JP2009159682A - 駆動力制御装置 - Google Patents

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和也 奥村
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Abstract

【課題】駆動力源の効率を改善する機能と、車両の走行安定性を向上させる機能とを、両立することの可能な駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルクを発生する駆動力源を有し、車両における要求トルクに基づいて、駆動力源を駆動する際のエネルギー効率の判断結果に基づいて、駆動力源から第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルク力の配分比を制御する第1の配分制御と、第1の車輪における接地荷重と第2の車輪における接地荷重との配分比を判断した結果に基づいて、駆動力源から第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルクの配分比を制御する第2の配分制御とを選択可能な駆動力制御装置において、車両における要求トルクに基づいて、配分比を第1の配分比または第2の配分比に近づける第1トルク制御手段(ステップS3,S4,S5,S6)を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両に設けられた第1の車輪と第2の車輪、具体的には前輪と後輪とに伝達するトルクの配分、または右車輪と左車輪とに伝達するトルクの配分を制御する、駆動力制御装置に関するものである。
従来、車両には駆動力源が搭載されており、その駆動力源の動力が、前輪および後輪に分配されるか、または右車輪および左車輪に分配される構成となっている。このように、車両の駆動力源から車輪に伝達する動力を制御する、ハイブリッド自動車の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両は四輪駆動車であり、エンジンの動力が遊星歯車機構および無段変速機を経由して前輪に伝達される構成である。また、遊星歯車機構には前輪用モータが動力伝達可能に接続されている。さらに、後輪には後輪用モータが動力伝達可能に接続されている。
そして、アクセル開度および車速に基づいて車両における要求駆動力が求められる。また、車両の走行状態が安定状態であるか否かが判断される。例えば、前輪または後輪のうち、いずれかのスリップが検出されたとき、またはハンドルが所定角度以上操作されたとき、急加速をしているときなどは、不安定な状態として判定される。ここで、車両の走行状態が安定していると判定された場合は、要求駆動力に基づいて、エンジンおよびモータの効率が最も良くなるように、前輪と後輪との間における動力の配分比、具体的にはトルクの配分比が決定される。これに対して、車両の走行状態が不安定であると判定された場合は、前輪および後輪の荷重の配分比に基づいて、前輪および後輪に伝達されるトルクの配分比が決定される。なお、前輪および後輪に動力を伝達する駆動力源が設けられた四輪駆動車において、そのトルクの分配比を制御する技術の一例は、特許文献2にも記載されている。
特開2004−136820号公報 特開2006−345677号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、エンジンおよびモータの効率が最も良くなるトルク配分の制御と、前後輪荷重配分に基づくトルク配分の制御との切替をおこなうものであり、各制御における配分トルクをきめ細かく調整するものではなかった。このため、エンジンおよびモータのエネルギー効率を改善する機能と、車両の走行安定性を向上させる機能とを、両立することが難しかった。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであって、駆動力源の効率を改善する機能と、車両の走行安定性を向上させる機能とを、両立することの可能な駆動力制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両の前後方向または車両の左右方向で異なる位置に配置された第1の車輪および第2の車輪と、この第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルクを発生する駆動力源とを有し、前記車両における要求トルクに基づいて、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を制御するにあたり、前記駆動力源で動力を発生する際のエネルギー効率を判断し、その判断結果に基づいて第1の配分比を求め、その第1の配分比に基づいて、前記駆動力源から前記第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルクの配分比を制御する第1の配分制御と、前記第1の車輪における接地荷重と第2の車輪における接地荷重との配分比を判断し、その判断結果に基づいて第2の配分比を求め、その第2の配分比に基づいて、前記駆動力源から前記第1の車輪および第2の車輪に伝達する動力の配分比を制御する第2の配分制御とを選択可能な駆動力制御装置において、前記車両における要求トルクを判断する要求トルク判断手段と、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記要求トルクの判断結果に基づいて、前記第1の配分比または第2の配分比のいずれかに近づける制御をおこなう第1トルク制御手段とを有することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1トルク制御手段は、前記要求トルクが増加した場合に、前記第1の車輪または第2の車輪のいずれか一方における現在のトルクに、前記車両が走行する路面の摩擦係数の大きさ、または現在のトルクの大きさから求めたトルクを加算することにより、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第1の配分比または第2の配分比のいずれかに近づける制御をおこなう手段を含むことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1の構成に加えて、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第2の配分比に基づいて制御している際に、前記第2の配分比が選択されてから一定時間が経過した場合は、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第2の配分比から前記第1の配分比に近づける制御をおこなう第2トルク制御手段を有していることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1の車輪または第2の車輪のうち少なくとも一方の車輪がスリップすることが検知された場合は、前記第2の配分制御を選択する第1選択手段を有することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1の車輪に伝達されるトルクおよび第2の車輪に伝達されるトルクが、前記第2の配分比に対応するトルク以上になった場合は、前記第2の配分制御を選択する第2選択手段を有していることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1の車輪または前記第2の車輪のうち、少なくとも一方の車輪がスリップする条件、または、前記車両の進行方向が変化する条件のうち、少なくとも一方の条件が成立した場合は、前記第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクを制御することにより、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第1の配分比と前記第2の配分比との間の配分比に制御する第3トルク制御手段を有していることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、駆動力源から第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、要求トルクの判断結果に基づいて、第1の配分比または第2の配分比のいずれかに近づける制御をおこなうことができる。したがって、駆動力源を駆動する際のエネルギー効率の向上と、車両の走行安定性の向上とを両立することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、要求トルクが増加した場合に、第1の車輪または第2の車輪のいずれか一方における現在のトルクに、車両が走行する路面の摩擦係数の大きさ、または現在のトルクの大きさから求めたトルクを加算することにより、駆動力源から第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、第1の配分比または第2の配分比のいずれかに近づける制御をおこなう。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、駆動力源から第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、第2の配分比に基づいて制御している際に、第2の配分比が選択されてから一定時間が経過した場合は、駆動力源から前記第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、第2の配分比から第1の配分比に近づける制御をおこなう。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第1の車輪または第2の車輪のうち少なくとも一方の車輪がスリップすることが検知された場合は、第2の配分制御を選択する。
請求項5の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第1の車輪に伝達されるトルクおよび第2の車輪に伝達されるトルクが、第2の配分比に対応するトルク以上になった場合は、第2の配分制御を選択する。
請求項6の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第1の車輪または第2の車輪のうち、少なくとも一方の車輪がスリップする条件、または、車両の進行方向が変化する条件のうち、少なくとも一方の条件が成立した場合は、第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクを制御することにより、駆動力源から第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、第1の配分比と第2の配分比との間の配分比に制御する。
この発明においては、駆動力源の動力が第1の車輪および第2の車輪に配分される構成である。第1の車輪および第2の車輪の組み合わせとしては、前輪および後輪、または右車輪および左車輪の組み合わせがある。この発明における駆動力源は、単数または複数のいずれでもよい。駆動力源を複数設ける場合、動力の発生原理が異なる駆動力源が複数設けられていてもよい。さらに、この発明において、第1の車輪に動力を伝達する駆動力源と、第2の車輪に動力を伝達する駆動力源とが同じであってもよいし、異なっていてもよい。この発明における要求トルクの判断には、要求トルクの増加・減少・変化なしが含まれる。また、この発明においては、第1の配分比と第2の配分比との間に、現在の配分比がある場合に、その現在の配分比から第1の配分比または第2の配分比に近づける制御が含まれる。さらに、この発明においては、第1の配分比から第2の配分比に近づける制御、または第2の配分比から第1の配分比に近づける制御が含まれる。
つぎに、この発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図2は、本発明の一実施例である車両1の構成を示す概略図である。この図2に示された車両は、前輪2および後輪3を有しており、右前輪2Aおよび左前輪2Bおよび右後輪3Aおよび左後輪3Bに対して、駆動力源の動力を伝達することが可能に構成された車両、つまり、四輪駆動車である。この車両1には、駆動力源として電動モータが4台、具体的には、モータ・ジェネレータ4A,4B,4C,4Dが搭載されている。各モータ・ジェネレータは、電気エネルギーを運動エネルギーに変換する力行制御と、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回生制御とをおこなうことができる。そして、モータ・ジェネレータ4Aが右前輪2Aに動力伝達可能に接続され、モータ・ジェネレータ4Bが左前輪2Bに動力伝達可能に接続され、モータ・ジェネレータ4Cが右後輪3Aに動力伝達可能に接続され、モータ・ジェネレータ4Dが左後輪3Bに動力伝達可能に接続されている。各車輪はホイールの外周にタイヤを取り付けて構成されており、各ホイールの内部空間にモータ・ジェネレータがそれぞれ配置されている。つまり、モータ・ジェネレータは、いわゆるインホイール型のモータである。
各モータ・ジェネレータおよび車輪は、車体(図示せず)に対して懸架装置(図示せず)を介して上下動可能に取り付けられており、車体には電力供給装置5が設けられている。電力供給装置5は、各モータ・ジェネレータとの間で電力の授受をおこなうことの可能な装置であり、電力供給装置5には、蓄電装置(図示せず)が含まれる。蓄電装置は、二次電池、具体的にはバッテリまたはキャパシタを用いることができる。蓄電装置とモータ・ジェネレータとの間には、インバータ(図示せず)が設けられている。また、電力供給装置5には、燃料電池が含まれる。燃料電池は、水素と酸素との反応により起電力を発生する発電機である。電力供給装置5からモータ・ジェネレータに電力を供給すると、モータ・ジェネレータが電動機として駆動され、各車輪で駆動力が発生する。これに対して、車両1が惰力走行している場合に、その運動エネルギーを車輪からモータ・ジェネレータに伝達して、モータ・ジェネレータを発電機として機能させ、発生した電力を蓄電装置に充電することも可能である。さらに、右前輪2Aに制動力を与えるブレーキ6Aが設けられ、左前輪2Bに制動力を与えるブレーキ6Bが設けられ、右後輪3Aに制動力を与えるブレーキ6Cが設けられ、左後輪3Bに制動力を与えるブレーキ6Dが設けられている。これらのブレーキ6A,6B,6C,6Dは、油圧により制動力が制御されるブレーキ、または電磁力により制動力が制御されるブレーキのいずれでもよい。
さらに、車両1に搭載されたモータ・ジェネレータおよびブレーキおよびインバータなどを制御するコントローラとして電子制御装置7が設けられている。この電子制御装置7には、車両1における加速要求を検知する信号、車両1における減速要求を検知する信号、前輪の操舵角を検知する信号、各モータ・ジェネレータの回転数および各車輪の回転数(または回転速度)を検知する信号、道路勾配を検知する信号、蓄電装置の充電量、車両1の前後方向の加速度を検知する信号、車両1の横方向の加速度を検知する信号、ナビゲーションシステム8の信号などが入力される。この具体例では、運転者により踏み込まれるアクセルペダルの踏み込み量、すなわち、アクセル開度が、加速要求を検知する信号である。また、車輪の回転数の変化率に基づいて、車輪がスリップしているか否かを判断可能である。また、各車輪同士の回転数の差に基づいて、車輪がスリップしているか否かを判断することが可能である。前記ナビゲーションシステム8は、車両1の乗員が車両1の現在位置および目的地を入力し、かつ、車両1の現在位置から目的地までの走行経路を検索および決定することのできる装置である。このナビゲーションシステム8を用いると、車両1が走行する道路の状況、天候、交通規則などの情報を得ることができる。さらに、ナビゲーションシステム8の信号により、路面の摩擦係数および凍結状態、あるいは車輪のスリップの発生を予測可能である。さらに、電子制御装置7には、各モータ・ジェネレータの出力、具体的にはトルクおよび回転数を制御するためのデータおよびマップが記憶されている。
そして、車速およびアクセル開度に基づいて、車両1の走行に必要な要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて、車両1における要求トルクが求められ、要求トルクに基づいて、各モータ・ジェネレータのトルクが制御される。また、モータ・ジェネレータの出力を制御するにあたり、前輪に伝達する動力と、後輪に伝達する動力との配分比率を制御することが可能である。具体的には、エネルギー効率に基づいて、車輪のトルク配分をおこなう制御(以下、「エネルギー効率の制御」と記す)と、各車輪の荷重配分に基づいて、車輪のトルク配分をおこなう制御(以下、「荷重配分の制御」と記す)とを選択可能である。エネルギー効率の制御は、モータ・ジェネレータ自体の効率、および蓄電装置における電力の出入りなどからエネルギーの効率を判断し、そのエネルギー効率が相対的に高く(良好)なるように、前輪に伝達するトルクと、後輪に伝達するトルクとの配分比を制御するモードである。このエネルギー効率の制御に用いられるトルクの配分比は、第1の配分比として電子制御装置7に記憶されている。これに対して、荷重配分の制御は、前輪における接地荷重と、後輪における接地荷重との配分比を判断し、その配分比と一致させるか、あるいはその配分比に予め定められた補正処理を加えて、前輪に伝達するトルクと、後輪に伝達するトルクとの配分比を制御するモードである。荷重配分の制御で用いるトルクの配分比は、第2の配分比として電子制御装置7に記憶されている。
また、エネルギー効率の制御と、荷重配分の制御とを使い分けるための基本的な条件について説明する。この具体例では、車両1の走行状態が安定しているか否かを判断し、車両1の走行状態が安定していると判断された場合は、エネルギー効率の制御が選択される。これに対して、車両1の走行状態が不安定であると判断された場合は、エネルギー効率の制御が選択される。例えば、前輪2または後輪3でスリップが生じている場合は、車両1の走行状態が不安定であると判断され、前輪2または後輪3でスリップが生じていない場合は、車両1の走行状態が安定していると判断される。なお、車輪が実際にスリップしていない場合でも、路面の摩擦係数あるいは路面の凍結をナビゲーションシステム8の信号により判断し、車輪のスリップが予測される場合は、車両1の走行状態が不安定であると判断することも可能である。さらに、前輪2の操舵角が、予め定められた角度内である場合は、車両1の走行状態が安定していると判断される。これに対して、前輪2の操舵角が、予め定められた角度を越えた場合は、車両1の走行状態が不安定であると判断される。さらに、操舵角に基づいて、車両1が直進走行しているか、旋回走行をしているかを判断可能である。さらに、操舵角の変化量に基づいて、旋回走行している車両1の旋回半径の変化量を判断可能である。さらに、アクセル開度が、予め定められた開度内である場合は、車両1の走行状態が安定していると判断される。これに対して、アクセル開度が、予め定められた開度を越えた場合は、車両1の走行状態が不安定であると判断される。そして、スリップの有無、操舵角、アクセル開度のうち、少なくとも1つのパラメータにより、車両1の走行状態が不安定であると判断された場合は、荷重配分の制御が選択される。このように、基本的な条件とは、「車両1の走行状態が安定しているか否かを判断すること」を意味する。
前記電子制御装置7には、エネルギー効率の制御が選択された場合に用いるデータおよびマップが記憶されている。例えば、車両1における要求駆動力に基づいて要求トルクおよび目標回転数を求め、その要求トルクに基づいて各モータ・ジェネレータのトルクを制御し、目標回転数に基づいてモータ・ジェネレータの回転数を制御する。また、各モータ・ジェネレータから前輪2および後輪3に伝達するトルクの配分比を決定するマップが記憶されている。各モータ・ジェネレータのトルクの配分比を決定するにあたり、エネルギー効率が相対的に高くなるように、要求トルクに対応させて、前輪2と後輪3とにおけるトルクの配分比を定めたマップが、電子制御装置7に記憶されている。したがって、エネルギー効率の制御が選択された場合は、このマップを参照して、前輪2および後輪3におけるトルクの配分比を制御することができる。なお、四輪駆動車の前輪2および後輪3を、電動モータにより駆動するにあたり、要求トルクおよびエネルギー効率をパラメータとして用い、エネルギー効率が相対的に高くなるようにする制御は、特開2006−345677号公報などにより、既に知られている事項であるため、具体的な算出式およびマップの記載は省略する。
一方、荷重配分の制御が選択された場合について説明する。この荷重配分の制御が選択された場合は、前輪2および後輪3における荷重の配分比に基づいて、前輪2および後輪3に対するトルクの分配比が決定される。前輪2および後輪3における荷重の配分比は、例えば、当該四輪駆動車の重心の高さ、重心から前輪2までの距離、重心から後輪3までの距離、前輪2の車軸と後輪3の車軸との間の距離(ホイールベース)、左右輪の幅(トレッド)、車両1の旋回加速度(横加速度)、車両1の前後方向の加速度などにより求められる。そして、前輪2と後輪3との間における荷重の配分比と一致させるように、前輪2および後輪3におけるトルクの配分比を決定する。なお、上記のパラメータを用いて、前輪2および後輪3の荷重配分比を求め、その荷重の配分比に応じてトルクの配分比を決定する制御は、特開2006−213130号等により既に知られているため、具体的な算出式およびマップの記載は省略する。
つぎに、車両1で実行可能な第1の制御例を、図1および図3に基づいて説明する。この第1の制御例は、前輪2に伝達されるトルクと、後輪3に伝達されるトルクとの配分比を制御するものである。図1のフローチャートを行う前提として電子制御装置7に入力される信号が処理され、各種の制御がおこなわれる。例えば、前記の「基本的な条件」に基づいて、エネルギー効率の制御、または荷重配分の制御は荷重配分の制御が選択される。そしてステップS1では、荷重配分の制御が選択されているか否かが判断される。この判断は、図1では「荷重配分?」で示されている。このステップS1の判断時点で、エネルギ効率の制御が選択されている場合は、ステップS1で否定的に判断される。また、この具体例では、後述するように、前輪2のモータ・ジェネレータと、後輪3のモータ・ジェネレータとのトルクの配分比を、第1の配分比と第2の配分比との間に設定することも可能である。したがって、前輪2のモータ・ジェネレータと、後輪3のモータ・ジェネレータとのトルクの配分比が、第1の配分比と第2の配分比との間に設定されている場合も、ステップS1で否定的に判断されてステップS2に進む。
このステップS2では、車輪のスリップ(ホイルスピン)が発生する可能性が大であるか否かが判断される。このステップS2では、車輪の回転数の変化量、またはスリップ率、路面の摩擦係数等のうち、少なくとも一つのパラメータを用いる。このステップS2で否定的に判断された場合は、車両1における要求トルクが増加したか否かが判断される(ステップS3)。前記した要求駆動力に対応させて、車速と要求トルクとアクセル開度との関係を定めたマップ(図示せず)が電子制御装置7に記憶されている。このマップは、車速が上昇することにともない、要求トルクが低下する特性を有する。また、アクセル開度が増加することにともない、要求トルクが増加する特性を有する。ステップS3では、このマップを用いることにより、要求トルクが増加したか否かを判断可能である。
このステップS3で肯定的に判断された場合は、前輪2および後輪3のそれぞれについて、前回出力トルクが、荷重配分トルク未満であるか否かが判断される(ステップS4)。ここで「前回出力トルク」とは、「前回のルーチン実行時における各モータ・ジェネレータのトルク」であり、「荷重配分トルク」とは、「第2の配分比に基づいて決定される前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルク」である。このステップS4で肯定的に判断された場合は、ステップS4で肯定的に判断された方の車輪について、前回出力トルクに、要求トルク増加分のトルクを加えて、今回のモータ・ジェネレータの出力トルクを求め(ステップS5)、スタートに戻る。
一方、前記ステップS4で否定的に判断された場合は、そのステップS4で否定的に判断された車輪のトルクを制御するために、前回出力トルクを、今回のモータ・ジェネレータの出力トルクとして用い(ステップS6)、スタートに戻る。このように、ステップS4,S5,S6の処理をおこなうことにより、前輪2に用いるモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3に用いるモータ・ジェネレータのトルクとの配分比が、荷重配分の制御で用いる第2の配分比に近づけられる。つまり、前輪2のモータ・ジェネレータと、後輪3のモータ・ジェネレータとのトルクの配分比が、第1の配分比と第2の配分比との間に設定される。
これに対して、前記ステップS2で肯定的に判断された場合は、ステップS7に進んで荷重配分比の制御が選択され(ステップS7)、ステップS1に戻る。つまり、第2の分配比に応じて求められる前輪2および後輪3のトルク(荷重分配比)に、要求トルクの増加分のトルクをそれぞれ加算して、各モータ・ジェネレータの出力トルクを求める処理がおこなわれる。このステップS7の処理により、車輪のスリップを回避でき、車両1の走行安定性が向上する。
一方、ステップS1の判断時点で、荷重配分の制御が選択されていた場合はステップS1で肯定的に判断される。また、前輪2および後輪3について、共にステップS4で否定的に判断され、かつ、ステップS6に進んでスタートに戻った場合も、ステップS1で肯定的に判断される。このように、ステップS1で肯定的に判断された場合は、要求トルクが増加したか否かが判断される(ステップS8)。このステップS8の判断は、ステップS3の判断と同様にしておこなわれる。このステップS8で肯定的に判断された場合はステップS7に進む。このように、ステップS8を経由してステップS7に進んだ場合は、荷重配分の制御が継続される。
これに対して、ステップS8の判断を実行中に、要求トルクが一定であるか、または要求トルクが減少した場合は、ステップS8で否定的に判断されてステップS9に進む。このステップS9では、荷重配分の制御が選択された時点から、一定時間が経過したか否かが判断される。このステップS9で否定的に判断された場合は、ステップS7に進む。このステップS9で肯定的に判断された場合、または前記ステップS3で否定的に判断された場合は、図3のステップS10に進み、エネルギー効率の制御が選択されているか否か(エネルギー効率配分?)が判断される。このステップS10で否定的に判断されて、ステップS11に進む。このステップS11では、前回出力トルクが、エネルギー効率配分トルク未満であるか否かが判断される(ステップS11)。
ここで、「前回出力トルク」はステップS5で説明した意味と同じである。また、「エネルギー効率配分トルク」とは、第1の配分比に基づいて各車輪に配分されるトルクである。このステップS11で肯定的に判断された場合は、前回出力トルクに移行トルクを加算して、各モータ・ジェネレータの出力トルクを求め(ステップS12)、スタートに戻る。また、移行トルクの大きさは、路面の摩擦係数、前回出力トルクの大きさなどにより変更される。具体的には、路面の摩擦係数が小さいほど、移行トルクが相対的に低く設定される。また、前回出力トルクが低いほど、移行トルクが相対的に低く設定される。
一方、ステップS11で否定的に判断された場合は、前回出力トルクから移行トルク変化量を減算して、各モータ・ジェネレータの出力トルクを求め(ステップS13)、スタートに戻る。上記のステップS12の処理およびステップS13の処理により、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比が、第2の配分比から第1の配分比に近づけられる。さらに、前記ステップS10で肯定的に判断された場合は、エネルギー効率の制御におけるトルクの配分比(第1の配分比;エネルギー効率配分比)に、要求トルクを乗算して、各モータ・ジェネレータのトルクを求め(ステップS14)、スタートに戻る。
このように、第2の配分比が選択された時点から、一定時間が経過した場合は、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比が、第2の配分比から第1の配分比に近づけられる。したがって、車両1の走行安定性を確保し、かつ、エネルギー効率の低下を抑制できる。なお、ステップS9では経過時間を用いて判断しているが、このステップS9では、第2の配分比が選択されてからの車両1の走行距離が、一定距離以上になったか否かを判断し、そのステップS9で否定的に判断された場合にステップS7に進み、そのステップS9で肯定的に判断された場合に、ステップS10に進むルーチンを採用してもよい。さらに、図1および図3のフローチャートにおいて、ルーチンの末端に付記された(A)は、(A)が付記されたルーチン同士が接続されることを意味する。
ここで、この具体例に基づいて説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、前輪2および後輪3が、この発明における第1の車輪および第2の車輪に相当し、モータ・ジェネレータ4A,4B,4C,4Dが、この発明における駆動力源に相当する。また、図1および図3のフローチャートは、請求項1ないし5の発明に対応しており、図1および図3のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、エネルギー効率の配分制御が、この発明における第1の配分制御に相当し、荷重配分の制御が、この発明における第2の配分制御に相当する。また、図1のステップS3,S8が、この発明における要求トルク判断手段に相当し、ステップS4,S5,S6、およびステップS11,S12,S13が、この発明における第1トルク制御手段に相当する。また、ステップS9,S10,S11,S12,S13のルーチンが、第2のトルク制御手段に相当する。また、ステップS2,S7が、この発明の第1選択手段に相当する。また、ステップS4,S6のルーチンが、この発明の第2選択手段に相当する。
つぎに、請求項1ないし5の発明を含むタイムチャートの一例を、図4に基づいて説明する。この図4のタイムチャートは、要求トルクおよび前輪トルクおよび後輪トルクの経時変化を示す。また、この図4では、エネルギー効率の制御に基づく前輪のトルクは、荷重配分の制御に基づく前輪のトルクよりも常時高く、荷重配分の制御に基づく後輪のトルクは、エネルギー効率の制御に基づく後輪のトルクよりも常時高い場合を例示してある。この具体例は、前輪2と後輪3とのトルク配分を制御するものであるから、エネルギー効率の制御に基づく前輪のトルクを、荷重配分の制御に基づく前輪のトルクよりも高くすれば、荷重配分の制御に基づく後輪のトルクは、エネルギー効率の制御に基づく後輪のトルクよりも必然的に高くなる。
まず、時刻t1以前においては、要求トルクが略一定であり、前輪の目標トルクおよび後輪の目標トルクは、エネルギー効率の制御に相当するトルク(第1の配分比に対応するトルク)と一致している。ここで、「目標トルク」とは、車輪のトルクを制御する際の目標値であり、車輪の実際のトルクを目標トルクに近づけるように、モータ・ジェネレータのトルクが制御される。また、時刻t1以前において、前輪の目標トルクは、前輪でホイルスピンが発生するトルクよりも低い。さらに、時刻t1以前において、後輪の目標トルクは、後輪でホイルスピンが発生するトルクよりも低い。
そして、時刻t1で要求トルクが増加すると、エネルギー効率の制御に相当するトルク、および荷重配分の制御に相当するトルク(第2の配分比に相当するトルク)が、前輪および後輪で共に上昇する。また、時刻t1から後輪の目標トルクが上昇し、時刻t2以降、後輪の目標トルクは、荷重配分の制御に相当するトルクと一致した状態で上昇する。これに対して、前輪の目標トルクは略一定に維持されている。そして、時刻t2で、前輪の目標トルクが、荷重配分の制御に相当するトルクと一致し、その時刻t2以降は、前輪の目標トルクは、荷重配分の制御に相当するトルクと一致したまま上昇する。
さらに、前輪において、エネルギー効率の制御に相当するトルクが、時刻t3以降はホイルスピン発生トルクを越えている。時刻t4以降は、要求トルクが略一定であるため、前輪におけるエネルギー効率の制御に相当するトルクおよび荷重配分の制御に相当するトルクは、共に略一定である。また、時刻t4以降、前輪の目標トルクは上昇しているが、時刻t5で前輪の目標トルクがホイルスピントルクまで上昇すると、前輪の目標トルクは、荷重配分の制御に相当するトルクに近づくように低下している。この時刻t5以降も、前輪の目標トルクが上昇するが、前輪の目標トルクがホイルスピンが発生するトルクと一致すると、前輪の目標トルクを、荷重配分の制御に相当するトルクまで低下する制御が繰り返されている。
一方、後輪の目標トルクは時刻t4から低下しており、時刻t5で後輪の目標トルクが、エネルギー効率の制御に相当するトルクに近づくと、後輪の目標トルクが荷重配分の制御に相当するトルクまで上昇している。この時刻t5以降も、後輪の目標トルクが低下し、かつ、エネルギー効率の制御に相当するトルクに近づくと、後輪の目標トルクが荷重配分の制御に相当するトルクまで上昇する制御を繰り返している。
このように、図1および図3のフローチャートにおいては、要求トルクが増加したか、または要求トルクが減少したか、または要求トルクが変化していないかを判断し、その判断結果に基づいて、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比を制御している。具体的には、ステップS1からステップS8を経由してステップS7に進むルーチンで示されるように、荷重配分の制御が選択されている際に、要求トルクが増加した場合は、荷重配分の制御が維持される。また、ステップS1からステップS8およびステップS9を経由してステップS7に進むルーチンで示されるように、荷重配分の制御が選択されている際に、要求トルクが減少するか、または変化しない場合は、一定時間が経過していなければ、荷重配分の制御が維持される。さらに、ステップS1からステップS8およびステップS9を経由してステップS12,S13に進むルーチンで示されるように、エネルギー効率の配分が選択されていない際には、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比を、第1の配分比に近づける制御がおこなわれる。
これに対して、ステップS1からステップS3を経由してステップS5に進むルーチンでは、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比を、第2の配分比に近づける制御がおこなわれる。したがって、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比を、きめ細かく変更可能であり、車両1の走行安定性とエネルギー効率の向上とを両立できる。
つぎに、車両1で実行可能な第2の制御例を、図5および図6および図7のフローチャートに基づいて説明する。この第2の制御例も、前輪2に伝達されるトルクと、後輪3に伝達されるトルクとの配分比を制御するものである。図5のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ処理については、図1と同じステップ番号を付してある。図5のフローチャートでは、ステップS2で肯定的に判断された場合は、図6のステップS21に進む。このステップS21の判断は、ステップS11の判断と同じである。このステップS21で肯定的に判断された場合は、前回出力トルクから余裕量を減算して、モータ・ジェネレータの出力トルクを求める処理をおこない(ステップS22)、スタートに戻る。ここで、「余裕量」とは車輪がスリップしない程度に与えられるトルクである。これに対して、ステップS21で否定的に判断された場合は、前回出力トルクに余裕量を加算して、モータ・ジェネレータの出力トルクを求める処理をおこない(ステップS23)、スタートに戻る。このステップS21,S22,S23の処理は、前輪2にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3にトルクを伝達するモータ・ジェネレータのトルクとの配分比が、第2の配分比に近づけられることを意味する。
一方、図5のステップS8で否定的に判断された場合は、路面の摩擦係数(路面状態)状態または車輪のスリップ率に変化があるか否かが判断される(ステップS24)。このステップS24で否定的に判断された場合は、ステップS7に進む。また、ステップS24で肯定的に判断された場合は、車両1の走行状態に変化があるか否かが判断される(ステップS25)。このステップS25の判断は、車両1の操舵角に基づいて判断される。例えば、車両1が直進走行している状態から、旋回走行に変更される場合に「車両の走行状態に変化あり」と判断される。また、車両1が旋回走行しており、その旋回半径が変化する場合は、「車両の走行状態に変化あり」と判断される。
このステップS25で否定的に判断された場合はステップS7に進む。これに対して、ステップS25で肯定的に判断された場合は、図5のステップS9に進む。このステップS9の判断は、図1のステップS9と同じである。このステップS9で肯定的に判断された場合は、図7のステップS26に進む。このステップS26の判断は、図3のステップS10と同じである。このステップS26で否定的に判断された場合は、ステップS27に進む。ステップS27の判断は、ステップS24の判断と同じである。ステップS27で肯定的に判断された場合はステップS28に進む。ステップS28の判断は、ステップS25と同じである。ステップS28で肯定的に判断された場合は、バランス配分制御が選択され、かつ、そのバランス配分制御が選択されてから一定時間が経過したか否かが判断される(ステップS29)。バランス配分制御とは、前回出力トルクに余裕量を加算して、モータ・ジェネレータの出力トルクを求める制御であり、図6のステップS23と同じ処理である。つまり、前輪2のトルクを生じるモータ・ジェネレータのトルクと、後輪3のトルクを生じるモータ・ジェネレータのトルクとの配分比は、第1の配分比と第2の配分比との間の値に設定される。
ステップS29で肯定的に判断された場合は、ステップS30の判断がおこなわれる。ステップS30の判断は、図3のステップS11の判断と同じである。このステップS30で肯定的に判断された場合は、ステップS31の処理をおこない、図1のステップS1に戻る。ステップS31の処理は、図1のステップS6の処理と同じである。また、ステップS30で否定的に判断された場合は、ステップS32の処理をおこない、図5のステップS1に戻る。ステップS32の処理は、図3のステップS13の処理と同じである。さらに、ステップS27またはステップS28またはステップS29のいずれかで否定的に判断された場合は、ステップS33の処理をおこない、図5のステップS1に戻る。ステップS33の処理は、図1のステップS6の処理と同じである。また、ステップS26で肯定的に判断された場合は、ステップS34の処理をおこない、図5のステップS1に戻る。ステップS34の処理は、図3のステップS14の処理と同じである。なお、図5および図6および図7において、ルーチンの末端に示された(A)、(B)は、(A)が付記されたルーチンの末端同士が接続され、(B)が付記されたルーチンの末端同士が接続されることを意味する。
この図5および図6および図7のフローチャートにおいて、図1および図3のフローチャートと同じ処理部分については、図1および図3のフローチャートと同じ作用効果を得られる。また、図7のフローチャートにおいては、ステップS29で説明したように、バランス配分制御をおこなうことができる。したがって、車両安定性を向上する制御と、エネルギ効率を高める制御とを両立させることができる。なお、図7のフローチャートにおいては、ステップS27またはステップS28のいずれか一方の判断を省略するルーチンを採用することもできる。また、図7のフローチャートにおいては、ステップS27またはステップS28のいずれか一方で肯定的に判断された場合にステップS29に進み、ステップS27,S28で共に否定的に判断された場合に、ステップS33に進むルーチンを採用することもできる。
この図5および図6および図7のフローチャートは、請求項1、請求項6の発明に対応しており、図5および図6および図7に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、図5のステップS3,S8が、この発明における要求トルク判断手段に相当し、ステップS4,S5、ステップS7が、この発明における第1トルク制御手段に相当する。また、ステップS26,S27,S28,S29のルーチンが、この発明の第3トルク制御手段に相当する。
ここで、請求項1、請求項6に対応するタイムチャートの一例を、図8に基づいて説明する。この図8のタイムチャートは、要求トルクおよび前輪のトルクおよび後輪のトルクの経時変化を示す。また、エネルギー効率の制御に基づく前輪のトルクと、荷重配分の制御に基づく前輪のトルクと高低関係は、図4の場合と同じである。これに対して、荷重配分の制御に基づく後輪のトルクと、エネルギー効率の制御に基づく後輪のトルクとの関係も、図4の場合と同じである。まず、時刻t1以前においては、要求トルクが略一定であり、エネルギー効率の制御に基づいて、前輪の目標トルクおよび後輪の目標トルクが制御されている。また、時刻t1以前において、前輪の目標トルクは、前輪でホイルスピンが発生するトルクよりも低い。さらに、時刻t1以前において、後輪の目標トルクは、後輪でホイルスピンが発生するトルクよりも低い。
そして、時刻t1で要求トルクが増加すると、エネルギー効率の制御に相当するトルク、および荷重配分の制御に相当するトルクが、前輪および後輪で共に上昇する。また、時刻t1から後輪の目標トルクが上昇し、時刻t2以降、後輪の目標トルクは荷重配分の制御に相当するトルクと一致した状態で上昇する。これに対して、時刻t1以降も、前輪の目標トルクは略一定に維持されている。そして、時刻t2で、前輪の目標トルクが、荷重配分の制御に相当するトルクと一致し、その時刻t2以降は、前輪の目標トルクは、荷重配分の制御に相当するトルクと一致されたまま上昇する。
さらに、前輪においてエネルギー効率の制御に相当するトルクが、時刻t3以降はホイルスピン発生トルクを越えている。時刻t4以降は、要求トルクが略一定であるため、前輪におけるエネルギー効率の制御に相当するトルクおよび荷重配分の制御に相当するトルクは、共に略一定である。また、時刻t4以降、前輪の目標トルクは上昇しているが、時刻t5で前輪の目標トルクがホイルスピントルクまで上昇すると、前輪の目標トルクは、エネルギー効率の制御に相当するトルクと、荷重配分の制御に相当するトルクとの間の「中間のトルク」まで低下している。この時刻t5以降は、前輪の目標トルクが中間のトルクに維持されている。一方、後輪の目標トルクは時刻t4から低下しており、時刻t5で後輪の目標トルクが、エネルギー効率の制御に相当するトルクに近づくと、後輪の目標トルクが、エネルギー効率の制御に相当するトルクと、荷重配分の制御に相当するトルクとの間の「中間のトルク」まで上昇している。この時刻t5以降は、後輪の目標トルクが中間のトルクに維持されている。
そして、時刻t6から要求トルクが低下すると、その時刻t6以降は、前輪におけるエネルギー効率の制御に相当するトルクおよび荷重配分の制御に相当するトルクが、共に低下している。また、後輪におけるエネルギー効率の制御に相当するトルクおよび荷重配分の制御に相当するトルクが、共に低下している。ここで、後輪の目標トルクは時刻t6から低下されて、時刻t7以降は、後輪の目標トルクと、エネルギー効率の制御に相当するトルクとが一致されている。これに対して、前輪の目標トルクは時刻t6以降も一定に制御されており、時刻t7で、前輪の目標トルクと、エネルギー効率の制御に相当するトルクとが一致され、その時刻t7以降は、前輪の目標トルクと、エネルギー効率の制御に相当するトルクとが一致されている。なお、図4のタイムチャートで説明した時刻と、図8のタイムチャートで説明した時刻とは、同じ時刻があるが、相互関係はない。
なお、図2に示された車両は、前輪および後輪を、共にモータ・ジェネレータで駆動する電気自動車であるが、この発明は、前輪をエンジンで駆動し、後輪をモータ・ジェネレータで駆動する構成のパワートレーンにも適用可能である。エンジンは燃料を燃焼させた場合に生じる熱エネルギーを、運動エネルギーに変換する動力装置である。このエンジンとしては、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることが可能である。また、前輪に対してエンジンおよびモータ・ジェネレータが接続され、後輪にモータ・ジェネレータが接続された車両においても、この発明を実施可能である。さらに、後輪に対してエンジンおよびモータ・ジェネレータが接続され、前輪にモータ・ジェネレータが接続された車両においても、この発明を実施可能である。エンジンを駆動力源として用いる場合、エネルギー効率を考慮したトルク配分制御では、エンジンの燃費に基づいて、前後輪に分配されるトルクの比率が制御される。エンジンの燃費に基づいて、前後輪に伝達されるトルクの配分比を制御する方法は、例えば、特許文献1に記載されている手法を用いることができる。さらに、モータ・ジェネレータと車輪とを動力伝達可能に接続する構成は、インホイールモータに限らず、フロアーの下方にモータ・ジェネレータを配置してもよい。
また、モータ・ジェネレータと車輪との間の動力伝達経路に、変速機が介在された車両にも、この発明を適用可能である。変速機とは、入力回転数と出力回転数とを異ならせることが可能など伝動装置であり、その変速比を変更可能であるか否かは問われない。また、変速機としては、減速機または増速機のいずれでもよい。さらに、左車輪に伝達するトルクの配分比と、右車輪に伝達するトルクの配分比とを制御する場合に、エネルギー効率の制御と荷重配分の制御とを選択的に切り替えることも可能である。さらにまた、物理的に同一の駆動力源の動力を、前輪と後輪とに分配する構成または、前輪および後輪に別々の駆動力源が接続されている構成でもよい。さらにまた、物理的同一の駆動力源から、前輪に伝達するトルクと、後輪に伝達するトルクとの分配比を制御する場合、駆動力源から前輪に至る経路と、駆動力源から後輪に至る経路とに、それぞれクラッチを設けておき、各クラッチのトルク容量を制御すればよい。さらにまた、物理的同一の駆動力源から、右車輪に伝達するトルクと、左車輪に伝達するトルクとの分配比を制御する場合、駆動力源から右車輪に至る経路と、駆動力源から左車輪に至る経路とに、それぞれクラッチを設けておき、各クラッチのトルク容量を制御すればよい。これらのクラッチとしては、油圧によりトルク容量が制御されるクラッチ、または電磁力によりトルク容量が制御されるクラッチなどを用いることができる。
この発明の駆動力制御装置の実行されるフローチャートの概略を示す図である。 この発明の駆動力制御装置に相当する車両の概念図である。 図1のフローチャートに接続されるルーチンを示す図である。 図1および図3のフローチャートに対応するタイムチャートの一例である。 この発明の駆動力制御装置の実行される他のローチャートの概略を示す図である。 図5のフローチャートに接続されるルーチンを示す図である。 図5のフローチャートに接続される他のルーチンを示す図である。 図5および図6および図7のフローチャートに対応するタイムチャートの一例である。
符号の説明
1…車両、 2…前輪、 3…後輪、 4A,4B,4C,4D…モータ・ジェネレータ、 7…電子制御装置。

Claims (6)

  1. 車両の前後方向または車両の左右方向で異なる位置に配置された第1の車輪および第2の車輪と、この第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルクを発生する駆動力源とを有し、前記車両における要求トルクに基づいて、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を制御するにあたり、前記駆動力源で動力を発生する際のエネルギー効率を判断し、その判断結果に基づいて第1の配分比を求め、その第1の配分比に基づいて、前記駆動力源から前記第1の車輪および第2の車輪に伝達するトルクの配分比を制御する第1の配分制御と、前記第1の車輪における接地荷重と第2の車輪における接地荷重との配分比を判断し、その判断結果に基づいて第2の配分比を求め、その第2の配分比に基づいて、前記駆動力源から前記第1の車輪および第2の車輪に伝達する動力の配分比を制御する第2の配分制御とを選択可能な駆動力制御装置において、
    前記車両における要求トルクを判断する要求トルク判断手段と、
    前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記要求トルクの判断結果に基づいて、前記第1の配分比または第2の配分比のいずれかに近づける制御をおこなう第1トルク制御手段と
    を有することを特徴とする駆動力制御装置。
  2. 前記第1トルク制御手段は、前記要求トルクが増加した場合に、前記第1の車輪または第2の車輪のいずれか一方における現在のトルクに、前記車両が走行する路面の摩擦係数の大きさ、または現在のトルクの大きさから求めたトルクを加算することにより、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第1の配分比または第2の配分比のいずれかに近づける制御をおこなう手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
  3. 前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第2の配分比に基づいて制御している際に、前記第2の配分比が選択されてから一定時間が経過した場合は、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第2の配分比から前記第1の配分比に近づける制御をおこなう第2トルク制御手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
  4. 前記第1の車輪または第2の車輪のうち少なくとも一方の車輪がスリップすることが検知された場合は、前記第2の配分制御を選択する第1選択手段を有することを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
  5. 前記第1の車輪に伝達されるトルクおよび第2の車輪に伝達されるトルクが、前記第2の配分比に対応するトルク以上になった場合は、前記第2の配分制御を選択する第2選択手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
  6. 前記第1の車輪または前記第2の車輪のうち、少なくとも一方の車輪がスリップする条件、または、前記車両の進行方向が変化する条件のうち、少なくとも一方の条件が成立した場合は、前記第1の車輪および第2の車輪に伝達されるトルクを制御することにより、前記駆動力源から前記第1の車輪および前記第2の車輪に伝達されるトルクの配分比を、前記第1の配分比と前記第2の配分比との間の配分比に制御する第3トルク制御手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
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