹み込む形状に形成されている。したがって、この図7に示された状態から、スライドカム40が図示右方側にスライドすることにより、各ポール30,30の脚部32,32は、各溝部43,43の形状に沿って移動して、各肩部42,42に乗り上げた状態となる(図6参照)。このスライドカム40を図示左右方向にスライドさせる操作は、スライドカム40の中央部に貫通形成されたカム孔41の内部に組み付けられたヒンジカム50の動きによって行われる。
このヒンジカム50は、図1に示されるように、スライドカム40の中心部に貫通形成されたカム孔41の内部に回動可能に組み付けられている。このヒンジカム50は、ガイド20との間に掛着された附勢ばね60(巻きばね)の附勢力によって、常時は図1に示される時計回り方向に回動附勢されている。ここで、附勢ばね60は、図4に示されるように、その内端61がヒンジカム50のばね掛部51に掛着されており、外端62がガイド20のばね掛部26に掛着されている。
これにより、ヒンジカム50は、図6に示されるように、常時はその外周部に突出形成された操作突起52によって、スライドカム40をカム孔41の内面側から押圧して図示左方側にスライドさせるようになっている。そしてこれにより、各ポール30,30は、各脚部32,32をスライドカム40の各肩部42,42に乗り上げさせた状態として、ラチェット10と噛合したロック状態に保持される。
このヒンジカム50は、図2において前述した操作軸4cと一体的に連結されている。これにより、ヒンジカム50は、操作レバー5(図2参照)の引き上げ操作に伴って、図1に示される附勢ばね60の附勢に抗した図示反時計回りに回動操作されるようになっている。すなわち、ヒンジカム50は、上記した操作によって、図6の時計回り方向に回動操作される。これにより、図7に示されるように、スライドカム40が図示右方側にスライド操作されて、各ポール30,30が、ラチェット10との噛合状態から外される。
次に、図1に戻って、保持部材70について説明する。この保持部材70は、薄い鋼板がリング状に打ち抜かれて形成されており、更に軸方向に半抜き加工されることによって、図示奥側の一端に軸方向に面を向けたフランジ状の第1の当てがい面71を有する円筒型形状に形成されている。この保持部材70は、図5に示されるように、その円筒内部に前述したラチェット10とガイド20とを組み付けてから、その他端をかしめて半径方向内方側に折り曲げることにより、ガイド20の外盤面側に軸方向に面を向けたフランジ状の第2の当てがい面72が形成されるようになっている。
ここで、図1に戻って、ガイド20の外周部となる円筒部22には、この円筒部22と同じ筒形状の当てリング80が、軸方向に当接するように組み付けられている。ここで、当てリング80が本発明の当て部に相当する。この当てリング80は、図8に示されるように、ガイド20とラチェット10とが軸方向に組み付けられた状態では、ラチェット10の円筒部12の外周面側に位置して、円筒部12の外盤面よりも更に軸方向に張り出した状態に配置されるようになっている。
そして、上記のように当てリング80が組み付けられることにより、保持部材70の円筒内部にラチェット10とガイド20とが組み付けられると、保持部材70の第1の当てがい面71は、当てリング80に直接面が当てがわれて、ラチェット10の円筒部12の外盤面との間に軸方向に一定の間隔を開けた状態で面が当てがわれるようになっている。したがって、次に、この当てリング80に当てがわれた第1の当てがい面71の外面に受型Mを当てがって、保持部材70の他端に圧力をかけてかしめることにより、第2の当てがい面72がガイド20の円筒部22の外盤面に軸方向に直接面が当てがわれた状態として曲げ形成される。
これにより、ラチェット10の円筒部12の外盤面と第1の当てがい面71との間に僅かな隙間を設けた状態として、ラチェット10がガイド20に対して相対回転が阻害されない状態に組み付けられている。ここで、図1に示されるように、ラチェット10の円筒部12に当てがわれる第1の当てがい面71には、その周方向の複数箇所に、内盤側の面から軸方向に突起状に突出する突部71a・・が形成されている。
これにより、ラチェット10の円筒部12は、第1の当てがい面71に対しては突部71a・・によって点で接触するようになっており、その回転時の接触に伴う摺動抵抗の影響が小さく抑えられるようになっている。なお、上述した当てリング80は、図8に示されるように、厳密にはラチェット10の円筒部12の外盤面からの軸方向(図示左方向)の張り出し量が、各突部71a・・の第1の当てがい面71からの軸方向(図示右方向)の突出量よりも大きくなるように設定されている。これにより、各突部71a・・は、当てリング80の張り出しによって、ラチェット10の円筒部12の外盤面との間に一定の適切な隙間を有した状態として組み付けられている。
このように、本実施例の車両用シートの連結装置であるリクライニング装置4によれば、ガイド20の円筒部22(外周部)から軸方向に張り出す当てリング80が設けられることにより、保持部材70の第1の当てがい面71には当てリング80が直接当てがわれる。したがって、ラチェット10及びガイド20の小型化によってラチェット10の円筒部12の半径方向の径が縮められても、第1の当てがい面71に当てがわれる当てリング80によって、保持部材70の他端に第2の当てがい面72を曲げ成形する際の受型Mを当てがう支持側の支え面を確保して、成形性を担保することができる。
よって、ラチェット10やガイド20が小型化されても、保持部材70の第2の当てがい面72を良好に形成することができ、ラチェット10やガイド20を保持部材70によって軸方向に良好に支えられるようにすることができる。そして、両当てがい面71,72を精度良く形成することができるため、第1の当てがい面71とラチェット10の外盤面との間の隙間管理も良好に行うことができる。また、当てリング80がガイド20の円筒部22に対して別体的に形成されていることにより、円筒部22に必要な軸方向の厚みを薄く抑えることができる。したがって、本実施例のように、円筒部22がガイド20の軸方向の半抜き加工によって形成される場合には、円筒部22を軸方向に深く絞り込まなくても当て部の設定をすることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、上記実施例では、本発明の車両用シートの連結装置を、シートバック2をシートクッション3に対して背凭れ角度調整可能に連結するリクライニング装置4として適用したものを示した。しかし、この連結装置は、傾動式シートバックを車体フロアに対して連結する用途にも適用することができる。
また、連結装置を、シート本体を車体フロアに対して旋回方向に回転させられるように連結する用途にも適用することができる。また、連結装置を、着座者の下腿部を下方側から持ち上げて支持するいわゆるオットマン装置をシートクッションや車体フロアに対して傾動可能に連結する用途にも適用することができる。
また、連結装置として、ラチェット10の内歯12aと各ポール30,30の外歯30a,30aとを噛合させたり外したりして回転をロックしたり解除したりするロック解除操作タイプのリクライニング装置4を例示したが、特表2004−517705号公報に開示されているような外歯車(他方側の連結部材)が内歯車(一方側の連結部材)の内周面上を噛合位置を変えながら回転して公転運動するいわゆる無段階タイプのリクライニング装置にも本発明の構成を適用することができる。
また、本発明の当て部としてガイド20の円筒部22と軸方向に当接する別体のリング状の当てリング80を示したが、ガイドの円筒部を軸方向に延長した形状とすることによって、当て部をガイドの円筒部と一体的に形成してもよい。但しこの場合には、円筒部を軸方向に長く延ばす形状とするために、円筒部を深く絞り込む加工が必要となることに留意が必要である。
実施例1のリクライニング装置の分解斜視図である。 車両用シートの概略構成を表した斜視図である。 リクライニング装置の組み付け状態を表した斜視図である。 リクライニング装置の組み付け状態を表した斜視図である。 図4のV-V線断面図である。 リクライニング装置のロック状態を表した図3のVI-VI線断面図である。 図6の状態からリクライニング装置のロック状態を解除した状態を表した断面図である。 保持部材の第2の当てがい面が曲げ形成される様子を表した側面図である。
符号の説明
1 車両用シート
2 シートバック
2f バックフレーム(二つの対象部材の一方側)
2a ダボ孔
2b Dダボ孔
2c 貫通孔
3 シートクッション
3f クッションフレーム(二つの対象部材の他方側)
3a ダボ孔
3b Dダボ孔
3c 貫通孔
4 リクライニング装置(車両用シートの連結装置)
4c 操作軸
4r 連結ロッド
5 操作レバー
10 ラチェット(他方側の連結部材)
11 円盤部
12 円筒部
12a 内歯
12b 突出平面
13a ダボ
13b Dダボ
14 貫通孔
20 ガイド(一方側の連結部材)
21 円盤部
21a〜21d 案内壁
22 円筒部
23 ガイド溝
23a ポール溝
23b スライドカム溝
24a ダボ
24b Dダボ
25 貫通孔
26 ばね掛部
30 ポール
30a 外歯
31 掛部
32 脚部
40 スライドカム
41 カム孔
42 肩部
43 溝部
44 フック
50 ヒンジカム
51 ばね掛部
52 操作突起
60 附勢ばね
61 内端
62 外端
70 保持部材
71 第1の当てがい面
71a 突部
72 第2の当てがい面
80 当てリング(当て部)
M 受型

Claims (3)

  1. 二つの対象部材を互いに相対回転可能に連結する車両用シートの連結装置であって、
    前記二つの対象部材の一方側或いは他方側にそれぞれ一体的に連結されて互いに相対回転可能に支え合うように軸方向に組み付けられる二つの連結部材と、
    該二つの連結部材を軸方向に支えて組み付けた状態に保持する保持部材とを有し、
    該保持部材は軸方向の一端に一方側の連結部材の外周部に軸方向に一定の間隔を開けて面が当てがわれる第1の当てがい面を有し、該保持部材の軸方向の他端には他方側の連結部材の外周部に軸方向に面が直接当てがわれる第2の当てがい面が前記両連結部材の組み付け状態で曲げ形成されるようになっており、該他方側の連結部材の外周部には前記一方側の連結部材の外周部の外周位置まで張り出して前記第1の当てがい面に直接当てがわれる当て部が前記他方側の連結部材の外周部に一体的に或いは該他方側の連結部材の外周部と軸方向に当接して別体的に設けられていることを特徴とする車両用シートの連結装置。
  2. 請求項1に記載の車両用シートの連結装置であって、
    前記保持部材には前記第1の当てがい面から前記一方側の連結部材の外周部に向けて軸方向に突起状に突出する突部が円周方向の複数箇所に配置形成されており、該突部の軸方向の突出量は前記一方側の連結部材の外周部から軸方向に張り出す前記当て部の張り出し量よりも小さくなっていることを特徴とする車両用シートの連結装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの連結装置であって、
    前記他方側の連結部材の外周部は軸方向に円筒状に突出した円筒部として形成されており、前記当て部は該円筒部に軸方向に当接するリング形状に形成されていることを特徴とする車両用シートの連結装置。
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