JP2009155086A - エレベータのドア制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】各階床毎に制御データを保持するためのメモリや複雑な演算処理を必要とせずに、過負荷検出の基準値を最適化でき、その基準値を用いて過負荷検出を高精度に行う。
【解決手段】定速走行トルク演算部21およびドア重量演算部22を備え、各階床の戸開時に定速走行トルクTsとドア重量Mを演算にて求める。この定速走行トルクTsとドア重量Mを過負荷基準値設定部19に与えることにより、戸閉時の過負荷検出基準値Tolを最適化して、高精度な過負荷検出を行うことができる。
【選択図】 図8
【解決手段】定速走行トルク演算部21およびドア重量演算部22を備え、各階床の戸開時に定速走行トルクTsとドア重量Mを演算にて求める。この定速走行トルクTsとドア重量Mを過負荷基準値設定部19に与えることにより、戸閉時の過負荷検出基準値Tolを最適化して、高精度な過負荷検出を行うことができる。
【選択図】 図8
Description
本発明は、エレベータのかごドア(乗りかご側のドア)の開閉動作を制御するためのドア制御装置に関する。
通常、エレベータのドア制御装置では、走行中にかごドアが開かないように、戸閉方向に一定の保持トルクを掛けている。また、戸閉時に乗客や物がドアに挟まれたことを過負荷状態として検出し、戸閉動作を停止する機能(これを過負荷検出機能と呼ぶ)を備えているのが一般的である。
図10に従来のエレベータのドア制御装置の構成を示す。図中のD1,D2,D3は減算器である。
かごドアの速度制御を行うため、ドア駆動用モータ11にはパルスエンコーダ12が設置されている。このパルスエンコーダ12の出力信号は、モータ速度演算部18にてモータ速度に変換されて、速度制御系へフィードバックされる。
速度指令発生部15は、予め設定された目標速度に従って速度指令値Vrefを出力する。速度制御部16は、モータ速度演算部18から出力されるモータ実速度Vmと速度指令発生部15から出力される速度指令値Vrefとの速度偏差信号に基づいて、ドア駆動用モータ11に対するトルク指令値Trefを出力する。
一方、電流トルク変換部17は、ドア駆動用モータ11の実電流をトルク電流に変換することにより、そのトルク電流に基づいてモータ実トルクTmを出力する。電流制御部14は、電流トルク変換部17から出力されるモータ実トルクTmと速度制御部16から出力されるトルク指令Trefとが一致するように、電力変換部13への電圧指令を制御する。これにより、電力変換部13からドア駆動用モータ11に対して所要の電力供給がなされて、かごドアが目標速度で戸閉方向または戸開方向に移動することになる。
ここで、戸閉時の過負荷状態を検出するための過負荷検出機能として、過負荷基準値設定部19および過負荷判定部20が設けられる。
過負荷基準値設定部19は、ドア重量Mと定常走行時のトルクTsに基づいて過負荷検出基準値Tolを算出する。過負荷判定部20は、速度制御部16から出力される過負荷検出基準値Tolと過負荷基準値設定部19から出力されるトルク指令値Trefとの差分が所定値以上の場合に必要以上の負荷が働いているものとして判定し、異常信号を出力する。この異常信号は、図示せぬ上位の制御装置に与えられる。これにより、戸閉動作が直ちに停止されることになる。
このような構成において、過負荷基準値設定部19に与えられるドア重量Mと定速走行トルクTsの値は、ドアの機構や間口などから予め固定的に定められている。なお、定速走行時のトルクTsを使用するのは、減速時や加速時ではトルク力が変動しているため、過負荷状態を正確に検出できないことによる。このドア重量Mと定速走行トルクTsを用いて過負荷検出の標準値となるTolを設定し、その基準値Tolとトルク指令値Trefとの比較から乗客の手や荷物がドアに挟まれたときの過負荷状態を検出する。
しかしながら、各階床毎に乗場側のドアの意匠などが異なることがある。その結果、各階床でドア重量Mや定速走行トルクTsに誤差が生じ、過負荷検出の精度に影響するといった問題がある。
また、戸閉時の速度(速度指令値Vref)はドア重量Mによらずに一定であるため、ドア重量Mが大きい階床では、戸閉力の基準を満足できなくなる可能性がある。この場合、戸閉力の基準を満足するように戸閉速度を下げると、例えば各階床の一部でドア重量Mが大きいな場合に、他の階床での戸閉速度も下がってしまうことになり、エレベータの運行時間に影響を及ぼすことになる。
そこで、従来、このような問題を解消するため、各階床でドアを開閉する毎に制御データを学習し、その学習結果に基づいて各階のドア重量を同定して、過負荷検出の精度を上げる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−159461号公報
しかしながら、上記特許文献1のような方法では、各階床毎に制御データを保持しておくためのメモリを必要とし、また、これらの制御データを用いて複雑な演算処理を行うため、その処理に時間がかかるなどの問題がある。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、各階床毎に制御データを保持するためのメモリや複雑な演算処理を必要とせずに、過負荷検出の基準値を最適化でき、その基準値を用いて過負荷検出を高精度に行うことのできるエレベータのドア制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエレベータのドア制御装置は、エレベータのドアを開閉駆動するためのドア駆動用モータと、このドア駆動用モータを目標速度で駆動するための速度指令値を発生する速度指令発生手段と、上記ドア駆動モータの実速度を検出する速度検出手段と、上記速度指令発生手段から出力された速度指令値と上記速度検出手段にて検出されたモータ実速度との偏差に基づいて上記ドア駆動用モータに対するトルク指令値を出力する速度制御手段とを備えたエレベータのドア制御装置において、上記ドアの戸開中に得られる定速走行トルクと上記ドアの機構部の戸閉力とに基づいて戸閉時の定速走行トルクを算出する定速走行トルク演算手段と、上記ドアの戸開中に得られる加減速トルクと上記速度指令値から得られる加減速値とに基づいてドア重量を算出するドア重量演算手段と、上記定速走行トルク演算手段によって算出された戸閉時の定速走行トルクと上記ドア重量演算手段によって算出されたドア重量とに基づいて過負荷検出基準値を設定する過負荷基準値設定手段と、この過負荷基準値設定手段によって設定された過負荷検出基準値に基づいて戸閉時の過負荷状態を判定する過負荷判定手段とを具備したことを特徴とする。
本発明によれば、各階床毎に制御データを保持するためのメモリや複雑な演算処理を必要とせずに、過負荷検出の基準値を最適化でき、その基準値を用いて過負荷検出を高精度に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明のエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成について説明する。
まず、本発明のエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成について説明する。
図1はそのかごドアの構成を示す図であり、2枚のドアパネルを有する左右中開きタイプのかごドアの構成が示されている。
一対のかごドア(ドアパネル)1a,1bは、ベルト2を介して中央中開で左右方向に開閉自在に支持されている。ベルト2は、一対のプーリ3a,3bに巻き掛けられており、一方のプーリ3bの軸にドア駆動用モータ11が連結されている。かごドア1a,1bは、それぞれベルト2の上側、下側に結合され、ドア駆動用モータ11の回転方向に応じて、戸開方向または戸閉方向に移動する。
なお、各階の設置された図示せぬ乗場ドアは、乗りかごが着床したときに、かごドア1a,1bに係合して開閉動作する。この場合、乗り場ドアが単独で自閉できるように、重りや巻き取り式の機構を持つ自閉装置が設置されているのが一般的であり、その自閉装置の機構部戸閉力Twが常に発生している。
次に、かごドア1a,1bを開閉駆動するためのドア制御装置の構成について説明する。
図2は本発明の第1の実施形態に係るエレベーエレベータ御装置の構成を示すブロック図である。なお、図10と同じ部分には、同一符号を付して説明する。
図2に示すように、このドア制御装置には、ドア駆動用モータ11、パルスエンコーダ12、電力変換部13、電流制御部14、速度指令発生部15、速度制御部16、電流トルク変換部17、モータ速度演算器18、過負荷基準値設定部19、過負荷判定部20が備えられている。
ドア駆動用モータ11は、図1に示したかごドア1a,1bを開閉動作させるためのモータである。パルスエンコーダ12は、このドア駆動用モータ11の回転軸などに取り付けられており、ドア駆動用モータ11の回転速度に応じてパルス信号を出力する。モータ速度演算器18は、パルスエンコーダ12から出力されるパルス信号に基づいてモータ実速度Vmを求め、速度制御系にフィードバックする。
速度指令発生部15は、予め設定された目標速度に従って速度指令値Vrefを出力する。速度制御部16は、モータ速度演算部18から出力されるモータ実速度Vmと速度指令発生部15から出力される速度指令値Vrefとの速度偏差信号に基づいて、ドア駆動用モータ11に対するトルク指令値Trefを出力する。
一方、電流トルク変換部17は、ドア駆動用モータ11の実電流をトルク電流に変換することにより、そのトルク電流に基づいてモータ実トルクTmを出力する。電流制御部14は、電流トルク変換部17から出力されるモータ実トルクTmと速度制御部16から出力されるトルク指令Trefとが一致するように、電力変換部13への電圧指令を制御する。これにより、電力変換部13からドア駆動用モータ11に対して所要の電力供給がなされて、かごドア1a,1bが目標速度で戸閉方向または戸開方向に移動することになる。
また、過負荷基準値設定部19は、ドア重量Mと定常走行時のトルクTsとに基づいて過負荷検出基準値Tolを算出する。過負荷判定部20は、速度制御部16から出力される過負荷検出基準値Tolと過負荷基準値設定部19から出力されるトルク指令値Trefとの差分が所定値以上の場合に必要以上の負荷が働いているものとして判定し、異常信号を出力する。この異常信号は、図示せぬ上位の制御装置に与えられる。これにより、戸閉動作が直ちに停止されることになる。
ここで、第1の実施形態では、各階床毎に戸開時の定速走行トルクTsを演算にて求める定速走行トルク演算部21と、ドア重量Mを演算にて求めるドア重量演算部22とを備え、これらによって演算された結果を過負荷基準値設定部19に与える構成としている。
以下に、この定速走行トルク演算部21とドア重量演算部22の動作について、図3及び図4を参照して詳しく説明する。
図3は戸開時の速度指令Vrefとトルク指令Trefの波形を示す図である。図4は戸閉時の速度指令Vrefとトルク指令Trefと過負荷検出基準値Tolの波形を示す図である。
図1で説明したように、機構部戸閉力Twは、乗り場ドアが単独で自閉できるように重りや巻き取り式の機構を持つ自閉装置が発生する力である。第1の実施形態では、この機構部戸閉力Twが予め初期設定されているものとする。
図3に示す戸開時のトルク指令値Trefにおいて、戸開時の定速走行トルクをTsopとすると、戸閉時の定速走行トルクTsclは、以下のような式で表される。
Tscl=Tsop−2Tw …(1)
なお、Tsopの“op”はopenの略、Tsclの“cl”はcloseの略である。
なお、Tsopの“op”はopenの略、Tsclの“cl”はcloseの略である。
定速走行トルク演算部21は、トルク指令Trefから得られる戸開時の定速走行トルクTsopと予め設定された機構部戸閉力Twを入力として、上記(1)式に従って戸閉時の定速走行トルクTsclを算出し、これを基準値設定用のパラメータとして過負荷基準値設定部19に出力する。
次に、図3に示す戸開時の速度指令Vrefとトルク指令Trefにおいて、加速度Aacc、減速度Adec、加速トルクTacc、減速トルクTdecには、以下のような関係が成り立つ。
M=Tacc/Aacc=Tdec/Adec …(2)
上記(2)式は、トルク=加速度×重量といった関係式に基づいた式である。
上記(2)式は、トルク=加速度×重量といった関係式に基づいた式である。
ドア重量演算部22は、トルク指令Trefから得られる戸開時の加減速トルクTacc,Tdecと戸開時の速度指令Vrefから得られる加減速値Aacc,Adecを入力として、上記(2)式に従ってドア重量Mを算出し、これを基準値設定用のパラメータとして過負荷基準値設定部19に出力する。
このようにして、定速走行トルクTsとドア重量Mが過負荷基準値設定部19に与えられると、過負荷基準値設定部19では、これらの値に基づいて過負荷検出基準値Tolを算出する。
ここで、図4に示すように、過負荷検出基準値Tolは、過負荷状態でない場合にはトルク指令Trefとほぼ一致する。乗客の手や荷物などがドアに挟まり、過負荷状態にあると、トルク指令Trefが上がるので、過負荷検出基準値Tolとの差分が大きくなる。過負荷判定部20では、この差分が所定値以上となった場合に過負荷状態と判定して異常信号を図示せぬ上位の制御装置に出力する。制御装置では、これを受けて戸閉動作を直ちに停止制御する。
なお、上記(1)、(2)式の演算に使用するトルク指令Trefは、電流トルク変換部17から得られる実トルクTmに置き換えても良い。以降の説明についても同様である。
このように、戸開時の定速走行トルクとドア重量とに基づいて用いて戸閉時の過負荷検出基準値を算出することで、各階床毎に制御データを収集しながら重量データを計算する等の複雑な処理を必要とすることなく、過負荷検出基準値を最適化して精度の高い過負荷検出を行うことができる。
なお、戸開時の過負荷検出を行う場合には、従来と同様に予め設定されたドア重量と定常走行時のトルクから求めた負荷検出基準値を用いて過負荷状態の判定を行うものとする。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、機構部戸閉力Twが予め初期設定されているものとして説明したが、第2の実施形態では、これを演算にて求める機能を備える。さらに、走行抵抗分のトルクTrを演算にて求め、その抵抗トルクTrにて定速走行トルクTsを調整する機能を備える。
なお、「抵抗トルクTr」はドアの摩擦成分に相当するトルクである。「定速走行トルクTs」は、この「抵抗トルクTr」に「機構部戸閉力Tw」を加えたものである。
図5は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図5において、上記第1の実施形態における図2の構成と同一部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。図6は戸開時の速度指令Vrefとトルク指令Trefの波形を示す図である。
図5に示すように、第2の実施形態では、図2の構成に加えて、機構部戸閉力Twを演算するための機構部戸閉力演算部23と、抵抗トルクTrを演算するための抵抗トルク演算部24が設けられている。
機構部戸閉力演算部23は、トルク指令値Trefから戸開時の定速走行トルクTsopと戸閉時の定速走行トルクTsclを求め、これらの差分から機構部戸閉力Twを以下のようにして算出する。
Tsop=Tr+Tw …(3)
Tscl=Tr−Tw …(4)
Tw=(Tsop−Tscl)/2 …(5)
ここで、Trはドアの走行抵抗(摩擦抵抗)分のトルクである。この機構部戸閉力演算部23にて算出された機構部戸閉力Twは、定速走行トルク演算部21に与えられる。以後の動作は上記第1の実施形態と同様である。
Tscl=Tr−Tw …(4)
Tw=(Tsop−Tscl)/2 …(5)
ここで、Trはドアの走行抵抗(摩擦抵抗)分のトルクである。この機構部戸閉力演算部23にて算出された機構部戸閉力Twは、定速走行トルク演算部21に与えられる。以後の動作は上記第1の実施形態と同様である。
このように、機構部戸閉力Twを適宜算出することにより、例えば風圧によりドアが閉まりきらないなどの理由で自閉装置が調整された場合でも、常に現状の機構部戸閉力Twを正確に求めて定速走行トルク演算部21に与えることができる。その結果、より適切な過負荷検出基準値Tolを設定することができ、その過負荷検出基準値Tolを用いて高精度な過負荷検出を行うことが可能となる。
また、上記機構部戸閉力演算部23にて算出された機構部戸閉力Twは、抵抗トルク演算部24にも与えられる。走行抵抗トルク演算部24は、この機構部戸閉力Twとトルク指令値Trefを入力として、以下のようにして抵抗トルクTrを求める。
すなわち、図6に示すように、戸開時のトルク指令値Trefにおいて、戸開加速終了後の定速走行トルクをTsop1、そのときの抵抗トルクをTr1とする。戸開減速終了後の定速走行トルクをTsop2、そのときの抵抗トルクをTr2とする。さらに、戸開加速トルクと戸開減速トルクのピーク値をそれぞれTaccp、Tdecpとし、これらの平均値から推測される抵抗トルクをTr3とすると、以下のような式が成り立つ。
Tr1=Tsop1−Tw …(6)
Tr2=Tsop2−Tw …(7)
Tr3=(Taccp−Tdecp)/2−Tw …(8)
ここで、戸開中に乗客や荷物などがドアに触れていると、過渡的に負荷が発生するため、図6のようにトルクが変化する。この場合、加速時に乗客がドアに触れていると、Tr1とTr2に比較して、Tr3の値が大きくなる。また、定速時に乗客がドアに触れていると、Tr2とTr3に比較して、Tr1の値が大きくなる。減速時に乗客がドアに触れていると、Tr1とTr3に比較して、Tr2の値が大きくなる。
Tr2=Tsop2−Tw …(7)
Tr3=(Taccp−Tdecp)/2−Tw …(8)
ここで、戸開中に乗客や荷物などがドアに触れていると、過渡的に負荷が発生するため、図6のようにトルクが変化する。この場合、加速時に乗客がドアに触れていると、Tr1とTr2に比較して、Tr3の値が大きくなる。また、定速時に乗客がドアに触れていると、Tr2とTr3に比較して、Tr1の値が大きくなる。減速時に乗客がドアに触れていると、Tr1とTr3に比較して、Tr2の値が大きくなる。
そこで、抵抗トルク演算部24は、上記(6)〜(8)式により求めた抵抗トルクTr1、Tr2、Tr3の中から最も高い値を有する抵抗トルクを異常値として排除し、残りの2つの抵抗トルクから最終的な抵抗トルクTrを設定して定速走行トルク演算部21に与える。
図6の例は、定速時に乗客がドアに触れるなどして過渡的な負荷が発生した場合を表している。この場合、Tr1>Tr2=Tr3となるため、以下のようにTr1を除く、Tr2とTr3から定速走行トルク演算部21に与える最終的な抵抗トルクTrを求めることになる。
Tr=(Tr2+Tr3)/2 …(9)
定速走行トルク演算部21では、抵抗トルク演算部24から与えられた抵抗トルクTrを用いて定速走行トルクTsを求める。すなわち、戸開時にはTs=Tr+Tw、戸閉時にはTs=Tr−Twといった演算にて定速走行トルクTsを求め、これを過負荷基準値設定部19に出力する。
定速走行トルク演算部21では、抵抗トルク演算部24から与えられた抵抗トルクTrを用いて定速走行トルクTsを求める。すなわち、戸開時にはTs=Tr+Tw、戸閉時にはTs=Tr−Twといった演算にて定速走行トルクTsを求め、これを過負荷基準値設定部19に出力する。
このように、戸開時に乗客や荷物がドアに触れるなどして過渡的に負荷が発生した場合でも、適切な抵抗トルクTrを算出することができ、その抵抗トルクTrを定速走行トルク演算部21に与えることで、戸閉時の過負荷検出基準値Tolが必要以上に大きくなることを防いで、高精度な過負荷検出を行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、上記第2の実施形態の構成において、ドア重量Mおよび抵抗トルクTrの演算に異常がないか否かを監視する機能を設けたものである。
図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図7において、上記第2の実施形態における図5の構成と同一部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
図7に示すように、第3の実施形態では、図5の構成に加えて、異常検出部25が設けられている。この異常検出部25は、ドア重量演算部22により開閉時に算出されたドア重量M,Mc1と抵抗トルク演算部24により開閉時に算出された抵抗トルクTr,Trc1について、それぞれに戸開時と戸閉時の差分が所定値を超える場合に異常と判定する。
このような構成において、ドア重量演算部22によって戸開時にドア重量Mが算出されると共に、戸閉時でもドア重量Mclが算出され、それぞれ異常検出部25に出力される。同様に、抵抗トルク演算部24によって戸開時に抵抗トルクTrが算出されると共に、戸閉時でも抵抗トルクTrc1が算出され、それぞれ異常検出部25に出力される。
ここで、異常検出部25は、戸開時に求めたドア重量Mと戸閉時に求めたドア重量Mclとを比較し、両者の間に所定値以上の差分がある場合にドア重量演算部22による演算に異常ありと判断する。同様に、異常検出部25は、戸開時に求めた抵抗トルクTrと戸閉時に求めた抵抗トルクTrclとを比較し、両者の間に所定値以上の差分がある場合に抵抗トルク演算部24による演算に異常ありと判断する。そして、異常が所定時間以上継続している場合に、異常検出部25は、開閉時の速度指令を低減するための要求と異常信号を図示せぬ上位の制御装置に出力する。
このように、抵抗トルクおよびドア重量の演算に異常があるか否かを監視することで、信頼性の高い過負荷検出を行うことができ、異常と判断された場合に速度を低減することで安全を確保することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、上記第1の実施形態の構成において、トルク指令値Trefにトルク補償値Tcpを加える機能と速度指令値Vrefを調整する機能を設けたものである。
図8は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図8において、上記第1の実施形態における図2の構成と同一部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。また、図中のA1は加算器である。図9は戸開時におけるトルク指令値Tref、トルク補償値Tcp、最終トルク指令値Tref’の波形を示す図である。
図8に示すように、第4の実施形態では、図1の構成に加えて、トルク補償部26と速度指令調整部27が設けられている。
トルク補償部26は、ドア開閉中に得られたドア重量Mと定速走行トルクTsと機構部戸閉力Twに基づいてトルク補償値Tcpを算出し、速度制御部16から出力されるトルク指令値Trefに加算する。速度指令調整部27は、ドア重量Mに基づいて戸閉時の運動エネルギーが所定値以下となるように速度指令値Vrefを調整する。
このような構成において、ドア重量が重い場合には、速度制御部16の制御遅れによりトルク指令Trefのオーバーシュートが顕著となり、定速走行トルク演算部21とドア重量演算部22の演算に影響を与える。
トルク補償部26は、ドア重量Mと定速走行トルクTsと機構部戸閉力Twを入力し、開閉中のトルク補償値Tcpを算出する。この場合、各階床でドアを開閉する毎にトルク補償値Tcpi(i=1、2、3…N)が算出され、これらを平均化した値がトルク補償値Tcpとして出力される。
Tcp=(Tcp1+Tcp2+Tcp2+…+TcpN)/N …(9)
このトルク補償値Tcpは速度制御部16から出力されるトルク指令値Trefに加算される。以後、この加算後の最終トルク指令値Tref’を用いてドア駆動用モータ11のトルク制御がなされると共に過負荷検出に関わる演算が行われる。
このトルク補償値Tcpは速度制御部16から出力されるトルク指令値Trefに加算される。以後、この加算後の最終トルク指令値Tref’を用いてドア駆動用モータ11のトルク制御がなされると共に過負荷検出に関わる演算が行われる。
図9に示すように、最終トルク指令値Tref’に近いトルク補償値Tcpをトルク指令値Trefに加算すると、速度制御部16から出力されるトルク指令値Trefを低減できる。これにより、ドア重量が重い場合に生じるトルク指令値Trefのオーバーシュートを抑制でき、結果的に安定したトルク制御を行うことができ、また、定速走行トルクTsとドア重量Mを正確に算出して過負荷検出を行うことができる。
一方、戸閉中の運動エネルギー(戸閉力)の最大値をEmax、戸閉時のトップ速度Vclとすると、以下のように表される。
Emax=(M×Vcl2)/2 …(10)
上記(10)式において、Mはドア重量演算部22にて算出されるドア重量Mである。
上記(10)式において、Mはドア重量演算部22にて算出されるドア重量Mである。
速度指令調整部27は、ドア重量演算部22にて算出されたドア重量Mと運動エネルギーの基準値Erefを入力として、上記(10)式を満たす戸閉時のトップ速度Vclを算出する。この算出したトップ速度Vclを元に生成した速度指令値Vrefclを速度指令発生部15へ出力する。
なお、ドアの幅Wと戸閉時間Tclから平均戸閉速度Vave=W/Tclを求め、平均運動エネルギーEave=(M×Vave2)/2が運動エネルギーの基準値Erefを満たすように速度指令値Vrefclを決定しても良い。
このようにして、速度指令値Vrefを調整することで、戸閉時の運動エネルギーは常に基準値以下となる。その結果、戸閉時の運動エネルギーの規格を満足できると共に、乗客が戸閉中に挟まれた場合の衝撃力を最小限に抑えることができる。
なお、上記第1の実施形態の構成だけでなく、上記第2および第3の実施形態の構成に本実施形態の構成(トルク補償部26および速度指令調整部27)を加えることも可能である。
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1a,1b…かごドア、2…ベルト、3a,3b…プーリ、11…ドア駆動用モータ、12…パルスエンコーダ、13…電力変換部、14…電流制御器、15…速度指令発生部、16…速度制御部、17…電流トルク変換部、18…モータ速度演算器、19…過負荷基準値設定部、20…過負荷判定部、21…定速走行トルク演算部、22…ドア重量演算部、23…機構部戸閉力演算部、24…抵抗トルク演算部、25…異常検出部、26…トルク補償部、27…速度指令調整部、D1〜D3…減算器、A1…加算器、Vref…速度指令値、Tref…トルク指令値、Tm…モータ実トルク、Vm…モータ実速度、M…ドア重量、Ts…定速走行トルク、Tol…過負荷検出基準値、Tw…機構部戸閉力、Tr…抵抗トルク、Tcp…トルク補償値。
Claims (7)
- エレベータのドアを開閉駆動するためのドア駆動用モータと、
このドア駆動用モータを目標速度で駆動するための速度指令値を発生する速度指令発生手段と、
上記ドア駆動モータの実速度を検出する速度検出手段と、
上記速度指令発生手段から出力された速度指令値と上記速度検出手段にて検出されたモータ実速度との偏差に基づいて上記ドア駆動用モータに対するトルク指令値を出力する速度制御手段とを備えたエレベータのドア制御装置において、
上記ドアの戸開中に得られる定速走行トルクと上記ドアの機構部の戸閉力とに基づいて戸閉時の定速走行トルクを算出する定速走行トルク演算手段と、
上記ドアの戸開中に得られる加減速トルクと上記速度指令値から得られる加減速値とに基づいてドア重量を算出するドア重量演算手段と、
上記定速走行トルク演算手段によって算出された戸閉時の定速走行トルクと上記ドア重量演算手段によって算出されたドア重量とに基づいて過負荷検出基準値を設定する過負荷基準値設定手段と、
この過負荷基準値設定手段によって設定された過負荷検出基準値に基づいて戸閉時の過負荷状態を判定する過負荷判定手段と
を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。 - 上記ドアの開閉中に得られる戸開時の定速走行トルクと戸閉時の定速走行トルクとの差分に基づいて上記ドアの機構部の戸閉力を算出する機構部戸閉力演算手段を備え、
上記定速走行トルク演算手段は、
上記ドアの戸開中に得られる定速走行トルクと上記機構部戸閉力演算手段によって算出された上記ドアの機構部の戸閉力とに基づいて戸閉時の定速走行トルクを算出することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。 - 上記ドアの戸開加速終了後の第1の抵抗トルクと、戸開減速終了後の第2の抵抗トルク、戸開加速トルクと戸開減速トルクのピーク値から推測される第3の抵抗トルクの中で最も高い値を有する抵抗トルクを除いて最終的な抵抗トルクを算出する抵抗トルク演算手段を備え、
上記定速走行トルク演算手段は、
上記抵抗トルク演算手段によって算出された抵抗トルクと上記機構部戸閉力演算手段によって算出された上記ドアの機構部の戸閉力とに基づいて戸閉時の定速走行トルクを算出することを特徴とする請求項2記載のエレベータのドア制御装置。 - 上記ドア重量演算手段によって算出される戸開時のドア重量と戸閉時のドア重量とを比較し、両者の差分が所定値を超える場合に異常と判定する異常検出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
- 上記抵抗トルク演算手段によって算出される戸開時の抵抗トルクと戸閉時の抵抗トルクとを比較し、両者の差分が所定値を超える場合に異常と判定する異常検出手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のエレベータのドア制御装置
- 上記ドア重量と上記定速走行トルクと上記ドアの機構部の戸閉力とに基づいてトルク補償値を算出し、上記トルク指令値に加算するトルク補償手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
- 上記ドア重量演算手段によって算出されたドア重量に基づいて戸閉時の運動エネルギーが所定値以下となるように上記速度指令を調整する速度指令調整手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
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