JP2010215591A - 殺菌剤、殺菌剤調製液、洗剤組成物、漂白剤組成物及び殺菌方法 - Google Patents

殺菌剤、殺菌剤調製液、洗剤組成物、漂白剤組成物及び殺菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的安価で、優れた殺菌効果を示す殺菌剤、殺菌剤調製液、洗剤組成物、漂白剤組成物及び殺菌方法。
【解決手段】本発明の殺菌剤は、(A)成分:炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩と、(B)成分:遷移金属及び/又はその化合物と、(C)成分:過酸化水素及び/又は無機過酸化物とを有し、(A)成分の含有量は、0.2〜10質量%とする。殺菌剤の調製に用いる殺菌剤調製液は、(B)成分を含有し(C)成分を含有しない含金属水性液と、(C)成分を含有し(B)成分を含有しない含過酸化水素水性液とを少なくとも備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、殺菌剤、殺菌剤調製液、洗剤組成物、漂白剤組成物及び殺菌方法に関する。
微生物の存在及び増殖は、種々の不具合や感染症をしばしば発生することがあり、その対策が求められている。特に衣料に付着した微生物は、洗濯後の衣料を乾燥する過程で、悪臭発生の原因となったり、感染菌の媒体となる可能性がある。このため、衣料用洗剤等には、衣料に付着した微生物を効果的に殺菌することが求められている。
殺菌の手法は多数研究されており、その一つとして塩素系や酸素系の酸化剤による殺菌が知られている。一般的に、酸化剤は、還元されるとその殺菌力が消失することから、使用後の取り扱いや安全面の点から好適に用いられている。
塩素系の酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等が知られている。次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩は優れた殺菌効果を示し、水道水の殺菌等に用いられている。例えば、特許文献1には、次亜塩素酸塩を酸化剤として利用した液体殺菌洗浄剤が提案されている。次亜塩素酸塩は、優れた殺菌効果を示す反面、次亜塩素酸ナトリウムの強い酸化力のために、衣料等の被洗物の劣化が生じる場合があり、その使用量、用途が限定される。
酸素系の酸化剤としては、過酸化水素が知られている。例えば、特許文献2には、過酸化水素又は水に溶解して過酸化水素を発生する無機化酸化物と、2,6−ピリジンカルボン酸の金属錯体とを含有する粉末漂白剤組成物に、有機過酸前駆体を併用することで、高い除菌効果が得られることが開示されている。
特開2006−321989号公報 特開2008−1736号公報
しかしながら、衣料用の洗剤や漂白剤等には、さらなる殺菌効果の向上が求められている。特許文献2のように有機過酸前駆体を用いることで優れた殺菌効果が得られるものの、経済面での不利があった。
そこで、本発明は、比較的安価で、優れた殺菌効果を示す殺菌剤、殺菌剤調製液、洗剤組成物、漂白剤組成物及び殺菌方法を目的とする。
本発明者らは、炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩を併用することにより、遷移金属と過酸化水素の発生源とによる殺菌効果を高めることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明の殺菌剤は、(A)成分:炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩と、(B)成分:遷移金属及び/又はその化合物と、(C)成分:過酸化水素及び/又は無機過酸化物とを有し、(A)成分の含有量は、0.2〜10質量%であることを特徴とする。(B)成分は、銅又は銅化合物であることが好ましく、(A)成分は、リノール酸、リノレン酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の殺菌剤調製液は、前記殺菌剤の調製に用いる殺菌剤調製液であって、(B)成分を含有し(C)成分を含有しない含金属水性液と、(C)成分を含有し(B)成分を含有しない含過酸化水素水性液とを少なくとも備えることを特徴とする。
本発明の洗剤組成物は、前記殺菌剤を含有することを特徴とする
本発明の漂白剤組成物は、前記殺菌剤を含有することを特徴とする
本発明の殺菌方法は、前記殺菌剤を用いることを特徴とする。
本発明によれば、比較的安価に、殺菌効果のさらなる向上が図れる。
(殺菌剤)
本発明の殺菌剤は、A)成分:炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩と、(B)成分:遷移金属及び/又はその化合物と、(C)成分:過酸化水素及び/又は無機過酸化物とを有する。
[(A)成分:炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩]
(A)成分は、炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩である。
(A)成分は、炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩であれば特に限定されず、例えば、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ピノレン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアドリン酸、アラギドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸及びこれらの塩等が挙げられる。中でも、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸及びこれらの塩が好ましく、リノール酸塩がより好ましい。
脂肪酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;エタノールアミン塩等が挙げられる。
これらの(A)成分は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(A)成分の脂肪酸は、植物や動物等から抽出した油脂より、上述の脂肪酸を調製することができる。例えば、コメ由来の糠脂肪酸にはリノール酸が約30%、リノレン酸が数%含有されており、糠脂肪酸を用いることで純分約35%のリノール酸及びリノレン酸の混合物を得ることができる。さらに水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ成分を添加することで、脂肪酸の全量又は一部を脂肪酸塩とすることができる。
殺菌剤中の(A)成分の含有量は、脂肪酸ナトリウムに換算して0.2〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%である。上記下限値未満であると、殺菌効果の向上が図れない。上記上限値を超えると、殺菌剤を液体とする場合に(A)成分が溶解しにくくなる。また、殺菌剤を粉状又は顆粒状等の粒状とした場合には、固化しやすくなる。
[(B)成分:遷移金属及び/又はその化合物]
(B)成分は、遷移金属及び/又はその化合物である。
遷移金属は特に限定されず、亜鉛、マンガン、鉄、銅、銀、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデン等が挙げられ、中でも、亜鉛、銅、マンガン、鉄が好ましく、亜鉛、銅がより好ましく、銅が特に好ましい。殺菌効果は、銅が最も高く、銅>亜鉛>鉄>マンガン>銀の順である。
遷移金属の化合物は特に限定されず、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、過塩素酸塩、塩化アンモニウム塩等の無機化合物、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩等の有機化合物等が挙げられる。
殺菌剤中の(B)成分の含有量は、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜1質量%である。上記下限値未満であると殺菌効果が得られにくく、上記上限値を超えても殺菌効果が飽和し、さらなる殺菌効果の向上が望めないためである。
(B)成分の(A)成分に対する質量比は特に限定されないが、[(A)成分の質量/(B)成分の金属質量]=0.01〜2000が好ましく、0.1〜390がより好ましく、0.39〜39がさらに好ましい。上記範囲内であれば、優れた殺菌効果が得られるためである。
[(C)成分:過酸化水素及び/又は無機過酸化物]
(C)成分は、過酸化水素及び/又は無機過酸化物である。
(C)成分は、水に溶解して過酸化水素を遊離するものであればよく、過酸化水素、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過リン酸塩等が挙げられ、中でも、殺菌剤への配合の容易さと環境対応の点から、過酸化水素、過炭酸ナトリウムが好ましく、殺菌剤の取扱いや安定性の点から過炭酸ナトリウムがより好ましい。(C)成分は、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
殺菌剤中の(C)成分の含有量は特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、1〜70質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。上記下限値未満であると殺菌効果が得られにくく、上記上限値を超えると他の成分とのバランスがとれず、殺菌効果が向上しにくくなるためである。
(C)成分の(B)成分に対する質量比は特に限定されないが、[(C)成分の質量/(B)成分の質量]=0.04〜2000が好ましく、0.2〜200がより好ましく、2〜40がさらに好ましい。上記範囲内であれば、優れた殺菌効果が得られるためである。
[その他の成分]
殺菌剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、pH調整剤、溶媒等を必要に応じて配合することができる。pH調整剤としては、特に限定されず、目的に応じてアルカリ剤や酸を適宣選択できる。アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。酸としては、有機酸類、硫酸、塩酸等が挙げられる。また、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等の塩を用いることができる。
溶媒は特に限定されず、例えば、水、エタノール等の極性溶媒が挙げられる。
[pH]
殺菌剤のpHは特に限定されず、衣料等の殺菌対象物の性状等を勘案して決定することができ、例えば、pH4〜10の範囲で決定することが好ましく、pH6〜8の範囲で決定することがより好ましい。殺菌剤は、pHが低いと過酸化水素が安定である半面、衣料等の殺菌対象物の酸化による変質の懸念がある。pHが高いと過酸化水素による殺菌効果が高まる反面、過酸化水素の分解が進行し殺菌剤の安定性が低下する懸念がある。
[殺菌剤の形態]
殺菌剤の形態は特に限定されず、例えば、(A)〜(C)成分を混合、造粒等により成形された固形状であってもよいし、(A)〜(C)成分を溶媒に分散した液状であってもよい。中でも、殺菌剤の形態は、保管中の(C)成分の安定性を図る面から固形状が好ましく、水への分散の容易性から粉状又は顆粒状等の粒状であることがより好ましい。
本発明の殺菌剤を液状とする場合、(B)成分を含有し(C)成分を含有しない含金属水性液と、(C)成分を含有し(B)成分を含有しない含過酸化水素水性液とを少なくとも備える殺菌剤調製液とし、殺菌処理時に殺菌剤調製液を混合して殺菌剤とすることが好ましい。殺菌剤調製液において(A)成分は、含金属水性液及び/又は含過酸化水素水性液に含有され、あるいは、含金属水性液及び含過酸化水素水性液と異なる形態とされる。かかる殺菌剤調製液とすることで、保管時における(C)成分の分解を防止し、殺菌処理時に優れた殺菌効果を発揮できるためである。
殺菌剤を固形状として得る場合、(A)〜(C)成分の混合方法は特に限定されず。公知の混合方法を用いることができる。例えば、リボンミキサーやニーダー等を用いた混合が挙げられる。
(A)〜(C)成分の造粒方法は特に限定されず、公知の造粒方法を用いることができ、例えば、攪拌造粒法、転動造粒法が挙げられる。攪拌造粒法には、公知の攪拌造粒機を用いることができ、中でも、撹拌羽根を備えた撹拌軸を内部の中心に有し、撹拌羽根が回転する際に撹拌羽根と器壁との間にクリアランスを形成する構造であることが好ましい。このような構造を有する撹拌造粒機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製)、ハイスピードミキサー(深江工業株式会社製)、バーチカルグラニュレーター(株式会社パウレック製)等の装置が挙げられる。特に好ましくは横型の混合槽で円筒の中心に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取付けて粉末の混合を行う形式のミキサーであり、例えばレディゲミキサー(株式会社マツボー製)、ブロシェアミキサー(大平洋機工株式会社製)である。
転動造粒法には、公知の転動造粒機を使用することができる。中でもドラム状の円筒が回転して造粒する形式(ドラム型造粒機)が好ましく、特に任意の形状の邪魔板を装備しているものが好ましい。上記ドラム型造粒機としては、水平円筒型造粒機、日本粉体技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム型造粒機、撹拌羽根付ドラム型造粒機等が挙げられる。
(洗剤組成物)
本発明の洗剤組成物は、殺菌剤を含有する。洗剤組成物の形態は特に限定されず、粉状、顆粒状の粒状洗剤組成物であってもよいし、液状洗剤組成物であってもよい。
粒状洗剤組成物の平均粒子径は特に限定されないが、100〜1000μmが好ましく、300〜500μmがより好ましい。平均粒子径が100μm未満になると粉塵が発生しやすくなり、一方、1000μmを超えると本発明が目的とする溶解性が得られにくくなるおそれがある。
なお、本稿において、平均粒子径は目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いた分級により求まる値である。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回の測定サンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿の上に残留したサンプルを篩毎に回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記(1)式により平均粒子径(質量50%)を求めることができる。
Figure 2010215591
粒状洗剤組成物の嵩密度は、粒状洗剤組成物を配合する洗剤組成物中の他の洗剤成分の嵩密度を勘案して決定することができ、例えば0.3g/mL以上とすることができ、好ましくは0.5〜1.3g/mL、より好ましくは0.6〜1.2g/mLの範囲で決定できる。かかる範囲であれば、他の洗剤成分との分級が回避できるためである。なお、本稿において嵩密度とは、JIS K3362−1998に従って測定される値である。
[殺菌剤]
洗剤組成物中の殺菌剤の含有量は、洗剤組成物の目的や、洗剤組成物中の漂白剤の配合量等を勘案して決定することができ、例えば、洗剤組成物中の殺菌剤の含有量は、2質量%以上が好ましく、3〜71質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、良好な洗浄性を維持したまま、被洗物を良好に殺菌できるためである。特に、洗剤組成物中の(A)成分の含有量が脂肪酸ナトリウムに換算して、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%となるように殺菌剤を洗剤組成物に配合するのが望ましい。上記範囲内であれば、殺菌効果の向上が図れるためである。
[その他の成分]
洗剤組成物には、殺菌剤の他、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、界面活性剤、洗浄性ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、蛍光増白剤、ポリマー類、酵素、酵素安定剤、ケーキング防止剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤等を配合できる。
<界面活性剤>
界面活性剤は、目的に応じて適宜選択できる。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルポリエトキシエーテル硫酸、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホカルボン酸及びそれらのエステル等の水溶性塩(塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる)、石鹸((A)成分を除く)等のアニオン界面活性剤;アルキルジエタノールアミド、脂肪酸N−アルキルグルカミド等のアミド系活性剤等のノニオン界面活性剤;アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホキシベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアラニネート等のアミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等が挙げられる。上記界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の界面活性剤の含有量は特に限定されず、例えば、1〜50質量%の範囲で決定することが好ましく、6〜17質量%の範囲で決定することが好ましい。
<洗浄性ビルダー>
洗浄性ビルダーは、例えば、ゼオライト等のアルミノケイ酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、及びトリポリリン酸塩等の無機ビルダーやニトリロトリ酢酸、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、及びポリアクリル酸等のポリカルボン酸(例えばソカランCP5、ソカランCP7(BASF社製))等の有機ビルダーが挙げられる。上記洗浄性ビルダーは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は特に限定されず、例えば、1〜30質量%の範囲で決定することが好ましく、1〜22質量%の範囲で決定することが好ましい。
<漂白剤>
漂白剤として、次亜塩素酸ナトリウムを使用することができる。上記漂白剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の漂白剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1〜70質量%の範囲で決定することが好ましく、1〜10質量%の範囲で決定することが好ましい。
<漂白活性化剤>
漂白活性化剤としては、公知の化合物を用いることができるが、好ましくは有機過酸前駆体が用いられる。有機過酸前駆体としては、テトラアセチルエチレンジアミン、炭素数8〜12のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数8〜12のアルカノイルオキシ安息香酸又はそれらの塩が挙げられ、このうち、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。上記漂白活性化剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の漂白活性化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、洗剤組成物中の漂白活性剤の含有量は0.1〜10質量%の範囲で決定することが好ましく、0.1〜5質量%の範囲で決定することがより好ましい。上記範囲内であれば、良好な漂白性を維持したまま、被洗物を良好に殺菌できるためである。
<漂白活性化触媒>
漂白活性化触媒としては、公知の化合物を用いることができる。具体例としては、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデン等の遷移金属原子と配位子とが、窒素原子や酸素原子等を介して錯体を形成したものである。漂白活性化触媒に含まれる遷移金属としては、コバルト、マンガン等が好ましく、マンガンがより好ましい。特に、特開2004−189893号公報記載の漂白活性化触媒が好ましい。
上記漂白活性化触媒は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の漂白活性化触媒の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01〜10質量%の範囲で決定することが好ましく、0.1〜1質量%の範囲で決定することが好ましい。
<蛍光増白剤>
蛍光増白剤としては、例えば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。上記蛍光増白剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<ポリマー類>
ポリマー類としては、界面活性剤含有粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、又は疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、重量平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース誘導体等を配合することができる。また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰り返し単位と、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールに由来する繰り返し単位とのコポリマー、又はターポリマー等を配合することができる。上記ポリマー類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<酵素>
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。中でも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。上記酵素は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<酵素安定剤>
酵素安定剤としては、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。中でも、四ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。上記酵素安定剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<ケーキング防止剤>
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。上記ケーキング防止剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<還元剤>
還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。上記還元剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<金属イオン捕捉剤>
金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はその塩;ジグリコール酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類又はその塩等が挙げられる。上記金属イオン捕捉剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
[製造方法]
洗剤組成物の製造方法は、本発明の殺菌剤を配合できるものであれば特に限定されず公知の製造方法を用いることができる。例えば、粒状洗剤組成物の製造方法としては、殺菌剤を除く成分をスラリー調製工程、噴霧乾燥工程、捏和工程、粉砕工程等を経て界面活性剤含有粒子とし、該界面活性剤含有粒子と殺菌剤とを粉体混合する方法が挙げられる。また、例えば、(C)成分を除く殺菌剤成分及び他の洗剤成分をスラリー調製工程、噴霧乾燥工程、捏和工程、粉砕工程等を経て界面活性剤含有粒子とし、該界面活性剤含有粒子と(C)成分を混合する方法が挙げられる。
(漂白剤組成物)
本発明の漂白剤組成物は、殺菌剤を含有する。漂白剤組成物の形態は特に限定されず、粉状、顆粒状の粒状漂白剤組成物であってもよいし、液状漂白剤組成物であってもよい。
粒状漂白剤組成物の平均粒子径、嵩密度は、上述の粒状洗剤組成物の平均粒子径、嵩密度と同様である。
[殺菌剤]
漂白剤組成物中の殺菌剤の含有量は、漂白剤組成物の目的や、漂白剤組成物中の漂白剤の配合量等を勘案して決定することができ、例えば、2質量%以上が好ましく、3〜71質量%の範囲で決定することがより好ましい。上記範囲内であれば、良好に被洗物を漂白し、かつ殺菌できる。特に、漂白剤組成物中の(A)成分の含有量が脂肪酸ナトリウムに換算して、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%となるように殺菌剤を漂白剤組成物に配合するのが望ましい。上記範囲内であれば、殺菌効果の向上が図れるためである。
[その他の成分]
漂白剤組成物には、殺菌剤の他、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、洗剤組成物と同様の界面活性剤、洗浄性ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、蛍光増白剤、ポリマー類、酵素、酵素安定剤、ケーキング防止剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤等を配合できる。
漂白剤組成物中の界面活性剤の含有量は特に限定されず、例えば、1〜50質量%の範囲で決定することが好ましく、1〜6質量%の範囲で決定することが好ましい。
漂白剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は特に限定されず、例えば、1〜30質量%の範囲で決定することが好ましく、1〜22質量%の範囲で決定することが好ましい。
漂白剤組成物中の漂白剤の含有量は特に限定されないが、例えば、1〜97質量%の範囲で決定することが好ましく、29〜97質量%の範囲で決定することが好ましい。
漂白剤組成物中の漂白活性化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1〜20質量%の範囲で決定することが好ましく、1〜10質量%の範囲で決定することが好ましい。
漂白剤組成物中の漂白活性化触媒の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01〜10質量%の範囲で決定することが好ましく、0.1〜1質量%の範囲で決定することが好ましい。
[製造方法]
漂白剤組成物の製造方法は、上述した洗剤組成物と同様の方法が挙げられる。
(殺菌方法)
本発明の殺菌方法は、本発明の殺菌剤を用いるものである。
殺菌方法は、殺菌対象物に殺菌剤を接触させることができればよく、例えば、殺菌剤、洗剤組成物又は漂白剤組成物を水に分散して殺菌液を調製し、該殺菌液に殺菌対象物を浸漬したり、該殺菌液を殺菌対象物に噴霧又は塗布する方法が挙げられる。あるいは、殺菌剤調製液を溶媒で希釈し、あるいは希釈せずに殺菌対象物に噴霧又は塗布する方法が挙げられる。
また、例えば、殺菌剤、殺菌剤調製液、洗剤組成物又は漂白剤組成物を水に分散し洗濯液とし、該洗濯液で殺菌対象物である衣類等を洗濯する方法が挙げられる。
前記殺菌液又は前記洗濯液における殺菌剤の濃度は、殺菌剤中の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量、殺菌対象物の種類、殺菌の対象とする微生物の種類等を勘案して決定することができる。
例えば、殺菌液又は洗濯液には、(A)成分濃度:2〜1000質量ppmとなるように殺菌剤が添加されることが好ましく、5〜500質量ppmとなるように殺菌剤が添加されることがより好ましい。上記下限値未満では、殺菌効果が得られにくく、上記上限値を超えても殺菌効果が飽和し、さらなる殺菌効果の向上が図れないためである。
加えて、殺菌液又は洗濯液には、金属質量換算で(B)成分濃度:0.026〜50質量ppmとなるように殺菌剤が添加されることが好ましく、0.26〜10質量ppmとなるように殺菌剤が添加されることがより好ましい。上記下限値未満では、殺菌効果が得られにくく、上記上限値を超えても殺菌効果が飽和し、さらなる殺菌効果の向上が図れないためである。
さらに、殺菌液又は洗濯液には、(C)成分濃度:10質量ppm以上となるように殺菌剤が添加されることが好ましく、10〜700質量ppmとなるように殺菌剤が添加されることがより好ましく、30〜200質量ppmとなるように殺菌剤が添加されることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、優れた殺菌効果が得られるためである。
殺菌対象物は特に限定されず、例えば、衣類、シーツ、布団、じゅうたん等の布製品、包丁、まな板、食器、スポンジ等の台所用品、便座等のトイレ用品、桶や浴槽等の風呂用品、手指等の身体、工場の生産ラインや包装容器、壁、床、配管等の機器等が挙げられる。
上述のとおり、本発明の殺菌剤は、(A)〜(C)成分を必須成分とするため、比較的安価に製造でき、かつ、優れた殺菌効果を発揮できる。加えて、(A)成分の含有量を0.2〜10質量%とすることで、殺菌効果の向上が図れる
本発明の殺菌剤における殺菌のメカニズムは明らかでないが、次のように推測できる。過酸化水素源である(C)成分は、(B)成分中の遷移金属と接触することによりラジカル等の酸化体を生成する。次いで、前記酸化体は(A)成分を酸化する。そして、酸化された(A)成分が微生物をさらに酸化することで、殺菌剤は優れた殺菌力を示すと考えられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(使用原料)
[(A)成分:炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩]
・リノール酸ナトリウム:試薬、シグマ社製
・リノレン酸:試薬、シグマ社製
・糠脂肪酸:商品名;糠脂肪酸、築野食品工業株式会社
[(A)’成分:(A)成分の比較品]
・オレイン酸ナトリウム:一級試薬、純正化学株式会社製
[(B)成分:遷移金属及び/又はその化合物]
・硫酸銅五水和物:特級、純正化学株式会社製
・硫酸亜鉛七水和物:特級、純正化学株式会社製
[(C)成分:過酸化水素及び/又は無機過酸化物]
・過酸化水素:一級試薬、過酸化水素35%含有水溶液、純正化学株式会社製
・過炭酸ナトリウム:商品名;SPC−G、三菱ガス化学株式会社製
[pH調整剤]
・リン酸二水素カリウム:特級、純正化学株式会社
[界面活性剤]
・α−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(MES−Na):脂肪酸鎖長;炭素数16/18、含有比(質量比)8/2、有効成分63%、ノニオン界面活性剤16%、ジ塩及びメチル硫酸塩等の不純物8%、水分13%、ライオン株式会社製)
・LAS−Na:直鎖(炭素数10〜14)アルキルベンゼンスルホン酸(LAS−H、ライオン株式会社製、ライポンLH−200、AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を48質量%水酸化ナトリウム溶液で中和したもの
・ノニオン界面活性剤:ダイヤドール13(エチレンオキシド平均付加モル数15、純分90質量%、三菱化学株式会社製)
[その他の成分]
・酵素混合物:プロテアーゼ(サビナーゼ12T)/リパーゼ(LIPEX100T)/アミラーゼ(ステインザイム12GTS)/セルラーゼ(セルザイム0.7T)(以上、ノボザイムズ・ジャパン株式会社製)=4/1/4/1(質量比)の混合物
・ゼオライト:A型ゼオライト(商品名:シルトンB、水澤化学工業株式会社製;純分80質量%)
・MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL−400、日本触媒株式会社製;純分40質量%水溶液)
・ポリアクリル酸ナトリウム:ソカランPA30(BASF社製、重量平均分子量8,000、固形分50%)。
・カルボキシメチルセルロース:CMCダイセル1170(ダイセル化学工業株式会社製、平均粒径60μm)
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学株式会社製)
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業株式会社製)
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子株式会社製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/mL)。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子株式会社製;平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm)。
・層状珪酸ナトリウム:SKS−6(クラリアント製)。
・塩化ナトリウム:日精のやき塩C(日本精塩株式会社製)。
・ナトリウム型ベントナイト造粒物:ランドロジルDGA(SUD社製;Na/Ca質量比=2.7)
・香料:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
・蛍光増白剤:チノパールCBS−X/チノパールAMS−GX(以上、チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)=3/1(質量比)の混合物
・色素:群青(大日精化工業株式会社製、Ultramarine Blue)
・ポリエチレングリコール:一級試薬(純正化学株式会社製、重量平均分子量1000)
(実施例1〜8、11〜16、比較例1〜6)
表1〜3の組成に従い、ビーカー中で、1mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH7.0)に各成分を分散して液体状の殺菌剤を調製した。調製した各例の殺菌剤を蒸留水で1000質量倍に希釈し、殺菌液とした。この殺菌液を用いて殺菌評価を行い、その結果を表1〜3に示す。
(実施例9、10)
表2に示す組成に従い、1mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH7.0)に各成分を分散して液体状の殺菌剤を調製した。調製した殺菌剤を蒸留水で100質量倍に希釈し、殺菌液とした。この殺菌液を用いて殺菌評価を行い、その結果を表2に示す。
(実施例17、18)
表3に示す組成に従い、各成分を粉体混合して固形状の殺菌剤を調製した。この固形状の殺菌剤をそれぞれ蒸留水に分散し、(A)成分の濃度が10質量ppmの殺菌液とした。この殺菌液を用いて殺菌評価を行い、その結果を表3に示す。
(殺菌評価)
黄色ブドウ球菌(S.aureus FDA209P)を普通寒天培地(ディフコ社製)に植菌して37℃で24時間培養した。培養した菌株を白金耳で分取して生理食塩水に懸濁し、OD550nmにおける濁度が1.0となるように生理食塩水で希釈した(菌液)。
各例で調製した殺菌液10mLを試験管に入れ、さらに前記菌液0.01mLを加え、25℃で10分間保管し殺菌処理した。その後、殺菌液と菌液との混合液0.3mLを分取し、SCDLP培地(商品名、日本製薬株式会社製)2.7mLに添加して殺菌処理を終了させた。さらにSCDLP培地で順次10倍希釈し、それぞれの希釈した試料を普通寒天培地に0.1mLに塗沫し、37℃で24時間培養し、生成したコロニー数をカウントし、殺菌処理終了時の生菌数に対応するコロニー数を測定した。別途、ブランクとして、殺菌液に換え蒸留水を用いて殺菌処理を行い、殺菌処理終了時の生菌数に対応するコロニー数を測定した。下記(2)式よりΔLOGの値を求め、殺菌処理による生菌数の低下の指標とした。ΔLOGの数値が大きいほど、殺菌効果が高いといえる。
ΔLOG=(ブランクにおけるコロニー数の常用対数値)−(各溶液におけるコロニー数の常用対数値) ・・・(2)
Figure 2010215591
Figure 2010215591
Figure 2010215591
表1〜3に示すとおり、実施例1〜18の結果から、殺菌剤は、(A)〜(C)成分を含有し、かつ、(A)成分の含有量を0.2質量%以上とすることで、ΔLOGが1以上となり、殺菌効果が認められた。実施例11〜13では、(C)成分の濃度を1質量%(殺菌液中、10質量ppm)まで低下させても、ΔLOGが1以上であり、殺菌効果が認められた。実施例6、14〜15では、(A)成分がリノール酸ナトリウム、リノレン酸又は糠脂肪酸のいずれであっても、ΔLOGが1以上であり、殺菌効果が認められた。
実施例6及び16では、(B)成分の遷移金属が銅又は亜鉛のいずれであっても、ΔLOGが1以上であり、殺菌効果が認められた。
実施例17、18では、(C)成分に過炭酸ナトリムを用い、殺菌剤を固形状とすることでΔLOGは4を超えていた。
(A)成分又は(B)成分が含まれない比較例1〜4では、ΔLOGが1未満であり、十分な殺菌効果が得られなかった。また、殺菌剤中の(A)成分が0.2質量%未満である比較例5では、ΔLOGは1未満であり、十分な殺菌効果が得られなかった。(A)成分に換えて炭化水素鎖に不飽和結合を1つ有するオレイン酸ナトリウムを用いた比較例6では、ΔLOGが1未満であり、十分な殺菌効果が得られなかった。
(実施例19〜27、比較例7)
表4に示す組成に従い、以下の手順で洗剤組成物を調製した。
ノニオン界面活性剤、後述の粉砕用3質量%相当量及びコート用2質量%相当量のA型ゼオライトを除いた量のA型ゼオライト15質量相当分、層状珪酸ナトリウム、酵素、香料、色素、過炭酸ナトリウムを除いた各成分を用いて固形分40質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した。出来上がった噴霧乾燥用スラリーの温度は60℃であった。このスラリーを、圧力噴霧ノズルを具備した向流式噴霧乾燥装置で噴霧乾燥し、揮発分(105℃、2時間の減量)が3質量%、嵩密度が0.35g/mL、平均粒子径が300μmの噴霧乾燥粒子を得た。これを40℃に保温した二軸式連続ニーダー(株式会社栗本鐵工所製、KRCニーダ#2型)に、後述の噴霧用のノニオン界面活性剤1質量%相当量を除くノニオン界面活性剤2質量%相当量及び水分調整用の水を共に入れて捏和物を得た。その後、この捏和物を押出して1〜2cm角のサイコロ状に細断した後、A型ゼオライト3質量%相当量(粉砕用)と共に破砕機(岡田精工株式会社製、スピードミルND−10型)で破砕し破砕造粒物とした。破砕の条件は、開口径2mmスクリーンを用い、回転数1500rpmとした。得られた破砕造粒物に転動ドラムでA型ゼオライト2質量%相当量(コート用)をコートし、1質量%相当量のノニオン界面活性剤(噴霧用)を噴霧した。
次いで、過炭酸ナトリウム、酵素、層状珪酸ナトリウムを投入し転動ドラムで混合し、さらに色素20%水分散液と香料をスプレー添加して洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物は嵩密度が0.85g/mL、平均粒子径が560μmであった。得られた洗剤組成物について、殺菌評価を行い、その結果を表4に示す。
表4中、糠脂肪酸の配合量は、(A)成分であるリノール酸及びリノレン酸の合計量を脂肪酸の純分(35質量%)として記載した。
殺菌評価に用いた殺菌液は次のように調製した。各例の洗剤組成物1000gを4回縮分した。縮分した洗剤組成物の50gを25℃の水道水で100質量倍に希釈した洗剤溶液5000gを得た。該洗剤溶液は、洗剤組成物が10000質量ppmの洗剤溶液である。当該洗剤溶液10gを25℃の水道水で希釈し、洗剤組成物濃度が667質量ppmとした殺菌液を調製した。洗剤組成物濃度667質量ppmは、一般的な洗剤組成物の標準使用濃度である。この殺菌液を用い、実施例1と同様の方法で殺菌評価を行った。
(実施例28)
表4の組成に従い、各成分をビーカー内で攪拌混合し、粒状の洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物について、実施例19と同様にして殺菌評価を行い、その結果を表4に示す。
Figure 2010215591
表4に示すように、本発明の殺菌剤を含有する洗剤組成物である実施例19〜28は、いずれもΔLOGが1以上であり、殺菌効果が認められた。一方、殺菌剤を含有しない比較例7は、ΔLOGが0.2であり、殺菌効果が不十分であった。

Claims (7)

  1. (A)成分:炭化水素鎖に2つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸及び/又はその塩と、(B)成分:遷移金属及び/又はその化合物と、(C)成分:過酸化水素及び/又は無機過酸化物とを有し、
    (A)成分の含有量は、0.2〜10質量%であることを特徴とする殺菌剤。
  2. (B)成分は、銅又は銅化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の殺菌剤。
  3. (A)成分は、リノール酸、リノレン酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の殺菌剤。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の殺菌剤の調製に用いる殺菌剤調製液であって、
    (B)成分を含有し(C)成分を含有しない含金属水性液と、(C)成分を含有し(B)成分を含有しない含過酸化水素水性液とを少なくとも備えることを特徴とする、殺菌剤調製液。
  5. 請求項1〜3の殺菌剤を含有することを特徴とする、洗剤組成物。
  6. 請求項1〜3の殺菌剤を含有することを特徴とする、漂白剤組成物。
  7. 請求項1〜3の殺菌剤を用いることを特徴とする、殺菌方法。
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