JP2007254568A - スポーツ用品 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性官能基を有する樹脂を包含し、特異な粘弾性挙動を顕著に発現する熱可塑性樹脂組成物からなり、耐衝撃性に優れ、かつ衝撃吸収能力に優れるスポーツ用品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とするスポーツ用品。
【選択図】なし

Description

本発明は、反応性官能基を有する樹脂を包含し、特異な粘弾性挙動を顕著に発現する熱可塑性樹脂組成物からなり、耐衝撃性に優れ、さらに衝撃吸収能力にも優れるスポーツ用品に関するものである。
近年、スポーツ用品の材料として、木材などの天然素材から高分子材料への転換が進み、最近では、高分子材料単体の使用から、高分子材料のアロイ化・複合化により、スポーツ用品の軽量化や機能、性能は飛躍的な進歩を見せている。これらスポーツ用品には、高い機能、性能に併せて、高い安全性の確保が求められており、衝撃吸収能力に優れる高分子材料が求められている。中でもスポーツ用のヘルメットやプロテクターなどは、その最たる一例として挙げられる。例えば、スポーツ用プロテクターの外郭部材において、熱可塑性樹脂材料を連続相とし、ゴム組成物を分散相とした熱可塑性エラストマー組成物からなるスポーツ用プロテクターが開示されている(特許文献1参照)。
特開2005−194637号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、単に熱可塑性樹脂と一部が加硫されたゴム成分を押出機等で溶融混練し、その状態で加硫剤を添加することによりゴム組成物を動的に架橋しているだけであるため、強い衝撃を受けたときの衝撃吸収能力は充分ではないという問題があった。また、従来の高分子材料は、高速で衝撃を受けた際、硬くもろくなる粘弾性挙動を有しており、これまで高速変形ほど軟らかくなるという特異な粘弾性挙動を顕著に発現する高分子材料は存在しなかった。
本発明は、反応性官能基を有する樹脂を包含し、特異な粘弾性挙動を顕著に発現する熱可塑性樹脂組成物からなり、耐衝撃性に優れ、さらに衝撃吸収能力にも優れるスポーツ用品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応性官能基を有する樹脂を包含し、特異な粘弾性挙動を顕著に発現する熱可塑性樹脂組成物を使用したスポーツ用品が、耐衝撃性に優れ、さらに衝撃吸収能力にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とするスポーツ用品、
(2)引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張破断伸度をε(V1)、ε(V2)とすると、V1<V2のとき、ε(V1)<ε(V2)である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(1)記載のスポーツ用品、
(3)スクリュー長さLとスクリュー直径Dの比L/Dが50以上である二軸押出機により溶融混練し、前記二軸押出機に原料を供給してから押し出すまでの滞留時間を1分から30分、押出量をスクリュー回転1rpm当たり0.01kg/h以上の条件で溶融混練し製造された熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(1)あるいは(2)に記載のスポーツ用品、
(4)前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれかに記載のスポーツ用品、
(5)前記反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂が、ゴム質重合体である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(1)〜(4)いずれかに記載のスポーツ用品、
(6)前記樹脂(B)の反応性官能基が、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(1)〜(5)いずれかに記載のスポーツ用品、
に関するものである。
本発明によれば、反応性官能基を有する樹脂を包含し、特異な粘弾性挙動を顕著に発現する熱可塑性樹脂組成物からなり、耐衝撃性に優れ、さらに衝撃吸収能力にも優れるスポーツ用品を提供することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)からなる熱可塑性樹脂組成物である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)とは、加熱溶融により成形可能な樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド樹脂等から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を好ましく挙げることができる。
上記に示した熱可塑性樹脂の中で好ましく用いられるのは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂であり、とりわけポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂は末端基の反応性が高いため、最も好ましく用いられる。
本発明において、ポリアミド樹脂は、アミド結合を有する高分子からなる樹脂のことであり、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするものである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
とりわけ好ましいものとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド6/66コポリマー、ポリアミド6/12コポリマーなどの例を挙げることができ、更にこれらのポリアミド樹脂を成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適であるが、これらの中でポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12が最も好ましい。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
また、本発明において、ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を有する高分子からなる熱可塑性樹脂のことであり、ジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物が好ましく挙げられる。
上記ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。またジオール成分としては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
これらの重合体ないしは共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられ、ポリエステル組成物の成形性からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが特に好ましく、ポリブチレンテレフタレート(ポリブチレンテレフタレート樹脂)が最も好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.36〜1.60、特に0.52〜1.25の範囲にあるものが好適である。また、固有粘度の異なるポリブチレンテレフタレート樹脂を併用しても良く、固有粘度が0.36〜1.60の範囲にあることが好ましい。
更に、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求めたCOOH末端基量が1〜50eq/t(ポリマー1トン当りの末端基量)の範囲にあるものが耐久性、異方性抑制効果の点から好ましく使用できる。
また、本発明で用いるポリフェニレンオキシド樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンオキシド)などを挙げることができ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール)との共重合体のごとき共重合体が挙げられる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)が好ましい。
また、ポリフェニレンオキシド樹脂は、30℃で測定した還元粘度(0.5g/dlクロロホルム溶液)が、0.15〜0.70の範囲にあるものが好適である。
かかるポリフェニレンオキシド樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で得られるものを用いることができる。例えば、USP3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として、酸化重合することにより容易に製造できる。
本発明において、反応性官能基を有する樹脂(B)は、反応性官能基を分子鎖中に有する樹脂のことである。
本発明の反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂としては、前述の熱可塑性樹脂(A)とは異なる熱可塑性樹脂であり、特に制限されないが、好ましくはポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアセタール樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド樹脂等から、前述の熱可塑性樹脂(A)とは異なるように選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることができる。中でも反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂は、反応性官能基の導入の容易さから、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン系樹脂、ゴム質重合体がより好ましく、さらに耐衝撃特性・靭性改良効果の観点から、ゴム質重合体がさらに好ましい。
本発明において、ゴム質重合体は、一般的にガラス転移温度が室温より低い重合体を含有し、分子間の一部が共有結合・イオン結合・ファンデルワールス力・絡み合い等により、互いに拘束されている重合体である。ゴム質重合体は、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸、エチレン−メタクリル酸などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル、エチレン−メタクリル酸エステルなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、不飽和カルボン酸の一部が金属塩である、エチレン−アクリル酸−アクリル酸金属塩、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸金属塩などのエチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどが好ましい例として挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド樹脂を用いる場合には、これらの中でも相溶性の観点から、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体が好ましく用いられる。
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体における不飽和カルボン酸エステルとは、(メタ)アクリル酸エステル好ましくは(メタ)アクリル酸とアルコールとのエステルである。不飽和カルボン酸エステルの具体的な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
共重合体中のエチレン成分と不飽和カルボン酸エステル成分の重量比は特に制限は無いが、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは85/15〜15/85の範囲である。
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の数平均分子量は特に制限されないが、流動性、機械的特性の観点から1000〜70000の範囲が好ましい。
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体における不飽和カルボン酸の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸金属塩としては、(メタ)アクリル酸金属塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸金属塩の金属は、特に限定されないが、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属やマグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などが挙げられる。
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体中の不飽和カルボン酸成分と不飽和カルボン酸金属塩成分の重量比は特に制限されないが、好ましくは95/5〜5/95、より好ましくは90/10〜10/90の範囲である。
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体の数平均分子量は特に制限されないが、流動性、機械的特性の観点から1000〜70000の範囲が好ましい。
反応性官能基を有する樹脂(B)が含有する反応性官能基は、熱可塑性樹脂(A)中に存在する官能基と互いに反応するものであれば特に制限されないが、好ましくは、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩,水酸基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基、スルホン酸基等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。この中でもアミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基は反応性が高く、しかも分解、架橋などの副反応が少ないため、より好ましく用いられる。
酸無水物基をゴム質重合体に導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物等の酸無水物とゴム質重合体の原料である単量体とを共重合する方法、酸無水物をゴム質重合体にグラフトさせる方法などを用いることが出来る。
また、エポキシ基をゴム質重合体に導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどのα,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物等のエポキシ基を有するビニル系単量体を、ゴム質重合体の原料である単量体と共重合する方法、上記官能基を有する重合開始剤または連鎖移動剤を用いてゴム質重合体を重合する方法、エポキシ化合物をゴム質重合体にグラフトさせる方法などを用いることができる。
また、オキサゾリン基をゴム質重合体に導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を有するビニル系単量体をゴム質重合体の原料である単量体と共重合する方法などを用いることができる。
反応性官能基を有する樹脂(B)における、一分子鎖当りの官能基の数については、特に制限はないが通常1〜10個が好ましく、架橋等の副反応を少なくする為に1〜5個が好ましい。また、官能基を全く有さない分子が含まれていても構わないが、その割合は少ない程好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂(A)と反応性官能基を有する樹脂(B)との配合比について、特に制限はないが、熱可塑性樹脂(A)の重量Awと反応性官能基を有する樹脂(B)の重量Bwとの比Aw/Bwは、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましく、15/85〜85/15の範囲が最も好ましい。Aw/Bwが、5/95より低いと反応性官能基を有する樹脂(B)同士の反応が顕著となり、粘度の増大により成形加工が困難となる傾向があり、Aw/Bwが、95/5を越えると、熱可塑性樹脂(A)と反応する官能基の量が少なくなり、熱可塑性樹脂組成物の特異な粘弾性挙動の発現効果が小さくなる傾向があり、好ましくない。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物は、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)である。この場合の引張試験とは、規格に明記された方法に従って行われる。引張弾性率とは、応力−歪み曲線の初期直線部分の勾配を示す。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物は、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張破断伸度をε(V1)、ε(V2)とすると、V1<V2のとき、ε(V1)<ε(V2)であることが好ましい。引張破断伸度とは、破壊の瞬間における伸びを示す。上記関係式は、引張速度10mm/min以上500mm/min以下の範囲内における、あらゆるV1、V2に対して成立することが好ましく、さらには1mm/min以上1000mm/min以下の範囲内における、あらゆるV1、V2に対して成立することが好ましい。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては、特に制限はなく、溶融状態での製造や溶液状態での製造等、公知の技術が使用できるが、生産性の点から、溶融状態での製造が好ましく使用できる。溶融状態での製造については、特に制限はなく、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等、公知の技術が使用できるが、生産性の点から、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好ましく使用できる。押出機による溶融混練については、特に制限はなく、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上で使用できるが、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく使用でき、二軸押出機を用いた溶融混練による方法が最も好ましい。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、特に制限はないが、混練性、反応性の向上の点から、L/Dの値が50以上であることが好ましく、より好ましくは60〜200、中でも80〜200の範囲であればさらに好ましい。かかるL/Dとは、スクリュー長さLを、スクリュー直径Dで割った値のことである。スクリュー長さとは、スクリュー根元の原料が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から、スクリュー先端部までの長さである。ここで、二軸押出機のスクリューは、フルフライト、ニーディングディスクなどの長さや形状的特徴が異なるスクリューセグメントが組み合わされて構成されている。また、押出機において、原材料が供給される側を上流、溶融樹脂が吐出される側を下流ということがある。
なお、サンプリングバルブ等を有する押出機を使用して、押出機の途中部分からサンプリングする場合、スクリュー長さLが“スクリュー根元の原料が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から該サンプリング箇所までの長さ”に等しく、スクリュー直径Dがサンプリングバルブ等を有する押出機のスクリュー直径に等しい通常の押出機で混練したものと同様であるとみなすことができる。ここでいうサンプリング箇所とは、シリンダー内の樹脂が吐出される口に最も近く、かつ上流側のスクリュー軸上の位置を指すものとする。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、混練性、反応性の向上の点から、二軸押出機のスクリューが複数ヶ所のフルフライトゾーンおよびニーディングゾーンを有していることが好ましい。フルフライトゾーンは1個以上のフルフライトより構成され、ニーディングゾーンは1個以上のニーディングディスクより構成される。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、複数ヶ所のニーディングゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最大となるニーディングゾーンの樹脂圧力をPkmax(MPa)、複数ヶ所のフルフライトゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最小となるフルフライトゾーンの樹脂圧力をPfmin(MPa)とすると、Pkmaxの値が、(Pfmin+0.3)以上の条件で、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することが好ましく、(Pfmin+0.4)以上の条件がより好ましく、(Pfmin+0.5)以上の条件で製造することがさらに好ましい。
1個以上のニーディングディスクから構成されるニーディングゾーンは、1個以上のフルフライトから構成されるフルフライトゾーンより、溶融樹脂の混練性および反応性に優れる。ニーディングゾーンに溶融樹脂を充満することにより、混練性および反応性が飛躍的に向上する。溶融樹脂の充満状態を示す一つの指標として、樹脂圧力の値があり、樹脂圧力が大きいほど、溶融樹脂が充満している一つの目安となる。すなわち、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物の製造において、二軸押出機を使用する場合、ニーディングゾーンの樹脂圧力を、フルフライトゾーンの樹脂圧力より、ある範囲で高めることにより、反応を効果的に促進させることが可能となり、特異な粘弾性挙動を顕著に発現させることが可能となる。
ニーディングゾーンにおける樹脂圧力を高める方法として、特に制限はないが、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に、溶融樹脂を上流側に押し戻す効果のある逆スクリューゾーンや溶融樹脂を溜める効果のあるシールリングゾーン等を導入する方法など好ましく使用できる。逆スクリューゾーンやシールリングゾーンは、1個以上の逆スクリューや1個以上のシールリングからなり、それらを組み合わせることも可能である。
例えば、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に逆スクリューゾーンを導入する場合、逆スクリューゾーンのそれぞれの長さをLrとすると、全ての逆スクリューゾーンが、Lr/D=0.1〜10の長さを有していることが、混練性、反応性の観点から好ましい。各逆スクリューゾーンの長さLr/Dは、より好ましくは0.2〜8、さらに好ましくは0.3〜6である。なお、逆スクリューゾーンの長さLrは、その逆スクリューゾーンを構成する最も上流の逆スクリューの上流端部からスクリュー軸中心線への垂線と、最も下流の逆スクリューの下流端部からスクリュー軸中心線への垂線との間の距離とする。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、熱可塑性樹脂組成物の押出量が、スクリュー1rpm当たり0.01kg/h以上であることが好ましく、より好ましくは0.05kg/h〜1kg/h、さらに好ましくは0.08〜0.5kg/h、最も好ましくは、0.1〜0.3kg/hである。かかる押出量とは、押出機から吐出される熱可塑性樹脂組成物の押出速度のことであり、1時間当たりに押出される重量(kg)のことである。
なお、上記二軸押出機における押出量に関わる好ましい数値範囲は、スクリュー直径37mmの二軸押出機の押出量を基準とするものである。スクリュー直径が大幅に異なる場合、例えば直径30mm未満、または直径が50mmを超える二軸押出機を使用する場合、押出量は、スケールダウンあるいはスケールアップ前後のスクリュー直径比に対して、好ましくは2.5乗則あるいは3乗則、より好ましくは2.5乗則に従って、低下・増大するものとして、読み替えることができるものとする。
例えば、スクリュー直径が20mmの二軸押出機を使用する場合、押出量がスケールダウン前後のスクリュー直径比の2.5乗則に従うものとすると、熱可塑性樹脂組成物の押出量は、スクリュー回転数1rpm当たり、好ましくは0.002kg/h以上、より好ましくは0.01〜0.2kg/h、さらに好ましくは0.017〜0.11kg/h、最も好ましくは、0.02〜0.06kg/hである。
また、スクリュー直径が100mmの二軸押出機を使用する場合、押出量がスケールアップ前後のスクリュー直径比の2.5乗則に従うものとすると、熱可塑性樹脂組成物の押出量は、スクリュー1rpm当たり、好ましくは0.12kg/h以上、より好ましくは0.6〜12kg/h、さらに好ましくは0.96〜6kg/h、最も好ましくは1.2〜3.6kg/hである。
また、スクリューの回転速度としては、特に制限はないが、通常10rpm以上、好ましくは15rpm以上、さらに好ましくは20rpm以上である。また、押出量としては、特に制限はないが、通常0.1kg/h以上、好ましくは0.15kg/h以上、さらに好ましくは0.2kg/h以上である。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、熱可塑性樹脂組成物の二軸押出機中での滞留時間が1〜30分であることが好ましく、より好ましくは1.5〜28分、さらに好ましくは2〜25分である。かかる滞留時間とは、二軸押出機に原材料を供給してから吐出するまでの滞留時間の平均であり、無着色の熱可塑性樹脂組成物が所定の押出量に調節された定常的な溶融混練状態において、原料が供給されるスクリュー根本の位置から、原料と共に、着色剤を通常1g程度投入し、着色剤等を投入した時点から、熱可塑性樹脂組成物が押出機の吐出口より押出され、その押出物への着色剤による着色度が最大となる時点までの時間とする。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のスクリューとしては、特に制限はなく、完全噛み合い型、不完全噛み合い型、非噛み合い型等のスクリューが使用できるが、混練性、反応性の観点から、完全噛み合い型スクリューが好ましい。また、スクリューの回転方向としては、同方向、異方向どちらでも良いが、混練性、反応性の観点から、同方向回転が好ましい。本発明で二軸押出機を使用する場合、スクリューとしては、同方向回転完全噛み合い型が最も好ましい。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のスクリュー構成としては、フルフライトおよび/またはニーディングディスクを組み合わせて使用するが、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物へ効果的に剪断場を付与するスクリュー構成が好ましい。そのため、前記の通り、二軸押出機のスクリューが、1個以上のニーディングディスクから構成されるニーディングゾーンを、長手方向に複数箇所所有していることが好ましく、これらのニーディングゾーンの合計長さが、スクリューの全長の好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%、さらに好ましくは、15〜30%の範囲である。
また、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する際、二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のスクリューにおけるニーディングゾーンのそれぞれの長さをLkとすると、全てのニーディングゾーンが、Lk/D=0.2〜10の長さを有していることが、混練性、反応性の観点から好ましい。各ニーディングゾーンの長さLk/Dは、より好ましくは0.3〜9、さらに好ましくは0.5〜8である。なお、ニーディングゾーンの長さLkは、そのニーディングゾーンを構成する最も上流のニーディングディスクの上流端部からスクリュー軸中心線への垂線と、最も下流のニーディングディスクの下流端部からスクリュー軸中心線への垂線との間の距離とする。
また、本発明で二軸押出機を使用する場合、二軸押出機のニーディングゾーンは、スクリュー内の特定の位置に偏在することなく、全域に渡って配置されることが好ましい。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂(A)または反応性官能基を有する樹脂(B)の一方が連続相、もう一方が分散相を形成することが好ましい。連続相を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂(A)または反応性官能基を有する樹脂(B)のどちらかであり、特に限定されないが、熱可塑性樹脂(A)としての特性を主に要求するならば、連続相は熱可塑性樹脂(A)で構成されている方が好ましい。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(A)または反応性官能基を有する樹脂(B)の一方が連続相、もう一方が分散相を形成する場合、分散相中に、平均粒子径300nm以下の微粒子が存在していることが好ましい。この微粒子を構成する成分について、特に制限はないが、好ましい一例として、連続相および分散相の界面において、熟可塑性樹脂(A)と反応性官能基を有する樹脂(B)との反応により生成した化合物が挙げられる。この場合、該化合物は、剪断場等の外場の影響を受けて、界面から分散相に移動し、移動した相との親和性の高い成分が外側に向いた、いわゆるミセルの形態として存在する。
このような分散構造は、例えば透過型電子顕微鏡観察等により確認することができる。透過型電子顕微鏡観察により確認が可能な倍率は、通常の透過型電子顕微鏡観察で観察される倍率であり、微粒子の大きさにより異なるが、本発明の場合、5000倍〜100000倍の範囲で使用され、特に微粒子の大きさが100nm以下の場合は、1OOOO倍〜100000倍の範囲で使用される。
分散相中に該微粒子が存在する場合、分散相の平均粒子径は、微粒子を含有することが可能な大きさであれば特に制限されないが、耐衝撃性等の観点から、100〜1000nmが好ましく、より好ましくは10O〜800nmであり、100〜500nmであればさらに好ましい。
平均粒子径が300nm以下の微粒子の平均粒子径はは、好ましくは1〜300nmであるが、3〜100nmの範囲がより好ましく、5〜50nmの範囲であれぱさらに好ましい。ここでいう微粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡観察により得られる透過画像の画像解析により算出することができる。画像解析としては、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」等の画像解析ソフトを使用して、前記透過画像中に存在する微粒子の直径および短径の平均値を算出し、直径と短径の平均値として平均粒子径を算出する。
また、分散相中に微粒子が存在する場合、分散相中の微粒子が分散相に占める面積の割合は、特異な粘弾性挙動の顕著な発現のために、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上であればさらに好ましい。ここでいう微粒子が分散相に占める面積の割合は、透過型電子顕微鏡観察により得られる透過画像の画像解析により算出することができる。画像解析としては、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」等の画像解析ソフトを使用して、前記透過画像中に存在する分散相の面積およびその分散相中に存在する微粒子の面積を算出し、分散相中に存在する微粒子の面積を分散相の面積で除した値として、分散相中の微粒子が分散相に占める面積の割合を算出する。本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物中においては、必要に応じて、前記(A)および(B)以外のその他の成分を添加しても構わない。その他の成分として、充填剤、熱可塑性樹脂類、ゴム類、各種添加剤類を挙げることができる。
例えば、充填剤は、強度及び寸法安定性等を向上させるため、必要に応じて用いてもよい。充填材の形状としては繊維状であっても非繊維状であってもよく、繊維状の充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。
かかる充填材としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
強度および寸法安定性等を向上させるため、かかる充填剤を用いる場合、その配合量は特に制限はないが、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して30〜400重量部配合することが好ましい。
さらに本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物中においては、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、他のゴム類、各種添加剤類を配合することができる。
かかるゴム類とは、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸、エチレン−メタクリル酸などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル、エチレン−メタクリル酸エステルなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、不飽和カルボン酸の一部が金属塩である、エチレン−アクリル酸−アクリル酸金属塩、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸金属塩などのエチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーおよびそれらの変性物などが好ましい例として挙げられる。かかるゴム類は2種類以上併用することも可能である。かかるゴム類を用いる場合、その配合量は、特に制限はないが、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、1〜400重量部配合されることが好ましい。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物に添加することが可能な各種添加剤類は、好ましくは、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などが挙げられる。
これらのゴム類、各種添加剤類は、本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、二軸押出機により本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する場合、樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、樹脂を溶融混練中にサイドフィード等の手法により添加する方法や、予め樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めに、熱可塑性樹脂組成物を構成する片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法が挙げられる。
本発明のスポーツ用品を構成する熱可塑性樹脂組成物を二軸押出機により製造する場合、二軸押出機で溶融混練する際に、反応性の向上の観点から、超臨界流体を導入することもできる。かかる超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界点(臨界点)を越えた状態にあり、気体としての性質(拡散性)と液体としての性質(溶解性)を併せ持った流体のことである。かかる超臨界流体としては、超臨界二酸化炭素、超臨界窒素、超臨界水等が挙げられるが、好ましくは、超臨界二酸化炭素および超臨界窒素が使用でき、最も好ましくは超臨界二酸化炭素が使用できる。
本発明のスポーツ用品の成形方法は、任意の方法が可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形等が可能であり、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルム又はシート状、パイプ状、中空状、箱状等、その他スポーツ用品の任意の形状に成形することができる。
本発明のスポーツ用品としては、特に制限はないが、ゴルフクラブやシャフト、グリップ、ゴルフボール等のゴルフ関連用品、テニスラケットやバトミントンラケットおよびそのガット等のスポーツラケット関連用品、アメリカンフットボールや野球、ソフトボール等のマスク、ヘルメット、胸当て、肘当て、膝当て等のスポーツ用身体保護用品、スポーツウェア等のウェア関連用品、スポーツシューズの底材等のシューズ関連用品、釣り竿、釣り糸等の釣り具関連用品、サーフィン等のサマースポーツ関連用品、スキー・スノーボード等のウィンタースポーツ関連用品、その他インドアおよびアウトドアスポーツ関連用品等に好適に使用される。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
特に断りのない限り、原料は下記に記したものを使用した。
ポリアミド6樹脂(以下PA6樹脂と略称する)
:「CM1017」(東レ社製)
グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン共重合体(以下GMA変性PE共重合体と略称する)
:「ボンドファースト BF−7L」(住友化学社製)
未変性ポリエチレン共重合体(以下未変性PE共重合体と略称する)
:「LOTRYL29MA03」(アルケマ社製)
実施例1、2
熱可塑性樹脂(A)としてPA6樹脂を、反応性官能基を有する樹脂(B)としてGMA変性PE共重合体を使用し、表1に示す配合組成で混合し、真空ポンプによる揮発分の除去および窒素フローを行いながら、スクリュー径37mm、スクリューは2条ネジの2本のスクリューのL/D=100の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(東芝機械社製、TEM−37BS−26/2V)を使用し、シリンダー温度を260℃、表1に示すスクリュー回転数、押出量で溶融混練を行い、吐出口(L/D=100)よりストランド状の溶融樹脂を吐出した。その際、原料と共に着色剤を投入し、押出物への着色が最大となる時間を滞留時間として測定し、その滞留時間を表1に示した。また、スクリュー構成:Aとして、L/D=22、28、43、55、69、77、93の位置から始まる7箇所のニーディングゾーンを設け、各ニーディングゾーンの長さLk/Dは、順番にLk/D=1.8、1.8、2.3、2.3、2.3、2.3、3.0とした。さらに各ニーディングゾーンの下流側に、逆スクリューゾーンを設け、各逆スクリューゾーンの長さLr/Dは、順番にLr/D=0.4、0.4、0.8、0.8、0.4、0.8、0.4とした。また、スクリュー全長に対する上記ニーディングゾーンの合計長さの割合(%)を、(ニーディングゾーンの合計長さ)÷(スクリュー全長)×100により算出すると、ニーディングゾーンの合計長さの割合は16%であった。また、複数ヶ所のニーディングゾーンに設置した樹脂圧力計が示した樹脂圧力のうち、最大となったニーディングゾーンの樹脂圧力Pkmax(MPa)から、複数ヶ所のフルフライトゾーンに設置した樹脂圧力計が示した樹脂圧力のうち、最小となったフルフライトゾーンの樹脂圧力Pfmin(MPa)を引いた値を表1に示した。また、吐出されたストランド状の溶融樹脂を、冷却バスを通過させて冷却し、ペレタイザーにより引取りながら裁断することにより、熱可塑性樹脂組成物のペレット状のサンプルを得た。該サンプルを乾燥後、以下の条件で評価用試験片を作成した。また、以下の条件で各種特性を評価した。その結果を表2に示す。
(1)試験片の射出成形
日精樹脂工業社製射出成形機(NP7−1F)を用いて、成形温度:260℃、金型温度:80℃、射出圧力:下限圧+5kgf/cmの条件により、JIS−5Aダンベル型試験片(長さ75mm×端部幅12.5mm×厚さ2mm)およびJIS−1号短冊型試験片(幅10mm×長さ80mm×厚さ4mm)を作成した。また、日本製鋼所社製射出成形機(J55ELII)を用いて、成形温度:260℃、金型温度:80℃、射出圧力:下限圧+5kgf/cmの条件により、角板(80mm×80mm×厚さ3mm)を作成した。
(2)モルフォロジー観察
射出成形により得られたJIS−5Aダンベル型試験片を、四酸化ルテニウムにより染色後、超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡)にて35000借に拡大し、モルフォロジー観察を行い、連続相成分の同定を行った。さらに、50000倍に拡大し、分散柚中の微粒子の存在の有無を確認するとともに、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」を使用し、それら微粒子が分散相に占める面積の割合を算出した。その結果を表2に示した。(3)引張試験による引張弾性率および引張破断伸度の評価
射出成形により得られたJIS−5Aダンベル型試験片を、オートグラフAG100kNG(島津製作所製)に供し、チャック間距離を50mmとし、100mm/min、500mm/min、1000mm/minの速度で、引張試験を実施し、各速度における引張弾性率および引張破断伸度を評価した。なお、引張破断伸度は、チャック間距離50mmを基準とした破断伸度とした。その結果を表2に示した。
(4)衝撃強度の評価
射出成形により得られたJIS−1号短冊型試験片を、東洋精機社製シャルピー衝撃試験機611に供し、ISO179に従い、23℃、50%RHにおけるシャルピー衝撃試験を実施した。その結果を表2に示した。
(5)高速面衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの評価
射出成形により得られた3mm厚角板を、島津製作所社製サーボパルサーEHF−U2H−20L型高速面衝撃試験器に供し、1m/s(3.6km/h)および10m/s(36km/h)の速度で、23℃および−30℃における高速面衝撃試験を実施し、破断点および破断点までの衝撃吸収エネルギーを評価した。その結果を表3に示した。
(6)ゴルフクラブヘッド部としての打感評価
上記実施例1、下記比較例1および3により得られた熱可塑性樹脂組成物の射出成形により得られた3mm厚角板を、ゴルフクラブ(ドライバー)のヘッド部の大きさに合うように楕円型に切削し、ゴルフクラブヘッド部の打撃面の内側にインサートした。そのゴルフクラブを使用し、打感に敏感な5名のゴルファーに1O球ずつ試打してもらい、その打感を5名の協議の下で評価した。打ったときのソフトさおよび手に伝わる衝撃について、ソフトさに優れ、かっ手に伝わる衝撃が弱い打感のものを○、それ以外の打感を×とした。その結果を表4に示した。
比較例1、2
スクリュー構成:Bとして、L/D=22、28、43、55、69、77、93の位置から始まる7箇所のニーディングゾーンを設け、各ニーディングゾーンの長さLk/Dは、順番にLk/D=1.8、1.8、2.3、2.3、2.3、2.3、3.0とした。スクリュー構成として、逆スクリューゾーンを設けなかった以外は、実施例1、2と同様にして溶融混練を実施し、熱可塑性樹脂組成物を得た。混練条件を表1に、得られた熱可塑性樹脂組成物評価結果を表2および表3に示す。
比較例3
未変性ポリエチレン共重合体を使用した以外は、実施例1、2と同様にして溶融混練を実施し、熱可塑性樹脂組成物を得た。混練条件を表1に、得られた熱可塑性樹脂組成物評価結果を表2および表3に示す。
実施例3
スクリュー径37mm、スクリューは2条ネジの2本のスクリューのL/D=100の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(東芝機械社製、TEM−37BS−26/2V)に設置されているL/D=72のサンプリングバルブより熱可塑性樹脂組成物を吐出した以外は、実施例1と同様にして溶融混練を実施し、熱可塑性樹脂組成物を得た。混練条件を表1に、得られた熱可塑性樹脂組成物評価結果を表2および表3に示す。なお、スクリュー全長に対する上記ニーディングゾーンの合計長さの割合(%)を、(ニーディングゾーンの合計長さ)÷(スクリュー全長)×100により算出すると、ニーディングゾーンの合計長さの割合は15%であった。
比較例4
スクリュー構成をBとした以外は、実施例3と同様にして溶融混練を実施し、熱可塑性樹脂組成物を得た。混練条件を表1に、得られた熱可塑性樹脂組成物評価結果を表2および表3に示す。
比較例5
スクリュー径37mm、スクリューは2条ネジの2本のスクリューのL/D=100の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(東芝機械社製、TEM−37BS−26/2V)に設置されているL/D=40のサンプリングバルブより熱可塑性樹脂組成物を吐出した以外は、比較例4と同様にして溶融混練を実施し、熱可塑性樹脂組成物を得た。混練条件を表1に、得られた熱可塑性樹脂組成物評価結果を表2および表3に示す。なお、スクリュー全長に対する上記ニーディングゾーンの合計長さの割合(%)を、(ニーディングゾーンの合計長さ)÷(スクリュー全長)×100により算出すると、ニーディングゾーンの合計長さの割合は9%であった。
Figure 2007254568
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実施例1、2、3より、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、引張試験において、引張速度を大きくするに従い、引張弾性率が顕著に低下し、さらに引張破断伸度も大きく増大する。さらに、耐衝撃性に優れ、高速面衝撃試験において、23℃および−30℃における衝撃吸収エネルギーが大きく、衝撃吸収能力に優れる。また、実施例1の熱可塑性樹脂組成物をゴルフクラブのヘッド部にインサートし、ボールを打った時の打感は、ソフトさに優れ、かつ手に伝わる衝撃が小さく、打感として非常に良好であることが分かった。一方、比較例1、2、4より、従来の熱可塑性樹脂組成物は、引張試験において、引張速度を大きくするに従い、引張弾性率が低下し、引張破断伸度も増大するものの、その程度は大きくはない。さらに、実施例1、2の本発明の熱可塑性樹脂組成物と比較すると、耐衝撃性に劣り、さらに23℃および−30℃での高速面衝撃試験における衝撃吸収エネルギーは小さく、衝撃吸収能力にも劣る。
また、比較例3、5より、従来の熱可塑性樹脂組成物は、引張試験において、引張速度を大きくするに従い、引張弾性率は増大し、さらに引張破断伸度も低下する。さらに、実施例1の本発明の熱可塑性樹脂組成物と比較すると、耐衝撃性に大きく劣り、さらに23℃および−30℃での高速面衝撃試験における衝撃吸収エネルギーは大きく低下し、衝撃吸収能力にも大きく劣る。
これらの結果より、反応性官能基を有する樹脂を包含し、特異な粘弾性挙動を顕著に発現する熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性に優れ、かつ衝撃吸収能力にも優れるため、スポーツ用品として好適である。
また、比較例1および3の熱可塑性樹脂組成物をゴルフクラブのヘッド部にインサートし、ボールを打った時の打感は、実施例1の熱可塑性樹脂綿成物を使用した場合と比較し、ソフトさに劣り、かつ手に伝わる衝撃が大きく、打感として悪い結果が得られた。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂(A)および反応性官能基を有する樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張弾性率をE(V1)、E(V2)とすると、V1<V2のとき、E(V1)>E(V2)である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とするスポーツ用品。
  2. 引張試験において、引張速度V1、V2のときの引張破断伸度をε(V1)、ε(V2)とすると、V1<V2のとき、ε(V1)<ε(V2)である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1記載のスポーツ用品。
  3. スクリュー長さLとスクリュー直径Dの比L/Dが50以上である二軸押出機により溶融混練し、前記二軸押出機に原料を供給してから押し出すまでの滞留時間を1分から30分、押出量をスクリュー回転1rpm当たり0.01kg/h以上の条件で溶融混練し製造された熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のスポーツ用品。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のスポーツ用品。
  5. 前記反応性官能基を有する樹脂(B)のベースとなる樹脂が、ゴム質重合体である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のスポーツ用品。
  6. 前記樹脂(B)の反応性官能基が、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のスポーツ用品。
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