JP2009144223A - アークプラズマ蒸着装置 - Google Patents
アークプラズマ蒸着装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009144223A JP2009144223A JP2007324978A JP2007324978A JP2009144223A JP 2009144223 A JP2009144223 A JP 2009144223A JP 2007324978 A JP2007324978 A JP 2007324978A JP 2007324978 A JP2007324978 A JP 2007324978A JP 2009144223 A JP2009144223 A JP 2009144223A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cathode electrode
- voltage
- electrode
- arc
- arc plasma
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Plasma Technology (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
【課題】数万回程度のアーク照射回数の全段階に亘り、ほぼ均一な微小粒子径の蒸着材を得ることのできるアークプラズマ蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸着材からなるカソード電極1と、絶縁ガイシ4と、トリガ電極2と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極6内に収容され、該アノード電極6が減圧容器8内に収容されてできるアーク蒸着源10を具備するアークプラズマ蒸着装置100であり、電極間に印加される電圧を制御する電圧制御部80をさらに有していて、沿面放電によってカソード電極1の一部が溶融してできる金属フレークが、カソード電極1と絶縁ガイシ4の間を掛け渡した姿勢で無端リング状に形成されるまでの間は相対的に低い電圧が印加され、無端リング状の金属フレークが形成された後は相対的に高い一定電圧が印加される電圧制御が電圧制御部80にて実行される。
【選択図】図1
【解決手段】蒸着材からなるカソード電極1と、絶縁ガイシ4と、トリガ電極2と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極6内に収容され、該アノード電極6が減圧容器8内に収容されてできるアーク蒸着源10を具備するアークプラズマ蒸着装置100であり、電極間に印加される電圧を制御する電圧制御部80をさらに有していて、沿面放電によってカソード電極1の一部が溶融してできる金属フレークが、カソード電極1と絶縁ガイシ4の間を掛け渡した姿勢で無端リング状に形成されるまでの間は相対的に低い電圧が印加され、無端リング状の金属フレークが形成された後は相対的に高い一定電圧が印加される電圧制御が電圧制御部80にて実行される。
【選択図】図1
Description
本発明はアークプラズマ蒸着装置に係り、特に、微小粒子径の蒸着材を被蒸着材に担持することのできるアークプラズマ蒸着装置に関するものである。
現在、環境負荷影響等に優しい車両としてハイブリッド自動車、電気自動車が注目されており、その一層の小型化、高性能化を目指した開発が日々進められている。中でも、電気自動車等に車載される燃料電池は内燃機関と発電原理を大きく異にするもので、清浄な排ガスの排出、静粛な走行などを実現する上で大きな車載機器である。
比較的低温で作動する高分子電界質を使用してなる燃料電池においては、正負極の触媒に比較的高価な白金が使用されており、より具体的には、カーボンからなる粉状担体表面に白金またはその合金が担持されることによって燃料電池用の電極触媒層が製造されている。
白金またはその合金を担体表面に担持させる方法の一つとして、たとえば特許文献1に開示の蒸着装置を使用する方法を挙げることができる。この蒸着装置は、棒状の蒸着材と、これに同型で棒状のカソードと、をコネクタにて接続し、この蒸着材を絶縁管の内部を貫通させて移動できるようにしたものであり、蒸着材とカソードの移動を直線駆動機構にて実行するものである。
ところで、本発明者等によれば、白金や白金コバルト合金を蒸着材としてカーボン等の被蒸着材にアークプラズマ照射することで金属触媒を製造する際に、蒸着材からなるカソード電極が溶融してできる金属フレークが生じるが、この金属フレークの形成段階で生成される白金等の蒸着材の粒子径が大きくばらつくという問題が特定されている。
たとえば、蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周の絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極とが筒状のアノード電極内に収容され、アノード電極が減圧容器内に収容されてできるアーク蒸着源を具備する真空アーク蒸着装置において、ターゲットとなるカソード電極と絶縁ガイシの間には一般に隙間が設けられている。これは、プラズマ発生時の熱膨張によってカソード電極が大きくなる際にその外周の絶縁ガイシを破損しないためである。実際には、図7(a)とそのB−B矢視図である図7(b)で示すように、円柱状のカソード電極aの先端がその外周を包囲する円筒状の絶縁ガイシbの先端から突出しており、かつ、双方の一部が接するとともに他部に隙間cが形成されていて、アーク電圧を印加すると、カソード電極aの側面とトリガ電極dとの間で沿面放電eが生じる。アーク放電回数が増加するにつれて、図8(a)とそのB−B矢視図である図8(b)で示すように、カソード電極aが溶融して金属フレークfが生成され、これが成長してその弧長が長くなってくる。さらにアーク放電回数が増加すると、ある放電回数の段階で、図9(a)とそのB−B矢視図である図9(b)で示すように、無端リング状の金属フレークfが形成され、カソード電極aとトリガ電極d間の隙間が完全に塞がれる。ここで、上記沿面放電は絶縁ガイシbとカソード電極aが接している箇所または金属フレークfにて間接的に接続された箇所のみで生じることから、金属フレークfの成長にともなって沿面放電箇所も増加し、これが図9のごとく無端リング状となった段階で安定的な放電がなされることとなる。この安定的な放電により、蒸着材の粒子径も微小径で安定することが特定されている。
しかし、印加電圧をある一定の値でアーク放電する従来の方法では、たとえば数万回程度に及ぶアーク放電回数の全放電段階に亘って、上記する安定した微小粒子径の蒸着材を得ることができず、上記特許文献1に開示の蒸着装置をもってしてもこの課題の解決には至らない。ここで、図10に、本発明者等による一定電圧下でのアークプラズマ照射回数と生成される触媒粒子径に関する実験結果を示す。図中、ラインX2は電圧を、ラインY2は平均粒子径を、ラインY2’は最大粒子径を、それぞれ示している。同図より、全照射回数を通じて触媒粒子の平均粒子径はほぼ同程度である一方で、175V程度の一定電圧下では、10000回程度の照射回数の際に、その最大粒子径が25nm以上の極めて大きな触媒粒子が生成されること、20000回以降は最大粒子径も5nm前後で安定していること、が実証されている。この実験では、20000回程度の照射回数で上記する無端リング状の金属フレークが形成され、カソード電極とその外周の絶縁ガイシがリング状に繋がれている。このことより、アークプラズマ照射回数の増加に伴い、金属フレークがリング状に形成されるまでの過程で、触媒粒子径、特に最大粒子径を小粒子径でかつほぼ均一径に制御することが重要な課題である。
特開平11−350115号公報
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が減圧容器内に収容されてできるアーク蒸着源を具備するアークプラズマ蒸着装置に関し、たとえば数万回程度のアーク照射回数の全段階に亘って、ほぼ均一な微小粒子径の蒸着材を得ることのできるアークプラズマ蒸着装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるアークプラズマ蒸着装置は、蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を隙間を介して包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が減圧容器内に収容されてできるアーク蒸着源を具備するアークプラズマ蒸着装置において、前記カソード電極の一端は前記絶縁ガイシの端部から突出しており、該突出したカソード電極の側面と前記トリガ電極の一端との間で沿面放電がなされるものであり、前記電極間に印加される電圧を制御する電圧制御手段をさらに有しており、前記沿面放電によって前記カソード電極の一部が溶融してできる金属フレークが、カソード電極と絶縁ガイシの間の前記隙間を掛け渡した姿勢で無端リング状に形成されるまでの間は、相対的に低い電圧が印加され、前記無端リング状の金属フレークが形成された後は相対的に高い一定電圧が印加される電圧制御が前記電圧制御手段にて実行されることを特徴とするものである。
アークプラズマ蒸着装置を構成するアーク蒸着源は、蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、これらが減圧容器内に収容されて形成されるものである。既述するように、カソード電極と絶縁ガイシの間には隙間が設けられて上記ユニット体が形成されている。なお、ここでいう隙間とは、図7で示すように、カソード電極の一部と絶縁ガイシの一部が接しており、その余の部分にできる未接触の領域のことを意味している。ここで、蒸着材からなるカソード電極の形状の一形態として、その内部に溝孔(座ぐり)が形成され、その端部(絶縁ガイシから突出するカソード電極を一端とした場合にその反対側の他端)が閉塞された筒状を呈した形状を挙げることができ、この形態では、他端と電極ホルダであるホルダ部材とが締結される。なお、絶縁ガイシは、たとえばシリカ(SiO2)等から成形される。
アノード電極とカソード電極の間に電圧を印加するとともにトリガ電極に電圧を印加すると、トリガ電極と蒸着材からなるカソード電極との間に沿面放電が発生し、これにより、アノード電極と蒸着材(カソード電極)の間にアーク放電が励起される。このアーク放電によって蒸着材が蒸発し、アノード電極に向かう荷電微粒子が放出される。この荷電微粒子は、アノード電極内に生じる磁場の影響により、たとえば減圧容器内のアノード電極の開放端に対向する位置に収容された被蒸着材に飛ばされ、該被蒸着材表面上で成長することになる。カソード電極の一端は絶縁ガイシの端部から若干突出しており、該突出したカソード電極の側面とトリガ電極の一端との間で上記する沿面放電がなされる。
上記するアークプラズマ蒸着装置は、電極間に印加される電圧を制御する電圧制御手段を備えている。プラズマ照射回数の増加に伴ってカソード電極の一部は溶融して金属フレークを形成するが、この金属フレークが円弧状に長くなり、カソード電極と絶縁ガイシの間の隙間を掛け渡した姿勢で無端リング状に形成されるまでの間は、電圧制御手段にて相対的に低い電圧が印加される。一方、この無端リング状の金属フレークが形成された後は相対的に高い一定電圧が印加されるように印加電圧が制御される。たとえば、最初の10000回までの照射回数では、75Vの電圧が印加され、10000回から30000回までの間は75V〜175Vで比例的に増加するように電圧が印加され、この30000回で無端リング状の金属フレークが形成された段階で、電圧:175Vの一定電圧が印加されるような制御形態を挙げることができる。
なお、当初の印加電圧の値、無端リング状の金属フレークが形成された後の一定電圧の値、その間の可変電圧の可変パターンなどは、目標とする金属触媒の粒子径やその触媒成分等に応じて適宜調整されるものである。たとえば、触媒が白金の場合と白金コバルトの場合で電圧制御パターン(電圧の初期値、無端リング状フレーク形成までの可変パターン、最大一定電圧値など)は相違するし、粒子径を2nm程度とする場合と5nm程度とする場合とで電圧制御パターンは相違するものである。
また、本発明によるアークプラズマ蒸着装置の他の実施の形態は、蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を隙間を介して包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が減圧容器内に収容されてできるアーク蒸着源を具備するアークプラズマ蒸着装置において、前記カソード電極の一端は前記絶縁ガイシの端部から突出しており、該突出したカソード電極の側面と前記トリガ電極の一端との間で沿面放電がなされるものであり、前記電極間に印加される電圧を制御する電圧制御手段をさらに有しており、該カソード電極と同素材からなり、前記カソード電極と前記絶縁ガイシの間の前記隙間を掛け渡す無端リング材をさらに有しており、前記電圧制御手段にて一定電圧が印加されることを特徴とするものである。
本実施の形態は、無端リング状の金属フレークが形成される過程で印加電圧を相対的に低電圧に調整するといった電圧制御手段を適用する代わりに、カソード電極と同素材の無端リング材をカソード電極と絶縁ガイシの間の隙間に掛け渡しておくものであり、電圧制御は、既述する実施の形態における、無端リング状の金属フレークが形成された後の相対的に高い一定電圧で印加するものである。
カソード電極と同素材の無端リング材を使用することでプラズマ粒子内に異質粒子を存在させないようにすることができる。また、数万回程度の全照射回数に亘って印加電圧を一定値に設定しておくだけでよく、電圧制御が容易となる。さらには、プラズマ照射の当初から生成される蒸着材の粒子径を高い精度で管理することが可能となる。
また、本発明によるアークプラズマ蒸着装置の他の実施の形態において、前記減圧容器内のアノード電極の開放端に対向する位置には被蒸着材を収容する収容部が具備されており、該収容部は前記減圧容器の軸心まわりに回転自在な皿状のチャンバーを有しており、これに粉状の被蒸着材が収容された姿勢でチャンバーの回転によって攪拌され、アークプラズマが該攪拌された被蒸着材に照射されるものである。
本実施の形態は、減圧容器内のアノード電極の開放端に対向する位置に回転自在のチャンバーを備えていて、このチャンバー内で被処理対象の被蒸着材を効率的に微小単位にばらばらにしながら、微小単位の被蒸着材表面にアークプラズマ照射することで金属触媒を担持させるものである。プラズマ照射に際して被蒸着材を微小単位に粉々にすることで、被蒸着材の凝集によって金属触媒が凝集体の一部にしか形成されないといった問題は生じ得ず、金属触媒の有効面積を大きくし、微小な被蒸着材表面に均一に金属触媒を担持させることができる。
上記実施の形態において、たとえば前記被蒸着材が粉状のカーボン担体であり、該カーボン担体に白金または白金合金をドライ担持させるのに供されるのが好ましい。この白金は比較的高価であるため、本発明の上記装置を使用することでその単位重量あたりの有効面積を大きくすることが可能となり、もって白金使用量を低減することに繋がる。本発明の上記装置をかかる用途に適用することで、昨今その開発が日々進められており、その生産が拡大しつつある電気自動車用燃料電池の電極触媒層の生産に好適である。なお、そのほか、ディーゼルエンジンの触媒等の生産にも適用できることは言うまでもない。
以上の説明から理解できるように、本発明のアークプラズマ蒸着装置によれば、数万回に亘るプラズマ照射のいずれの照射段階においても、ほぼ均一な微小粒子径の蒸着材を被蒸着材表面に担持させることができる。これにより、発電性能および耐久性能の双方に優れた燃料電池用の電極触媒層を形成することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のアークプラズマ蒸着装置の一実施の形態の側面図であり、図2は蒸着源を拡大した縦断面図である。図3は電圧制御部における電圧制御方法と、生成される白金触媒の平均粒子径、最大粒子径を示したグラフであり、図4は本発明のアークプラズマ蒸着装置によって生成された金属触媒のTEM写真である。図5は本発明のアークプラズマ蒸着装置の他の実施の形態の側面図であり、図6は図5のVI−VI矢視図である。
図1は、本発明のアークプラズマ蒸着装置の一実施の形態を概略説明した図である。このアークプラズマ蒸着装置100は、コンデンサ20、高電圧電源70、電圧制御部80と、アーク蒸着源10と、このアーク蒸着源10を内蔵する減圧容器8と、この先端で粉状カーボン担体Cを収容するチャンバー30と、から大略構成されている。減圧容器8の長手方向(プラズマ照射方向)は、水平面に対してθ傾斜させた姿勢で該アークプラズマ蒸着装置100が位置決め固定される。このチャンバー30はさらに先端のサーボモータ40(たとえばオリエンタルモーター株式会社製のAXU425)にて所定速度で回転自在に構成されている(X1方向)。また、アークプラズマ蒸着装置100は真空ポンプ50(たとえばターボ分子ポンプで、株式会社アルバック製のYTP150)、補助真空用のロータリーポンプ60に連通しており、これによって減圧容器8内を減圧雰囲気(場合によっては真空雰囲気)とし、放電させるようになっている。なお、上記する角度θ方向はチャンバーの自転軸とも一致しているが、このθの範囲はカーボン担体をチャンバー内壁から落下させるのを促進する等の観点から、30〜60度の範囲に設定されるのが好ましい。
また、アークプラズマ蒸着装置100は不図示のパーソナルコンピュータに繋がっており、このコンピュータ内には、アークプラズマ蒸着装置100にパルス信号を送信しながらプラズマのパルス照射を実行できる構成となっている。また、サーボモータ40の回転速度もコンピュータにて制御できるようになっており、この回転速度とパルス信号送信のタイミングの双方が調整されるようになっている。
たとえば、粉状カーボン担体Cへの白金触媒のドライ担持条件として、減圧容器8内の真空度は1.0×10−4Pa、トリガ電圧を200V、温度は常温とし、アークプラズマ照射はパルス照射するものとしてその照射間隔は4パルス/秒、サーボモータ40の回転数は45rpmにて電極触媒の製造を実施することができる。
上記する本発明のアークプラズマ蒸着装置100によれば、粉状カーボン担体Cをチャンバーの回転によって随時落下させながらその凝集を防止するとともに、微小単位の粉状のカーボン担体Cを生成でき、これにアークプラズマが照射されることで、カーボン担体表面に均一な白金触媒または白金コバルト等の白金合金触媒を担持させることが可能となる。
次に、図2に基づいてアークプラズマ蒸着装置100を形成するアーク蒸着源10の構成を詳述する。
アーク蒸着源10は、蒸着材である白金から成形され、その内部に凹溝を有するカソード電極1と、該カソード電極1の凹溝内に挿通されたボルト7を介してカソード電極1と接続される電極ホルダ5と、このカソード電極1および電極ホルダ5の外周を包囲する筒状の絶縁ガイシ4と、該絶縁ガイシ4の外周に設けられたCリング9とその外周に設けられた筒状のトリガ電極2と、が一つのユニット体を形成し、このユニット体が筒状のアノード電極6内に収容され、これらが筒状の減圧容器8内に収容されて形成される。ここで、カソード電極1と絶縁ガイシ4の間にはクリアランスCLが存在しており、このクリアランスCLはカソード電極1が熱膨張した際のバッファーゾーンとなっている。
カソード電極1の一端は絶縁ガイシ4の端部からたとえば1mm程度突出しており、この突出したカソード電極の側面とトリガ電極2の一端との間で沿面放電がなされる。
ここで、アークプラズマ蒸着装置100は、そのプラズマ照射段階に応じて、電圧制御部80にて印加電圧が可変に制御されるものである。
図3は、電圧制御部における電圧制御方法と、生成される白金触媒の平均粒子径、最大粒子径を示したグラフである。
ここで、同図におけるグラフX1は、電圧制御部における可変電圧を示している。まず、プラズマ照射の当初印加電圧を75Vに調整し、10000回の照射回数まではこの75Vの一定値に制御し、10000回〜30000回の範囲では75V〜175Vまで比例的に電圧を増加させ、およそ30000回の照射回数で図9のごとく無端リング状の金属フレークが形成された後は、この175Vの一定電圧が印加されるように制御されるものである。
なお、この可変電圧の初期値や無端リング状金属フレーク形成後の最大電圧値、それらの間の可変制御パターンなどは、金属触媒の種類や制御目標とする粒子径などに応じて適宜調整するのがよい。
図3において、グラフY1は各プラズマ照射段階での平均粒子径を、グラフY1’は各プラズマ照射段階での最大粒子径をそれぞれ示している。同図より、上記する電圧制御方法にて印加電圧を制御することにより、40000回までの全照射回数に亘り、平均粒子径は2〜3nmの均一な微小粒子径に制御でき、さらには、最大粒子径も5nm以下でほぼ均一な微小粒子径に制御できることが実証された。
また、図4は、図3に示す電圧制御方法により、カーボン担体表面上に白金触媒が担持された状態を示したTEM写真である。図より、カーボン担体表面上で独立した微小粒の白金触媒が高密度で担持されていることが分かる。
図5は、本発明のアークプラズマ蒸着装置の他の実施の形態を構成するアーク蒸着源10を示している。
このアーク蒸着源10Aは、図2で示すアーク蒸着源10におけるカソード電極1と絶縁ガイシ4の間のクリアランスCL部において、カソード電極1と同素材のたとえば白金からなる無端リング材3を備えたものである。なお、同図のVI−VI矢視図を図6に示している。
このアーク蒸着源10Aを備えたアークプラズマ蒸着装置によれば、たとえば白金からなる無端リング材3により、プラズマ照射の初期段階から印加電圧を可変に制御することなく、全プラズマ照射回数に亘って、白金触媒の平均粒子径、最大粒子径をともに図3で示す検証結果と同様に制御できることが本発明者等によって特定されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…カソード電極、2…トリガ電極、3…無端リング材、4…絶縁ガイシ、5…電極ホルダ、6…アノード電極、7…ボルト、8…減圧容器、9…Cリング、10,10A…アーク蒸着源、20…コンデンサ、30…チャンバー、40…サーボモータ、50…真空ポンプ、60…回転ポンプ、70…高電圧電源、80…電圧制御部、100…アークプラズマ蒸着装置、C…粉状カーボン担体
Claims (4)
- 蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を隙間を介して包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が減圧容器内に収容されてできるアーク蒸着源を具備するアークプラズマ蒸着装置において、
前記カソード電極の一端は前記絶縁ガイシの端部から突出しており、該突出したカソード電極の側面と前記トリガ電極の一端との間で沿面放電がなされるものであり、
前記電極間に印加される電圧を制御する電圧制御手段をさらに有しており、
前記沿面放電によって前記カソード電極の一部が溶融してできる金属フレークが、カソード電極と絶縁ガイシの間の前記隙間を掛け渡した姿勢で無端リング状に形成されるまでの間は、相対的に低い電圧が印加され、前記無端リング状の金属フレークが形成された後は相対的に高い一定電圧が印加される電圧制御が前記電圧制御手段にて実行されることを特徴とする、アークプラズマ蒸着装置。 - 蒸着材からなるカソード電極と、該カソード電極の外周を隙間を介して包囲する絶縁ガイシと、該絶縁ガイシの外周に設けられたトリガ電極と、が一つのユニット体を形成し、該ユニット体が筒状のアノード電極内に収容され、該アノード電極が減圧容器内に収容されてできるアーク蒸着源を具備するアークプラズマ蒸着装置において、
前記カソード電極の一端は前記絶縁ガイシの端部から突出しており、該突出したカソード電極の側面と前記トリガ電極の一端との間で沿面放電がなされるものであり、
前記電極間に印加される電圧を制御する電圧制御手段をさらに有しており、
該カソード電極と同素材からなり、前記カソード電極と前記絶縁ガイシの間の前記隙間を掛け渡す無端リング材をさらに有しており、前記電圧制御手段にて一定電圧が印加されることを特徴とする、アークプラズマ蒸着装置。 - 前記減圧容器内のアノード電極の開放端に対向する位置には被蒸着材を収容する収容部が具備されており、該収容部は前記減圧容器の軸心まわりに回転自在な皿状のチャンバーを有しており、これに粉状の被蒸着材が収容された姿勢でチャンバーの回転によって攪拌され、アークプラズマが該攪拌された被蒸着材に照射されるものである、請求項1または2に記載のアークプラズマ蒸着装置。
- 前記蒸着材が白金からなり、前記被蒸着材が粉状のカーボン担体であり、該カーボン担体に白金または白金合金を担持させるのに供される請求項3に記載のアークプラズマ蒸着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007324978A JP2009144223A (ja) | 2007-12-17 | 2007-12-17 | アークプラズマ蒸着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007324978A JP2009144223A (ja) | 2007-12-17 | 2007-12-17 | アークプラズマ蒸着装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009144223A true JP2009144223A (ja) | 2009-07-02 |
Family
ID=40915168
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007324978A Withdrawn JP2009144223A (ja) | 2007-12-17 | 2007-12-17 | アークプラズマ蒸着装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009144223A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10392703B2 (en) | 2014-03-20 | 2019-08-27 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Plasma CVD apparatus |
-
2007
- 2007-12-17 JP JP2007324978A patent/JP2009144223A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10392703B2 (en) | 2014-03-20 | 2019-08-27 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Plasma CVD apparatus |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4814986B2 (ja) | カーボンナノチューブ成長方法 | |
JP4810351B2 (ja) | ガス放電による放射線発生装置 | |
US20070026160A1 (en) | Apparatus and method utilizing high power density electron beam for generating pulsed stream of ablation plasma | |
JP2007179963A (ja) | 燃料電池用触媒の製造方法及び触媒の担持方法 | |
JP4861257B2 (ja) | 同軸型真空アーク蒸着源を用いた微粒子膜の製造方法及び製造装置 | |
JP2011518954A (ja) | 蒸着システム | |
JP2009144223A (ja) | アークプラズマ蒸着装置 | |
JP4964111B2 (ja) | 真空アーク蒸着装置 | |
JP2009144222A (ja) | アークプラズマ蒸着装置およびアークプラズマ蒸着方法 | |
JP2008095163A (ja) | ナノ金属粒子及びナノ金属薄膜の形成方法、並びにナノ金属粒子のサイズ制御方法 | |
JP2008050653A (ja) | 成膜装置、および成膜方法 | |
JP4901709B2 (ja) | 真空アーク蒸着装置 | |
JP4964110B2 (ja) | 真空アーク蒸着装置 | |
JP4466760B2 (ja) | 電極触媒の製造方法 | |
JP5191691B2 (ja) | 触媒材料の作製方法 | |
JP2004018899A (ja) | 蒸着源及び成膜装置 | |
JP2009285644A (ja) | 触媒材料の製造方法及び真空アーク蒸着装置 | |
JP2010142699A (ja) | 同軸型真空アーク蒸着源を用いた排ガス触媒の製造方法 | |
JP2009275264A (ja) | アーク蒸着装置 | |
JP6948049B2 (ja) | 窒化炭素膜の形成方法 | |
JP2005087864A (ja) | 電極触媒の製造方法 | |
JP2014034698A (ja) | 成膜方法及び装置 | |
JP6143007B2 (ja) | 皮膜形成装置及び皮膜形成方法 | |
JP5016976B2 (ja) | 微粒子膜の製造方法 | |
JP4627693B2 (ja) | 薄膜形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20110301 |