実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定されず、発明の趣旨から逸脱することなく形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者にとって自明である。また、異なる実施の形態に係る構成は、適宜組み合わせて実施することができる。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。また、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指すものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体基板の製造方法の一例について、図1乃至4を参照して説明する。
はじめに、ベース基板100を用意する(図1(A)参照)。ベース基板100には、液晶表示装置などに使用されている透光性を有するガラス基板を用いることができる。ガラス基板としては、歪み点が580℃以上680℃以下(好ましくは、600℃以上680℃以下)であるものを用いると良いが、これに限定されない。また、ガラス基板は無アルカリガラス基板であることが好ましい。無アルカリガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。
なお、ベース基板100としては、ガラス基板の他、セラミック基板、石英基板やサファイア基板などの絶縁体でなる絶縁性基板、珪素などの半導体材料でなる半導体基板、金属やステンレスなどの導電体でなる導電性基板などを用いることもできる。
次に、ベース基板100の表面に絶縁層102を形成する(図1(B)参照)。絶縁層102は単層構造でも良いし積層構造でも良い。絶縁層102を構成する材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化ゲルマニウム、酸化窒化ゲルマニウム、窒化酸化ゲルマニウムなどの、珪素またはゲルマニウムを組成に含む絶縁材料を挙げることができる。また、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウムなどの金属の酸化物、窒化アルミニウムなどの金属の窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属の酸化窒化物、窒化酸化アルミニウムなどの金属の窒化酸化物を用いても良い。
なお、本明細書において、酸化窒化物とは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量(原子数)が多いものを示し、例えば、酸化窒化珪素とは、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化物とは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量(原子数)が多いものを示し、例えば、窒化酸化珪素とは、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上25原子%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率の合計は100原子%を超えない。
なお、絶縁層102を形成しない構成とすることも可能であるが、ベース基板100にアルカリ金属やアルカリ土類金属などの半導体装置の信頼性を低下させる不純物を含むような基板を用いる場合には、このような不純物がベース基板100から半導体層に拡散しないように、絶縁層102を設けることが好ましい。このような用途には、特に、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどが適している。
なお、以下では説明の便宜上、図1(B)に示す構造を基板150と呼ぶこととする。
次に、単結晶半導体基板110を用意する(図1(C)参照)。単結晶半導体基板110としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコンなどの第4属元素でなる半導体基板を用いることができる。もちろん、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体でなる基板を用いてもよい。本実施の形態においては、単結晶半導体基板110として、単結晶シリコン基板を用いることとする。単結晶半導体基板110のサイズに制限は無いが、例えば、8インチ(200mm)、12インチ(300mm)、18インチ(450mm)といった円形の半導体基板を、矩形に加工して用いることが好ましい。なお、本明細書において、単結晶とは、結晶構造が一定の規則性を持って形成されており、どの部分においても結晶軸が同じ方向を向いているものをいう。つまり、欠陥の多少については問わないものとする。
なお、本実施の形態においては、ベース基板100を処理した後に単結晶半導体基板110を処理する構成としているが、これは説明の便宜のためであり、開示する発明が該順序に限定して解釈されるものではない。すなわち、単結晶半導体基板110を処理した後にベース基板100を処理しても良いし、ベース基板100の処理と単結晶半導体基板110の処理を並列に行う構成としても良い。
単結晶半導体基板110を洗浄した後、単結晶半導体基板110表面に絶縁層112を形成する。絶縁層112を設けない構成とすることもできるが、後のイオン照射の際の単結晶半導体基板110の汚染及び表面の損傷を防ぐためには、絶縁層112を設けることが好ましい。絶縁層112の厚さは10nm以上400nm以下とすると良い。
絶縁層112を構成する材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化ゲルマニウム、酸化窒化ゲルマニウム、窒化酸化ゲルマニウムなどの、珪素またはゲルマニウムを組成に含む絶縁材料を挙げることができる。また、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウムなどの金属の酸化物、窒化アルミニウムなどの金属の窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属の酸化窒化物、窒化酸化アルミニウムなどの金属の窒化酸化物を用いてもよい。絶縁層112の形成方法としては、CVD法、スパッタ法、単結晶半導体基板110の酸化(又は窒化)による方法などがある。
次に、絶縁層112を介して、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム130を単結晶半導体基板110に照射し、単結晶半導体基板110の表面から所定の深さの領域に、損傷領域114を形成する(図1(D)参照)。損傷領域114が形成される領域の深さは、イオンビーム130の加速エネルギーとイオンビーム130の入射角によって制御することができる。ここで、損傷領域114は、イオンの平均侵入深さと同程度の深さの領域に形成されることになる。
上述の損傷領域114が形成される深さにより、単結晶半導体基板110から分離される単結晶半導体層の厚さが決定される。損傷領域114が形成される深さは、単結晶半導体基板110の表面から50nm以上500nm以下であり、好ましくは50nm以上200nm以下である。
イオンを単結晶半導体基板110に照射する際には、イオン注入装置又はイオンドーピング装置を用いることができる。イオン注入装置では、ソースガスを励起してイオン種を生成し、生成されたイオン種を質量分離して、所定の質量を有するイオン種を被処理物に注入する。イオンドーピング装置は、プロセスガスを励起してイオン種を生成し、生成されたイオン種を質量分離せずに被処理物に照射する。なお、質量分離装置を備えているイオンドーピング装置では、イオン注入装置と同様に、質量分離を伴うイオンの照射を行うこともできる。本明細書において、イオン注入装置又はイオンドーピング装置のいずれか一方を特に用いる必要がある場合にのみそれを明記し、特に明記しないときは、いずれの装置を用いてイオンの照射を行っても良いこととする。
イオンドーピング装置を用いる場合のイオンの照射工程は、例えば、以下の条件で行うことができる。
・加速電圧 10kV以上100kV以下(好ましくは30kV以上80kV以下)
・ドーズ量 1×1016/cm2以上4×1016/cm2以下
・ビーム電流密度 2μA/cm2以上(好ましくは5μA/cm2以上、より好ましくは10μA/cm2以上)
イオンドーピング装置を用いる場合、イオンの照射工程のソースガスには水素を含むガスを用いることができる。該ガスを用いることによりイオン種としてH+、H2 +、H3 +を生成することができる。該ガスをソースガスとして用いる場合には、H3 +を多く照射することが好ましい。具体的には、イオンビーム130に、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +イオンが70%以上含まれるようにすることが好ましい。また、H3 +イオンの割合を80%以上とすることがより好ましい。このようにH3 +の割合を高めておくことで、損傷領域114に1×1020atoms/cm3以上の濃度で水素を含ませることが可能である。これにより、損傷領域114からの剥離が容易になる。また、H3 +イオンを多く照射することで、H+、H2 +を照射するよりもイオンの照射効率が向上する。つまり、イオンの照射に掛かる時間を短縮することができる。また、H3 +を用いることで、イオンの平均侵入深さを浅くすることができるため、損傷領域114を浅い領域に形成することが可能になる。
イオン注入装置を用いる場合には、質量分離により、H3 +イオンが注入されるようにすることが好ましい。もちろん、H2 +を注入してもよい。ただし、イオン注入装置を用いる場合には、イオン種を選択して注入するため、イオンドーピング装置を用いる場合と比較して、イオン照射の効率が低下する場合がある。
イオン照射工程のソースガスには水素を含むガスの他に、ヘリウムやアルゴンなどの希ガス、フッ素ガスや塩素ガスに代表されるハロゲンガス、フッ素化合物ガス(例えば、BF3)などのハロゲン化合物ガスから選ばれた一種または複数種類のガスを用いることができる。ソースガスにヘリウムを用いる場合は、質量分離を行わないことで、He+イオンの割合が高いイオンビーム130を作り出すことができる。このようなイオンビーム130を用いることで、損傷領域114を効率よく形成することができる。
また、複数回のイオン照射工程を行うことで、損傷領域114を形成することもできる。この場合、イオン照射工程毎にソースガスを異ならせても良いし、同じソースガスを用いてもよい。例えば、ソースガスとして希ガスを用いてイオン照射を行った後、水素を含むガスをソースガスとして用いてイオン照射を行うことができる。また、初めにハロゲンガス又はハロゲン化合物ガスを用いてイオン照射を行い、次に、水素ガスを含むガスを用いてイオン照射を行うこともできる。
上記の損傷領域114を形成した後、絶縁層112を除去し、新たに絶縁層116を形成する(図1(E)参照)。ここで、絶縁層112を除去するのは、上記のイオン照射の際に、絶縁層112が損傷する可能性が高いためである。なお、絶縁層112の損傷が問題とならない場合には絶縁層112を除去する必要はない。この場合、絶縁層112上に新たに絶縁層116を形成しても良いし、絶縁層116を形成しない構成としても良い。
絶縁層116を構成する材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化ゲルマニウム、酸化窒化ゲルマニウム、窒化酸化ゲルマニウムなどの、珪素またはゲルマニウムを組成に含む絶縁材料を挙げることができる。また、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウムなどの金属の酸化物、窒化アルミニウムなどの金属の窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属の酸化窒化物、窒化酸化アルミニウムなどの金属の窒化酸化物を用いてもよい。絶縁層116の形成方法としては、CVD法、スパッタ法、単結晶半導体基板110の酸化(又は窒化)による方法などがある。
絶縁層116は、貼り合わせにおける接合を形成する層であるから、その表面は、高い平坦性を有することが好ましい。例えば、表面の算術平均粗さが7nm以下(好ましくは5nm以下)、二乗平均平方根粗さが10nm以下(好ましくは7nm以下)の層を形成する。このような絶縁層116としては、例えば、有機シランガスを用いて化学気相成長法により形成される酸化珪素膜を用いることができる。なお、以下では説明の便宜上、図1(E)に示す構造を基板160と呼ぶこととする。
その後、上記の基板150と基板160とを貼り合わせる(図1(F)参照)。具体的には、基板150及び基板160の表面を超音波洗浄などの方法で洗浄した後、支持体170上に絶縁層116が上になるように基板160を配置し、基板160上に絶縁層102が下になるように基板150を配置する。以下、貼り合わせの詳細について説明する。
図2に、貼り合わせの際に用いることができる装置の一例を示す。図2(A)は装置の平面図であり、図2(B)は、図2(A)のA−Bにおける断面図である。
図2に示す装置は、基板160が配置される支持体170、基板160が配置される領域を囲むように設けられた気密性保持機構172、支持体170に設けられた排気口174、排気口174に接続された真空ポンプ176、加熱処理手段178(ヒーター)を有している。なお、開示する発明の装置は図2の構成に限定して解釈されるものではない。例えば、基板150と基板160の貼り合わせの際に加熱処理が不要であれば、加熱処理手段178は設けなくとも良い。また、基板160が配置される領域には溝が形成されているが、基板160を固定することができれば該溝を形成することに限られない。さらに、気密性保持機構172の形状や配置などについても、基板160が配置される領域を囲むように設けてあれば特に限定されるものではない。排気口174の形状や配置等についても、同様に適宜変更可能である。
次に、図2に示す装置を用いた貼り合わせの手順について、図3を用いて説明する。はじめに、支持体170の溝に基板160を配置する(図3(A)参照)。なお、図3(A)は図3(D)のA−Bにおける断面図である。ここで、気密性保持機構172は、その最上部が基板160の表面より高い位置となる構成を有している。なお、貼り合わせ工程における基板150及び基板160の汚染を防ぐために、あらかじめ、支持体170及び気密性保持機構172の表面を洗浄しておくと良い。
その後、気密性保持機構172上に基板150を配置する(図3(B)参照)。ここで、気密性保持機構172は、少なくとも一部に弾性体を有する構成とすることが好ましい。例えば、基板150との接触部分を弾性体とすることで、基板150と気密性保持機構172との密着性を向上することができる。弾性体として用いることができる材料は特に限定されないが、後の加熱処理に耐えうる材料とする必要がある。例えば、少なくとも200℃程度、好ましくは300℃程度の加熱処理に耐えうる材料であることが好ましい。また、半導体の汚染源である有機物を含有しない材料か、又は、有機物を含んでいる場合でも汚染源となりにくい材料であることが好ましい。このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、パーフロロゴム等を挙げることができる。本実施の形態においては、気密性保持機構172を前述の弾性体のみからなる構成とする場合について説明する。
次に、真空ポンプを用いて、基板150、支持体170及び気密性保持機構172により囲まれる空間180を排気する(図3(B)、(C)参照)。本実施の形態においては、気密性保持機構172を弾性体のみで構成しているため、空間180の圧力が低下すると共に気密性保持機構172の撓みが増大し、基板150の位置が下がる。すなわち、空間180と外部との気圧差により、基板150と基板160が接触する方向の力が働くことになる。
ここで、空間180を十分に減圧するためには、気密性保持機構172が、一定の硬さを有している必要がある。気密性保持機構172があまりに柔らかい場合には、空間180が十分に減圧される前に基板150と基板160が接触し、接合不良が生じる可能性が高くなるためである。気密性保持機構172の硬さは、空間180の気圧が100hPa以下、好ましくは1hPa以下となった段階で基板150と基板160とが接触する程度とすることが好ましい。なお、厚さ0.7mmのガラス基板の破断強度は一般に100MPa以上であり、基板150の一部としてこのようなガラス基板を用いる場合であっても、大気圧(1013hPa)には十分に耐え得ると言える。
その後、空間180をさらに減圧して、基板160に基板150が押しつけられるようにする。以上により、基板150と基板160との接合を常温、且つ、減圧雰囲気下で行うことができる。なお、接合のメカニズムとしては、ファン・デル・ワールス力が関わるメカニズムや、水素結合が関わるメカニズムなどが考えられる。
なお、接合を形成する前に、基板150又は基板160の表面を酸素プラズマ処理又はオゾン処理して、その表面を親水性にしても良い。この処理によって、基板150又は基板160の表面に水酸基が付加されるため、接合界面に水素結合を形成することができる。
次に、接合された基板150及び基板160に対して加熱処理を施して、接合を強固なものとする。この際の加熱温度は、弾性体の耐熱温度以下とする必要がある。例えば、300℃以下、好ましくは200℃以下とすることができる。もちろん、耐熱温度が高い弾性体を用いる場合であればこれに限られない。処理時間は、1分以上とすることが好ましいが、処理速度と接合強度との関係から最適な条件を適宜設定すればよい。本実施の形態においては、200℃、2時間の加熱処理を施すこととする。
ここで、基板の貼り合わせに係る領域にのみマイクロ波を照射することで、局所的に加熱することも可能である。この場合には、弾性体自体はさほど高温にならないから、弾性体の耐熱温度に対する要求を幾分下げることができる。一例として、耐熱温度が150℃程度の材料であっても使用は可能である。
なお、接合強度に問題がない場合は、上記加熱処理を省略しても良い。この場合には、装置に加熱手段を設ける必要はない。また、弾性体の耐熱温度を考慮する必要もない。なお、開示する発明の構成上、基板150の面積は基板160の面積より大きい必要がある点に留意しなくてはならない。
その後、空間180を大気圧に解放し、接合された基板150と基板160を取り出す。
以上により、減圧雰囲気下において基板150と基板160との接合を行うことができる。これにより、大気中の塵などの、貼り合わせ表面への付着を低減し、また、貼り合わせ表面に空気が残存することを防止できる。つまり、貼り合わせ不良を低減することが可能である。さらに、基板150を均等な力で基板160に押しつけることになるため、接合の形成に係る力を均一にすることができる。つまり、局所的な圧力に起因する、貼り合わせ不良を低減することができる。また、基板の周辺領域にまで十分に圧力をかけることができるため、周辺領域の貼り合わせを良好に行うことができる。また、貼り合わせに係る雰囲気全体を減圧するのではなく、貼り合わせに係る最小限の空間(つまり、本実施の形態における空間180)のみを減圧するため、減圧に要する時間を大幅に短縮することができ、貼り合わせの効率が向上する。つまり、半導体基板の生産性を高めることができる。また、真空チャンバーなどを別途用意する必要がないため、製造装置の小型化に貢献する。
次に、基板160を、絶縁層116及び単結晶半導体層118と、単結晶半導体基板120とに分離する(図1(G)参照)。基板160の分離は、加熱処理により行う。該加熱処理の温度は、ベース基板100の耐熱温度を目安にすることができる。例えば、ベース基板100としてガラス基板を用いる場合には、加熱温度は400℃以上650℃以下とすることが好ましい。ただし、短時間であれば、400℃以上700℃以下の加熱処理を行っても良い。なお、本実施の形態においては、600℃、2時間の加熱処理を施すこととする。
上述のような加熱処理を行うことにより、損傷領域114に形成された微小な空孔の体積変化が生じ、損傷領域114に亀裂が生ずる。その結果、損傷領域114に沿って単結晶半導体基板110が分離する。絶縁層116は絶縁層102と接合しているので、ベース基板100上には単結晶半導体基板110から分離された単結晶半導体層118が残存することになる。また、この加熱処理で、絶縁層102と絶縁層116の接合界面が加熱されるため、接合界面に共有結合が形成され、絶縁層102と絶縁層116の結合力が一層向上する。
以上により、ベース基板100上に単結晶半導体層118が形成される。該半導体基板は、ベース基板100上に絶縁層102、絶縁層116、単結晶半導体層118が順に積層された構成となっている。
上述のようにして形成された半導体基板において、単結晶半導体層118の表面には、分離工程やイオン照射工程による欠陥が存在し、また、その平坦性は損なわれている。このような凹凸のある単結晶半導体層118の表面に、薄く、且つ、高い絶縁耐圧のゲート絶縁層を形成することは困難である。そのため、単結晶半導体層118の平坦化処理を行う。また、単結晶半導体層118に欠陥が存在する場合には、ゲート絶縁層との界面における局在準位密度が高くなるなど、トランジスタの性能及び信頼性に悪影響を与えるため、単結晶半導体層118の欠陥を減少させる処理を行う。
本実施の形態において、単結晶半導体層118の平坦性向上、および欠陥の低減は、単結晶半導体層118にレーザー光132を照射することで実現される(図4(A)参照)。レーザー光132を単結晶半導体層118の上面側から照射することで、単結晶半導体層118上面を溶融させる。溶融した後、単結晶半導体層118が冷却、固化することで、その上面の平坦性が向上した単結晶半導体層122が得られる(図4(B)参照)。本実施の形態においては、レーザー光132を用いているため、ベース基板100を加熱する必要が無く、ベース基板100の温度上昇が抑えられる。このため、ガラス基板のような耐熱性の低い基板をベース基板100に用いることが可能になる。もちろん、ベース基板の耐熱温度の範囲内における加熱を行う構成としても良い。ベース基板を加熱することにより、比較的低いエネルギー密度のレーザー光を用いる場合であっても、欠陥の低減を効果的に進めることができる。一方で、650℃以下程度の温度への加熱のみでは欠陥の低減は進まず、このような温度条件においては、レーザー光の照射は必須であるといえる。
なお、レーザー光132の照射による単結晶半導体層118の溶融は、部分溶融とする必要がある。完全溶融させた場合には、液相となった後の無秩序な核発生により微結晶化し、結晶性が低下するためである。一方で、部分溶融させることにより、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行する。これにより、半導体層中の欠陥を減少させることができる。ここで、完全溶融とは、単結晶半導体層118が絶縁層116との界面まで溶融され、液体状態になることをいう。他方、部分溶融とは、この場合、単結晶半導体層118の上部は溶融して液相となるが、下部は溶融せずに固相のままであることをいう。
上記レーザー光の照射には、パルス発振レーザーを用いることが好ましい。これは、瞬間的に高エネルギーのパルスレーザー光を発振することができ、部分溶融状態を作り出すことが容易となるためである。発振周波数は、1Hz以上10MHz以下程度とすることが好ましい。より好ましくは、10Hz以上1MHz以下である。上述のパルス発振レーザーとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマ(ArF、KrF、XeCl)レーザー、CO2レーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、GdVO4レーザー、Y2O3レーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザー、金蒸気レーザー等を用いることができる。なお、部分溶融させるためにはパルス発振レーザーを用いることが好ましいが、これに限定して解釈されるものではない。すなわち、連続発振レーザーの使用を除外するものではない。なお、連続発振レーザーとしては、Arレーザー、Krレーザー、CO2レーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、GdVO4レーザー、Y2O3レーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー等がある。
レーザー光132の波長は、単結晶半導体層118に吸収される波長とする必要がある。その波長は、レーザー光の表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定すればよい。例えば、250nm以上700nm以下の範囲とすることができる。また、レーザー光132のエネルギー密度は、レーザー光132の波長、レーザー光の表皮深さ、単結晶半導体層118の膜厚などを考慮して決定することができる。レーザー光132のエネルギー密度は、例えば、300mJ/cm2以上800mJ/cm2以下の範囲とすればよい。なお、上記エネルギー密度の範囲は、パルス発振レーザーとしてXeClエキシマレーザー(波長:308nm)を用いた場合の一例である。
なお、イオン照射工程においてイオンの侵入深さを調節し、単結晶半導体層118の厚さを一定以上(例えば50nm以上)とすることで、レーザー光132のエネルギー密度の調節が容易になる。これにより、レーザー光132の照射による半導体層表面の平坦性の向上、および欠陥の低減を、歩留まりよく実現することができる。なお、単結晶半導体層118が厚すぎる場合にはレーザー光132のエネルギー密度を高める必要が出てくるため、単結晶半導体層118の厚さは200nm以下とすることが好ましい。
レーザー光132の照射は、大気雰囲気のような酸素を含む雰囲気、または窒素雰囲気のような不活性雰囲気で行うことができる。不活性雰囲気中でレーザー光132を照射するには、気密性のあるチャンバー内でレーザー光132を照射し、このチャンバー内の雰囲気を制御すればよい。チャンバーを用いない場合は、レーザー光132の被照射面に窒素ガスなどの不活性ガスを吹き付けることで、窒素雰囲気を形成することもできる。
なお、窒素などの不活性雰囲気で行うほうが、大気雰囲気よりも単結晶半導体層118の平坦性を向上させる効果は高い。また、大気雰囲気よりも不活性雰囲気のほうがクラックやリッジの発生を抑える効果が高く、レーザー光132の使用可能なエネルギー密度の範囲が広くなる。なお、レーザー光132の照射は、真空中で行ってもよい。真空中でレーザー光132を照射した場合には、不活性雰囲気における照射と同等の効果を得ることができる。
上述のようにレーザー光132を照射した後には、単結晶半導体層122の膜厚を小さくする薄膜化工程を行っても良い。単結晶半導体層122の薄膜化には、ドライエッチングまたはウエットエッチングの一方、または双方を組み合わせたエッチング処理(エッチバック処理)を適用すればよい。例えば、単結晶半導体層122がシリコン材料からなる層である場合、SF6と02をプロセスガスに用いたドライエッチング処理で、単結晶半導体層122を薄くすることができる。以上により、薄い単結晶半導体層124を有する半導体基板140を作製することができる(図4(C)参照)。
なお、本実施の形態においては、レーザー光の照射により表面を平坦化等した後でエッチング処理を行う構成を例に挙げているが、開示する発明はこれに限定して解釈されるものではない。例えば、レーザー光の照射前にエッチング処理を行ってもよい。この場合には、エッチング処理により半導体層表面の凹凸や欠陥をある程度低減することができる。また、レーザー光の照射前及び照射後の両方に上記処理を適用しても良い。また、レーザー光の照射と上記処理を交互に繰り返しても良い。このように、レーザー光の照射とエッチング処理を組み合わせて用いることにより、半導体層表面の凹凸、欠陥等を著しく低減することができる。
また、レーザー光132を照射する際、又はレーザー光132を照射する前後に、ベース基板100の耐熱温度以下における加熱処理を施しても良い。これにより、レーザー光132の照射による効果が促進され、効率的な欠陥の除去や平坦性の向上が可能になる。もちろん、上述のエッチング処理や加熱処理などを常に用いる必要はない。また、上述のエッチング処理や加熱処理などに加えて、又は代えて、CMPによる平坦化を施すこともできる。
本実施の形態にて示した方法を用いることにより、ベース基板上に単結晶半導体層が設けられた半導体基板を製造することができる。
上述のように、開示する発明の半導体基板製造方法は、減圧雰囲気下において基板の貼り合わせを行うことを特徴としている。これにより、大気中の塵などの、貼り合わせ表面への付着を低減し、且つ、貼り合わせ表面に空気が残存することを防止できる。つまり、ボイドの発生を抑制することができる。また、開示する発明の半導体基板製造方法では、気圧差を用いて基板同士を密着させることにより貼り合わせを行うことを特徴としている。これにより、基板に掛かる圧力を均一にすることができるため、貼り合わせを良好に行うことが可能である。また、気圧差を用いることにより、貼り合わせに十分な圧力を掛けることができる。
また、開示する発明では、貼り合わせに係る最小限の空間の排気を行うため、真空チャンバーなどを別途用意する必要が無く、装置の小型化が容易である。さらに、最小限の空間の排気のみで済むため、排気の際の効率が向上する。すなわち、効率的に半導体基板を製造できる。
このように、開示する発明の製造方法を用いた半導体基板は、その特性が均一であり、且つ、生産性が高いという特徴を有している。このため、開示する発明により提供される半導体基板を用いる場合には、優れた性能を有する半導体装置を安価に提供することができることになる。また、開示する発明の製造装置を用いることにより、開示する発明の製造方法を容易に実現することができる。
なお、本実施の形態においては、イオン照射及び加熱剥離による半導体基板の作製方法について説明しているが、開示する発明の半導体装置製造方法はこれに限定されない。開示する発明は、基板同士の貼り合わせを良好に行う方法を提供するものであるから、貼り合わせ工程を有する半導体基板製造方法であれば、どのようなものに対しても適用することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体基板製造方法の別の一例について、図5及び6を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、主として貼り合わせに係る工程について説明するものとし、それ以外の工程についてはここでは説明しない。貼り合わせに係る工程以外については、例えば、実施の形態1を参照することができる。以下、実施の形態1における図1(F)に当たる工程についての説明を行う。
実施の形態1における図1(E)の工程が終了した後、二つの基板を貼り合わせる。本実施の形態においては、基板550と基板560を用いて説明する。
はじめに、支持体570の溝に基板560を配置する(図5(A)参照)。支持体570には、実施の形態1における製造装置と同様に、気密性保持機構572、排気口574等が設けられている。ここで、気密性保持機構572は、その最上部が基板560の表面より高い位置となる構成を有している。なお、貼り合わせ工程における基板550及び基板560の汚染を防ぐために、あらかじめ、支持体570及び気密性保持機構572の表面を洗浄しておくと良い。
その後、気密性保持機構572上に基板550を配置する(図5(B)参照)。ここで、気密性保持機構572は、少なくとも一部に弾性体を有する構成とすることが好ましい。例えば、基板550との接触部分を弾性体とすることで、基板550と気密性保持機構572との密着性を向上することができる。弾性体として用いることができる材料は特に限定されないが、後の加熱処理に耐えうる材料とする必要がある。例えば、少なくとも200℃程度、好ましくは300℃程度の加熱処理に耐えうる材料であることが好ましい。また、半導体の汚染源である有機物を含有しない材料か、又は、有機物を含んでいる場合でも汚染源となりにくい材料であることが好ましい。このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、パーフロロゴム等を挙げることができる。本実施の形態においては、気密性保持機構を前述の弾性体からなる構成とする場合について説明する。
図5に示す貼り合わせの特徴は、気密性保持機構572が同一材料によって形成されていないという点にある。つまり、気密性保持機構572に用いられる材料が部分的に異なっているということである。又は、気密性保持機構572を構成する材料の組成が、僅かずつ変化している構成であっても良い。このようにすることで、気密性保持機構572の硬さを場所毎に変化させることができる。つまり、同じ圧力が掛かる場合であっても、撓み量が異なることになるため、選択した領域から基板を貼り合わせることができるということである。
次に、真空ポンプを用いて、基板550、支持体570及び気密性保持機構572により囲まれる空間580を排気する(図5(B)、(C)参照)。本実施の形態においては、気密性保持機構572を弾性体のみで構成しているため、空間580の圧力が低下すると共に気密性保持機構572の撓みが増大し、基板550の位置が下がる。すなわち、空間580と外部との気圧差により、基板550と基板560が接触する方向の力が働くことになる。ここで、本実施の形態においては、図中向かって左側の気密性保持機構572が、向かって右側の気密性保持機構572よりも堅い材料にて構成されている。これにより、向かって右側の気密性保持機構572の撓み量が大きくなるため、基板550の右側が先に基板560に接触する。
なお、空間580を十分に減圧するためには、気密性保持機構572が、一定の硬さを有している必要がある。気密性保持機構572があまりに柔らかい場合には、空間580が十分に減圧される前に基板550と基板560が接触し、接合不良が生じる可能性が高くなるためである。気密性保持機構572の硬さは、空間580の気圧が100hPa以下、好ましくは1hPa以下となった段階で基板550と基板560とが接触する程度とすることが好ましい。
その後、空間580をさらに減圧して、基板560に基板550の全面が押しつけられるようにする(図5(D)参照)。以上により、基板550と基板560との接合を常温、且つ、減圧雰囲気下で行うことができる。なお、接合のメカニズムとしては、ファン・デル・ワールス力が関わるメカニズムや、水素結合が関わるメカニズムなどが考えられる。
なお、接合を形成する前に、基板550又は基板560の表面を酸素プラズマ処理又はオゾン処理して、その表面を親水性にしても良い。この処理によって、基板550又は基板560の表面に水酸基が付加されるため、接合界面に水素結合を形成することができる。
次に、接合された基板550及び基板560に対して加熱処理を施して、接合を強固なものとする。この際の加熱温度は、弾性体の耐熱温度以下とする必要がある。例えば、300℃以下、好ましくは200℃以下とすることができる。もちろん、耐熱温度が高い弾性体を用いる場合であればこれに限られない。処理時間は、1分以上とすることが好ましいが、処理速度と接合強度との関係から最適な条件を適宜設定すればよい。本実施の形態においては、200℃、2時間の加熱処理を施すこととする。
ここで、基板の貼り合わせに係る領域にのみマイクロ波を照射することで、局所的に加熱することも可能である。この場合には、弾性体自体はさほど高温にならないから、弾性体の耐熱温度に対する要求を幾分下げることができる。一例として、耐熱温度が150℃程度の材料であっても使用は可能である。
なお、接合強度に問題がない場合は、上記加熱処理を省略しても良い。この場合には、装置に加熱手段を設ける必要はない。また、弾性体の耐熱温度を考慮する必要もない。なお、開示する発明の構成上、基板550の面積は基板560の面積より大きい必要がある点に留意しなくてはならない。
その後、空間580を大気圧に解放し、接合された基板550と基板560を取り出す。
以上により、減圧雰囲気下において基板550と基板560との接合を行うことができる。これにより、大気中の塵などの、貼り合わせ表面への付着を低減し、また、貼り合わせ表面に空気が残存することを防止できる。つまり、貼り合わせ不良を低減することが可能である。さらに、基板の押圧につき、急激な圧力変化を伴わないことにより、貼り合わせ不良を低減することができる。また、基板の周辺領域にまで十分に圧力をかけることができるため、周辺領域の貼り合わせを良好に行うことができる。また、貼り合わせに係る雰囲気全体を減圧するのではなく、貼り合わせに係る最小限の空間(つまり、本実施の形態における空間580)のみを減圧するため、減圧に要する時間を大幅に短縮することができ、貼り合わせの効率が向上する。つまり、半導体基板の生産性を高めることができる。また、真空チャンバーなどを別途用意する必要がないため、製造装置の小型化に貢献する。
また、本実施の形態において示したように、貼り合わせの開始領域を選択することで、複数の領域から貼り合わせが開始されることに起因した不良を抑制することができる。
なお、図5においては、材料を異ならせることによって撓み量を変化させ、貼り合わせの開始領域を選択する場合について示しているが、開示する発明はこれに限定されない。例えば、気密性保持機構572の幅や高さを場所毎に異ならせることによって、気密性保持機構572を構成する材料自体が同じであっても、貼り合わせの開始領域を選択することができる。
ここで、図6(A)には気密性保持機構572の幅を異ならせた場合について示している。すなわち、気密性保持機構572の幅が広い場合にはその撓みが少なく、気密性保持機構572の幅が狭い場合にはその撓みが大きいことを利用する。これにより、幅が狭い気密性保持機構572が存在する領域付近から貼り合わせが開始されるようにすることができる。
同様に、図6(B)には気密性保持機構572の高さを異ならせた場合について示している。すなわち、気密性保持機構572の撓みが同程度であっても、初期の高さを変えることにより、基板同士が接触する領域を選択することができる。
本実施の形態は、実施の形態1と組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体基板製造方法の別の一例について、図7及び8を参照して説明する。なお、本実施の形態においては実施の形態2と同様に、貼り合わせに係る工程についてのみ説明するものとし、それ以外の工程についてはここでは説明しない。貼り合わせに係る工程以外については、例えば、実施の形態1を参照することができる。以下、実施の形態1における図1(F)に当たる工程についての説明を行う。
実施の形態1における図1(E)の工程が終了した後、二つの基板を貼り合わせる。本実施の形態においては、基板750と基板760を用いて説明する。
はじめに、支持体770の溝に基板760を配置する(図7(A)参照)。なお、図7(A)は図7(D)のA´−B´における断面図である。支持体770には、実施の形態1における製造装置と同様に、気密性保持機構772、排気口774等が設けられている。ここで、気密性保持機構772は、その最上部が基板760の表面より高い位置となる構成を有している。なお、貼り合わせ工程における基板750及び基板760の汚染を防ぐために、あらかじめ、支持体770及び気密性保持機構772の表面を洗浄しておくと良い。
ここで、本実施の形態が実施の形態1や実施の形態2と異なる点は、気密性保持機構772が弾性体以外の材料を包含している点である。これにより、弾性体の材質のみに頼ることなく、貼り合わせを実現することができる。換言すれば、実施の形態1や実施の形態2における気密性保持機構は、材料の性質を直接的に用いることを特徴としているが、本実施の形態における気密性保持機構772は、その機構が有する機能的特徴により貼り合わせを実現する点において異なっている。
図8を用いて、本実施の形態における気密性保持機構772の構成の一例について説明する。図8(A)は気密性保持機構772を含む支持体770の断面を模式的に示す図である。また、図8(B)は気密性保持機構772の拡大図である。図8に示す気密性保持機構772は可動部772aと固定部772bとからなる。本実施の形態においては、可動部772aの全体が弾性体により形成されることで気密性が確保されている場合について示すが、開示する発明がこれに限定して解釈されるものではない。例えば、可動部772aの上部(後に基板750と接する部分)のみを弾性体で形成し、その他の部分を非弾性体で形成しても良い。また、その他の構成を用いても良い。本実施の形態において重要な点は、可動部を有する気密性保持機構772を用いることであって、気密性保持機構772の構成の詳細ではないためである。また、固定部772bは支持体770に埋め込まれた構成となっており、気密性の保持に寄与すると共に、気密性保持機構772の大きさの制約を緩和している。
気密性保持機構772の内部構造の一例を図8(C)に示す。固定部772bの内部は中空構造となっており、これにより、可動部772aの位置が高さ方向に変化する。また、可動部772aには、可動部772aの位置を制御するための弾性体772cが接続されている。該弾性体772cにより、外力が掛からない状況では可動部772aと固定部772bの間隔が一定に保たれている。また、可動部772aに掛かる力に応じて可動部772aの位置が変化する。本実施の形態においては、弾性体772cの一例としてつるまきばねを用いているが、開示する発明がこれに限定されるものではなく、他の弾性体を用いても良い。また、可動部772aの位置を復元しようとする力を発揮するものであれば、弾性体以外であっても適宜用いることができる。例えば、可動部772a及び固定部772bによって囲まれる領域に圧縮された気体を封入して、弾性体の代わりに用いても良い。
また、いわゆる油圧シリンダーの如く、外部の機構を用いて固定部772b内部に気体や液体を注入し、これにより可動部の位置を制御する構成とすることもできる。この場合には、復元力を用いる必要がないため、貼り合わせにおける気圧差を変更することが可能である。つまり、減圧の程度や基板同士の貼り合わせに係る力を適宜設定することができる。なお、該構成においては、外部から気体や液体を注入するため、気体又は液体を導くための管を設ける必要があり、また、気体や液体を送出する機構が必要になる。この点において、気密性保持機構772に係る構成がやや複雑化するともいえる。
支持体770上に基板760を配置した後、気密性保持機構772上に基板750を配置する(図7(B)参照)。より正確には、気密性保持機構772の可動部の上部と接触するように基板750を配置する。ここで、気密性保持機構772は、図8において説明した構成を有している。本実施の形態に示すように、基板750との接触部分を弾性体とすることで、基板750と気密性保持機構772との密着性を向上することができる。該弾性体として用いることができる材料は特に限定されないが、後の加熱処理に耐えうる材料とする必要がある。例えば、少なくとも200℃程度、好ましくは300℃程度の加熱処理に耐えうる材料であることが好ましい。また、半導体の汚染源である有機物を含有しない材料か、又は、有機物を含んでいる場合でも汚染源となりにくい材料であることが好ましい。このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、パーフロロゴム等を挙げることができる。
次に、真空ポンプを用いて、基板750、支持体770及び気密性保持機構772により囲まれる空間780を排気する(図7(B)、(C)参照)。本実施の形態においては、気密性保持機構772を図8において説明した構成としているため、空間780の圧力が低下すると共に気密性保持機構772の可動部の位置が下がり、基板750の位置が下がる。すなわち、空間780と外部との気圧差により、基板750と基板760が接触する方向の力が働くことになる。
なお、空間780を十分に減圧するためには、気密性保持機構772の復元力を一定以上とする必要がある。気密性保持機構772の復元力があまりに弱い場合には、空間780が十分に減圧される前に基板750と基板760が接触し、接合不良が生じる可能性が高くなるためである。気密性保持機構772の復元力は、空間780の気圧が100hPa以下、好ましくは1hPa以下となった段階で基板750と基板760とが接触する程度とすることが好ましい。なお、気密性保持機構772として、いわゆる油圧シリンダーの如き機構を用いる場合にも、空間780の気圧が100hPa以下、好ましくは1hPa以下となった段階で基板750と基板760とが接触するように調節すると好ましい。
その後、空間780をさらに減圧して、基板760に基板750の全面が押しつけられるようにする(図7(D)参照)。以上により、基板750と基板760との接合を常温、且つ、減圧雰囲気下で行うことができる。なお、接合のメカニズムとしては、ファン・デル・ワールス力が関わるメカニズムや、水素結合が関わるメカニズムなどが考えられる。
なお、接合を形成する前に、基板750又は基板760の表面を酸素プラズマ処理又はオゾン処理して、その表面を親水性にしても良い。この処理によって、基板750又は基板760の表面に水酸基が付加されるため、接合界面に水素結合を形成することができる。
次に、接合された基板750及び基板760に対して加熱処理を施して、接合を強固なものとする。この際の加熱温度は、弾性体の耐熱温度以下とする必要がある。例えば、300℃以下、好ましくは200℃以下とすることができる。もちろん、耐熱温度が高い弾性体を用いる場合であればこれに限られない。処理時間は、1分以上とすることが好ましいが、処理速度と接合強度との関係から最適な条件を適宜設定すればよい。本実施の形態においては、200℃、2時間の加熱処理を施すこととする。
ここで、基板の貼り合わせに係る領域にのみマイクロ波を照射することで、局所的に加熱することも可能である。この場合には、弾性体自体はさほど高温にならないから、弾性体の耐熱温度に対する要求を幾分下げることができる。一例として、耐熱温度が150℃程度の材料であっても使用は可能である。
なお、接合強度に問題がない場合は、上記加熱処理を省略しても良い。この場合には、装置に加熱手段を設ける必要はない。また、弾性体の耐熱温度を考慮する必要もない。なお、開示する発明の構成上、基板750の面積は基板760の面積より大きい必要がある点に留意しなくてはならない。
その後、空間780を大気圧に解放し、接合された基板750と基板760を取り出す。
以上により、減圧雰囲気下において基板750と基板760との接合を行うことができる。これにより、大気中の塵などの、貼り合わせ表面への付着を低減し、また、貼り合わせ表面に空気が残存することを防止できる。つまり、貼り合わせ不良を低減することが可能である。さらに、基板750を均等な力で基板760に押しつけることになるため、接合の形成に係る力を均一にすることができる。つまり、局所的な圧力に起因する、貼り合わせ不良を低減することができる。また、基板の周辺領域にまで十分に圧力をかけることができるため、周辺領域の貼り合わせを良好に行うことができる。また、貼り合わせに係る雰囲気全体を減圧するのではなく、貼り合わせに係る最小限の空間(つまり、本実施の形態における空間580)のみを減圧するため、減圧に要する時間を大幅に短縮することができ、貼り合わせの効率が向上する。つまり、半導体基板の生産性を高めることができる。また、真空チャンバーなどを別途用意する必要がないため、製造装置の小型化に貢献する。
なお、本実施の形態においては、基板750と基板760が同時に接触する場合について説明したが、開示する発明はこれに限られない。例えば、実施の形態2に示したように、貼り合わせの開始領域を選択することも可能である。貼り合わせ開始領域の選択は、例えば、図8に示した弾性体772cの復元力を場所毎に変化させることにより実現することができる。また、可動部772aの移動量を変化させることによって、貼り合わせの開始領域を選択することもできる。
本実施の形態は、実施の形態1又は2と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体基板製造方法の別の一例として、複数の単結晶半導体基板を一のベース基板に貼り合わせる工程について、図9及び10を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、貼り合わせに係る工程のみを説明するものとし、それ以外の工程についてはここでは説明しない。貼り合わせに係る工程以外については、例えば、実施の形態1を参照することができる。なお、本実施の形態における貼り合わせ工程では複数の単結晶半導体基板を同時に使用するが、実施の形態1における図1(C)、(D)、(E)の工程を複数回繰り返すことにより、必要な単結晶半導体基板を用意することができる。又は、図1(C)、(D)、(E)の工程を複数並列に行っても良い。以下、実施の形態1における図1(F)に当たる工程についての説明を行う。
実施の形態1における図1(E)の工程が終了し、複数の単結晶半導体基板が用意された後、該複数の単結晶半導体基板と一のベース基板とを貼り合わせる。本実施の形態においては、基板950と複数の基板960を用いて説明する。
はじめに、本実施の形態の貼り合わせの際に用いることができる装置の一例を示す(図9(A)参照)。図9(A)は装置の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA´´−B´´における断面図である。
図9に示す装置は、基板960が配置される支持体970、基板960が配置される領域を囲むように設けられた気密性保持機構972a、気密性保持機構972aで囲まれた領域において基板960が配置されない領域に設けられた間隔保持機構972b、支持体970に設けられた排気口974、排気口974に接続された真空ポンプ976、及び加熱処理手段978(ヒーター)を有している。なお、開示する発明の装置は図9の構成に限定して解釈されるものではない。例えば、基板950と基板960の貼り合わせの際に加熱処理が不要であれば、加熱処理手段978は設けなくとも良い。また、基板960が配置される領域には溝が形成されているが、溝の形状や配置はこれに限られず、基板960を固定することができれば溝を形成する必要もない。さらに、気密性保持機構972aの形状や配置などについても、基板960が配置される領域を囲むように設けてあれば特に限定されるものではない。
なお、本実施の形態においては、間隔保持機構972bを設けている。これは、複数の単結晶半導体基板を貼り付ける場合に用いるような大型のベース基板では、自らの重みで、特にその中央部が撓んでしまうためである。このような撓みが発生することにより、貼り合わせ不良が生じる可能性が高くなる。したがって、撓みを防ぐため、本実施の形態においては間隔保持機構972bを設けることとした。なお、間隔保持機構972bの形状や配置、排気口974の形状や配置等については、適宜変更して構わない。撓みが問題とならない場合には、間隔保持機構972bを設けない構成としても良い。
次に、図9に示す装置を用いた貼り合わせの手順について、図10を用いて説明する。はじめに、支持体970の溝に基板960を配置する(図10(A)参照)。なお、図10(A)は図10(D)のA´´−B´´における断面図である。ここで、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bは、その最上部が基板960の表面より高い位置となる構成を有している。なお、貼り合わせ工程における基板950及び基板960の汚染を防ぐために、あらかじめ、支持体970、気密性保持機構972a、間隔保持機構972bの表面を洗浄しておくと良い。
その後、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972b上に基板950を配置する(図10(B)参照)。ここで、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bは、少なくとも一部に弾性体を有する構成とすることが好ましい。例えば、基板950との接触部分を弾性体とすることで、基板950と気密性保持機構972a又は間隔保持機構972bとの密着性を向上することができる。弾性体として用いることができる材料は特に限定されないが、後の加熱処理に耐えうる材料とする必要がある。例えば、少なくとも200℃程度、好ましくは300℃程度の加熱処理に耐えうる材料であることが好ましい。また、半導体の汚染源である有機物を含有しない材料か、又は、有機物を含んでいる場合でも汚染源となりにくい材料であることが好ましい。このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、パーフロロゴム等を挙げることができる。本実施の形態においては、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bを前述の弾性体のみからなる構成とする場合について説明する。
次に、真空ポンプを用いて、基板950、支持体970及び気密性保持機構972aにより囲まれる空間980を排気する(図10(B)、(C)参照)。本実施の形態においては、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bを弾性体のみで構成しているため、空間980の圧力が低下すると共に気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bの撓みが増大し、基板950の位置が下がる。すなわち、空間980と外部との気圧差により、基板950と基板960が接触する方向の力が働くことになる。
ここで、空間980を十分に減圧するためには、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bが、一定の硬さを有している必要がある。気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bがあまりに柔らかい場合には、空間980が十分に減圧される前に基板950と基板960が接触し、接合不良が生じる可能性が高くなるためである。気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bの硬さは、空間980の気圧が100hPa以下、好ましくは1hPa以下となった段階で基板950と基板960とが接触する程度とすることが好ましい。
なお、本実施の形態においては、気密性保持機構972a及び間隔保持機構972bを同じ材料を用いて形成し、その高さ、幅等のパラメータについても同様とした。また、間隔保持機構972bを、支持体970の中心点に対して点対称となるように配置した。これにより、気密性保持機構972aと間隔保持機構972bの撓みを同程度とすることができ、基板950を水平に保ったまま基板960と接触させることができる。もちろん、開示する発明が当該構成に限定して解釈されるものではない。例えば、間隔保持機構972bが別の材料を用いて形成されていても良いし、高さ、幅等のパラメータを異ならせても良い。実施の形態2又は3を参照して基板950と基板960の貼り合わせの開始領域を選択する構成としても良い。
その後、空間980をさらに減圧して、基板960に基板950が押しつけられるようにする。以上により、基板950と基板960との接合を常温、且つ、減圧雰囲気下で行うことができる。なお、接合のメカニズムとしては、ファン・デル・ワールス力が関わるメカニズムや、水素結合が関わるメカニズムなどが考えられる。
なお、接合を形成する前に、基板950又は基板960の表面を酸素プラズマ処理又はオゾン処理して、その表面を親水性にしても良い。この処理によって、基板950又は基板960の表面に水酸基が付加されるため、接合界面に水素結合を形成することができる。
次に、接合された基板950及び基板960に対して加熱処理を施して、接合を強固なものとする。この際の加熱温度は、弾性体の耐熱温度以下とする必要がある。例えば、300℃以下、好ましくは200℃以下とすることができる。もちろん、耐熱温度が高い弾性体を用いる場合であればこれに限られない。処理時間は、1分以上とすることが好ましいが、処理速度と接合強度との関係から最適な条件を適宜設定すればよい。本実施の形態においては、200℃、2時間の加熱処理を施すこととする。
ここで、基板の貼り合わせに係る領域にのみマイクロ波を照射することで、局所的に加熱することも可能である。この場合には、弾性体自体はさほど高温にならないから、弾性体の耐熱温度に対する要求を幾分下げることができる。一例として、耐熱温度が150℃程度の材料であっても使用は可能である。
なお、接合強度に問題がない場合は、上記加熱処理を省略しても良い。この場合には、装置に加熱手段を設ける必要はない。また、弾性体の耐熱温度を考慮する必要もない。
その後、空間980を大気圧に解放し、接合された基板950と基板960を取り出す。
以上により、減圧雰囲気下において基板950と基板960との接合を行うことができる。これにより、大気中の塵などの、貼り合わせ表面への付着を低減し、また、貼り合わせ表面に空気が残存することを防止できる。つまり、貼り合わせ不良を低減することが可能である。さらに、基板950を均等な力で基板960に押しつけることになるため、接合の形成に係る力を均一にすることができる。つまり、局所的な圧力に起因する、貼り合わせ不良を低減することができる。また、基板の周辺領域にまで十分に圧力をかけることができるため、周辺領域の貼り合わせを良好に行うことができる。また、貼り合わせに係る雰囲気全体を減圧するのではなく、貼り合わせに係る最小限の空間(つまり、本実施の形態における空間980)のみを減圧するため、減圧に要する時間を大幅に短縮することができ、貼り合わせの効率が向上する。つまり、半導体基板の生産性を高めることができる。また、真空チャンバーなどを別途用意する必要がないため、製造装置の小型化に貢献する。
また、本実施の形態においては、間隔保持機構972bによりベース基板の撓みを防止している。これにより、大型のベース基板を用いる場合であっても、貼り合わせを良好に行うことができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至3と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、開示する発明による半導体基板を用いた半導体装置の製造方法の一例について、図11乃至14を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、半導体装置の一例として液晶表示装置を挙げて説明するが、開示する発明の半導体基板を用いて製造される半導体装置は液晶表示装置に限られるものではない。
はじめに、実施の形態1に示す方法などを用いて作製された、単結晶半導体層を有する半導体基板を用意する(図11(A)参照)。ここでは、ベース基板1100の上に絶縁層1102、絶縁層1104、単結晶半導体層1106を順に設けた構成を用いて説明するが、開示する発明はこれに限られるものではない。ここで、絶縁層1104は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などの材料を用いて形成することができる。また、絶縁層1104は積層構造であっても良い。詳細については、実施の形態1を参照することができる。
次に、単結晶半導体層1106を所望の形状にパターニングして、島状の単結晶半導体層を形成する。パターニングの際のエッチング加工としては、ドライエッチング(プラズマエッチング等)、ウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成することなくエッチングを行うことができる。
なお、絶縁層1102及び絶縁層1104はエッチングしないで残存させる構成とすることが好ましい。絶縁層1102及び絶縁層1104を残存させることにより、ベース基板1100中に含まれる不純物元素(例えば、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、鉄、銅、ニッケル等の遷移金属)の単結晶半導体層への侵入を抑制できるためである。
単結晶半導体層1106をパターニングした後には、しきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物を添加すると良い。例えば、p型不純物として、硼素を5×1016/cm3以上1×1018/cm3以下の濃度で添加することができる。
次に、島状の単結晶半導体層を覆うゲート絶縁層1108を形成する(図11(B)参照)。なお、ここでは便宜上、パターニングによって形成された島状の単結晶半導体層をそれぞれ単結晶半導体層1110、単結晶半導体層1112、単結晶半導体層1114と呼ぶことにする。ゲート絶縁層1108はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用い、厚さを10nm以上150nm以下として珪素を含む絶縁膜で形成する。具体的には、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンに代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成すればよい。なお、ゲート絶縁層1108は単層構造であっても良いし、積層構造としても良い。さらに、単結晶半導体層とゲート絶縁層との間に、膜厚1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下、より好ましくは2nm以上5nm以下の薄い酸化シリコン膜を形成してもよい。なお、低い温度でリーク電流の少ないゲート絶縁膜を形成するために、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませても良い。
次に、ゲート絶縁層1108上にゲート電極層として用いる第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜の膜厚は20nm以上100nm以下程度、第2の導電膜の膜厚は100nm以上400nm以下程度とすれば良い。また、第1の導電膜と第2の導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム等から選ばれた元素、又は前記の元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料等を用いて形成すればよい。また、第1の導電膜や第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金などを用いてもよい。なお、本実施の形態においては2層構造の導電層を用いて説明しているが、開示する発明はこれに限定されない。3層以上の積層構造としても良いし、単層構造であっても良い。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジスト材料からなるマスク1116a、マスク1116b、マスク1116c、マスク1116d、及びマスク1116eを形成する。そして、前記のマスクを用いて第1の導電膜と第2の導電膜を所望の形状に加工し、第1のゲート電極層1118a、第1のゲート電極層1118b、第1のゲート電極層1118c、第1のゲート電極層1118d、第1の導電層1118e、導電層1120a、導電層1120b、導電層1120c、導電層1120d、及び導電層1120eを形成する(図11(C)参照)。
ここで、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状となるようにエッチングを行うことができる。また、マスクの形状によって、テーパーの角度等を制御することもできる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス、又はO2を適宜用いることができる。本実施の形態では、CF4、Cl2、O2からなるエッチング用ガスを用いて第2の導電膜のエッチングを行い、連続してCF4、Cl2からなるエッチング用ガスを用いて第1の導電膜をエッチングする。
次に、マスク1116a、マスク1116b、マスク1116c、マスク1116d、及びマスク1116eを用いて、導電層1120a、導電層1120b、導電層1120c、導電層1120d、及び導電層1120eを所望の形状に加工する。このとき、導電層を形成する第2の導電膜と、第1のゲート電極層及び第1の導電層を形成する第1の導電膜との選択比が高いエッチング条件でエッチングする。このエッチングによって、第2のゲート電極層1122a、第2のゲート電極層1122b、第2のゲート電極層1122c、第2のゲート電極層1122d、及び第2の導電層1122eを形成する。本実施の形態では、第2のゲート電極層及び第2の導電層もテーパー形状であるが、そのテーパー角は、第1のゲート電極層及び第1の導電層の有するテーパー角より大きい。なお、テーパー角とは対象物の底面と側面とが作る角度を言うものとする。よって、テーパー角が90度の場合、導電層は底面に対して垂直な側面を有することになる。テーパー角を90度未満とすることにより、積層される膜の被覆性が向上するため、欠陥を低減することが可能となる。なお、本実施の形態では、第2のゲート電極層及び第2の導電層を形成するためのエッチング用ガスとしてCl2、SF6、O2を用いる。
以上の工程によって、周辺駆動回路領域1180に、ゲート電極層1124a、ゲート電極層1124b、画素領域1182に、ゲート電極層1124c、ゲート電極層1124d、及び導電層1124eを形成することができる(図11(D)参照)。なお、マスク1116a、マスク1116b、マスク1116c、マスク1116d、及びマスク1116eは、上記工程の後に除去する。
次に、ゲート電極層1124a、ゲート電極層1124b、ゲート電極層1124c、ゲート電極層1124dをマスクとして、n型を付与する不純物元素を添加し、第1のn型不純物領域1126a、第1のn型不純物領域1126b、第1のn型不純物領域1128a、第1のn型不純物領域1128b、第1のn型不純物領域1130a、第1のn型不純物領域1130b、第1のn型不純物領域1130cを形成する(図12(A)参照)。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を用いてドーピングを行う。ここでは、第1のn型不純物領域に、n型を付与する不純物元素であるリン(P)が1×1016/cm3以上5×1019/cm3以下程度の濃度で含まれるようにする。
次に、単結晶半導体層1110、単結晶半導体層1114の一部を覆うマスク1132a、マスク1132b、マスク1132cを形成する。そして、マスク1132a、マスク1132b、マスク1132c、及び第2のゲート電極層1122bをマスクとしてn型を付与する不純物元素を添加する。これにより、第2のn型不純物領域1134a、第2のn型不純物領域1134b、第3のn型不純物領域1136a、第3のn型不純物領域1136b、第2のn型不純物領域1140a、第2のn型不純物領域1140b、第2のn型不純物領域1140c、第3のn型不純物領域1142a、第3のn型不純物領域1142b、第3のn型不純物領域1142c、第3のn型不純物領域1142dが形成される。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を用いてドーピングを行う。ここでは、第2のn型不純物領域にn型を付与する不純物元素であるリン(P)が1×1017/cm3以上1×1021/cm3以下程度の濃度で含まれるようにする。第3のn型不純物領域1136a、第3のn型不純物領域1136bには、第3のn型不純物領域1142a、第3のn型不純物領域1142b、第3のn型不純物領域1142c、第3のn型不純物領域1142dと同程度、もしくは少し高めの濃度でn型を付与する不純物元素が添加される。また、チャネル形成領域1138、チャネル形成領域1144a及びチャネル形成領域1144bが形成される(図12(B)参照)。
第2のn型不純物領域は高濃度不純物領域であり、ソース又はドレインとして機能する。一方、第3のn型不純物領域は低濃度不純物領域であり、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)領域となる。第3のn型不純物領域1136a、第3のn型不純物領域1136bは、第1のゲート電極層1118bと重なる領域に形成されている。これにより、ソース又はドレイン近傍の電界を緩和して、ホットキャリアによるオン電流の劣化を防止することができる。一方、第3のn型不純物領域1142a、第3のn型不純物領域1142b、第3のn型不純物領域1142c、第3のn型不純物領域1142dはゲート電極層1124c、ゲート電極層1124dと重なっておらず、オフ電流を低減する効果がある。
次に、マスク1132a、マスク1132b、マスク1132cを除去し、単結晶半導体層1112、単結晶半導体層1114を覆うマスク1146a、マスク1146bを形成する。そして、マスク1146a、マスク1146b、ゲート電極層1124aをマスクとしてp型を付与する不純物元素を添加する。これにより、第1のp型不純物領域1148a、第1のp型不純物領域1148b、第2のp型不純物領域1150a、第2のp型不純物領域1150bが形成される。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてジボラン(B2H6)を用いてドーピングを行う。ここでは、第1のp型不純物領域、及び第2のp型不純物領域にp型を付与する不純物元素である硼素(B)が1×1018/cm3以上5×1021/cm3以下程度の濃度で含まれるようにする。また、チャネル形成領域1152が形成される(図12(C)参照)。
第1のp型不純物領域は高濃度不純物領域であり、ソース又はドレインとして機能する。一方、第2のp型不純物領域は低濃度不純物領域であり、いわゆるLDD(LightlyDoped Drain)領域となる。
その後、マスク1146a、マスク1146bを除去する。マスクを除去した後に、ゲート電極層の側面を覆うように絶縁膜を形成してもよい。該絶縁膜は、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法を用いて形成することができる。また、不純物元素を活性化するために、加熱処理、強光の照射、レーザー光の照射等を行ってもよい。
次いで、ゲート電極層、及びゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜1154と絶縁膜1156の積層構造とする(図13(A)参照)。絶縁膜1154として窒化酸化シリコン膜を膜厚100nmにて形成し、絶縁膜1156として酸化窒化シリコン膜を膜厚900nmにて形成する。本実施の形態においては、2層の積層構造としたが、単層構造でも良く、3層以上の積層構造としても良い。本実施の形態では、絶縁膜1154及び絶縁膜1156を、プラズマCVD法を用いて、大気に晒さずに連続的に形成する。なお、絶縁膜1154及び絶縁膜1156は上記材料に限定されるものではない。
絶縁膜1154、絶縁膜1156は、他に、酸化シリコンや窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料を用いて形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂をいう。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、ポリシラザン等の有機絶縁性材料を用いることもできる。
次いで、レジスト材料からなるマスクを用いて絶縁膜1154、絶縁膜1156、ゲート絶縁層1108に単結晶半導体層及びゲート電極層に達するコンタクトホール(開口部)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。本実施の形態では、酸化窒化シリコン膜である絶縁膜1156と、窒化酸化シリコン膜である絶縁膜1154及びゲート絶縁層1108と選択比が取れる条件で、第1のエッチングを行い、絶縁膜1156を除去する。次に、第2のエッチングによって、絶縁膜1154及びゲート絶縁層1108を除去し、ソース又はドレインに達する開口部を形成する。
その後、開口部を覆うように導電膜を形成し、該導電膜をエッチングする。これにより、各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層1158a、ソース電極層又はドレイン電極層1158b、ソース電極層又はドレイン電極層1160a、ソース電極層又はドレイン電極層1160b、ソース電極層又はドレイン電極層1162a、ソース電極層又はドレイン電極層1162bを形成する。ソース電極層又はドレイン電極層には、アルミニウム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ネオジム、クロム、ニッケル、白金、金、銀、銅、マグネシウム、スカンジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ニオブ、シリコン、リン、硼素、ヒ素、ガリウム、インジウム、錫などから選択された一つ又は複数の元素、または、前記元素を成分として含有する化合物や合金材料(例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛、アルミニウムネオジム(Al−Nd)、マグネシウム銀(Mg−Ag)など)、もしくは、これらの化合物を組み合わせた物質等が用いられる。その他にも、シリサイド(例えば、アルミニウムシリサイド、モリブデンシリサイド、ニッケルシリサイド)や、窒素を含有する化合物(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン)、リン(P)等の不純物元素をドーピングしたシリコン(Si)等を用いることもできる。
以上の工程で周辺駆動回路領域1180にpチャネル型薄膜トランジスタ1164、及びnチャネル型薄膜トランジスタ1166を、画素領域1182にnチャネル型薄膜トランジスタ1168、容量配線1170が形成される(図13(B)参照)。
次に第2の層間絶縁層として絶縁膜1172を形成する。絶縁膜1172としては酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン等の有機絶縁性材料を用いることもできる。
次に、画素領域1182の絶縁膜1172にコンタクトホールを形成し、画素電極層1174を形成する(図13(C)参照)。画素電極層1174は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化シリコンを混合した導電性材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、又はタングステン、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、白金、アルミニウム、銅、銀等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を用いて形成することができる。
また、画素電極層1174としては導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いることもできる。導電性組成物は、薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/sq.以下であることが好ましい。また、光透過性を有する画素電極層として薄膜を形成する場合には、波長550nmにおける透過率が70%以上であることが好ましい。また、含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
上記の導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、又は、これらの共重合体等が挙げられる。
共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−オクトキシピロール)、ポリ(3−カルボキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロール)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
上記の導電性高分子を、単独で用いても良いし、膜の特性を調整するために有機樹脂を添加して使用しても良い。
さらに、導電性組成物にアクセプタ性のドーパントやドナー性のドーパントをドーピングすることで、共役導電性高分子の共役電子の酸化還元電位を変化させ、電気伝導度を調節してもよい。
上述の如き導電性組成物を水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、塗布法、コーティング法、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、印刷法等により画素電極層1174となる薄膜を形成することができる。
次に、画素電極層1174及び絶縁膜1172を覆うように、配向膜と呼ばれる絶縁層1402を形成する(図14(B)参照)。絶縁層1402は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いて形成することができる。なお、図14は、半導体装置の平面図及び断面図を示しており、図14(A)は半導体装置の平面図、図14(B)は図14(A)のE−Fにおける断面図である。半導体装置には、外部端子接続領域1176、封止領域1178、周辺駆動回路領域1180、画素領域1182が設けられる。
絶縁層1402を形成した後、ラビング処理を行う。配向膜として機能する絶縁層1406についても、絶縁層1402と同様にして形成することができる。
その後、対向基板1400と、ベース基板1100とを、シール材1414及びスペーサ1416を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層1404を設ける。なお、対向基板1400には、配向膜として機能する絶縁層1406、対向電極として機能する導電層1408、カラーフィルターとして機能する着色層1410、偏光子1412(偏光板ともいう)等が設けられている。なお、本実施の形態においてはベース基板1100にも偏光子1418(偏光板)を設ける場合について示すが、開示する発明はこれに限られない。例えば、反射型の液晶表示装置においては、偏光子は、一方に設ければ良い。
続いて、画素領域と電気的に接続されている端子電極層1420に、異方性導電体層1422を介して、FPC1424を接続する。FPC1424は、外部からの信号を伝達する役目を担う。上記の工程により、液晶表示装置を作製することができる。
本実施の形態においては、実施の形態1などに示した半導体基板を用いて液晶表示装置を製造している。このため、貼り合わせが良好に行われた単結晶半導体層を用いて、液晶のスイッチングを司る半導体素子や、駆動回路領域の半導体素子などを作製することができる。これにより、半導体素子特性が向上するため、液晶表示装置の表示特性が大きく向上することになる。また、半導体素子の信頼性が向上するため、液晶表示装置の信頼性も高まることになる。
なお、本実施の形態においては液晶表示装置を作製する方法について説明したが、開示する発明はこれに限られるものではない。本実施の形態は、実施の形態1乃至4と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、開示する発明に係る発光素子を有する半導体装置(エレクトロルミネッセンス表示装置)について説明する。なお、周辺回路領域や画素領域等に用いられるトランジスタの作製方法は、実施の形態5を参照することができるため、詳細については省略する。
なお、発光素子を有する半導体装置には、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかの方式が用いられる。本実施の形態では、下面放射方式を用いた半導体装置について、図15を用いて説明するが、開示する発明はこれに限られるものではない。
図15の半導体装置は、下方(図中の矢印の方向)に光を放射する。ここで、図15(A)は半導体装置の平面図であり、図15(B)は、図15(A)のG−Hにおける断面図である。図15において半導体装置は、外部端子接続領域1530、封止領域1532、駆動回路領域1534、画素領域1536を有している。
図15に示す半導体装置は、素子基板1500、薄膜トランジスタ1550、薄膜トランジスタ1552、薄膜トランジスタ1554、薄膜トランジスタ1556、発光素子1560、絶縁層1568、充填材1570、シール材1572、配線層1574、端子電極層1576、異方性導電層1578、FPC1580、封止基板1590などによって構成されている。なお、発光素子1560は、第1の電極層1562と発光層1564と第2の電極層1566とを含む。
第1の電極層1562としては、発光層1564より放射する光を透過できるように、光透過性を有する導電性材料を用いる。一方、第2の電極層1566としては、発光層1564より放射する光を反射することができる導電性材料を用いる。
第1の電極層1562としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物等を用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)等を用いても良い。
また、第1の電極層1562としては、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いることもできる。なお、詳細については実施の形態5を参照することができるため、ここでは省略する。
第2の電極層1566としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、アルミニウム膜を用いることとする。
なお、上面放射、両面放射の各方式を用いる場合には、適宜電極層の設計を変更してやれば良い。具体的には、上面放射の場合には、反射性を有する材料を用いて第1の電極層1562を形成し、光透過性を有する材料を用いて第2の電極層1566を形成する。両面放射の場合には、光透過性を有する材料を用いて第1の電極層1562及び第2の電極層1566を形成すれば良い。なお、下面放射、上面放射においては、光透過性を有する材料を用いて一方の電極層を形成し、光透過性を有する材料と光反射性を有する材料の積層構造により、他方の電極層を形成する構成としても良い。電極層に用いることができる材料は下面放射の場合と同様であるため、ここでは省略する。
なお、一般に、光透過性を有さないと考えられる金属のような材料であっても、膜厚を小さく(5nm以上30nm以下程度)することにより、光を透過させることができる。これにより、上述の光反射性材料を用いて、光を透過する電極層を作製することも可能である。
また、封止基板1590にカラーフィルター(着色層)を形成する構成としてもよい。カラーフィルター(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができる。また、色変換層を用いる構成であっても良い。
本実施の形態においては、実施の形態1などに示した半導体基板を用いてエレクトロルミネッセンス表示装置を製造している。このため、貼り合わせが良好に行われた単結晶半導体層を用いて、エレクトロルミネッセンス表示装置の発光を司る半導体素子や、駆動回路領域の半導体素子などを作製することができる。これにより、半導体素子特性が向上するため、エレクトロルミネッセンス表示装置の表示特性も向上することになる。また、半導体素子の信頼性が向上するため、エレクトロルミネッセンス表示装置の信頼性も高まることになる。
なお、本実施の形態ではエレクトロルミネッセンス表示装置を用いて説明したが、開示する発明はこれに限られるものではない。本実施の形態は、実施の形態1乃至5と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、開示する発明に係る半導体装置の別の例について、図16及び17を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、マイクロプロセッサ及び電子タグを例に挙げて説明するが、開示する発明の半導体装置はこれらに限られるものではない。
図16に、開示する発明のマイクロプロセッサの構成の一例を示す。図16のマイクロプロセッサ1600は、開示する発明の半導体基板を用いて製造されるものである。該マイクロプロセッサ1600は、演算回路1601(Arithmetic logic unit(ALU))、演算回路制御部1602(ALU Controller)、命令解析部1603(Instruction Decoder)、割り込み制御部1604(Interrupt Controller)、タイミング制御部1605(Timing Controller)、レジスタ1606(Register)、レジスタ制御部1607(Register Controller)、バスインターフェース1608(Bus I/F)、ROM1609(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)、及びROMインターフェース1610(ROM I/F)を有している。
バスインターフェース1608を介してマイクロプロセッサ1600に入力された命令は、命令解析部1603に入力され、デコードされた後、演算回路制御部1602、割り込み制御部1604、レジスタ制御部1607、タイミング制御部1605に入力される。演算回路制御部1602、割り込み制御部1604、レジスタ制御部1607、タイミング制御部1605は、デコードされた命令に基づき各種制御を行う。具体的には、演算回路制御部1602は、演算回路1601の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部1604は、マイクロプロセッサ1600のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を、その優先度等から判断して処理する。レジスタ制御部1607は、レジスタ1606のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ1600の状態に応じてレジスタ1606の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部1605は、演算回路1601、演算回路制御部1602、命令解析部1603、割り込み制御部1604、レジスタ制御部1607の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部1605は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。なお、図16に示すマイクロプロセッサ1600の構成は、あくまで一例であり、その用途によって適宜構成を変更することができる。
本実施の形態においては、実施の形態1などに示した半導体基板を用いてマイクロプロセッサを作製している。これにより、半導体素子特性が向上し、マイクロプロセッサの性能の向上に寄与する。また、半導体素子の信頼性が向上するため、マイクロプロセッサの信頼性も高まることになる。
次に、非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について図17を参照して説明する。図17は無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作する無線タグの一例である。なお、開示する発明の無線タグは内部に中央処理装置(CPU)を有しており、いわば小型のコンピュータである。無線タグ1700は、アナログ回路部1701とデジタル回路部1702を有している。アナログ回路部1701として、共振容量を有する共振回路1703、整流回路1704、定電圧回路1705、リセット回路1706、発振回路1707、復調回路1708、変調回路1709を有している。デジタル回路部1702は、RFインターフェース1710、制御レジスタ1711、クロックコントローラ1712、CPUインターフェース1713、CPU1714、RAM1715、ROM1716を有している。
このような構成の無線タグ1700の動作は以下の通りである。アンテナ1717が外部から信号を受けると、共振回路1703は該信号を元に誘導起電力を発生する。整流回路1704を経た誘導起電力により、容量部1718が充電される。この容量部1718はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどで形成されていることが好ましい。容量部1718は無線タグ1700と一体にて形成されていても良いし、別の部品として無線タグ1700を構成する基板に取り付けられていても良い。
リセット回路1706は、デジタル回路部1702をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇のタイミングから遅れて立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路1707は、定電圧回路1705により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。ローパスフィルタで形成される復調回路1708は、例えば振幅変調(ASK)方式の受信信号の振幅の変動を二値化する。変調回路1709は、振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信する。変調回路1709は、共振回路1703の共振点を変化させることにより通信信号の振幅を変化させている。クロックコントローラ1712は、電源電圧又はCPU1714における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路1719が行っている。
アンテナ1717から無線タグ1700に入力された信号は復調回路1708で復調された後、RFインターフェース1710で制御コマンドやデータなどに分けられる。制御コマンドは制御レジスタ1711に格納される。制御コマンドには、ROM1716に記憶されているデータの読み出し命令、RAM1715へのデータの書き込み命令、CPU1714への演算命令などが含まれている。CPU1714は、CPUインターフェース1713を介してROM1716、RAM1715、制御レジスタ1711にアクセスする。CPUインターフェース1713は、CPU1714が要求するアドレスより、ROM1716、RAM1715、制御レジスタ1711のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
CPU1714の演算方式は、ROM1716にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の処理を行い、残りの演算を、プログラムを用いてCPU1714が実行する方式を適用することができる。
本実施の形態においては、実施の形態1などに示した半導体基板を用いて無線タグを作製している。これにより、半導体素子特性が向上し、無線タグの性能の向上に寄与する。また、半導体素子の信頼性が向上するため、無線タグの信頼性も高まることになる。
なお、本実施の形態は、実施の形態1乃至6と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、開示する発明の半導体装置、特に表示装置を用いた電子機器について、図18及び19を参照して説明する。
開示する発明の半導体装置(特に表示装置)を用いて作製される電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。
図18(A)はテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタである。筺体1801、支持台1802、表示部1803、スピーカー部1804、ビデオ入力端子1805等を含む。表示部1803には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能なテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタを提供することができる。
図18(B)はデジタルカメラである。本体1811の正面部分には受像部1813が設けられており、本体1811の上面部分にはシャッターボタン1816が設けられている。また、本体1811の背面部分には、表示部1812、操作キー1814、及び外部接続ポート1815が設けられている。表示部1812には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能なデジタルカメラを提供することができる。
図18(C)はノート型パーソナルコンピュータである。本体1821には、キーボード1824、外部接続ポート1825、ポインティングデバイス1826が設けられている。また、本体1821には、表示部1823を有する筐体1822が取り付けられている。表示部1823には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能なノート型パーソナルコンピュータを提供することができる。
図18(D)はモバイルコンピュータであり、本体1831、表示部1832、スイッチ1833、操作キー1834、赤外線ポート1835等を含む。表示部1832にはアクティブマトリクス表示装置が設けられている。表示部1832には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能なモバイルコンピュータを提供することができる。
図18(E)は画像再生装置である。本体1841には、表示部1844、記録媒体読み込み部1845及び操作キー1846が設けられている。また、本体1841には、スピーカー部1847及び表示部1843それぞれを有する筐体1842が取り付けられている。表示部1843及び表示部1844それぞれには、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能な画像再生装置を提供することができる。
図18(F)は電子書籍である。本体1851には操作キー1853が設けられている。また、本体1851には複数の表示部1852が取り付けられている。表示部1852には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能な電子書籍を提供することができる。
図18(G)はビデオカメラであり、本体1861には外部接続ポート1864、リモコン受信部1865、受像部1866、バッテリー1867、音声入力部1868、操作キー1869が設けられている、また、本体1861には、表示部1862を有する筐体1863が取り付けられている。表示部1862には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能なビデオカメラを提供することができる。
図18(H)は携帯電話であり、本体1871、筐体1872、表示部1873、音声入力部1874、音声出力部1875、操作キー1876、外部接続ポート1877、アンテナ1878等を含む。表示部1873には、開示する発明の半導体装置が用いられている。開示する発明により、信頼性が高く高性能な携帯電話を提供することができる。
図19は、電話としての機能と、情報端末としての機能を併せ持った携帯電子機器1900の構成の一例である。ここで、図19(A)は正面図、図19(B)は背面図、図19(C)は展開図である。携帯電子機器1900は、電話と情報端末の双方の機能を備えており、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な、いわゆるスマートフォンと呼ばれる電子機器である。
携帯電子機器1900は、筐体1901及び筐体1902で構成されている。筐体1901は、表示部1911、スピーカー1912、マイクロフォン1913、操作キー1914、ポインティングデバイス1915、カメラ用レンズ1916、外部接続端子1917等を備え、筐体1902は、キーボード1921、外部メモリスロット1922、カメラ用レンズ1923、ライト1924、イヤフォン端子1925等を備えている。また、アンテナは筐体1901内部に内蔵されている。上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
表示部1911には、開示する発明の半導体装置が組み込まれている。なお、表示部1911に表示される映像(及びその表示方向)は、携帯電子機器1900の使用形態に応じて様々に変化する。また、表示部1911と同一面にカメラ用レンズ1916を備えているため、映像を伴う音声通話(いわゆるテレビ電話)が可能である。なお、スピーカー1912及びマイクロフォン1913は音声通話に限らず、録音、再生等に用いることが可能である。カメラ用レンズ1923(及び、ライト1924)を用いて静止画及び動画の撮影を行う場合には、表示部1911はファインダーとして用いられることになる。操作キー1914は、電話の発信・着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等に用いられる。
重なり合った筐体1901と筐体1902(図19(A))は、スライドし、図19(C)のように展開し、情報端末として使用できる。この場合には、キーボード1921、ポインティングデバイス1915を用いた円滑な操作が可能である。外部接続端子1917はACアダプタやUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電やコンピュータ等とのデータ通信を可能にしている。また、外部メモリスロット1922に記録媒体を挿入し、より大容量のデータの保存及び移動に対応できる。上記機能に加えて、赤外線などの電磁波を用いた無線通信機能や、テレビ受信機能等を有していても良い。開示する発明により、信頼性が高く高性能な携帯電子機器を提供することができる。
以上の様に、開示する発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。なお、本実施の形態は、実施の形態1乃至7と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、開示する発明の半導体装置、特に無線タグの用途について、図20を参照して説明する。
開示する発明により無線タグとして機能する半導体装置を形成することができる。無線タグの用途は多岐にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図20(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図20(C)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図20(B)参照)、乗物類(自転車等、図20(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、衣類、生活用品類、電子機器等の商品や荷物の荷札(図20(E)、(F)参照)等の物品に設けて使用することができる。なお、図20において、無線タグは2000で示すものである。
なお、電子機器とは、例えば、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)、携帯電話の他、実施の形態8にて示した物品等を指す。また、上記半導体装置を、動物類、人体等に用いることができる。
無線タグは、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなる包装用容器等であれば当該有機樹脂に埋め込むとよい。紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等にRFIDタグを設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等にRFIDタグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。開示する発明により作製することが可能な無線タグは、安価ながらも高い信頼性を有しており、さまざまな物品に対して適用することができる。
開示する発明により形成することが可能な無線タグを、物の管理や流通のシステムに応用することで、システムの高機能化を図ることができる。例えば、荷札に設けられるRFIDタグに記録された情報を、ベルトコンベアの脇に設けられたリーダライタで読み取ることで、流通過程及び配達先等の情報が読み出され、商品の検品や荷物の分配を容易に行うことができる。
以上の様に、開示する発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる物品に対して用いることが可能である。なお、本実施の形態は、実施の形態1乃至8と適宜組み合わせて用いることができる。