JP2009154811A - カウルルーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】リブ本来の作用を阻害せず、かつ、リブを備える構成であっても、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、円滑に塑性変形可能なカウルルーバを提供すること。
【解決手段】本発明のカウルルーバ15は、フードパネル3の後縁3aの下面を支持する支持部16と、下面側をカウルパネル10に支持される本体部19と、を備えている。本体部19が、縦壁部20と横壁部21とを備える。縦壁部20と横壁部21との間に、変形防止用の略三角板状のリブ29が、縦壁部20と横壁部21とを連結して、左右方向に沿った複数箇所に、並設される。フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わった際に、リブ29を前後方向で分割するように破断させて、縦壁部20を前方側へ倒し可能とする破断予定部30が、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pから放射状に延びるように、形成されている。
【選択図】図5
【解決手段】本発明のカウルルーバ15は、フードパネル3の後縁3aの下面を支持する支持部16と、下面側をカウルパネル10に支持される本体部19と、を備えている。本体部19が、縦壁部20と横壁部21とを備える。縦壁部20と横壁部21との間に、変形防止用の略三角板状のリブ29が、縦壁部20と横壁部21とを連結して、左右方向に沿った複数箇所に、並設される。フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わった際に、リブ29を前後方向で分割するように破断させて、縦壁部20を前方側へ倒し可能とする破断予定部30が、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pから放射状に延びるように、形成されている。
【選択図】図5
Description
本発明は、エンジンルームの上方を覆うフードパネルと、フードパネルの後方に配置されるフロントウィンドシールドと、の間のカウルの部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるカウルルーバに関し、特に、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、塑性変形してエネルギー吸収可能とされるカウルルーバに関する。
従来、歩行者の頭部等の干渉物が干渉した際の衝突エネルギーを吸収可能に塑性変形するカウルルーバとしては、車幅方向の略全域にわたって配設されて左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされるとともに、フードパネルの後縁の下方に配設されてフードパネルの後縁の下方を支持可能な支持部と、支持部の後方側においてフロントウィンドシールドの前縁から前方に延びるように構成される本体部と、を備えていた。この従来のカウルルーバでは、本体部は、上方にかけて相互の離隔距離を幅広とし、かつ、相互の離隔距離を狭幅とされる下端側で連結される断面略V字状とした2つの縦壁部と、後方側の縦壁部の上端側から後方延びる横壁部と、を備える構成とされ、支持部は、本体部における前側の縦壁部の上端から前方に延びるように、構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
この従来のカウルルーバでは、本体部における縦壁部間に、前後方向に沿った板状のリブが、縦壁部間を連結するとともに、左右方向に沿った複数箇所に、並設され、各リブの前端側には、上端側から上下の中央付近にかけて、リブを前側の縦壁部の後面側に対して分離させるような切欠凹部が、形成されていた。この切欠凹部は、リブの上端から上下の中央付近となる位置にかけて形成されており、従来のカウルルーバでは、フードパネルの後縁に下方への荷重が急激に加わって、支持部に下方へ押し下げるような荷重が急激に加わった際に、この切欠凹部の先端(下端)を始点として、リブと前側の縦壁部とを分離させるように、縦壁部とリブとの境界部位が破断されて、前側の縦壁部を前方側に倒しつつ、支持部が下方移動するように塑性変形して、エネルギー吸収する構成であった。
特開2005−289237公報
通常、カウルルーバにおいて、フードパネルの後縁の下方に配設される支持部には、エンジンルーム内のシール性を確保するためのウェザストリップが、配設されており、支持部は、ウェザストリップを介して、常時、フードパネル自体の荷重を受けつつ、フードパネルの後縁を支持するような構成とされている。そして、従来のカウルルーバでは、この支持部のフードパネルの後縁側の支持状態を維持可能とするために、支持部の後方に配設される縦壁部と横壁部側の縦壁部とを連結させるリブを配設させて、カウルルーバの強度を補強している。このリブは、支持部側の縦壁部が横壁部側の縦壁部に対して口開きするような変形、換言すれば、支持部側の縦壁部が上端を前方側に向けるように移動して、支持部が下方に下がるように移動することを防止するために、配設されるものである。しかし、従来のカウルルーバでは、各リブが、上端側から上下の中央付近にかけて、前側の縦壁部の後面側に対して分離されていることから、この補強効果が充分ではなく、通常使用時に、フードパネルを支持している支持部を介して、縦壁部に、上端を前方に向けるような力(モーメント)が作用した際に、支持部側の縦壁部が横壁部側の縦壁部に対して口開きするように変形して、支持部の位置が下方に下がる場合があって、リブ本来の作用が充分に得られない場合があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、リブ本来の作用を阻害せず、かつ、リブを備える構成であっても、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、円滑に塑性変形可能なカウルルーバを提供することを目的とする。
本発明に係るカウルルーバは、エンジンルームの上方を覆うフードパネルと、フードパネルの後方に配置されるフロントウィンドシールドと、の間のカウルの部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされて、
フードパネルの後縁の下方に配設されて、フードパネルの後縁の下面を支持可能に、前後方向に沿って形成される支持部と、
支持部の後方側において、フロントウィンドシールドの前縁から前方に延びるように構成されて、カウルパネルの上方の領域を覆うとともに、下面側をカウルパネルに支持される本体部と、
を備えて、フードパネルを介在させて支持部に急激に下方への荷重が加わった際に、本体部の一部を変形させる構成のカウルルーバであって、
本体部が、支持部の後端から下方に延びるように略上下方向に沿って配設される縦壁部と、縦壁部の下端から後方に延びる横壁部と、を備える構成とされて、
縦壁部の後面側と横壁部の上面側との間に、変形防止用の略三角板状のリブが、縦壁部と横壁部とを連結して、左右方向に沿った複数箇所に、並設され、
各リブが、三角板状の斜辺における上端と後端とを、それぞれ、縦壁部と横壁部とに連結させて構成されるとともに、前端側の少なくとも上端近傍における板厚分の全域を、縦壁部の後面側の上端付近に結合させ、下端側の少なくとも後端近傍における板厚分の全域を、横壁部の上面側の後端付近に結合させるように構成され、
フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、リブを前後方向で分割するように破断させて、縦壁部を前方側へ倒し可能とする破断予定部が、各リブにおいて、それぞれ、縦壁部と横壁部との交差部位から放射状に延びるように、形成されていることを特徴とする。
フードパネルの後縁の下方に配設されて、フードパネルの後縁の下面を支持可能に、前後方向に沿って形成される支持部と、
支持部の後方側において、フロントウィンドシールドの前縁から前方に延びるように構成されて、カウルパネルの上方の領域を覆うとともに、下面側をカウルパネルに支持される本体部と、
を備えて、フードパネルを介在させて支持部に急激に下方への荷重が加わった際に、本体部の一部を変形させる構成のカウルルーバであって、
本体部が、支持部の後端から下方に延びるように略上下方向に沿って配設される縦壁部と、縦壁部の下端から後方に延びる横壁部と、を備える構成とされて、
縦壁部の後面側と横壁部の上面側との間に、変形防止用の略三角板状のリブが、縦壁部と横壁部とを連結して、左右方向に沿った複数箇所に、並設され、
各リブが、三角板状の斜辺における上端と後端とを、それぞれ、縦壁部と横壁部とに連結させて構成されるとともに、前端側の少なくとも上端近傍における板厚分の全域を、縦壁部の後面側の上端付近に結合させ、下端側の少なくとも後端近傍における板厚分の全域を、横壁部の上面側の後端付近に結合させるように構成され、
フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、リブを前後方向で分割するように破断させて、縦壁部を前方側へ倒し可能とする破断予定部が、各リブにおいて、それぞれ、縦壁部と横壁部との交差部位から放射状に延びるように、形成されていることを特徴とする。
本発明のカウルルーバでは、本体部における縦壁部の後面側と横壁部の上面側との間に、縦壁部と横壁部とを連結する略三角板状の複数のリブを、左右方向に沿って並設させて、本体部の強度を高めている構成であるものの、各リブに破断予定部が形成されており、また、カウルルーバ自体は、本体部の下面側、すなわち、横壁部の下面側でカウルパネルに支持されていることから、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わり、このフードパネルの後縁側を介して、カウルルーバの支持部が、急激に下方に押し下げるような力を受けると、本体部の横壁部はカウルパネルに支持されて下方へ押し下げられず、支持部と縦壁部とに、横壁部から離すような力、すなわち、支持部と縦壁部とを、縦壁部と横壁部との交差部位を回転中心として前方側に回転移動させるような力(モーメント)が作用することとなる。そして、各リブに設けられた破断予定部の部位に応力集中が生じて、各リブの破断予定部が破断され、各リブは、それぞれ、縦壁部側となる前側部位と、横壁部側となる後側部位と、に分割されることとなって、このリブの前側部位とともに、縦壁部が、前方側へ倒れるように移動することとなる。すなわち、本発明のカウルルーバでは、支持部に下方への押圧力が急激に作用する際には、支持部が、リブに形成された破断予定部を破断させつつ、縦壁部とともに、縦壁部と横壁部との交差部位を回転中心として、前下方側へ回転移動するように塑性変形して、この押圧力によるエネルギーを吸収することとなる。
また、本発明のカウルルーバでは、各リブに形成される破断予定部は、縦壁部と横壁部との交差部位から放射状に延びるように形成されており、各リブは、三角板状の斜辺における上端と後端とを、それぞれ、縦壁部と横壁部とに連結させて構成されるとともに、前端側の少なくとも上端近傍における板厚分の全域を、縦壁部の後面側の上端付近に結合させ、下端側の少なくとも後端近傍における板厚分の全域を、横壁部の上面側の後端付近に結合させるように構成されている。すなわち、本発明のカウルルーバでは、縦壁部の上端に、三角形状のリブの斜辺を連結させる状態となり、縦壁部の上端自体を、リブの斜辺に沿って、斜辺の後端側に結合された横壁部の後端側により、牽引できるような構造となる。そのため、リブの補強効果が高く、通常使用時に、フードパネルを支持している支持部を介して、縦壁部に上端を前方に向けるような力(モーメント)が作用しても、縦壁部が横壁部に対して口開きするような変形、すなわち、縦壁部が上端側を前方側に向けるように変形することを防止でき、支持部によって、フードパネルの後縁の下方側の支持状態を維持することができる。
したがって、本発明のカウルルーバでは、リブ本来の作用を阻害せず、かつ、リブを備える構成であっても、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、円滑に塑性変形させることができる。
また、本発明のカウルルーバにおいて、縦壁部と横壁部との交差部位に、肉盗み部を、交差部位に沿って形成すれば、交差部位が、縦壁部と横壁部とを離すように屈曲しやすくなって、破断予定部の破断後に、支持部を、縦壁部とともに、円滑に、前下方側へ回転移動させることが可能となって、好ましい。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、前後の方向及び上下の方向は、それぞれ、車両の前後方向に沿う方向及び車両の上下方向に沿う方向を基準とし、左右の方向は、車両の前方側から後方側を見た際の左右の方向に沿う方向を基準とする。
実施形態のカウルルーバ15は、図1,2に示すように、車両Vにおけるフードパネル3と、フードパネル3の後方に配置されるフロントウィンドシールド7との間のカウル9の部位に配設されている。実施形態のカウルルーバ15は、ボディ1側の部材であるカウルパネル10とともにカウル9の部位を構成している。
フードパネル3は、図1に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端近傍に配置される図示しないヒンジ部により、車両Vのボディ1に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル3は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、上面側のアウタパネル4と、下面側に位置してアウタパネル4より強度を向上させたインナパネル5と、から構成されている。実施形態の場合、フードパネル3は、歩行者の頭部等の干渉物Mを受け止めた際に、この干渉物Mの運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に、構成されている。
カウルパネル10は、実施形態の場合、図2に示すごとく、三枚の鋼板からなるパネル材11,12,13の所定箇所を溶接させて構成されるとともに、カウルルーバ15側から流入するエアAを室内側に導く流路10aと、カウルルーバ15側から流入する雨水Rを車両Vの左右両縁から滴下させる流路10bと、を備える構成とされている。
カウルルーバ15は、カウル9の部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされている。実施形態の場合、カウルルーバ15は、フードパネル3の後縁3aとフロントウィンドシールド7との間の三日月状のスペースに、車両Vの左右両縁付近まで延びるように配設されるもので、上方から見て左右方向の端部側を後方に向けるように、左右方向に沿って僅かに湾曲した略三日月形状とされている(図3参照)。カウルルーバ15は、実施形態の場合、ポリプロピレン(PP)製とされている。ポリプロピレン(PP)としては、耐衝撃性に優れたものを使用することが好ましく、具体的には、PPと少量のエチレン系モノマーとの共重合体、耐衝撃性を付与する繊維性フィラーを含有させたPP、さらには、それらにエチレンプロピレンゴム(EPR)等の軟質成分を含有させたもの等を例示することができる。
カウルルーバ15は、図2〜4に示すように、フードパネル3の後縁3aの下方に配設される支持部16と、支持部16の後方側においてフロントウィンドシールド7の前縁7aから前方に延びるように構成される本体部19と、を備えている。
支持部16は、カウルルーバ15の左右方向に沿った全域にわたって形成されるとともに、フードパネル3の後縁3aの下方に配設されて、フードパネル3の後縁3aの下方を支持可能なように、略前後方向に沿った板状とされている。具体的には、支持部16は、左右方向の幅寸法を、本体部19の左右方向の幅寸法と一致させるとともに、フードパネル3における後縁3a側の上面に略沿わせるように、後端側を上方に位置させ前端側を下方に位置させるように水平方向に対して傾斜して構成されている。支持部16には、エンジンルームER内のシール性を確保可能に、フードパネル3の後縁3a側の下面3bをシールするためのウェザストリップ17が、組み付けられている。ウェザストリップ17は、支持部16における左右方向の略全域にわたって配設されるもので、フードパネル3の後縁3a側における下面3bに対して、左右方向の略全域にわたって、圧接されて、フードパネル3の後縁3a側における下面3bをシールしている。すなわち、支持部16は、車両搭載状態(通常使用時)において、圧接されたウェザストリップ17を介して、常時、フードパネル3自体の荷重を受けつつ、フードパネル3の後縁3a側の下面3bを支持する構成とされている。
本体部19は、上方から見て略三日月形状とされるもので、支持部16の後端16aから下方に延びるように略上下方向に沿って配設される縦壁部20と、縦壁部20の下端20bから後方に延びる横壁部21と、を備える構成とされている。
縦壁部20は、上端20aを支持部16の後端16aと連結させ、下端20bを横壁部21の前端21aと連結させるように、支持部16の後端16aから下方に延びて略上下方向に沿って配設されている。具体的には、実施形態の場合、縦壁部20は、支持部16及び横壁部21と略直交するように、形成されている。
横壁部21は、フロントウィンドシールド7の前縁7aから前方に延びる略前後方向に沿った板状とされるもので、実施形態の場合、縦壁部20側に配置される前側部位22と、前側部位22から連なるように形成されるとともに前側部位22より水平方向に対する傾斜角度を大きくして構成される後側部位23と、を備えている。そして、本体部19は、横壁部21における前側部位22の領域を、左右方向に沿って多数並設される図示しないクリップを利用してカウルパネル10のパネル材11に連結されて、下面側をカウルパネル10に支持されるように、車両Vのボディ1側に連結されている。また、本体部19は、図示しない左右両端側の部位においても、車両Vのボディ1側に連結されている。横壁部21における後側部位23の領域には、エアAや雨水R等をカウルパネル10側に流す複数の挿通孔23aが、形成されている。また、後側部位23には、ワイパ8を貫通可能な貫通孔23bも、形成されている。後側部位23の後端側には、フロントウィンドシールド7の前縁7aを嵌め込むウェザストリップ24が、固着されている。
本体部19において、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pには、肉盗み部としての切欠凹部26が、前下面側を断面略矩形状に切り欠くようにして、交差部位Pに沿うように、左右方向に沿って連続的に、形成されている。実施形態の場合、切欠凹部26は、左右方向の略全域にわたって、配設されている。さらに、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pには、肉盗み部としての切込部位27も、左右方向に沿って、断続的に形成されている(図3,4参照)。切込部位27は、切欠凹部26と一致した位置に形成されるもので、交差部位Pを切り抜くようなミシン目状として、左右方向の略全域にわたって、配設されている。
また、本体部19において、縦壁部20の後面20c側と、横壁部21における前側部位22の上面22a側との間には、変形防止用の略三角板状のリブ29が、縦壁部20と横壁部21の前側部位22とを連結して、左右方向に沿った複数箇所に、並設されている。リブ29は、相互の離隔距離を略等間隔とするように、カウルルーバ15の左右方向に沿った略全域にわたって多数並設されている。実施形態の場合、リブ29は、100mmピッチで形成されている。各リブ29は、実施形態の場合、縦壁部20の上端20a付近と前側部位22の後端22b付近とを直線的に結んだ領域を塞ぐような略直角三角形板状として、構成されている。換言すれば、各リブ29は、直角三角形板状の斜辺(上面)30における上端30aと後端30bとを、それぞれ、縦壁部20と横壁部21の前側部位22とに連結させて構成されるもので、前端29a側の少なくとも上端30a近傍における板厚分の全域を、縦壁部20の後面20c側の上端20a付近に結合させ、下端29d側の少なくとも後端30b近傍における板厚分の全域を、前側部位22の上面22a側の後端22b付近に結合させるように構成されている。さらに具体的には、実施形態の場合、各リブ29は、前端29a側における板厚分の全域を、縦壁部20の後面20c側における上端20aから下端20bまでの全域にわたって結合させ、下端29d側における板厚分の全域を、前側部位22の上面22aにおける前端22cから後端22bまでの全域にわたって結合させるように、構成されている(図2,4参照)。これらのリブ29は、通常使用時のカウルルーバ15の強度を確保するための補強用であり、具体的には、車両搭載時(通常使用時)において、支持部16が、圧接されたウェザストリップ24を介して、常時、フードパネル3自体の荷重を受けていても、縦壁部20が上端20a側を前方に向けるように変形することを防止するためものである。
各リブ29には、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pから放射状に延びるような破断予定部31が、形成されている。実施形態の場合、破断予定部31は、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pから放射状に延びるとともに、略直線状として、断続的にミシン目状の切り込みを入れるようにして、形成されている。また、実施形態の場合、破断予定部31は、上側部位31aを、リブ29の斜辺(上面)30から凹ませるような凹状として、構成されている。この破断予定部31は、破断強度を、通常使用時において、フードパネル3自体の荷重を受けつつ支持部16によりフードパネル3の後縁3a側の下面3bを支持している状態では破断されず、歩行者の頭部等の干渉物M(図5の二点鎖線参照)がフードパネル3の後縁3a側に干渉して、フードパネル3の後縁3a側を介して支持部16に下方への荷重が急激に加わった際に、周縁の部位を破断可能な強度に、設定されている。そして、破断予定部31が、周縁の部位を破断させれば、リブ29が、前後方向で前側部位29bと後側部位29cとに2分割されることとなる(図5のB参照)。そして、縦壁部20は、破断予定部31の破断後に、リブ29における前側部位29bとともに、横壁部21との交差部位Pを回転中心として回転するように、前方側へ倒されることとなる。
実施形態のカウルルーバ15では、本体部19における縦壁部20の後面20c側と前側部位22(横壁部21)の上面22a側との間に、縦壁部20と横壁部21の前側部位22とを連結する略三角板状の複数のリブ29を、左右方向に沿って並設させて、本体部19の強度を高めている構成であるものの、各リブ29に破断予定部31が形成されており、また、カウルルーバ15自体は、本体部19における前側部位22の下面側でカウルパネル10(パネル材11)に支持されていることから、歩行者の頭部等の干渉物Mがフードパネル3の後縁3a側に干渉して、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わり、このフードパネル3の後縁3a側を介して、カウルルーバ15の支持部16が、急激に下方に押し下げるような力F1(図5のA参照)を受けると、本体部19の横壁部21はカウルパネル10に支持されて下方へ押し下げられず、支持部16と縦壁部20とに、横壁部21から離すような力、すなわち、支持部16と縦壁部20とを、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pを回転中心として前方側に回転移動させるような力(モーメント)F2(図5のA参照)が作用することとなる。そして、各リブ29に設けられた破断予定部31の部位に応力集中が生じて、破断予定部31が破断され、各リブ29は、それぞれ、縦壁部20側となる前側部位29bと、横壁部21側となる後側部位29cと、に分割されることとなって、このリブ29の前側部位29bとともに、縦壁部20が、前方側へ倒れるように移動することとなる(図5のB参照)。すなわち、実施形態のカウルルーバ15では、支持部16に下方への押圧力が急激に作用する際には、支持部16が、リブ29に形成された破断予定部31を破断させつつ、縦壁部20とともに、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pを回転中心として、前下方側へ回転移動するように塑性変形して、この押圧力によるエネルギーを吸収することとなる。その結果、フードパネル3の後縁3a側に歩行者の頭部等の干渉物Mが干渉しても、干渉時の運動エネルギーを、吸収しつつ受け止めることができ、干渉物Mを的確に保護することができる。
また、実施形態のカウルルーバ15では、各リブ29に形成される破断予定部31は、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pから放射状に延びるように、形成されており、各リブ29は、三角板状の斜辺30における上端30aと後端30bとを、それぞれ、縦壁部20と横壁部21の前側部位22とに連結させて構成されるとともに、前端29a側の少なくとも上端30a近傍における板厚分の全域を、縦壁部20の後面20c側の上端20a付近に結合させ、下端29d側の少なくとも後端30b近傍における板厚分の全域を、前側部位22の上面22a側の後端22b付近に結合させるように構成されている。すなわち、実施形態のカウルルーバ14では、縦壁部20の上端20aに、三角形状のリブ29の斜辺30を連結させる状態となり、縦壁部20の上端20a自体を、リブ29の斜辺30に沿って、斜辺30の後端30b側に結合された横壁部21(前側部位22)の後端22b側により、牽引できるような構造となる。そのため、リブ29の補強効果が高く、通常使用時に、フードパネル3を支持している支持部16を介して、縦壁部20に上端20aを前方に向けるような力(モーメント)が作用しても、縦壁部20が横壁部21に対して口開きするような変形、すなわち、縦壁部20が上端20a側を前方側に向けるように変形することを防止でき、支持部16によって、フードパネル3の後縁3aの下方側の支持状態を維持することができる。
したがって、実施形態のカウルルーバ15では、リブ29本来の作用を阻害せず、かつ、リブ29を備える構成であっても、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わった際に、円滑に塑性変形させることができる。
なお、実施形態では、各リブ29は、前端29a側における板厚分の全域を、縦壁部20の後面20c側における上端20aから下端20bまでの全域にわたって結合させ、下端29d側における板厚分の全域を、前側部位22の上面22aにおける前端22cから後端22bまでの全域にわたって結合させるように、構成されていることから、補強効果が一層高く、通常使用時に、縦壁部20が横壁部21に対して口開きするような変形を的確に防止することができる。勿論、充分な補強効果が得られれば、各リブ29の前端29a及び下端29dを前面にわたって縦壁部20及び前側部位22に結合させなくともよく、図5の二点鎖線に示すように、前端29a及び下端29dにおける上端30a側あるいは後端30b側を除いた領域に、縦壁部20及び前側部位22に結合させないエリアを設けるように、リブ29を構成してもよい。
また、実施形態のカウルルーバ15では、縦壁部20と横壁部21との交差部位Pに、肉盗み部としての切欠凹部26と切込部位27とを、交差部位Pに沿って形成していることから、交差部位Pが、縦壁部20と横壁部21とを離すように屈曲しやすくなって、破断予定部31の破断後に、支持部16を、縦壁部20とともに、円滑に、前下方側へ回転移動させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、縦壁部と横壁部との交差部位に、肉盗み部を配設させない構成としてもよい。なお、実施形態のカウルルーバ15では、肉盗み部として、交差部位Pの前下面側を断面略矩形状に切り欠くように左右方向に沿って連続的に形成される切欠凹部26と、交差部位Pを切り抜くようにミシン目状として左右の略全域にわたって断続的に配設される切込部位27と、が、配設されているが、勿論肉盗み部としては、切欠凹部若しくは切込部位のどちらか一方を配設させればよく、エネルギー吸収量に応じて、実施形態のごとく併用する構成としてもよい。
なお、実施形態のカウルルーバ15では、破断予定部31を、断続的にミシン目状の切り込みを入れるような構成としているが、破断予定部の形状としては、勿論これに限られるものではなく、周囲のリブより肉厚を薄くするように略断面V字状に切り欠いた薄肉状としてもよい。また、実施形態のカウルルーバ15では、破断予定部31の上側部位31aが、リブ29の斜辺(上面)30から凹ませるような凹状として、構成されていることから、この上側部位31aが、破断時の起点となって応力集中が生じやすく、破断予定部31を円滑に破断させることができる。
なお、実施形態のカウルルーバ15において、リブ29は、カウルルーバ15における左右方向に沿った略全域にわたって多数並設されており、肉盗み部(切欠凹部26及び切込部位27)も、交差部位Pにおいて、カウルルーバ15の左右方向の略全域にわたって形成されているが、干渉物Mの干渉時には、干渉物Mがフードパネル3の後縁3aを介して干渉した領域に配設されるリブ29のみが、破断予定部31を破断させることとなって、縦壁部20は、干渉物Mが干渉した領域のみを部分的に前方側に倒すように、横壁部21との交差部位Pを回転中心として移動することとなる。
また、支持部16が下方に押し下げられる際の応力を、破断予定部31に伝達させやすくするために、図5の二点鎖線に示すごとく、支持部16の下面側と縦壁部20の前面側との間に、支持部16と縦壁部20とを連結するようなリブ32を配設させる構成としてもよい。
3…フードパネル、
3a…後縁、
7…フロントウィンドシールド、
9…カウル、
10…カウルパネル、
15…カウルルーバ、
16…支持部、
19…本体部、
20…縦壁部、
21…横壁部、
26…切欠凹部(肉盗み部)、
27…切込部位(肉盗み部)、
29…リブ、
29b…前側部位、
29c…後側部位、
30…斜辺、
31…破断予定部、
ER…エンジンルーム、
M…干渉物、
P…交差部位、
V…車両。
3a…後縁、
7…フロントウィンドシールド、
9…カウル、
10…カウルパネル、
15…カウルルーバ、
16…支持部、
19…本体部、
20…縦壁部、
21…横壁部、
26…切欠凹部(肉盗み部)、
27…切込部位(肉盗み部)、
29…リブ、
29b…前側部位、
29c…後側部位、
30…斜辺、
31…破断予定部、
ER…エンジンルーム、
M…干渉物、
P…交差部位、
V…車両。
Claims (2)
- エンジンルームの上方を覆うフードパネルと、該フードパネルの後方に配置されるフロントウィンドシールドと、の間のカウルの部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされて、
前記フードパネルの後縁の下方に配設されて、前記フードパネルの後縁の下面を支持可能に、前後方向に沿って形成される支持部と、
該支持部の後方側において、前記フロントウィンドシールドの前縁から前方に延びるように構成されて、カウルパネルの上方の領域を覆うとともに、下面側をカウルパネルに支持される本体部と、
を備えて、前記フードパネルを介在させて前記支持部に急激に下方への荷重が加わった際に、前記本体部の一部を変形させる構成のカウルルーバであって、
前記本体部が、前記支持部の後端から下方に延びるように略上下方向に沿って配設される縦壁部と、該縦壁部の下端から後方に延びる横壁部と、を備える構成とされて、
前記縦壁部の後面側と前記横壁部の上面側との間に、変形防止用の略三角板状のリブが、前記縦壁部と前記横壁部とを連結して、左右方向に沿った複数箇所に、並設され、
前記各リブが、三角板状の斜辺における上端と後端とを、それぞれ、前記縦壁部と前記横壁部とに連結させて構成されるとともに、前端側の少なくとも上端近傍における板厚分の全域を、前記縦壁部の後面側の上端付近に結合させ、下端側の少なくとも後端近傍における板厚分の全域を、前記横壁部の上面側の後端付近に結合させるように構成され、
前記フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、前記リブを前後方向で分割するように破断させて、前記縦壁部を前方側へ倒し可能とする破断予定部が、前記各リブにおいて、それぞれ、前記縦壁部と前記横壁部との交差部位から放射状に延びるように、形成されていることを特徴とするカウルルーバ。 - 前記縦壁部と前記横壁部との交差部位に、肉盗み部が、前記交差部位に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカウルルーバ。
Priority Applications (1)
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JP2007337765A JP2009154811A (ja) | 2007-12-27 | 2007-12-27 | カウルルーバ |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=40959278
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007337765A Withdrawn JP2009154811A (ja) | 2007-12-27 | 2007-12-27 | カウルルーバ |
Country Status (1)
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- 2007-12-27 JP JP2007337765A patent/JP2009154811A/ja not_active Withdrawn
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