JP2009144217A - 真空アーク蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸着材料の殆どをアークプラズマ放電に有効に利用することのできる真空アーク蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸着材料からなるカソード電極1と、該カソード電極1の外周を包囲する絶縁ガイシ4と、該絶縁ガイシ4の外周に設けられたトリガ電極2と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体がアノード電極6内に収容され、該アノード電極6が真空管8内に収容されたアーク蒸着源10を具備する真空アーク蒸着装置100であり、カソード電極1はその内部に溝孔1aが形成され、その他端1cが閉塞された筒状を呈しており、該他端1cとホルダ部材5とが締結手段7を介して一体とされた姿勢で絶縁ガイシ4内に収容されており、カソード電極1を構成する蒸着材料の消耗に応じて該カソード電極1を絶縁ガイシ4に対して相対移動させ、カソード電極1を絶縁ガイシ4の端部4aから突出させる移動調整手段9Aを具備している。
【選択図】図2

Description

本発明は真空アーク蒸着装置に係り、特に、蒸着材料の殆どをアークプラズマ放電に有効に利用することのできる、真空アーク蒸着装置に関するものである。
現在、環境負荷影響等に優しい車両としてハイブリッド自動車、電気自動車が注目されており、その一層の小型化、高性能化を目指した開発が日々進められている。中でも、電気自動車等に車載される燃料電池は内燃機関と発電原理を大きく異にするもので、清浄な排ガスの排出、静粛な走行などを実現する上で大きな車載機器である。
比較的低温で作動する高分子電界質を使用してなる燃料電池においては、正負極の触媒に比較的高価な白金が使用されており、より具体的には、カーボンからなる粉状担体表面に白金が担持されることによって燃料電池用電極が製造されている。
ところで、特許文献1には蒸着装置に関する技術が開示されている。この蒸着装置は、棒状の蒸着材料と同型で棒状のカソードとをコネクタにて接続し、この蒸着材料を絶縁管の内部を貫通させて移動できるようにしたものであり、蒸着材料とカソードの移動を直線駆動機構にて実行するものである。
また、他の従来技術として特許文献2に開示の蒸着装置を挙げることができる。この蒸着装置を構成する蒸着源では、蒸着材料の一部の消耗によって該蒸着材料の全部を交換していた従来の技術を改善するものであり、具体的には、蒸着材料を、蒸発によって主に消耗する主蒸発部分と消耗が少ない従蒸発部分とから形成し、リング状の主蒸発部分にフランジ部と軸部とからなる従蒸発部分の該軸部を挿通配置させて蒸着材料を形成するものである。
特開平11−350115号公報 特開2002−220655号公報
特許文献1に開示の蒸着装置を使用することにより、蒸着材料の消耗に応じて蒸着材料を移動させながらトリガ電極に対して新たな材料面を提供することが可能となる。しかし、この装置では、棒状の蒸着材料を移動させることはできるものの、この蒸着材料のたとえば全部を放電に有効利用させることは不可能である。たとえば、蒸着材料のうち、コネクタおよび絶縁管で包囲された部分の使用は不可能である。蒸着材料が上記のごとく高価な白金からなる場合には、該蒸着材料をできれば完全に放電に利用することが前記燃料電池の製造コストの低減にとっても重要となってくる。
また、特許文献2に開示の蒸着装置を構成する蒸着源では、蒸着源を構成する蒸着部材が高温雰囲気下で蒸発する際に、結局は主蒸発部分と従蒸発部分の双方が蒸発することになる。ここで、蒸着材料が上記同様に高価な白金からなる場合であって、主蒸発部分のみを白金から成形した場合には、白金からなる主蒸発部分と他の金属素材からなる従蒸発部分の双方が蒸発して混合されることで、電極触媒に白金以外の異種金属が担持されることになり、その品質の低下は否めない。そこで、従蒸発部分も主蒸発部分と同様に白金から成形すると、今度は蒸着部材の成形コストが高価になるという別の課題が生じることになる。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、蒸着材料からなるカソード電極とその外周にトリガ電極を形成したアーク蒸着源を具備する真空アーク蒸着装置にかかり、該蒸着材料のたとえば全てを完全に放電に利用することができ、さらにはアークプラズマ照射されてできる製品を高品質に製造することのできる、真空アーク蒸着装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による真空アーク蒸着装置は、蒸着材料からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が真空管内に収容されてできるアーク蒸着源を具備する真空アーク蒸着装置において、前記カソード電極の一端は前記絶縁ガイシの端部から突出しており、該突出したカソード電極の側面と前記トリガ電極の一端との間で沿面放電がなされるものであり、前記カソード電極および該ホルダ部材は筒状の前記絶縁ガイシ内に収容されており、前記真空アーク蒸着装置は、前記カソード電極を構成する蒸着材料の消耗に応じて該カソード電極を前記絶縁ガイシに対して相対的に移動させ、カソード電極の前記一端を絶縁ガイシの端部から突出させる移動調整手段をさらに具備していることを特徴とするものである。
本発明の真空アーク蒸着装置は、蒸着材料からなるカソード電極を従来にはない形状とし、蒸着材料の消耗に応じてこれを自動または手動で押し出すことにより、蒸着材料を有効利用することを主な目的とし、さらには、蒸着材料からなるカソード電極とホルダ部材(ホルダ電極部材)とを繋ぐボルト等の締結手段が蒸着材料とともに蒸発し、これらが混合されて基盤等に照射されるのを効果的に防止することをもその目的としたものである。なお、カソード電極に使用される蒸着材料は金属全般もしくは金属合金全般を含むものであり、本発明の装置の用途は、半導体装置や液晶表示装置等を構成する基盤上に金属薄膜を形成することは勿論のこと、燃料電池の電極形成にも好適である。
真空アーク蒸着装置を構成するアーク蒸着源は、蒸着材料からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、これらが真空管内に収容されて形成されるものである。なお、絶縁ガイシは、たとえばシリカ(SiO)等から成形される。
アノード電極とカソード電極の間に電圧を印加するとともにトリガ電極に電圧を印加すると、トリガ電極と蒸着材料からなるカソード電極との間に沿面放電が発生し、これにより、アノード電極と蒸着材料(カソード電極)の間にアーク放電が励起される。このアーク放電によって蒸着材料が蒸発し、アノード電極に向かう荷電微粒子が放出される。この荷電微粒子は、アノード電極内に生じる磁場の影響により、たとえば真空管内のアノード電極の開放端に対向する位置に載置された基盤に飛ばされ、該基盤上で薄膜を成長させることになる。カソード電極の一端は絶縁ガイシの端部から若干突出しており、該突出したカソード電極の側面とトリガ電極の一端との間で上記する沿面放電がなされる。
アークプラズマ照射(沿面放電)が繰り返し実施されると、突出するカソード電極の一端の側面は徐々に消耗し、たとえば数万回の照射の後にカソード電極を移動させて新たな蒸着材料部分を絶縁ガイシ端部から突出させる必要が生じる。このカソード電極の消耗に応じた移動、すなわち、絶縁ガイシに対して相対的に突出するように前進させる移動を、真空アーク蒸着装置を構成する適宜の移動調整手段が実行するものである。この移動調整手段は、自動制御にて実行されるものであってもよいし、手動にて実行されるものであってもよい。
ここで、蒸着材料からなるカソード電極は、その内部に溝孔(座ぐり)が形成され、その端部(絶縁ガイシから突出するカソード電極を一端とした場合にその反対側の他端)が閉塞された筒状を呈した形状に成形されており、この他端と電極ホルダであるホルダ部材とを適宜の締結手段にて締結し、これを筒状の絶縁ガイシ内に収容することで形成できる。ここで、締結手段としては、ホルダ部材および上記他端の双方にねじ孔を形成しておき、これにフランジ(ナット)付きボルトをカソード電極の溝孔側から螺合させる形態をはじめとして、任意の形態を適用できる。
上記する移動調整手段の一実施の形態として、該移動調整手段がシリンダユニット機構からなり、シリンダユニットを構成するピストンの移動によって該ピストンに直接的または間接的に装着されたカソード電極を移動させる形態がある。これは、所定の照射回数に達した段階でカソード電極を所定長だけ押し出すようにコンピュータによって実行制御されるものである。
また、移動調整手段の他の実施の形態として、該移動調整手段が送りねじ機構からなり、送りねじを構成するねじ部材の移動によって該ねじ部材に直接的または間接的に装着されたカソード電極を移動させる形態がある。この制御方法も、原則的には上記するようにコンピュータ制御によって適宜のタイミングでサーボモータを駆動してねじ部材を所定長だけ押し出すものである。
移動調整手段のさらに他の実施の形態として、移動調整手段がスペーサからなり、蒸着材料が一定の長さに亘って消耗した際に、この一定の長さを有するスペーサが前記絶縁ガイシの内部に収容されることで前記カソード電極を移動させる形態がある。
この実施の形態は、カソード電極の消耗に応じて消耗分の長さに応じたスペーサを手動にて蒸着源の内部に設置し、カソード電極を所定長突出させるものであり、たとえば、カソード電極の上記する他端とホルダ部材の間にこのスペーサを介在させる方法がある。
このスペーサは、カソード電極の消耗段階に応じた複数の長さの異なるスペーサが予め用意されていて、消耗段階に応じて、消耗長さに見合う長さのスペーサが介在されるようになっている。
上記する本発明の真空アーク蒸着装置によれば、蒸着材料からなるカソード電極の消耗に応じて自動もしくは手動にて該カソード電極を絶縁ガイシに対して相対移動させてその端部を所定長だけ絶縁ガイシから突出させ、これを繰り返すことにより、蒸着材料を有効に利用することが可能となる。しかも、この蒸着材料からなるカソード電極は、その内部に溝孔が形成されてここで電極ホルダに締結される構成となっており、この形態のカソード電極が適宜の移動調整手段にて押し出されることで、カソード電極の殆ど全てをアークプラズマ照射に使用することが可能となる。さらには、カソード電極の内部の溝孔の端で電極ホルダとたとえばボルト締結される構成であることから、このボルト等が蒸着材料と異種金属から成形された場合であっても、蒸着材料の蒸発時にこのボルト等は溝孔内で防護されて蒸発することがない。したがって、異種金属が蒸発し、これらが混合されて基盤等へ照射されるという問題は生じ得ない。
また、本発明による真空アーク蒸着装置の他の実施の形態において、前記真空管内のアノード電極の開放端に対向する位置には被蒸着物を収容する収容部が具備されており、該収容部は前記真空管の軸心まわりに回転自在な皿状のチャンバーを有しており、これに粉体の被蒸着物が収容された姿勢でチャンバーの回転によって攪拌され、アークプラズマが該攪拌された粉体に照射されるものである。
本実施の形態は、真空管内のアノード電極の開放端に対向する位置に回転自在のチャンバーを備えていて、このチャンバー内で被処理対象の粉体を効率的に微小単位にばらばらにしながら、微小単位の粉体表面にアークプラズマ照射することで金属触媒を担持させるものである。プラズマ照射に際して粉体を微小単位に粉々にすることで、粉体の凝集によって金属触媒が凝集体の一部にしか形成されないといった問題を解消し、もって金属触媒の有効面積を大きくし、微小粉体表面に均一に金属触媒を担持させることができる。しかも、カソード電極の殆ど全てをアークプラズマに利用することができ、しかも、蒸着材料成分のみをアーク照射させることができることから、高品質な製品(たとえば電極触媒)を従来の装置に比して格段に安価に製造することができる。
上記実施の形態において、たとえば前記粉体が粉状のカーボン担体であり、該カーボン担体に白金または白金合金をドライ担持させるのに供されるのが好ましい。この白金は比較的高価であるため、本発明の上記装置を使用することでその単位重量あたりの有効面積を大きくすることが可能となり、もって白金使用量を低減することに繋がる。本発明の上記装置をかかる用途に適用することで、昨今その開発が日々進められており、その生産が拡大しつつある燃料電池自動車の電池触媒の生産に好適である。なお、そのほか、ディーゼルエンジンの触媒等の生産にも適用できることは言うまでもない。
以上の説明から理解できるように、本発明の真空アーク蒸着装置によれば、蒸着源を形成する蒸着材料からなるカソード電極に関し、その内部に溝孔を形成し、その端部とホルダ部材とを締結した姿勢でカソード電極の消耗に応じて移動調整手段にて所定長だけ押し出すようにしたことで、カソード電極の殆ど全てをアークプラズマに有効利用することができる。さらに、カソード電極と電極ホルダとを締結する部材をカソード電極自身で防護することで蒸着材料成分のみをアークプラズマ照射できることから、高品質な製品を安価に製造することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の真空アーク蒸着装置の一実施の形態の側面図であり、図2〜4は蒸着源の実施の形態を拡大した縦断面図である。なお、図示する実施例の真空アーク蒸着装置は、燃料電池の電池触媒製造のために粉状のカーボン担体に白金または白金合金を担持させるのに供されるものであるが、本発明の真空アーク蒸着装置は、蒸着材料として白金以外の金属材料を使用できること、その用途として半導体装置や液晶表示装置等を構成する基盤上に金属薄膜を形成するのに供されることは勿論のことである。尤も、この薄膜形成の際には、真空アーク蒸着装置を構成する回転自在のチャンバーの代わりに基盤載置台を設けることになる。
図1は本発明の真空アーク蒸着装置の一実施の形態を概略説明した図である。この真空アーク蒸着装置100は、アークプラズマガンを構成する電源20とこれに固定された真空管8の長手方向であってプラズマ照射方向を水平面に対してθ傾斜させた姿勢で該真空アーク蒸着装置100が位置決め固定され、この真空管8の先端に粉状カーボン担体Cが収容されたチャンバーを有する収容部30が装着され、この収容部30はさらに先端のサーボモータ40(たとえばオリエンタルモーター株式会社製のAXU425)にて所定速度で回転自在に構成されている(X1方向)。真空管8内には該真空管8をその構成要素とするアーク蒸着源10が内蔵されているが、その詳細は後述する。また、真空アーク蒸着装置100は真空ポンプ50(たとえばターボ分子ポンプで、株式会社アルバック製のYTP150)、補助真空用のロータリーポンプ60に連通しており、これによって真空管8内を真空とし、放電させるようになっている。なお、上記する角度θ方向はチャンバーの自転軸とも一致しているが、このθの範囲はカーボン担体をチャンバー内壁から落下させるのを促進する等の観点から、30〜60度の範囲に設定されるのが好ましい。
また、真空アーク蒸着装置100は不図示のパーソナルコンピュータに繋がっており、このコンピュータ内には、真空アーク蒸着装置100にパルス信号を送信しながらプラズマのパルス照射を実行できる構成となっている。また、サーボモータ40の回転速度もコンピュータにて制御できるようになっており、この回転速度とパルス信号送信のタイミングの双方が調整されるようになっている。さらには、後述するシリンダユニット機構や送りねじ機構の制御もこのコンピュータにて実行されるものであり、たとえば30000回のアークプラズマ照射の段階で、カソード電極を前方へ1mm前進させるといった具合に、プラズマ照射段階に応じてカソード電極を一定長さ前進制御できるようになっている。
たとえば、粉状カーボン担体Cへの白金触媒のドライ担持条件として、真空管8内の真空度は1.0×10−4Pa、アーク電圧を200V、トリガ電圧を3.4kV、温度は常温とし、アークプラズマ照射はパルス照射するものとしてその照射間隔は4パルス/秒、サーボモータ40の回転数は45rpmにて電極触媒の製造を実施することができる。
上記する本発明の真空アーク蒸着装置100によれば、粉状カーボン担体Cをチャンバーの回転によって随時落下させながらその凝集を防止するとともに、微小単位の粉状のカーボン担体Cを生成でき、これにアークプラズマが照射されることで、カーボン担体表面に均一な白金触媒を担持させることが可能となる。
次に、図2〜4に基づいて真空アーク蒸着装置100を形成するアーク蒸着源10の構成を詳述する。
まず、蒸着源10の一実施の形態にかかる図2より、アーク蒸着源10は、蒸着材料である白金から成形され、その内部に溝孔1aを有するカソード電極1と、該カソード電極1の溝孔1a内に挿通されたボルト7を介してカソード電極1の端部1cと接続される電極ホルダ5と、このカソード電極1および電極ホルダ5の外周を包囲する筒状の絶縁ガイシ4と、該絶縁ガイシ4の外周に設けられたCリング3とその外周に設けられた筒状のトリガ電極2と、が一つのユニット体を形成し、このユニット体が筒状のアノード電極6内に収容され、これらが筒状の真空管8内に収容されて形成される。
カソード電極1の一端1bは絶縁ガイシ4の端部4aからたとえば1mm程度突出しており、この突出したカソード電極の側面1b’とトリガ電極2の端部2aとの間で沿面放電がなされる。なお、図示する実施例では、金属素材のCリング3がトリガ電極2と通電することから、実際には、Cリング3の端部3aとカソード電極の側面1b’との間で沿面放電がなされることになる。
蒸着源10は、真空管8の内部の電源20側に、絶縁ガイシ4内で電極ホルダ5およびカソード電極1を前方に移動させる移動調整手段を備えており、図示例では、この移動調整手段が、シリンダユニット機構9Aから構成されるものである。
シリンダユニット機構9Aは、シリンダ9A1内を摺動し、その端部から伸張するピストン9A2を有しており、ピストン9A2の端部がアノード電極6の端面に形成された開口を介して電極ホルダ5の端部に固着されている。
所定回数のアークプラズマ照射が実行されてカソード電極1の端部1bが消耗した段階で、不図示のコンピュータからシリンダユニット機構9Aにピストン9A2を所定長だけ前進させる指令信号が送信され、この信号に基づいて自動的にピストン9A2が前進し(X2方向)、これによってカソード電極1の一端1bが絶縁ガイシ4に対して相対的に所定長だけ前進する(X3方向)。
図3は、蒸着源10の他の実施の形態を図示したものであり、この実施の形態では、移動調整手段が送りねじ機構9Bを具備するものであり、サーボモータ9B1の回転制御によってねじ部材9B2が回転移動し(X2方向)、このねじ部材9B2に固着された電極ホルダ5とカソード電極1が移動するものである(X3方向)。なお、図示例のほかにも、ねじ部材に移動ナットが螺合され、この移動ナットに電極ホルダ5が固着された形態であってもよい。
また図4は、蒸着源10のさらに他の実施の形態を図示したものであり、この実施の形態では、移動調整手段がカソード電極1と電極ホルダ5の間に介装されたスペーサ9Cからなるものである。
このスペーサ9Cに関し、カソード電極1の端部1bの消耗段階に応じて複数の長さの異なるスペーサが予め用意されていて、消耗段階に応じて、消耗長さに見合う長さのスペーサ9Cが介在され、カソード電極1が前進されるものである(X3方向)。なお、たとえば1mm厚の同形状のスペーサを複数用意しておき、消耗段階に応じて1つずつスペーサを追加していく方法であってもよい。
[本発明の真空アーク蒸着装置を使用した際のアークプラズマ照射可能回数に関する実験とその結果]
本発明者等は、図4で示す蒸着源10を備えた真空アーク蒸着装置100を用意し、アークプラズマ連続照射を実施して、プラズマ照射回数を検証した。ここで、ボルト7はSUS303から成形したものを使用した。さらに、カソード電極1の端部1bの絶縁ガイシ4からの突出長は1mmとし、プラズマ照射回数が4〜5万回で該端部が消耗することから、4〜5万回ごとにさらに1mmだけ厚みの厚いスペーサを挿入し直すことでカソード電極1を前進させた。なお、比較例として、カソード電極に溝孔がなく、カソード電極の一端で電極ホルダとの締結用ボルトのナットが突出しており、さらには移動調整手段がなく、したがってカソード電極の一部が絶縁ガイシから移動しない姿勢で突出している蒸着源を有する真空アーク蒸着装置(不図示)を使用して、同様にアークプラズマ照射を実行した。
実験の結果、従来構造の比較例の装置を使用した場合には、蒸着材料からなるカソード電極が有効利用されず、所定長さのカソード電極で30万回程度のアークプラズマ照射が可能であった。
一方、本発明にかかる実施例の真空アーク蒸着装置100を使用した場合には、カソード電極の殆どが有効利用され、結果として、比較例と同じ長さのカソード電極で82万回程度のアークプラズマ照射が可能となり、蒸着材料の殆どが有効利用されて比較例に比しておよそ3倍程度のプラズマ照射が可能であることが特定された。このことは、蒸着材料が白金等の高価な材料である場合に、製造コストを大幅に廉価にできることに直結するものである。
さらに、締結用ボルトが溝孔内に収容されているため、蒸着材料である白金が蒸発した際にたとえば鋼製のボルトが蒸発することがなく、したがって電極触媒に白金以外の異種金属が担持されるという問題も生じない。上記従来装置を使用して仮にこの問題を解消するとすれば、カソード電極端部から突出したボルトおよびナットを蒸着材料と同じ白金から成形する必要があるが、これでは製造装置が高価なものとなる。
また、真空アーク蒸着装置100はその先端に粉状カーボン担体Cを収容する回転自在のチャンバーを具備する収容部30を備えており、このチャンバーの回転によって粉状カーボン担体Cを効率的に微小単位にばらばらにしながら、微小単位の粉体表面にアークプラズマ照射することにより、金属触媒の有効面積を大きくし、微小粉体表面に均一に金属触媒を担持させることが可能となるものである。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
本発明の真空アーク蒸着装置の一実施の形態の側面図である。 蒸着源の一実施の形態を拡大した縦断面図である。 蒸着源の他の実施の形態を拡大した縦断面図である。 蒸着源のさらに他の実施の形態を拡大した縦断面図である。
符号の説明
1…カソード電極、1a…溝孔、1b…端部(一端)、1c…端部(他端)、2…トリガ電極、2a…トリガ電極の端部、3…Cリング、3a…Cリングの端部、4…絶縁ガイシ、4a…絶縁ガイシの端部、5…電極ホルダ、6…アノード電極、7…ボルト、8…真空管、9A…シリンダユニット機構(移動調整手段)、9A1…シリンダ、9A2…ピストン、9B…送りねじ機構(移動調整手段)、9B1…サーボモータ、9B2…ねじ部材、9C…スペーサ(移動調整手段)、10…アーク蒸着源、20…電源、30…収容部、40…サーボモータ、50…真空ポンプ、60…回転ポンプ、100…真空アーク蒸着装置、C…粉状カーボン担体

Claims (7)

  1. 蒸着材料からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が真空管内に収容されてできるアーク蒸着源を具備する真空アーク蒸着装置において、
    前記カソード電極の一端は前記絶縁ガイシの端部から突出しており、該突出したカソード電極の側面と前記トリガ電極の一端との間で沿面放電がなされるものであり、
    前記カソード電極および前記ホルダ部材は筒状の前記絶縁ガイシ内に収容されており、
    前記真空アーク蒸着装置は、前記カソード電極を構成する蒸着材料の消耗に応じて該カソード電極を前記絶縁ガイシに対して相対的に移動させ、カソード電極の前記一端を絶縁ガイシの端部から突出させる移動調整手段をさらに具備していることを特徴とする、真空アーク蒸着装置。
  2. 前記カソード電極は内部に溝孔が形成され、その他端が閉塞された筒状を呈しており、該他端と前記ホルダ部材とが締結手段を介して一体とされた姿勢で前記絶縁ガイシ内に収容されている、請求項1に記載の真空アーク蒸着装置。
  3. 前記移動調整手段がシリンダユニット機構からなり、シリンダユニットを構成するピストンの移動によって該ピストンに直接的または間接的に装着されたカソード電極を移動させるものである、請求項1または2に記載の真空アーク蒸着装置。
  4. 前記移動調整手段が送りねじ機構からなり、送りねじを構成するねじ部材の移動によって該ねじ部材に直接的または間接的に装着されたカソード電極を移動させるものである、請求項1または2に記載の真空アーク蒸着装置。
  5. 前記移動調整手段がスペーサからなり、蒸着材料が一定の長さに亘って消耗した際に、該一定の長さを有するスペーサが前記絶縁ガイシの内部に収容されて前記カソード電極を移動させるものである、請求項1または2に記載の真空アーク蒸着装置。
  6. 前記真空管内のアノード電極の開放端に対向する位置には被蒸着物を収容する収容部が具備されており、該収容部は前記真空管の軸心まわりに回転自在な皿状のチャンバーを有しており、これに粉体の被蒸着物が収容された姿勢でチャンバーの回転によって攪拌され、アークプラズマが該攪拌された粉体に照射されるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の真空アーク蒸着装置。
  7. 前記蒸着材料が白金からなり、前記粉体が粉状のカーボン担体であり、該カーボン担体に白金または白金合金を担持させるのに供される請求項6に記載の真空アーク蒸着装置。
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