JP2009144148A - オレフィン重合用触媒およびそれを用いたエチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒およびそれを用いたエチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融張力が高く、機械的強度に優れ、かつ粒子性状に優れたオレフィン重合体を高い重合活性で製造することができるようなオレフィン重合用触媒を提供。
【解決手段】オレフィン重合用触媒は、成分(A)(下記一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物)、成分(B)(下記一般式(II)で表される架橋型メタロセン化合物)、および成分(C)(有機アルミニウムオキシ化合物など)を含んでなる。
Figure 2009144148

【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたエチレン系重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、溶融張力が高く、機械的強度に優れ、かつ粒子性状に優れたエチレン系重合体を高い重合活性で製造することができるようなオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたエチレン系重合体の製造方法に関するものである。
オレフィン重合体は、様々な成形方法により成形され、多方面の用途に使用されている。例えば、食料品、液体物や日用雑貨などの包装に用いられるフィルムやシートは、エチレン系重合体の押出成形体が用いられている。成形方法や用途に応じて、オレフィン重合体に要求される特性は異なってくるが、例えば、Tダイ成形を行う際、高速においても安定的に成形が可能(高速成膜加工性)、ネックインが小さいなどの加工性能を有することが求められている。
高圧法ラジカル重合により製造される低密度ポリエチレン(LDPE)は、複雑な長鎖分岐構造を有しているため溶融張力が大きく、そのためにネックインが小さいなど成形加工性が良いため、さまざまな用途に供されている。しかしながら、成形体の引張強度、引裂強度あるいは耐衝撃強度などの機械的強度に関しては低く、またTダイ成形における高速成膜加工性に劣るといった問題点も残されている。
一方、チーグラー触媒やメタロセン触媒で得られるエチレン系重合体は、LDPEとは対照的に、その分子構造に由来して、引張強度、引裂強度あるいは耐衝撃強度が高く、そのため機械的強度が必要とされる用途に供されているが、溶融張力が小さく成形加工性に劣るといった問題点がある。
これらの問題を解決するために、[1] LDPEとチーグラー触媒やメタロセン触媒を用いて得られるエチレン系重合体をブレンドする方法(特許文献1)、[2] 多段重合により分子量分布を広げる方法(特許文献2)、[3] クロム触媒を用いて長鎖分岐型のエチレン系重合体を製造する方法、[4] ある特定のメタロセン触媒を用いて長鎖分岐型のエチレン系重合体を製造する方法(特許文献3)、[5] 特定のメタロセン触媒を用いてマクロモノマーを共重合させ長鎖分岐型のエチレン重合体を製造する方法(特許文献4)、[6] 特定のメタロセン触媒を用いてエチレンとジエンを共重合させることにより長鎖分岐型のエチレン系重合体を製造する方法(特許文献5、6)、などが提案されている。しかし、[1]
の方法はブレンド物を調製するにあたり大幅なコストアップは免れない。[2]、[3]、[4]
、[5]の方法で得られるエチレン系重合体は、長鎖分岐数が少なく、また十分な溶融張力
ならびに成形加工性が得られない。さらに、[6]の方法においては、ジエンを多量に導入
すると、ポリマー本来の持つ機械的特性の低下やゲルの発生が懸念される。
近年、より多くの長鎖分岐の生成ならびに溶融張力の向上を目的として、2種類以上のメタロセン化合物や有機金属錯体を用いる例が報告されているが(特許文献7、8)、これら方法においてもまだ長鎖分岐数は十分とは言い難く、成形加工性の面において課題が残されているといえる。また、触媒活性においても工業的実施レベルには程遠いのが実状である。
以上述べたように、従来公知の触媒系あるいは樹脂のブレンドといった技術では、溶融張力が高く、かつ機械的強度に優れた樹脂を、安価に効率良く得ることは難しかった。換言すれば、高い溶融張力と優れた機械的強度を兼ね備えたエチレン系重合体の効率的な製
造技術の出現は、工業生産上重要で、その価値は極めて高い。
WO99/046325号パンフレット 特開平2−53811号公報 特開平4−213306号公報 特開平8−502303号公報 特表平1−50163号公報 特表平4−506372号公報 特開平7−252311号公報 特開2006−2057号公報
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、溶融張力が高く、機械的強度に優れ、かつ粒子性状に優れたオレフィン重合体を高い重合活性で製造することができるようなオレフィン重合用触媒、および該触媒を用いる重合方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記状況に鑑み鋭意研究した結果、構造の異なるシクロペンタジエニル誘導基からなる架橋型メタロセン化合物の複数種を、同一の重合系に共存させ、長鎖分岐のソースであるマクロモノマーの生成と生成マクロモノマーの再重合を同時に誘発させることにより、数多くの長鎖分岐を有するオレフィン重合体を効率良く製造できるオレフィン重合用触媒ならびに重合方法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のオレフィン重合用触媒は、成分(A)、成分(B)、成分(C)を含んでなることを特徴としている。
成分(A);下記一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物。
Figure 2009144148
〔一般式(I)中、R1〜R4は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよいが、全てが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成していてもよい。Q1
、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基であり、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。〕
成分(B);下記一般式(II)で表される架橋型メタロセン化合物。
Figure 2009144148
〔一般式(II)中、R7〜R10およびR13〜R20は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含
有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、また、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Q2は、
炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子およびハフニウム原子から選ばれ、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基である。〕
成分(C)
(c-1)下記一般式(III)、(IV)または(V)で表される有機金属化合物、
(c-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c-3)成分(A)、成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
a mAl(ORbn p q … (III)
〔一般式(III)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
a AlRa 4 … (IV)
〔一般式(IV)中、Ma はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示す。〕
a rbb s t … (V)
〔一般式(V)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Mb は、Mg、ZnおよびCdから選ばれ、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。〕
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、さらに固体状担体(S)を含んでいてもよく、このような触媒としては、固体状担体(S)、上記成分(C)および上記成分(A)から形成される固体状触媒成分(K1)と、固体状担体(S)、上記成分(C)および上記成分(B)から形成される固体状触媒成分(K2)からなるオレフィン重合用触媒、固体状担体(S)、上記成分(A)、成分(B)および成分(C)より形成される固体状触媒成分(K3)からなるオレフィン重合用触媒がある。
本発明では、前記一般式(I)中において、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つ
が、炭化水素基であることも好ましく、成分(C)が有機アルミニウムオキシ化合物であり、固体状担体(S)が多孔質酸化物であることも好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体の製造方法は、上記オレフィン重合用触媒の存在下、エチレン単独、またはエチレンと炭素数3〜20のオレフィンを重合することを特徴としている。本発明では、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)において、2つ以上のピークが観測され、最大ピークのピークトップのLog MMaxは、3.8≦Log MMax≦4.6を満たし、最大ピークのピーク強度(HMax)と、次に大きいピークのピーク強度(Hsecond)とがHMax≧2×Hsecondの関係を満たすエチレン系重合体を製造することが好ましい。
本発明によると成形加工性に優れた、長鎖分岐量の多いエチレン系重合体、およびこの効率的な製造方法が提供される。
以下、本発明に係るオレフィン重合用触媒、および該触媒を用いる重合方法について具体的に説明する。なお、本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず、共重合を包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
まず、本発明のオレフィン重合用触媒で用いられる各成分について説明する。
本発明で用いられる成分(A)の架橋型メタロセン化合物は、下記一般式(I)で示される周期律表第4族のメタロセン化合物である。下記一般式(I)示される周期表第4族のメタロセン化合物について詳細に説明する。
Figure 2009144148
一般式(I)中、Mは周期表第4族遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
1〜R4は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよいが、全てが同時に水素原子ではない。また、R1〜R4は、隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成していてもよい。
炭化水素基とは、炭素数1〜20の炭素と水素からなるアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基を示し、例えば、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などが挙げられる。シクロアルキル基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などが挙げられる。アルケニル基として、ビニル基、プロ
ペニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられ、アリール基として、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルが挙げられ、アリールアルキル基として、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどが挙げられる。
ハロゲン含有基としては、上記炭化水素基中の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基などが挙げられる。
酸素含有基としては、メトキシ基,エトキシ基などが挙げられ、イオウ含有基としては、チオール基,スルホン酸基などが挙げられ、窒素含有基としては、ジメチルアミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、フェニルホスフィン基などが挙げられる。ホウ素含有基としてはボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル、メチルシリル、ジメチルシリル、ジイソプロピルシリル、メチル−t−ブチルシリル、ジシクロヘキシルシリル、メチルシクロヘキシルシリル、メチルフェニルシリル、ジフェニルシリル、メチルナフチルシリル、ジナフチルシリル、シクロジメチレンシリル、シクロトリメチレンシリル、シクロテトラメチレンシリル、シクロペンタメチレンシリル、シクロヘキサメチレンシリル、シクロヘプタメチレンシリルなどが挙げられ、ゲルマニウム、スズ含有基としては、上記ケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウム、スズに変換した基などが挙げられる。
なお、R1〜R4の隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成する場合の例としては、テトラヒドロインデニル、2−メチルテトラヒドロインデニル、2,2,4−トリメチルテトラヒドロインデニル、4−フェニルテトラヒドロインデニル、2−メチル−4−フェニルテトラヒドロインデニル、R3とR4がテトラメチレン基で環状に結合し且つR1とR2がテトラメチレン基で環状に結合した置換シクロペンタジエニル基等が挙げられる。
1は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基
、アルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基である。
炭素数1〜20のアルキレン基、置換アルキレン基、アルキリデン基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキレン基、エチリデン、プロピリデン、ブチリデンなどのアルキリデン基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリ
レン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレンなどが挙げられ、ゲルマニウム、スズ含有基としては、上記ケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウム、スズに変換した基などが挙げられる。
ハロゲン含有基としては、上記アルキレン基、置換アルキレン基、アルキリデン基中やケイ素含有基中の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が選ばれ、例えばビス(トリフルオロメチル)メチレン、4,4,4−トリフルオロブチルメチルメチレン、ビス(トリフルオロメチル)シリレン、4,4,4−トリフルオロブチルメチルシリレンなどが挙げられる。
このうちQ1の好ましい基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、置換アルキレン
基、アルキリデン基、ハロゲン含有アルキレン基、ハロゲン含有置換アルキレン基、ハロゲン含有アルキリデン基、ケイ素含有基およびハロゲン含有ケイ素含有基から選ばれる基であり、特に好ましい基は、ケイ素含有基またはハロゲン含有ケイ素である。
また、Q1は下記一般式[1]または[2]のいずれかで表される構造を有していても
よい。
Figure 2009144148
Figure 2009144148
ここで、Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびスズ原子から選ばれる。R5およびR6は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基およびハロゲン含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Aは不飽和結合を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の二価の炭化水素基を示し、AはYと共に形成する環を含めて二つ以上の環構造を含んでいてもよい。黒丸(●)は置換シクロペンタジエニル基およびシクロペンタジエニル基との結合点を表す。
上記一般式[1]および[2]において、Yは好ましくは炭素原子またはケイ素原子であり、特に好ましくはケイ素原子である。
一般式[1]のR5およびR6の炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、およびハロゲン含有基は、R1、R2、R3、R4と同様のものを例示として挙げることができる。前記炭化水素の中でも、メチル基、クロロメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、フェニル基、m−トリル基、p−トリル基から選ばれる基であることが好ましく、メチル基、クロロメチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基から選ばれることが特に好ましい。
一般式[2]において、Aは不飽和結合を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の二価の炭化水素基であり、YはこのAと結合し、1−シラシクロペンチリデン基などを構成する。なお本明細書において、1−シラシクロペンチリデン基とは、下記式[3]を表す。
Figure 2009144148
(上記式[3]において、黒丸(●)は、一般式[2]と同様である。)
また、AはYとともに形成する環を含めて二つ以上の環構造を含んでいてもよい。
このうちQ1の好ましい基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、置換アルキレン
基、アルキリデン基、ハロゲン含有アルキレン基、ハロゲン含有置換アルキレン基、ハロゲン含有アルキリデン基、ケイ素含有基およびハロゲン含有ケイ素含有基から選ばれる基であり、特に好ましい基は、ケイ素含有基、またはハロゲン含有ケイ素含有基である。
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基(例えば、ハロゲン含有炭化水素基)、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基であり、好ましくは、ハロゲン原子、炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭化水素基、ハロゲン含有基(例えば、ハロゲン含有炭化水素基)、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基としては上記と同様のものが挙げられる。
1〜R4の好ましい基は、水素原子、炭化水素基およびハロゲン含有基から選ばれる基であり、より好ましくは、水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、さらに好ましくは、R1〜R4の置換基のうち3つが水素原子であり、残りの一つが炭素数1〜15の炭化水素基であり、より好ましくは、R1〜R4の置換基のうち3つが水素原子であり、残りの一つが炭素数3〜15の炭化水素基であり、特に好ましくは、R1〜R4の置換基のうち3つが水素原子であり、残りの一つが炭素数3〜8の炭化水素基であり、極めて好ましくは、R1〜R4の置換基のうちR1とR4が水素原子であり、R2とR3どちらか一方が炭素数3〜8の炭化水素基でありもう一方が水素原子である。
一般式(I)表される成分(A)の遷移金属化合物の具体例を以下に示す。
具体例としては、エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-メチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタ
ジエニル)(2-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-n-ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-n-オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3-n-デシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4-ジメチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジ−n−プロピルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロ
ペンタジエニル)(2,3-エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4-エチルメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,5-エチルメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル,4−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル,4−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,4-トリメチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペ
ンタジエニル)(2,5-ジメチル,3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチル,3−n−ブチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,5−ジメチル,3,4-ジ−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,5−ジメチル,3,4-ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどのアルキレン基を
架橋部位に有する架橋型非対称型メタロセン化合物;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-メチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプ
ロピリデン(シクロペンタジエニル)(2-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-n-ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-n-オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-n-デシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,3-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,4-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソ
プロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジ−n−プ
ロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド

イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,3-エチルメチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,4-
エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,5-エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−メチル,4−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−メチル,4−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,3,4-トリメチルシクロペンタジエニル
)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,3,5-
トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチル,3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチル,3
−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,5−ジメチル,3,4-ジ−n−プロピ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,5−ジメチル,3,4-ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリドなどの置換アルキレン基を架橋部位に有する架橋型非対称メタロセン化合物;
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-メチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルシリレン(シクロペンタジエニル)(2-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-n-ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-n-オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3-n-デシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメ
チルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジ−n−プ
ロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4-ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド

ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3-エチルメチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4-
エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,5-エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル,4−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル
)(3−メチル,4−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3,4-トリメチルシクロペンタジエニル
)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3,5-
トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチル,3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,5-ジメチル,3
−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,5−ジメチル,3,4-ジ−n−プロピ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,5−ジメチル,3,4-ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリドなどのケイ素含有基を架橋部位に有する架橋型非対称メタロセン化合物。
その他、上記置換アルキレン基のイソプロピリデン架橋基をジ−n−ブチルメチレン架橋基に変更した架橋型非対称メタロセン、ケイ素含有基のジメチルシリレン架橋基をジ−n−ブチルシリレン架橋基に変更した架橋型非対称メタロセン、架橋基中の水素原子の一つ以上をハロゲン原子に変更した架橋型非対称メタロセン、シクロペンタジエニル環に結合している置換基の水素原子の一つ以上をハロゲン原子に変更した架橋型非対称メタロセンが挙げられる。また、上記化合物の中心金属が、チタンまたはハフニウムであるメタロセン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このうち、好ましい化合物としては、ジメチルシリレン基などのケイ素含有基を架橋部位に有する架橋型非対称メタロセンが選ばれ、中でも、特に好ましい化合物しては、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。なお本発明においては、一般式(I)で表される、構造の異なるメタロセン化合物を二種類以上用いることや、構造が同一であって光学異性体混合物(例えば、メゾ/ラセミ混合物)からなるメタロセン化合物の使用を何ら制約するものではない。
このような一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物は、国際公開01/27124号パンフレットに開示された方法によって製造することが可能である。
本発明で用いられる成分(B)の架橋型メタロセン化合物は、下記一般式(II)で示される周期表第4族のメタロセン化合物である。下記一般式(II)で示される周期表第4族のメタロセン化合物について詳細に説明する。
Figure 2009144148
一般式(II)中、Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれた遷移金属であり、好ましくは、ジルコニウムである。
7〜R10、R13〜R20は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒
素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成していてもよい。
2は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基
、アルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基である。これら基の具体例としては、上記Q1で記したものが挙げられる。
また、Q2は下記一般式[4]または[5]のいずれかで表される構造を有していても
よい。
Figure 2009144148
Figure 2009144148
ここで、Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびスズ原子から選ばれる。R21およびR22は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、およびハロゲン含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。A’は不飽和結合を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の二価の炭化水素基を示し、A’はYと共に形成する環を含めて二つ以上の環構造を含んでいてもよい。黒丸(●)は置換シクロペンタジエニル基および置換フルオレニル基との結合点を表す。
上記一般式[4]および[5]において、Yは好ましくは炭素原子またはケイ素原子であり、特に好ましくは炭素原子である。
一般式[4]のR21およびR22の炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、およびハロゲン含有基は、R7〜R10、R13〜R20と同様のものを例示として
挙げることができる。前記炭化水素基の中でも、メチル基、クロロメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、フェニル基、m−トリル基、p−トリル基から選ばれる基であることが好ましく、メチル基、クロロメチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基から選ばれることが特に好ましい。
一般式[5]において、A’は不飽和結合を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の二価の炭化水素基であり、YはこのA’と結合し、1−シラシクロペンチリデン基などを構成する。なお本明細書において、1−シラシクロペンチリデン基とは、下記式[6]を表す。
Figure 2009144148
(上記式[6]において、黒丸(●)は、一般式[5]と同様である。)
また、A’はYとともに形成する環を含めて二つ以上の環構造を含んでいてもよい。
このうちQ2の好ましい基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、置換アルキレン
基、アルキリデン基、ハロゲン含有アルキレン基、ハロゲン含有置換アルキレン基、ハロゲン含有アルキリデン基、ケイ素含有基およびハロゲン含有ケイ素含有基から選ばれる基であり、特に好ましい基は、炭素数1〜20のアルキレン基、置換アルキレン基、アルキリデン基、または、ケイ素含有基である。
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基(例えば、ハロゲン含有炭化水素基)、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基であり、好ましくは、ハロゲン原子、炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭化水素基、ハロゲン含有基(例えば、ハロゲン含有炭化水素基)、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基としては、上記と同様のものが挙げられる。
7〜R10、R13〜R20中の水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒
素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基に関しては、具体的に一般式(I)中のR1〜R4に記載したものを制限無く用いることができ、Xに関しても一般式(I)中のXについて記載したものを制限無く用いることができる。また、シクロペンタジエニル環上のR7〜R10は、隣接する基
のうちの少なくとも一組は互いに結合して環を形成し、例えば、インデニル基、置換インデニル基、フルオレニル基、置換フルオレニル基を形成してもよく、フルオレン環上のR13〜R20も、隣接する基のうちの少なくとも一組は互いに結合して環を形成し、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基などを形成してもよい。
上記、好ましい基の形態としては、R7〜R10は、水素原子が選ばれ、R13〜R20は、
水素原子、炭化水素基が選ばれ、また、隣接する炭化水素基のうちの少なくとも一組は互いに結合して環を形成したオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基も好ましい基として選ばれる。Q2に関しては、一般式[4
]、一般式[5]で示す基が選ばれ、Yは炭素原子、R21、R22は炭化水素基が好ましい基として選ばれる。これらの置換基、架橋基を用いた場合、比較的分子量の向上が抑えられ、分子量を調節するために必要な水素量の低減により、成分(A)から生成されるマクロモノマー量が増加、さらには長鎖分岐数の増大が期待される。
このような前記一般式(II)で表される周期律表第4族のメタロセン化合物の具体例を以下に示すがこの限りではない。
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペ
ンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シ
クロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-
ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニ
ルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレ
ニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シ
クロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド、フェニルメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル
(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)
ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリ
デン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル
)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニ
ルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
シクロヘキシリデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシ
リデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
、フェニルメチルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレ
ニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3-
tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、イソプロピリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジ
ルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シ
クロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリド-ジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメ
チレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フ
ェニルメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルメチレン
(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、および上記メタロセン化合物のジブロミド化合物、ジアルキル化合物、ジアラルキル化合物、ジシリル化合物、ジアルコキシ化合物、ジチオール化合物、ジスルホン酸化合物、ジアミノ化合物、ジホスフィン化合物、または上記化合物の中心金属が、チタンもしくはハフニウムであるメタロセン化合物等が挙げられる。
このうち好ましいメタロセン化合物としては、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピ
リデン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブ
チルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウム
ジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
また、シクロペンタジエニル環上のR7〜R10の隣接する基が互いに結合して環を形成
し、インデニル環、置換インデニル環を有する好ましいメタロセン化合物の具体例としては、イソプロピリデン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(インデニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジ
クロリド、イソプロピリデン(インデニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル
)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(インデニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(インデニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(
インデニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シ
クロヘキシリデン(インデニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(インデニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル
)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(インデニル)(3,6-ジ-tert-ブチ
ルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(インデニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。なお本発明においては、一般式(II)で表される、構造の異なるメタロセン化合物を二種類以上用いることを何ら制約するものではない。
このような一般式(II)で表される架橋型メタロセン化合物は、国際公開01/27124号パンフレットに開示されている。
次に、成分(C)に関して具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒において、前記成分(A)、成分(B)で表される化合物とともに用いられる、成分(C)は、
(c-1)下記一般式(III)、(IV)または(V)で表される有機金属化合物、
a mAl(ORb)n p q … (III)
〔一般式(III)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
a AlRa 4 … (IV)
〔一般式(IV)中、Ma はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示す。〕
a rbb s t … (V)
〔一般式(V)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Mb は、Mg、ZnおよびCdから選ばれ、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。〕
(c-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c-3)成分(A)、成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物、
から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
化合物(c-1)として、本出願人による特開平11−315109号公報やEP087
4005A中に開示された化合物を制限無く使用することができる。
(c-1)一般式(III)、(IV)または(V)で表される有機金属化合物の中では、一般式(III)で示されるものが好ましく、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムな
どのトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジヒドロフェニルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジシクロヘキシルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ノニルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジメチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソプロピルアルミニウムメトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイドなどのジアルキルアルミニウムアルコキサイドなどが挙げられる。
これらは、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
(c-2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシ
クロアルキルアルミニウムから調製されたアルミノキサンが好ましく、トリメチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムから調製された有機アルミニウムオキシ化合物が特に好ましい。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
(c-3)成分(A)、成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物としては、特開
平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US5321106などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラ
ン化合物およびカルボラン化合物や、さらにはヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物を制限無く使用することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒では、助触媒成分としてメチルアルミノキサン等の有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示すだけでなく、固体状担体中の活性水素と反応し助触媒成分を含有した固体担体成分を容易に調製出来るため、(c-2)有機アルミニウムオキシ化合物を成分(C)とし
て用いることが好適である。
次に、固体状担体(S)に関して詳細に説明する。なお、固体状担体(S)を単に「成分(S)」と表すこともある。
本発明で用いられることのある固体状担体(S)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、上記のような各成分が下記のような固体状担体に担持されている。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物などの無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられ、好ましくは、後述のような多孔質酸化物、無機塩化物などの無機ハロゲン化物を使うことができる。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgO等を
使用することができる。これらのうち、SiO2を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2 、Al(NO3)3 、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が0.2〜300μm、好ましくは1〜200μmであって、比表面積が50〜1200m2/g、好ましくは100〜1000m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜30cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイ
オン結晶性化合物等を例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘
土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等が挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ-Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩等が挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好まし
い。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い
重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、いずれも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4等の陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3等の金属アルコキシド(R
は炭化水素基等)、[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+等の金属水酸
化物イオン等が挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いら
れる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)等を加水分解して得た重合物、SiO2等のコロイド状無機化合物等を共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物等が挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分け等の処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数が2〜14のオレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレン、ジビニルベンゼンを主成分として生成される(共)重合体や反応体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明におけるオレフィン重合用触媒の調製方法について記載する。
本発明に係る第一のオレフィン重合用触媒は、成分(A)、成分(B)および成分(C)を不活性炭化水素中または不活性炭化水素を用いた重合系中に添加することにより調製
できる。
各成分の添加順序は任意であるが、好ましい順序としては、例えば、
i) 成分(C)、成分(A)、成分(B)の順で重合系中に添加する方法
ii) 成分(C)、成分(B)、成分(A)の順で重合系中に添加する方法
iii) 成分(A)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(B)を重合系中に添加する方法
iv) 成分(B)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(A)を重合系中に添加する方法
v) 成分(C)を重合系中に添加し、次いで成分(A)と成分(B)を混合接触させた接触物を重合系中に添加する方法
vi) 成分(C)、成分(A)、成分(B)の順で重合系中に添加し、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
vii) 成分(C)、成分(B)、成分(A)の順で重合系中に添加し、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
viii)成分(A)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(B)を重合系中に添加する、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
ix) 成分(B)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(A)を重合系中に添加する、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
x) 成分(C)を重合系中に添加し、次いで成分(A)と成分(B)を混合接触させた接触物を重合系中に添加した後、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
などが挙げられる。このうち、特に好ましい接触順序としては、i)、ii)、v)が
挙げられる。
本発明に係る第二のオレフィン重合用触媒は、固体状担体(S)、上記成分(C)および上記成分(A)から形成される固体状触媒成分(K1)と、固体状担体(S)、上記成分(C)および上記成分(B)から形成される固体状触媒成分(K2)を不活性炭化水素中または不活性炭化水素を用いた重合系中に添加することにより調製できる。
各成分の接触順序は任意であるが、好ましい方法としては、例えば、
xi) 成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(A)を接触させて調製する固体触媒成分(K1)と成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(B)を接触させて調製する固体触媒成分(K2)を用いる方法
xii) 成分(A)と成分(C)を混合接触させ、次いで成分(S)に接触させて調製する固体触媒成分(K1)と成分(B)と成分(C)を混合接触させ、次いで成分(S)に接触させて調製する固体触媒成分(K2)を用いる方法
xiii)成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(A)と成分(C)の接触物を接触させて調製する固体触媒成分(K1)と成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(B)と成分(C)の接触物を接触させて調製する固体触媒成分(K2)を用いる方法xiv) 成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(A)を接触させ、さらに再度成分(C)を接触させて調製する固体触媒成分(K1)と成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(B)を接触させ、さらに再度成分(C)を接触させて調製する固体触媒成分(K2)を用いる方法
などが挙げられる。このうち、特に好ましい接触順序としては、xi)、xiii)が挙げられる。
本発明に係る第三のオレフィン重合用触媒(K3)は、成分(A)、成分(B)、成分(C)ならびに固体状担体(S)を不活性炭化水素中で接触させることにより調製できる。
各成分の接触順序は任意であるが、好ましい順序としては、例えば、
xv) 成分(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)を接触させた後に、成分(B)を接触させて調製する方法
xvi) 成分(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(B)を接触させた後に、成分(A)を接触させて調製する方法
xvii)成分(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)と成分(B)の接触混合物を接触させる方法、
xviii)成分(A)と成分(B)とを混合接触させ、次いで成分(C)と接触、引き続き
成分(S)に接触させる方法、
xix) 成分(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(A)、成分(B)の順で接触させる方法、
xx) 成分(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(B)、成分(A)の順で接触させる方法、
xxi) 成分(S)に成分(C)を接触させた後に、さらに成分(C)を接触させ、次いで成分(A)と成分(B)の接触混合物を接触させる方法、
xxii)成分(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)と成分(B)と成分(C)の接触混合物を接触させる方法、
xxiii)成分(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)と成分(C)の接触
混合物を接触させ、さらに成分(B)を接触させる方法、
xxiv)成分(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(B)と成分(C)の接触混合物を接触させ、さらに成分(A)を接触させる方法、
xxv) 成分(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(A)と成分(C)の接触混合物、成分(B)と成分(C)の接触混合物の順で接触させる方法、
xxvi)成分(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(B)と成分(C)の接触混合物、成分(A)と成分(C)の接触混合物の順で接触させる方法、
xxvii)成分(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次い
で成分(A)と成分(B)と成分(C)の接触混合物を接触させる方法、
xxviii)成分(A)と成分(C)の混合物と成分(B)と成分(C)の混合物を予め混合させ、これを成分(S)と成分(C)の接触物に接触させる方法、
xxix)成分(A)と成分(C)の混合物と成分(B)と成分(C)の混合物を予め混合させ、これを成分(S)、成分(C)、さらに成分(C)を接触させた接触物に接触させる方法、などが挙げられる。成分(C)が複数用いられる場合は、その成分(C)同士が同一であっても異なっていても良い。このうち、特に好ましい接触順序としては、xv)、xvi)、xvii)、xxii)、xxiii),xxiv)が挙げられ、さらに好ましくはxvii)、xxii)が挙げられる。
上記接触順序形態を示した各方法において、成分(S)と成分(C)の接触を含む工程(P1)、成分(S)と成分(A)の接触を含む工程(P2)、成分(S)と成分(B)
の接触を含む工程(P3)、成分(S)と成分(A)と成分(B)の接触を含む工程においては、成分(G)(g-1)ポリアルキレンオキサイドブロック、(g-2)高級脂肪族アミド、(g-3)ポリアルキレンオキサイド、(g-4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、(g-5)アルキルジエタノールアミンおよび(g-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物を共存させてもよい。成分(G)を共存させることにより
、重合反応中のファウリングを抑制したり、生成重合体の粒子性状が改善される。成分(G)の中では、(g-1)、(g-2)、(g-3)、(g-4)が好ましく、(g-1) 、(g-2)が特に好ましい
本発明の固体触媒成分の調製に用いる溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が挙げられ、
具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができる。
成分(C)と成分(S)の接触は、成分(C)中の反応部位と成分(S)中の反応部位との反応により化学的に結合され、成分(C)と成分(S)の接触物が形成される。成分(C)と成分(S)との接触時間は、通常0〜20時間、好ましくは0〜10時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−20〜120℃で行われる。成分(C)と成分(S)との初期接触を急激に行うと、その反応発熱や反応エネルギーにより成分(S)が崩壊し、得られる固体触媒成分のモルフォロジーが悪化し、これを重合に用いた場合ポリマーモルフォロジー不良により連続運転が困難になることが多い。そのため、成分(C)と成分(S)との接触初期は、反応発熱を抑制する目的で、−20〜30℃の低温で接触させる、または、反応発熱を制御し、初期接触温度を維持可能な速度で反応させることが好ましい。また、成分(C)と成分(S)を接触させ、さらに成分(C)を接触させる場合においても同様である。成分(C)と成分(S)との接触のモル比(成分(C)/成分(S))は、任意に選択できるが、そのモル比が高いほうが、成分(A)、成分(B)の接触量を増加でき、固体触媒成分あたりの活性も向上させることができる。
好ましい範囲として、成分(C)と成分(S)のモル比[=成分(C)のモル量/成分(S)のモル量]が、通常0.2〜2.0、特に好ましくは、0.4〜2.0である。
成分(C)と成分(S)の接触物と、成分(A)ならびに成分(B)との接触に関して、接触時間は、通常0〜5時間、好ましくは0〜2時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−50〜100℃の範囲内で行われる。成分(A)ならびに成分(B)の接触量は、成分(C)の種類と量に大きく依存し、成分(c-1)の場合は、成分
(A)ならびに成分(B)中の全遷移金属原子(M)と成分(c-1)とのモル比[(c-1)
/M]が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような
量で用いられ、成分(c-2)は、成分(c-2)中のアルミニウム原子と成分(A)及び成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(c-2)/M]が、通常10〜500000
、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(c-3)は、成分(c-3)と、成分(A)及び成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(c-3)/M]
が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。なお、成分(C)と成分(A)及び成分(B)中の全遷移金属原子(M)との比は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析法)により求めることができる。
成分(A)と成分(B)の使用比は、製造したいポリオレフィンの分子量及び分子量分布から任意に決定できるが、好ましい範囲として、成分(A)と成分(B)から生成するポリマーの比率[=成分(A)の生成ポリマー量/成分(B)の生成ポリマー量]が、通常40/60〜95/5、好ましくは、50/50〜95/5、特に好ましくは、60/40〜95/5である。ここで、成分(A)由来のポリマーが多い方が好ましいのは、成分(A)からマクロモノマーが生成し、この生成量が多い方が、より長鎖分岐を生成するに有利であるからである。また、使用する成分(A)、成分(B)の遷移金属化合物あたりのモル比は、上述のポリマー比を満足すれば良く、その比率は概ね成分(S)と成分(C)の接触物と成分(A)または成分(B)とをそれぞれ独立に接触させた固体触媒成分より発現する活性比によって任意に選ぶことができる。なお、成分(A)と成分(B)から生成するポリマーの比率は、後述のピーク分離から求めることができる。
オレフィンの(共)重合には、上記のような固体触媒成分をそのまま用いることができるが、この固体触媒成分にオレフィンを予備重合させ予備重合固体触媒成分を形成してか
ら用いることもできる。
予備重合固体触媒成分は、上記固体触媒成分の存在下、通常、不活性炭化水素溶媒中、オレフィンを予備重合させることにより調製することができ、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても実施することができ、また減圧、常圧あるいは加圧下、いずれでも行うことができる。さらに、予備重合によって、固体状触媒成分1g当り0.01〜1000g、好ましくは0.1〜800g、さらに好ましくは0.2〜500gの量で予備重合固体触媒成分が生成することが望ましい。
不活性炭化水素溶媒中で生成した予備重合固体触媒成分を懸濁液から分離した後、再び不活性炭化水素中に懸濁させ、得られた懸濁液中にオレフィンを導入してもよく、また、乾燥させた後オレフィンを導入してもよい。
予備重合に際しては、予備重合温度は、−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は、0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。予備
重合には、後述する重合時に用いられるオレフィンと同様のオレフィンが用いられるが、好ましくはエチレンを主成分とするオレフィンである。
予備重合に使用する固体触媒成分の形態としては、既に述べたものを制限無く利用できる。また、必要に応じて成分(C)が用いられ、特に(c-1)中の一般式(III)に示される有機アルミニウム化合物が好まれて使用される。成分(C)が用いられる場合は、該成分(C)中のアルミニウム原子(Al−C)と遷移金属化合物とのモル比(成分(C)/遷移金属化合物)で、0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000の量で用いられる。
予備重合系における固体触媒成分の濃度は、固体触媒成分/重合容積1リットル比で、通常1〜1000グラム/リットル、さらには10〜500グラム/リットルであることが望ましい。予備重合時には、ファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的として、前記の成分(G)を共存させることができる。
また、予備重合固体触媒成分の流動性改善や重合時のヒートスポット・シーティングやポリマー塊の発生抑制を目的に、予備重合によって一旦生成させた予備重合固体触媒成分に成分(G)を接触させてもよい。この際、使用する成分(G)として、(g-1)、(g-2)、(g-3)、(g-4)が好ましく、(g-1)、(g-2)が特に好ましい。
上記成分(G)を混合接触させる際の温度は、通常−50〜50℃、好ましくは−20〜50℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
固体触媒成分と成分(G)とを混合接触するに際して、成分(G)は、固体触媒成分100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.4〜5重量部の量で用いられる。
固体触媒成分と成分(G)との混合接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、不活性炭化水素溶媒としては、前記と同様のものが挙げられる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、予備重合固体触媒成分を乾燥して乾燥予備重合触媒として用いることができる。予備重合固体触媒成分の乾燥は、通常得られた予備重合触媒の懸濁液から濾過などにより分散媒である炭化水素を除去した後に行われる。
予備重合固体触媒成分の乾燥は、予備重合固体触媒成分を不活性ガスの流通下、70℃以下、好ましくは20〜50℃の範囲の温度に保持することにより行われる。得られた乾燥予備重合触媒の揮発成分量は2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下であるこ
とが望ましい。乾燥予備重合触媒の揮発成分量は、少ないほどよく、特に下限はないが、実用的には0.001重量%である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが通常3〜8時間である。
乾燥予備重合触媒の揮発成分量が2.0重量%を超えると、乾燥予備重合触媒の流動性が低下し、安定的に重合反応器に供給できなくなることがある。また、乾燥予備重合触媒の安息角は、50°以下、好ましくは5〜47°、より好ましくは10〜45°である。乾燥予備重合触媒の安息角が50°を超えると、乾燥予備重合触媒の流動性が低下し、安定的に重合反応器に供給できなくなることがある。
ここで、乾燥予備重合触媒の揮発成分量は、たとえば、減量法、ガスクロマトグラフィーを用いる方法などにより測定される。
減量法では、乾燥予備重合触媒を不活性ガス雰囲気下において110℃で1時間加熱した際の減量を求め、加熱前の乾燥予備重合触媒に対する百分率として表す。
ガスクロマトグラフィーを用いる方法では、乾燥予備重合触媒から炭化水素などの揮発成分を抽出し、内部標準法に従って検量線を作成した上でGC面積から重量%として算出する。
乾燥予備重合触媒の揮発成分量の測定方法は、乾燥予備重合触媒の揮発成分量が約1重量%以上である場合には、減量法が採用され、乾燥予備重合触媒の揮発成分量が約1重量%以下である場合には、ガスクロマトグラフィーを用いる方法が採用される。
予備重合固体触媒成分の乾燥に用いられる不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガスなどが挙げられる。このような不活性ガスは、酸素濃度が20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下(体積基準)であり、水分含量が20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下(重量基準)であることが望ましい。不活性ガス中の酸素濃度および水分含量が上記の範囲を超えると、乾燥予備重合触媒のオレフィン重合活性が大きく低下することがある。
上記乾燥予備重合触媒は、流動性に優れているので、重合反応器への供給を安定的に行うことができる。また、気相重合系内に懸濁に用いた溶媒を同伴させずに済むため安定的に重合を行うことができる。
次に、本発明に係るエチレン系重合体の重合方法に関して記載する。上記したオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合または共重合することによりエチレン系重合体を得る。本発明でのエチレン系重合体は、重合体中のエチレン含量が10モル%以上含まれるものをさす。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できるが、本発明に係る第1のオレフィン重合用触媒下では、溶解重合法が用いられ、第2、第3の発明に係る固体触媒成分の存在下では、懸濁重合法や気相重合法を用いるのが好ましい。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上述のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)および成分(B)は、反応容積1リットル当たり、通常10-12〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルになるような量で用いられる。また、成分(C)が用いられ、特に(c-1)中一般式(III)に示される有機アルミニウム化合物が好まれて使用される。
また、上述の固体触媒成分を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃、特に好ましくは60〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるエチレン系重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。重合時には、ファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的として、前記の成分(G)を共存させることができる。
また、本発明において重合反応に供給されるオレフィンは、エチレン及び炭素原子数3〜20のオレフィンから選ばれる1種以上のモノマーである。このうち、モノマーの少なくとも1種がエチレンまたはプロピレンであることが好ましい。炭素原子数が3〜20のオレフィンの具体例としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのα−オレフィンや、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィンを挙げることができる。さらにスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンやアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸等の極性モノマーなども用いることもできる。
一般的に、オレフィン重合用触媒のエチレン系重合体に対する反応性は、エチレン系重合体の分子量が小さくなるにつれて、また末端の二重結合の割合が多くなるにつれて高まり、多くの長鎖分岐を生成することが出来る。成分(A)は、分子量が比較的低く、また数多くの末端に二重結合を有する重合体を生成できるため、成分(B)により効率的に取り込まれ、従来公知の重合体に対し数多くの長鎖分岐を有する重合体を製造できる。また、成分(A)の重合活性に由来して、高い生産性で長鎖分岐を有する重合体を製造可能である。
次に、本発明のオレフィン重合用触媒を用いて重合されるエチレン系重合体に関して説明する。本発明のオレフィン重合用触媒の存在下、エチレン、またはエチレンと炭素数3〜20のオレフィンを重合して得られるエチレン系重合体は、下記する二つの特徴を有している。
特徴1
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により2つ以上のピークが観測され、最大ピークのピークトップのLog(MMax)は、
3.8≦Log (MMax)≦4.6、好ましくは、4.0≦Log (MMax)≦4.4
の範囲にあり、最大ピークのピーク強度(HMax)は、次に大きいピークのピーク強度(Hsecond)と
HMax≧2×Hsecond
の関係を有する。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)は、ウォーターズ(Waters)モデル「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)に
より得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
[使用装置および条件]
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステムEmpower(Waters社)
カラム;TSKgel GMH6- HT×2+TSKgel GMH6-HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o-ジクロロベンゼン〔=ODCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/min
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
分子量分布および各種平均分子量は、Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967)に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として計算された。
本発明においては、GPCにより得られる最大ピークは、(i) GPC曲線において極大値を有する点、または、(ii) GPC曲線の2次微分において極大値もしくは極小値を与
える点として定義される。ピークが重なり合い一見、単一ピークまたはショルダーとして観測される場合には、2次微分における極大値、極小値によりピークを決定する方法が有効である。
上記の方法により決定したピークのピーク強度をHと表し、最もピークの強いピークピ
ーク強度をHMax、次に大きいピークのピーク強度をHsecondとした場合に、HMax≧2×Hsecond の関係を満たす。
本発明で得られるエチレン系重合体においては、通常最大ピークのピークトップのLog
(MMax)、HMaxを与えるピークは成分(A)に起因するピークであり、Hsecondを与える
ピークは、成分(B)に起因するピーク、もしくは、後述の第3ピークであることが多い。
成分(A)由来の重合体は、GPCチャート上では分子量が相対的に小さく、かつ末端に二重結合を有しているため、重合時にモノマー(マクロモノマー)の一つとして寄与し長鎖分岐鎖となりうる。すなわち、本重合体中における成分(A)に起因する重合体割合が高いほうが、長鎖分岐生成に有利である。
また、成分(A)に起因する重合体の分子量は、小さい方が長鎖分岐生成に有利であるものの、小さくなりすぎるとフィルムなどの成形体の機械強度の低下や重合時に壁面付着が生じ運転不良の原因となり、逆に分子量が大きいとマクロモノマーして取り込まれず長鎖分岐を生成しづらくなるため適度な分子量が望ましい。
また、本重合体は、実質的に3つのピークから構成され、1番目のピークは成分(A)に起因するピーク(「成分(A)ピーク」と記載することもある)であり、2番目のピークは、成分(B)に起因するピーク(「成分(B)ピーク」と記載することもある)であ
り、3番目のピークは、成分(A)、成分(B)の両方用いたときのみ初めて生成するピーク(「第3ピーク」と記載することもある)である。各々のピークの存在比は、下に記載のピーク分離方法に従って分離すると明確に確認できる。
また、各々のピークが重なり合い、単一ピークまたはショルダーとして観測される場合の生成比の決定に関しても、後述の方法で分離を行うと成分(A)に起因するピーク、成分(B)に起因するピーク、ならびに3番目のピークの存在が明確に確認できるのである。
本発明に係る重合法により製造したエチレン系重合体の分子量曲線(G1)のピーク分離は、該エチレン系重合体と同様の重合条件にて重合した、成分(A)、成分(C)、成分(S)からなる粒子状触媒を用いて得られたエチレン重合体[成分(A)のみの重合体
と記載することもある]の分子量曲線(G2)と、成分(B)、成分(C)、成分(S)
からなる粒子状触媒を用いて得られたエチレン重合体[成分(B)のみの重合体と記載す
ることもある]の分子量曲線(G3)を用いて,下記の方法により実施した。なお、分子
量曲線は上述したGPC測定により得られたものを用い、ピーク分離の計算はマイクロソフト社製エクセル(登録商標)97を用いた。
[1](G1)、(G2)、(G3)の数値データにおいて、Log(分子量)を0.02間隔に分割し、さらに分子量曲線の面積が1となるように強度[dwt/d(log分子量)]を規格化する

[2](G2)と(G3)との合成曲線(G4)を作成する。
[3] 各分子量における(G1)の強度と(G4)の強度との差の絶対値が0.0004以下となるように、(G2)および(G3)の各分子量における強度を一定の比率で任意に変更する。なお、高分子量側では生成する第3ピークの影響により、(G1)の強度と(G4)の強度との差の絶対値が0.0004より大きくなってしまうため、より低分子量側で(G1)の強度と(G4)の強度との差の絶対値が0.0004以下となるように、(G2)および(G3)の強度を変更していく。
[4] ピークトップより高分子量側における(G1)と(G4)との重なり合わない部分(G5)[(G1)−(G4)]を第3ピークとする。成分(A)に起因するポリマー重合比率Wa、成分(B)に起因するポリマー重量比率Wb、第3ピークの重量比率W3は以
下のように算出される。
Wa=S(G2)/S(G4)
Wb=S(G3)/S(G4)
3=S(G5)/S(G4)
ここで、S(G2)、S(G3)は強度を変更した後の(G2)、(G3)のピーク面積であり、S(G4)、S(G5)は(G4)、(G5)のピーク面積である。
Wa、Wb、W3は、製造したいポリオレフィンの分子量および分子量分布から任意に
決定できるが、好ましい範囲として、40%<Wa≦95%、5%<Wb≦60%、2%≦W3≦30%であり、特に好ましい範囲としては、60%<Wa≦95%、5%<Wb
≦40%、2%≦W3≦20%である。ここで、成分(A)由来のポリマーが多い方が好
ましいのは、上述したが成分(A)由来のマクロモノマー生成量が多い方が、より長鎖分岐を生成するに有利であるからである。
本重合体の2つ目の特徴を下述する。
特徴2
下記要件[1]〜[5]を同時に満たす。
[1] 190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10の範囲である。
[2] 密度(d)が875〜970kg/m3の範囲である。
[3] 190℃における溶融張力[MT(g)]と、200℃、角速度1.0 rad/秒
におけるせん断粘度[η*(P)]との比[MT/η*(g/P)]が1.50×10-4〜9.00×10-4の範囲である。
[4] 200℃におけるゼロせん断粘度[η0(P)]とGPC−粘度検出器法(GPC−V
ISCO)により測定された重量平均分子量(Mw)とが下記関係式(Eq-1)を満たす。
0.01×10-13×Mw3.4≦η0≦4.5×10-13×Mw3.4 ・・(Eq-1)
また、本発明で得られるエチレン系重合体は、上記した要件[1]〜[4]を満たす限りは殆どのプラスチック産業用途において後述する効果を遺憾なく発現するが、成形性や流動性の突発的な不具合を確実に防止することができると言う視点からは、上記要件[1]
〜[4]に加えて下記要件[5]を同時に満たすことが好ましい。
[5] 本発明で得られるエチレン系重合体の、135℃デカリン中で測定した極限粘度([η](dl/g))とGPC−粘度検出器法(GPC−VISCO)により測定された重量平均分子量(Mw)とが下記関係式(Eq-2)を満たす。
0.80×10-4×Mw0.776≦[η]≦1.65×10-4×Mw0.776 ・・(Eq-2)
上記した各要件[1]〜[5]の意義、測定方法、好ましい範囲に関しては、本出願人によるWO2006/080578中の記載により十分に説明されている。
本発明で得られるエチレン系重合体は以下のような方法によりペレット化してもよい。(1)エチレン系重合体および所望により添加される他の成分を、押出機、ニーダー等を
用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
(2)エチレン系重合体および所望により添加される他の成分を適当な良溶媒(例えば、
ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去、しかる後に押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
本発明で得られるエチレン系重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
本発明で得られるエチレン系重合体、および必要に応じて熱可塑性樹脂[R]や添加剤を含む樹脂組成物は、一般のフィルム成形やブロー成形、インジェクション成形及び押出成形により加工される。フィルム成形では押出ラミネート成形、Tダイフィルム成形、インフレーション成形(空冷、水冷、多段冷却、高速加工)などが挙げられる。得られたフィルムは単層でも使用することができるが、多層とすることでさらに様々な機能を付与することができる。その場合には、前記各成形法における共押出法が挙げられる。一方押出ラミネート成形やドライラミネート法のような貼合ラミネート成形法によって、共押出が困難な紙やバリアフィルム(アルミ箔、蒸着フィルム、コーティングフィルムなど)との積層が挙げられる。ブロー成形やインジェクション成形、押出成形での、共押出法による多層化での高機能製品の作製については、フィルム成形と同様に可能である。
本発明で得られるエチレン系重合体、および必要に応じて熱可塑性樹脂や添加剤を含む樹脂組成物を加工することにより得られる成形体としては、フィルム、ブロー輸液バック、ブローボトル、ガソリンタンク、押出成形によるチューブ、パイプ、引きちぎりキャップ、日用雑貨品等射出成形物、繊維、回転成形による大型成形品などがあげられる。
さらに、本発明で得られるエチレン系重合体、および必要に応じて熱可塑性樹脂や添加剤を含む樹脂組成物を加工することにより得られるフィルムとしては水物包装袋、液体スープ包袋、液体紙器、ラミ原反、特殊形状液体包装袋(スタンディングパウチ等)、規格
袋、重袋、ラップフィルム、砂糖袋、油物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、プロテクトフィルム、輸液バック、農業用資材等に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、合成例に記載した化合物は、270MHz 1H-NMR(日本電子GSH−270)、FD−質量分析(FD−MS)(日本電子SX−102A)、ガスクロマトグラフ−質量分
析(GC−MS)(島津 GCMS−QP5050A)等を用いて決定した。実施例・比較例に記載した製造方法で得られた重合体の物性測定は、耐熱安定剤としてIrganox1076(チ
バスペシャリティケミカルズ)0.1重量%、Irgafos168(チバスペシャリティケミカルズ)0.1重量%を加え、東洋精機製作所製ラボプラストミルを用い、樹脂温度180℃、回転数50rpm.で5分間溶融混練し、さらにこの溶融ポリマーを、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm2の条
件にて冷却したものを用いた。また、重合体の諸物性は、上述の明細書内に記載している機器および方法により求めた。
〔極限粘度([η])〕
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち造粒ペレット約20mgを
デカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン
溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希
釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔合成例1〕
[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A1)の調製]
<Step.1> (3−n−ブチルシクロペンタジエニル)クロロジメチルシランの合成
25wt%-ブチルシクロペンタジエン・THF溶液 30.1g(61.5mmol)にTHF 50mlを加えた。0℃まで冷却し、1.52M−n−ブチルリチウム・ヘキサン溶液 38.4ml(58.4mol)を滴下した。
室温下2時間攪拌し、ジメチルシリルジクロリド 14.3g(110mmol),THF 50ml中に-78℃にて滴下した。徐々に昇温させ、室温下、24時間攪拌を行った。減圧濃縮を行い、濾過により不溶物を除去した。ヘキサン洗浄後、ろ液を減圧蒸留した。減圧蒸留を行い、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)クロロジメチルシラン 8.09g(収率64%)を得た。GC-MSにて目的物を同定した。GC-MS;214(MS)
<Step.2> ジメチルシリル(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエ
ニル)の合成
2M-ナトリウムシクロペンタジエニドのTHF溶液 8.8ml(16.6mmol)にTHF 50mlを加え、-78℃に冷却した。(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)クロロジメチルシラン 1.89g(8.8mmol)をTHF 20mlに溶解し、反応器に滴下した。室温下、2時間攪拌後、50℃で2時間攪
拌した。TLCにて反応終了確認し、0℃下、水を加えて反応を停止した。ヘキサンにて抽出を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥を行い、ろ過後得られた溶液を減圧濃縮した。減圧蒸留を行い、ジメチルシリル(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル) 1.07g(収率50%)を得た。1H-NMR,GC-MSにて目的物
を同定した。
1H-NMR(CDCl3,TMS基準);7.0-6.0(br,7H), 3.2(d,1H), 2.9(d,1H), 2.3(t,2H), 1.4(m,4H) 0.9(t,3H), 0.1(t,3H), -0.2ppm(s,3H); GC-MS;244(MS)
<Step.3> ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A1)の合成
ジメチルシリル(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル) 0.58g(2.38mmol)をジエチルエーテル 30mlに溶解させた。-78℃に冷却し、1.57M-nBuLi 3.16ml(4.99mmol)を滴下した。徐々に温度を上昇させ、室温下24時間攪拌した。減圧濃縮を行い、ヘキサン 6mlで3回洗浄した。得られた白色固体をヘキサン 60mlで懸濁させ、-78℃
下、四塩化ジルコニウム 500mg(2.15mmol)を添加した。徐々に温度を上昇させ、室温下、24時間攪拌させた。濾過を行い、ヘキサンで洗浄し、塩を除去した。ろ液を減圧濃縮し、粗精製物 510mgを得た。ジエチルエーテル、ペンタンで洗浄し、得られた固体を減圧乾
燥させ、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A1) 190mg(収率20%)を得た。1H-NMR,FD-MSにて目的物を同
定した。
1H-NMR(CDCl3, TMS基準);6.9(d,2H), 6.6(s,1H), 5.9(t,3H), 5.5(s,1H), 2.6(m,2H), 1.4(m,2H), 1.3(m,2H), 0.9(t,3H), 0.8ppm(m,3H); FD−MS;404(MS)
Figure 2009144148
〔合成例2〕
[ジメチルシリレン(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A2)の調製]
<Step.1> クロロ(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成
ジメチルシリルジクロリド 14.3g(110mmol)にTHF 100mlを加え、-78℃に冷却した。2M-ナトリウムシクロペンタジエンのTHF溶液38.7ml(77.4mmol)を30分かけて滴下し、徐々に
昇温させ、室温下、24時間攪拌を行った。減圧濃縮を行い、濾過により塩化ナトリウムを除去した。ヘキサン洗浄後、ろ液のヘキサンを減圧蒸留し、得られたクロロ(シクロペンタジエニル)ジメチルシランを次工程に用いた。
<Step.2> ジメチルシリル(3−n-プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニ
ル)の合成
n-プロピルシクロペンタジエン 2.16g(20mmol)にTHF 100mlを加え、-78℃に冷却した。1.57M−n−ブチルリチウム・ヘキサン溶液 13.3ml(22mmol)をゆっくり滴下し、室温下、3時間攪拌した。再び反応器を-78℃に冷却後、クロロ(シクロペンタジエニル)ジメチル
シラン 3.97g(25mmol)をTHF20mlに溶解し、反応器に滴下した。室温下、18時間攪拌後、TLCにて反応終了を確認した。0℃下、水を加えて反応を停止した。ヘキサンにて抽出を行
い、有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥を行い、濾過後得られた溶液を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:トリエチル
アミン= 98:2 v/v)および減圧蒸留にて精製を行い、ジメチルシリル(3−n-プロピルシ
クロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル) 1.73g(収率38%)を得た。1H-NMR,GC-MSにて目的物を同定した。
1H-NMR(CDCl3,TMS基準);7.0-6.0(br,7H), 3.0(s,1H), 2.9(s,1H), 2.3(m,2H), 1.6(m,2
H) 0.9(t,3H), 0.1(t,3H), -0.2ppm(s,3H); GC-MS;230(MS)
<Step.3> ジメチルシリレン(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド(A2)の合成
ジメチルシリル(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル) 0.90g(3.9mmol)をジエチルエーテル 40mlに溶解させた。-78℃に冷却し、1.57M−n−ブチル
リチウム・ヘキサン溶液 5.09ml(8.0mmol)を滴下した。徐々に温度を上昇させ、室温下24時間攪拌した。減圧濃縮を行い、ヘキサン 13mlで3回洗浄した。得られた白色固体をヘキサン 50mlで懸濁させ、-78℃下、四塩化ジルコニウム 820mg(3.5mmol)を添加した。徐々
に温度を上昇させ、室温下、24時間攪拌させた。濾過を行い、ヘキサンで洗浄し、塩を除去した。ろ液を減圧濃縮し、ペンタンで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させ、ジメチルシリレン(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A2) 210mg(収率14%)を得た。1H-NMR,FD-MSにて目的物を同定した。
1H-NMR(CDCl3, TMS基準);7.1-6.9(m,2H), 6.6(s,1H), 6.0-5.8(m,3H), 5.5(s,1H), 2.6(m,2H), 1.5(m,2H), 0.9(t,3H), 0.8-0.7ppm(d,6H); FD-MS;388(MS)
Figure 2009144148
〔合成例3〕
[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A3)の調製]
<Step.1> n-オクチルシクロペンタジエニドの合成
2M-ナトリウムシクロペンタジエニドのTHF溶液 50ml(100mmol)にTHF 100mlを
加えた。-78℃まで冷却し、1-ブロモオクタン 19.3g(100mmol)のTHF溶液を滴下した。さらに1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン 11.4g(100mol)を滴下し、-78℃下、攪拌を行
った。室温下、24時間攪拌後、0℃まで冷却した。1N−塩酸にて反応を終了させ、ヘキ
サンを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過を行い、減圧濃縮を行った。得られた溶液を減圧蒸留にて精製し、目的物であるn-オクチルシクロペンタジエン 6.7g(37.5mmol)を
得た。GC-MSにて目的物を同定した。GC-MS;178(MS)
<Step.2> ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)の合成
n-オクチルシクロペンタジエン 5.34g(30mmol)にTHF 100mlを加えた。-78℃まで冷却し、1.58M−n−ブチルリチウム・ヘキサン溶液 18.9ml(30mmol)を滴下した。室温下2時間
攪拌し、ジメチルシリルジクロリド 14.3g(110mmol)、THF 50ml中に-78℃にて滴下した。徐々に昇温させ、室温下、24時間攪拌を行った。減圧濃縮を行い、濾過により不溶物を除去した。ヘキサン洗浄後、ろ液のヘキサンを減圧蒸留し、クロロジメチル(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)シランを得た。GC-MSにて目的物を同定後、反応器にTHF 100mlを加え-78℃に冷却した。2M−ナトリウムシクロペンタジエニド・THF溶液 15ml(30mmol)を滴下し、徐々に昇温させ、室温下24時間攪拌した。反応の進行確認後、0℃下、水
を加えて反応を停止した。ヘキサンにて抽出を行い、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥を行い、濾過後、得られた溶液を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:トリエ
チルアミン= 98:2 v/v)にて精製を行い、目的物である ジメチルシリル(シクロペンタ
ジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル) 3.5g(収率39%)を得た。GC-MSにて目的物を同定した。GC-MS;300(MS)
<Step.3> ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A3)の合成
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル) 3.1g(10mmol)をジエチルエーテル 80mlに溶解させた。-78℃に冷却し、1.57M−n−ブチルリチウムのヘキサン溶液 13.1ml(20.5mmol)を滴下した。徐々に温度を上昇させ、室温下24時
間攪拌した。減圧濃縮を行い、ヘキサンで洗浄した。得られた固体をヘキサン 80mlで懸
濁させ、-78℃下、四塩化ジルコニウム 1.96g(8.4mmol)を添加した。徐々に温度を上昇させ、室温下、24時間攪拌させた。濾過を行い、ヘキサンで洗浄し、塩を除去した。ろ液を減圧濃縮し、ジエチルエーテル、ペンタンの混合溶媒で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥させ、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A3) 240mg(収率5%)を得た。1H-NMR,FD-MSにて目的物を同
定した。
1H-NMR(CDCl3, TMS基準);7.0(s,1H), 6.9(s,1H), 6.5(s,1H), 5.9-5.8(m,3H), 5.5(s,1H), 2.7(m,2H), 1.5(m,2H), 1.2(m,10H), 0.8(t,3H), 0.7ppm(m,6H); FD-MS;458(MS)
Figure 2009144148
〔合成例4〕
[ジメチルシリレン(3−ブチル−2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A4)の調製]
<Step.1> 2−ブチル−1,3,4−トリメチルシクロペンタジエンの合成
ポリリン酸 259gを加え、40℃下、攪拌しながらメタクリル酸sec-ブチル 50.7gを滴下
した。1時間攪拌を行い、80℃まで温度を上昇させた。1分間攪拌後、冷却を行い、水酸化ナトリウム水溶液を加え、ゆっくりアルカリ性にした。ヘキサン、ジエチルエーテルで抽出を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮を行い、減圧蒸留で精製した。得られた2,3,5−トリメチルシクロペント−2−エノン 6.8gにジエチルエーテル 75mlを加えた。-78度に冷却し、0.84M−n-ブチルマグネシウムクロリド・THF溶液 72mlを25
分かけて滴下した。徐々に室温まで上昇させ、24時間攪拌を行い、-10℃下、飽和塩化ア
ンモニア水溶液を滴下した。10分間攪拌を行い、20%硫酸水溶液を添加し、ジエチルエーテルで、有機層を抽出した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を減圧濃縮した。減圧蒸留、シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン)にて精製を行い、2−
ブチル−1,3,4−トリメチルシクロペンタジエン 5.2gを得た。目的物をGC−MSにて
同定した。GC-MS;164(MS)
<Step.2> (2−ブチル−1,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)クロロジメチルシランの合成
2−ブチル−1,3,4−トリメチルシクロペンタジエン 1.6g(12.9mmol)にTHF 100mlを加えた。0℃まで冷却し、1.57M−n−ブチルリチウムのヘキサン溶液 8.6ml(13.5mmol)を滴下
した。室温下2時間攪拌し、ジメチルシリルジクロリド 2.0g(15.5mmol)、THF 50mlを-78
℃にて滴下した。徐々に昇温させ、室温下、8時間攪拌を行い、透明な溶液を得た。減圧
濃縮を行い、濾過により不溶物を除去した。ヘキサン洗浄後、ろ液のヘキサンを減圧蒸留した。減圧蒸留を行い、ジメチルシリルジクロリドを除去した。THF 100mlを加え、−78℃に冷却した。2M−ナトリウムシクロペンタジエニド・THF溶液 4.7ml(9.4mmol
)を徐々に滴下し、室温下24時間攪拌した。0℃下、水を加えて反応を停止させ、有機層
をヘキサンで抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥を行い、ろ過を行った。減圧濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;ヘキ
サン:トリエチルアミン= 98:2 v/v)で精製した。目的物である(3−ブチル−2,4,5−
トリメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)クロロジメチルシラン 4.6g(16.1mmol)を得た。GC-MSにて目的物を同定した。GC-MS;286(MS)
<Step.2> ジメチルシリレン(3−ブチル−2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A4)の合成
(3−ブチル−2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)クロロジメチルシラン 0.53g(1.9mmol)をジエチルエーテル 50mlに溶解させた。-78℃に冷却
し、1.57M−n−ブチルリチウムのヘキサン溶液 0.76ml(1.7mmol)を滴下した。徐々に温度を上昇させ、室温下24時間攪拌した。減圧濃縮を行い、ヘキサン 6mlで3回洗浄した。得
られた固体をヘキサン 50mlで懸濁させ、-78℃下、四塩化ジルコニウム 400mg(1.7mmol)
を添加した。徐々に温度を上昇させ、室温下、24時間攪拌させた。濾過を行い、ヘキサンで洗浄し、塩を除去した。ジエチルエーテルで溶解させ、攪拌しながらペンタンを加え、徐々に析出させた。ペンタンで洗浄を行い、得られた固体を減圧濃縮で乾燥させた、ジメチルシリレン(3−ブチル−2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A4) 30mgを得た。1H-NMR,FD-MSにて目的物を同定した。
1H-NMR(CDCl3, TMS基準);6.9(s,2H), 5.6(s,2H), 5.6(2H), 2.4-2.2(m,2H), 2.0-1.8(m,9H), 1.5-1.2(m,4H), 0.9-0.7(m,9H); FD−MS;444(MS)
Figure 2009144148
〔合成例11〕
下記構造式で表される(B1)は、特開平4−69394号公報に記載の方法に基づいて合成した。
Figure 2009144148
〔合成例12〕
下記構造式で表される(B2)は、EP351392パンフレットに記載の方法に基づいて合成した。
Figure 2009144148
〔合成例13〕
下記構造式で表される(B3)は、特開2000−212194号公報に記載の方法に基づいて合成した。
Figure 2009144148
〔合成例14〕
下記構造式で表される(B4)は、EP955305パンフレットに記載の方法に基づいて合成した。
Figure 2009144148
〔合成例15〕
下記構造式で表される(B5)は、特開2005−200451号公報に記載の方法に基づいて合成した。
Figure 2009144148
〔合成例16〕
下記構造式で表される(B6)は、特開2004−168744号公報に記載の方法に基づいて合成した。
Figure 2009144148
[実施例1]
〔固体成分(S)の調製〕
内容積260Lの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、250℃で10時間乾燥したシリカ(SiO2:平均粒子径60μm)10kgを90.5Lのトルエンに懸濁した後、
0〜5℃まで冷却した。この懸濁液にメチルアルモキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.0mmol/mL)45.5Lを30分間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜5℃に保った。引き続き0〜5℃で30分間反応させた後、約1.5時間かけて95〜100℃まで昇温して、引き続き95〜100℃で4時間反応させた。その後常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエンを加えて全量129Lとし、固体成分(S)のトルエンスラリーを調製した。得られた固体成分の一部を採取し、濃度を調べたところ、スラリー濃度:96.5g/L、Al濃度:0.489mol/Lであった。
〔固体触媒成分(Y−1)の調製〕
窒素置換した200mLのガラス製フラスコにトルエン50mLを入れ、上記で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で1.0g)を装入した。次に、メタロセン化合物(ジメチルシリレン(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A2))のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)7.6mLとメタロセン化合物(B1)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)5.1mLを混合滴下し((A2)/(B1)のモル比=60/40)、室温で1時間反応させた。なお、1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。次に上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンで2回洗浄し、50mlヘプタンスラリーとした(固体触媒成分Y−1)。得られた固体
触媒成分(Y−1)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.046mg/mL、Al濃度2.6mg/mLであった。
重 合
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム 0.375mmolを添加し、さらに固体触媒成分(Y−1)を固体成分換算で20mg、装入し、80℃に昇温して、0.78MPa・Gにて90分間重合を行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体76.25gを得た。得られた重合体のGPC解析結果、並びに諸物性を表1に、また、GPCチャートを図1に記す。
[実施例2]
重 合
実施例1の重合において、エチレンガスの代わりに水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.1vol%)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体75.45gを得た。得られた重合体のGPC解析結果、並びに諸物性を表1に記す。
[実施例3]
重 合
充分に窒素置換した内容積2リットルのSUS製オートクレーブにNaCl250gを入れ、90分間、100℃にて内容物を真空乾燥した。次いで、1−ブテン・エチレン混合ガス(1−ブテン濃度:4vol%)にてオートクレーブ内を常圧に戻し、内温を75℃にし、混合ガス流通下、トリイソブチルアルミニウム 0.75mmolを添加し、さら
に固体触媒成分(Y−1)を固体成分換算で34.4mg装入し、0.78MPa・G、80℃にて90分間重合を行った。得られた内容物を十分の水で洗浄しNaClを完全に取り除いた後、重合体を10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合体68.86gを得た。得られた重合体のGPC解析結果、並びに諸物性を表1に記す。
[実施例4]
〔固体触媒成分(Y−2)の調製〕
窒素置換した200mLのガラス製フラスコにトルエン50mLを入れ、実施例1で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で1.0g)を装入した。次に、メタロセン化合物(ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A1))のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)7.6mLとメタロセン化合物(B1)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)5.1mLを混合滴下し((A1)/(B1)のモル比=60/40)、室温で1時間反応させた。なお、1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。次に上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンで2回洗浄し、50mlヘプタンスラリーとした(固体触媒成分Y−2)。得られた固体触媒成分(Y−2)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.034mg/mL、Al濃度2.1mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−2)を15mg用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体60.22gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表1に、またGPCチャートを図2に記す。
[実施例5]
重 合
実施例4の重合において、エチレンガスの代わりに水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.05vol%)を用いた以外は、実施例4と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体55.09gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表1に、またGPCチャートを図3に記す。
[実施例6]
重 合
実施例3の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−2)を34.4mg用いた以外は、実施例3と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合体41.59gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表1に、またGPCチャートを図4に記す。
[実施例7]
〔固体触媒成分(Y−3)の調製〕
実施例1の固体触媒成分(Y−1)の調製において、メタロセン化合物(A2)の代わりにメタロセン化合部(A3)を用い、メタロセン化合物(A3)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A3)/(B1)=80/20(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−1)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−3)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−3)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.049mg/mL、Al濃度3.2mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−3)を30mg用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体80.02gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表1に、またGPCチャートを図5に記す。
[実施例8]
重 合
実施例7の重合において、エチレンガスの代わりに水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.1vol%)を用いた以外は、実施例7と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体84.69gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に記す。
[実施例9]
〔固体触媒成分(Y−4)の調製〕
実施例1の固体触媒成分(Y−1)の調製において、メタロセン化合物(A2)の代わりにメタロセン化合物(A4)を用い、メタロセン化合物(A4)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A4)/(B1)=70/30(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−1)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−4)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−4)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.038mg/mL、Al濃度2.1mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥
し、エチレン・1−ヘキセン共重合体76.04gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に、またGPCチャートを図6に記す。
[実施例10]
重 合
実施例9の重合において、エチレンガスの代わりに水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.1vol%)を用いた以外は、実施例9と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体80.33gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に記す。
[実施例11]
重 合
実施例3の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−4)を用いた以外は、実施例3と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合体51.57gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に記す。
[実施例12]
〔固体触媒成分(Y−5)の調製〕
実施例1の固体触媒成分(Y−1)の調製において、メタロセン化合物(A2)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A2)/(B1)=60/40(モル比)の代わりに、(A2)/(B1)=45/55(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−1)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−5)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−5)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.038mg/mL、Al濃度2.1mg/mLであった。
重 合
実施例3の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−5)を用い、1−ブテン・エチレン混合ガス(1−ブテン濃度:4vol%)の代わりに1−ブテン・エチレン混合ガス(1−ブテン濃度:7vol%)を用いた以外は、実施例3と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合体46.65gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に記す。
[実施例13]
重 合
実施例6の重合において、1−ブテン・エチレン混合ガス(1−ブテン濃度:4vol%)の代わりに1−ブテン・エチレン混合ガス(1−ブテン濃度:7vol%)を用いた以外は、実施例6と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合体51.85gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に記す。
[実施例14]
〔固体触媒成分(Y−6)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B2)を用い、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B2)の反応モル比率を(A1)/(B2)=30/70(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−6)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y
−6)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.036mg/mL、Al濃度2.3mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体74.38gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表2に記す。
[実施例15]
〔固体触媒成分(Y−7)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B3)を用い、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B3)の反応モル比率を(A1)/(B3)=70/30(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−7)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−7)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.035mg/mL、Al濃度2.2mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体121.34gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例16]
〔固体触媒成分(Y−8)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B4)を用いた以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−8)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−8)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.034mg/mL、Al濃度2.3mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−8)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体75.51gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例17]
〔固体触媒成分(Y−9)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B5)を用い、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B5)の反応モル比率を(A1)/(B5)=55/45(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−9)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−9)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.034mg/mL、Al濃度2.3mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−9)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体113.72gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例18]
〔固体触媒成分(Y−10)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B6)を用い、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B6)の反応モル比率を(A1)/(B6)=55/45(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−10)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(Y−10)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.036mg/mL、Al濃度2.3mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(Y−10)を用い、重合温度並びに添加する1−ヘキセン量を80℃、10mlから70℃、30mlに変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体116.03gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例19]
〔固体触媒成分(X−11)の調製〕
窒素置換した200mLのガラス製フラスコにトルエン50mLを入れ、実施例1で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で1.0g)を装入した。次に、メタロセン化合物(B1)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)12.7mLを滴下し、室温で1時間反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンで2回洗浄し、100mlヘプタンスラリーとした(固体触媒成分X−11)。得られた固体触媒成分(X−11)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.023mg/mL、Al濃度1.3mg/mLであった。
〔固体触媒成分(X−2)の調製〕
窒素置換した200mLのガラス製フラスコにトルエン50mLを入れ、実施例1で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で1.0g)を装入した。次に、メタロセン化合物(A2)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)12.7mLを滴下し、室温で1時間反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンで2回洗浄し、100mlヘプタンスラリーとした(固体触媒成分X−2)。得られた固体触媒成分(X−2)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.023mg/mL、Al濃度1.3mg/mLであった。
重 合
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム 0.375mmolを添加し、さらに固体触媒成分(X−2)を固体成分換算で8mg、固体触媒成分(X−11)を固体成分換算で12mg装入し((A2)/(B1)のモル比=40/60)、80℃に昇温して0.78MPa・Gにて90分間重合を行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し
、エチレン・1−ヘキセン共重合体79.67gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例20]
〔固体触媒成分(X−3)の調製〕
実施例19の固体触媒成分(X−2)の調製において、メタロセン化合物(A2)の代わりにメタロセン化合物(A1)を用いた以外は、固体触媒成分(X−2)と同様の方法で調製して固体触媒成分(X−3)を得た。
重 合
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム 0.375mmolを添加し、さらに固体触媒成分(X−3)を固体成分換算で5mg、固体触媒成分(X−11)を固体成分換算で15mg装入し((A1)/(B1)のモル比=25/75)、80℃に昇温して0.78MPa・Gにて90分間重合を行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体48.65gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例21]
〔固体触媒成分(Y−11)の調製〕
窒素置換した200mLのガラス製フラスコにトルエン50mLを入れ、実施例1で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で1.0g)を装入した。次に、メタロセン化合物(ジメチルシリレン(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A2))のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)5.6mLとメタロセン化合物(B1)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)7.1mLを混合滴下し((A2)/(B1)のモル比=44/56)、室温で1時間反応させた。なお、1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。次に上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンで2回洗浄し、50mlヘプタンスラリーとした(固体触媒成分Y−11)。
〔予備重合触媒成分(YP−11)の調製〕
引き続き、上記で得られた固体触媒成分(Y−11)のヘプタンスラリーを10℃まで冷却した後、窒素流通下にて、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)2.0mmolと1−ヘキセン0.13mLを添加した。1−ヘキセン添加後、エチレンの流通を開始し系内温度35℃にて固体触媒成分に対して重量換算で3倍分のエチレンの重合を行った(予備重合)。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンを用いて3回固体触媒成分を洗浄した後、50mlヘプタンスラリーとした。
次に、ケミススタット2500(三洋化成社製)10mgを上記スラリー中に添加し、系内温度を34〜36℃にて1時間保温し、予備重合触媒にケミスタット2500を反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、得られた予備重合触媒をヘキサンで3回洗浄した。
次に、内容積100mLのガラス製シュレンク管に上記ヘキサンスラリーを移し、減圧下25℃にてヘキサンを減圧留去することで、固体触媒成分1g当たり3gのポリマーが重合された予備重合触媒成分(YP−11)を4.0g得た。
得られた予備重合触媒(YP−11)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに予備重合触媒成分(YP−11)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体64.33gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表3に記す。
[実施例22]
〔固体触媒成分(Y−12)の調製〕
実施例21の固体触媒成分(Y−11)の調製において、メタロセン化合物(A2)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A2)/(B1)=44/56(モル比)の代わりに、(A2)/(B1)=47/53(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−11)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−12)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−12)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、固体触媒成分(Y−11)の代わりに固体触媒成分(Y−12)を用いた以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で固体触媒成分(YP−12)を得た。得られた予備重合触媒(YP−12)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(YP−12)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体81.86gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表4に記す。
[実施例23]
〔固体触媒成分(Y−13)の調製〕
実施例21の固体触媒成分(Y−11)の調製において、メタロセン化合物(A2)の代わりにメタロセン化合物(A1)を用い、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=37/63(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−11)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−13)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−13)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、固体触媒成分(Y−11)の代わりに固体触媒成分(Y−13)を用いた以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で固体触媒成分(YP−13)を得た。得られた予備重合触媒(YP−13)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(YP−13)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体59.57gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表4に記す。
[実施例24]
〔固体触媒成分(Y−14)の調製〕
実施例23の固体触媒成分(Y−13)の調製において、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=37/63(モル比)の代わりに、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=45/55(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−13)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−14)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−14)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、固体触媒成分(Y−11)の代わりに固体触媒成分(Y−14)を用いた以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で固体触媒成分(YP−14)を得た。得られた予備重合触媒(YP−14)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(YP−14)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体80.28gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表4に記す。
[実施例25]
〔固体触媒成分(Y−15)の調製〕
実施例23の固体触媒成分(Y−13)の調製において、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=37/63(モル比)の代わりに、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=49/51(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−13)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−15)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−15)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、固体触媒成分(Y−11)の代わりに固体触媒成分(Y−15)を用いた以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で固体触媒成分(YP−15)を得た。得られた予備重合触媒(YP−15)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(YP−15)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体94.11gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表4に記す。
[実施例26]
〔固体触媒成分(Y−16)の調製〕
実施例23の固体触媒成分(Y−13)の調製において、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=37/63(モル比)の代わりに、メタロセン化合物(A1)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A1)/(B1)=55/45(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−13)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−16)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−16)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、固体触媒成分(Y−11)の代わりに固体触媒成分(Y−16)を用いた以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で固体触媒成分(YP−16)を得た。得られた予備重合触媒(YP−16)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに予備重合触媒成分(YP−16)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体63.63gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表4に記す。
[実施例27]
〔予備重合触媒成分(YP−17)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、ケミスタット2500の反応量を10mgの代わりに、ケミスタット2500の反応量を40mgに増量した以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で予備重合触媒成分(YP−17)を調製した。得られた予備重合触媒成分(YP−17)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに予備重合触媒成分(YP−17)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体59.62gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表5に記す。
[実施例28]
〔固体触媒成分(Y−18)の調製〕
窒素置換した200mLのガラス製フラスコにトルエン50mLを入れ、実施例1で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で1.0g)を装入した。次に、室温にてメタロセン化合物(ジメチルシリレン(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(A2))のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)5.3mLとメタロセン化合物(B1)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.002mmol/mL)7.4mLを混合滴下し((A2)/(B1)のモル比=42/58)、滴下終了後75℃まで昇温した。75℃で2時間反応させた後、ヘプタンで2回洗浄し50mlヘプタンスラリーとした(固体触媒成分Y−18)。なお、2時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−18)の調製〕
引き続き、上記で得られた固体触媒成分(Y−18)のヘプタンスラリーを10℃まで冷却した後、窒素流通下にて、ケミスタット2500を10mg添加し5分間反応させ、次いで、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)2.0mmol、1−ヘキセン0.13mLの順で装入した。1−ヘキセン添加後、エチレンの流通を開始し系内温度35℃にて固体触媒成分に対して重量換算で3倍分のエチレンの重合を行った(予備重合)。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンを用いて3回固体触媒成分を洗浄した後、50mlヘプタンスラリーとした。
次に、ケミススタット2500を40mg上記スラリー中に添加し、系内温度を34〜
36℃にて1時間保温し、予備重合触媒にケミスタット2500を反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、得られた予備重合触媒をヘキサンで3回洗浄した。
次に、内容積100mLのガラス製シュレンク管に上記ヘキサンスラリーを移し、減圧下25℃にてヘキサンを減圧留去することで、固体触媒成分1g当たり3gのポリマーが重合された予備重合触媒成分(YP−18)を4.0g得た。
得られた予備重合触媒(YP−18)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに予備重合触媒成分(YP−18)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体102.2gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表5に記す。
[実施例29]
〔固体触媒成分(Y−19)の調製〕
実施例28の固体触媒成分(Y−18)の調製において、メタロセン化合物(A2)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A2)/(B1)=42/58(モル比)の代わりに、メタロセン化合物(A2)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(A2)/(B1)=24/76(モル比)にした以外は固体触媒成分(Y−18)と同様の方法にて固体触媒成分(Y−19)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。
〔予備重合触媒成分(YP−19)の調製〕
実施例21の予備重合触媒成分(YP−11)の調製において、固体触媒成分(Y−11)の代わりに固体触媒成分(Y−19)を用いた以外は、予備重合触媒成分(YP−11)と同様の方法で固体触媒成分(YP−19)を得た。得られた予備重合触媒成分(YP−19)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.50mg含まれていた。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(YP−19)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体75.86gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表5に記す。
[実施例30]
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに予備重合触媒成分(YP−11)を用い、重合温度を80℃から70℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体59.09gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表5に記す。
[実施例31]
重 合
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム 0.375mmol、予備重合触媒成分
(YP−19)を固体触媒成分換算で35mgの順に装入し、次いでケミスタット2500を1.7mg添加し、80℃に昇温して0.78MPa・Gにて90分間重合を行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体49.31gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表5に記す。
[実施例32]
重 合
実施例31の重合において、ケミスタット2500 1.7mgの代わりにプルロニックL71(アデカ製)を3.3mg使用した以外は、実施例31と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体52.64gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表5に記す。
[比較例1]
〔固体触媒成分(EY−1)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(A1)の代わりに下記構造式で表されるメタロセン化合物(E1)を用い、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B2)を用い、メタロセン化合物(E1)とメタロセン化合物(B2)の反応モル比率を(E1)/(B2)=80/20(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(EY−1)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(EY−1)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.037mg/mL、Al濃度2.3mg/mLであった。
E1;ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2009144148
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(EY−1)を用い、エチレンガスの代わりに水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.45vol%)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体87.44gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表6に記す。
比較例1と本実施例を比較すると、本発明に係るオレフィン重合用触媒は高い生産性でエチレン系重合体を製造可能であることが分かる。これは、本発明で用いられるメタロセン化合物(成分A)が低分子量かつ末端ビニル量の多い重合体を高い触媒活性で製造できたことに起因する。
[比較例2]
〔固体触媒成分(EY−2)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(A1)の代わりに下記構造式で表されるメタロセン化合物(E3)を用い、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B2)を用い、メタロセン化合物(E3)とメタロセン化合物(B2)の反応モル比率を(E3)/(B2)=35/65(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(EY−2)を合成した。なお
1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(EY−2)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.033mg/mL、Al濃度2.1mg/mLであった。
E3;ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2009144148
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(EY−2)を用い、エチレンガスの代わりに水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.65vol%)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体47.9gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表6に記す。
比較例2は、長鎖分岐をほとんど有しておらず、本発明の製造方法により得られるエチレン系重合体の好ましい要件を満たしていない。これは、比較例2に使用したような両方のシクロペンタジエニル環に置換基を有するメタロセン化合物から生成する重合体は、分子量が大きく、また末端ビニル量が少ないためである。
[比較例3]
〔固体触媒成分(EY−3)の調製〕
実施例4の固体触媒成分(Y−2)の調製において、メタロセン化合物(A1)の代わりに下記構造式で表されるメタロセン化合物(E2)を用い、メタロセン化合物(B1)の代わりにメタロセン化合物(B2)を用い、メタロセン化合物(E2)とメタロセン化合物(B2)の反応モル比率を(E2)/(B2)=10/90(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−2)と同様の方法にて固体触媒成分(EY−3)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(EY−2)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.030mg/mL、Al濃度2.4mg/mLであった。
E2;ジメチルシリレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2009144148
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(EY−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体77.81gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表6に記す。
[比較例4]
〔固体触媒成分(EY−4)の調製〕
実施例1の固体触媒成分(Y−1)の調製において、メタロセン化合物(A2)の代わりにメタロセン化合物(E2)を用い、メタロセン化合物(E2)とメタロセン化合物(B1)の反応モル比率を(E2)/(B1)=30/70(モル比)にした以外は、固体触媒成分(Y−1)と同様の方法にて固体触媒成分(EY−4)を合成した。なお1時間反応後の上澄みトルエン中からZrは検出されなかった。また、得られた固体触媒成分(EY−4)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.035mg/mL、Al濃度2.0mg/mLであった。
重 合
実施例1の重合において、固体触媒成分(Y−1)の代わりに固体触媒成分(EY−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたポリマーを10時間真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体91.57gを得た。得られた重合体のGPC解析結果並びに諸物性を表6に記す。
比較例3、比較例4と実施例を比較すると、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、比較例3、比較例4で用いられた触媒に対し、より好ましいエチレン系重合体(例えば、上記特徴1および2を有する)を製造可能であることが分かる。これは、本発明で用いられるメタロセン化合物(成分A)は、比較例3、比較例4に使用したような両方のシクロペンタジエニル環に置換基を有するメタロセン化合物(E2)に比べ、低分子量かつ末端ビニル量の多い重合体を高い触媒活性で製造できるためである。
Figure 2009144148
Figure 2009144148
Figure 2009144148
Figure 2009144148
Figure 2009144148
Figure 2009144148
本発明によれば、成形加工性に優れた、長鎖分岐量の多いエチレン系重合体、およびこの効率的な製造方法が提供される。このエチレン系重合体は例えば押出ラミネート分野においてその性能を遺憾なく発揮する。
図1は、実施例1で得られた重合体のGPCチャートである。 図2は、実施例4で得られた重合体のGPCチャートである。 図3は、実施例5で得られた重合体のGPCチャートである。 図4は、実施例6で得られた重合体のGPCチャートである。 図5は、実施例7で得られた重合体のGPCチャートである。 図6は、実施例9で得られた重合体のGPCチャートである。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)、成分(B)および成分(C)を含んでなるオレフィン重合用触媒。
    成分(A);下記一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物。
    Figure 2009144148
    〔一般式(I)中、R1〜R4は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよいが、全てが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成していてもよい。Q1
    、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基であり、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。〕
    成分(B);下記一般式(II)で表される架橋型メタロセン化合物。
    Figure 2009144148
    〔一般式(II)中、R7〜R10およびR13〜R20は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含
    有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、また、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Q2は、
    炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子およびハフニウム原子から選ばれ、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基である。〕
    成分(C)
    (c-1)下記一般式(III)、(IV)または(V)で表される有機金属化合物、
    (c-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (c-3)成分(A)、成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
    a mAl(ORb)n p q … (III)
    〔一般式(III)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示し、互
    いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
    a AlRa 4 … (IV)
    〔一般式(IV)中、Ma はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示す。〕
    a rbb s t … (V)
    〔一般式(V)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Mb は、Mg、ZnおよびCdから選ばれ、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。〕
  2. 固体状担体(S)、上記成分(C)および上記成分(A)から形成される固体状触媒成分(K1)と、固体状担体(S)、上記成分(C)および上記成分(B)から形成される固体状触媒成分(K2)からなる請求項1記載のオレフィン重合用触媒。
  3. 固体状担体(S)、上記成分(A)、成分(B)および成分(C)より形成される固体状触媒成分(K3)からなることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. 前記一般式(I)中において、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが、炭化水素基であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
  5. 成分(C)が有機アルミニウムオキシ化合物であり、固体状担体(S)が多孔質酸化物であることを特徴とする請求項2または3に記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下、エチレン単独、またはエチレンと炭素数3〜20のオレフィンを重合することを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
  7. ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)において、2つ以上のピークが観測され、最大ピークのピークトップのLog MMaxは、3.8≦Log MMax≦4.6を満たし、最大ピークのピーク強度(HMax)と、次に大きいピークのピーク強度(Hsecond)とがHMax≧2
    ×Hsecondの関係を満たすエチレン系重合体を製造する、請求項6に記載のエチレン系重
    合体の製造方法。
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