JP2009155365A - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は衝撃吸収性に優れる衝撃吸収部材を提供することを課題とする。更に詳しくは、静荷重下では十分の剛性を有し、高速度の衝撃を受けた際には対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収する衝撃吸収部材を提供することを課題とする。
【解決手段】平面部に、平面部の肉厚50%以上の高さのリブを備えた構造を有する衝撃吸収部材であって、この衝撃吸収部材が、熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ熱可塑性樹脂組成物が、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)であることを特徴とする衝撃吸収部材。
【選択図】なし

Description

本発明は衝撃吸収性に優れる衝撃吸収部材に関するものである。更に詳しくは、静荷重下では十分の剛性を有し、高速度の衝撃を受けた際には対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収する衝撃吸収部材に関するものである。
近年、歩行者保護および搭乗者保護の観点から、自動車内外装用途を中心に衝撃吸収部品の開発が進んでいる。
衝撃吸収材料として代表的なものにポリウレタンを代表とする熱可塑性エラストマーがあるが、耐熱性が低いため使用範囲が制限されることが多く、近年はポリマーアロイによる耐熱性と耐衝撃性に優れる材料の開発がなされている。特許文献1、2にはポリアミドとアイオノマーからなる耐熱性、耐衝撃性に優れる熱可塑性組成物が開示されている。しかし該材料は、高速度の衝撃を受けると、対象物に与える最大荷重が高くまた材料自身が破壊してしまうため、より衝撃吸収性に優れる材料が望まれているのが現状である。
特許文献3には、引張速度を速くするにつれて弾性率が低下し柔軟になるという樹脂組成物および衝撃吸収部材が開示されている。該組成物は、高速度の衝撃を受けた際には、大きなエネルギーを吸収し得るが、静荷重下での剛性が十分ではなかった。
米国特許3845163号公報 特開昭51−151797号公報 特開2006−89701号公報
静荷重下では、剛性を有し、高速度の衝撃を受けた際には、対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収する衝撃吸収部材を提供することをその課題とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。即ち本発明は、
(1)平面部に、平面部の肉厚50%以上の高さのリブを備えた構造を有する衝撃吸収部材であって、この衝撃吸収部材が、熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ熱可塑性樹脂組成物が、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)であることを特徴とする衝撃吸収部材、
(2)前記リブの幅が、前記平面部の肉厚の50%以下であることを特徴とする(1)記載の衝撃吸収部材、
(3)前記熱可塑性樹脂組成物が、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張破断伸度をε(V1)、ε(V2)とすると、V1<V2のとき、ε(V1)<ε(V2)であることを特徴とする(1)または(2)いずれか1項記載の衝撃吸収部材、
(4)前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(3)いずれか1項記載の衝撃吸収部材、
(5)前記反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂が、ゴム質重合体であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載の衝撃吸収部材、
(6)前記反応性官能基を有する樹脂(B)の反応性官能基が、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載の衝撃吸収部材、
である。
本発明によれば、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を用いて、特定の高さのリブ構造とすることで、静荷重下では、十分な剛性を有し、高速度の衝撃を受けた際には、対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収する衝撃吸収部材とすることができる。
本発明の衝撃吸収部材は、後述する特定の粘弾性特性を有する耐衝撃性の高い熱可塑性樹脂組成物でなるが、かかる衝撃吸収部材は、平面部に、平面部の肉厚50%以上の高さのリブを備えた構造を有することが必要である。一方、平面部に、平面部の肉厚50%より低い高さのリブを備えた場合、静荷重下での剛性向上効果が低く、静荷重下での十分な剛性を得ることができない。
本発明でリブとは平面部の厚み方向に高さを持つ板状のものをさす。ここで静荷重下での剛性と、高速度の衝撃を受けた際のエネルギー吸収量をさらに向上させる目的で、平面部の肉厚100%以上とすることが好ましく、さらには平面部の肉厚150%以上とすることがより好ましい。
また本発明の衝撃吸収部品は、後述する特定の粘弾性特性を有する耐衝撃性の高い熱可塑性樹脂組成物でなるが、その高い耐衝撃性を部材としての耐衝撃性に十分に反映させるためには、リブの幅を特定の範囲にすることが好ましく、具体的には、リブの幅が、平面部の肉厚の50%以下であることが好ましく、さらにはリブの幅が、平面部の肉厚の40%以下であることがより好ましい。
本発明の衝撃吸収部品は、耐衝撃性の高い部品であるが、衝撃荷重による破壊で、荷重付与部分における破壊の可能性が高い点があらかじめ特定できる場合には、その周辺に対して重点的に、本発明の薄肉部分を設けたリブを使用すると良く、その際は、リブの平面部との接触面積が、平面部に対し10〜60%の範囲とすることが好ましく、さらにはリブの平面部との接触面積が、平面部に対し15〜50%の範囲とすることがより好ましい。
本発明の衝撃吸収部材は、熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物からなる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)とは、加熱溶融により成形可能な樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド樹脂等から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を好ましく挙げることができる。
上記に示した熱可塑性樹脂の中で好ましく用いられるのは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂であり、とりわけポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂は末端基の反応性が高いため、最も好ましく用いられる。
本発明において、ポリアミド樹脂は、アミド結合を有する高分子からなる樹脂のことであり、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするものである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン66/6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/5T)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
とりわけ好ましいものとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/66コポリマー、ポリアミド6/12コポリマーなどの例を挙げることができる。更にこれらのポリアミド樹脂を成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適であるが、これらの中でポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12が最も好ましい。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がなく、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度として、1.5〜7.0の範囲が好ましく、特に1.8〜6.0の範囲のポリアミド樹脂が好ましい。相対粘度が1.5よりも小さい場合は、本発明の衝撃吸収部材の特徴である優れた衝撃吸収性を発現することが困難となり、5.0よりも大きい場合は熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が著しく増加し、衝撃吸収部材を成形することが困難となるため好ましくない。
また、本発明において、ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を有する高分子からなる熱可塑性樹脂のことであり、ジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物が好ましく挙げられる。
上記ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。またジオール成分としては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
これらの重合体ないしは共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられ、ポリエステル組成物の成形性からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが特に好ましく、ポリブチレンテレフタレート(ポリブチレンテレフタレート樹脂)が最も好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、0.5%のo−クロロフェノール溶液中、25℃で測定した固有粘度が、0.35〜2.00の範囲、より好ましくは0.50〜1.50の範囲のものが好適である。また、固有粘度の異なるポリブチレンテレフタレート樹脂を併用しても良く、固有粘度が0.35〜2.00の範囲にあることが好ましい。
更に、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求めたCOOH末端基量が1〜50eq/t(ポリマー1トン当たりの末端基量)の範囲にあるものが耐久性、異方性抑制効果の点から好ましく使用できる。
また、ポリフェニレンオキシド樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンオキシド)などを挙げることができ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール)との共重合体のごとき共重合体が挙げられる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)が好ましい。
また、ポリフェニレンオキシド樹脂は、0.5g/dlクロロホルム溶液中、30℃で測定した還元粘度が、0.15〜0.70の範囲にあるものが好適である。
かかるポリフェニレンオキシド樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で得られるものを用いることができる。例えば、USP3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として、酸化重合することにより容易に製造できる。
本発明において用いる反応性官能基を有する樹脂(B)は、反応性官能基を分子鎖中に有する樹脂のことであり、ベースとなる樹脂に反応性官能基を導入したものである。
該反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂としては、前述の熱可塑性樹脂(A)とは異なる熱可塑性樹脂であり、特に制限されないが、好ましくはポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド樹脂等から、前述の熱可塑性樹脂(A)とは異なるように選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることができる。中でも反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂は、反応性官能基の導入の容易さから、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン系樹脂、ゴム質重合体がより好ましく、さらに衝撃吸収性付与の観点から、ゴム質重合体がさらに好ましい。
本発明において、ゴム質重合体は、一般的にガラス転移温度が室温より低い重合体を含有し、分子間の一部が共有結合・イオン結合・ファンデルワールス力・絡み合い等により、互いに拘束されている重合体である。ゴム質重合体は、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸、エチレン−メタクリル酸などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル、エチレン−メタクリル酸エステルなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、不飽和カルボン酸の一部が金属塩である、エチレン−アクリル酸−アクリル酸金属塩、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸金属塩などのエチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどが好ましい例として挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド樹脂を用いる場合には、これらの中でも相溶性の観点から、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体が好ましく用いられる。
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体における不飽和カルボン酸エステルとは、(メタ)アクリル酸エステル好ましくは(メタ)アクリル酸とアルコールとのエステルである。不飽和カルボン酸エステルの具体的な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
共重合体中のエチレン成分と不飽和カルボン酸エステル成分の重量比は特に制限は無いが、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは85/15〜15/85の範囲である。
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の数平均分子量は特に制限されないが、流動性、機械的特性の観点から1000〜70000の範囲が好ましい。
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体における不飽和カルボン酸の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸金属塩としては、(メタ)アクリル酸金属塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸金属塩の金属は、特に限定されないが、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属やマグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などが挙げられる。
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体中の不飽和カルボン酸成分と不飽和カルボン酸金属塩成分の重量比は特に制限されないが、好ましくは95/5〜5/95、より好ましくは90/10〜10/90の範囲である。
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体の数平均分子量は特に制限されないが、流動性、機械的特性の観点から1000〜70000の範囲が好ましい。
反応性官能基を有する樹脂(B)が含有する反応性官能基は、熱可塑性樹脂(A)中に存在する官能基と互いに反応するものであれば特に制限されないが、好ましくは、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩,水酸基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基、スルホン酸基等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。この中でもアミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基は反応性が高く、しかも分解、架橋などの副反応が少ないため、より好ましく用いられる。
酸無水物基をゴム質重合体に導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物等の酸無水物とゴム質重合体の原料である単量体とを共重合する方法、酸無水物をゴム質重合体にグラフトさせる方法などを用いることが出来る。
また、エポキシ基をゴム質重合体に導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどのα,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物等のエポキシ基を有するビニル系単量体を、ゴム質重合体の原料である単量体と共重合する方法、上記官能基を有する重合開始剤または連鎖移動剤を用いてゴム質重合体を重合する方法、エポキシ化合物をゴム質重合体にグラフトさせる方法などを用いることができる。
また、オキサゾリン基をゴム質重合体に導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を有するビニル系単量体をゴム質重合体の原料である単量体と共重合する方法などを用いることができる。
反応性官能基を有する樹脂(B)における、一分子鎖当りの官能基の数については、特に制限はないが通常1〜10個が好ましく、架橋等の副反応を少なくする為に1〜5個が好ましい。また、官能基を全く有さない分子が含まれていても構わないが、その割合は少ない程好ましい。
本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂(A)と反応性官能基を有する樹脂(B)との配合比について、特に制限はないが、熱可塑性樹脂(A)の重量Awと反応性官能基を有する樹脂(B)の重量Bwとの比Aw/Bwは、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましく、15/85〜85/15の範囲が最も好ましい。Aw/Bwが、5/95より低いと反応性官能基を有する樹脂(B)同士の反応が顕著となり、粘度の増大により成形加工が困難となる傾向があり、Aw/Bwが、95/5を越えると、熱可塑性樹脂(A)と反応する官能基の量が少なくなり、熱可塑性樹脂組成物の機械特性の向上効果および特異な粘弾性挙動の発現効果が小さくなる傾向があり、好ましくない。
また、本発明の衝撃吸収部材に用いる熱可塑性樹脂組成物は、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)となる特徴を有す。上記関係式は、引張速度10mm/min以上500mm/min以下の範囲内における、あらゆるV1、V2に対して成立することが好ましく、さらには1mm/min以上1000mm/min以下の範囲内における、あらゆるV1、V2に対して成立することが好ましい。
さらに引張速度V1、V2のときの引張破断伸度をε(V1)、ε(V2)とすると、V1<V2のとき、ε(V1)<ε(V2)であることが好ましい。引張破断伸度とは、破壊の瞬間における伸びを示す。上記関係式は、引張速度10mm/min以上500mm/min以下の範囲内における、あらゆるV1、V2に対して成立することが好ましく、さらには1mm/min以上1000mm/min以下の範囲内における、あらゆるV1、V2に対して成立することが好ましい。
本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては、溶融状態での製造や溶液状態での製造等が使用できるが、反応性向上の点から、溶融状態での製造が好ましく使用できる。溶融状態での製造については、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等が使用できるが、生産性の点から、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好ましく使用できる。押出機による溶融混練については、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上で使用できるが、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく使用でき、二軸押出機を用いた溶融混練による方法が最も好ましい。
本発明で二軸押出機を使用する場合、特に制限はないが、混練性、反応性の向上の点から、L/D0の値が50以上であることが好ましく、より好ましくは60〜200、中でも80〜200の範囲であればさらに好ましい。またL/D0が50未満の二軸押出機を使用する場合でも、複数回混練することにより、熱可塑性樹脂組成物が通過するL/D0を50以上とすることが好ましい。かかるL/D0とは、スクリュー長さLを、スクリュー直径Dで割った値のことである。スクリュー長さとは、スクリュー根元の原料が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から、スクリュー先端部までの長さである。ここで原料とは、熱可塑性樹脂(A)、反応性官能基を有する樹脂(B)、その他の成分として添加する充填剤、熱可塑性樹脂類、ゴム類、各種添加剤類等の、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るために必要な構成成分全てを示す。二軸押出機のスクリューは、フルフライト、ニーディングディスクなどの長さや形状的特徴が異なるスクリューセグメントが組み合わされて構成されている。また、押出機において、原材料が供給される側を上流、溶融樹脂が吐出される側を下流ということがある。
なお、サンプリングバルブ等を有する押出機を使用して、押出機の途中部分からサンプリングする場合、スクリュー長さLが“スクリュー根元の原料が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から該サンプリング箇所までの長さ”に等しく、スクリュー直径D0がサンプリングバルブ等を有する押出機のスクリュー直径に等しい通常の押出機で混練したものと同様であるとみなすことができる。ここでいうサンプリング箇所とは、シリンダー内の樹脂が吐出される口に最も近く、かつ上流側のスクリュー軸上の位置を指すものとする。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、混練性、反応性の向上の点から、二軸押出機のスクリューが複数ヶ所のフルフライトゾーンおよびニーディングゾーンを有していることが好ましい。フルフライトゾーンは1個以上のフルフライトより構成され、ニーディングゾーンは1個以上のニーディングディスクより構成される。
本発明で二軸押出機を使用する場合、複数ヶ所のニーディングゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最大となるニーディングゾーンの樹脂圧力をPkmax(MPa)、複数ヶ所のフルフライトゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最小となるフルフライトゾーンの樹脂圧力をPfmin(MPa)とすると、Pkmaxの値が、(Pfmin+0.3)以上の条件で、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することが好ましく、(Pfmin+0.4)以上の条件がより好ましく、(Pfmin+0.5)以上の条件で製造することがさらに好ましい。1個以上のニーディングディスクから構成されるニーディングゾーンは、1個以上のフルフライトから構成されるフルフライトゾーンより、溶融樹脂の混練性および反応性に優れる。ニーディングゾーンに溶融樹脂を充満することにより、混練性および反応性が飛躍的に向上する。溶融樹脂の充満状態を示す一つの指標として、樹脂圧力の値があり、樹脂圧力が大きいほど、溶融樹脂が充満している一つの目安となる。すなわち、本発明で二軸押出機を使用する場合、ニーディングゾーンの樹脂圧力を、フルフライトゾーンの樹脂圧力より、ある範囲で高めることにより、反応を効果的に促進させることが可能となり、それにより引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)となる特徴を顕著に発現させることが可能となる。
ニーディングゾーンにおける樹脂圧力を高める方法として、特に制限はないが、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に、溶融樹脂を上流側に押し戻す効果のある逆スクリューゾーンや溶融樹脂を溜める効果のあるシールリングゾーン等を導入する方法など好ましく使用できる。逆スクリューゾーンやシールリングゾーンは、1個以上の逆スクリューや1個以上のシールリングからなり、それらを組み合わせることも可能である。
例えば、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に逆スクリューゾーンを導入する場合、逆スクリューゾーンのそれぞれの長さをLrとすると、全ての逆スクリューゾーンが、Lr/D0=0.1〜10の長さを有していることが、混練性、反応性の観点から好ましい。各逆スクリューゾーンの長さLr/D0は、より好ましくは0.2〜8、さらに好ましくは0.3〜6である。なお、逆スクリューゾーンの長さLrは、その逆スクリューゾーンを構成する最も上流の逆スクリューの上流端部からスクリュー軸中心線への垂線と、最も下流の逆スクリューの下流端部からスクリュー軸中心線への垂線との間の距離とする。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、熱可塑性樹脂組成物の押出量が、スクリュー1rpm当たり0.01kg/h以上であることが好ましく、より好ましくは0.05kg/h〜1kg/h、さらに好ましくは0.08〜0.5kg/h、最も好ましくは、0.1〜0.3kg/hである。かかる押出量とは、押出機から吐出される熱可塑性樹脂組成物の押出速度のことであり、1時間当たりに押出される重量(kg)のことである。
なお、上記二軸押出機における押出量に関わる好ましい数値範囲は、スクリュー直径37mmの二軸押出機の押出量を基準とするものである。スクリュー直径が大幅に異なる場合、例えば直径30mm未満、または直径が50mmを超える二軸押出機を使用する場合、押出量は、スケールダウンあるいはスケールアップ前後のスクリュー直径比に対して、好ましくは2.5乗則あるいは3乗則、より好ましくは2.5乗則に従って、低下・増大するものとして、読み替えることができるものとする。
例えば、スクリュー直径が20mmの二軸押出機を使用する場合、押出量がスケールダウン前後のスクリュー直径比の2.5乗則に従うものとすると、熱可塑性樹脂組成物の押出量は、スクリュー回転数1rpm当たり、好ましくは0.002kg/h以上、より好ましくは0.01〜0.2kg/h、さらに好ましくは0.017〜0.11kg/h、最も好ましくは、0.02〜0.06kg/hである。
また、スクリュー直径が100mmの二軸押出機を使用する場合、押出量がスケールアップ前後のスクリュー直径比の2.5乗則に従うものとすると、熱可塑性樹脂組成物の押出量は、スクリュー1rpm当たり、好ましくは0.12kg/h以上、より好ましくは0.6〜12kg/h、さらに好ましくは0.96〜6kg/h、最も好ましくは1.2〜3.6kg/hである。
また、スクリューの回転速度としては、特に制限はないが、通常10rpm以上、好ましくは15rpm以上、さらに好ましくは20rpm以上である。また、押出量としては、特に制限はないが、通常0.1kg/h以上、好ましくは0.15kg/h以上、さらに好ましくは0.2kg/h以上である。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、熱可塑性樹脂組成物の二軸押出機中での滞留時間が1〜30分であることが好ましく、より好ましくは1.5〜28分、さらに好ましくは2〜25分である。かかる滞留時間とは、二軸押出機に原材料を供給してから吐出するまでの滞留時間の平均であり、無着色の熱可塑性樹脂組成物が所定の押出量に調節された定常的な溶融混練状態において、原料が供給されるスクリュー根本の位置から、原料と共に、着色剤を通常1g程度投入し、着色剤等を投入した時点から、熱可塑性樹脂組成物が押出機の吐出口より押出され、その押出物への着色剤による着色度が最大となる時点までの時間とする。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のスクリューとしては、特に制限はなく、完全噛み合い型、不完全噛み合い型、非噛み合い型等のスクリューが使用できるが、混練性、反応性の観点から、完全噛み合い型スクリューが好ましい。また、スクリューの回転方向としては、同方向、異方向どちらでも良いが、混練性、反応性の観点から、同方向回転が好ましい。本発明で二軸押出機を使用する場合、スクリューとしては、同方向回転完全噛み合い型が最も好ましい。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のスクリュー構成としては、フルフライトおよび/またはニーディングディスクを組み合わせて使用するが、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物へ効果的に剪断場を付与するスクリュー構成が好ましい。そのため、前記の通り、二軸押出機のスクリューが、1個以上のニーディングディスクから構成されるニーディングゾーンを、長手方向に複数箇所所有していることが好ましく、これらのニーディングゾーンの合計長さが、スクリューの全長の好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%、さらに好ましくは、15〜30%の範囲である。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のスクリューにおけるニーディングゾーンのそれぞれの長さをLkとすると、全てのニーディングゾーンが、Lk/D0=0.2〜10の長さを有していることが、混練性、反応性の観点から好ましい。各ニーディングゾーンの長さLk/D0は、より好ましくは0.3〜9、さらに好ましくは0.5〜8である。なお、ニーディングゾーンの長さLkは、そのニーディングゾーンを構成する最も上流のニーディングディスクの上流端部からスクリュー軸中心線への垂線と、最も下流のニーディングディスクの下流端部からスクリュー軸中心線への垂線との間の距離とする。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のニーディングゾーンは、スクリュー内の特定の位置に偏在することなく、全域に渡って配置されることが好ましい。
本発明で二軸押出機を使用する場合、熱劣化を抑制するために原料投入部から不活性ガスを導入して溶融混練することが好ましい。不活性ガスとしては窒素ガスが好ましい。
本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物においては、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、前記(A)および(B)以外のその他の成分を添加しても構わない。その他の成分として、充填剤、熱可塑性樹脂類、ゴム類、各種添加剤類を挙げることができる。
例えば、充填剤は、強度及び寸法安定性等を向上させるため、必要に応じて用いてもよい。充填材の形状としては繊維状であっても非繊維状であってもよく、繊維状の充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。
かかる充填材としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。 また、これら繊維状および/または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械特性を得る意味において好ましい。
強度および寸法安定性等を向上させるため、かかる充填剤を用いる場合、その配合量は特に制限はないが、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して30〜400重量部配合することが好ましい。
また本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物中においては、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂類を配合することができる。
かかる熱可塑性樹脂類としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂類は2種類以上併用することも可能である。かかる熱可塑性樹脂類を用いる場合、その配合量は、特に制限はないが、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、1〜400重量部配合されることが好ましい。
さらに本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物中においては、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、他のゴム類、各種添加剤類を配合することができる。
かかるゴム類とは、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸、エチレン−メタクリル酸などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル、エチレン−メタクリル酸エステルなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、不飽和カルボン酸の一部が金属塩である、エチレン−アクリル酸−アクリル酸金属塩、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸金属塩などのエチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーおよびそれらの変性物などが好ましい例として挙げられる。かかるゴム類は2種類以上併用することも可能である。かかるゴム類を用いる場合、その配合量は、特に制限はないが、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、1〜400重量部配合されることが好ましい。
本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物に添加することが可能な各種添加剤類は、好ましくは、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などが挙げられる。
これらのゴム類、各種添加剤類は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、二軸押出機により本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する場合、樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、樹脂を溶融混練中にサイドフィード等の手法により添加する方法や、予め樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めに、熱可塑性樹脂組成物を構成する片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法が挙げられる。
本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物を二軸押出機により製造する場合、二軸押出機で溶融混練する際に、反応性の向上の観点から、超臨界流体を導入することもできる。かかる超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界点(臨界点)を越えた状態にあり、気体としての性質(拡散性)と液体としての性質(溶解性)を併せ持った流体のことである。かかる超臨界流体としては、超臨界二酸化炭素、超臨界窒素、超臨界水等が挙げられるが、好ましくは、超臨界二酸化炭素および超臨界窒素が使用でき、最も好ましくは超臨界二酸化炭素が使用できる。
本発明の衝撃吸収部材の成形方法は、任意の方法が可能である。成形方法としては例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形等が可能である。
このようにして得られた本発明の衝撃吸収部材は、静荷重下では十分の剛性を有し、高速度の衝撃を受けた際には対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収する。
一般に、熱可塑性樹脂からなる成形品は、引張速度を変化させて引張特性を評価すると、引張速度が速いほど、引張弾性率が高くなり、引張伸度が低下する挙動を示す。これに対して、本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形した成形品は、引張速度が速いほど、引張弾性率が低くなるという特異な粘弾性特性を示し、さらに引張伸度が増大するという全く逆の特性を示すことが認められる。つまり高速度の衝撃を受けた際には対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収することが可能となるため、衝撃吸収特性を必要とする成形品として有用である。
さらに、本発明の衝撃吸収部材における熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、損失正接(tanδ)のピーク値が大きくなるという特徴を有し、振動エネルギー吸収性能に優れた特性を発揮する。このため、吸音性、吸熱性や制振性・免震性等が必要な用途に特に有用である。
本発明の衝撃吸収部品は移動用機器部材、携帯用機器部材、建築用部材として好ましく用いられる。特に好ましくは自動車部品として用いられる。移動用機器とは、たとえば車両、船舶、自転車などであり、携帯用機器部材とは、コンピューター関連部品、VTR部品、テレビ部品、コンパクトディスク、DVD等の音声・映像機器部品、携帯電話器関連部品、カメラ、時計などであり、建築用部材とは、例えば土木建築物の壁、屋根、天井材関連部品、窓材関連部品、断熱材関連部品、床材関連部品、免震・制振部材関連部品、ライフライン関連部品、雨戸、ガードレール、イスなどである。自動車部品としてはとくに限定されないが、例えばバンパー、フェンダー、ガーニッシュ、ドアパネル、ルーフパネル、フロントグリル、ランプハウジング、スポイラー、グリルエプロンカバーフレーム、ドアハンドル、ドアモール、リアフィニッシャー、ホイールカバー、ホイールキャップ、ピラー、サイドメンバー、安全ベルト部品、インストルメントパネル、エアバッグ周辺部品、ドアパッド、コンソールボックス、フードパネル、トランクリッド、ドアミラーステー、フードルーバーなどを挙げることができる。
本発明の樹脂成形品の用途は特に限定されないが、自動車部品に使われる場合、樹脂成形品は対衝突物に略垂直に成形品底面を設置する。これらは、実際に試作、試験を行うことによっても可能であるが、コンピューターシミュレーションによる仮想的な試験結果に基づいて最適な形状を決定する方法が好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
本実施例および比較例に用いた熱可塑性樹脂(A)は以下の通りである。
(A−1):融点225℃、98%硫酸中0.01g/mlでの相対粘度2.75のナイロン6樹脂。
同様に、反応性官能基を有する樹脂(B)は以下の通りである。
(B−1):グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン共重合体(以下GMA変性PE共重合体と略称する)「ボンドファースト BF−7L」(住友化学社製)
同様に、(A)、(B)以外の樹脂は以下の通りである。
(C−1):未変性ポリエチレン共重合体(以下未変性PE共重合体と略称する)「LOTRYL29MA03」(アルケマ社製)
(D−1):熱可塑性ポリウレタン「エラストランNY97A」(BASF社製)
(1)ダンベル試験片の作製
日精樹脂工業社製射出成形機(NP7−1F)を用いて、成形温度260℃(比較例4では220℃)、金型温度80℃(比較例4では20℃)、射出圧力下限圧+5kgf/cm2の条件により、JIS−5Aダンベル型試験片(長さ75mm×端部幅12.5mm×厚さ2mm)を作製した。
(2)ダンベル試験片の引張弾性率および引張破断伸度の評価
射出成形により得られたJIS−5Aダンベル型試験片を、オートグラフAG100kNG(島津製作所製)に供し、チャック間距離を50mmとし、100mm/min、500mm/min、1000mm/minの速度で、引張試験を実施し、各速度における引張弾性率および引張破断伸度を評価した。なお、引張破断伸度は、チャック間距離50mmを基準とした破断伸度とした。
(3)リブ付き成形品の作製
日精樹脂工業社製射出成形機(NP7−1F)を用いて、成形温度260℃(比較例4では220℃)、金型温度80℃(比較例4では20℃)、射出圧力下限圧+5kgf/cm2の条件により、130mm×130mm×肉厚10mmの平面に対し、リブ高さ5mm(実施例2、比較例3、4では10mm、実施例3では20mm、比較例1はリブ無し、比較例2では3mm)、リブ幅は3mm(実施例4では6mm、比較例1はリブ無し)、リブの平面部との接触面積25%の成形品を作製した。
(4)リブ付き成形品の静荷重下での剛性評価
リブ付き成形品(比較例1ではリブ無し)に対し、直径10mmのステンレス丸棒(60g)に30kgのおもりを掛けて、10秒間保持するサイクルを10回繰り返し、10回繰り返し後の圧縮歪み量を評価した。
(5)リブ付き成形品の耐衝撃性評価
JIS−Z0235に準拠して、リブ付き成形品(比較例1ではリブ無し)に対し、底面積が70cm2、重さ4.5kgのおもりを2.5mの高さから自由落下させた際の衝撃値を測定した。
実施例1〜4、比較例1、2
熱可塑性樹脂(A)としてナイロン6樹脂(A−1)を、反応性官能基を有する樹脂(B)としてGMA変性PE共重合体(B−1)を使用し、表1に示す配合組成で混合し、窒素フローを行いながら、スクリュー径37mm、スクリューは2条ネジの2本のスクリューのL/D0=100の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(東芝機械社製、TEM−37BS−26/2V)を使用し、シリンダー温度を260℃、表1に示すスクリュー回転数、押出量で溶融混練を行い、吐出口(L/D=100)よりストランド状の溶融樹脂を吐出した。その際、原料と共に着色剤を投入し、押出物への着色が最大となる時間を滞留時間として測定し、その滞留時間を表1に示した。また、スクリュー構成:Aとして、L/D0=22、28、43、55、69、77、93の位置から始まる7箇所のニーディングゾーンを設け、各ニーディングゾーンの長さLk/D0は、順番にLk/D0=1.8、1.8、2.3、2.3、2.3、2.3、3.0とした。さらに各ニーディングゾーンの下流側に、逆スクリューゾーンを設け、各逆スクリューゾーンの長さLr/D0は、順番にLr/D0=0.4、0.4、0.8、0.8、0.4、0.8、0.4とした。また、スクリュー全長に対する上記ニーディングゾーンの合計長さの割合(%)を、(ニーディングゾーンの合計長さ)÷(スクリュー全長)×100により算出すると、ニーディングゾーンの合計長さの割合は16%であった。また、複数ヶ所のニーディングゾーンに設置した樹脂圧力計が示した樹脂圧力のうち、最大となったニーディングゾーンの樹脂圧力Pkmax(MPa)から、複数ヶ所のフルフライトゾーンに設置した樹脂圧力計が示した樹脂圧力のうち、最小となったフルフライトゾーンの樹脂圧力Pfmin(MPa)を引いた値を表1に示した。またベント真空ゾーンはL/D0=96に位置に設け、ゲージ圧力−0.1MPaで揮発成分の除去を行った。吐出されたストランド状の溶融樹脂を、冷却バスを通過させて冷却し、ペレタイザーにより引取りながら裁断することにより、熱可塑性樹脂組成物のペレット状のサンプルを得た。該サンプルを80℃で12時間以上真空乾燥後、前記した射出成形を実施し、ダンベル試験片の引張弾性率および引張破断伸度の評価、リブ付き成形品の静荷重下での剛性評価および耐衝撃性評価を行った。押出混練条件および各種評価結果を表1に示す。
比較例3
反応性官能基を有する樹脂(B)の代わりに未変性PE共重合体(C−1)を使用した以外は、実施例2と同様にして溶融混練を実施し、熱可塑性樹脂組成物を得た。該サンプルを80℃で12時間以上真空乾燥後、前記した射出成形を実施し、ダンベル試験片の引張弾性率および引張破断伸度の評価、リブ付き成形品の静荷重下での剛性評価および耐衝撃性評価を行った。押出混練条件および各種評価結果を表1に示す。
比較例4
代表的な衝撃吸収材料である熱可塑性ポリウレタン(D−1)の各種評価結果を表1に示す。
Figure 2009155365
実施例1〜4より、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用い、特定のリブ形状を備えることで、静荷重下で十分な剛性を有し、かつ前記した大荷重、高速度の自由落下衝撃試験においても、対象物に与える衝撃値が20G以下と低く、衝撃吸収部材用途に優れていることがわかる。
一方、実施例1〜4と同様の熱可塑性樹脂組成物を用いても、比較例1の様に、リブを有しない場合や、比較例2の様にリブ高さが不適の場合、静荷重下での剛性が低く、また大荷重、高速度の自由落下衝撃試験において、対象物に与える衝撃値が35Gと大きいものであった。
また、比較例3に示す、反応性官能基を有する樹脂(B)の代わりに未変性PE共重合体(C−1)を使用した場合、特定のリブ形状を備えても、荷重下での剛性が低く、また大荷重、高速度の自由落下衝撃試験において、対象物に与える衝撃値が90Gと著しく大きいものであった。
さらに比較例4に示した、代表的な衝撃吸収材料である熱可塑性ポリウレタンでは、特定のリブ形状を備えても、荷重下での剛性が著しく低く、また大荷重、高速度の自由落下衝撃試験において、対象物に与える衝撃値が70Gと著しく大きいものであった。
これらの結果より、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を用いて、特定の高さのリブ構造とすることで、静荷重下では、十分な剛性を有し、高速度の衝撃を受けた際には、対象物に与える最大荷重が低く、かつ大きなエネルギーを吸収する衝撃吸収部材を得ることができることがわかる。

Claims (6)

  1. 平面部に、平面部の肉厚50%以上の高さのリブを備えた構造を有する衝撃吸収部材であって、この衝撃吸収部材が、熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ熱可塑性樹脂組成物が、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)であることを特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 前記リブの幅が、前記平面部の肉厚の50%以下であることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収部材。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物が、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張破断伸度をε(V1)、ε(V2)とすると、V1<V2のとき、ε(V1)<ε(V2)であることを特徴とする請求項1または2いずれか1項記載の衝撃吸収部材。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の衝撃吸収部材。
  5. 前記反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂が、ゴム質重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の衝撃吸収部材。
  6. 前記反応性官能基を有する樹脂(B)の反応性官能基が、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の衝撃吸収部材。
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