JP2009149775A - 洗濯槽用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が高く、かつ、泡立ちが低減された洗濯槽用洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】銅化合物および/又はマンガン化合物(a)と、配位座が5以下のキレート剤又はポリカルボン酸系高分子化合物(b)と、無機過酸化物(c)と、脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤(d)と、脂肪酸塩(e)とを含有することを特徴とする洗濯槽用洗浄剤組成物。当該洗濯槽用洗浄剤組成物においては、ケイ酸塩(f)をさらに含有することが好ましい。また、当該洗濯槽用洗浄剤組成物においては、前記(b)成分が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はその塩であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、洗濯槽を洗浄する際に好適に使用される洗濯槽用洗浄剤組成物に関する。
近年、清潔志向の高まりなどから、洗濯機の洗濯槽を洗浄する家庭が増えてきている。
洗濯槽の裏側にはバイオフィルムやカビ等が長期間に渡り蓄積しており、このバイオフィルムやカビ等が、洗濯物に付着して人間の肌に接触することによりアレルギー性皮膚炎を生じる、と指摘する報告もある。
これまでに、洗濯槽の洗浄を課題とした洗浄剤組成物が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、ペルオキシ化合物と、金属錯体および/又はヘテロポリ酸を含有する洗濯機用洗浄剤組成物が提案されている。また、実施例には、界面活性剤をさらに含有する洗濯機用洗浄剤組成物も開示されている。
特開平11−71597号公報
従来の洗浄剤組成物のなかには、上記のように、「金属錯体」を用いているものがある。
「金属錯体」は、一般に、洗浄液中で過酸化水素と併用した場合、過酸化水素により中心金属の酸化状態が変化して、高い酸化力を示す金属錯体となり、汚れに作用して漂白効果を奏する。
「金属錯体」は、汚れに作用した後、中心金属の酸化状態が元に戻り、再び過酸化水素により中心金属の酸化状態が変化するという、触媒的なメカニズムを示すため、少量の金属錯体により高い漂白力を得ることができる。
このように、触媒的なメカニズムを示し、効率的に過酸化水素を活性化できる特徴を持つ「金属錯体」は、漂白活性化触媒とも呼ばれ、低濃度で高い漂白効果を示すことから経済的にも、環境的にも好ましいという利点を有する。さらに、金属錯体による漂白効果は、その中心金属と配位子との組合せによって異なる。
また、従来の洗浄剤組成物のなかには、金属錯体に加えて、洗浄力の向上のため、界面活性剤をさらに含有するものもある(たとえば、特許文献1の実施例8、9、11参照)。
しかしながら、洗濯槽の洗浄は、一般に洗濯物が無い状態で洗濯処理が行われるため、界面活性剤を含有する洗濯槽用洗浄剤組成物においては、洗濯処理の際に泡が立ちすぎてしまい、排水後に多量の泡が残る等の問題がある。
特許文献1に記載の洗濯機用洗浄剤組成物は、金属錯体を含有し、界面活性剤をさらに含有するものの、ステンレス製の洗濯槽に付着したバイオフィルムやカビ等の汚れを充分に洗浄することは困難であった。また、洗濯処理において、泡が立ちすぎて、排水後に多量の泡が残る問題を生じた。
そのため、洗濯槽用洗浄剤組成物においては、洗濯槽に付着した汚れに対してさらなる洗浄力の向上と、泡の立ちすぎを抑えることが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が高く、かつ、泡立ちが低減された洗濯槽用洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物は、銅化合物および/又はマンガン化合物(a)と、配位座が5以下のキレート剤又はポリカルボン酸系高分子化合物(b)と、無機過酸化物(c)と、脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤(d)と、脂肪酸塩(e)とを含有することを特徴とする。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物においては、ケイ酸塩(f)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物においては、前記(b)成分が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はその塩であることが好ましい。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物においては、前記(a)成分として銅化合物とマンガン化合物とを併用していることが好ましい。
本発明によれば、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が高く、かつ、泡立ちが低減された洗濯槽用洗浄剤組成物を提供することができる。
≪洗濯槽用洗浄剤組成物≫
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物は、銅化合物および/又はマンガン化合物(a)と、配位座が5以下のキレート剤又はポリカルボン酸系高分子化合物(b)と、無機過酸化物(c)と、脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤(d)と、脂肪酸塩(e)とを含有する。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物においては、ケイ酸塩(f)をさらに含有することが好ましい。
<銅化合物および/又はマンガン化合物:(a)成分>
本発明において、(a)成分は、銅化合物および/又はマンガン化合物である。
一般に、各種汚れの除去に適した洗浄成分は異なる。当該(a)成分を用いることにより、洗濯槽に付着したバイオフィルムやカビ等の汚れを効果的に除去できる。
(a)成分としては、溶媒として使用されることが多い水と混合した際、容易に銅イオン又はマンガンイオンを生成するものが好ましく、なかでも、銅を含む水溶性金属塩、マンガンを含む水溶性金属塩であることがより好ましい。
銅を含む水溶性金属塩又はマンガンを含む水溶性金属塩としては、銅もしくはマンガンを含むそれぞれの硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、過塩素酸塩、アセチルアセトナート塩、クエン酸塩、シアン化塩、シュウ酸塩、塩化アンモニウム塩又は酒石酸塩等が挙げられる。
銅を含む水溶性金属塩としては、硝酸銅、硫化銅、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、過塩素酸銅、クエン酸銅、シアン化銅、シュウ酸銅、塩化アンモニウム銅、酒石酸銅等の銅化合物が好ましく、硫酸銅が特に好ましい。
マンガンを含む水溶性金属塩としては、硝酸マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、過塩素酸マンガン、マンガンアセチルアセトナート等のマンガン化合物が好ましく、硫酸マンガンが特に好ましい。
これら(a)成分は、水和物であってもよい。
(a)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物においては、(a)成分として銅化合物とマンガン化合物とを併用していることが好ましい。そのなかでも、硫酸銅および硫酸マンガンの両方を(a)成分として含有することが特に好ましい。これにより、洗濯槽に付着したバイオフィルムやカビ等の汚れをより効果的に除去できる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物中の(a)成分の割合は、0.001〜0.5質量%が好ましく、0.005〜0.3質量%がより好ましい。(a)成分の割合が下限値以上であると、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が向上する。(a)成分の割合が上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
<配位座が5以下のキレート剤又はポリカルボン酸系高分子化合物:(b)成分>
本発明において、(b)成分は、配位座が5以下のキレート剤(以下、(b1)成分という)又はポリカルボン酸系高分子化合物(以下、(b2)成分という)である。
当該(b)成分を用いることにより、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が向上する。
[配位座が5以下のキレート剤:(b1)成分]
本発明において、「配位座が5以下のキレート剤」とは、金属イオンに配位してキレート化合物(金属錯体)をつくる配位座5以下の配位子をいう。
「配位子」とは、錯体の中心原子に配位結合し得る原子あるいは原子団をいう。
(b1)成分は、当該配位子がもつ、配位し得る配位原子(錯体の中心原子に直接結合している原子)の数が5以下の配位子である。
(b1)成分としては、配位座5以下の配位子であればよく、トリポリリン酸塩等の無機ポリリン酸塩化合物;1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸又はそれらの塩等のホスホン酸類;シュウ酸、コハク酸又はそれらの塩等のポリカルボン酸類;クエン酸、リンゴ酸又はそれらの塩等のヒドロキシカルボン酸類;イソセリンジ酢酸又はその塩等のアミノポリカルボン酸類;下記一般式(I)〜(III)で表される化合物などが挙げられる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
Figure 2009149775
[式(I)中、Xは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。pは1又は2の整数を表す。式(II)中、X〜Xはそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表し;Rは水素原子又は水酸基を表し、Qは水素原子またはアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表す。式(III)中、Aはアルキル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アミノ基、水酸基又は水素原子を表し;X〜Xはそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表し;nは0〜5の整数を表す。]
前記一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を表す。
アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。たとえばカルシウム(Ca)の場合、式(I)中の「−(COOX)」は「−(COOCa1/2」と表される。
なかでも、Xは、水素原子であることが好ましい。
pは、1又は2の整数を表し、1であることが好ましい。
pが2の場合、複数のXは、互いに、同一のものであっても、異なっていてもよい。
pが1のとき、「−COOX」基のピリジン環への結合位置は、窒素原子に対してα位であることが好ましい。pが2のときも、少なくとも1つの「−COOX」基はα位に結合していることが好ましい。残りの「−COOX」基は、β位又はγ位のいずれに結合していてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物を、水等の溶媒中に投入すると、当該化合物の一部又は全部が「−COO」となり、(a)成分から放出される銅イオン又はマンガンイオンとの錯体の形成が可能となる。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、下記化学式(1)もしくは(2)で表される化合物、又はそれらの塩が挙げられる。
Figure 2009149775
前記一般式(II)中、X〜Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。
〜Xにおいて、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子としては、前記式(I)中のXにおけるアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子と同じものが挙げられる。
なお、X〜Xのいずれかがアルカリ土類金属原子である場合、たとえばXがカルシウム(Ca)の場合、式(II)中の「−COOX」は「−COOCa1/2」となる。
カチオン性アンモニウム基としては、たとえば、「(R11)(R12)(R13)(R14)N」(ただし、R11〜R14はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である)等が挙げられる。
上記のなかでも、X〜Xは、いずれもナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
〜Xは、互いに、同一のものであっても、異なっていてもよい。
Rは、水素原子又は水酸基を表し、水酸基であることが好ましい。
Qは、水素原子またはアルキル基を表す。Qにおいて、アルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
は、0又は1の整数を表し、1であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物を、水等の溶媒中に投入すると、−COOX、−COOX、−COOXおよび−COOXの一部又は全部が「−COO」となり、(a)成分から放出される銅イオン又はマンガンイオンとの錯体の形成が可能となる。
前記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、下記化学式(18)で表される化合物(2,2’−イミノジコハク酸)、下記化学式(19)で表される化合物(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)、又はそれらの塩が挙げられる。
Figure 2009149775
前記一般式(III)中、Aは、アルキル基、カルボキシ基、スルホン酸基(−SOH)、アミノ基(−NH)、水酸基又は水素原子を表す。
において、アルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
〜Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。
〜Xにおいて、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびカチオン性アンモニウム基としては、前記式(II)中のX〜Xにおけるアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびカチオン性アンモニウム基とそれぞれ同じものが挙げられる。
なお、X〜Xのいずれかがアルカリ土類金属原子である場合、たとえばXがカルシウム(Ca)の場合、式(III)中の「−COOX」は「−COOCa1/2」となる。
上記のなかでも、X〜Xは、いずれもナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
〜Xは、互いに、同一のものであっても、異なっていてもよい。
は、0〜5の整数を表し、0〜2であることが好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物を、水等の溶媒中に投入すると、−COOX、−COOX、−COOXの一部又は全部が「−COO」となり、(a)成分から放出される銅イオン又はマンガンイオンとの錯体の形成が可能となる。
前記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、ニトリロトリ酢酸、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(GLDA)、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン二酢酸、下記化学式(22)〜(24)で表される化合物、又はそれらの塩が挙げられる。
Figure 2009149775
また、(b1)成分としては、以下に示す化合物なども用いることができる。
前記一般式(I)において、「−COOX」基が、スルホン酸基(−SOH)、アミノ基(−NH)、水酸基(−OH)、ニトロ基(−NO)もしくは置換基を有していてもよいアルキル基、又はその塩型である化合物(I’)であってもよい。
当該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜18がより好ましい。アルキル基は、その水素原子の一部が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、スルホン酸基、アミノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記一般式(I)における「−COOX」基が置換された化合物(I’)の具体例としては、下記化学式(5)〜(16)で表されるものが挙げられる。なお、代表的な例としてXが水素原子であるものを例示した。
Figure 2009149775
Figure 2009149775
Figure 2009149775
(b1)成分としては、前記一般式(II)において、「イミノ基(−NH−)」が、酸素原子(O)などに置換された構造を有する化合物(II’)であってもよい。
なお、より高い洗浄力(酸化促進効果)が得られる点では、イミノ基であることが好ましい。
前記一般式(II)におけるイミノ基が置換された化合物(II’)の具体例としては、下記化学式(20)、(21)で表されるものが挙げられる。なお、代表的な例としてX〜Xがナトリウムであるものを例示した。
Figure 2009149775
また、前記一般式(II)において、−COOX、−COOX、−COOX、−COOXが、アルキル基、スルホン酸基又はアミノ基などに置換された構造を有する化合物であってもよい。
当該アルキル基は、直鎖状もしくは分岐鎖状のいずれであってもよく、置換基を有するアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜18がより好ましい。アルキル基は、その水素原子の一部が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、スルホン酸基、アミノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基等が挙げられ、金属原子への配位が安定して洗浄力(漂白性能)が向上する点から、カルボキシ基であることが特に好ましい。
前記一般式(III)において、「窒素原子(N)」が、酸素原子(O)に置換された構造を有する化合物(III’)であってもよい。
なお、より高い洗浄力(酸化促進効果)が得られる点では、窒素原子であることが好ましい。
また、前記一般式(III)において、−COOX、−COOX、−COOXが、アルキル基、スルホン酸基又はアミノ基などに置換された構造を有する化合物であってもよい。
当該アルキル基は、直鎖状もしくは分岐鎖状のいずれであってもよく、置換基を有するアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜18がより好ましい。アルキル基は、その水素原子の一部が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、スルホン酸基、アミノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基等が挙げられ、金属原子への配位が安定して洗浄力(漂白性能)が向上する点から、カルボキシ基であることが特に好ましい。
上記の中でも、(b1)成分としては、ホスホン酸類、ヒドロキシカルボン酸類、前記一般式(II)で表される化合物、前記一般式(III)で表される化合物がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、イミノジコハク酸又はその塩、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸又はその塩、メチルグリシンジ酢酸又はその塩が特に好ましい。
[ポリカルボン酸系高分子化合物:(b2)成分]
本発明において、「ポリカルボン酸系高分子化合物」とは、カルボキシ基を含む構成単位を有する重合物を意味し、好ましくは重量平均分子量が1000以上の重合物である。
(b2)成分の重量平均分子量としては、1000以上が好ましく、2000〜200000の範囲がより好ましく、5000〜10000の範囲がさらに好ましい。(b2)成分の重量平均分子量が1000以上、特に2000以上であると、酸化触媒としての性能が向上し、200000以下であると、(b2)成分の粘度の増加が抑制されて取扱い性が良好となる。
なお、本発明において、「重量平均分子量」とは、標準物質をポリエチレングリコール(PEG)としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析を行った値を示す。
(b2)成分の好適なものとしては、炭化水素基又はポリエチレンイミノ基を有する主鎖に、カルボキシ基又はカルボキシ基を含有する側鎖を導入したものが挙げられる。
たとえば、下記の一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を有するものが好ましく挙げられる。
Figure 2009149775
[式(IV)および式(V)中、Aは水素原子、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は下記一般式(VI)で表される基を表す。各式における複数のAは同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、各式において、複数のAのうち、少なくとも一つは下記一般式(VI)で表される基であって、Yがカルボキシ基である。]
Figure 2009149775
[式(VI)中、Yはカルボキシ基又はアミノ基を表す。nは0から2の整数を表す。]
前記式(IV)および式(V)中、Aは、水素原子、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は前記一般式(VI)で表される基を表す。
Aにおけるアルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
前記式(VI)中、Yは、カルボキシ基又はアミノ基を表す。
Yにおけるアミノ基としては、−NR(ただし、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である)等が好ましく挙げられる。
は、0から2の整数を表し、0が好ましい。
式(IV)および式(V)中、複数のAは、互いに、同一であってもよく、異なっていてもよい。
ただし、各式において、複数のAのうち、少なくとも一つは前記一般式(VI)で表される基であって、Yがカルボキシ基である。
(b2)成分は、同一の構成単位から構成される重合体であってもよく、複数種の構成単位からなる共重合体であってもよい。
(b2)成分の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリヒドロキシアクリル酸、ポリフマル酸、ポリアセタールカルボン酸、アクリル酸とマレイン酸との共重合体(アクリル酸/マレイン酸共重合体)、アクリル酸とアクリル酸アミドとの共重合体(アクリル酸/アクリル酸アミド共重合体)、アミノポリカルボン酸系の重合体などが挙げられる。
上記の中でも、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が良好であることから、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アミノポリカルボン酸系の重合体がより好ましく、アクリル酸/マレイン酸共重合体が特に好ましい。
アクリル酸/マレイン酸共重合体としては、例えばBASF製のソカランCP5、ソカランCP7(いずれも商品名);日本触媒(株)製のTLシリーズ(商品名)等の市販品が好適なものとして挙げられる。
アミノポリカルボン酸系の重合体としては、例えばBASF製のTrilonP(商品名)等の市販品が好適なものとして挙げられる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物において、(b)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なかでも、(b)成分は、洗濯槽に付着したバイオフィルムやカビ等の汚れに対する洗浄力に優れることから、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はその塩であることが好ましい。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物中の(b)成分の割合は、1〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がより好ましい。(b)成分の割合が下限値以上であると、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が向上する。(b)成分の割合が上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物において、前記(a)成分と前記(b)成分との混合割合は、前記(b)成分がキレート剤(b1)である場合、前記(a)成分に対する前記(b1)成分の割合[b1/a]は、1モル等量以上であることが好ましく、2モル等量以上であることがより好ましく、5モル等量以上であることがさらに好ましい。
前記(b)成分がポリカルボン酸系高分子化合物(b2)である場合、前記(a)成分に対する前記(b2)成分の割合[b2/a]は、質量比で1倍以上であることが好ましく、質量比で2倍以上であることがより好ましく、質量比で5倍以上であることがさらに好ましく、質量比で10倍以上であることが特に好ましい。
前記(b)成分が前記(a)成分に対して過剰である方が、洗浄力(漂白効果)および後述の(c)成分の分解抑制の点から好ましい。
<無機過酸化物:(c)成分>
本発明において、(c)成分は無機過酸化物である。
当該(c)成分を用いることにより、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が発揮される。
(c)成分としては、水溶液中で過酸化水素を発生するものであればよく、例えば、過炭酸、過ホウ酸、過硫酸などの無機過酸、又はこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)もしくはアンモニウム塩などが挙げられる。
具体的には、過炭酸ナトリウム(炭酸ナトリウム過酸化水素付加物)、過炭酸カリウム等の過炭酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、モノ過硫酸水素カリウム、過リン酸水素ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の過酸化水素付加物が挙げられる。なかでも、洗浄力とハンドリング面で優れていることから、過炭酸塩、過ホウ酸塩が好ましく、過炭酸塩がより好ましく、特に経時安定性の点から、過炭酸ナトリウムが好ましい。
(c)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物中の(c)成分の割合は、20〜80質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。(c)成分の割合が下限値以上であると、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力がより得られやすくなる。(c)成分の割合が上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
なお、モノ過硫酸水素カリウムは不安定であるため、硫酸水素塩や硫酸塩などとの複塩の形態で用いられることが好ましく、かかるものとしてはデュポン社製の「オキソン(商品名)」等の市販品が挙げられる。
また、(c)成分としては、例えば洗濯槽用洗浄剤組成物に含まれ水分等との接触による分解を防止するため、(c)成分の表面にコーティング処理を施したものも用いることができる。例えば、特許第2918991号公報に記載のように、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子に、ホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧し、乾燥して造粒されたもの等が好適に利用できる。
<脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤:(d)成分>
本発明において、(d)成分は、脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤である。
当該(d)成分を用いることにより、洗濯槽用洗浄剤組成物の汚れへの浸透性が向上するとともに、バイオフィルムやカビ等の汚れを洗濯槽から剥離する効果がさらに高くなる。また、洗濯槽から剥離した汚れの溶液(好ましくは水溶液)中での分散性も向上する。
(d)成分としては、たとえば、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィン脂肪酸スルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩等が挙げられる。なかでも、汚れへの浸透性と、汚れを洗濯槽から剥離する効果とがいずれも良好であることから、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられ、これらの混合物であってもよい。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
(d)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<脂肪酸塩:(e)成分>
本発明において、(e)成分は脂肪酸塩である。
当該(e)成分を用いることにより、洗濯処理の際における泡の立ちすぎを抑えることができ、泡立ちが低減される。
(e)成分としては、たとえば、ラウリン酸(炭素数C12)、ミリスチン酸(C14)、パルチミン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、オレイン酸(C18)、ヤシ油由来の脂肪酸(C8〜C18の混合物)等の炭素数8〜18の脂肪酸の塩が挙げられる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられ、これらの混合物であってもよい。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
(e)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物中の(d)成分と(e)成分との合計の割合は、0.1〜7質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
(d)成分と(e)成分との混合割合(d:e)は、質量比で1:1〜1:9であることが好ましく、2:3〜3:17であることがより好ましい。
(d)成分と(e)成分との合計の割合および混合割合(d:e)が、前記範囲であると、バイオフィルムやカビ等の汚れを洗濯槽から剥離する効果がより安定に発現するとともに、消泡効果も優れ、濯ぎ性が良好となる。
<ケイ酸塩:(f)成分>
本発明において、(f)成分はケイ酸塩である。
当該(f)成分を用いることにより、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力がより向上する。これは、洗濯槽用洗浄剤組成物の液性をアルカリ性に保つことができるため、と推測される。
(f)成分としては、一般式:xM’O・ySiO・zHO(式中、M’はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子であり;x、y、zはそれぞれモル数を示し、一般的には、yは0.5〜4.5の数、zは0〜20の数を示す。)で表されるものが挙げられる。なかでも、水溶性であるオルトケイ酸塩、水溶性であるメタケイ酸塩が好ましく、オルト珪酸ナトリウム、オルト珪酸カリウム、オルト珪酸リチウム、メタ珪酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムがより好ましく、メタケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
(f)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物中の(f)成分の割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。(f)成分の割合が下限値以上であると、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が向上する。(f)成分の割合が上限値以下であると、洗濯槽用洗浄剤組成物のpHが高くなりすぎず、好適なpH範囲に調整できる。また、他の成分との配合バランスをとることができ、経済的にも有利である。
なお、後述するように、洗濯槽用洗浄剤組成物を水などに溶解してなる洗浄液(洗浄液の洗濯槽用洗浄剤組成物濃度は、好ましくは0.01〜3質量%)中のpHを7〜13の範囲に調整するように、(f)成分を配合することが好ましい。
<その他の成分>
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物は、上記の(a)〜(f)成分以外に、必要に応じて、他の界面活性剤をさらに配合してもよい。
他の界面活性剤としては、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー(商品名:プルロニック)、脂肪酸モノグリセライド、高級アルコールポリオキシエチレン(EO)付加物、アミンオキサイド等のノニオン界面活性剤;モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、又はそれらのポリオキシエチレン付加物;モノ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤;カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。なかでも、洗濯槽に付着した汚れへの浸透力に優れ、高い洗浄力が得られることから、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(炭素数12のアルキル基、エチレンオキサイドの平均付加モル数7モル)等の高級アルコールポリオキシエチレン(EO)付加物が好ましい。
他の界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物は、当該洗濯槽用洗浄剤組成物の製造方法に応じて、バインダ化合物を用いてもよい。
バインダ化合物としては、各種ノニオン界面活性剤、炭素数8〜24の脂肪酸(好ましくは炭素数12〜20の飽和脂肪酸)、炭素数8〜24の高級アルコール、重量平均分子量500〜25000のポリエチレングリコール等が挙げられる。
なかでも、重量平均分子量500〜25000のポリエチレングリコールが好ましく、重量平均分子量2000〜15000のポリエチレングリコールがより好ましい。当該ポリエチレングリコールとしては、凝固点が50〜65℃であるものが好ましい。
当該ポリエチレングリコールとして具体的には、ポリエチレングリコール♯4000(商品名、ライオン(株)製;重量平均分子量3040、凝固点55℃)、ポリエチレングリコール♯6000(商品名、ライオン(株)製;重量平均分子量8300、凝固点58℃)等の市販品が好ましく、ポリエチレングリコール♯6000が特に好ましい。
なお、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示す。
バインダ化合物は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物は、上記の成分以外にも必要に応じて、溶解促進剤(硫酸ナトリウムなど)、アルカリ剤(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、除菌剤(塩化セチルピリジニウム、ブチルパラベン、トリクロサン、トリクロカルバン等)、酵素剤(プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ等)、ケーキング防止剤、浸透剤、顔料、染料、香料、pH調整剤等を適宜、配合することができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物のpHを制御する方法としては、主として(f)成分によってpHを調整する方法が好ましい。
また、前記(f)成分以外にも、pH調整剤としてモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等も用いることができる。
また、洗濯槽用洗浄剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて、後述のpHの範囲に調整することもできる。さらに、洗濯槽用洗浄剤組成物のpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記のpH調整剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物においては、洗浄性能の点から、洗濯槽用洗浄剤組成物を水などに溶解してなる洗浄液(洗浄液の洗濯槽用洗浄剤組成物濃度は、好ましくは0.01〜3質量%)中のpHが7〜13であることが好ましく、pHが8〜12であることがより好ましい。当該pHが7以上であることにより、バイオフィルムやカビ等の汚れを洗濯槽から剥離する効果がより向上する。当該pHが13以下であることにより、洗濯槽の腐食が抑制され、洗濯槽を傷めることがなくなる。また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物を洗濯槽の材質によらずに用いることができる。さらに、(f)成分の使用量を低減でき、経済的にも有利である。
洗濯槽用洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限されるものではなく、たとえば衣料用粉末洗剤などの一般的な粉末洗剤の製造方法と同様の製造方法が挙げられる。
具体的には、上記で説明した原料を混合のみするドライブレンド法;造粒処理を施す乾式造粒法、乾燥/造粒法(たとえば撹拌造粒法、破砕造粒法など)、湿式造粒/乾燥法(たとえばペースト造粒/乾燥法、湿潤造粒/乾燥法など);噴霧乾燥法等が挙げられる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物の製造方法としては、良好な洗浄力が得られ、また、製造された洗濯槽用洗浄剤組成物の変色が抑制されること等から、(a)成分と(b)成分とを予め混合して調製した混合物(金属錯体)を用いて配合する方法、又はバインダ化合物を用いて、(a)成分と(b)成分とバインダ化合物とを予め混合し造粒処理を施して調製した造粒物を用いて配合する方法、もしくは(a)成分とバインダ化合物とを予め混合し造粒処理を施して調製した造粒物を用いて配合する方法なども好適に用いることができる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物を使用した洗浄方法として具体的には、一例として、洗濯槽に高水位まで給水し、その中へ洗濯槽用洗浄剤組成物を0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜1.5質量%の濃度となるように投入し、数分間運転して30分間〜数時間放置し、その後排水して濯ぎをする方法が挙げられる。水温は10〜50℃が好ましい。ここで、洗濯槽用洗浄剤組成物の濃度を0.01質量%以上とすることにより、充分に洗濯槽を洗浄でき、3質量%以下とすることにより、洗浄効果を飽和させることなく効果的に洗浄できる。
以上説明したように、本発明によれば、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が高く、かつ、泡立ちが低減された洗濯槽用洗浄剤組成物を提供することができる。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物によれば、従来配合されていた有機過酸化物を用いることなく、充分な洗浄力を得ることができる。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物によれば、泡の立ちすぎを抑えることができ、濯ぎ性が良好であり、排水後に多量の泡が残ることがなくなる。
本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物は、特に泡が立ちやすい傾向にあるドラム式洗濯機の洗濯槽の洗浄に特に好適である。
また、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物によれば、プラスチック製の洗濯槽の汚れを充分に洗浄できるだけでなく、プラスチック製の洗濯槽よりも汚れが強固に付着しやすいステンレス製の洗濯槽も効果的に洗浄できる。かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、本発明の洗濯槽用洗浄剤組成物を水に溶解した際、(c)成分から発生する過酸化水素が、(a)成分と(b)成分とが形成する金属錯体により活性化されるためと考えられる。この(a)成分と(b)成分とが形成する金属錯体は、従来の金属錯体に比べて、過酸化水素の活性化能が格段に高いものと推測される。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜18、比較例1〜6)
表1〜3に示した質量比率で各成分を配合して、洗浄剤組成物を調製した。
洗浄剤組成物の調製は、表1〜3に示す配合組成に従って、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用いて、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間転動して混合することによって各例の洗浄剤組成物を得た。
なお、表1〜3中の配合量の単位は質量%であり、いずれも純分換算量を示す。
以下に、表中に示した成分について説明する。
・銅化合物および/又はマンガン化合物(a)
MnSO・5HO:硫酸マンガン(II)5水和物、関東化学(株)製。
CuSO・5HO:硫酸銅(II)5水和物、関東化学(株)製。
・配位座が5以下のキレート剤又はポリカルボン酸系高分子化合物(b)
IDS:2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム、日本触媒(株)製;配位座5。
HIDS:3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム、日本触媒(株)製;配位座5。
MGDA:メチルグリシン二酢酸ナトリウム、日本触媒(株)製;配位座4。
クエン酸Na:扶桑化学工業(株)製。
MA剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体のナトリウム塩、商品名「ソカランCP7」、日本触媒(株)製;重量平均分子量70000。
HEDP−Na:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ナトリウム、商品名「BRIQUEST ADPA−60SH」、ローディアジャパン(株)製。
・(b)成分の比較成分(b’)
EDTA−Na:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ヘキスト社製;配位座6。
・無機過酸化物(c)
過炭酸Na:商品名「SPC−G」、三菱ガス化学(株)製。
・脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤(d)
LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、商品名「ライポンPS860」、ライオン(株)製。
・脂肪酸塩(e)
石鹸:商品名「コナバルク70B」、ミヨシ油脂(株)製;平均分子量278。
・ケイ酸塩(f)
メタケイ酸ナトリウム:商品名「ムスイメタケイソ−D」、広栄化学工業(株)製。
・その他の成分
芒硝:硫酸ナトリウム、商品名「中性無水ボウショウ」、日本化学工業(株)製;溶解促進剤。
上記で得られた洗浄剤組成物を用いて、以下に示す方法により、洗浄力試験と泡立ち試験とを行った。結果を表1〜3に示す。
[洗浄力試験]
(1)汚れテストピース
黒カビ等の汚れの付着が飽和段階まで進行した、全自動洗濯機のステンレス製の洗濯槽を、7cm×5cmに切断したステンレス板をテストピースとした。
(2)洗浄力の評価方法
20℃の水道水1リットルに、各例の洗浄剤組成物3gをそれぞれ溶解し、1リットルの洗浄液を調製した。
得られた洗浄液をビーカーに入れ、テストピースを鉛直方向に立てて配置し、3時間浸漬した(温度は20℃)。その後、テストピースを取り出し、ビーカーに溜めた20℃の水道水1リットル中で、浸漬後のテストピースを20回上下に動かし濯ぎを行った。
その後、汚れの落ち具合が何%であるか、目視により処理前のテストピース写真と比較して5人のパネラーがそれぞれ10段階で評価し、その平均点の小数第1位を四捨五入して整数として求め、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力の評価を行った。汚れの落ち具合が100%である場合を10点、0%である場合を1点とした。その結果を表1〜3に示す。
[泡立ち試験]
20℃の水道水1リットルに、各例の洗浄剤組成物3gを溶解し、1リットルの洗浄液を調製した。
ロスマイルス法に従い、5分後の泡高(mm)を測定し、下記の評価基準に基づき、泡立ち低減の効果について評価を行った。その結果を表1〜3に示す。
評価基準
○:泡高が25mm未満。
×:泡高が25mm以上。
Figure 2009149775
Figure 2009149775
Figure 2009149775
以上の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜18の洗浄剤組成物は、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が高く、かつ、泡立ちが低減されていることが確認できた。
また、実施例11〜14の結果から、メタケイ酸ナトリウム(f)を含有することにより、より洗浄力が高まることが確認できた。
また、実施例6、10、14、18の結果から、(b)成分として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ナトリウムを含有することにより、より洗浄力が高まることが確認できた。
また、実施例15〜18の結果から、(a)成分として銅化合物とマンガン化合物とを併用していることにより、さらに洗浄力が高まることが確認できた。
一方、配位座が6のキレート剤を含有する比較例1の洗浄剤組成物は、洗濯槽に付着した汚れに対する洗浄力が悪いことが確認できた。
また、本発明の構成要件(a)〜(e)成分のうち、(a)〜(d)成分のいずれかを欠く比較例2〜5の洗浄剤組成物は洗浄力が悪く、また、(e)成分を欠く比較例6の洗浄剤組成物は泡立ち低減の効果が低いことが確認できた。

Claims (4)

  1. 銅化合物および/又はマンガン化合物(a)と、配位座が5以下のキレート剤又はポリカルボン酸系高分子化合物(b)と、無機過酸化物(c)と、脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤(d)と、脂肪酸塩(e)とを含有することを特徴とする洗濯槽用洗浄剤組成物。
  2. ケイ酸塩(f)をさらに含有する請求項1記載の洗濯槽用洗浄剤組成物。
  3. 前記(b)成分が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はその塩である請求項1又は請求項2記載の洗濯槽用洗浄剤組成物。
  4. 前記(a)成分として銅化合物とマンガン化合物とを併用している請求項1〜3のいずれかに記載の洗濯槽用洗浄剤組成物。
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