JP2009143088A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクの増粘を防止してその品質を低下させることなく、インクの消費量を低減させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッド22Kに予備吐出命令がきていないと判定されたときは、リサイクル弁62を開く一方、廃インク弁72を閉じて加圧ポンプ46を駆動することにより、記録ヘッド22K内の液室のインクを急激に加圧し、各ノズルから比較的多量のインクを瞬時に強制排出する。この排出されたインクはサブタンク28Kに回収されてリサイクルされる。記録ヘッド22Kに予備吐出命令がきていると判定されたときは、発熱体152を発熱させて各ノズル22Knからインク滴を吐出させ、このインク滴を廃インクタンク76に廃棄する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ノズルからインクを吐出して画像を形成する画像形成装置に関する。
印字ヘッドに形成された複数のノズルから記録媒体にインク(インク滴)を吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置(インクジェットプリンタ)が広く使用されている。ノズルからインク滴を吐出させる技術として、ノズル内に配置した(形成された)発熱素子(ヒータ)を所定の駆動パルスで発熱させて、この駆動パルスに応じた熱エネルギーをインクに供給して膜沸騰による気泡を形成させ、この気泡によってノズルからインク滴を吐出させる技術が知られている。形成する画像に応じた多数のインク滴がノズルから記録媒体に吐出されることにより画像が形成される。
上記の技術を採用したインクジェットプリンタのなかには、画像記録速度(画像形成速度)を向上させるために、ノズルの出口(インク吐出口)及びインク流路等からなる複数のノズルを集積したマルチノズルヘッドを記録媒体の搬送方向に直交させて多数配列させたラインヘッドを有し、記録媒体の搬送に合わせて複数のノズルのインク吐出口から同時にインクを吐出させるタイプのもの(ラインプリンタ)がある。
記録媒体に画像を形成する画像形成装置には、一般に、高画像品位で高解像度の画像を高速で形成することが求められており、上記のラインプリンタをはじめとするインクジェットプリンタを使用することによりこれらの要求を満足させることができる。また、インクジェットプリンタは、画像形成時(画像記録時)に印字ヘッド(記録ヘッド)と記録媒体とが非接触であるので、非常に安定した画像記録を行うことができるという利点も有している。
ところで、上記のようなインクジェット方式の画像形成装置には、周知の回復動作の際にノズルから排出したインクを画像記録に再び使用しない(再利用しない)方式のものと、周知の回復動作の際にノズルから排出したインクを画像記録に再び使用する(再利用する)リサイクル方式のものとがある。リサイクル方式の記録装置では、リサイクル中にインクから水分が蒸発してインクの色材濃度が上昇して増粘する(インクの粘度が高くなる)ことがあるため、所望の画質が得られなくなる懸念がある。
そこで、インクが使用限界を超えたことを検出する構成にし、使用限界を超えるまではインクを再利用し、使用限界を超えたときは廃インクにする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−086763号公報
周知のように回復動作には、フェイス面(複数のインク吐出口が形成された面)をゴム製のキャップで塞いでおき、このキャップにインクを吐出したり排出したりする方法がある。また、回復動作には、印字中に記録媒体(被印字媒体)上の目立たない部分に目視では認識しにくいようにインクを吐出して、印字中に吐出頻度の低いノズルを回復させる方法もある。前者の方法では、キャップに収容されたインクは回収されて再利用されたり廃棄されたりする。キャップに収容されたインクからは、印字待機中や長時間の電源オフ時に水分が蒸発するのでインクの粘度が上昇する。インクの粘度が急激に上昇したインク(増粘インク)では、ノズルからのインク吐出の特性が急変し、通常の駆動条件では、吐出不可能になり、記録ヘッドのヒータ部の断線や焦げの要因となる。
上記した使用限界に基づいてインクの再利用と廃棄を決める技術では、インク粘度の急激な上昇には対応できないおそれがある。特に、インクとして顔料インクを使用して再利用する場合、インク回収経路で凝集し易い顔料がインク流路を塞いだり記録ヘッドのノズルを詰まらせたりして、回復できない印字不良を引き起こす要因となる。また、上記の技術では、装置が複雑となって高コストになる。
インクの増粘に起因する印字不良を防止する方法としては、インクをリサイクルさせず、新しいインクを常に使用する方法が挙げられる。しかし、この方法では、回復動作を実行するたびに廃インクが増え、廃インクタンクが大型となり、また、ランニングコストが高くなる。また、上述したように、増粘したインクを希釈して再利用する方法も考えられるが、システムが複雑となる。
本発明は、上記事情に鑑み、インクの増粘を防止してその品質を低下させることなく、インクの消費量を低減させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、記録ヘッドのノズルに配置された発熱素子を発熱させてインクを吐出することにより画像を形成する画像形成装置において、
(1)前記ノズルからのインク吐出状態を回復させる回復動作としてキャップ内にインクを吐出または排出する際に、
(2)前記発熱素子を発熱させて前記ノズルから吐出したインクは廃棄される一方、前記記録ヘッド内の圧力と前記ノズルの出口外部の圧力との圧力差で排出されたインクは再利用されることを特徴とするものである。
ここで、
(3)前記発熱素子を発熱させて前記ノズルから吐出したインクだけが受止められる、前記ノズルの出口を塞ぐ廃インク専用キャップを備えてもよい。
上記目的を達成するための本発明の他の画像形成装置は、記録ヘッドのノズルからインクを吐出することにより画像を形成する画像形成装置において、
(4)前記ノズルからのインク吐出状態を初期の状態に回復させる回復動作を実施する際に、
(5)前記ノズルからインク滴として排出したインクは廃棄される一方、インク滴以外のものとして排出したインクは再利用されることを特徴とするものである。
ここで、
(6)前記ノズルからインク滴として排出されたインクだけが受止められる、前記ノズルの出口を塞ぐ廃インク専用キャップを備えてもよい。
また、
(7)廃棄されたインクを収容しておく廃インクタンクを備えてもよい。
さらに、
(8)前記ノズルから排出されたインクを再利用するか否かを判定する判定器を備えてもよい。
さらにまた、
(9)前記記録ヘッドは、記録幅が所定値以上の長尺のものであってもよい。
本発明の画像形成装置によれば、発熱素子を発熱させてノズルから吐出したインクは廃棄されるが、記録ヘッド内の圧力とノズルの出口外部の圧力との圧力差で排出されたインクは再利用される。発熱素子を発熱させてノズルから吐出したインクは、この発熱によってインク中の水分が蒸発するので、増粘している(粘度が高くなっている)可能性が高い。また、発熱素子の高熱(300℃以上)による変質(こげや成分同士の分離、結合、組成比率変化など)が起きている場合もある。一方、記録ヘッド内の圧力とノズルの出口外部の圧力との圧力差で排出されたインクには熱が作用していないので、増粘している可能性は低い。このように増粘している可能性の高いインクを廃棄し、この可能性の低いインクを再利用しているので、画像形成に用いられるインクの増粘を防止してその品質を低下させることなく、インクの消費量を低減させることができる。
本発明は、ノズルからインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式画像形成装置に実現された。
図1を参照して、本発明のインクジェット方式画像形成装置の一例であるプリンタを説明する。
図1は、本発明のインクジェット方式画像形成装置の一例であるプリンタを模式的に示す正面図である。
プリンタ10は、このプリンタ10に画像情報を送るホストPC(パソコン)12に接続されている。プリンタ10には、4つ(4本)の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yが記録媒体(ここではロ−ル紙)Pの搬送方向(矢印A方向)に並んで配置されている。4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクが吐出される。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、所謂ラインヘッドであり、図1の紙面に直交する方向(矢印A方向に直交する方向)に延びている。
これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの長さは、プリンタ10で印字できる記録媒体のうち最大の幅(図1の紙面に直交する方向の長さ)よりもやや長い。各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの記録幅の長さは約5cm(2インチ)以上である。各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yには、インクを吐出する複数のインク吐出口が、搬送方向に直交する方向に一列に並んで形成されており、インク吐出口の端から端までの距離を記録幅という。
また、これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、画像形成中は固定されて動かない。なお、プリンタ10は、4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの他、予備的に2つの記録ヘッド22,22を搭載できる構造になっている。
4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yから安定してインクを吐出できるように、プリンタ10には、回復ユニット40が組み込まれている。この回復ユニット40によって、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからのインク吐出状態は初期のインク吐出状態に回復する。回復ユニット40には、回復動作のときに4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのインク吐出口形成(フェイス面)22Ks、22Cs、22Ms、22Ysからインクを除去するキャッピング機構50が備えられている。キャッピング機構50は各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに独立して設けられており、図1の例では6色分(即ち、6つのキャッピング機構50)が示されているが、このうち2色分は記録ヘッド追加時の予備的な機構である。キャッピング機構50は、周知のブレード、インク除去部材、ブレード保持部材、キャップ等から構成されている。
ロ−ル紙Pはロール紙供給ユニット24から供給され、プリンタ10に組み込まれた搬送機構26によって矢印A方向に搬送される。搬送機構26は、ロ−ル紙Pを載置して搬送する搬送ベルト26a、この搬送ベルト26aを回転させる搬送モータ26b、搬送ベルト26aに張力を与えるローラ26cなどから構成されている。
ロ−ル紙Pに画像を形成する際には、搬送中のロ−ル紙Pの記録開始位置がブラックの記録ヘッド22Kの下に到達した後に、記録データ(画像情報)に基づいて記録ヘッド22Kからブラックインクを選択的に吐出する。同様に記録ヘッド22C、記録ヘッド22M、記録ヘッド22Yの順に、各色のインクを吐出してカラー画像をロ−ル紙Pに形成する。プリンタ10には、上記の部品・部材の他、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに供給されるインクを貯めておくサブタンク28K、28C、28M、28Yや、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yにインクを供給したり回復動作をしたりするための各種ポンプ(図3等参照)などが備えられている。
図2を参照して、プリンタ10の電気的な系統を説明する。
図2は、図1のプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。
ホストPC12から送信された記録データやコマンドはインターフェイスコントローラ102を介してCPU100(本発明にいう判定器の一例である)に受信される。CPU100は、プリンタ10の記録データの受信、記録動作、ロ−ル紙Pのハンドリング等全般の制御を掌る演算処理装置である。CPU100では、受信したコマンドを解析した後に、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ106にビットマップ展開して描画する。記録前の動作処理としては、出力ポート114、モータ駆動部116を介してキャッピングモータ122とヘッドアップダウンモータ118を駆動し、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yをキャッピング機構50(図1参照)から離して記録位置(画像形成位置)に移動させる。
続いて、出力ポート114、モータ駆動部116を介してロ−ル紙Pを繰り出すロールモータ(図示せず)、及び低速度でロ−ル紙Pを搬送する搬送モータ120等を駆動してロ−ル紙Pを記録位置に搬送する。一定速度で搬送されるロ−ル紙Pにインクを吐出し始めるタイミング(記録タイミング)を決定するための先端検知センサ(図示せず)でロ−ル紙Pの先端位置を検出する。その後、ロ−ル紙Pの搬送に同期して、CPU100はイメージメモリ106から対応する色の記録データを順次に読み出し、この読み出したデータを各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに記録ヘッド制御回路112を経由して(介して)転送する。
CPU100の動作はプログラムROM104に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。プログラムROM104には、制御フローに対応する処理プログラム(後述するフローを実行するためのプログラムを含む)及びテーブルなどが記憶されている。また、作業用のメモリとしてワークRAM108を使用する。各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのクリーニング等の各動作時に、CPU100は、出力ポート114、モータ駆動部116を介してポンプモータ124を駆動し、インクの加圧、吸引等の制御や、出力ポート114を介して粘度検出を行う。
図3を参照して記録ヘッド22Kの構造を説明する。他の記録ヘッド22C,22M,22Yも同一の構造である。図3は、記録ヘッド22Kのノズルとその周辺部を示す断面図である。図3には、1つのノズル22Knしか示していないが、記録ヘッド22Kには多数のノズルが、記録媒体搬送方向に直交して一列に並んで形成されている。
記録ヘッド22Kには、黒色のインク滴を吐出する多数のノズル22Knが、図3の紙面の垂直方向に並んで形成されている。記録ヘッド22Kから吐出されるインク滴は非常に微細な霧状のものであり、他の記録ヘッド22C,22M,22Yから吐出されるインク滴と同サイズである。多数のノズル22Knは、インクが貯められた共通液室22Krにつながっている(連通している)。この共通液室22Krはサブタンク28K(図1参照)につながっており、サブタンク28Kから共通液室22Krにインクが供給される。
ノズル22Knには、このノズル22Kn内のインク中で発泡させる(気泡を形成させる)ための発熱体152が配置されている。発熱体152に通電して発熱させることによりノズル22Kn内のインク中で泡(気泡)が発生し、ノズル22Knの出口(インク滴吐出口154)からインク滴が押し出されて矢印D方向に吐出される。
発熱体152は、シリコン素子基板156上に周知の技術で形成されている。このシリコン素子基板156には、インクの濡れ性を均一化させるためにシリコン天板158とノズルI160が形成されており、これらシリコン天板158とノズルI160はノズル22Knの内壁に面している。ノズルI160はノズル22Knの吐出口154の近傍の内壁に形成されており、インク滴の吐出口154を狭めている。
上記した共通液室22Krもシリコン素子基板156に形成されている。また、発熱体152による発泡時にエネルギーを効率良くインク滴吐出方向(矢印D方向)に向かわせる弁162や、シリコン天板158からノズル22Kn内部に向かって垂直方向に延びる流路壁164もシリコン素子基板156に形成されている。ノズルI160は、多数のノズル22Kn等を作製する場合においてシリコン天板158を切断するときに欠け(チッピング)を生じさせないためのものである。
発熱体152は電気抵抗層及び配線をパタ−ンニングして形成されたものである。この配線を経由して電気抵抗層に電圧を印加して電流を流すことにより発熱体152が発熱する。この発熱によって発熱体152の表面部分のインクを発泡させ、インク滴吐出口154からインク滴を押し出して吐出させている。
図4と図5を参照して、ノズルから出された(吐出された又は排出された)インクを取り扱う手法(廃棄するか再利用するかの手法)について説明する。
図4は、画像形成装置のインク流路を示す模式図である。図5は、ノズルから出されたインクを廃棄するか再利用するか手順を示すフロー図である。ここでは、記録ヘッド22Kについて説明するが、他の記録ヘッド22C、22M、22Yについても同じである。また、図1に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
図5のフローは、回復動作を実行する指令がCPU100(図2)から発せられることにより起動する。記録ヘッド22Kが回復動作を実行する場合、回復弁42を閉じ、記録ヘッド22Kのフェイス面22Kはキャッピング機構50によってキャップされた(塞がれた)状態となる。回復弁42は、サブタンク28Kと記録ヘッド22Kをつなぐインク流路40に取り付けられており、このインク流路40のうち記録ヘッド22Kの近傍部分にはフィルタ44が取り付けられている。
記録ヘッド22Kに予備吐出命令(発熱体152(図3参照)に通電してインク滴を多数のノズル22Knから吐出させる命令)がきているか否かが判定される(S501)。この判定はCPU100(判定器としての機能も有する、図2参照)で行われ、予備吐出命令がきていないと判定されたときは、リサイクル弁62を開く一方、廃インク弁72を閉じる(S502)。リサイクル弁62は、フェイス面22Kを塞ぐキャップ(キャッピング機構50)の底部とサブタンク28Kとをつなぐインク流路60に取り付けられており、このインク流路60のうちリサイクル弁62よりもサブタンク28Kに近い部分には、キャッピング機構50に貯まったインクを吸引してサブタンク28Kに戻す吸引ポンプ64が取り付けられている。なお、リサイクル弁62と吸引ポンプ64とノ間にはフィルタ66が取り付けられている。また、吸引ポンプ64とメインタンク30Kはインク流路80でつながっており、このインク流路80には、インク供給弁82とフィルタ84が取り付けられている。
上記の状態でノズル22Knからインクを排出するために、加圧ポンプ46を駆動することにより、サブタンク28Kのインクがインク流路49内を通ってフィルタ48を経由して記録ヘッド22Kまで移動するが、回復弁42は閉じているので記録ヘッド22K内の液室のインクは急激に加圧される。加圧ポンプ46とフィルタ48は、サブタンク28Kと記録ヘッド22Kをつなぐインク流路49に取り付けられており、加圧ポンプ46はサブタンク28Kの底部に固定されている。記録ヘッド22K内の液室のインクが急激に加圧されることにより、記録ヘッド22K内の圧力とノズル22Knの出口外部との圧力とに圧力差が生じるので、記録ヘッド22Kの各ノズルから比較的多量のインクが瞬時に強制排出されて各ノズル22Knは健全なインク吐出状態に回復する。この場合、インクはインク滴としては排出されず、連続した流体として排出される。
上記のようして各ノズル22Knから強制的に排出されたインクはキャッピング機構50のインク溜りに一時的に溜ろうとするが、上記のようにリサイクル弁62は開かれており、吸引ポンプ64を稼動するので、キャッピング機構50、リサイクル弁62、吸引ポンプ64の経路で、インクはサブタンク28Kに回収されてリサイクルされる(S503)。従って、インクは無駄に消費されることはない。
S501において予備吐出命令がきていると判定されたときは、発熱体152(図3参照)を発熱させて各ノズル22Knからインク滴を吐出させる。インク滴の吐出を所定時間行った後、廃インク弁72が開く一方、リサイクル弁62は閉じる(S504)。この状態で吸引ポンプ74が稼動することにより、キャッピング機構50に溜ったインクは交換可能な廃インクタンク76へ流れて収容されて廃棄される(S505)。
以上説明したように、インク滴として吐出したインク(予備吐後インクであり、加熱に起因して増粘している可能性がある)を廃棄し、加圧・吸引で排出したインク(加熱されていないので増粘している可能性は極めて低い)をリサイクルして再利用することでランニングコストを極力抑えることが可能となり、また、インクの品質も保つことが可能となる。
図6と図7を参照して、ノズルから出された(吐出された又は排出された)インクを取り扱う他の手法(廃棄するか再利用するかの他の手法)について説明する。
図6は、画像形成装置のインク流路を示す模式図である。図7は、ノズルから出されたインクを廃棄するか再利用するか手順を示すフロー図である。ここでは、記録ヘッド22Kについて説明するが、他の記録ヘッド22C、22M、22Yについても同じである。また、図4に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。この例の画像形成装置では、廃インク専用キャッピング機構(専用キャップ)50’を備えており、吸引ポンプ74(図4参照)を備えておらず、吸引ポンプ64(図4参照)がキャッピング機構50及び廃インク専用キャッピング機構50’からのインク吸引を兼用している。
図7のフローは、回復動作を実行する指令がCPU100(図2)から発せられることにより起動する。記録ヘッド22Kが回復動作を実行する場合、回復弁42を閉じ、記録ヘッド22Kのフェイス面22Kはキャッピング機構50(又は50’)によってキャップされた(塞がれた)状態となる。回復弁42は、サブタンク28Kと記録ヘッド22Kをつなぐインク流路40に取り付けられており、このインク流路40のうち記録ヘッド22Kの近傍部分にはフィルタ44が取り付けられている。
記録ヘッド22Kに予備吐出命令(発熱体152(図3参照)に通電してインク滴を多数のノズル22Knから吐出させる命令)がきているか否かが判定される(S701)。この判定はCPU100(判定器としての機能も有する、図2参照)で行われ、予備吐出命令がきていないと判定されたときは、キャッピング機構50に記録ヘッド22Kが移動してそのフェイス面22Kをキャッピング機構50で覆う(S702)。続いて、リサイクル弁62を開く一方、廃インク弁72を閉じる(S703)。
上記の状態でノズル22Knからインクを排出するために、加圧ポンプ46を駆動することにより、サブタンク28Kのインクがインク流路49内を通ってフィルタ48を経由して記録ヘッド22Kまで移動するが、回復弁42を閉じているので記録ヘッド22K内の液室のインクは急激に加圧される。記録ヘッド22K内の液室のインクが急激に加圧されることにより、記録ヘッド22K内の圧力とノズル22Knの出口外部との圧力とに圧力差が生じるので、記録ヘッド22Kの各ノズルから比較的多量のインクが瞬時に強制排出されて各ノズル22Knは健全な(初期の)インク吐出状態に回復する。この場合、インクはインク滴としては排出されず、連続した流体として排出される。
上記のようして各ノズル22Knから強制的に排出されたインクはキャッピング機構50のインク溜りに一時的に溜ろうとするが、上記のようにリサイクル弁62は開かれており、吸引ポンプ64を稼動するので、キャッピング機構50、リサイクル弁62、吸引ポンプ64の経路で、インクはサブタンク28Kに回収されてリサイクルされる(S704)。従って、インクは無駄に消費されることはない。
S701において予備吐出命令がきていると判定されたときは、キャッピング機構50’に記録ヘッド22Kが移動してそのフェイス面22Kをキャッピング機構50’で覆う(S705)。続いて、発熱体152(図3参照)を発熱させて各ノズル22Knからインク滴を吐出させる。インク滴の吐出を所定時間行った後、廃インク弁72を開く(S706)。この状態で吸引ポンプ64が稼動することにより、キャッピング機構50’に溜ったインクは交換可能な廃インクタンク76へ流れて収容されて廃棄される(S707)。
以上説明したように、インク滴として吐出したインク(予備吐後インクであり、加熱に起因して増粘している可能性がある)を廃棄し、加圧・吸引で排出したインク(加熱されていないので増粘している可能性は極めて低い)をリサイクルして再利用することでランニングコストを極力抑えることが可能となり、また、インクの品質も保つことが可能となる。
本発明のインクジェット方式画像形成装置の一例であるプリンタを模式的に示す正面図である。 図1のプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。 記録ヘッド22Kのノズルとその周辺部を示す断面図である。 画像形成装置のインク流路を示す模式図である。 ノズルから出されたインクを廃棄するか再利用するか手順を示すフロー図である。 画像形成装置の他のインク流路を示す模式図である。 ノズルから出されたインクを廃棄するか再利用するか他の手順を示すフロー図である。
符号の説明
10 画像形成装置
22K、22C、22M、22Y 記録ヘッド
22Kn ノズル
50 キャッピング機構
50’ 廃インク専用キャッピング機構
100 CPU(判定器)

Claims (7)

  1. 記録ヘッドのノズルに配置された発熱素子を発熱させてインクを吐出することにより画像を形成する画像形成装置において、
    前記ノズルからのインク吐出状態を回復させる回復動作としてキャップ内にインクを吐出または排出する際に、
    前記発熱素子を発熱させて前記ノズルから吐出したインクは廃棄される一方、前記記録ヘッド内の圧力と前記ノズルの出口外部の圧力との圧力差で排出されたインクは再利用されることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記発熱素子を発熱させて前記ノズルから吐出したインクだけが受止められる、前記ノズルの出口を塞ぐ廃インク専用キャップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 記録ヘッドのノズルからインクを吐出することにより画像を形成する画像形成装置において、
    前記ノズルからのインク吐出状態を初期の状態に回復させる回復動作を実施する際に、
    前記ノズルからインク滴として排出したインクは廃棄される一方、インク滴以外のものとして排出したインクは再利用されることを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記ノズルからインク滴として排出されたインクだけが受止められる、前記ノズルの出口を塞ぐ廃インク専用キャップを備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 廃棄されたインクを収容しておく廃インクタンクを備えたことを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記ノズルから排出されたインクを再利用するか否かを判定する判定器を備えたことを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記記録ヘッドは、記録幅が所定値以上の長尺のものであることを特徴とする請求項1から6までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107953670A (zh) * 2016-10-17 2018-04-24 精工爱普生株式会社 液体喷出装置、清洗装置以及清洗方法
CN113291060A (zh) * 2021-04-01 2021-08-24 深圳传顺科技有限公司 打印机的供墨系统及供墨方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107953670A (zh) * 2016-10-17 2018-04-24 精工爱普生株式会社 液体喷出装置、清洗装置以及清洗方法
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