JP2009153440A - 容器詰ブラックコーヒー飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温で長期間保存される加温状態での容器詰ブラックコーヒー飲料の流通・保存時においても、ブラックコーヒー飲料の濁りや、後味に収斂味や酸味を伴う雑味の発生を伴うような香味の劣化を防止し、しかも、製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を変えずに保持した容器詰ブラックコーヒー飲料、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して、カフェ酸量として、0.1〜5.0mg/100mlの範囲で添加し、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持する容器詰ブラックコーヒー飲料を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持することを可能とした容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法、特に、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造時に特定量のカフェ酸を添加することにより、高温で長期間保存される加温状態での容器詰ブラックコーヒー飲料の流通・保存時においても、ブラックコーヒー飲料の濁りや、後味に収斂味や酸味を伴う雑味の発生を伴うような香味の劣化を防止し、しかも、製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を保持した容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法、及び該方法により製造された容器詰ブラックコーヒー飲料に関する。
近年、コーヒー豆から抽出されるコーヒー飲料は、家庭や喫茶店、コーヒーショップ等においてそのまま供される他、一方では工業的に生産された、缶に代表される密封容器入りコーヒー飲料製品として多数販売されており、その需要は急速に拡大してきた。このようないわゆる密封容器入りコーヒー飲料製品は、家庭やコーヒーショップにおけるようにコーヒー豆から抽出してすぐに飲用に供されるのとは異なり、製造から消費者の飲用に至るまでの流通及び保存のための期間は、一定の期間を要することは避けられない。すると、密封容器入りコーヒー飲料は、常温においてもこの期間中にその品質を劣化させ、ましてや、ホット販売、缶ウォーマー、自動販売機においては、高温にしかも長期間貯蔵される場合があり、なお更、風味や品質の劣化が促進される。
従来法で製造されたブラックコーヒー飲料では高温に長期間貯蔵されると、濁り物質が増加し外観的に濁りが発生するとともに、後味に収斂味や酸味を伴う雑味が増加することが知られている。したがって、ブラックコーヒー飲料の香味を維持するためには、加温状態で長期間保存しないよう、加温されている時間を管理し、一定期間経過後にはその製品を廃棄するなどの厳密な商品管理が行われているのが現状である。この貯蔵期間中における風味や外観品質の劣化を防止するため、コーヒー抽出液をCO添加や急速冷凍、抽出液の濃度の調節などをして低温または冷凍下で保存する方法(特開昭58−31939号公報、特開昭50−100266号公報、特開昭52−108057号公報、特開昭52−2991号公報、特開2003−284496号公報、特開2007−181406号公報、特開2007−300937号公報)が知られている。
また、コーヒー豆を抽出する際に、あらかじめ抽出液にトコフェロール、L−アスコルビン酸やポリフェノールなどの抗酸化剤を加えて抽出し、常温下でのコーヒー抽出液の保存を高める方法が知られている(特公平6−28542号公報、特開平3−108446号公報、特開平8−322467号公報、特開2002−119210号公報)。更には、コーヒー抽出液を電気分解処理する方法(特開2003−180251号公報、特開2003−18960号公報)や、コーヒー抽出液をシリカゲルと接触させ、微粒子混濁物質を除去する方法(特開平4−360647号公報)、コーヒー抽出液に炭酸カルシウム粉末を添加する方法(特開平9−154490号公報)、も知られている。
更に、コーヒーの抽出時に回収された2−フルフリルチオール、メチオナール等の含硫化合物の香気成分を添加混合する方法(特開2007−20441号公報)、タンパク質、ペプチド、アミノ酸等と、ビタミンEを併用添加して、コーヒー抽出時や保存時の劣化を抑制する方法(特開平7−87891号公報)が知られている。また、コーヒー飲料の製造工程において、ガラクトマンナン分解酵素によるコーヒー液の処理工程を設けて、継時的な保存における沈殿の発生を防止する方法(特開2003−47406号公報)が知られている。しかしながら、CO添加や低温下で保存する方法、シリカゲルと接触させる方法、電気分解処理する方法は、製造ラインの改造や、処理に余分な費用が必要となり、コーヒー製品の工業生産を行う上で不利益が生じる。また、コーヒー抽出液に本質的にコーヒー抽出液に含まれていない成分を添加して目的を達成しようとする方法は、結果的にブラックコーヒー本来の姿を変えることになり、コーヒーの抽出時のコーヒー本来の香味を保存するためには好ましい方法とはいえない。
一方、コーヒー飲料にカフェ酸を添加することも知られている。例えば、特開平5−117145号公報、特開2006−335723号公報には、コーヒー飲料にカフェ酸を添加することが記載されているが、これらの技術はそれぞれ歯周病の予防や、血液凝固遅延など、カフェ酸の生体への生理機能に着目し、疾病の予防や治療を目的とするものである。尚、特開平5−117145号公報において開示された実施態様においてはカフェ酸添加量が50mg/100ml(500ppm)と非常に高濃度であることが推察され、香味の点から通常のブラックコーヒーとしては許容される範囲のものではない。更に、特開2006−335723号公報で開示された技術については、好ましい態様として使用するカフェ酸はカフェインによる血管収縮作用を避けるために脱カフェイン処理したコーヒー豆に由来するものに限定されている。
また、ミルク入りのコーヒー飲料において、クロロゲン酸やカフェ酸、フェルラ酸等のクロロゲン酸類の抗酸化作用を利用して、コーヒー抽出液に該成分を、添加し、加温状態でも長期間にわたり香味劣化のないミルク入りコーヒー飲料を製造する方法が知られている(特開平11−9189号公報)。また、同じく、ミルク入りのコーヒー飲料等において、イソクロロゲン酸、カフェ酸、クロロゲン酸等とりんご抽出物とを併せたものを香味劣化防止剤として用いる方法が(特開平8−23939号公報)、コーヒー飲料等の飲食品において、クロロゲン酸、カフェ酸、又はフェルラ酸と、ビタミンC、ルチン、ケルセチンを併用して、飲食品のフレーバーの劣化を防止する方法が(特開平4−27374号公報)知られている。これらの方法は、いずれもクロロゲン酸やカフェ酸、フェルラ酸等のクロロゲン酸類の抗酸化作用を利用し、飲食品の香味の劣化を防止しようとする方法である。
従って、従来知られているコーヒー飲料等の劣化防止方法は、沈殿や香味の劣化防止という観点からは、一定の成果をあげることができても、ブラックコーヒーのようなコーヒー飲料において、コーヒー抽出時の本来の香味を変えずに、コーヒー飲料の流通及び保存時においても、そのまま保持する方法としては、満足のいける方法ではなかった。
特開昭58−31939号公報。 特開昭50−100266号公報。 特開昭52−108057号公報。 特開昭52−2991号公報。 特開平4−27374号公報。 特公平6−28542号公報。 特開平3−108446号公報。 特開平7−87891号公報。 特開平8−23939号公報。 特開平8−322467号公報。 特開平11−9189号公報。 特開2002−119210号公報。 特開2003−18960号公報。 特開2003−47406号公報。 特開2003−180251号公報。 特開2003−284496号公報。 特開平4−360647号公報。 特開平9−154490号公報。 特開平5−117145号公報。 特開2006−335723号公報。 特開2007−181406号公報。 特開2007−300937号公報。 特開2007−20441号公報。
本発明の課題は、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持することを可能とした容器詰ブラックコーヒー飲料及びその製造方法を提供すること、特に、高温で長期間保存される加温状態での容器詰ブラックコーヒー飲料の流通・保存時においても、ブラックコーヒー飲料の濁りや、後味に収斂味や酸味を伴う雑味の発生を伴うような香味の劣化を防止し、しかも、製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を変えずに保持した容器詰ブラックコーヒー飲料、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化のメカニズムについて鋭意研究する中で、コーヒーの濁り及び香味の劣化を引き起こす物質とそのメカニズムを突き止め、更には、該メカニズムにおける反応を抑制する手段を突き止め、ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化の防止と、ブラックコーヒー飲料の製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を変えずに保持する方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明者は、ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化のメカニズムについて鋭意研究を重ねる中で、密封容器入りブラックコーヒー飲料が、特に、高温に長期間貯蔵された際に、後味に収斂味や酸味を伴う雑味が、現象的に、貯蔵時に経時的に増加するカフェ酸と、疎水性の高い画分が混合することにより発生することを見い出した。更に、コーヒー抽出液にカフェ酸を添加することで、疎水性の高い画分の生成が抑制されることにより、後味に収斂味や酸味を伴う雑味の発生が抑制され、更には、外観品質を損なう濁り物質の生成が抑制されることを見い出した。そして、カフェ酸自体については、従来、クロロゲン酸やカフェ酸のようなクロロゲン酸類は、一般に苦味や収斂性のともなった酸味の原因と考えられているものであるが、これを特定濃度範囲で用いることにより、ブラックコーヒー飲料の製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を変えずに保持することができることを見い出し本発明をなすに至った。
本発明は、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して、カフェ酸量として、0.1〜5.0mg/100mlの範囲で添加し、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持することを特徴とする容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法からなる。本発明において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物は、カフェ酸量として0.1〜5.0mg/100mlの範囲で添加され、0.1/100ml以下であると、有効な濁り及び香味の劣化の防止効果が得られず、また5.0mg/100ml以上であると、雑味が発生して、ブラックコーヒーの本来の香味を保持することができない。
本発明において、カフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物は、脱カフェイン処理を行っていないコーヒー抽出液をクロロゲン酸エステラーゼ処理することにより、調製することができる。また、該コーヒー抽出液をクロロゲン酸エステラーゼ処理する、カフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物の調製を、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造工程中に組み込んで、該製造工程の中において行なうこともできる。本発明によって製造された容器詰ブラックコーヒー飲料は、加温状態で行なわれる容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存においても、濁り及び香味の劣化を防止し、また、ブラックコーヒー飲料の製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を変えずに保持することができる。
すなわち具体的には本発明は、(1)容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して添加し、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持することを特徴とする容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法や、(2)カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して、カフェ酸量として、0.1〜5.0mg/100ml添加することを特徴とする前記(1)記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法や、(3)カフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物が、脱カフェイン処理を行っていないコーヒー抽出液をクロロゲン酸エステラーゼ処理することにより、調製されたものであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法からなる。
また本発明は、(4)カフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物の調製が、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造工程において行なわれたものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法や、(5)流通及び保存時における濁り及び香味の劣化が、流通及び保存時における濁り及び後味の収斂味や酸味を伴う雑味の生成であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法や、(6)容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存が、加温状態で行なわれる容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法や、(7)上記(1)〜(6)のいずれか記載の製造方法によって製造された、流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持する容器詰ブラックコーヒー飲料からなる。
本発明により、容器詰ブラックコーヒー飲料の高温で長期間保存される加温状態での流通・保存においても、飲料の濁りや、後味に収斂味や酸味を伴う雑味の発生を伴うような香味の劣化を起こすことがなく、しかも、製造時のブラックコーヒーの本来の香味、物性を変えずに保持した容器詰ブラックコーヒー飲料を提供することができる。本発明で添加される、カフェ酸、又はコーヒー抽出液の分解物は、本来コーヒー抽出液に含まれている成分であるので、本質的にコーヒー抽出液に含まれていない成分を添加するというブラックコーヒー飲料本来の嗜好の目的と外れることがなく、流通・保存に対して改善された物性と、コーヒー抽出時の香味を保持した容器詰ブラックコーヒー飲料を提供することができる。
また、本発明の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法は、生産工程中への導入、管理も容易であり、かつ、生産工程の効率を落とすことがないという利点を有する。更には、本発明により、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通・保存に対する耐久性を改善したことにより、従来、製品を加温状態で長期間保存しないよう、加温されている時間を管理し、一定期間経過後にはその製品を廃棄するなどの厳密な商品管理を行っていた努力が削減できることになり、また売れ残った製品の廃棄率の低下にも役立つ。
本発明は、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して、カフェ酸量として、0.1〜5.0mg/100mlの範囲で添加し、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持する容器詰ブラックコーヒー飲料を製造することからなる。以下に本発明の作用メカニズムと実施の態様について詳しく説明する。
本発明者は、高温で長期間貯蔵された密封容器入りブラックコーヒー飲料(劣化コーヒー)を各種分画し、その分画物の味質評価を行うという手法により、後味に収斂味や酸味を伴う雑味がC18固相抽出カラムに吸着し、エタノールで溶出される画分(画分S)に回収されることを見出した。続いて、劣化コーヒーと、低温で貯蔵したブラックコーヒー飲料(正常コーヒー)から該画分(画分S)を回収し、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、高温貯蔵に伴い5つのピークが増大することを見出した。画分Sを上記5つのピークを含む画分(画分B)とその前に溶出する画分(画分A)、及び、その後ろに溶出する画分(画分C)の3つの画分にHPLCで分取し、各画分の味質評価を実施したところ、劣化コーヒーから回収した画分Bと画分Cをあわせることにより、初めて収斂味や酸味を伴う雑味が発生することを見出した。
劣化コーヒーから回収した画分Bと正常コーヒーから回収した画分Cとの混合では、該雑味が発生しないことから、正常コーヒーと劣化コーヒーから回収される画分Cとは物質的に異なっていることが示された。劣化コーヒーの画分S中で正常コーヒーの画分Sに比べて増加している5つのピークをそれぞれ除去した画分を、HPLCを用いて分取し、各画分の味質評価を実施したところ、後述の実施例に示すピーク2を除去した画分でのみ上述の雑味が消失することが判明した。ピーク2を高速液体クロマトグラフィー−質量分析計(LC−MS)で分析したところ該ピークはカフェ酸であると同定され、カフェ酸が上述の雑味の発現に必須な成分の1つであることが示された。
密封容器入りブラックコーヒー飲料を長期間保存することで増加するカフェ酸の生成メカニズムを探索したところ、カフェ酸の前駆体は、カフェ酸とキナ酸が重合したクロロゲン酸(5−カフェオイルキナ酸)ではないことが判明した。カフェ酸を多量に添加した密封容器入りブラックコーヒー飲料を試作し、高温に長期間保存したところ、通常の密封容器入りブラックコーヒー飲料では認められなかった、経時的にカフェ酸含量が減少するという現象を見出し、さらに、長期間の保存で生成する濁りの原因物質の生成反応が抑制され、加えて、上述の雑味の発生が抑制されることを見出した。この現象から、通常の密封容器入りブラックコーヒー飲料を長期間保存したときの、濁り物質の生成反応、及び、上述の雑味発生メカニズムを推察し、本発明を完成させるに至った。
本発明を実施するには、コーヒーの抽出した成分を含有する液体を調製する必要がある。この液体には、コーヒー、つまり焙煎したコーヒー豆から各種方法により得られる抽出液(いわゆるレギュラーコーヒー)のほか、コーヒーから抽出した成分を含有する液体がすべて包含され、例えば、コーヒー焙煎豆の冷水、温水、熱水、加圧熱水による抽出液や、プロピレングリコール水溶液、ショ糖脂肪酸エステル等の食品添加物として許容されている界面活性剤の水溶液による抽出液、炭酸ガス等の臨界抽出により得られた抽出液、また、これらの濃縮液や希釈液、これらから特定の画分を分画して得た成分分画液、あるいは特定の画分を分画除去した例えばカフェインレスコーヒーといった成分分画液、インスタントコーヒーの溶解液等も包含される。本発明ではこれらの液をいずれもコーヒー抽出液と称する。また、コーヒー豆からの抽出方法についても特に限定されず、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)等が挙げられる。
本発明において、コーヒー抽出液を得るのに用いるコーヒー豆の種類は特に限定されないが、例えばブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。コーヒー豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種などがある。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いても良い。コーヒー豆を焙煎により焙煎コーヒーとする方法については、特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても制限はないが、好ましい焙煎温度は100〜300℃であり、更に好ましくは150〜250℃である。好ましい焙煎方法としては直火式、熱風式、半熱風式などが挙げられる。また、風味の観点より、焙煎後1時間以内に0〜100℃まで冷却することが好ましく、更に好ましくは10〜60℃である。焙煎コーヒーの焙煎度としては特に制限はなく、例えばライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン等、いずれを用いても良い。尚、焙煎度の異なるコーヒー豆を複数種混合しても良い。
本発明で使用されるコーヒー抽出液を含むコーヒー飲料は、いわゆる微糖、加糖も含み、砂糖、人工甘味料などの甘味料を使用したものも含まれ、甘味料のほか、安定化剤を加えても良く、例えば、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、乳糖、果糖ブドウ糖液、糖アルコール等の糖分、アスパルテーム、アセスルファムK等の人工甘味料、抗酸化剤、pH調整剤、乳化剤、香料等を添加することができるが、実質的に乳成分を含まない、いわゆるブラックコーヒーが対象となる。コーヒー飲料のpHは、飲料安定性の面で3〜7、更に4〜6.5、特に5〜6が好ましい。
本発明で製造される容器入りブラックコーヒー飲料は、例えばPETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等の容器に詰めて密封して製造することができるが、特に好ましくは、コーヒー中の成分の変化を防止する観点から、例えば、缶、ガラス製の瓶、PETボトル等を用いるのが良い。
本発明において用いられるカフェ酸は、コーヒー豆や茶葉など広く高等植物に配糖体、エステル、または遊離型として存在する化合物である。本発明で用いるカフェ酸の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常用いられている方法で良い。また、茶葉、コーヒー豆、果実等の植物体から常法によりカフェ酸含有抽出液として得るか、コーヒー抽出液に酸、アルカリを作用させたりすることで得ることができ、更には、通常用いられている手法、例えば、有機溶媒による抽出、吸着剤を用いた分画、さらに、HPLCを用いて精製して用いても良い。加えて、通常の手法で化学合成されたカフェ酸を用いることも出来る。
また、本発明において用いられるカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物は、例えば脱カフェイン処理を行っていないコーヒー抽出液にクロロゲン酸エステラーゼなどの酵素を作用させてクロロゲン酸を加水分解して得ることもできる。ここで酵素として用いるクロロゲン酸エステラーゼは麹菌由来の市販のもの、例えばキッコーマン社製のものを用いることができる。クロロゲン酸エステラーゼの反応条件として一概には規定できないが、例えばコーヒー抽出液全体を100重量%として、クロロゲン酸エステラーゼの添加量を0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%添加し、20〜60℃で30〜480分程度、好ましくは、30〜50℃で45〜120分程度反応させれば良い。クロロゲン酸エステラーゼの量が上記下限に満たない場合、反応自体が効率的に進行しない恐れがあり、また上記上限を超える場合、コスト面が圧迫される恐れがあるため、いずれも好ましくない。
酵素の投与方法としては一度に処理する方法、数回に分けて処理する方法等、適宜行うことができる。カフェ酸は上述の通り製造し使用することができるが、市販のもの、例えばシグマアルドリッチジャパン社製のものをそのまま使用することもできる。更に、カフェ酸の使用態様としては、通常使用可能な塩基により中和し、例えばカフェ酸ナトリウムのような塩として用いることもできる。本発明において、カフェ酸またはその塩は併用しても良い。カフェ酸をコーヒー抽出液に添加するものではないが、脱カフェイン処理を行っていないコーヒー抽出液にクロロゲン酸エステラーゼを上記の通り限定的に反応させ、クロロゲン酸からカフェ酸を所定量生成せしめる方法も本発明の技術的範囲に属するものであり、更には上記手法を組み合わせて、例えば、カフェ酸をコーヒー抽出液に添加した上で、さらに酵素処理などでコーヒー抽出液中のカフェ酸含量を所定量まで生成させても良い。
本発明において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物のコーヒー抽出液への添加量は、カフェ酸量として0.1〜5.0mg/100mlの範囲で添加され、0.1/100ml以下であると、有効な濁り及び香味の劣化の防止効果が得られず、また5.0mg/100ml以上であると、雑味が発生して、ブラックコーヒーの本来の香味を保持することができない。なお、本発明で言う後味に収斂味や酸味を伴う雑味とは、飲料後に持続するピリピリと刺激する味をいう。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
<濁り、雑味成分の発生メカニズムと雑味成分の同定>
[実験例1] 高温で貯蔵した缶入りブラックコーヒー飲料の作成:
市販の缶入りブラックコーヒー飲料を70℃で3週間に渡り高温で貯蔵したサンプル(劣化コーヒー)と4℃で3週間貯蔵したサンプル(正常コーヒー)を作成した。各々のサンプルについて外観品質評価したところ、劣化コーヒーでは正常コーヒーには認められない溶液の濁りが発生していた。また、専門のパネリスト5名を対象にそれぞれの飲料の官能検査を行ったところ、劣化コーヒーでのみ、後味に収斂味や酸味を伴う雑味が存在するという評価であった。以降、これらのサンプルを用いて、該雑味の探索を実施した。
[実験例2] 後味に収斂味や酸味を伴う雑味成分の回収:
C18固相抽出カラム(メガボンドエルート、10g/60ml、ジーエルサイエンス)にエタノール120mlを通液した後、脱イオン水120mlを通液してカラムをコンディショニングした。このカラムに、上記コーヒー溶液をそれぞれ75mlアプライして、コーヒー溶液中の疎水性物質をカラムに吸着せしめた後、さらに脱イオン水120mlでカラムを洗浄した。カラムに吸着した疎水性物質はエタノール75mlを通液して脱着させ、正常コーヒー、劣化コーヒーそれぞれについてC18固相抽出吸着エタノール溶出画分(画分S)を回収した。各々の画分Sはエバポレーターを用いて約20mlになるまで減圧濃縮してエタノールを除去した後、脱イオン水で75mlにメスアップした。得られた溶液について専門のパネリスト5名を対象に官能検査を行ったところ、劣化コーヒーの画分Sにのみ実験例1で確認した雑味が存在するという評価であった。
[実験例3] 画分Sの分析:
上記実験例2で得られた正常コーヒーと劣化コーヒーの画分S中の含有成分の違いを検討するために、下記の条件でHPLCを用いた分析を実施した。
<分析装置>
Alliance 2690 Separations Module(日本ウォーターズ(株))、カラムオーブン:CTO6A((株)島津製作所)、フォトダイオードアレイ検出器:2996 Photodiode Array Detector(日本ウォーターズ(株))、カラム:Capcell pak C18 UG80 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)
<分析条件>
サンプル注入量:20μl、流量:0.8ml/min、PDA検出器設定波長:200nm〜400nm、カラムオーブン温度:40℃、溶離液A:0.1%ギ酸水溶液、溶離液B:0.1%ギ酸/メタノール溶液
<濃度勾配条件>
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 80% 20%
40.0分 40% 60%
50.0分 20% 80%
60.0分 20% 80%
60.1分 80% 20%
70.0分 80% 20%
上記条件で正常コーヒーと劣化コーヒーの画分Sを分析した結果、劣化コーヒーの画分Sで正常コーヒーの画分Sより増大しているピークが5本見つかった(図1)。
[実験例4] 画分SのHPLCを用いた分画:
劣化コーヒーの画分Sで増大しているピークが、実験例1で確認した雑味の原因となっているかどうかを調べる目的で、正常コーヒーと劣化コーヒーの画分Sを下記の条件でHPLCを用いて分画した。
<分画装置>
ポンプ:LC−8A((株)島津製作所)、UV−VIS検出器:SPD−10A((株)島津製作所)、セミ分取用カラム:Capcell Pak C18 UG80 内径15mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)
<分画条件>
流量:5.0ml/min、UV−VIS検出器設定波長:320nm、溶離液A:0・1%ギ酸水溶液、溶離液B:メタノール
<濃度勾配条件>
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 80% 20%
40.0分 40% 60%
50.0分 20% 80%
50.01分 0% 100%
70.0分 0% 100%
正常コーヒーと劣化コーヒーそれぞれ150mlから、実験例2に記載した手法に従って画分Sを回収した。回収した各々の画分Sはエバポレーターを用いて約20mlになるまで減圧濃縮してエタノールを除去した後、エタノールを15ml添加後、脱イオン水で40mlにメスアップした。以上の操作で得られた溶液を4mlずつHPLCに注入し、上記条件により分離した。溶出液は、画分A(溶出時間4〜12分)、画分B(溶出時間12〜44分)、画分C(溶出時間44〜68分)の3つの画分に分画した(図2)。得られた画分を実験例3に記載の手法で分析したところ、画分Bに劣化コーヒーの画分Sで増大した5本のピークの存在が確認できた。
回収した各画分はエバポレーターを用いて約5mlになるまで減圧濃縮してメタノール、ギ酸を除去した後、脱イオン水で60mlにメスアップした。以上の操作で得られた溶液は、凍結乾燥機を用いて完全に乾燥し、再び脱イオン水を60ml添加後、凍結乾燥しメタノールとギ酸を完全に除去した。得られた凍結乾燥物は脱イオン水150mlに溶解後、専門のパネリスト5名を対象に官能検査を行った。その結果、実験例1で確認した雑味はいずれの画分にも存在しないという評価となった。
そこで、上記と同様の手法で画分A〜Cの凍結乾燥物を作成し、脱イオン水75mlに溶解後、各々の画分を1:1の割合で混合した溶液を作成して専門のパネリスト5名を対象に官能検査を行った。その結果、劣化コーヒーの画分Bと画分Cを混合した溶液にのみ実験例1で確認した雑味が存在するという評価となった。また、正常コーヒーの画分Bと劣化コーヒーの画分C、及び、劣化コーヒーの画分Bと正常コーヒーの画分Cの混合溶液には実験例1で確認した雑味が存在しないという評価となった(表1)。このことから、実施例1で確認した雑味はブラックコーヒー飲料を高温に長期間貯蔵した時に発生する、少なくとも2種類以上の物質が混合して初めて発現することが明らかとなった。
[実験例5] 当該雑味の発現に必須な成分の同定−1(オミッションテスト):
実験例3で見つかった劣化コーヒー中で増大する5本のピークが、実験例1に記載した雑味の発現に関わっているかどうかを調べるために、各々のピークを除去した画分を作成した。実験例4に記載した分画条件に従って、12〜22分に溶出する成分を除去した画分(ピーク1除去画分)、25〜33分に溶出する成分を除去した画分(ピーク2除去画分)、33〜39分に溶出する成分を除去した画分(ピーク3+ピーク4除去画分)、39〜42分に溶出する成分を除去した画分(ピーク5除去画分)の4種類の画分を作成した。専門のパネリスト5名を対象に各画分の官能評価を実施したところ、ピーク2除去画分でのみ実験例1に記載した雑味が消失するという評価となった。このことから、劣化コーヒー中で増大したピーク2が当該雑味に必須であることが示唆された。
[実験例6] ピーク2の同定:
ピーク2を同定するために、正常コーヒーと劣化コーヒーの画分Sを、LC−MSを用いて下記の条件で分析した。
<分析装置>
Alliance 2690 Separations Module(日本ウォーターズ(株))、カラムオーブン:CTO6A((株)島津製作所)、フォトダイオードアレイ検出器:2996 Photodiode Array Detector(日本ウォーターズ(株))、質量分析計:Micromass ZQ2000(日本ウォーターズ(株))、カラム:Capcell pak C18 UG80 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)
<分析条件>
サンプル注入量:20μl、流量:0.8ml/min、PDA検出器設定波長:200nm〜400nm、カラムオーブン温度:40℃、溶離液A:0.1%ギ酸水溶液、溶離液B:0.1%ギ酸/メタノール溶液
<質量分析条件>
イオン化モード:エレクトロスプレーイオン化法−ネガティブイオン検出、測定モード:スキャンモード、測定質量範囲:m/z=50〜700、コーン電圧:40V、ソース温度:100℃、脱溶媒ガス温度:350℃
<濃度勾配条件>
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 80% 20%
40.0分 40% 60%
50.0分 20% 80%
60.0分 20% 80%
60.1分 80% 20%
70.0分 80% 20%
分析の結果、ピーク2は分子イオンがm/z=179で、断片化してm/z=135のフラグメントイオンを産生する物質であることが判明した。この情報からピーク2はカフェ酸であることが推察された。そこで、市販のカフェ酸試薬(シグマアルドリッチジャパン(株))を20%メタノール水溶液に溶解して同一の条件で分析に供したところ、溶出時間とマススペクトルデータがピーク2と合致し、ピーク2はカフェ酸であると同定された(図3、図4)。
[実験例7] 当該雑味の発現に必須な成分の同定−2(アディッションテスト):
正常コーヒーと劣化コーヒー中のカフェ酸濃度を下記の条件でHPLCを用いて定量した。
<分析装置>
ポンプ:LC-10ADvp((株)島津製作所)、カラムオーブン:CTO-10ADvp((株)島津製作所)、オートサンプラー:SIL-10ADvp((株)島津製作所)、フォトダイオードアレイ検出器:SPD-M10Avp((株)島津製作所)、カラム:Develosil RPAQUEOUS-AR-5 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm(野村科学(株))
<分析条件>
サンプル注入量:20μl、流量:1.0ml/min、PDA検出器設定波長:190nm〜370nm、カラムオーブン温度:40℃、溶離液A:0.1%ギ酸水溶液、溶離液B:0.1%ギ酸/メタノール溶液
<濃度勾配条件>
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 90% 10%
12.0分 84% 16%
22.0分 84% 16%
40.0分 75% 25%
75.0分 40% 60%
75.1分 0% 100%
85.0分 0% 100%
85.1分 90% 10%
95.0分 90% 10%
上記条件でのカフェ酸の保持時間は35.4分であり、市販のカフェ酸試薬(シグマアルドリッチジャパン(株))を標準物質として、330nmの吸収ピーク面積からカフェ酸の濃度を算出した。定量分析の結果、正常コーヒー、劣化コーヒー中のカフェ酸濃度はそれぞれ7.2μg/ml、14.4μg/mlと算出された。そこで、実験例5で示した劣化コーヒーのピーク2除去画分にカフェ酸を14μg/mlの濃度で添加した溶液を作成し、専門のパネリスト5名を対象に各画分の官能評価を実施したところ、劣化コーヒーのピーク2除去画分で消失した実施例1に記載した雑味が発現するという評価となった。このことから、当該雑味の発現にはカフェ酸が必須であることが明らかとなった。さらに、14μg/mlのカフェ酸水溶液を作成し、専門のパネリスト5名を対象に各画分の官能評価を実施したところ、当該雑味が存在しないという評価となり、実験例4で示された通り、当該雑味の発現にはカフェ酸以外の成分(画分C)の共存が必須であることが改めて明らかとなった。
[実験例8] カフェ酸生成メカニズムについて−1(クロロゲン酸添加コーヒーの作成):
高温に長期間貯蔵した密封容器入りブラックコーヒー飲料中でカフェ酸が増加するメカニズムを解明するために、カフェ酸の前駆体になると推測されるクロロゲン酸(5−カフェオイルキナ酸;シグマアルドリッチジャパン(株))を希釈後の濃度で75mg/100mlとなるように添加したブラックコーヒー溶液を作成し、缶に充填して高温で長期間貯蔵したときのカフェ酸の増加具合を定量した。コーヒー抽出液の作成は、まず、粉砕した焙煎コーヒー豆を抽出(95℃)してコーヒー豆量(重量)の10倍量の抽出液を得た。これに、希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Na、及び、5mg/ml濃度のクロロゲン酸水溶液を同15重量%となるように添加した後に、コーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。
これを缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分)を施した。この結果、コーヒーのpHは5.4となった。比較例として上記の手法で得られたコーヒー抽出液に、希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Naを添加後、クロロゲン酸水溶液を添加することなくコーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。これを缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分)を施した。この結果、コーヒーのpHは5.7となった。得られた試作品を60℃で保存し、1週間毎に4週目まで溶液中のカフェ酸含量を実験例7に示した手法で定量した。
その結果、60℃での保存時におけるカフェ酸の増加速度は、クロロゲン酸を添加した試験区と比較例とでほとんど同じであることが明らかとなった(図5)。レトルト殺菌直後でのクロロゲン酸を添加した試験区と比較例とでのカフェ酸含量の違いは、コーヒー溶液にクロロゲン酸を多量に添加したことで、溶液のpHが低下したことに起因すると推察された。これらの結果から、高温に長期間貯蔵した密封容器入りブラックコーヒー飲料中で増加するカフェ酸の前駆体はクロロゲン酸ではないことが明らかとなった。
[実験例9] カフェ酸生成メカニズムについて−2(カフェ酸添加コーヒーの作成):
続いてカフェ酸を多量に添加した密封容器入りブラックコーヒー飲料を高温に長期間貯蔵したときにカフェ酸がどのような挙動を示すかを調べる目的で、カフェ酸(シグマアルドリッチジャパン(株))を希釈後の濃度で5mg/100mlになるように添加したブラックコーヒー溶液を作成し、缶に充填して高温で長期間貯蔵したときのカフェ酸の経時変動を定量した。コーヒー抽出液の作成は、まず、粉砕した焙煎コーヒー豆を抽出(95℃)してコーヒー豆量(重量)の10倍量の抽出液を得た。これに、希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Na、及び、50mg/ml濃度のカフェ酸エタノール溶液を同0.1重量%となるように添加した後に、コーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。
これを缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分)を施した。この結果、コーヒーのpHは5.6となった。比較例として上記の手法で得られたコーヒー抽出液に、希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Naを添加後、カフェ酸エタノール溶液を添加することなくコーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。これを缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分)を施した。この結果、コーヒーのpHは5.7となった。得られた試作品を60℃で保存し、1週間毎に4週目まで溶液中のカフェ酸含量を実験例7に示した手法で定量した。
その結果、60℃での保存時におけるカフェ酸の挙動は、比較例では経時的に増加するものの、カフェ酸を添加した試験区では逆に経時的に減少することが明らかとなった(図6)。また、60℃で4週間保存した際のコーヒー飲料の外観を観察したところ、比較例では溶液に濁りが生じていたが、カフェ酸を添加した試験区では濁りがほとんど生じていないことが判明した(図7)。更に、専門のパネリスト5名を対象に60℃で2週間、4週間、6週間、8週間保存した際のそれぞれの試作コーヒー飲料の官能評価を実施したところ、カフェ酸を添加した試験区で、比較例と比べて実験例1に記載した雑味が明確に弱いという評価となった。以上のことから、実験例1に記載した雑味、及び、濁りの生成メカニズムとして図8に示したような経路で発生していることが推察でき、従来の技術で作成された密封容器入りブラックコーヒー飲料では起こり得ない量のカフェ酸を添加したブラックコーヒー飲料を作成することにより、図8に示した化学反応経路を抑制できることが明らかとなった。
<クロロゲン酸エステラーゼ処理コーヒー溶液を添加したブラックコーヒー飲料の試作>
粉砕した焙煎コーヒー豆を抽出(95℃)してコーヒー豆量(重量)の10倍量の抽出液を得た。これに、希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Naおよび、希釈後の濃度で0.3重量%となるようクロロゲン酸エステラーゼ(キッコーマン(株))を添加した後に、コーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。40℃で60分酵素反応を実施後、80℃に昇温して酵素を失活させ反応を終了した(これを以下「酵素処理液」という)。酵素処理液と別に、上述の抽出液に希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Naを添加したものを用意し、酵素処理液を希釈後の濃度で2.0,6.0,10.0重量%となるように添加した後に、酵素処理液以外のコーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。
これを缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分)を施し、コーヒー飲料を試作した。この結果、各溶液のカフェ酸濃度、及び、pHは表2のようになった。比較例として上記の酵素処理液を作成する工程でクロロゲン酸エステラーゼを添加せずにさらに80℃の処理を行わなかった溶液を作成した(これを以下「未処理液」という)。未処理液と別に、抽出液に希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Naを添加したものを用意し、未処理液を希釈後の濃度で2.0,6.0,10.0重量%となるように添加した後に、未処理液以外のコーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。これを缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分)を施した。
この結果、各溶液のカフェ酸濃度、および、pHは表3のようになった。得られた試作品を60℃で保存し、2週間後、4週間後、6週間後に溶液の外観品質評価、及び、専門のパネリスト5名を対象にそれぞれの試作コーヒー飲料の官能評価を実施した。
その結果、酵素処理液を添加した試験区でのみ実験例9で示した濁りが発生せず、更には、実験例1に記載した雑味の発生が抑制されていることが明らかとなった(表4)。
<クロロゲン酸エステラーゼ処理によりカフェ酸を増強したコーヒー>
粉砕した焙煎コーヒー豆を抽出(95℃)してコーヒー豆量(重量)の10倍量の抽出液を得た。これに、希釈後の濃度で0.05重量%となるように炭酸水素Naおよび、希釈後の濃度で0.0005重量%となるようクロロゲン酸エステラーゼ(キッコーマン(株))を添加した後に、コーヒー豆由来の可溶性固形分(Brix)が1.1%となるように水で希釈した。20℃で2時間酵素反応を実施後に、缶に充填、巻締めを行った後、レトルト殺菌(121℃で10分間)を施し、コーヒー飲料を試作した(これを以下、「酸素処理コーヒー飲料」という)。比較例として上記の酸素処理を実施しないコーヒー飲料を、上記と同様の操作により試作した。その結果、酸素処理コーヒー飲料、及び、比較例のカフェ酸濃度は、それぞれ0.53mg/100ml、0.39mg/100mlとなり、酸素処理コーヒー飲料は酸素処理によって0.14mg/100mlのカフェ酸増強が行われていることが確認できた。得られた試作品を60℃で4週間保存した後、溶液の外観品質評価、及び、専門のパネリスト1名を対象にそれぞれの試作コーヒー飲料の官能評価を実施した。その結果、酸素処理コーヒーでは実施例1(実験例1)の劣化コーヒーで観察された雑味の発生が抑制されていることが明らかとなった。
本発明の実施例の実験において、正常コーヒーと劣化コーヒーの画分Sの吸収波長240nmにおけるクロマトグラムを示す図である。劣化に伴い増大したピークを矢印で記載した。 本発明の実施例の実験において、劣化コーヒーの画分Sをセミ分取用カラムで分画した際のクロマトグラムを示す図である。画分A〜画分Cの分取時間を矢印で記載した。 本発明の実施例の実験において、カフェ酸標品と劣化コーヒーのESI-negative検出におけるクロマトグラム(TIC)の比較を示す図である。ピーク2の溶出時間は矢印で記載した。 本発明の実施例の実験において、カフェ酸標品と劣化コーヒーのピーク2のESI-negative検出におけるマススペクトルの比較を示す図である。 本発明の実施例の実験において、クロロゲン酸添加試験区と比較例の、60℃保管時のカフェ酸含量の経時変化を示す図である。 本発明の実施例の実験において、カフェ酸添加試験区と比較例の、60℃保管時のカフェ酸含量の経時変化を示す図である。 本発明の実施例の実験において、カフェ酸添加試験区と比較例の、60℃4週間保管時の溶液の様子を示す図である。写真は溶液を試験管に分注し、下から光を当て散乱光の様子を撮影した。 本発明の実施例より推察されたカフェ酸生成、及び、濁り物質生成メカニズムを示す図である

Claims (7)

  1. 容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法において、カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して添加し、容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持することを特徴とする容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法。
  2. カフェ酸又はカフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物を、ブラックコーヒー飲料に対して、カフェ酸量として、0.1〜5.0mg/100ml添加することを特徴とする請求項1記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法。
  3. カフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物が、脱カフェイン処理を行っていないコーヒー抽出液をクロロゲン酸エステラーゼ処理することにより、調製されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法。
  4. カフェ酸を含むコーヒー抽出液の分解物の調製が、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造工程において行なわれたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法。
  5. 流通及び保存時における濁り及び香味の劣化が、流通及び保存時における濁り及び後味の収斂味や酸味を伴う雑味の生成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法。
  6. 容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存が、加温状態で行なわれる容器詰ブラックコーヒー飲料の流通及び保存であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の製造方法によって製造された、流通及び保存時における濁り及び香味の劣化を防止し、かつ、製造時の香味、物性を保持する容器詰ブラックコーヒー飲料。
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