JP2009148288A - 器官形成を改良した植物及びその作出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する少なくとも1つの核酸配列を安定に保持し、且つ該核酸配列を有していない植物に比べて少なくとも1種の器官形成が改良された植物及びその子孫。
【選択図】図1
Description
E遺伝子をシロイヌナズナに導入して根の形態変化が報告されている(特開平10-4978、
特開2000-270873)。しかし、これらの遺伝子を形質転換した植物の多くは、実際には産
業上利用可能な程度に十分な効果は得られておらず、実用化に至っていないのが現状である。
、リョクトウ(非特許文献6:Physiol. Plant., 64, 53, 1985、非特許文献7:Plant Cell Physiol., 24, 677, 1983)では不定根形成が促進されることが示されている。ポリ
アミンと花、茎、葉、子房などの器官形成との関与については、これまでほとんど報告されていない。
Planta, 162, 532, 1984 Science, 223, 1433, 1984 Plant Growth Reg., 3, 329, 1985 Plant Sci., 56, 167, 1988 Plant Sci., 62, 123, 1989 Physiol. Plant., 64, 53, 1985 Plant Cell Physiol., 24, 677, 1983 植物のポリアミン生合成に関わるポリアミン代謝関連酵素としてはアルギニン脱炭酸酵素(ADC)、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)、スペルミジン合成酵素(SPDS)、スペルミン合成酵素(SPMS)等が知られている。これらのポリアミン代謝関連酵素をコードするポリアミン代謝関連遺伝子については植物から既に幾つか単離されている。ADC遺伝子はエンバク(非特許文献8:Mol. Gen. Genet., 224, 431-436, 1990)、トマト(非特許文献9:Plant Physiol., 103, 829-834, 1993)、シロイヌナズナ(非特許文献10:Plant Physiol., 111, 1077-1083, 1996)、エンドウ(非特許文献11:Plant Mol. Biol., 28, 997-1009, 1995)、ODC遺伝子はチョウセンアサガオ(Datura)(非特許文献12:Biocem. J., 314, 241-248, 1996)、SAMDC遺伝子はジャガイモ(非特許文献13:Plant Mol. Biol., 26, 327-338, 1994)、ホウレンソウ(非特許文献14:Plant Physiol., 107, 1461-1462, 1995)、タバコ、SPDS遺伝子はシロイヌナズナ(非特許文献15:Plant cell Physiol., 39(1), 73-79, 1998)等から単離されている。 Mol. Gen. Genet., 224, 431-436, 1990 Plant Physiol., 103, 829-834, 1993 Plant Physiol., 111, 1077-1083, 1996 Plant Mol. Biol., 28, 997-1009, 1995 Biocem. J., 314, 241-248, 1996 Plant Mol. Biol., 26, 327-338, 1994 Plant Physiol., 107, 1461-1462, 1995 Plant cell Physiol., 39(1), 73-79, 1998
はSAMDC、SPDS、スペルミンについてはSAMDC、SPMS等が見つかっている。これらのポリアミン代謝関連酵素をコードしているポリアミン代謝関連酵素遺伝子についても既に幾つかの植物で単離されている。さらに、幾つかのポリアミン代謝関連酵素遺伝子については植物への導入が試みられているが、得られた形質転換植物で茎、葉、花、子房、種子などの器官形成の改良については報告されていない。
1. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する少なくとも1つの核酸配列を安定に保持し、且つ該核酸配列を有していない植物に比べて少なくとも1種の器官形成が改良された植物及びその子孫。
6. ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)、(b)または(c)の塩基配列を有するスペルミジン合成酵素遺伝子である、請求項4記載の植物及びその子孫。 (a)配列番号1(SPDS、1328)に示される塩基配列中塩基番号77〜1060で示される塩基配列、
(b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
(c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(a)配列番号3(SAMDC、1814)に示される塩基配列中塩基番号456〜15
47で示される塩基配列、
(b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
(c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
8. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)、(b)または(c)の塩基配列を有するアルギニン脱炭酸酵素遺伝子である、請求項4記載の植物及びその子孫。
(b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
(c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(a)配列番号1に示される塩基配列中塩基番号77〜1060で示される塩基配列、
(b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
(c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(a)配列番号5に示される塩基配列中塩基番号541〜2661で示される塩基配列、(b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
(c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する少なくとも1つの核酸配列を含む少なくとも1つの発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換し、
(2)該形質転換細胞から、該核酸配列を有していない植物に比べて改良された器官形成を有する植物体を再生し、
(3)該植物体から受粉により種子を採取し、および
(4)該種子を栽培して得られる植物体から受粉により得られる種子における該核酸配列を検定して該核酸配列のホモ接合体を選抜すること
を含む、該核酸配列についてホモ接合体である、該核酸配列を有していない植物に比べて改良された器官形成を有する形質が固定された植物の作出方法。
(1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する少なくとも1つの核酸配列の抑制因子を含む少なくとも1つの発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換し、
(2)該形質転換細胞からカルスを誘導する
を含む、該核酸配列についてホモ接合体である、該核酸配列を有していない植物に比べて改良された器官形成を有する形質が固定されたカルスの作出方法。
アミノプロパン、プトレシン、カダベリン、カルジン、スペルミジン、ホモスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、テルミン、スペルミン、テルモスペルミン、カナバルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、N,N−ビス(アミノプロピル)カダベリン、ホモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、カルドヘキサミン、ホモカルドヘキサミンなどが挙げられる。
本発明において「ポリアミン代謝関連酵素遺伝子」とは、植物におけるポリアミンの生合成に関与する酵素のアミノ酸をコードする遺伝子であり、例えば代表的なポリアミンであるプトレシンについてはアルギニン脱炭酸酵素(ADC)遺伝子とオルニチン脱炭酸酵素(ODC)遺伝子、スペルミジンについてはS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)遺伝子とスペルミジン合成酵素(SPDS)遺伝子、スペルミンについてはS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)遺伝子とスペルミン合成酵素(SPMS)遺伝子が関与し、律速になっていると考えられている。
シンと二酸化炭素を生成する反応を触媒する酵素である。S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC:S-adenosylmethionine decarboxylase EC4.1.1.50.)はS−アデノシルメチオニンからアデノシルメチルチオプロピルアミンと二酸化炭素を生成する反応を触媒する酵素である。スペルミジン合成酵素(SPDS:spermidine synthase EC2.5.1.16.)はプトレシンとアデノシルメチルチオプロピルアミンからスペルミジンとメチルチ
オアデノシンを生成する反応を触媒する酵素である。
ク科;アカザ科;ヒルガオ科からなる群から選ばれたもの、又は単子葉植物、例えばイネ、小麦、大麦、トウモロコシ等のイネ科などが含まれる。乾燥に強いサボテンやアイスプラント(Mesembryanthemum crystallinum)でもよい。好ましくは、ウリ科植物、より好
ましくはクロダネカボチャがよい。
・配列番号1に示される塩基配列中塩基番号77〜1060で示される塩基配列を有するDNA
・配列番号3に示される塩基配列中塩基番号456〜1547で示される塩基配列を有するDNA、及び
・配列番号5に示される塩基配列中塩基番号541〜2661で示される塩基配列を有するDNA、
が挙げられる。さらに、
・該上記いずれかの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列を有し、且つ該配列と同等のポリアミン代謝関連酵素活性を有するポリペプチドをコードす
るDNA、及び
・該上記いずれかの配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり且つ該配列と同等のポリアミン代謝関連酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
が挙げられる。
内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子
該抑制因子は、該遺伝子の発現を抑制するものであれば特に制限されず、例えば該遺伝子及びその上流又は下流から選ばれる配列のアンチセンスDNAまたは二本鎖RNA(dsRNA)、RNAiが例示される。該アンチセンスDNAは、該遺伝子のイントロンまたはエクソン、該遺伝子のプロモーターを含む5‘上流側の調節領域または終止コドンの下流側であって、遺伝子発現に影響する領域のいずれかに相補的であればよい。アンチセンスDNAの長さは、少なくとも20塩基、好ましくは少なくとも100塩基、より好ましくは少なくとも300塩基、特に少なくとも500塩基を有する。該アンチセンスDNAの転写産物は、内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子のmRNAとハイブリダイズするか、内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子或いはその上流又は下流の配列の非コーディング領域(例えばプロモーター、イントロン、転写終結因子)にハイブリダイズする。RN
Aiは、標的遺伝子に対するセンス配列と、標的遺伝子に対するアンチセンス配列を有するRNAから構成され、該センス配列とアンチセンス配列は2本のRNAに各々含まれて2本鎖RNAとして機能してもよく、1本のRNAに含まれて2重鎖部分とそれらをつなぐループ配列を有する1つのRNA分子として機能してもよい。
本発明において、「器官」としては、上述のごとく、植物のあらゆる器官(組織)で、例えば、茎、塊茎、葉、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、さく果、種子、繊維、胚珠などを包含し、該器官(組織)の形成に関わる形質として数量、生育期間、形、着色、性質、特性が例示される。
「葉の数が改良された植物」とは、植物の葉の数が増加又は減少若しくは縮小した植物である。
「花の数または花の開花期が改良された植物」とは、植物の花の数が増加又は減少若しくは縮小した植物、または植物の花の開花時期が早まりまたは開花期間が増大した植物である。「子房の数または子房の発達期間が改良された植物」とは、植物の子房、果実、さや、さく果の数が増加又は減少若しくは縮小した植物、または子房、果実、さや、さく果の着果から成熟までの生育または発達の期間が増大又は減少若しくは縮小した植物である。「種子の数が改良された植物」とは、植物の種子(胚珠などを含む)の数が増加又は減少若しくは縮小した植物である。
宿主由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子の使用もまた好ましい。
果実の生育や発達期間を改良することができる。
テリウム・リゾゲネス(Agrobacteriumu rhizogenes)による感染を利用して外因性ポリ
アミン代謝関連酵素遺伝子を導入する場合には、該細菌が保持するTiまたはRiプラスミド上のT−DNA領域(植物染色体に転移する領域)内に該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子発現カセットを挿入して用いることができる。現在、アグロバクテリウム法による形質転換の標準的な方法ではバイナリーベクター系が使用される。T−DNA転移に必要な機能は、T−DNA自身とTi(またはRi)プラスミドの両者から独立に供給され、それぞれの構成要素は別々のベクター上に分割できる。バイナリープラスミドはT−DNAの切り出しと組込みに必要な両端の25bpボーダー配列を有し、クラウンゴール(または毛状根)を引き起こす植物ホルモン遺伝子が除去されており、同時に外来遺伝子の挿入余地を与えている。このようなバイナリーベクターとして、例えばpBI101やpBI
121(ともにCLONTECH社)などが市販されている。なお、T−DNAの組込みに作用するVir領域は、ヘルパープラスミドと呼ばれる別のTi(またはRi)プラスミド上にあ
ってトランスに作用する。
1.ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の取得
(1)PCR用cDNAライブラリーの作製
昼18℃/夜14℃・3日間の低温処理を行ったクロダネカボチャ(Cucurbita ficifolia Bouche)の根組織から常法に従い、poly(A)+RNAを抽出する。単離したpoly(A)+RNAから市販のMarathon cDNA Amplification Kit(CLONTECH社製)等を用いてPCR用に使用するcDNAライブラリーを作製することができる。単離したpoly(A)+RNAを鋳型として、3’末端に2つのdegenerate nucleotide positionを持つ修飾lock−docking oligo(dT)プライマーと逆転写酵素を用いてfirst−strand cDNAを合成し、ポリメラーゼ反応によって2本鎖化したcDNAを得る。該2本鎖cDNAをT4 DNA ポリメラーゼにより末端を平滑化し、Marathon cDNAアダプターをライゲーション反応により結合させ、アダプター結合二本鎖cDNAライブラリーを作製する。
(2)PCRプライマーの設計
ポリアミン代謝関連酵素遺伝子としてSPDS遺伝子、SAMDC遺伝子、ADC遺伝子、ODC遺伝子を単離することができる。SPDS遺伝子はシロイヌナズナやヒヨス、SAMDC遺伝子はジャガイモ、ホウレンソウ、タバコ、ADC遺伝子はダイズ、エンド
ウ、トマト、ODC遺伝子はチョウセンアサガオ(Datura)等から単離されており、既に塩基配列が決定している。従って、決定している既知の塩基配列を比較し、非常に保存されている領域を選抜し、DNAオリゴマーを合成しPCR用プライマーを設計することができる。
(3)PCRによるSPDS遺伝子、SAMDC遺伝子、ADC遺伝子断片の取得
上記(1)の方法で作製したPCR用cDNAライブラリーをテンプレートとして、上記(2)の方法で設計したプライマーを使用して、それぞれPCRを行う。PCR産物をゲル電気泳動で分離し、グラスミルク法などで精製する。精製したPCR産物はTAベクターなどのクローニングベクターに連結させる。
(4)完全長遺伝子の単離
完全長の遺伝子を得るためには、常法に従って、プラークハイブリダイゼーション、RACE(rapid amplification of cDNA ends)法やMarathon RACE法等により完全長の遺伝子を得ることができる。
(1)発現コンストラクトの作製および、アグロバクテリウムの形質転換
発現コンストラクトの作製は前記1.で得られたポリアミン代謝関連酵素遺伝子をオープンリーディングフレームをすべて含むような適当な制限酵素で切断後、必要に応じて適当なリンカーを連結し、植物形質転換用ベクターに挿入して作製することができる。植物形質転換用ベクターとしては、pBI101、pBI121などを用いることができる。
より形質転換することができる。例えば、三者接合法は目的遺伝子を含んだ発現コンストラクトを保有する大腸菌、ヘルパープラスミド(例えばpRK2013等)を保有する大腸菌、およびアグロバクテリウムを混合培養して、抗生物質(例えばリファピシリン、カナマイシン、ハイグロマイシン等)を含んだ培地上で培養することによって形質転換アグロバクテリウムを得ることができる。
(2)トランスジェニック植物の作出
本発明において、遺伝子導入を行う植物としては、植物体全体、植物器官(例えば葉、茎、根、花器、生長点、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)、植物培養細胞などを挙げることができる。
2)に播種し、無菌的に栽培する。発根した根の切片を用いてCIMプレート(MSOプレートに2,4−ジクロロフェノキシ酢酸を終濃度0.5μg/ml、カイネチンを0.05μg/mlとなるように加えたもの)上でカルス培養を行う。プロモーターに目的遺伝子を接続し、カナマイシン及びハイグロマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドにより形質転換したアグロバクテリウムを培養し、希釈したものをチューブに分注し、カルス化した根の切片を浸し、数日間CIMプレート上で共存培養する。菌株が肉眼で観察できるまで十分に増殖したら、除菌操作を行い、SIMCプレート(MSOプレートに、N6-[2-イソペンテニル] アデニンを終濃度5μg/ml、インドール酢酸(IAA)を終濃度0.15μg/ml、クラフォランを終濃度500μg/mlとなるように加えたもの)上で数日間培養を行う。これらの切片を最終的にSIMCSプレート(カナマイシンおよびハイグロマイシンBを含有するプレート)上で培養し、1週間ごとに新しいプレートに移植を繰り返す。形質転換した切片は増殖を続け、カルスが現れてくる。抗生物質で選択しているため、非形質転換切片は褐変する。形質転換体が5mm程度の大きさになり、ロゼット葉を形成するまで培養する。完全なロゼットの形状を示すようになったら、形質転換体の根元をカルス部分を含まないようにメスで切り取り、RIMプレート(MSOプレートにIAAを終濃度0.5μg/mlとなるように加えたもの)に移植する。大きなカルスが付いていると、発根してもカルスを介して根が出ていて、ロゼットとは維管束がつながっていないことが多い。約8〜10日後、無機塩類培地〔5mM KNO3、2.5m
M K−リン酸緩衝液(pH5.5)、2mM MgSO4 、2mM Ca(NO3 )2
、50μM Fe−EDTA、1000×微量要素(70mM H3 BO3 、14mM MnCl2、0.5mM CuSO4 、1mM ZnSO4 、0.2mM NaMoO4
、10mM NaCl、0.01mM CoCl2)1ml/リットル〕に浸したロック
ウール上に定植する。開花し、さやを形成した植物体は無機塩類培地に浸した土に移植し、種子を得ることができる。この種子を滅菌処理し、MSH(MSOプレートのハイグロマイシンBを終濃度5U/mlとなるように加えたもの)に播種して発芽させることにより形質転換体を得ることができる。
きる。すなわち、シロイヌナズナの種子を常法に従って培養土(例えばメトロミックス等)に播種して、22℃、長日条件下(例えば16時間日長・8時間暗黒等)で栽培する。約3〜4週間後に伸長した主軸(花茎)を切除して、側枝の誘導を開始させる。摘心約1週間をに培養した形質転換アグロバクテリウム懸濁液にシロイヌナズナを浸し、これをデシケーターに入れてバキュームポンプで約−0.053Mpa(400mmHg)になるまで吸引後、10分間、室温放置する。感染後の鉢を深底トレイに移して、横倒しに置き、トレイの底に少量の水を滴下して透明な覆いを被せ多湿条件下で約1日放置する。感染後の鉢を起こして、22℃・長日条件下で栽培を開始して、種子の収穫を行う。
間日長)、20〜25℃で生育させて種子の数や形、収穫後に発芽率等を調べることにより評価することができる。
実施例1:植物由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子のクローニング
(1)ポリ(A)+RNAの調製
クロダネカボチャ(Cucurbita ficifolia Bouche)をバーミキュライトに播種し、子葉展開時に市販の床土(サンサン床土;タキイ種苗社製)を詰めた鉢に移植した。鉢上げしたクロダネカボチャを植物栽培用のインキュベーター(気温 昼26℃/夜22℃、13時間日長)内に置いた。第2本葉展開時にインキュベーター内の温度を昼18℃/夜14℃まで下げ低温処理を開始した。低温処理3日後に、根、茎、葉に分けてサンプリングした。RNA抽出まで−80℃のフリーザーに保存した。
で細かく粉砕した。その後、10 mlの抽出用0.2Mトリス酢酸緩衝液〔5M guanidine thiocyanate、0.7%β-mercaptoethanol、1%polyvinylpyrrolidone(M.W.360,000)、0.62%N-Lauroylsarcosine Sodium Salt、pH8.5)を加えポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用い氷冷下2分間粉砕した。ただし、β−メルカプトエタノールとポリビニルピロリ
ドンは使用する直前に添加した。その後、粉砕液を17,000×gで20分間遠心分離し、上清
を回収した。
を回収した。この沈殿を3mlの10mM Tris-HCl、1mM EDTA・2Na、pH8.0(TE緩衝液と呼ぶ)に溶解し、さらに等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(容積比、25:24:1)を加え良く混合した後、遠心分離を行って上層の水層を回収した。得られた水
層に、1/10倍量の3M 酢酸ナトリウム(氷酢酸でpH6.2に調製)と、2.5倍量のエタノール
を添加して良く混合し、-20℃で一晩静置した。その後、17,000×gで20分間遠心分離し、得られた沈殿を70%エタノールで洗浄して減圧乾燥した。
し、オリゴdTセルロースカラム精製を繰り返し行った。得られた低温処理したクロダネカボチャの根由来のpoly(A)+RNAはPCR用のcDNAライブラリーと完全長遺伝子単離用のcDNAライブラリーの作製に用いた。
(2)PCR用cDNAライブラリーの作製
cDNAライブラリーの作製はMarathon cDNA Amplification Kit(Clontech社製)を使用
した。(1)で得られたクロダネカボチャの根由来のpoly(A)+RNAを鋳型として3’末端に2つのdegenerate nucleotide position を持つ修飾lock-docking オリゴ(dT)プライマーと逆転写酵素を用い、GublerとHoffmanらの方法(Gene, 25, 263-269 (1983))に
従い2本鎖cDNAを合成した。
末端へ結合しやすくなるように5’末端をリン酸化したもの)を連結した。得られたアダプター結合のcDNAをクロダネカボチャ根由来のPCR用cDNAライブラリーとした。
(3)PCR用プライマーの設計
既に植物や哺乳類から単離されているアルギニン脱炭酸酵素遺伝子、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子、スペルミジン合成酵素遺伝子の決定されている塩基配列を比較した。そして、非常に相同性が高く保存されている領域を選び出し、DNAオリゴマーを合成した(配列プライマーI〜VI)。
SPDSプライマーI(配列番号7):5’-GTTTTGGATGGAGTGATTCA-3’
SPDSプライマーII(配列番号8):5’-GTGAATCTCAGCGTTGTA-3’
SAMDCプライマーIII(配列番号9):5’-TATGTGCTGTCTGAGTCGAGC-3’
SAMDCプライマーIV(配列番号10):5’-GCTAAACCCATCTTCAGGGGT-3’
ADCプライマーV(配列番号11):5’-GGGCT(T/G)GGA(G/A)T(G/C)GACTA(C/T)-3’
ADCプライマーVI(配列番号12):
5’-(T/C)CC(A/G)TC(A/G)CTGTC(G/A)CA(G/C)GT-3’
(4)PCRによる増幅
(2)で得られたPCR用cDNAライブラリーをテンプレートとして、(3)で設計した配列プライマーを用いてPCRを行った。PCRのステップは最初、94℃、30秒、45℃、1分間、72℃、2分間で5サイクル、続いて94℃、30秒、55℃、1分間、72℃、2分間で30サイクル行った。
(5)アガロースゲル電気泳動
PCR増幅産物を1.5%アガロース電気泳動を行い、泳動後のゲルをエチジウムブロマイド染色し、UVトランスイルミネーター上で増幅バンドを検出した。
(6)PCR産物の確認と回収
検出された増幅バンドを確認し、カミソリの刃を用いてアガロースゲルから切り出した。切り出したゲルを1.5mlのマイクロチューブに移し、QIAEXII Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いてゲルからDNA断片の単離精製を行った。回収したDNA断片をpGEMTクローニングベクター(Promega社製)にサブクロ
ーニングし、大腸菌に形質転換後、常法に従ってプラスミドDNAを調製した。
(7)塩基配列決定
得られたプラスミドの挿入配列の塩基配列決定をダイデオキシ法(Messing, Methods in Enzymol., 101, 20-78, 1983)により行った。SPDS遺伝子については3種類の遺
伝子、SAMDC遺伝子については1種類の遺伝子、ADC遺伝子については2種類の遺伝子が単離された。
(8)ホモロジー検索
これらの遺伝子の塩基配列を既知遺伝子塩基配列のデータベースとホモロジーサーチを行うとSPDS遺伝子は既知の植物由来のSPDS遺伝子と70%の相同性を示した。SAMDC遺伝子については既知の植物由来のSAMDC遺伝子と70%以上の相同性を示した。ADC遺伝子については既知の植物由来のADC遺伝子と67%以上の相同性を示した。
(9)完全長遺伝子の取得
完全長遺伝子はプラークハイブリダイゼーション法で取得した。cDNAライブラリーの作製はZAP-cDNA Synthesis Kit(Stratagene社製)を使用した。(1)で得られたクロダネカボチャ根由来のpoly(A)+RNAを鋳型としてオリゴ(dT)プライマーと逆転写酵素を用い、GublerとHoffmanらの方法(Gene, 25, 263-269 (1983))に従い2本鎖cDNAを合成し
た。
し、Xho Iで消化した後、それをλファージベクター、λZAP IIアームのEcoRIとXho I部
位に連結後、インビトロパッケージングキット(Stratagene社製、GIGAPACK Gold)を用
い、パッケージングを行ない、大腸菌SURE株(OD660=0.5)に感染させることにより多数
の組換えλファージを得た。これをクロダネカボチャ根由来のcDNAライブラリーとした。このライブラリーのサイズは8.0×106であった。
ボンド−N、アマシャム社製)に写し取った。
リウム)で洗浄した後、メンブレンをストラタリンカー(Stratagene社製)を用いDNAの
固定を行なった。固定処理を行なったナイロンメンブレンをハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、0.5%SDS、6×SSPE(3M NaCl、0.2M NaH2PO4、20mMEDTA・2Na、pH7.4)、5×デンハルト溶液(0.1% Ficoll、0.1% Polyvinylpyrrolidone、0.1% bovine serum
albumin)、50μg/ml変性サケ精子DNAを含有中において、42℃で3時間プレハイブリさせ、作製したcDNAプローブを加え42℃で18時間ハイブリダイズさせた。その後、メンブレンを取り出し、2×SSC、1×SSC、0.5×SSCおよび0.1×SSCを含有する溶液を用いて、42℃で1時間〜2時間洗浄した。このメンブレンを乾燥した後、X線フィルムを密着させて一晩感光させた。
サートを持つプラスミドクローンを調製した。インビボ・エクシジョン法は、ZAP-cDNA Synthesis Kit(stratagene社製)の方法に従った。
ベートした後、3mlの2×YT培地を加え37℃で2時間振盪培養し、70℃で20分間処理し、遠
心分離(4,000×g、10分間)して上清を回収した。得られた上清30μlと大腸菌SURE懸濁
液30μlを混ぜ、37℃で15分間インキュベートした後、アンピシリンを50ppm含むLB寒天培地に数μl植菌し、37℃で一晩培養した。コロニーを形成した大腸菌は、cDNAインサート
を持つプラスミドクローンを含んでいた。これらのプラスミドの挿入配列の塩基配列決定を、ダイデオキシ法(Messing, Methods in Enzymol., 101, 20-78, 1983)により行っ
た。その結果、開始コドンを含むプラスミドであることが明らかとなった。
(1)発現コンストラクトの作製
配列番号1に示したポリアミン代謝関連遺伝子FSPD1の塩基配列よりオープンリーディングフレームをすべて含むように、XhoIで切断し、グラスミルク法で精製した。次にpGEM−7Zf(Promega社製)をXhoI切断して、FSPD1断片をセンスとアンチセンス方向にそれぞれサブクローニングした。pGEM−7Zfのマルチクローニングサイトの制限酵素XbaIとKpnIで再度FSPD1断片を切り出して、35Sプロモーターが連結しているバイナリーベクターpBI101−Hm2にサブクローニングした。これらのプラスミドをpBI35S−FSPD1+/−と命名した。その発現コンストラクトの構造を図1に示した。なお、形質転換された大腸菌JM109を、Escherichia coli JM109/pBI35S−FSPD1+/−と命名した。
(2)プラスミドのアグロバクテリウムへの導入
(1)で得られた大腸菌pBI35S−FSPD1+/−、大腸菌pBI35S−FSAM24+/−、大腸菌pBI35S−FADC76+/−とヘルパープラスミドpRK2013を持つ大腸菌HB101株を、それぞれ50mg/lのカナマイシンを含むLB培地で37℃で1晩、アグロバクテリウムC58株を50mg/lのカナマイシンを含むLB培地で28℃で2晩培養した。各培養液1.5mlをエッペンドルフチューブに取り集菌したのち、LB培地で洗浄した。これらの菌体を1mlのLB培地に懸濁後、3種の菌を100μlずつ混合し、LB培地寒天培地にまき、28℃で培養してプラスミドをアグロバクテリウムに接合伝達(三者接合法)させた。1から2日後に一部を白金耳でかきとり、50mg/lカナマイシン、20mg/lハイグロマイシン、25mg/lクロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に塗布した。28℃で2日間培養した後、単一コロニーを選択した。得られた形質転換体をC58/pBI35S−FSPD1+/−、C5
8/pBI35S−FSAM24+/−、C58/pBI35S−FADC76+/−と命名した。トランスジェニックシロイヌナズナの作製は減圧浸潤法〔以下(3)〜(6)〕または、カルス再生法〔以下(7)〜(12)〕で行った。
(3)シロイヌナズナの栽培
培養土メトロミックス(ハイポネックスジャパン社製)をプラスチック鉢に入れ、表面を網戸用のメッシュで覆い、メッシュの間にシロイヌナズナコロンビア株(以下「コロンビア株」又は「野生株」という)の種子(奈良先端科学技術大学院大学、河内孝之博士より提供)を2〜5粒づつ播種した。2日間・4℃の低温室にいれ発芽処理後、22℃・長日条件下(16時間日長・8時間暗黒)に移して栽培を行った。約4〜6週間後に主軸花茎が5〜10cm伸長した植物体について、摘心して側枝の誘導を行った。摘心約1〜2週間後にアグロバクテリウム感染処理を行った。
(4)アグロバクテリウム懸濁液の調製
前記(2)で作製したアグロバクテリウムを感染2日前に、抗生物質(50μg/ml
カナマイシン、20μg/ml ハイグロマイシン)を含んだ10mlLB培地に植菌して28℃で24時間振とう培養した。さらに、この培養液を分取して抗生物質(50μg/ml カナマイシン、20μg/ml ハイグロマイシン)を含んだ1000ml LB培地に移して、さらに、28℃、約24時間振とう培養した(OD600が1.2〜1.5になるまで)。培養液を室温下で集菌して、OD600が0.8〜1になるように浸潤用懸濁培地(0.5×MS塩、0.5×GamborgB5ビタミン、1% Sucrose、0.5g/l MES、0.44μM ベンジルアミノプリン、0.02% Silwet−77)に再懸濁した。
(5)アグロバクテリウムの感染
前記(3)で作製したシロイヌナズナの鉢に前記(4)で調製したアグロバクテリウム懸濁液が培養土中に吸収されるのを抑えるために、鉢の培養土中に水を与えた。1000mlのビーカーに約200〜300mlのアグロバクテリウム懸濁液を分取し、シロイヌナズナの鉢を逆さにして、植物体を懸濁液に浸けた。鉢を入れたビーカーをデシケーター内に入れ、バキュームポンプで約−0.053MPa(400mmHg)になるまで吸引後、約10分間放置した。徐々に陰圧を解除した後、植物をアグロバクテリウム懸濁液から取り出して、キムタオルで余分なアグロバクテリウム懸濁液を取り除き、深底トレイに横倒しした。少量の水を入れて、サランラップを被せた。この状態で約1日放置した。サランラップを外して、鉢を起こして約1週間給水を停止した。その後、徐々に培養土に水を与え、約3〜5週間の間、成熟したさやから種子の収穫を行った。収穫した種子は、茶こしを用いて、さややゴミを取り除きデシケーター内に入れ十分に乾燥させた。
(6)形質転換植物の取得
前記(5)で取得した種子100μl(約2000粒)を1.5mlのエッペンドルフチューブに移して、70%エタノール中で2分間、5%次亜塩素酸ナトリウム溶液中に15分間それぞれ浸して、最後に滅菌水で5回洗浄して種子の殺菌を行った。殺菌後の種子を15mlのファルコンチューブに移して、約9mlの0.1%無菌寒天溶液を加えて、激しく混合した。種子0.1%寒天混合液をファージをプレートする要領で選択培地(1×MS塩、1×GamborgB5ビタミン、1% Sucrose、0.5g/l MES、0.8% 寒天、100mg/l カルベニシリン、50mg/l カナマイシン、40mg/l ハイグロマイシン、8g/l Phytagar、pH5.7)に均一になるように広げた。クリーンベンチ内で約30分乾燥後、4℃、2日間の低温処理後、22℃のグロースチャンバーに移して、抗生物質に対して抵抗性を示す形質転換体を選抜した。本葉が3〜5枚した植物体を再度新しい選択培地に移して本葉が4〜6枚になるまで栽培した。抗生物質に対して抵抗性を示した形質転換植物(T1)を培養土を含んだ鉢に定植して、約5〜7日間多湿条件下で順化させた。順化後、23℃、長日条件下(16時間日長・8時間暗黒)で栽培させた。得られた形質転換植物(T1)、および該形質転換植物から得られた種子(T2)から生育させたT2植物体についてPCRまたはサザンハイブリダイゼーションによる導入遺伝子の解析とノーザンハイブリダイゼーションによ
る発現レベルの解析を行い、目的のポリアミン代謝関連酵素遺伝子が安定に組み込まれ、且つ発現している形質転換体を確認した。さらに、T2植物体からT3種子を収穫し、抗生物質に対する抵抗性試験(分離比検定)を行って形質転換出現比率からホモ接合体(T2)を取得した。T2種子とホモ接合体から取得したT3種子(T3ホモセルライン)を以下の実験に用いた。
(7)無菌シロイヌナズナの栽培
シロイヌナズナWassilewskija株(以下WS株と称す)の種子(奈良先端科学技術大学院大学、新名惇彦博士より提供)数10粒を1.5mlチューブに入れ、70%エタノール1mlを加え3分間放置した。続いて滅菌液(5%次亜塩素酸ナトリウム、0.02%TritonX−100)に3分間浸し、滅菌水で5回洗浄した後に、MSOプレート(ムラシゲ−スクーグ無機塩類4.6g、ショ糖10g、1000×ビタミンストック液1ml/リットル、pH6.2)に置床した。このプレートを4℃に2日間放置して低温処理を行い、続いて植物インキュベーター(サンヨー製、MLR−350HT)中に22℃、光強度6000ルクス、長日条件下(明期16時間、暗期8時間)にて、21日間培養した。感染効率を上げるために再度植物を無菌的に引き抜いて、新たなMSOプレートの表面に根を広げ、さらに2日間培養を続けた。
(8)アグロバクテリウムの感染
前記で21日間培養したWS株の根を数株ずつそろえて、メスで1.5〜2.0cm程度に切りそろえ、CIMプレート(MSOプレートに2,4−ジクロロフェノキシ酢酸を終濃度0.5μg/ml、カイネチンを0.05μg/mlとなるように加えたもの)に置き並べた。光強度3000ルクス、16時間明期、8時間暗期で2日間培養した。前記(2)で作製したアグロバクテリウムを抗生物質(50μg/ml カナマイシン、20μg/ml ハイグロマイシン)を含んだ10mlLB培地に植菌して28℃で24時間振とう培養し、アグロバクテリウムを、MS希釈液(ムラシゲ−スクーグ無機塩類6.4g/l、pH6.3)で3倍に希釈した。アグロバクテリウム希釈液をそれぞれ1mlずつチューブに分注し、この中にカルス化した根の切片を10分間浸した。2枚重ねた滅菌ろ紙上に並べ、余分な水分を除き、新しいCIMプレートに各々置き並べた。同条件にて2日間共存培養した。
(9)除菌
各々の菌株が肉眼で観察できるまで十分に増殖した切片を除菌液(MS希釈液にクラフォランを終濃度200μg/mlになるように加えたもの)に移し、ゆっくり振盪させて6
0分間洗浄した。この操作を5回繰り返した後、滅菌ろ紙上で水分を取り除き、SIMCプレート(MSOプレートに、2−ipを終濃度5μg/ml、IAAを終濃度0.15μg/ml、クラフォランを終濃度500μg/mlとなるように加えたもの)に置き並べ、光強
度6000ルクス、16時間明期、8時間暗期で2日間培養した。
(10)形質転換植物の選択
前記で2日間培養した切片をSIMCSプレート(SIMCプレートにハイグロマイシンBを終濃度4.6U/mlとなるように加えたもの)に移植し、光強度6000ルクス、16時間明期、8時間暗期で培養した。以後、1週間毎に新しいSIMCSプレートに移植した。形質転換した切片は増殖を続け、ドーム状に盛り上がったカルスとなるが、非形質転換体は褐変した。形質転換体は約2週間後、カルスが緑色を呈し、約1カ月後、葉が形成され、その後ロゼット葉となった。
(11)形質転換植物の再生
ロゼット葉となった植物体の根本を、カルス部分を含まないように剃刃もしくはメスで切り取り、RIMプレートに軽く乗せるように挿した。8〜10日後、1〜2cm程度の根が数本形成したものをピンセットで無機塩類培地〔5mM KNO3、2.5mM K−リン酸緩衝液(pH5.5)、2mM MgSO4、2mM Ca(NO3)2、50μM Fe−EDTA、1000×微量要素(70mM H3BO3、14mM MnCl2、0.5mM CuSO4、1mM ZnSO4、0.2mM NaMoO4、10mM NaCl、0.01mM CoCl2)1ml/リットル〕に浸したロックウールミ
ニポット(日東紡績社製)に定植し、培養した。開花し、莢形成後は、パーライトとバーミキュライト(TES社製)を1:1に混合し無機塩類混合培地に浸した土に植え換えた。約1カ月後、1株につき数百粒の種子が得られた。これを以後、T2種子と称す。
(12)抗生物質耐性株の取得
T2種子約100粒を(7)と同様の方法で滅菌し、MSHプレートに播種した。ほぼ3:1の割合でハイグロマイシンB耐性株が発芽した。
(13)DNA抽出とサザンハイブリダイゼーション
前記で発芽したT2種子を無機塩類培地に浸したロックウールミニポットにピンセットで移植し、光強度6000ルクス、16時間明期、8時間暗期、22℃の条件下で培養した。2週間後、ロックウールの表面をナイフで撫でるようにメスで地上部を切り取り、直ちに液体窒素で凍結した。これを液体窒素存在下乳鉢で細かく粉砕し、1g当たり、3mlのDNA抽出用緩衝液〔200mM Tris−HCl(pH8.0)、100mM EDTA−2Na、1% N−ラウロイルサルコシンナトリウム、100μg/ml pro
teinaseK〕を加え十分撹拌した。60℃1時間インキュベート後、遠心(10,000×g、10分間)し上清をミラクロスで濾過し新しいチューブに移した。フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)抽出を3回行なった後、エタノール沈殿を行った。沈殿をTE緩衝液に溶解した。それぞれ植物体約2.0gから、20μgずつのゲノムDNAが得られた。このうち1μgのDNAを用いて、それぞれを制限酵素EcoRI、HindIIIで切断し、1%アガロース電気泳動及びサザンハイブリ
ダイゼーションに供した。
ゲル電気泳動及びサザンハイブリダイゼーションに供した。ハイブリダイゼーション用プローブは各FSPD1、FSAM24、FADC76遺伝子断片を用いた。
リダイゼーションを行った。プローブを加え、50℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションの後、メンブレンを2×SSC、0.1%SDSを含む洗浄液で室温10分間2回洗浄し、続いて同じ洗浄液で50℃、30分間で2回洗浄した。メンブレンは乾燥させた後、X線フィルム(コダック社製)を入れたカセット内で−80℃一晩感光させ、オートラジオグラフィーをとった。形質転換を行っていない株(1)、FSPD1、FSAM24、FADC76を導入した形質転換体(2)、ベクターのみを導入した形質転換体(3)について、サザンハイブリダイゼーションにより検出されたシグナルのパターンを比較した。
、目的遺伝子が(2)に組み込まれていることが観察された。
実施例3:ノーザンブロット解析
実施例2で得られたT2形質転換体で目的の遺伝子が実際に遺伝子発現しているかを確かめるために、ノーザンブロッティングを下記に示す様に行った。
×Denhardt's、 0.1% SDS、80μg/ml Salmon sperm DNA、pH7.0)で、42℃、2時間プレ
ハイブリダイゼーションを行った。形質転換を行ったクロダネカボチャSPDS遺伝子断片のcDNAを32P-dCTPとランダムラベルキット(アマシャム社製)を用いて、プローブを作製した。このプローブをプレハイブリダイゼーションに加え、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、メンブランを2×SSC、0.1% SDSを含む洗浄液からスタートし、最終的には0.1× SSC、0.1% SDSを含む洗浄液で55℃30分2回まで洗浄した。メンブランをX線フィルム(Kodak社製)を用いて、オートラジオグラフィーを行った。
実施例4:ポリアミン含量の評価
(1)目的遺伝子が導入されている系統(セルライン)の選抜
実施例2で作製した形質転換体について、PCR(またはサザン解析)とノーザン解析による目的遺伝子の導入確認でセルラインの選抜を行った。その結果、確実にポリアミン代謝関連酵素遺伝子が導入され、且つ該遺伝子を発現しているセルライン、TSP−114、115、116、117、119、131、132、151、152、221、222を選抜した。TSP−114〜115はFSPD1が導入されている系統、TSP−131、132はFSAM24が導入されている系統、TSP−151、152はFADC76が導入されている系統、TSP−221、222はFSPD1がアンチセンス方向で導入されている系統についてポリアミン含量を調べた。
(2)ポリアミン含量の分析
同時に栽培を行った野生株(WT)と形質転換体(TSP)から約0.1〜0.3gのロゼット葉(または本葉)をサンプリングして密閉可能なポリ製バイアル瓶に移して凍結保存した。サンプリングした試料に希釈内部標準液(1,6−hexanediamine、内部標準量=7.5nmol)と5%過塩素酸水溶液(試料生体重1.0g当たり5〜20ml)を加え、オムニミキサーを用いて室温下で十分に磨砕抽出した。磨砕液を、4℃・35,000×gで20分間遠心分離して上清液を採取し本液を遊離型ポリアミン溶液とした。スクリューキャップ付きのマイクロチューブに400μlの遊離型ポリアミン溶液、200μlの飽和炭酸ナトリウム水溶液、200μlのダンシルクロライド/アセトン溶液(10mg/ml)を加えて軽く混和した。チューブの栓をしっかりと閉めたのちアルミ箔で多い、60℃のウォーターバスで1時間加温してダンシル化を行った。チューブを放冷した後、プロリン水溶液(100mg/ml)を200μl加えて混和した。アルミ箔で覆ってウォーターバスで30分間再加温した。放冷後、窒素ガスを吹き付けてアセトンを除いた後に、600μlのトルエンを加えて激しく混和した。チューブを静置して2相に分かれた後に、上層のトルエン層を300μlマイクロチューブに分取した。分取したトルエンに窒素ガスを吹き付けてトルエンを完全除去した。チューブに100〜200μlのメタノールを加えてダンシル化遊離型ポリアミンを溶解させた。プトレシン、スペルミジン、スペルミンの遊離型ポリアミン量の定量は蛍光検出器(励起波長は365nm、発光波長は510nm)を接続した高速液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法で分析した。HPLCカラムはμBondapak C18(Waters社製:027324、3.9×300mm、粒子径10μm)を使用した。試料中のポリアミン
含量は標準液と試料のHPLCチャートから、それぞれ各ポリアミンと内部標準のピーク面積を求めて算出した。その結果を表4に示す。
実施例5:種々の器官形成の評価
(1)茎・葉・花・さや数の評価
実施例2で得られたT3形質転換体(FSPD1がセンス方向で導入されているセルライン:TSP−16−1、16−2)と野生株(WT:コロンビア株)種子を培養土メトロミックス(ハイポネックスジャパン社製)を含んだプラスチック鉢に播種した。播種後、約2日間、4℃で低温処理後、鉢をプラスチックバットに入れ、23℃、長日条件下(16時間日長・8時間暗黒)で栽培を開始した。播種後、15週間育成した。育成後、各ラインで1個体当たりの茎(花茎)数を調査した。各ライン30個体について調査を行った。その結果を図3に示した。
当たりの茎数が増大したことで葉(茎生葉)、花、さや(子房)数も顕著に増大していることが明らかとなった。野生株とTSP−16−1の草姿を図4に示した。
(2)主茎と側茎数の評価
(1)の結果からT3形質転換体では野生株に比べて有意に茎数の増加が確認された。そこで、シロイヌナズナの茎は主茎(主花茎)と側茎(側花茎)に分かれることから、主茎と側茎についてそれぞれ数を調査することとした。実施例2で得られたT3形質転換体(FSPD1がセンス方向で導入されているセルライン:TSP−161B、162B)と野生株(WT:コロンビア株)種子を培養土メトロミックス(ハイポネックスジャパン社製)を含んだプラスチック鉢に播種した。播種後、約2日間、4℃で低温処理後、鉢をプラスチックバットに入れ、23℃、長日条件下(16時間日長・8時間暗黒)で栽培を開始した。播種後、7週間育成し、7週間目(49日目)から1週間毎に13週間目(91日目)まで、各ラインで1個体当たりの主茎(主花茎)と側茎(側花茎)数をそれぞれ調査した。各ライン30〜32個体について調査を行った。その結果を図5および図6に示した。
(3)葉・花・さや数の評価
(1)の結果からT3形質転換体では野生株に比べて葉、花およびさや(子房)数の増加が確認された。そこで、各器官についてそれぞれ詳細に数を調査した。実施例2で得られたT3形質転換体(FSPD1がセンス方向で導入されているセルライン:TSP−15−3、16−1)と野生株(WT:コロンビア株)種子を培養土メトロミックス(ハイポネックスジャパン社製)を含んだプラスチック鉢に播種した。播種後、約2日間、4℃で低温処理後、鉢をプラスチックバットに入れ、23℃、長日条件下(16時間日長・8時間暗黒)で栽培を開始した。播種後、67日間育成して67日目に各ラインで1個体(株)当たりの葉(茎生葉)、白色の花弁が付いている花、さや(さや長が5mm以上)数を調査した。各ライン30個体について調べた。その結果を表5に示した。
差は見られなかったが、T3形質転換体では1株当たりで1.6〜2.0倍程度さやの数が増加した結果、1株当たりで収穫された全種子数は有意に増大していることが明らかとなった。T3形質転換体から収穫されたT4種子と野生株の種子を用いて発芽率の比較試験を行ったところ、T4種子、野生株ともに95〜100%の高い発芽率が得られた。
(4)花の開花期、子房(さや)の発達期間の評価
実施例2で得られたT3形質転換体(FSPD1がセンス方向で導入されているセルライン:TSP−15−3、16−1)と野生株(WT:コロンビア株)種子を培養土メトロミックス(ハイポネックスジャパン社製)を含んだプラスチック鉢に播種した。播種後、約2日間、4℃で低温処理後、鉢をプラスチックバットに入れ、23℃、長日条件下(16時間日長・8時間暗黒)で栽培を開始した。各ラインすべての株について抽だい開始日と開花日(1番花)の調査と1番花の開花日からさや(子房)の成熟日(裂開開始日)までの調査を行った。各ライン30個体について調べた。花の開花日の結果を図7、さや(子房)の発達期間の結果を表6に示した。
実施例6:形質転換ペチュニアの評価
(1)形質転換ペチュニアの作製
pBI101−35S−FSPD1+とpBI101−35S−FSAM24+をアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefacience)Agl0株(Lazo et al. BioTechnology 9:963-967 (1991))に塩化カルシウムを用いる方法(たとえば、新生化学実験のてびき 3
化学同人 121-122ページ、1996)で導入した。得られた形質転換アグロバクテリウム
を、それぞれペチュニア(Petunia hybrida)品種サフィニアパープルミニ(サントリー
フラワーズ株式会社)由来のリーフディスクに感染させ、ハイグロマイシンに抵抗性を示す植物細胞を選抜、再分化させることにより、形質転換ペチュニアを取得した。ペチュニアの形質転換は公知の方法(Horsch et al. Science 227:1229-1231 (1985))を用いて行った。pBI101−35S−FSPD1+とpBI101−35S−FSAM24+により形質転換されたペチュニアそれぞれを実験区PT144と実験区PT146とした。PT144では23
個体、PT146では43個体の独立した形質転換体を取得した。
(2)導入遺伝子の発現解析
これらの植物から染色体DNAおよびRNAをそれぞれDNeasy Plant Mini KitとRNeasy Plant Mini Kit (株式会社キアゲン、東京)を用いることにより調製した。染色体DNAを鋳型にしたPCR反応 (PT144はプライマーFSPD1F (5’-TAGTAGAGGGATTATTATGTCTGCGGA-3’)とFSPD1R (5’-ATGACGCTGATCACAATATAAAGCGAC-3’)をPT146はプライマーFSAM24F (5’-TGAAGGCTATGAAAAGAGGCTTGAAGTA-3’)とFSAM24R (5’-TCATGAGGATTGACCTTGGGATGACG-3’)を用いてPCR反応を行った。反応は、95℃で1分間保持した後、95℃・1分、52℃・2分、72℃・3分からなるサイクルを30サイクル行い、さらに72℃で1分間保持した。)により、PT144およびPT146のペチュニアはそれぞれSPDS(FSPD1)およびSAMDC(FSAM24)遺伝子を保持する形質転換体であることがわかった。また、これら形質転換ペチュニアの葉から抽出した全RNA
を用いてRT-PCR (スーパースクリプトファーストストランド合成システムRT-PCR用(イン
ビトロジェン株式会社、東京)を用いてOligo(dT)12-18プライマーを用いて、逆転写反応
を行った。逆転写産物を鋳型とし、染色体DNAと同じプライマーとサイクルでPCRを行った。)によって各個体の遺伝子発現を解析した。PT144では9個体、PT146では27個体の植物体で外来遺伝子(PT144はSPDS、PT146はSAMDC)の発現が確認された。
(3)ポリアミン含量の評価
形質転換体の中から発現量の多かった個体(セルライン)について遊離型ポリアミン含量の分析を行った。同時に栽培を行った野生株(元株:PT144-C、PT146-C)と形質転換体(PT144, PT146)から約0.3〜0.6gの葉をサンプリングして凍結保存した。サンプリングした試料に希釈内部標準液(1,6−hexanediamine、内部標準量=7.5nmol)と5%過塩素酸水溶液(試料生体重1.0g当たり5〜10ml)を加え、オムニミキサーを用いて室温下で十分に磨砕抽出した。磨砕液を、4℃・35,000×gで20分間遠心分離して上清液を採取し本液を遊離型ポリアミン溶液とした。スクリューキャップ付きのマイクロチューブに400μlの遊離型ポリアミン溶液、200μlの飽和炭酸ナトリウム水溶液、200μlのダンシルクロライド/アセトン溶液(10mg/ml)を加えて軽く混和した。チューブの栓をしっかりと閉めたのちアルミ箔で覆い、60℃のウォーターバスで1時間加温してダンシル化を行った。チューブを放冷した後、プロリン水溶液(100mg/ml)を200μl加えて混和した。アルミ箔で覆ってウォーターバスで30分間再加温した。放冷後、窒素ガスを吹き付けてアセトンを除いた後に、600μlのトルエンを加えて激しく混和した。チューブを静置して2相に分かれた後に、上層のトルエン層を300μlマイクロチューブに分取した。分取したトルエンに窒素ガスを吹き付けてトルエンを完全除去した。チューブに100〜200μlのメタノールを加えてダンシル化遊離型ポリアミンを溶解させた。プトレシン、スペルミジン、スペルミンの遊離型ポリアミン量の定量は蛍光検出器を接続した高速液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法で分析した。HPLCカラムはμBondapak C18(Waters社製:027324、3.9×300mm、粒子径10μm)を使用した。試料中のポリアミン含量は標準液と試料のHPLCチャートから、それぞれ各ポリアミンと内部標準のピーク面積を求めて算出した。その結果を表7に示した。
転換体では遊離型スペルミン含量が野生株(146-C)に比べて有意に増加していることも
確認された。
ペチュニアは気温約25℃で、自然光に16時間明8時間暗サイクルの人口光を補った閉鎖
系温室内で栽培し、切り戻した直後から60日目までの間、外来遺伝子が発現していた個体について個体当たりの花数変化を経時的に測定した。その結果を表8、図8、図9に示した。表8、図8、図9の結果から形質転換ペチュニアでは元株(野生株)に比べて明らかに分枝数と花数が増加した。測定期間中、元株のサフィニアパープルミニの花数は10を越えることはなかったが、PT144では6個体(67%)、PT146では18個体(67%)が花数10を
越えた。また、一枝当たりの花数も元株では0〜3個の場合が多く5個を越えることはほと
んど見られない。しかし、形質転換体では、5個を越える花をつけた枝を持つ個体がPT144では3個体(33%)、PT146では5個体(19%)と高い割合を示した。
測定を行い、平均値で比較した)。元株の平均開花日数は8.34日、形質転換体の平均開花日数は9.35日であり、形質転換体では開花期間が増加している傾向が観察された。
Claims (12)
- (1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)遺伝子により該外因性SAMDC遺伝子を有していない植物の細胞を形質転換する工程;
(2)工程(1)で得られた形質転換細胞から植物体を再生する工程;及び
(3)工程(2)で得られた植物体から得られる形質転換体を栽培して器官形成の評価を行い、以下の(d)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された器官形成を有し、該器官形成の改良により生産性又は/及び収量が向上する植物を選別する工程
を含む、
以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された器官形成、及び以下の(d)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1種の器官形成を有し、該器官形成の改良により生産性又は/及び収量が向上することを特徴とする、該外因性SAMDC遺伝子を有していない植物に比べて、改良された器官形成を有する植物の作出方法:
(a)茎の数の増加
(b)花の数の増加
(c)花の開花期間の増加
(d)さやまたは子房または果実の数の増加
(e)種子または胚珠の数の増加 - 前記外因性SAMDC遺伝子が導入確認されたセルラインを選抜する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記導入された外因性SAMDC遺伝子がホモ接合体である植物を選抜する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
- 以下の工程:
(1)前記植物体から受粉により種子を採取する工程、および
(2)該種子を栽培して得られる植物体から受粉により得られる種子における前記外因性SAMDC遺伝子を検定して該外因性SAMDC遺伝子のホモ接合体を選抜する工程
を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 前記プロモーターが構成的プロモーター、組織特異的プロモーターまたは時期特異的プロモーターである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも2以上の器官形成が同時に改良されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- (1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性SAMDC遺伝子により該外因性SAMDC遺伝子を有していない植物の細胞を形質転換する工程;
(2)工程(1)で得られた形質転換細胞から植物体を再生する工程;及び
(3)工程(2)で得られた植物体から得られる形質転換体を栽培して器官形成の評価を行い、以下の(d)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された器官形成を有し、該器官形成の改良により生産性又は/及び収量が向上する植物を選別する工程
を含む、
植物の以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び以下の(d)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1種の器官形成を改良する方法:
(a)茎の数の増加
(b)花の数の増加
(c)花の開花期間の増加
(d)さやまたは子房または果実の数の増加
(e)種子または胚珠の数の増加 - 前記外因性SAMDC遺伝子が導入確認されたセルラインを選抜する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
- 前記導入された外因性SAMDC遺伝子がホモ接合体である植物を選抜する工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
- 以下の工程:
(1)前記植物体から受粉により種子を採取する工程、および
(2)該種子を栽培して得られる植物体から受粉により得られる種子における前記外因性SAMDC遺伝子を検定して該外因性SAMDC遺伝子のホモ接合体を選抜する工程
をさらに含む、請求項7〜9のいずれかに記載の方法。 - 前記プロモーターが構成的プロモーター、組織特異的プロモーターまたは時期特異的プロモーターである、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
- 前記(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも2以上の器官形成が同時に改良されることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の方法。
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