JP5187876B2 - 電子ビーム照射表面改質装置 - Google Patents

電子ビーム照射表面改質装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5187876B2
JP5187876B2 JP2006290970A JP2006290970A JP5187876B2 JP 5187876 B2 JP5187876 B2 JP 5187876B2 JP 2006290970 A JP2006290970 A JP 2006290970A JP 2006290970 A JP2006290970 A JP 2006290970A JP 5187876 B2 JP5187876 B2 JP 5187876B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hole
electron beam
plasma
irradiated
cathode electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006290970A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008105065A (ja
Inventor
忠美 和泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sodick Co Ltd
Original Assignee
Sodick Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sodick Co Ltd filed Critical Sodick Co Ltd
Priority to JP2006290970A priority Critical patent/JP5187876B2/ja
Publication of JP2008105065A publication Critical patent/JP2008105065A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5187876B2 publication Critical patent/JP5187876B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、各種金属部品、金型、工具、電気接続部品、金属医療、金属装飾品などの表面を鏡面化、清浄化、アモルファス化、耐食化するために電子ビームを該表面に照射して表面改質を行なう技術に属する。
この技術は電子ビームによる物質表面の改質装置の改良に関するものである。非特許文献2では、図10のような LEHCEB(Low Energy High Current Electron Beam)電子銃が説明されている。 事例としては高電圧電極の表面平滑化のために開発されたもので、断面積10cm以上、低エネルギ10〜50kV,高電流10〜30kAの電子ビームパルスを金属表面に照射して、表面改質を施す技術である。この技術の装置は電離気体plasmaが封入されて電子ビームの断面内密度を均一に保っているので、PFD(Plasma Filled Diode)電子銃と呼び特徴づけることもある。 また、plasma生成のグロー放電を安定にするため環状の放電電極が用いられ、電子銃外部には銃内に磁場を形成するソレノイドが設けられる。
この装置の作用は従来の真空電子銃による高密度の電子ビームではなく、プラズマ化した電離ガスの中を通過する低いエネルギで広い面積に分散する電子ビームを用いるので、物質に照射されたとき深く加工作用することがなく、広い面積に一様な作用を与えるので表面の改質に利用される。ここでいう改質とは、物質表面に付着する異物の除去、浄化、表面あらさの改善、微視的凹凸を平坦化して鏡面となすこと、急激な加熱と冷却による金属のアモルファス化、耐食化などである。
上述のように、この装置は一種の電子銃であるが真空室ではなく、0.1Pa以下の低圧電離ガスを充填しプラズマ化しているのでプラズマ電子銃ともよばれている。このプラズマを安定に保つために反射放電(Reflected Discharge)方式という円環状のプラズマ陽極8が設けられ、外部にソレノイド7が設けられて電子銃内空間に磁場を作り電子ビームの収縮(pinch)を防いでいる。
この装置の電子ビーム発射機構は電界放射カソードとして円板状の金属または黒鉛陰極が用いられ、被照射体がターゲット陽極になる。両極間に10〜40kVの高圧コンデンサ放電を発生させて、数μs〜0.1μs程度の電子ビームパルスを放射させる。プラズマ発生回路は前記の環状陽極と電子銃ハウジングとの間にコンデンサ充放電による放電を作り、電離ガスをプラズマ化する。プラズマ保持時間は100〜数100μsで、その時間内に前記の電子ビーム放射が行われる。プラズマ保持時間の前後を通じ、電子銃内に磁場をつくるための前記ソレノイドに励磁する電源として、別のコンデンサ充放電回路が備えられている。
表面改質を施す被照射体をターゲットとしてテーブルに設置し、電子銃内を一旦真空にしてから電離ガス、たとえばArガスを低圧に充填し、磁場形成、プラズマ形成、電子ビーム発射の順序で作動させると被照射体の表面が改質される。照射の回数は被照射体の条件によって変る。
図11は前述の従来公知のLEHCEB表面改質装置の全体構成図で、ハウジング4、環状電極2、カソード1、励磁ソレノイド5、テーブル6、及び電子ビームのターゲット被照射体3を備えた電子ビーム照射表面改質装置である。被照射体3、テーブル6、及びハウジング4は同電位であり、カソード1、環状電極2はそれぞれ絶縁されて独立している。 また図示していないがテーブル6は前後左右、上下の運動機構が適宜備えられる。電子ビームはカソード端面から発してターゲット3に直進して達し、電子ビーム断面積はカソード端面積とほぼ等しくなっている。
PROSKUROVSKY、D.I.外3、 Use of Low−energy,High−current electron beam of surface treatment of metals 、;Surface and Coatings Technology 96(1997)、117−122 G.E.OZUR外3、 Production and application of low−energy, high−current electron beams ;Laser and Particle Beams (2003),21,157−174 Cambridge University Press 特開2006−187799号公報 特願2005−319235号特許出願
斯種の従来装置は、ハウジング内の低圧電離ガスをプラズマ化して電子ビームを放射するプラズマ電子銃であって、電子ビームがカソード端面から被照射体に向かって直進するので被照射体の外面を改質処理するには適しているが、孔や窪みを有する被照射体の場合には、その側面、特にその孔等の内側面の処理が困難である。孔や窪みの開口が広く深さが浅い場合には被照射体の取り付け姿勢を斜めにすることにより内側面(壁面)を改質処理するが、開口に比べて深さが深い場合には内側面を改質処理することが困難である。特に該内側面が電子ビーム軸方向と平行している場合には処理が不可能ともなる。このような場合には被処理体を分割しなければならなかったが分割を許されない場合も多い。
このような内側面を改質処理するためには電子ビームをカソード端面から放射するのではなく、カソード外周からラヂアル方向に放射させることが可能であれば実現できる。このためにカソード電極の側面から電子ビームを放射させる実験が試みられたが成功しなかった。その要因は磁場とその強さが適切でないためと思われる。
従来装置では、ハウジング外部に大容量のソレノイドが配置され磁力線は電子ビームと同軸となり、電子ビームは直進して被照射体に衝突する。このとき被照射体の改質範囲はカソード面積とほぼ等しい。電子ビームがスポットではなく、太い束となって放射されるためには、低圧電離気体をプラズマ化してカソード面近傍に保持するとともに、ラジアル方向の磁力線を必要とするが従来装置にはこのような事例がない。
そこでこの発明は、被処理体の孔の内側面を表面改質するとき電子ビームがラヂアル方向に放射されるように、カソード電極と一体的に磁石を併置してカソード電極と対向する孔の内側面の間の空間に磁界を生成させ、プラズマ生成電極を孔の開口部に近づけて該空間にプラズマを生成させることにより、電子ビームが孔の内側面に向けて照射可能になるようにして孔の内側面を表面改質する方法および装置を提供することを課題とする。
このためこの発明は、従来装置と異なり、例えば、後述する図2(A)、(B)のように被照射体の円筒内側面を改質処理するときに、円板状のカソード電極の側面から電子ビームが放射するように構成し、被照射体円筒内側面に対向させてラヂアル方向に電子ビームを放射しようとする場合には次のような考慮を要する。
カソード電極半径(r)と被照射体の円筒内面の半径(R)の比率 (R/r) により、電子ビームが拡がり改質エネルギ密度(J/cm)は 減少する。前記比率(R/r)が1に近いほど減少率は少ないのであるが、スポットスパ−クを生ずる危険がある。また、カソード電極面と被照射体の孔の内側面との距離(d=R−r)には、一定の制限がある。dの値を小さく選ぶためには確実なプラズマと磁場の存在が必要となる。
円板状のカソード電極の放射面積は装置の能力によって限界がある。必要な露出面以外は厳重に絶縁遮断しておかないと、無効な電子放出により被照射体の円筒内面には有効な電子ビーム放射が得られない。
円筒状の孔の内部にカソード電極を挿入することの問題点は、外部に設けたソレノイドの効果が得られないことである。磁場の作用はプラズマを安定に閉じ込めることと、電子ビームの方向を誘導することにあるが、被照射体の孔の内部まで磁場が及ばない場合には該作用が期待できないことになる。
改質エネルギ密度(J/cm)は、 減少を補うために電源能力を高めるには限度があるから、孔の内側面を同時に処理することが出来ない場合には、一回または数回の電子ビーム照射の後に、カソード電極と孔の内側面とを相対移動させることを繰り返して内側面全体を改質処理するようにしなければならない。
この発明は被照射体の内部に挿入したカソード電極の側面から、電子ビームがラヂアル方向に放射するように構成するとともに、カソード電極の近傍に磁石を一体的に併置し、またプラズマ生成電極(環状陽極)を被照射体の孔に連通する位置に配置し、一回または数回の電子ビーム照射の後に、カソード電極と孔の内側面とを相対移動させることを繰り返して、内側面全体を改質処理するようにしたものである。
なお、前記孔は半径Rの円筒状のもので、カソード電極は前記円筒と同心円で半径rの円板状のものとして説明するが、図3のように同心円でない場合も同様な思想で目的を達成できる。ただし、図4((A)と(B)は他の例のカソード電極を反対方向から見た斜視図)に示すように、照射範囲を制限するためにカソード電極の形状を扇状にし、背面を絶縁して無効な照射を防いでいる。また、図3では電子ビーム照射方向は厳密にはラヂアル方向とはならないで対向する被照射体の内側面の局部位置を照射している。
この発明によれば、被照射体が孔を有する場合に内側面の電子ビーム表面改質が不可能であったのが、内側面に対向するカソード電極からラヂアル方向に電子ビームを発射可能にするために、カソード電極の近傍に磁石を併置して設けて磁界をつくり、また環状のプラズマ電極によりグロー放電プラズマを生成して、カソード電極と被照射体の間に高圧の直流パルス電圧を印加することによりスポットにならない太い電子ビームを発射させられ、これにより被照射体の孔の内側面を表面改質できることが可能になる。
この発明は被照射体の孔の内側面を表面改質することを例示して説明したが、改質する対象面は必ずしも閉じた孔でなくてもよく、一般的な壁面をも対象とされる。また対象とする改質面は、必ずしも垂直でなく傾斜面にも同様な思想で適用可能である。また、改質対象面は必ずしも一様な平坦面でなく浅い溝、ねじ、窪みを有する場合も含んでいる。
図1はこの発明装置の基本的な構成の実施例正面側の主軸中心断面図である。
1はベースで、装置全体を載せた基台であり、下部に図示しない排気真空装置、電離気体のボンベ、各種電源類等を収容している。
2はハウジングで、装置全体を内包して気密を保ち、内部には電離気体(Ar)を所定の低圧に維持するようにベースに気密に取り付けられる。
3は架台で、ベース上に取り付けられて、その上部に被照射体を固定する被照射体の孔が貫通している場合に、カソード電極が通過できるように中央に空間3aを設け、併せてプラズマ生成電極も収容することができる。
4は被照射体で、架台3に取り付けられる導電性部品で、内部に一様軸直角断面の孔4aがあり、内面を改質処理する。実施例では円筒形の孔として説明するが、円筒に限るものではなく非円形の場合でも実施可能である。また孔の内側面は必ずしも平滑ではなく浅い溝やねじが刻されている場合をも含んでいる。
後述する図5が非円形の場合の実施例であって、ベース1と被照射体4の間にXYテーブル1aを備え、孔の内側面とカソードとを相対移動させて目的を達成する。
5はカソード電極で、被照射体4との間に直流高電圧パルス(数kV〜数10kV)が印加され、気体プラズマを介してLEHCEB電子ビームを照射するカソード電極である。より具体的にはチタン線を束ねて図6の側面図(A)と正面図(B)とに示すようにブラシ状にしたもの、或いは導電性金属、黒鉛が機械加工して用いられる。
6は主軸で、カソード電極5を下端に取り付ける。電極以外からの放電は損失になるので主軸6はカソード電極5と絶縁されるべきであり、本実施例では鋼製の中空主軸で内部にカソード電極5に接続される導線6aが収納されたのち、充填材6bにより気密に封じられ、セラミックスペーサ6cを介してカソード電極5が絶縁して取り付けられる。
7は操作桿で、主軸に取り付けられ、上下移動・旋回をさせるための手段(M)18により作動して主軸を上下移動・旋回させる。
8は主軸受であり、ハウジング2の一部であって、主軸6の移動・旋回を支え、また、シール機能をもって気密を保つ軸受け要素である。
9はプラズマ生成電極で、ハウジング内空間の低圧の電離気体をプラズマ化するための手段として設けられる円環のグロー放電電極(アノード)である。本実施例の場合はコンデンサ充放電回路が用いられるが、高周波電源による無極方式に代えることも出来る。
10はもう1つのプラズマ生成電極で、本実施例ではプラズマ生成電極が上下一対に設けられ同時に作用する。プラズマ生成電極10は被照射体の孔4aに直通する空間3aに設けられている。9a、10aはそれぞれの電極9、10の支持棒であり、また9b、10bはハウジング2と絶縁するブッシュである。
11は磁石で、カソード電極5の電子ビーム放射部分(被照射体の内側面の一部に対向する部分)の近傍に一体併置され、カソード電極5の近傍に磁界をつくる。磁石は図7の電磁石方式とすることも出来る。
12は気体状態管理装置(V)で、ハウジング内の気圧を最低0.01Paから0.1Paの範囲に調整を行うもので、真空ポンプ、ベーンポンプ、真空計などからなり、排気口13に接続して大気圧を0.01Pa程度の真空にした後、吸気口14から徐々に電離気体(Ar)を吸入させ,所定の低圧に達した後電子ビーム照射を開始させる。照射終了後には再び前記動作を繰り返す。
13は排気口で、気体状態管理装置(V)11の排気真空ポンプ類に接続する管ジョイントである。
また、14は吸気口で、電離気体(Ar)を吸入する管ジョイントにより電離気体のボンベに接続される。
15はプラズマ電源(P)で、プラズマ生成用の電源であり図8に例示する基本電気回路で図の右側に太線で描かれている。プラズマ生成電極9と10をそれぞれ保持する支持棒9a、10aは一体に結ばれ、サイリスタp4を介してコンデンサp1に接続される。コンデンサp1の負端はベース1に接地接続する。予めコンデンサp1 は電源p2と抵抗p3により充電されており、総括装置17がサイリスタ制御端子p5に駆動パルスを発すると、サイリスタp4が閉じてプラズマ電極9と10は同時にグロー放電を生じ、ハウジング内の電離気体をプラズマ化する。前記グロー放電は図示p6のように接地電位(ハウジング、ベース、架台、被照射体は接地して同電位)に対して生ずる。
16はビーム電源(B)で、電子ビームを発射する電源であり、図8に例示する基本電気回路で 図の左側部分に太線で描かれている。主軸6に設けられたカソード電極5は導線6aによりコンデンサb1に接続される。コンデンサb1の反対端子はガススイッチb4を介してハウジングに接地接続されている。予めコンデンサb1は抵抗b3と高圧電源b2に図示のように接続されているとき、総括装置17がガススイッチ制御端子b5に駆動パルスを発すると、ガススイッチb4が導通してコンデンサb1に蓄えられた電荷は一挙に放電して、カソード電極から被照射体の孔の内側面に電子ビームが照射される。
17は統括装置(C)で、装置全体の指令、制御、表示のための統括装置である。
18は主軸移動装置(M)で、主軸の直線移動と旋回を駆動する装置で、図9に図示される。円盤m8と歯車m9が一体となったシフタm10を操作桿に取り付け、ブラッケットm3のシフタヨークm4が円盤m8の両端面を挟む。ブラケットm3がコラムm1のガイドm2に案内され、モータm7、ねじm5、ナットm6により上下移動すると、シフタヨークm4が円盤m8の両端面を挟んで連結しているから、主軸6が上下に移動する。またブラケットm3に取り付けられたモータm11、軸m12により割り出し旋回する歯車m13は、前記歯車m9と噛合っているから主軸6の上下位置に関係なく、主軸6は所要の角度に割り出される。コラムm1はハウジング2に固定されている
また、19は外部ソレノイドで、従来例[0005]で述べたソレノイドと同じく、プラズマ保持時間の前後を通じてハウジング2内に磁場をつくるためのものである。
照射電子ビームが、スポットに集中しないで広い面積に放射される電子ビーム(LEHCEB)が生成されるためには、プラズマと磁場の存在が必要である。この実施例におけるプラズマ電源(P)15は、図8のように高圧電源p2(10〜40kV)とコンデンサp1とスイッチ素子p3とにより構成され導線p4に接続される。コンデンサp1が充電されたのち、スイッチ素子p4を導通するとコンデンサp1の放電により、プラズマ生成電極(アノード)9と10の周辺にグロー放電が生じ電離気体がプラズマ化する。図1の実施例では被照射体4の孔の上部と下部に生成電極(アノード)9と10が一対に配置されている。このためプラズマが孔の内部に生成される。
また、プラズマが拡散消失せずに安定するために磁場を必要とするから、カソード電極5の近傍に磁石11を一体に併置する。 図1の実施例は磁石11aと11bがカソード電極5を挟んで一対が併置されているが、実験では片側だけでも差し支えなかった。実験によればカソード電極5に併置する磁石の強さは、表面で少なくとも150mT(ミリテスラ)以上であることが必要であった。
外部ソレノイド19は前述したように従来装置と同様に作動して、プラズマのハウジング内側面での消失を防いでいる。
従来実用に供されている電子ビーム表面改質装置は、前段の背景技術に述べた通りであるが、本発明の装置ではカソード電極5から電子ビームをラヂアル方向に放射させる方式であるため、被照射体4の孔4aの大きさによってカソード電極の寸法・形状が決定される。カソード電極の表面は後述するように被照射体との対向部分を除いて絶縁被覆され、照射の有効面積は10〜20cm程度である。被照射体との対向距離は従来装置が数10cmであるのに比べて極めて短い。穴の内側面を処理するという構造上避けられない制約である。しかし少なくとも数mm以上であることが必要で、望ましくは数cmである。表面改質エネルギーは4〜7(J/cm)が必要である。電極材料はチタン線のブラシが最適であるが銅電極も使用できる。カソード電極の形状は円形に限ることはなく半円や扇形も可能であり、前記有効面積の調節や電離気体の流入に好都合である。
カソード電極と併置される磁石と他の照射条件(照射電圧、プラズマ空間の状態など)との相互作用や因果関係は、まだ明確に解明されていない。穴の中の内側面に照射する場合、例えば、被照射体物質が強磁性体の場合と非磁性体の場合では、磁場が異なる筈であるが結果に明確な差が認められない。また磁石がない場合には電子ビームが発生しないときでも、
イ)一個の磁石を付加する。
ロ)さらに一個を追加して一対にし磁石の配置をS−Nにする。
ハ)一対の磁石の配置をS−Sにする。
などの実験を行って電子ビームの発射が可能になったが、最適磁場条件を特定すには至っていない。これは前記の相互関係が複雑なためと考えられ最適な構成は実験によって決定することになる。
低圧電離気体をプラズマ化する電源装置は、被照射体の孔内部に及ぶように構成する。被照射体が貫通した孔を持つ場合には 図1のように環状のプラズマ陽極を被照射体の下部に配置して、孔の内部にプラズマが確実に生成されるようにすることが望ましい。
ハウジング内の気体の状態管理(電離気体が所定の圧力に調整されること)が完了してからプラズマ生成電源が作動し、所定時間を経過してプラズマが極値に達してから、電子ビーム放射電源が作動して電子ビームパルスが発射されるようにする。
電子ビーム放射は同じ位置で一回または数回行われ、被処理体の孔の軸に沿って、または主軸を旋回してカソード電極と被処理体が相対移動し改質照射位置を変える。これを繰返して孔全体を改質処理する。これを照射サイクルという。
図2(A)は被照射体4の円筒内面を改質処理するため孔の中に、カソード電極5と磁石11を備えた主軸6が挿入された状態での横断面であり、また図2(B)は同じく縦断面である。電極セットの上下面は絶縁板5bにより絶縁され、側面は導電体の円筒5aで複数の電極を接続している。複数の磁石11が電極を挟んで円筒内面と電極の対向する空間に磁界をつくっている。図3は非円形の孔の内面を扇形の電極で局部的に改質処理する際の主軸6の位置と向きを示したものである。主軸中心の位置は軌跡Lの線上の数点を移動すればよい。図4は扇状の電極の斜視図であり、(A)と(B)は反対側から見た図である。絶縁板5bによって照射する面に対向する面以外を絶縁している。
図5は非円形孔断面をもった被照射体4の内側面を表面改質する場合に、例えば図3の孔の内側面に扇状電極図4を用いた実施例である。実施例1と共通する要素は説明を省略するが、ベース1と被照射体4の間にXYテーブル19(図5ではベース19a、サドル19b、テーブル19cよりなるXYテーブル19を断面とせずに描いている)を備え、孔の内側面とカソード電極5を 相対移動させて、図3の主軸移動線L上を移動させるとともに、手段(M)により主軸6を旋回させて目的を達成する
図7は磁石に代えて電磁石を用いた実施例である。図示の部分構成要素の番号は図1、図2と一致させている。11cは電磁石のヨークであり、11dはコイルである。電磁石のヨークが導電性であるときはカソード電極5を兼ねることになる。
この発明の実施例装置の基本的な構成の主軸中心縦断面図。 図2の(A)、(B)は他の実施例で、円筒形の孔と同心に挿入された円板電極の横断面図と縦断面図。 非円形の孔と扁平の電極との配置関係を示す横断面図。 図4の(A)、(B)は扇状の電極を互に反対方向から見た斜視図。 図1の実施例に前後左右運動のテーブルが付加された実施例断面図。 図6の(A)、(B)は、チタンブラシカソード電極の実施例を示す側断面図と正面図。 磁石に代えて用いられる電磁石の実施例を示す断面図。 プラズマ電源(P)と電子ビーム電源(B)の電気基本回路の各1実施例の回路図。 上下移動、旋回手段(M)の1実施例構成図。 非特許文献2から引用した電子ビーム照射装置の原理図。 公知の従来装置の縦断面図と機器の簡単な接続図。
符号の説明
1、ベース
2、ハウジング
3、架台
4、被照射体
5、カソード電極
6、主軸
7、操作桿
8、主軸受け
9、プラズマ生成電極
10、プラズマ生成電極
11、磁石
12、気体状態管理装置(V)
13、排気口
14、吸気口
15、プラズマ電源(P)
16、ビーム電源(B)
17、統括装置(C)
18、主軸移動装置(M)
19、外部ソレノイド

Claims (4)

  1. 装置全体を載せるベースと、前記装置全体を内包して気密を保ち、内部に電離気体を低圧に維持するように前記ベースに気密に取り付けられるハウジングと、を備えるとともに、前記低圧に維持された電離気体をプラズマ化する手段としての円環のアノードとカソード電極と被照射体の間に高圧の直流電圧パルスを印加する手段とを備え、かつ、前記ハウジング内に磁場を形成するソレノイドを備える電子ビーム照射表面改質装置において、前記被照射体には内部に一様な軸直角断面を有する孔を有し、前記カソード電極と近傍に磁界を作るように同形の磁石とが一体に併置された主軸が前記孔に挿入され、改質されるべき前記孔の内側面に前記カソード電極の放射面が対向して配置されるようにされるとともに、前記アノードを、前記ハウジング内であって、前記孔の上部と下部に配置することを特徴とする電子ビーム照射表面改質装置。
  2. 主軸に取り付けられた前記カソード電極と磁石を、前記被照射体の孔の内側面に沿って相対移動させる手段を備える請求項1に記載の電子ビーム照射表面改質装置。
  3. 板状の前記カソード電極と同形の磁石を重ねて主軸に取り付け、改質されるべき前記孔の内側面に対向しない端面を絶縁材で被覆して使用する請求項1に記載の電子ビーム照射表面改質装置。
  4. 前記低圧に維持された電離気体をプラズマ化するためコンデンサ充放電回路の前記アノードをハウジング内に設置する場合に、被照射体を載置し、前記ベース上に取り付けられる架台に窪みを設け、該窪みと被照射体の孔とを連通せしめるとともに、前記アノードを該窪みのなかに設置することにより、前記孔の内部に前記プラズマを発生させる請求項1に記載の電子ビーム照射表面改質装置。
JP2006290970A 2006-10-26 2006-10-26 電子ビーム照射表面改質装置 Expired - Fee Related JP5187876B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006290970A JP5187876B2 (ja) 2006-10-26 2006-10-26 電子ビーム照射表面改質装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006290970A JP5187876B2 (ja) 2006-10-26 2006-10-26 電子ビーム照射表面改質装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008105065A JP2008105065A (ja) 2008-05-08
JP5187876B2 true JP5187876B2 (ja) 2013-04-24

Family

ID=39438864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006290970A Expired - Fee Related JP5187876B2 (ja) 2006-10-26 2006-10-26 電子ビーム照射表面改質装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5187876B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10460907B2 (en) 2017-06-28 2019-10-29 Sodick Co., Ltd. Electron beam surface modification apparatus

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5525671B2 (ja) * 2011-10-20 2014-06-18 株式会社ソディック 電子ビーム照射により表面改質した成形機、成形機用のスクリュ及び成形機用のプランジャ

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5691989A (en) * 1979-12-24 1981-07-25 Kawasaki Heavy Ind Ltd Electron beam welder
JPS59174285A (ja) * 1983-03-19 1984-10-02 Hitachi Zosen Corp 円筒状構造物の電子ビーム溶接方法
JP3541166B2 (ja) * 2000-07-19 2004-07-07 川崎重工業株式会社 管の接合方法
US6863531B2 (en) * 2001-06-28 2005-03-08 Itac Ltd. Surface modification process on metal dentures, products produced thereby, and the incorporated system thereof
JP2003318219A (ja) * 2002-02-22 2003-11-07 Toray Eng Co Ltd 実装方法および装置
JP4711394B2 (ja) * 2005-01-07 2011-06-29 株式会社ソディック 電子ビーム照射表面改質加工装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10460907B2 (en) 2017-06-28 2019-10-29 Sodick Co., Ltd. Electron beam surface modification apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008105065A (ja) 2008-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2995388B2 (ja) イオン注入機に使用するイオン発生装置とその方法
US9837243B2 (en) Ion pump and charged particle beam device using the same
WO2016017661A1 (ja) イオンミリング装置、イオン源およびイオンミリング方法
US20070256927A1 (en) Coating Apparatus for the Coating of a Substrate and also Method for Coating
JP5187876B2 (ja) 電子ビーム照射表面改質装置
JP3550831B2 (ja) 粒子線照射装置
JP2007125574A (ja) 電子ビーム表面改質方法及び装置
JP2009262172A (ja) 電子ビーム照射貫通孔内径表面改質装置
JP2005076061A (ja) 金属部材の表面改質加工方法及び表面改質加工装置
US10115560B2 (en) Apparatus for modifying surfaces of titanium implants made of titanium alloy
CN112708858B (zh) 磁控液体阴极电弧等离子体蒸发离化源、镀膜装置及方法
JP3064214B2 (ja) 高速原子線源
JP2008280579A (ja) 電子ビームスパッタリング装置
JP6744694B1 (ja) 表面改質装置および表面改質方法
US10460907B2 (en) Electron beam surface modification apparatus
JP2010100904A (ja) 表面改質装置および表面改質方法
JP2009114482A (ja) 電子ビームによる金属表面の処理方法及び装置
US20220232692A1 (en) Ion source and neutron generator
JP4810497B2 (ja) 原子線源および表面改質装置
RU2408948C1 (ru) Плазменный эмиттер заряженных частиц
JP2006344387A (ja) 電子ビーム表面改質方法及び装置
JP2005209445A (ja) 金属部材の電子ビーム照射表面改質加工装置
JP2008260036A (ja) 電子ビーム照射表面改質方法及び装置
JP2018022701A (ja) イオンガン及びイオンミリング装置、イオンミリング方法
JP2005290510A (ja) 電子ビーム蒸着方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091016

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130118

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5187876

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees