JP2009155433A - ポリイミドおよびポリアミド酸 - Google Patents

ポリイミドおよびポリアミド酸 Download PDF

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朝重  直樹
Masahiro Toriida
昌弘 鳥井田
Masayoshi Yamamoto
昌由 山本
Wataru Yamashita
渉 山下
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Abstract

【課題】本発明は、、成形加工工程、鉛フリーハンダ工程において装置の腐食がほとんどなく、耐熱性を向上させた熱可塑性ポリイミド、およびこのポリイミド共重合体を用いたドライプロセスにより作製される金属積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】特定のフルオレン骨格を含む構造を有するポリイミド共重合体、およびそのポリイミド共重合体を用いた金属積層体を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドおよびポリアミド酸に関する。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応などによって得られるポリイミドは、その優れた耐熱性に加え、機械物性、耐薬品性、難燃性、電気特性等において優れた特性を有するため、成形材料、複合材料、電気・電子部品等の分野において幅広く用いられている。しかし、ポリイミドは高性能である半面、成型加工が難しいという欠点があった。例えば4,4、’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とから得られる芳香族ポリイミドが知られている(式(4)、デュポン社製、商品名Kapton, Vespel)。
Figure 2009155433
そのポリイミドフィルムの作製法としては、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸ワニスを調製後、閉環触媒、脱水剤などを添加した溶液を金属製の回転ドラムやエンドレスベルトに流延し、有機溶媒を蒸発させながら脱水、イミド化を行ない、高温熱処理する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、金属箔上にポリアミド酸ワニスをキャスト後、熱イミド化することにより、金属とポリイミドとからなる積層体を形成することができる(例えば、特許特許文献2参照。)。しかし、これらいずれの場合も多量の有機溶媒を使用すること、および加熱により有機溶媒を蒸発させることなど地球環境に悪影響を及ぼし得ることから、有機溶媒を使用しないドライプロセスによるポリイミドフィルムの作製法が望まれていた。
ドライプロセスにより上述のポリイミドフィルム、金属積層体を作製する方法としては、熱可塑性を有するポリイミド(例えば、三井化学社製オーラム)を押出成形することによりフィルムを作製する方法、そのフィルムと金属箔とをロールプレスなどにより加熱圧着する方法、フィルム上にスパッタ、メッキなどにより金属層を形成する方法がある。
一方、2003年に公布されたEU規制(WEEE&RoHS)において、2005年8月以降は廃電気・電子機器と一般廃棄物とを分別回収すること、2006年7月以降はEU域内で上市される対象製品には、鉛など6物質の使用が禁止されることが定められている。使用禁止物質となった鉛は、電気・電子機器の部材であるプリント基板に多量に使用されるハンダの主成分であることから、鉛を含まない“鉛フリーハンダ”が急速に当該市場へ浸透してきた。
鉛フリーハンダは鉛の代替物質として銀、銅などを使用することから、その融点は鉛ハンダと比較して30℃以上高く、リフロー工程では260℃以上の温度で使用される。そのため、鉛フリーハンダを使用する製造工程などでは、プリント基板などを構成する樹脂に対して、更なる耐熱性が要求されるようになった。
耐熱性を向上させた熱可塑性ポリイミドとしては、4,4,’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4,’−ジアミノジフェニルスルホン、およびピロメリット酸
二無水物から得られる芳香族ポリイミド共重合体が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、上記文献に具体的に開示される樹脂は、成形加工工程や鉛フリーハンダ工程において、条件によっては成形機、加工機器などの装置を腐食する恐れがあった。
従って、成形加工工程、鉛フリーハンダ工程において装置の腐食がほとんどなく、耐熱性を向上させた熱可塑性ポリイミド、およびこの熱可塑性ポリイミドを用いたドライプロセスにより作製される金属積層体の開発が望まれていた。
特開平5−237928号公報 特開2004−237596号公報 特許2624852号公報
本発明の目的は、成形加工工程、鉛フリーハンダ工程において装置の腐食がほとんどなく、耐熱性を向上させた熱可塑性ポリイミド、およびこの熱可塑性ポリイミドを用いたドライプロセスにより作製される金属積層体を提供することにある。
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するポリイミド共重合体により上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1)下記一般式(I)
Figure 2009155433
(式(I)中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、
Figure 2009155433
から選ばれた4価の芳香族基であり、また、m、nはそれぞれ共重合比率を表し、m+n=1であり、0<m<1、1>n>0である。)で示されることを特徴とするポリイミド共重合体。
2)上記一般式(I)で表されるポリイミド共重合体の分子鎖の末端が
Figure 2009155433
であることを特徴とする、分子鎖の末端が封止された1)に記載のポリイミド共重合体。3)下記一般式(II)
Figure 2009155433
(式(II)中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、
Figure 2009155433
から選ばれた4価の芳香族基であり、また、m、nはそれぞれ共重合比率を表し、m+n=1であり、0<m<1、1>n>0である。)で示されることを特徴とするポリアミド酸共重合体。
4)上記一般式(II)で表されるポリアミド酸共重合体の分子鎖の末端が、
Figure 2009155433
のいずれかであることを特徴とする、分子鎖の末端が封止された3)に記載のポリアミド酸共重合体。

5)上記一般式(I)において、R1およびR2が、
Figure 2009155433
である1)または2)に記載のポリイミド共重合体。
6)上記一般式(II)において、R1およびR2が、
Figure 2009155433
である3)または4)に記載のポリアミド酸共重合体。
7)1)に記載の一般式(I)において、用いられる原料の芳香族ジアミンが、4,4
’−(9−フルオリニデン)ジアニリンである1)または2)に示されるポリイミド共重合体。
8)請求項3に記載の一般式(II)において、用いられる原料の芳香族ジアミンが4,
4’−(9−フルオリニデン)ジアニリンである3)または4)に示されるポリアミド酸共重合体。
9)3)、4)、6)、または8)に記載のポリアミド酸共重合体および溶媒を含んでなる溶液。
10)9)の溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする9)に記載の溶液。
11)420℃、6分滞留時におけるせん断速度100s-1における溶融粘度が1000〜5000Pa・sであることを特徴とする1)、2)、5)、または7)に記載のポリイミド共重合体。
12)1)、2)、5)、または7)に記載のポリイミド共重合体から得られるポリイミドフィルム。
13)3)、4)、6)、または8)に記載のポリアミド酸共重合体をイミド化することにより得られるポリイミドフィルム。
14)9)または10)に記載の溶液に含まれる溶媒を除去すると同時に、該溶液に含まれるポリアミド酸共重合体をイミド化することにより得られるポリイミドフィルム。
15)金属層と樹脂層とからなる金属積層体であって、1)、2)、5)、または7)に記載のポリイミド共重合体からなる樹脂層を少なくとも一層有することを特徴とする金属積層体。
16)1)、2)、5)、または7)に記載のポリイミド共重合体以外のポリイミドからなるポリイミドフィルムの片面または両面に、1)、2)、5)、または7)に記載のポリイミド共重合体からなる樹脂層が形成され、該樹脂層の片面または両面に金属層が形成された構造を有する15)に記載の金属積層体。
17)1)、2)、5)、または7)に記載のポリイミド共重合体からなるポリイミドフィルムの片面または両面に、金属層が形成された構造を有する15)に記載の金属積層体。
本発明によれば、成形加工工程、鉛フリーハンダリフロー工程において装置の腐食がほとんどなく、耐熱性を有するポリイミド、および金属積層体を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず本発明に係るポリイミド共重合体について説明する。
上記ポリイミド共重合体は下記一般式(I)で表される構造を有することに特徴がある。
Figure 2009155433
で表され、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、
Figure 2009155433
から選ばれる4価の芳香族基である。
上記式(1)中、mおよびnはそれぞれ共重合比率を表し、m+n=1であり、0<m<1、1>n>0であり、好ましくは、0.5<m<1、0.5>n>0である。
上記構造を有するポリイミド共重合体は、式(A):
Figure 2009155433
で表され、A1’は同一でも異なってもよく、
Figure 2009155433
から選ばれる4価の芳香族基であるテトラカルボン酸二無水物と、式(B):
Figure 2009155433
で表されるジアミン(4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル)と、式(C):
Figure 2009155433
で表されるジアミンとを必須成分とするモノマーを共重合することによって得られる。
上記(A)式で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下、テトラカルボン酸二無水物(A)ともいう。)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,2−ビス〔(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、1,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物等が挙げられる。
これらテトラカルボン酸二無水物(A)の中でも、耐熱性向上、コストなどの観点からピロメリット酸二無水物が好ましい。なお、テトラカルボン酸二無水物(A)としてピロメリット酸二無水物を用いた場合には、
1およびR2が、
Figure 2009155433
である上記一般式(II)で表されるポリアミド酸共重合体が得られ、さらにこのポリアミド酸共重合体をイミド化することにより、
1およびR2が、
Figure 2009155433
である上記一般式(I)で表されるポリイミド共重合体が得られる。
上記テトラカルボン酸二無水物(A)は一種単独でも、あるいは2種以上組み合わせて
使用してもよい。
上記式(B)で表されるアミン(以下、アミン(B)ともいう。)と併用する、上記式(C)で表されるアミン(以下、アミン(C)ともいう。)の中でも、ポリイミド共重合体の耐熱性という観点からは、下記式(C1)で表される4,4’−(9−フルオリニデン)ジアニリンが好ましい。
Figure 2009155433
上記ポリイミド共重合体を製造できる限り、製造方法には特に制限はない。
上記重合は、有機溶媒中で行うことが望ましい。
上記有機溶媒としては、例えば、フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノ−ル、2,4−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、2,6−キシレノ−ル、3,4−キシレノ−ル、3,5−キシレノ−ル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、アニソール等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で、あるいは2種以上混合して使用してもよい。
さらに上記有機溶媒に混合する溶媒として、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等を使用してもよい。
上記製造方法としては、例えば、まず、有機溶媒にジアミン、テトラカルボン酸二無水物を添加し反応させ、ポリアミド酸共重合体を得て、このポリアミド酸共重合体をイミド化させてポリイミド共重合体を得る方法が挙げられる。
上記ポリアミド酸共重合体を製造する際には、100℃以下の温度、通常−20〜70℃、好ましくは0〜60℃で反応をする。
上記反応により、下記一般式(II)で表されるポリアミド酸共重合体が得られる。
Figure 2009155433
(式(II)中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、
Figure 2009155433
から選ばれた4価の芳香族基であり、また、m、nはそれぞれ共重合比率を表し、m+n=1であり、0<m<1、1>n>0である。)
上記ポリアミド酸は溶媒に溶解して、ポリアミド酸溶液として使用できる。ポリアミド酸の溶解に使用する溶媒としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール酸、キシレン、トルエン、ピコリン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ) エタン、ビス2−(2−メトキ
シエトキシ)エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェノール、p−クロロフェノール、アニソール、ベンゼン、およびこれらの混合物が挙げられる。
上記溶媒の中でも、ポリアミド酸の溶解性およびポリアミド酸溶液の保存安定性の観点からは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、およびこれら混合物が挙げられる。
このようにして得られたポリアミド酸を、通常100〜200℃に温度で、イミド化することにより、上記式(I)で表されるポリイミド共重合体が得られる(熱イミド化)。なお、ポリアミド酸を含む溶液からイミド化する際には、その溶液中に含まれる溶媒の除去およびイミド化を同時に行ってもよい。また、イミド化は、無水酢酸などのイミド化剤を用いて化学的に行う方法(化学イミド化)、あるいはジアミン、テトラカルボン酸二無水物及び必要に応じて添加するジカルボン酸無水物を混合した後、有機塩基及び/または共沸脱水用溶媒の存在下または不存在下、すぐに昇温する方法(直接熱イミド化)によっても行うことができる。
反応時間は使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの種類、溶媒の種類、有
機塩基触媒の種類、共沸脱水用溶媒の種類、量及び反応温度により異なるが、目安としては、1〜24時間であり、通常数時間である。また直接熱イミド化を行なう際は目安として、留出する水がほぼ理論量に達する(通常は全てが回収されるわけではないので、50〜90%の回収率である。)まで反応することであり、通常数時間程度である。この場合、イミド化によって生じる水を、トルエン等の共沸剤で除去する方法が一般的で有効である。
反応圧力は、特に制限されるものではないが、通常、大気圧で十分である。反応雰囲気は、特に制限されるものではないが、通常、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンであり、好ましくは不活性気体である窒素やアルゴンである。
反応の際のモノマー濃度は、特に制限されるものではないが、10〜60質量%程度が一般的である。10質量%未満の場合は、反応時間が極端にかかる場合があり、また、60質量%を超える場合には、原料が溶解しにくくなり、効率が悪くなるおそれがある。上記モノマー濃度としては、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。
また、有機溶媒中で重合反応を行ってポリイミド共重合体を製造するに際して、有機塩基触媒を用いてもよい。有機塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。これら有機塩基触媒の中でも、好ましくはピリジン、γ−ピコリンである。これら触媒の使用量は、重合反応速度が実質的に向上すれば、特に制限はない。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの仕込みモル比、すなわちジアミンのモル量に対するテトラカルボン酸二無水物のモル比率をコントロールすることによりポリイミド共重合体の分子量をコントロールできる。上記ポリイミド共重合体の製造においては、仕込みモル比(テトラカルボン酸二無水物/ジアミン)は0.90〜0.99の範囲が好ましく、0.93〜0.98の範囲がさらに好ましい。上記下限値よりモル比が小さい場合には、分子量が小さく成形体が脆くなる傾向があり好ましくない。上記上限値よりモル比が大きい場合には、分子量が大きく溶融流動性が低下する傾向が強く、熱可塑性を発現しないことが多く成形性の観点から好ましくない。
このようにして得られるポリイミドとしては、420℃、6分滞留時の、せん断速度100s-1における溶融粘度が1000〜5000Pa・sの範囲であることが好ましい。溶融粘度が上記範囲にあることにより、特に押出成形時におけるフィルム製造の際の生産性が良い。
溶融粘度が上記範囲のポリイミドは、仕込みモル比(テトラカルボン酸二無水物/ジアミン)、共重合比率をコントロールすることにより製造できる。
本発明で用いる上記ポリイミド共重合体は、その分子鎖末端が、下記式(2)で表されることが好ましい。
Figure 2009155433
上記分子鎖末端を形成する目的に使用される化合物は、ジカルボン酸無水物である無水フタル酸、モノアミンであるアニリンである。
上記化合物の中でも、熱安定性の点から無水フタル酸が好ましい。
その分子鎖末端が上記式(2)で表されるポリイミド共重合体の製造方法としては、例えば
(イ)ジアミン(B)および(C)とテトラカルボン酸二無水物(A)とを反応させた後、式(2)で表される末端基となる化合物(無水フタル酸、アニリン)を添加して反応を続ける方法、
(ロ)ジアミン(B)および(C)に無水フタル酸(末端基となる化合物)を加えて反応させた後、テトラカルボン酸二無水物(A)を添加して、さらに反応を続ける方法、
(ハ)ジアミン化合物(B)および(C)、テトラカルボン酸二無水物(A)ならびに式(2)で表される末端基となる化合物を同時に添加し反応させる方法が挙げられる。
本発明のポリイミド共重合体を金属積層体として用いる場合には、上記ポリイミド共重合体のガラス転移点は、255℃以上であることが好ましく、260℃以上であることがさらに好ましい。255℃未満の場合には、短時間の鉛フリーハンダリフロー工程において、金属積層体における樹脂層の膨れおよびそれに伴う寸法変化、反りなどが生じることがあり好ましくない。
上記ガラス転移点は、使用するモノマーの種類および量比、重合体の分子量などを適宜設定することにより、所望の範囲とすることができる。
次に、金属積層体について説明する。
本発明に係る金属積層体は、金属層と樹脂層とからなる金属積層体であって、上述したポリイミド共重合体からなる樹脂層を少なくとも一層有するものである。
なお、上述したポリイミド共重合体からなる樹脂層には、そのポリイミド共重合体の特性を損なわない範囲で、その他添加剤等が含まれていてもよい。
上記添加剤としては、例えば、無機塩、炭素繊維、ガラス繊維、タルク、マイカ等が挙げられる。
本発明に係るポリイミド金属積層体は、公知の積層体の製造方法で製造可能であり、特に制限はない。上記製造方法としては、例えば、単層または多層のポリイミド共重合体からなる樹脂層(フィルム)と金属箔とを加熱圧着する方法(加熱圧着法)、ポリイミド共重合体からなる樹脂層に、無電解メッキ法、電解メッキ法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、化学気相輸送法(CVD法)などにより金属層を形成する方法、およびこれら方法を組み合わせた方法などが挙げられる。
また、ポリイミド共重合体からなる樹脂層(フィルム)を複数含む場合には、その少なくとも1つの樹脂層が、本発明のポリイミド共重合体から形成されていればよい。例えば、本発明のポリイミド共重合体以外のポリイミドから形成されたフィルムの片面または両面に、本発明に係るポリイミド共重合体がからなる樹脂層を形成した後に、該樹脂層の片面、または両面に金属層を形成してもよい。
本発明に係る金属積層体の金属層を形成する金属は、特に限定されないが、好ましくは銅および銅合金、ステンレス鋼およびその合金、ニッケルおよびニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウムおよびアルミニウム合金などから選ばれる金属であり、さらに好ましくは銅または銅合金である。これら金属から形成される金属層は、上述のように、金属箔から形成されてもよいし、スパッタ法により形成されていてもよい。
スパッタ法により金属層を形成する場合には、金属層の原料となるスパッタリングターゲットの金属の純度は、99質量%以上、好ましくは99.9質量%以上、さらに好ましくは99.99%質量以上である。スパッタリングターゲットの金属の純度が、上記範囲であれば、充分に電気伝導性を確保することができる。なお、金属層を形成する金属が単体金属である場合には、その単体金属の純度が上記範囲にあることが好ましく、金属層を形成する金属が合金であれば、その合金の純度が上記範囲にあることが好ましい。
金属箔から上記金属層を形成する場合には、金属層の厚みは、金属箔として取り扱える厚みであれば特に制限はないが、通常0.1μm以上150μm以下、好ましくは2μm以上150μm以下であり、より好ましくは3μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上35μm以下、最も好ましくは3μm以上12μm以下の範囲である。
一方、スパッタ法により上記金属層を形成する場合には、金属層の厚みは、通常1nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上である。
スパッタ法で得られる上記金属層は、例えば、アディティブ工法で微細パターンを形成するときの、電解メッキを行うための給電層や無電解メッキ時の下地層として用いることができ、上記金属層の厚みの範囲であれば電気伝導性を確保することができる。
一方で、プリント配線板上に微細パターンを形成するという観点では、上記金属層はある程度薄いことが必要であり、また、好ましく用いられるスパッタ法により金属層を形成する場合のコスト上の制約も考慮すると、金属層の厚さは、通常1μm以下、好ましくは500nm以下であることが望ましい。
スパッタ法には、DCスパッタ、RFスパッタ、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、ECRスパッタ、レーザービームスパッタ等各種の手法が有るが、特に限定されるものではなく必要に応じて適宜用いることができる。とりわけ、DCマグネトロンスパッタ法は、低コストであり、かつ金属層を容易に形成できるため好ましい。
DCマグネトロンスパッタ法による金属層の成膜条件は、スパッタガスをアルゴンガスとして、圧力は、通常10-2〜1Pa、好ましくは7×10-2〜7×10-1Pa、さらに好ましくは10-1〜4×10-1Paであり、スパッタ電力密度は、通常1〜100Wcm-2、好ましくは1〜50Wcm-2、さらに好ましくは1〜20Wcm-2である。
上記ポリイミド共重合体からなる樹脂層と金属層とは接着層を介して結合していてもよい。接着層として使用できる物質としては、例えば、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、錫、インジウム等の金属、あるいはこれらの群から選ばれる一つ以上の金属を含む合金、モネル、ニクロム、インコネル等の耐熱性の合金等が挙げられる。
さらに、上記接着層として使用できる物質として、前記金属の酸化物、窒化物、炭化物、および燐化合物、ならびに、インジウム錫酸化物(ITO)、ジンククロメート等の前記金属の複合酸化物等が挙げられる。
これら、接着層として使用できる物質は、金属層と同様にスパッタリング法により容易に積層できる。このような接着層の厚さは、通常1〜50nm、好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは5〜20nmである。接着層の厚さが上記範囲であれば、ポリマー基材と金属層との接着強度を改善させる効果がある。
本発明の金属積層体では、樹脂層に形成された金属層の上にさらに第二の金属層を有していてもよい。上記第二の金属層は例えば、メッキ法、あるいはスパッタ法により形成できる。第二の金属層は、例えば、フレキシブルプリント配線板における配線やICとの電気的接続を行う端子部、また、LCDや半導体の検査用プローブ、さらには、部品として用いるものである。
上記第二金属層は用途に応じて適宜選択できるが、通常、電気的導電性に優れる物質から形成されていることが好ましい。上記第二金属層を形成する物質は、メッキ法、あるいはスパッタ法により形成可能な金属ならば特に限定されるものではなく、当業者が適宜用途を勘案して選択して用いれば良い。
第二金属層となる物質としては、チタン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛、および、これら金属からなる合金などが挙げられる。
これら物質の中でも、銅ならびに銅合金は展延性に優れるので、フレキシブルプリント配線板の配線などの用途に好適である。また、ニッケルならびにニッケル系の合金、および、コバルトならびにコバルト系の合金は、銅よりは展延性と導電性に劣るが、機械的強度が高いので、LCDや半導体の検査用プローブや機械的部品用途、ICなどとプリント配線板の配線の接続を行う端子部に好適である。
第二金属層は、単一層でも、複数の金属層からなる多層であってもよい。また、一部分が単一層であり、他の部分が多層であってもよい。
例えば、フレキシブルプリント配線板に、ICなどとAu−Au接続、Au−Sn接続などを行う端子部を形成する場合には、配線となる銅めっきを施した後に金やスズなどを最表面にめっきして使用する場合がある。また、半田やワイヤーボンディングによりICとの接続を行う際には、銅をめっきした後に、ニッケルやニッケルリン合金、ニッケルボロン合金、さらにはその他のニッケル系の合金をめっきし、さらに必要に応じて金をめっきして使用する場合がある。
第二金属層の厚みは特に限定されるものではなく、その用途を勘案して適宜選択して用いることができる。例えば、配線用途等にメッキする場合などには、その厚みdは、好ましくは0μm<d≦9μm、より好ましくは、0μm<d≦5μm、さらに好ましくは、0μm<d≦3μmである。
第二金属層はメッキにより形成することが好ましい。メッキ方法は電解メッキ、無電解メッキいずれの方法を用いても良く、加工する配線の微細さや、第二の金属層の種類、回路加工等を行う際の全体のプロセスを考慮して適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。
実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
(イ)ポリアミド酸およびポリイミドの対数粘度
ポリアミド酸およびポリイミドの対数粘度は、各々下記の方法にて測定した。
ポリアミド酸; ポリアミド酸ワニス溶液中のポリアミド酸重量が0.100gとなるようポリアミド酸溶液量り取り、このポリアミド酸溶液とN,N−ジメチルアセトアミド
20mlとを混合し、ポリアミド酸溶液を作製した。得られたポリアミド酸溶液をウベ
ローデ粘度管に入れて、35℃において、LAUDA社製自動粘度計測システム PVS
−1により対数粘度を測定した。
ポリイミド; ポリイミド0.100gを、p−クロロフェノール90wt%/フェノール10wt%混合溶媒20mlに溶解し、ポリイミド溶液を作製した。得られたポリイミド溶液をウベローデ粘度管に入れて、35℃において、LAUDA社製自動粘度計測システム PVS−1により対数粘度を測定した。
(ロ)ポリアミド酸の分子量および分子量分布
ポリアミド酸の分子量および分子量分布測定(GPC測定)は、下記の条件にて測定した。
装置: Jasco System1500
カラム: Shodex製KD−G → KD−805L → KD−805L
検出器:示差屈折計RI−930
溶離液: 6mmol/Lの濃度となるようにLiBrを溶解したN,N−ジメチルホルムアミド溶液
流速: 1.0ml/min
温度: 40℃
分子量については、絶対分子量が既知のポリスチレンン標準品を測定して検量線を作成し、ポリアミド酸溶液を測定した際の溶出時間から換算分子量を算出した。
(ハ)ガラス転移温度
ガラス転移温度(Tg)は、以下のDSC法で測定した。
・DSC法
島津製作所製示差走査熱量計 DSC−60および制御システムTA−60WSを用い、窒素流量100ml/min、昇温速度10℃/min、測定温度範囲 室温から420
℃の条件にて測定した。
(ニ)フィルムの機械物性(引張強度、引張伸度及び引張弾性率)
下記条件により機械物性評価を行なった。
装置; INSTRON 1123
クロスヘッドスピード;30mm/min
N数; 5
温度; 25℃(恒温室)
(ホ)溶融粘度
溶融粘度(MV6)は、島津製作所社製キャピラリレオメータ CFT−500Dを用
い、内径1mm長さ10mmのオリフィス、荷重20〜200kgf、測定温度420℃、滞留時間6分およびポリマーサンプル約0.8gの条件にて測定した。
実施例および比較例で使用した化合物を以下のとおりである。
4,4’−FDAN:4,4’−(9−フルオリニデン)ジアニリン
m−BP:4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
PA:無水フタル酸
44ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
33DAS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
mPDA:1,3−ジアミノベンゼン
24TDA:2,4−ジアミノトルエン
〔実施例1〕
ポリアミド酸ワニスを以下の様に調製した。
4,4’−FDAN 1.194g(3.4mmol)、m−BP 22.685g(61.6mmol)、DMAC 80.24gを撹拌機、温度計およびバブラーを装着した
容積200mlの5首セパラブルフラスコに装入後、室温で撹拌した。次いで氷浴にて冷却しながら、PMDA 13.752g(63.1mmol)を発熱に注意しながら2分割
して添加した。更に溶解確認後、PA 0.578g(3.9mmol)添加し、室温で終
夜撹拌することにより目的のワニスを得た。
ポリアミド酸の対数粘度は0.57dl/gだった。GPC測定の結果、重量平均分子
量(Mw)は13.6万だった。
次いでフィルムキャスト法によりポリイミドフィルムを作製した。
ガラス基板に、アプリケータ−を用いて、ギャップ0.2mmの条件で上記ポリアミド酸ワニスを塗工した後、イナートオーブン中で50℃から300℃まで2時間かけて昇温後、更に300℃で2時間加熱することにより、ポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドの対数粘度は0.62dl/gだった。Tgは264℃だった。
機械物性測定結果は、引張強度51MPa、引張弾性率1554MPa、引張伸度71%だった。結果を表1にまとめて示す。
〔実施例2〕
4,4’−FDAN 3.561g(10.2mmol)、m−BP 20.182g(54.8mmol)、DMAC 79.95gを撹拌機、温度計およびバブラーを装着し
た容積200mlの5首セパラブルフラスコに装入後、室温で撹拌した。次いで氷浴にて冷却しながら、PMDA 13.752g(63.1mmol)を発熱に注意しながら2分
割して添加した。更に溶解確認後、PA 0.578g(3.9mmol)添加し、室温で
終夜撹拌することにより目的のワニスを得た。
ポリアミド酸の対数粘度は0.57dl/gだった。GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)は13.3万だった。
次いで実施例1と同様にポリイミドフィルムを作製した。
得られたポリイミドの対数粘度は0.58dl/gだった。Tgは281℃だった。
機械物性測定結果は、引張強度56MPa、引張弾性率1568MPa、引張伸度36%だった。結果を表1にまとめて示す。
〔実施例3〕
4,4’−FDAN 5.902g(16.9mmol)、m−BP 17.707g(48.1mmol)、DMAC 79.67gを撹拌機、温度計およびバブラーを装着し
た容積200mlの5首セパラブルフラスコに装入後、室温で撹拌した。次いで氷浴にて冷却しながら、PMDA 13.752g(63.1mmol)を発熱に注意しながら2分
割して添加した。更に溶解確認後、PA 0.578g(3.9mmol)添加し、室温で
終夜撹拌することにより目的のワニスを得た。
ポリアミド酸の対数粘度は0.57dl/gだった。GPC測定の結果、重量平均分子
量(Mw)は13.3万だった。
次いで実施例1と同様にポリイミドフィルムを作製した。
得られたポリイミドの対数粘度は0.55dl/gだった。Tgは297℃だった。
機械物性測定結果は、引張強度55MPa、引張弾性率1511MPa、引張伸度36%だった。結果を表1にまとめて示す。
〔比較例1〜11〕
4,4’−FDANを表1に示したジアミンに換え、各条件で実施例1と同様の条件でポリアミド酸ワニスの作製、およびポリイミドフィルムの作製を行った。結果を表1にまとめて示す。
〔実施例4〕
ポリイミドを以下の様に合成した。
4,4’−FDAN 7.282g(20.9mmol)、m−BP 29.143g(79.1mmol)、PMDA 20.503g(94.0mmol)PA 1.777g(12.0mmol)を撹拌機、温度計、冷却管およびディーンスタークを装着した容積500mlの5首セパラブルフラスコに装入後、重合濃度25wt%となるようm−クレゾール 163gを装入し、窒素を流量100ml/minにて流通した状態で撹拌しな
がら200℃まで2時間かけて昇温し、その後2時間加熱重合した。次に、予めPA 1.777g(12.0mmol)をm−クレゾール15gに加えて、80〜90℃にて1時間加熱溶解した溶液を作製し、この溶液を反応系中に装入し、更に2時間重合を継続した。重合終了後、撹拌を継続したまま80℃まで冷却した。この段階でポリマーの析出は無く、均一溶液状態だった。次に、メタノール181gを反応マスの粘度、ポリマー析出状態を観察しながら装入し、撹拌しながら室温まで冷却した。その後、桐山ロートを用いてろ過して、さらにメタノール581gによりリンスして、窒素雰囲気下、120℃で8時間、300℃で4時間乾燥することにより、ポリイミド54.3gを得た(収率98.5%)。
ポリイミドの対数粘度は0.37dl/gであった。Tgは274℃であった。
溶融粘度の測定の結果は、せん断速度65、408、770s-1で、それぞれ760、600、480Pa・Sであった。したがって、せん断速度100s-1では、溶融粘度は720Pa・sである。結果を表2にまとめて示す。
〔実施例5〕
4,4’−FDAN 7.282g(20.9mmol)、m−BP 29.143g(
79.1mmol)、PMDA 20.721g(95.0mmol)PA 1.481g
(10.0mmol)、m−クレゾール162gを実施例4と同様に仕込み重合した。次に、予めPA 1.481g(10.0mmol)をm−クレゾール14gに加え、加熱
溶解した溶液を作製し、この溶液を反応系中に装入し、更に2時間重合を継続した。重合終了後、撹拌を継続したまま80℃まで冷却した。この段階でポリマーの析出は無く、均一溶液状態だった。次いで実施例4と同様の操作を行い、ポリイミド54.6gを得た(収率99.2%)。
ポリイミドの対数粘度は0.42dl/gであった。Tgは282℃であった。
溶融粘度測定の結果は、せん断速度25、173、298s-1で、それぞれ2000、1400、1200Pa・sだった。したがって、せん断速度100s-1では、溶融粘度は1580Pa・sである。結果を表2にまとめて示す。
〔実施例6〕
4,4’−FDAN 7.282g(20.9mmol)、m−BP 29.143g(
79.1mmol)、PMDA 20.940g(96.0mmol)PA 1.185g
(8.0mmol)、m−クレゾール161gを実施例4と同様に仕込み重合した。次に、予めPA 1.185g(8.0mmol)をm−クレゾール14gに加え、加熱溶解
した溶液を作製し、この溶液を反応系中に装入し、更に2時間重合を継続した。重合終了後、撹拌を継続したまま80℃まで冷却した。この段階でポリマーの析出は無く、均一溶液状態だった。次いで実施例4と同様の操作を行い、ポリイミド54.4gを得た(収率99.0%)。
ポリイミドの対数粘度は0.48dl/gであった。Tgは287℃であった。
溶融粘度測定の結果は、せん断速度60、105、163s-1で、それぞれ4100、3500、3000Pa・sであった。したがって、せん断速度100s-1では、溶融粘度は3550Pa・sである。結果を表2にまとめて示す。
〔比較例12〜21〕
4,4’−FDANを表1に示したジアミンに換え、各条件で実施例4と同様の条件でポリイミドの合成を行った。
結果を表2にまとめて示す。
Figure 2009155433
Figure 2009155433
本発明のポリイミド共重合体およびポリアミド酸は、例えば、フレキシブルプリント基板などの用途に好適であり、産業上有用である。

Claims (17)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2009155433
    (式(I)中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、
    Figure 2009155433
    から選ばれた4価の芳香族基であり、また、m、nはそれぞれ共重合比率を表し、m+n=1であり、0<m<1、1>n>0である。)で示されることを特徴とするポリイミド共重合体。
  2. 上記一般式(I)で表されるポリイミド共重合体の分子鎖の末端が
    Figure 2009155433
    であることを特徴とする、分子鎖の末端が封止された請求項1に記載のポリイミド共重合体。
  3. 下記一般式(II)
    Figure 2009155433
    (式(II)中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、
    Figure 2009155433
    から選ばれた4価の芳香族基であり、また、m、nはそれぞれ共重合比率を表し、m+n=1であり、0<m<1、1>n>0である。)で示されることを特徴とするポリアミド酸共重合体。
  4. 上記一般式(II)で表されるポリアミド酸共重合体の分子鎖の末端が、
    Figure 2009155433
    のいずれかであることを特徴とする、分子鎖の末端が封止された請求項3に記載のポリアミド酸共重合体。
  5. 上記一般式(I)において、R1およびR2が、
    Figure 2009155433
    である請求項1または2に記載のポリイミド共重合体。
  6. 上記一般式(II)において、R1およびR2が、
    Figure 2009155433
    である請求項3または4に記載のポリアミド酸共重合体。
  7. 請求項1に記載の一般式(I)において、用いられる原料の芳香族ジアミンが、4,
    4’−(9−フルオリニデン)ジアニリンである請求項1または2に示されるポリイミド共重合体。
  8. 請求項3に記載の一般式(II)において、用いられる原料の芳香族ジアミンが4,4
    ’−(9−フルオリニデン)ジアニリンである請求項3または4に示されるポリアミド酸共重合体。
  9. 請求項3、4、6、または8に記載のポリアミド酸共重合体および溶媒を含んでなる溶液。
  10. 請求項9の溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イ
    ミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項9に記載の溶液。
  11. 420℃、6分滞留時におけるせん断速度100s-1における溶融粘度が1000〜5000Pa・sであることを特徴とする請求項1、2、5、または7に記載のポリイミド共重合体。
  12. 請求項1、2、5、または7に記載のポリイミド共重合体から得られるポリイミドフィルム。
  13. 請求項3、4、6、または8に記載のポリアミド酸共重合体をイミド化することにより得られるポリイミドフィルム。
  14. 請求項9または10に記載の溶液に含まれる溶媒を除去すると同時に、該溶液に含まれるポリアミド酸共重合体をイミド化することにより得られるポリイミドフィルム。
  15. 金属層と樹脂層とからなる金属積層体であって、請求項1、2、5、または7に記載のポリイミド共重合体からなる樹脂層を少なくとも一層有することを特徴とする金属積層体。
  16. 請求項1、2、5、または7に記載のポリイミド共重合体以外のポリイミドからなるポリイミドフィルムの片面または両面に、請求項1、2、5、または7に記載のポリイミド共重合体からなる樹脂層が形成され、該樹脂層の片面または両面に金属層が形成された構造を有する請求項15に記載の金属積層体。
  17. 請求項1、2、5、または7に記載のポリイミド共重合体からなるポリイミドフィルムの片面または両面に、金属層が形成された構造を有する請求項15に記載の金属積層体。
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