JP2009149098A - 熱転写シート、その製造法およびこの熱転写シートが転写された画像形成体 - Google Patents

Abstract

【課題】効率よく熱転写処理を行うことができるホログラム熱転写シートを提供する。
【解決手段】基材シートと、この基材シート上に剥離可能に設けられた透明転写層からなる熱転写シートであって、前記透明転写層の少なくとも一部にホログラム層が形成されていることを特徴とする熱転写シート、この熱転写シートの製造法、および、この熱転写シートが転写された画像形成体。
【選択図】図１

Description

本発明は、熱転写シートに関するものである。
更に詳しくは、本発明は、すぐれた偽造防止機能を有するホログラムを容易に転写することができる熱転写シート、その製造法およびこの熱転写シートが転写された画像形成体に関するものである。

ホログラムは、一般に光の干渉パターンを記録したものであって、光源や見る角度に応じて色彩変化や三次元画像を視覚的に認識可能にしたものである。このホログラムの形成には高度な技術が必要とされ、またホログラム像の僅かな歪みも視覚的に容易に識別可能であることから、従来、クレジットカード、バンクカード、ＩＤカード等の物品の偽造や変造防止等を目的として利用されている。

クレジットカード、バンクカード、ＩＤカード等に記載された情報の偽造、変造を防止し、これらのカード等の表面に設けられた体積ホログラム層を保護するためには、ホログラムおよび情報保護のために保護層を設ける必要がある。しかし、従来の方法では、カード表面に情報を記載する工程およびカード上にホログラムを形成させる工程の後に、別工程として保護層形成工程を実施する必要があって、大量に効率よく製造することが困難であった。

本発明者らは、上記課題を解決するものである。
従って、本発明による熱転写シートは、
基材シートと、
この基材シート上に剥離可能に設けられた透明転写層からなる熱転写シートであって、
前記透明転写層の少なくとも一部にホログラム層が形成されていること、を特徴とするものである。

この発明の好ましい態様において、前記透明転写層を、保護層を有する中間転写媒体と、ホログラム層を有するホログラム転写層の積層体されたものとすることができる。

また、この発明の前記の態様において、前記透明転写層を、保護層を有する中間転写媒体上に、ホログラム層を有するホログラム転写層が熱転写方式により積層されたものとすることができる。

この発明の好ましい態様としては、前記保護層を有する中間転写媒体上に、粘着層を介してホログラム層を有するホログラム転写層が積層されたものとすることができる。

更に、この発明の前記の態様としては、前記保護層を有する中間転写媒体上に、感圧接着層を介してホログラム層を有するホログラム転写層が積層されたものとすることできる。

更に、この発明の好ましい態様としては、前記の熱転写シートにおいて、ホログラム転写層をパターン状に形成されたものとすることができる。

また、本発明による熱転写シートの製造法は、基材シート上に設けられた保護層を有する中間転写媒体上に、ホログラム層を有するホログラム転写層を熱転写方式により積層すること、を特徴とするものである。

本発明による別の熱転写シートの製造法は、基材シート上に設けられた保護層を有する中間転写媒体上に、粘着層を介してホログラム層を有する体積ホログラム転写層を積層すること、を特徴とするものである。

本発明によるもう一つの熱転写シートの製造法は、基材シート上に設けられた保護層を有する中間転写媒体上に、感圧接着層を介してホログラム層を有するホログラム転写層を積層すること、を特徴とするものである。

また、本発明による画像形成体は、上記の熱転写シートが転写されたものであること、を特徴とするものである。

なお、本発明において、「ホログラム層」とは、レリーフホログラム、エンボスホログラム、体積ホログラム、その他の回折構造を有する転写層を含むものである。

本発明による熱転写シートは、ホログラムが形成されたものであって、例えばクレジットカード、バンクカード、ＩＤカード等の物品の偽造や変造防止等を図るものである。
本発明によれば、大量に効率よく熱転写シートの製造および熱転写処理を行うことができる。

そして、本発明によるホログラム転写層をパターン状に設けた熱転写シートを用いることにより、安価に、効率的にホログラム転写シートおよびホログラム層を有する画像形成体を得ることができる。

本発明による熱転写シートの一具体例の断面を示す模式図。 本発明による熱転写シートの一具体例である保護層熱転写シートを示す模式図。 本発明による熱転写シートの一具体例であるパッチ転写シートを示す模式図。 本発明による熱転写シートの一具体例である面順次転写シートを示す模式図。 本発明による熱転写シートの一具体例である中間転写媒体シートを示す模式図。 本発明による熱転写シートの一具体例であるエンボスホログラム転写シートを示す模式図。 本発明による熱転写シートの一具体例であるエンボスホログラム中間転写媒体シートを示す模式図。

以下、特に好ましい本発明による熱転写シートを、必要に応じて図面を参照しながら説明する。
＜熱転写シート＞
添付の各図面は、本発明による熱転写シートの好ましい具体例を模式的に示すものである。
図１に示される本発明による熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、この透明転写層３の少なくとも一部に体積ホログラム層４が形成されているものである。

この図１の熱転写シート１は、これをカード等の物品（図示せず）上に重ね合わせて熱転写操作に付すと、基材シート２と透明転写層３とがその界面で剥離すると共に、この透明転写層３がカード等の物品に転写されるものである。ここで、この透明転写層３は、保護層を有する中間転写媒体（イ）と、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）の積層体からなることができる。

そして、この透明転写層３は、好ましくは、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を熱転写方式により積層することによって製造することができる。

この図１に示される本発明による熱転写シート１には、好ましい態様として、例えば保護層転写シートに関する第一の態様（図２（ｂ）、図２（ｃ））、パッチ転写シートに関する第二の態様（図３（ｂ）、図３（ｃ））、面順次転写シートに関する第三の態様（図４（ｂ）、図４（ｃ））、中間転写媒体に関する第四の態様（図５（ｂ）、図５（ｃ））、エンボスホログラム転写シートに関する第五の態様（図６（ｂ）、図６（ｃ））、エンボスホログラム中間転写媒体に関する第六の態様（図７（ｂ）、図７（ｃ））を含むことができる。

<<第一の態様：保護層熱転写シート>>
図２（ｂ）は、第一の態様の好ましい一具体例を示すものである。
この図２（ｂ）に示される熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、粘着層６αを介して体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が積層されたものである。保護層を有する中間転写媒体（イ）は、剥離層４および保護層５とからなっており、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）は、接着層７、体積ホログラム層８および接着層９からなっている。尚、上記の粘着層６αの代わりに、感圧接着層６βを用いることもできる。

この図２（ｂ）に示される熱転写シート１は、図２（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）および粘着層６α（または感圧接着層６β）を形成させたものと、基材シート１０に体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）の両シートを接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。
図２（ｃ）は、図２（ｂ）に示される熱転写シート１を模式的に示す斜視図である。

第一の態様における透明転写層３を最終画像形成物に転写の際は、基材シート２の裏面よりＴ／Ｈ等で加熱することにより剥離層４と保護層５の界面で剥離し、保護層より任意の形状で最終画像形成物に転写される。

尚、ここでは必須の構成につき説明したが、各層を形成する材料等によっては、その他中間層等を介在させたり、各層を材料等変更することにより２層とすることも可能である。

<<第二の態様：パッチ転写シート>>
第一の態様において、保護層を有する中間転写媒体の部分が、第一の態様における保護層は塗工で設けたものであるのに対し、第二の態様におけるパッチ転写シートとは、ＰＥＴなどの保護シートを予めハーフカットまたは溶断し、所定の大きさにしたものを積層したものであり、最終画像形成物に転写の際は、剥離層４と保護シート５の界面で剥離し、保護シート毎最終画像形成物に転写される。
後記の図３（ｃ）において５の部分より最終画像形成物に転写される。

図３（ｂ）は、第二の態様の好ましい一具体例を示すものである。
この図３（ｂ）に示される熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、粘着層６αを介して体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が積層されたものである。保護層を有する中間転写媒体（イ）は、剥離層４および保護層５とからなっており、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）は、接着層７、体積ホログラム層８および接着層９からなっている。尚、上記の粘着層６αの代わりに、感圧接着層６βを用いることもできる。

この図３（ｂ）に示される熱転写シート１は、図３（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）および粘着層６α（または感圧接着層６β）を形成させたものと、基材シート１０に体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）を接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。
図３（ｃ）は、図３（ｂ）に示される熱転写シート１を模式的に示す斜視図である。

<<第三の態様：面順次転写シート>>
図４（ｂ）は、第三の態様の好ましい一具体例を示すものである。
この図４（ｂ）に示される熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、粘着層６αを介して体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が積層されたものである。保護層を有する中間転写媒体（イ）は、離型層１１および保護層５とからなっており、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）は、接着層７、体積ホログラム層８および接着層９からなっている。尚、上記の粘着層６αの代わりに、感圧接着層６βを用いることもできる。

基材シート２上の保護層を有する中間転写媒体（イ）が形成されていない面部分には、色材層１２（１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ）が設けられており、基材シート２の反対面には、必要に応じて背面層１３が形成することができる。

また、必要に応じ基材シート２を易接着加工することにより、基材シート２と色材層１２との接着強度を向上させることができる。

この図４（ｂ）に示される熱転写シート１は、図４（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）および粘着層６α（または感圧接着層６β）を形成させたものと、基材シート１０に体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）を接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。
図４（ｃ）は、図４（ｂ）に示される熱転写シート１を模式的に示す斜視図である。

<<第四の態様：接着層兼受容層タイプ>>
図５（ｂ）は、第四の態様の好ましい一具体例を示すものである。
この図５（ｂ）に示される熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、接着層兼受容層６’を介して体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が積層されたものである。保護層を有する中間転写媒体（イ）は、剥離層４および保護層５とからなっており、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）は、接着層７、体積ホログラム層８および接着層９からなっている。

接着層兼受容層６’上の体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が形成されていない面部分６”には、インキ等によって文字や図形ないし識別記号等を描くことができる。

この図５（ｂ）に示される熱転写シート１は、図５（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）および接着層兼受容層６’を形成させたものと、基材シート１０に体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）を接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。
図５（ｃ）は、図５（ｂ）に示される熱転写シート１を模式的に示す斜視図である。

<<第五の態様：エンボスホログラム転写シート>>
図６（ｂ）は、第五の態様の好ましい一具体例を示すものである。
この図６（ｂ）に示される熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、粘着層６αを介して体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が積層されたものである。保護層を有する中間転写媒体（イ）は、剥離層４、保護層５、エンボスホログラム層１４および蒸着層１５からなっており、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）は、接着層７、体積ホログラム層８および接着層９からなっている。尚、上記の粘着層６αの代わりに、感圧接着層６βを用いることもできる。

この図６（ｂ）に示される熱転写シート１は、図６（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）および粘着層６α（または感圧接着層６β）を形成させたものと、基材シート１０に、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）を接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。

この第五の態様では、体積ホログラム層８とエンボスホログラム層１４との二種類のホログラム層が形成されたものである。この二種類のホログラム層の立体的配置による相乗効果によって偽造、変造の防止性がより向上したものである。エンボスホログラム加工という一般に容易かつ廉価に行うことができる加工によって、偽造、変造の防止性を格段に向上させることができる。
図６（ｂ）では、エンボスホログラム層１４が保護層を有する中間転写媒体（イ）の全面に形成されているが、部分的に形成することもできる。
図６（ｃ）は、図６（ｂ）に示される熱転写シート１を模式的に示す斜視図である。

<<第六の態様：エンボスホログラム中間転写媒体>>
図７（ｂ）は、第六の態様の好ましい一具体例を示すものである。
この図７（ｂ）に示される熱転写シート１は、基材シート２と、この基材シート２より剥離可能な透明転写層３からなるものであって、保護層を有する中間転写媒体（イ）上に、接着層兼受容層６’を介して体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が積層されたものである。保護層を有する中間転写媒体（イ）は、剥離層４、保護層５、エンボスホログラム層１４および蒸着層１５からなっており、体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）は、接着層７、体積ホログラム層８および接着層９からなっている。

接着層兼受容層６’上の体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が形成されていない面部分６”には、インキ等によって文字や図形ないし識別記号等を描くことができる。

この図７（ｂ）に示された熱転写シート１は、図７（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）および接着層兼受容層６’を形成させたものと、基材シート１０に体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）を接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。

この第六の態様では、体積ホログラム層８とエンボスホログラム層１４との二種類のホログラム層が形成されている。この二種のホログラムの立体的配置に相乗効果により、偽造、変造の防止性がより向上している。一般にエンボスホログラム加工は容易かつ廉価に行えることから熱転写シート（イ）の全面に形成することしても製造価格的に大きな不利にならない。

接着層兼受容層６’上の体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）が形成されていない面部分６”には、インキ等によって文字や図形ないし識別記号等を描くことができる。
図７（ｃ）は、図７（ｂ）に示される熱転写シート１を模式的に示す斜視図である。

＜熱転写シートの製造＞
本発明による熱転写シートは任意の方法によって形成することができる。例えば、上記のいずれかの層上に別の層を順次に塗布あるいは積層することによって形成することも出来るし、予め塗布あるいは積層しておいた２層以上の複層構造物、例えば情記材熱転写シート（イ）と体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）、を合体することによって形成することもできる。

本発明では、好ましくは例えば図１〜７の（ａ）に示されるように、基材シート２上に保護層を有する中間転写媒体（イ）を形成させたものと、基材シート１０に体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層（ロ）を形成させたものとを重ね合わせて（イ）と（ロ）を接合した後、基材シート１０を剥離することによって形成することができる。

＜ホログラム層＞
ホログラムは一般に光の干渉パターンを記録したものであって、光の干渉縞が透過率変調、屈折率変調の形で記録して三次元画像を形成するものである。

本発明における体積ホログラム層は、体積ホログラム記録材料の塗布などによって形成することができる。この体積ホログラム記録材料としては、例えばマトリックスポリマー、光重合可能な化合物、光重合開始剤、増感色素、可塑剤などからなる乾式体積位相型ホログラム記録用途の材料を使用することができ、また、例えば銀塩乳剤、ダイクロメートゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂などを含むことができる。

体積ホログラム層はシートの一部分に通常設けられるが、シートの全面に設けることもできる。

＜基材シート＞
本発明による熱転写シートにおける基材シートとしては、従来からこの種の熱転写シート用途において用いられているものを、そのままあるいは必要な改変を加えて用いることができる。本発明において好ましい基材シートとしては、樹脂材料、例えば（イ）ポリエステル（好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート）、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等、（ロ）紙類、例えばグラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等、からなるものを挙げることができる。これらの２種以上からなるものを用いることができる。なお、この基材シートは、本発明による熱転写シートがカード等の被転写物に転写された後に剥離されるものなので、この基材シート自体が透明であることは通常必要とされない。しかし、この基材シートには、本発明による熱転写シートが印画物に良好に転写されるように、充分な耐熱性および強度を有するものでなくてはならない。

従って、本発明では、耐熱性および強度が優れたもの、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。

基材シートの厚さは、具体的に用いられた材料および熱転写対象および条件に応じて、必要とされる強度、耐熱性等を考慮して適宜決定することができる。本発明では、例えばポリエチレンテレフタレートを使用する場合は、例えば２．５〜１００μｍが好ましい。

＜粘着層＞
粘着層としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系の各粘着剤を例示することができる。

＜接着層＞
接着層としては、各種の化合物を用いることができる。本発明において好ましいものとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニルとの共重合樹脂、スチレン‐アクリル共重合樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などを例示することができる。この中では特にポリエステル系樹脂が好ましい。
接着層の厚さは、０．１〜５μｍ、特に０．３〜３μｍ、が好ましい。

＜保護層＞
本発明による熱転写シートにおいて、保護層は透明性を有する樹脂、好ましくは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポレーテルエーテルケトン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等を例示することができる。

＜離型層＞
本発明では、離型層を設けることによって熱転写性を向上させることができる。この離型層は、熱転写したときに基材シート側に残り、カード等の被転写物上に付着して残らないようにすることが必要である。特にこの離型層は、第三の態様として示された面順次転写シートのように、基材シート上に色材層が形成されており基材シートが易接着加工されたものである場合に、基材シートと透明転写性シートとの剥離性を向上させるのに有効である。

この離型層は、例えばワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル樹脂、無水マレイン酸樹脂の少なくとも１種あるいはこれらの共重合物あるいは混合物から形成することかできる。
この離型層の厚さは０．２〜１．５μｍ、特に０．３〜１μｍ、が好ましい。

＜背面層＞
背面層は、熱転写の際にサーマルヘッドや加熱ロール等が融着するのを防止したり、スリップ性を向上させたり、帯電防止や、熱転写シートの剛性を高め伸縮を防止して、保護層熱転写シートの位置決めを容易にすることに寄与する。

このような背面層は、例えば従来から熱転写フィルムの分野にて用いられてきた素材、好ましくは例えばシリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。

また、背面層の耐熱性や塗膜強度および基材シートとの密着性を向上させるために、樹脂中に反応基を有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネートとの反応硬化物や、不飽和結合を有するモノマー、オリゴマーとの反応生成物を用いることができ、硬化方法は加熱したり、電離放射線を照射したり、その硬化手段は特に限定されない。

これらの樹脂からなる背面層に添加、あるいは上塗りすることができる滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラグトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサンなどのシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物および燐酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
背面層の厚さは、０．１〜３μｍ、特に０．１〜２μｍ、が好ましい。

＜色材層＞
本発明においては、熱昇華性色材層あるいは熱溶融性色材層をさらに形成することができる。このことによって、本発明による熱転写シートをカード等の被転写物に熱転写するときに同時に、あるいは熱転写とは独自に、カード等の被転写物に色材を付着させることができる。このことによって、カード等の被転写面に文字、図形等のパターンを形成することができる。
例えば次のような色材層を順次形成させることができる。
（イ）イエロー染料層／マゼンダ染料層／シアン染料層／熱転写性保護層
（ロ）イエロー染料層／マゼンダ染料層／シアン染料層／ブラック染料層／熱転写性保護層
（ハ）イエロー染料層／マゼンダ染料層／シアン染料層／ブラック溶融インキ層／熱転写性保護層
（ニ）ブラック染料層／熱転写性保護層
（ホ）ブラック溶融インキ層／熱転写性保護層
（ヘ）イエロー溶融インキ層／マゼンダ溶融インキ層／シアン溶融インキ層／熱転写性保護層

上記のような各色材層およびその形成方法自体は従来から公知であり、本発明ではそのような公知の色材および形成方法の中から適したものを適宜選択して用いることができる。

＜エンボスホログラム層＞
本発明による熱転写シートにおけるエンボスホログラム層は、例えばホログラムが形成されるようにエンボス加工を施した樹脂フィルムによって形成することができる。

＜紫外線吸収材＞
本発明による熱転写シートでは、必要に応じて紫外線吸収材を用いることができる。このような紫外線吸収材を含有した層を用いることによって太陽光等に含まれる紫外線から印画物および転写層自体の変質・劣化を予防あるいは抑制することができるようになる。

この紫外線吸収剤は、転写後の印画物上に存在することになる層の何れか一層あるいは二層以上の中に配合することができる。前記の吸水性層、中間層、接着層とは別に層を設けて、この層の中に紫外線吸収剤を配合することもできる。

そのような紫外線吸収材としては、従来公知の各種化合物を用いることができる。例えば、有機紫外線吸収剤、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物等、無機紫外線吸収剤、例えば亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等の酸化物等、を好ましいものとして例示することができる。
紫外線吸収剤の配合量は、積層構造の紫外線吸収剤が配合された層全体に対してて１０〜４０重量％、特に２５〜３５重量％、が好ましい。

＜熱転写＞
本発明による熱転写シートをカード等の被転写物の熱転写する方法は、特に限定されず、熱転写が良好に行われるようなものであれば従来から用いられてきたものを採用することができる。熱転写シートを印画物上に転写するには、熱転写シートの加熱、保護層熱転写シートと印画物との圧着および基材シートの剥離が必要となる。

これらは別々の工程として行うこともできるし、可能な場合には同時に行うことも可能である。また、その際に使用される装置も従来から用いられてきたものを採用することができる。例えば、サーマルプリンター、熱ロール、ラインヒーター、ホットスタンパーなどを用いることができる。

実施例１
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。

（１）中間転写媒体の作製
厚さ６μｍのＰＥＴフィルム（ルミラー、東レ製）上に、下記組成の剥離層形成用塗工液を塗布し、乾燥させることにより剥離層を形成した。剥離層は、乾燥時で０．７ｇ／ｍ^２の厚さとした。
＜剥離層形成用塗工液の組成＞
ポリビニルアルコール １７．０重量％
ポリウレタン １３．０重量％
水 ２３．３重量％
ソルミックス ４６．７重量％

次に、形成した剥離層上に、下記組成の保護層形成用塗工液を塗布し、乾燥させることにより保護層を形成した。保護層は、乾燥時で１．０ｇ／ｍ^２の厚さとした。
＜保護層形成用塗工液の組成＞
アクリル系樹脂 ２９．５重量％
スリップ剤（ポリエチレンワックス） ０．５重量％
メチルエチルケトン ３５．０重量％
トルエン ３５．０重量％

次いで、形成した保護層上に、下記組成の接着層形成用塗工液を塗布し、乾燥させることにより接着層を形成した。接着層は、乾燥時で１．６ｇ／ｍ^２の厚さとした。
＜接着層形成用塗工液＞
アクリル酸エステル系共重合物 ２０．０重量％
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 １５．０重量％
メチルエチルケトン ３２．５重量％
トルエン ３２．５重量％

上記のようにして、ＰＥＴフィルム／剥離層／保護層／接着層の積層構成を有する中間転写媒体を得た。

（２）体積ホログラム転写層の形成
先ず、ＰＥＴフィルム／ホログラム記録層／剥離性ＰＥＴフィルム（HRF800x001、デュポン製）の積層構造を有する積層体Ａを準備した。

次に、エチレン−酢酸ビニル共重合体（EC1700、中央理化製）６０重量部を、イソプロピルアルコール４０重量に溶解させた溶液を、上記で用いたものと同様のＰＥＴフィルム上にグラビアコーターを用いて塗布し、乾燥させることにより接着層を有する積層体Ｂを得た。接着層は、乾燥時で膜厚３μｍとした。

また、エチレン−酢酸ビニル共重合体（EC1700、中央理化製）６０重量部を、イソプロピルアルコール４０重量に溶解させた溶液を、上記で用いたものと同様の剥離性ＰＥＴフィルム上にグラビアコーターを用いて塗布し、乾燥させることにより第一接着層を有する積層体Ｃを得た。第一接着層は、乾燥時で膜厚３μｍとした。

上記の積層体Ａに、波長５１４ｎｍのレーザー光を照射することにより、ホログラム記録層にリップマンホログラムを記録し、１００℃で１０分間加熱を行った。次いで、この積層体Ａの剥離性ＰＥＴフィルムを積層体Ａから剥離し、その剥離面に積層体Ｂの接着層側を貼り合わせ、８０℃で熱ラミネート処理を行うことにより、積層体Ａと積層体Ｂを貼着した。このようにして、ＰＥＴフィルム／接着層／体積ホログラム層／ＰＥＴフィルムの積層構造を有する積層体Ｄを得た。

次に、上記で得られた積層体Ｄに高圧水銀灯を照射して、体積ホログラムの定着処理を行い、その後、体積ホログラム層に接する側のＰＥＴフィルムを積層体から剥離し、その剥離面に積層体Ｃの第一接着層側を貼り合わせ、１００℃で熱ラミネート加工を行うことにより、積層体Ｄと積層体Ｃとを貼着した。このようにして、ＰＥＴフィルム／接着層／体積ホログラム層／第一接着層／剥離性ＰＥＴフィルム／の積層構造を有する透明な体積ホログラム転写層を形成した。

（３）熱転写シートの作製
上記で得られた体積ホログラム転写層の剥離性ＰＥＴフィルムを剥離し、その剥離面（すなわち、第一接着層面）に、上記で得られた中間転写媒体の接着層側を貼り合わせ、ＴＰ−７０１Ｓ ＨＥＡＴ ＳＥＡＬ ＴＥＳＴＥＲ（TESTER SANGYO製）を用いて、体積ホログラム転写層と中間転写媒体とを貼着した。ヒートシール条件は、以下の通りとした。
＜ヒートシール条件＞
加圧時間 １７秒
設定温度 １３０℃
圧力 ２ｋｇｆ／ｃｍ^２

次に、上記の体積ホログラム転写層と中間転写媒体とを貼着したものから、体積ホログラム転写層側に設けられたＰＥＴフィルムを剥離した。このようにして、ＰＥＴフィルム／剥離層／保護層／接着層／第一接着層／体積ホログラム層／接着層の積層構造を有する保護層熱転写シートを得た。

（４）カードへの熱転写例
上記で得られた熱転写シートの接着層をＰＶＣカード（大日本印刷製）に貼り合わせて、下記条件にてラミネート加工を行った。
＜ラミネート加工条件＞
加工装置 VDS CX-710プリンター
印画条件 標準印画条件にてサンプル画像を印画（TEST PRINTモードにて実施）
ヒートロール温度 １９０℃（設定値）
印画速度 約３０ｎｍ／ｓｅｃ
圧力 １〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２（推定値）

なお、本実施例においては、上記加工条件にてラミネート加工を行ったが、ＰＶＣカードに予め、昇華式熱転写プリンターを用いて画像を印刷したものを用いても良い。

上記のようにして、熱転写シートをＰＶＣカード上にラミネート加工したした後、熱転写シートのＰＥＴフィルムを剥離することにより、体積ホログラムを有する保護層付きカードを得た。

比較例１
（１）保護層が設けられていない熱転写シートを用いた熱転写例
実施例１で得られた体積ホログラム転写層の剥離性ＰＥＴフィルムを剥離し、その剥離面（すなわち、第一接着層面）に、実施例１で用いたものと同様のＰＶＣカードを貼り合わせて、下記条件にてラミネート加工を行った。
＜ラミネート加工条件＞
加工装置 VDS CX-710プリンター
印画条件 標準印画条件にてサンプル画像を印画（TEST PRINTモードにて実施）
ヒートロール温度 １９０℃（設定値）
印画速度 約３０ｎｍ／ｓｅｃ
圧力 １〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２（推定値）

上記のようにして、保護層を有さない熱転写シートをＰＶＣカード上にラミネート加工したした後、熱転写シートのＰＥＴフィルムを剥離することにより、体積ホログラムを有する保護層無しカードを得た。

評価
上記実施例１および比較例１にて得られた体積ホログラムを有するカードを目視にて観察したところ、奥行きのあるホログラム画像が確認できた。

次に、上記実施例１および比較例１にて得られた体積ホログラムを有するカードの耐摩耗性評価を行った。耐摩耗性評価は、上記の各カード上に研磨輪を３００回回転させた後、カード上の画像が破壊されているかを目視にて確認することにより行った。

評価条件は以下の通りとした。
試験機 ROTARY ABRATION TESTER（東洋精機製）
研磨輪 ＣＳ−１０
荷重 ５００ｇ

結果は以下に示す通りであった。
実施例１のカード： 画像の破壊は確認されなかった。
比較例１のカード： 画像が破壊されていた。

１ 熱転写シート
２ 基材シート
３ 透明転写層
４ 剥離層
５ 保護層
６α 粘着層
６β 感圧接着層
６’ 接着層兼受容層
７ 接着層
８ 体積ホログラム層
９ 接着層
１０ 基材シート
１１ 離型層
１２ 色材層
１３ 背面層
１４ エンボスホログラム層
１５ 蒸着層
イ 保護層を有する中間転写媒体
ロ 体積ホログラム層を有する体積ホログラム転写層

Claims (10)

1. 基材シートと、
   この基材シート上に剥離可能に設けられた透明転写層からなる熱転写シートであって、
   前記透明転写層の少なくとも一部に体積ホログラム層が形成されており、
   前記透明転写層が、保護層を有する中間転写媒体と、体積ホログラム層を有するホログラム転写層の積層体からなるものであり、
   前記ホログラム転写層は、前記保護層を有する中間転写媒体上の一部に設けられていることを特徴とする、熱転写シート。
2. 前記透明転写層が、保護層を有する中間転写媒体上に、体積ホログラム層を有するホログラム転写層が熱転写方式により積層されたものである、請求項１に記載の熱転写シート。
3. 前記保護層を有する中間転写媒体上に、粘着層を介して体積ホログラム層を有するホログラム転写層が積層されたものである、請求項１に記載の熱転写シート。
4. 前記保護層を有する中間転写媒体上に、感圧接着層を介して体積ホログラム層を有するホログラム転写層が積層されたものである、請求項１に記載の熱転写シート。
5. 請求項１〜４に記載の熱転写シートにおいて、体積ホログラム転写層がパターン状に形成されたものである、熱転写シート。
6. 基材シート上に設けられた保護層を有する中間転写媒体上に、体積ホログラム層を有するホログラム転写層を熱転写方式により積層することを特徴とする、請求項１に記載の熱転写シートの製造法。
7. 基材シート上に設けられた保護層を有する中間転写媒体上に、粘着層を介して体積ホログラム層を有するホログラム転写層を積層することを特徴とする、請求項３に記載の熱転写シートの製造法。
8. 基材シート上に設けられた保護層を有する中間転写媒体上に、感圧接着層を介して体積ホログラム層を有するホログラム転写層を積層することを特徴とする、請求項４に記載の熱転写シートの製造法。
9. 前記中間転写媒体が紫外線吸収機能を有するものである、請求項１〜４のいずれか１項に記載の熱転写シート。
10. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の熱転写シートが転写されたものであることを特徴とする、画像形成体。

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