JP2009145573A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性と耐熱保存性を両立して、画像特性が良好な画像を得ることができ、さらに、生産性に優れる電子写真用トナーの製造方法、及び該方法により得られる電子写真用トナーを提供すること。
【解決手段】結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含む結着樹脂を含有するトナー組成物を保持する工程〔工程(1)〕を含む電子写真用トナーの製造方法であって、該工程(1)が、前記トナー組成物を式(i):
Tc-12 ≦ T ≦ Tc+8 (i)
(式中、Tcはトナー組成物の示差走査熱量測定における発熱の最高ピーク温度(℃)を示す)
で表される温度T(℃)で1時間以上保持する工程を含む、電子写真用トナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーの製造方法、及び該方法により得られる電子写真用トナーに関する。
トナーの低温定着性の観点から、低温定着性に優れる結晶性ポリエステルを非晶質ポリエステルと併用したトナーが多数検討されており、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの相溶性を高めることで低温定着性が改良できることが知られている。
しかしながら、両者の相溶性が高すぎると、かえってトナーの耐熱保存性や結晶性が悪化するという課題が挙げられる。この課題に対し、トナーの製造工程に、特定の温度で加熱処理する工程を付加する技術が開示されている(特許文献1〜4参照)。
特開2005−308995号公報 特開2006−138919号公報 特開2007−72333号公報 特開2006−65015号公報
従来技術に拠ってトナーに加熱処理を行うことにより、耐熱保存性等を向上させることは可能となる。しかし、従来の製造方法では、トナーの低温定着性が不十分、あるいは耐熱保存性が不十分であるため、低温定着性と耐熱保存性の両立がなされていなかった。また、従来の加熱処理の方法では、トナーの耐熱保存性を改善するために、多くの時間を要しており、生産性も問題となっている。
本発明の課題は、低温定着性と耐熱保存性を両立して、画像特性が良好な画像を得ることができ、さらに、生産性に優れる電子写真用トナーの製造方法、及び該方法により得られる電子写真用トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為に検討を重ねた結果、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含む結着樹脂を含有するトナー組成物を保持する工程〔工程(1)〕を含むトナーの製造方法において、該工程(1)として、前記トナー組成物の示差走査熱量測定における発熱の最高ピーク温度に基づいて決定される一定範囲内の温度において1時間以上保持する工程を行うことにより、その結果、より高い生産性で、高い結晶性を有し、低温定着性と耐熱保存性を両立し、画像特性が良好な画像を提供することができるトナーを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含む結着樹脂を含有するトナー組成物を保持する工程〔工程(1)〕を含む電子写真用トナーの製造方法であって、該工程(1)が、前記トナー組成物を式(i):
Tc-12 ≦ T ≦ Tc+8 (i)
(式中、Tcはトナー組成物の示差走査熱量測定における発熱の最高ピーク温度(℃)を示す)
で表される温度T(℃)で1時間以上保持する工程を含む、電子写真用トナーの製造方法、ならびに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる電子写真用トナー
に関する。
本発明の製造方法により得られる電子写真用トナーは、高い結晶性を有することにより、低温定着性と耐熱保存性を両立することができ、かつ、得られる画像も画像特性が良好であるという優れた効果を奏するものである。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含む結着樹脂を含有するトナー組成物を保持する工程(以下、工程(1)という)を含む電子写真用トナーの製造方法であって、該工程(1)が、前記トナー組成物の示差走査熱量測定(以下、DSC測定ともいう)における発熱の最高ピーク温度に基づいて決定される一定範囲内の温度、即ち、該トナー組成物のDSC測定における発熱の最高ピーク温度をTc(℃)とすると、Tc-12(℃)以上、Tc+8(℃)以下の温度T(℃)において、前記トナー組成物を1時間以上保持する工程を含むことに大きな特徴を有する。なお、本明細書において、温度T(℃)は時間平均の温度を意味するものであり、結晶成長を効率的に発現させる観点から、保持する工程は、時間平均の温度に対して、好ましくは+/−5℃の範囲、より好ましくは+/−3℃の範囲で保持することが望ましい。なお、時間平均温度は、平均化する前の温度をTi、該温度で保持した時間をtiとするとき、下記式により求められるものである。
時間平均温度=ΣTi×ti/Σti
(Σtiは各工程の保持に要した総時間を示す)
加熱処理によって結晶を形成させる場合には、加熱処理に供する組成物が有する結晶構造、即ち、加熱処理前の結晶径の大きさにより、結晶成長により得られる結晶の構成が大きく変化すると考えられる。
一方、溶融混練することにより得られた溶融混練物、該溶融混練物の粉砕物、該粉砕物の分級品、該分級品の表面処理物等、あるいは、湿式法により得られた合一粒子等の組成物は、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとが相溶し、種々の大きさの結晶が存在していると考えられるが、本発明の技術思想は、工程(1)での保持により、前記トナー組成物中の微小な結晶を溶融させて均一な結晶径を有する相を形成させると同時に、かかる均一な結晶を結晶成長させることにより、低温定着性と耐熱保存性の両立を図ることにある。これは、トナー組成物のDSC測定における発熱の最高ピーク温度、即ち、トナー組成物における結晶化に起因する温度と近い温度でトナー組成物を保持することにより、微小な結晶を溶融させ消失させることにより比較的均一な結晶径を有する相を形成させて、さらに、該均一な結晶を一定の温度で結晶成長させることが可能となり、その結果、均一な結晶が短時間で多数形成されるとの概念に基づくものである。即ち、トナー組成物を特定の温度で保持すると、トナー組成物が有していたガラス転移点の低下が確認されることから、微小な結晶が消失したものと考えられる。その後、保持を続けると、ガラス転移点は上昇していき、最終的にはガラス転移点の変化のない飽和値に達することが確認されることから、微小な結晶が消失し適度な大きさをもった結晶が成長していくものと考えられる。従って、得られるトナーは高い結晶化度を有することにより、結晶性ポリエステルの有する優れた低温定着性を十分に発揮した上で、結晶のフィラー効果が大きくなることで耐熱保存性にも優れ、良好な画像特性を有する画像を提供することができると推定される。
本発明の製造方法は、トナー組成物を保持する工程〔工程(1)〕を含有する。
本発明におけるトナー組成物は、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する結着樹脂を用いて、溶融混練法や湿式法等の公知の方法を用いて得られる。具体的には、溶融混練法では、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含む結着樹脂、さらに必要に応じて着色剤等を含むトナー原料を混合して溶融混練し、適宜粉砕、分級、表面処理する。この際、溶融混練して得られた溶融混練物をトナー組成物として使用してもよいし、溶融混練物を粉砕した粉砕物を、その粉砕物を分級した分級物を、あるいは、その分級物を表面処理した表面処理物をトナー組成物としてもよい。また、湿式法では、前記トナー原料を水系媒体等の媒体中で粒子化、乾燥して得られる粒子をトナー組成物とすることができる。湿式法としては、粒度分布をシャープにし、形状を丸くすることにより高画質化を可能とする乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法では、前記トナー原料を水系媒体等の媒体中で乳化して乳化粒子を作製し、乳化粒子を凝集・合一することにより粒子化する。従って、本発明において、トナー組成物とは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルが、溶融せずに単に混合している状態とは区別される。
以下、溶融混練法でトナー組成物を得る方法について説明する。なお、溶融混練法は溶融混練する工程(溶融混練工程)、粉砕する工程(粉砕工程)、分級する工程(分級工程)及び外添剤等で表面処理する工程(表面処理工程)を含有することが好ましい。本発明においては、溶融混練工程で得られた溶融混練物をトナー組成物とする場合には、該溶融混練物を工程(1)に供した後に、粉砕工程、分級工程及び表面処理工程を行ってもよく、粉砕工程で得られた粉砕物をトナー組成物とする場合には、該粉砕物を工程(1)に供した後に分級工程及び表面処理工程を行ってもよい。分級工程で得られた分級物をトナー組成物とする場合には、該分級物を工程(1)に供した後に表面処理工程を行ってもよく、表面処理工程で得られた表面処理物をトナー組成物とする場合には、該表面処理物を工程(1)に供することができる。
溶融混練工程では、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する結着樹脂を含むトナー原料を溶融混練する。
樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計(DSC)における吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で定義される結晶性指数によって表わされ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、結晶性指数が0.6〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質ポリエステル」とは、結晶性指数が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きい樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルは、いずれも原料モノマーとしてアルコール成分とカルボン酸成分とを用い、それらを縮重合させて得られる。
結晶性ポリエステルにおけるアルコール成分には炭素数2〜8の脂肪族ジオール等の樹脂の結晶性を促進させるモノマーが含有されていることが好ましい。
炭素数2〜8の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、なかでも、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましい。これらは単独で又は2種以上を混合して含有されていても良い。
炭素数2〜8の脂肪族ジオールの含有量は、結晶性の高さの観点から、アルコール成分中、80モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。さらに、2種以上の炭素数2〜8の脂肪族ジオールを用いている場合にはその中の1種の脂肪族ジオールが、アルコール成分中の70モル%以上、好ましくは80〜95モル%を占めているのが望ましい。なかでも、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましく、これらはアルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上含有されているのが望ましい。
非晶質ポリエステルにおけるアルコール成分としては、トナーの帯電性と耐久性の観点から、式(I):
Figure 2009145573
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオールが好ましい。芳香族ジオールの含有量は、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
カルボン酸成分に含まれるカルボン酸化合物としては、フマル酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の炭素数2〜30、好ましくは2〜8の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、脂肪族ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物が好ましく、結晶性ポリエステルにおいては、トナーの耐久性及び帯電性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物がより好ましく、テレフタル酸がさらに好ましく、非晶質ポリエステルにおいては、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、脂肪族ジカルボン酸化合物がより好ましく、フマル酸がさらに好ましい。なお、上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
結晶性ポリエステルにおける芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、70モル%以上が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、85〜100モル%がさらに好ましい。
非晶質ポリエステルにおける脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、70モル%以上が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
なお、結晶性ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分のモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、結晶性ポリエステルの高分子量化を図る際には、カルボン酸成分よりもアルコール成分が多い方が好ましく、さらに減圧反応時、アルコール成分の留去によりポリエステルの分子量を容易に調整できる観点から、0.9以上1以下が好ましく、0.95以上1以下がより好ましい。
また、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整等の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒、例えば、酸化ジブチル錫の存在下で縮重合させて得られる。反応温度は、結晶性ポリエステルの製造においては、120〜230℃が好ましく、非晶質ポリエステルの製造においては、180〜250℃が好ましい。
結晶性ポリエステルの製造においては、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。
また、さらに高分子量化した結晶性ポリエステルを得るためには、前記のようにカルボン酸成分とアルコール成分のモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択したりすればよい。なお、高い攪拌所要動力下では、高分子量化した高粘度の結晶性ポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
エステル化触媒の反応系における全存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部が好ましく、0.1〜0.8重量部がより好ましい。
結晶性ポリエステルのDSC測定における吸熱の最高ピーク温度は、トナーの定着性、及び耐熱保存性の観点から、好ましくは80〜125℃、より好ましくは90〜120℃である。本明細書において、吸熱の最高ピーク温度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、70〜140℃が好ましく、80〜130℃がより好ましく、105〜130℃がさらに好ましい。本明細書において、軟化点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
非晶質ポリエステルの軟化点は、80〜160℃が好ましく、85〜150℃がより好ましく、90〜145℃がさらに好ましい。
非晶質ポリエステルの酸価は、1〜50mgKOH/gが好ましく、10〜30mgKOH/gがより好ましい。また、ガラス転移点は、トナーの粉砕性及び耐熱保存性の観点から、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。本明細書において、酸価及びガラス転移点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルは、両ポリエステルの過度の相溶性を抑制し、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の両立を図る観点から、アルコール成分又はカルボン酸成分において、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステル間で異なる主骨格を有する構造のモノマーを原料モノマーとして用いることが好ましい。かかる構造のモノマーの組合せとしては、カルボン酸成分において用いることが好ましく、具体的には、結晶性ポリエステルで芳香族ジカルボン酸化合物を、非晶質ポリエステルで脂肪族ジカルボン酸化合物を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステルの含有量は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の観点から、結着樹脂中、5〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、7〜25重量%がさらに好ましく、8〜15重量%がさらに好ましい。
非晶質ポリエステルの含有量は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の観点から、結着樹脂中、70〜95重量%が好ましく、75〜93重量%がより好ましく、85〜92重量%がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の観点から、3/97〜40/60が好ましく、5/95〜35/65がより好ましく、5/95〜30/70がさらに好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明におけるトナーには、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の結着樹脂等が挙げられる。結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルの総含有量は、特に限定されないが、トナーの低温定着性の観点から、結着樹脂中、95重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましい。
さらに、本発明におけるトナーの原料には、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜用いられていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、アルコール系ワックス等のワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックスが挙げられ、これらのワックスは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。離型剤の含有量は、トナーの定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよく、これらが併用されていてもよい。正帯電性荷電制御剤としては、二グロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜4.0重量部がより好ましい。
溶融混練する方法としては特に限定はなく、例えば、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する結着樹脂等のトナー原料をヘンシェルミキサー等の混合機で混合した後、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練することができる。
溶融混練する際の温度は、結晶性ポリエステルのトナー中での分散性を向上させる観点から、結晶性ポリエステルのDSC測定における吸熱の最高ピーク温度をTm(℃)とすると、好ましくはTm+5(℃)以上、より好ましくはTm+10(℃)以上、さらに好ましくはTm+20(℃)以上であって、Tm+100(℃)以下の温度であることが望ましい。なお、前記温度は溶融混練物(トナー組成物ともいう)の温度が上記温度範囲内となる温度のことを言い、Tmとトナー組成物のDSC測定における吸熱の最高ピーク温度とは実質的に同じ温度である。
得られる溶融混練物のDSC測定における吸熱の最高ピーク温度は、トナーの定着性、耐熱保存性及び耐久性の観点から、好ましくは80〜125℃、より好ましくは90〜120℃である。本明細書において、吸熱の最高ピーク温度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
また、溶融混練物のDSC測定における発熱の最高ピーク温度は、着色剤や離型剤等のトナー組成物及びトナー組成物中の分散性の観点から、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃である。本明細書において、発熱の最高ピーク温度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
溶融混練物のガラス転移点は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜70℃であり、さらに好ましくは35〜65℃である。本明細書において、ガラス転移点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
粉砕工程では、生産効率の観点から、粉砕する前に、被粉砕物を粉砕可能な硬度に達するまで冷却してから粉砕することが好ましい。
被粉砕物の粉砕は、一度に行っても、複数回に分けて行ってもよいが、粉砕効率及び生産効率の観点から、粉砕工程は粗粉砕工程と微粉砕工程とを含むことが好ましく、予め粒径を最大径が好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下となるまで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物をさらに目的のトナー粒径を考慮して微粉砕することが好ましい。ここで、最大径が3mm以下とは、全てのトナー粒子が目開き3mmのふるいを通過することを意味する。同様に、最大径が2mm以下とは、全てのトナー粒子が目開き2mmのふるいを通過することを意味する。粉砕物をトナー組成物として使用する場合には、粗粉砕工程と微粉砕工程のいずれの工程により得られた粉砕物をトナー組成物としてもよいが、トナー生産性(即ち、粉砕性)の観点から、粗粉砕工程により得られた粉砕物をトナー組成物として工程(1)に供することが好ましく、その場合、工程(1)により得られた保持物を微粉砕工程、分級工程に供してもよい。なお、得られる粉砕物には、前記粉砕工程により得られた粉砕物をさらに外添剤等で表面処理して得られる粉砕物も含まれる。
分級工程では、粉砕工程により得られた粉砕物を分級するが、分級する方法としては特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
表面処理工程では、分級工程により得られた分級物に外添剤等で表面処理を行うが、表面処理方法としては特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
外添剤の含有量は、外添剤添加前の被添加物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
粉砕物、分級物又は表面処理物をトナー組成物として使用する場合、トナー組成物のDSC測定における発熱の最高ピーク温度としては、溶融混練工程により得られた溶融混練物の該温度と同一範囲の温度を有することが好ましく、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃である。
また、粉砕物、分級物又は表面処理物のガラス転移点は、溶融混練工程により得られた溶融混練物の該温度と同一範囲の温度を有することが好ましく、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜70℃であり、さらに好ましくは35〜65℃である。
次に、上記トナー組成物を工程(1)に供するが、トナーの生産性、定着性等の観点から、トナー組成物として、溶融混練工程により得られた溶融混練物又は粉砕工程により得られた粉砕物を工程(1)に供することが好ましい。
工程(1)は、前記トナー組成物を式(i):
Tc-12 ≦ T ≦ Tc+8 (i)
(式中、Tcはトナー組成物の示差走査熱量測定(DSC測定)における発熱の最高ピーク温度を示す)
で表される温度T(℃)で保持する工程を含有する。
温度T(℃)は、トナーの低温定着性の観点から、式(i):
Tc-12 ≦ T ≦ Tc+8 (i)
(式中、Tcはトナー組成物のDSC測定における発熱の最高ピーク温度を示す)
で表される関係を満足するが、好ましくはTc-10 ≦ T ≦ Tc+6、より好ましくはTc-8 ≦ T ≦ Tc+4、さらに好ましくは Tc-8 ≦ T ≦ Tc+2の関係を満足することが望ましい。なお、トナーの生産性及び微小結晶を一旦消失させ、均一な結晶を形成させ、トナーの低温定着性と耐熱保存性の両立を図る観点からの観点から、保持中は、温度T(℃)が前記温度範囲の上限値を超えないことが好ましい。
温度T(℃)における保持時間は、結晶化を促進させる観点から1時間以上である。式(i)を満足する温度において保持を1時間以上行うことで、トナーの低温定着性と耐熱保存性に必要とされるトナー組成物中の結晶化が得られる。一般的に、トナー組成物のガラス転移点は加熱により一旦低下した後、さらに加熱保持をすると保持時間に従って上昇していくことから、加熱保持によりトナー組成物中の結晶性ポリエステルの非晶質部分が結晶化していると考えられる。その際、ガラス転移点の単位時間当たりの変化がなくなる点、即ち、後述の実施例に記載の測定方法において、単位時間当たりのガラス転移点の変化が0.5℃未満となり、ガラス転移点が一定になったと見なされる時点がそのトナー組成物が有することのできる最大の結晶化状態であると考えられる。本発明によれば、従来の製造方法に比べ、短時間でこの最大の結晶化状態(トナー組成物の単位時間当たりのガラス転移点の変化がなくなる状態)に到達することができるため、生産性に優れるものとなる。従って、低温定着性と耐熱保存性を有するトナーを得る観点から、保持時間は2時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、4時間以上がさらに好ましい。また、画像特性の観点から、トナー組成物中の内添剤等への熱履歴を抑制するために、好ましくは40時間以下であり、より好ましくは30時間以下であり、さらに好ましくは20時間以下である。なお、本発明において、保持時間は上記温度範囲内となる累計の時間である。
工程(1)は、前記保持工程以外に、さらに、他の保持工程を含有してもよい。他の保持工程としては、トナーの耐熱保存性の観点から、温度T(℃)より10〜20℃高い温度における保持を行う工程であることが望ましい。
保持後のトナー組成物のガラス転移点は、トナーの耐熱保存性の観点から、好ましくは50〜70℃、より好ましくは50〜65℃であり、さらに好ましくは55〜65℃である。
本発明の製造方法は、溶融混練法を用いる場合、前述した溶融混練工程、粉砕工程、分級工程又は表面処理工程を経てトナー組成物を得た後に、得られたトナー組成物を保持する工程〔工程(1)〕を含有するものであれば特に限定はない。
本発明により得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜10μmがより好ましく、5〜9μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明により得られるトナーは、単独で一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。また、本発明により得られるトナーは、接触定着方式、非接触定着方式のいずれの定着方式にも用いることができるが、より高い定着性が要求されるオーブン定着、フラッシュ定着、ベルトニップ方式の定着機等の非接触熱定着方式の画像形成装置に用いることにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出する温度を軟化点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の融点(吸熱の最高ピーク温度)〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度10℃/分で150℃まで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とし、最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点(第1融点)とする。なお、前記最高ピーク温度で表される融点より低い温度で、かつ、前記融点と50℃以内の差に観測されるピークも融点(第2融点)とみなす。
〔樹脂及びトナー組成物のガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度10℃/分で150℃まで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最高ピーク温度が軟化点と20℃を超えて存在するときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。それ以外のときは、観測される吸熱ピークのうち、吸熱の最高ピーク温度で表される融点より50℃を超えて低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
〔トナー組成物のガラス転移点安定化所要時間〕
トナー組成物を10g計量し、1つの計量したトナー組成物を1時間、トナー製造工程の保持工程における温度T℃で保持を行う。その後、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度10℃/分で150℃まで測定し、ガラス転移点を算出する。同様に、別途計量したトナー組成物を用いて2時間、T℃で保持を行い、同様にガラス転移点を測定する。両者のガラス転移点差が0.5℃未満であれば、ガラス転移点が安定したと見なし、ガラス転移点安定化時間は2時間となる。両者のガラス転移点差が0.5℃以上であれば、新たにトナー組成物を10g計量し3時間、T℃で保持を行い、同様にガラス転移点を測定し、2時間保持したときのガラス転移点と3時間保持したときのガラス転移点の差を算出する。両者のガラス転移点差が0.5℃未満になるまで同様の試験を繰り返す。
〔トナー組成物の発熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度0.5℃/分で150℃まで測定する。観測される発熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を発熱の最高ピーク温度とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
本明細書において、トナーの体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になるトナーの粒径を意味する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%電解液
分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個のトナー粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
結晶性ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫6g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、200℃でテレフタル酸の粒が観測されなくなるまで反応させた後、8.3kPaにて3時間反応させて、樹脂aを得た。
非晶質ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫8g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、210℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Aを得た。
非晶質ポリエステルの製造例2
表1に示すフマル酸以外の原料モノマー及び酸化ジブチル錫8g (アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で8時間かけて反応させた後、210℃にて表1に示すフマル酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Bを得た。
Figure 2009145573
実施例1〜10及び比較例1〜4
表2に示す結着樹脂、カーボンブラック「Mogul L」(キャボット社製)5.0重量部、荷電制御剤「T-77」(保土谷化学工業社製)1.0重量部、及び「カルナウバワックス 1号」(加藤洋行社製)2.0重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、以下の工程により実施例1〜10及び比較例1〜4のトナーを製造した。
[溶融混練工程]
混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を使用した。バレル設定温度は90℃(混練物温度:120〜140℃)、スクリュー回転速度は200回転/分、混合物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。
[粗粉砕工程]
得られた溶融混練物を冷却ロールで圧延し、20℃以下に冷却した後、ロートプレックスに3mmメッシュ(目開き:3mm)のスクリーンを装着して溶融混練物を粗粉砕した。
[保持工程]
粗粉砕後の溶融混練物をオーブンを用いて表2に示す温度、時間で保持した。
[微粉砕、分級工程]
得られた保持物をI-2型粉砕機(日本ニューマチック社製)で粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が7.5μmのトナー粒子(分級物)を得た。
[表面処理工程]
得られたトナー粒子(分級物)100重量部に対して、外添剤として疎水性シリカ「TS-530」(キャボット社製)0.65重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性及び画像特性〕
各実施例及び比較例のトナーを、複写機「MICROLINE 3050」(沖データ社製)に実装し、トナー量が0.6mg/cm2になるように調整した後、定着前の段階で画像を取り出し、未定着画像を得た。さらに、非接触定着方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセプリンティングシステム社製)用の定着機を改造した外部定着機を使用し、線速1000mm/secで、紙上の温度を90℃から150℃へ10℃ずつ順次上昇させて定着画像を得た。各温度で定着させた画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離し、剥離前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)で測定した。定着率(テープ剥離後の画像濃度/テープ貼付前の画像濃度×100)が最初に70%を越える紙上の温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って低温定着性を評価した。また、定着画像を目視で観察し、以下の評価基準に従って画像特性を評価した。結果を表2に示す。なお、定着試験に用いた紙はシャープ社製の厚紙「CopyBond SF-70NA」(75g/m2)であり、最低定着温度が低い方が、良好な低温定着性であることを示す。
〔低温定着性の評価基準〕
A:最低定着温度が140℃未満
B:最低定着温度が140℃以上、160℃未満
C:最低定着温度が160℃以上
〔画像特性の評価基準〕
A:濃度が高く鮮明な画質である
B:濃度が高い画質である
C:ところどころに濃度に濃淡があり、不鮮明な画質である
試験例2〔耐熱保存性〕
20mL容のポリビンに各実施例及び比較例のトナー5gを入れ、開封状態で、50℃、60RH%の環境下に48時間保持した。保持後、トナーを目開き100μmのメッシュで篩い、メッシュ上の残存トナーを計量し、以下の基準に従って耐熱保存性を評価した。結果を表2に示す。なお、残存トナーが少ない方が、耐熱保存性に優れることを示す。
〔耐熱保存性の評価基準〕
A:残存トナーが0.5g未満
B:残存トナーが0.5g以上、1g未満
C:残存トナーが1g以上
Figure 2009145573
以上の結果より、実施例1〜10のトナーは比較例1〜4のトナーと対比して、高い結晶性を有し、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、画像特性も良好なことが分かる。なかでも、ガラス転移点の下降度、即ち、保持20分後のガラス転移点と保持前のガラス転移点の差が大きいほど、微小な結晶が溶融し、均一な結晶が形成していることが示唆されることから、実施例1、2及び5のトナーは均一な結晶が形成され、より優れた低温定着性及び耐熱保存性が示されると考えられる。また、ガラス転移点安定化時間が短いほど、均一な結晶形成が速やかに行われていることが示唆されるため、本発明の製造方法は、生産性にも優れることが分かる。一方、比較例1,3ではガラス転移点の下降度が大きいものの、比較例1では保持温度が適正範囲から外れており、比較例3では、保持時間が短いために、耐熱保存性等の特性が劣る結果となっている。一方、比較例4では、ガラス転移点の下降度が大きく耐熱保存性は良好であるものの、保持温度が高く保持時間が長いために、画像特性が劣る結果となっている。
本発明により得られる電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (5)

  1. 結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含む結着樹脂を含有するトナー組成物を保持する工程〔工程(1)〕を含む電子写真用トナーの製造方法であって、該工程(1)が、前記トナー組成物を式(i):
    Tc-12 ≦ T ≦ Tc+8 (i)
    (式中、Tcはトナー組成物の示差走査熱量測定における発熱の最高ピーク温度(℃)を示す)
    で表される温度T(℃)で1時間以上保持する工程を含む、電子写真用トナーの製造方法。
  2. トナー組成物の示差走査熱量測定における吸熱の最高ピーク温度(℃)が80〜125℃である、請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 結着樹脂における結晶性ポリエステルの含有量が5〜40重量%である、請求項1又は2記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 結晶性ポリエステルが、芳香族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られたものである、請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の製造方法により得られる電子写真用トナー。
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