JP2009142404A - ポリカーボネートからなる耐電離放射線性に優れた医療用成形品 - Google Patents

ポリカーボネートからなる耐電離放射線性に優れた医療用成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】環境対策および石油資源保全の観点に配慮しながら、同時に殺菌のために照射される電離放射線による、色調の変化や物性劣化の少なく、表面硬度の優れた、透明性、耐熱性の良好な医療用途に適したポリカーボネートからなる成形品を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートからなる医療用成形品。
Figure 2009142404

【選択図】 なし

Description

本発明は、殺菌の為に照射される電離放射線による色調の変化や物性劣化の少ないポリカーボネートからなる医療用成形品に関するものである。
ビスフェノールAをモノマーとする芳香族ポリカーボネート樹脂は、優れた機械的強度、耐衝撃強度、耐熱性、透明性を有し、衛生性も高いので、注射器、外科用具、手術用器具やこれらを収容、包装する容器状包装具や、人工肺、人工腎臓、麻酔吸収装置、静脈用コネクター及び付属品、血液遠心分離装置等各種の医療用部品に使用されている。これらの医療用成形品は、その使用に際し通常完全滅菌が行われる。具体的には、高圧蒸気滅菌法、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌法、ガンマ線や電子線等の電離放射線の照射による滅菌法等が挙げられる。しかし、これらのうち、高圧蒸気滅菌法では、エネルギーコストが高いこと、及び、滅菌処理後に乾燥工程が必要であること等の問題点を有する。また、EOG滅菌では、EOG自身が毒性を有することや廃棄処理に関連する環境問題等、各種問題点を有する。
従って、最近では、比較的安価で、低温・乾式で処理可能な、電離放射線(ガンマ線が一般的である)照射滅菌法がよく使用されるようになっている。しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は、滅菌のために電離放射線を照射されると、通常、樹脂の劣化により、黄色く変色してしまい、この様な黄変の結果、特に医療用途において、製品価値を損なうという欠点を有している。
さらに、医療現場での取り扱いによる、成形品表面の引っかき傷などは、患者などの薬液や血液などの内容物に対する不安感を増大することになるので、表面硬度が高いものが好ましい。
電離放射線による変色対策として、特許文献1(特公平6−22586号公報)では、ハロゲン含有芳香族ポリカーボネートポリマーあるいはオリゴマーを配合する方法が、提案されて、現在広く適用されている。しかし、樹脂中にハロゲンを含有するので、金属腐蝕が発生するおそれがあり、成形機等に特別な材質の金属を使用する必要が生じ、さらには使用済み医療器具の廃棄において、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂の成形品に対応する方法以外の新たな制約が生じるといった問題点が存在する。
ところで、芳香族ポリカーボネート樹脂は一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造される。しかしながら、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたプラスチックからの医療器具の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたプラスチックからの医療器具の開発が求められている。
従来、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換により、ポリカーボネートを得ることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、得られたポリカーボネートは、褐色であり満足できるものではなかった。また、イソソルビドと他のジヒドロキシ化合物との共重合ポリカーボネートとして、ビスフェノールAを共重合したポリカーボネートが提案されており(例えば、特許文献3参照)、更に、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合することにより、イソソルビドからなるホモポリカーボネートの剛直性を改善する試みがなされている(例えば、特許文献4参照)。
一方、脂環式ジヒドロキシ化合物である1,4−シクロヘキサンジメタノールを重合したポリカーボネートとしては、多数提案されているが(例えば、特許文献5、6)これらのポリカーボネートの分子量は高々4000程度と低いものであり、このため、ガラス転移温度が低いものが多い。
このようにイソソルビドを用いたポリカーボネート重合体の提案はなされているが、これらの文献にて開示されているのは、ガラス転移温度、さらには基本的な機械的特性のみで、上述の医療用成形品に要求される耐電離放射線の特性について開示されていない。
特開平02−055062号公報(特公平6−22586号公報) GB1079686号公報 特開昭56−55425号公報 WO 2004/111106 公報 特開平6−145336号公報 特公昭63−12896号公報
本発明の目的は、より良い未来社会の構築のため環境対策および石油資源保全の観点に配慮しながら、同時に殺菌のために照射される電離放射線による、色調の変化や物性劣化の少なく、表面硬度の優れた、透明性、耐熱性の良好な医療用途に適したポリカーボネートからなる成形品を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、植物由来モノマーとしてのイソソルビドを使用したポリカーボネートが、透明で、機械的強度、ガラス転移温度、表面硬度が高く、特に電離放射線による色調の変化や物性劣化の少なく、医療器具用材料に好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、脂環式ジヒドロキシ化合物を共重合したポリカーボネート共重合体は、ガラス転移温度と耐衝撃性のバランスが良好で、広範囲の前述の成形品に適用されることを見出したものである。
すなわち、本発明の要旨は以下の[1]〜[6]に存する。
[1] 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートからなる医療用成形品。
Figure 2009142404
[2] 前記ポリカーボネートのガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする[1]に記載の医療用成形品。
[3] 前記ポリカーボネートが、更に脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の医療用成形品。
[4] 前記ポリカーボネートに含まれる、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との比率(モル%)が100:0〜30:70の範囲であることを特徴とする[3]に記載の医療用成形品。
[5] 前記ポリカーボネートに含まれる、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との比率(モル%)が90:10〜40:60の範囲であることを特徴とする[3]に記載の医療用成形品。
[6] 前記ポリカーボネートに含まれる、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の比率(モル%)が85:15〜45:55の範囲であることを特徴とする[3]に記載の医療用成形品。
植物由来のモノマーを使用した本発明のポリカーボネートは、環境対策および石油資源保全の観点において有効であり、また殺菌のために照射される電離放射線による色調の変化が少なく、電離放射線照射滅菌によっても、外観を良好に保持することができ、医療用製品等の用途に、有用である。さらには使用済み医療用製品の廃棄において、特にハロゲンに対する対策を講じる必要がない点からも環境対策を行いやすいなど環境保全などの対策として寄与が大きい。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本発明のポリカーボネート(以下(A)成分と略記することがある) は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むことを特徴とするものであるが、当該ジヒドロキシ化合物の一部を他種類のジヒドロキシ化合物、例えば脂肪族、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位、またはポリアルキレングリコールなどの共重合構成単位に置き換えた共重合体であってもよい。
Figure 2009142404
本発明において、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
なお、イソソルビドは酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネートを製造すると、得られるポリカーボネートに着色が発生したり、物性を著しく劣化させる原因となる。また、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともある。また、蟻酸の発生を防止するような安定剤を添加してあるような場合、安定剤の種類によっては、得られるポリカーボネートに着色が発生したり、物性を著しく劣化させたりする。安定剤としては還元剤や制酸剤が用いられ、このうち還元剤としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライドなどが挙げられ、制酸剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられるが、このようなアルカリ金属塩の添加は、アルカリ金属が重合触媒ともなるので、過剰に添加し過ぎると重合反応を制御できなくなることもある。
酸化分解物を含まないイソソルビドを得るために、必要に応じてイソソルビドを蒸留しても良い。また、イソソルビドの酸化や、分解を防止するために安定剤が配合されている場合も、必要に応じて、イソソルビドを蒸留しても良い。この場合、イソソルビドの蒸留は単蒸留であっても、連続蒸留であっても良く、特に限定されない。雰囲気はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にした後、減圧下で蒸留を実施する。
このようなイソソルビドの蒸留を行うことにより、本発明では蟻酸含有量が20ppm未満、更に10ppm以下、特に5ppm以下であるような高純度のイソソルビドを用いることが好ましい。
一方、本発明に用いるに適した共重合構成単位のジヒドロキシ化合物としては、直鎖脂肪族、環式脂肪族、芳香族系ジヒドロキシ化合物のいずれでも良い。直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物として、例えばブタンジオール−1,4,ペンタンジオール−1,5,ネオペンチルグリコール,ヘキサンジオール−1,6,ヘプタンジオール−1,7,オクタンジオール−1,8,2−エチルヘキサンジオール−1,6,2,2,4−トリメチルヘキサンジオール−1,6,デカンジオール−1,10,水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどを挙げることができる。
また、本発明に使用できる環式脂肪族(脂環式)ジヒドロキシ化合物としては、例えば1,2-シクロヘキ サンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのヘキサンジオール類、1,2-シクロ ヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール類などが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。
また、共重合構成単位のポリアルキレングリコールとしては炭素数2〜4のアルコシル基を1分子あたり2〜40個含有するものが好ましく、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。
これらの共重合構成単位であるヒドロキシ化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物あるいはポリアルキレングリコールを共重合成分として使用すると、ガラス転移温度の低下が激しく、医療用成形品としての用途に制約が生じ好ましくない。芳香族ジヒドロキシ化合物を共重合成分として使用すると、透明性などが悪化する。一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物単独のポリカーボネート樹脂は、一般的に高分子量のものを得るのが困難であり、さらには電離線照射による着色が激しくなる。一方、環式脂肪族(脂環式と表記することがある)ジヒドロキシ化合物を共重合成分として使用する場合は、以下に示すように一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と脂環式ジヒドロキシ化合物との反応性のバランスが良好であり、且つ高分子量化も比較的容易であり、ガラス転移温度の低下も直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物よりも程度が小さく、表面硬度、機械的強度も十分高いという点で望ましい。
上記のように本発明において好ましいポリカーボネートである、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とを共重合したポリカーボネートはいまだ報告されておらず、その詳細を以下に述べるが、他のジヒドロキシ化合物との共重合体についても基本的には類似であり、また上記特許文献などを参考に製造等も可能である。
一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との含有割合については、任意の割合で選択できる。しかし、示差走査熱量測定(DSC)を行ったとき、単一のガラス転移温度を与えるが、本発明のポリカーボネートは、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と脂環式ジヒドロキシ化合物の種類や配合比を調整することで、そのガラス転移温度を、45℃程度から155℃程度まで任意のガラス転移温度を持つ重合体として得ることができる。
したがって、本発明の医療用途向けには、ガラス転移温度を80℃以上にすることにより、熱水殺菌などの耐熱水性(使用可能温度)が確保できることから、広く安定した品質が確保されることから好ましい。一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との比率を適切に選択する必要がある。当該比率は100:0〜30:70(モル%)、特に90:10〜40:60(モル%)、さらには85:15〜45:55(モル%)であることが好ましい。上記範囲よりも一般式(1)で表わされるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が多く脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が少ないと着色しやすくなり、逆に一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が少なく脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が多いと分子量が上がりにくく、またガラス転移温度が低下する傾向がある。
また、本発明のポリカーボネートの重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶液を用い、ポリカーボネート濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「ポリカーボネートの還元粘度」と称す。)として、0.40dl/g以上、特に0.40dl/g以上で2.0dl/g以下であるような重合度であることが好ましい。このポリカーボネート還元粘度が極端に低いものでは土木建築資材等に成形した時の機械的強度が弱い。また、ポリカーボネートの還元粘度が大きくなると、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品のひずみが大きくなり熱により変形し易い傾向がある。従って、本発明のポリカーボネートの還元粘度は0.40dl/g以上2.0dl/g以下、特に0.45dl/g以上1.5dl/g以下の範囲内であることが好ましい。
本発明のポリカーボネートは、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法のいずれの方法でも良いが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
この溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2009142404
(一般式(2)において、A及びA’は、置換基を有していても良い炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していても良い芳香族基であり、A及びA’は同一であっても異なっていても良い。)
上記一般式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
炭酸ジエステルは、ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.10のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.94〜1.04のモル比率である。このモル比が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端OH基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、また、モル比が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のポリカーボネートの製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、または成形品の臭気の原因となり好ましくない。
また、溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
重合触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
またアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と併用される塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
これらの塩基性化合物も1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と脂環式ジヒドロキシ化合物との合計1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1〜100μモルの範囲内で用い、好ましくは0.5〜50μモルの範囲内であり、さらに好ましくは1〜25μモルの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネートの色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリカーボネートの製造が困難になる。
このような本発明のポリカーボネートの製造に当たり、前記一般式(I)で表されるジヒドロキシ化合物などのジヒドロキシ化合物は、固体として供給しても良いし、加熱して溶融状態として供給しても良いし、水溶液として供給しても良い。これらの原料ジヒドロキシ化合物を溶融状態や、水溶液で供給すると、工業的に製造する際、計量や搬送がしやすいという利点がある。
本発明において、一般式(I)で表されるジヒドロキシ化合物あるいは共重合成分を重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は140〜220℃、好ましくは150〜200℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
この重縮合反応における減圧において、温度と反応系内の圧力のバランスを制御することが重要である。特に、温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合度が低下することがある。例えば、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドと1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いる場合は、全ジヒドロキシ化合物に対し、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比が50モル%以上の場合は、1,4−シクロヘキサンジメタノールがモノマーのまま留出しやすくなるので、反応系内の圧力が13kPa程度の減圧下で、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させながら反応させ、さらに、6.67kPa程度までの圧力下で、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させ、最終的に200Pa以下の圧力で、200から250℃の温度で重縮合反応を行うと、十分に重合度が上昇したポリカーボネートが得られるため、好ましい。
また、全ジヒドロキシ化合物に対し、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比が50モル%より少なくなった場合、特に、モル比が30モル%以下となった場合は、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比が50モル%以上の場合と比べて、急激な粘度上昇が起こるので、例えば、反応系内の圧力が13kPa程度の減圧下までは、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させながら反応させ、さらに、6.67kPa程度までの圧力下で、温度を1時間あたり40℃以上の昇温速度、好ましくは1時間あたり50℃以上の昇温速度で上昇させながら反応させ、最終的に200Pa以下の減圧下、220から290℃の温度で重縮合反応を行うと、十分に重合度が上昇したポリカーボネートが得られるため、好ましい。
反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
本発明の(A)ポリカーボネートを溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
亜リン酸化合物を添加する場合は、下記に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
リン酸化合物と亜リン酸化合物は併用して添加することができるが、その場合の添加量はリン酸化合物と亜リン酸化合物の総量で、先に記載した、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下である。この添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
また、このようにして製造された本発明の(A)ポリカーボネートには、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。 これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネートを得た後に、後に記載する配合方法で、さらに亜リン酸化合物を配合すると、重合時のヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を回避して、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の配合量は、(A)ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
また、本発明の(A)ポリカーボネートには、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。
かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。
これら酸化防止剤の配合量は、(A)ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.0001〜0.5重量部が好ましい。
また、本発明においては、(A)ポリカーボネートに、さらに電離放射線照射時の黄変防止効果を向上させるため、(B)ハロゲン化ポリカーボネートあるいはハロゲン化ポリカーボネートオリゴマー、あるいは(C)ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのエーテル、ポリアルキレングリコールのエステルから選ばれた1種以上の化合物を配合することができる。
本発明に使用される(B)ハロゲン化ビスフェノールから誘導される構成単位を分子鎖中に含む芳香族ポリカーボネート(「ハロゲン化芳香族ポリカーボネート」と称す。)あるいはオリゴマー(「ハロゲン化ポリカーボネートオリゴマー」又は「オリゴマー」と称す。)は、ハロゲン化ビスフェノールを芳香族ジヒドロキシ化合物の一部あるいは全部として使用して製造される公知のポリカーボネート又はオリゴマーである。原料として用いられるハロゲン化ビスフェノールは、前記一般式(1)におけるX、Yの少なくとも1つがハロゲン原子である化合物である。具体的にはビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’、5,5’−テトラブロモジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)メタン等が挙げられる。
ハロゲン化ビスフェノールは前記一般式(2)で示される炭酸ジエステルとのエステル交換反応、あるいは、ホスゲン等のカーボネート基を導入し得る物質と反応させて芳香族ポリカーボネートあるいはオリゴマーを製造する。製造方法は特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、ハロゲン化ビスフェノールと炭酸ジエステルを原料とする場合は、溶融法による芳香族ポリカーボネートと同様にして製造することができる。又、ホスゲンを用いる場合は、界面法ポリカーボネートの製造法として公知の方法(例えば特開平2−55062参照)を採用することができる。
本発明の(B)成分として使用されるハロゲン化芳香族ポリカーボネートの末端OH基含有量は、ポリカーボネートの製造法によっても異なるが、通常、5〜1,000ppmであることがこのましい。また、分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、10,000〜100,000であり、好ましくは15,000〜50,000である。本発明の(B)成分として使用されるハロゲン化ポリカーボネートオリゴマーの分子量は、600〜10,000である。
本発明は、(A)および(B)からなる組成物中のハロゲン含有量が、0.01から5重量%、より好ましくは0.02〜3重量%となる様に(A)および(B)を配合することが好ましい。従って、(B)成分のハロゲン含有量により異なるが、通常、重量比で(A):(B)が70〜98:2〜30、より好ましくは、(A):(B)が85〜97:3〜15の割合で配合される。本発明組成物中のハロゲン含有量は、上記範囲より少なすぎると電離放射線の照射による黄変の抑制に効果がなく、一方、多すぎると機械的物性や耐熱性の低下を招くので好ましくない。
次に、電離放射線照射時の黄変防止のために配合される(C)ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのエーテル、ポリアルキレングリコールのエステルは、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物である。
Figure 2009142404
Figure 2009142404
(式(3)、(4)中、R3、R5、R6及びR8は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基であり、これらの基の芳香環には更に、炭素数1〜10のアルキル基又はハロゲン原子が置換されていても良い。R4及びR7は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。uは1以上の整数、wは2以上の整数であり、t及びvは、それぞれ、1〜10の整数である。)。
一般式(3)又は(4)において、好ましくはR3,R5は水素原子、アルキル基、アリールアルキル基であり、R6,R8はアルキル基、アリール基であり、R4,R7は水素原子又はメチル基である。uは好ましくは1〜3000、より好ましくは1〜500の整数であり、wは2〜3000、より好ましくは2〜500の整数である。t、vは1〜7の整数であり、より好ましくは1〜5の整数である。ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのエーテル又はポリアルキレングリコールのエステルは、1種類又は2種類以上を混合して使用しても良い。
一般式(3)で示される化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ポリエチレングリコールベンジルエーテル、ポリエチレングリコール−4−ノニルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールドデシルエーテル、ポリプロピレングリコールベンジルエーテル、ポリプロピレングリコールジベンジルエーテル、ポリプロピレングリコール−4−ノニルフェニルエーテル、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
一般式(4)で示される化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール酢酸エステル、ポリエチレングリコール酢酸プロピオン酸エステル、ポリエチレングリコールジ酪酸エステル、ポリエチレングリコールジステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジ−2,6−ジメチル安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジ−p−tert−ブチル安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジカプリン酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酢酸エステル、ポリプロピレングリコール酢酸プロピオン酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酪酸エステル、ポリプロピレングリコールジステアリン酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ2−、6−ジメチル安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ−p−tert−ブチル安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジカプリン酸エステル等が挙げられる。
本発明における(C)ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのエーテル、ポリアルキレングリコールのエステルから選ばれた1種以上の化合物の配合量は、溶融法ポリカーボネートとハロゲン化ポリカーボネート或いはハロゲン化ポリカーボネートオリゴマーの合計100重量部に対し、0.05〜5重量部である。配合量が5重量部を越えると機械的強度が低下しやすい。(C)の配合量は、黄変度の改良効果と機械的強度とのバランスの点から、(A)および(B)の合計100重量部に対し、好ましくは3重量部以下である。
また、本発明のポリカーボネートには、射出成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。 かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。これらの公知の離型剤のなかで、オレフィン性炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に実質的に含有しないものが電離線照射時の変色防止が少なく好ましい。また、ポリプロピレングリコールや多価アルコールの高級脂肪酸エステルの配合は医療用液体との濡れ性が良く好ましい。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
かかる離型剤の配合量は、(A)ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.01〜5重量部が好ましい。
また、本発明の(A)ポリカーボネートには、重合体に基づく成形品の黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、現行の芳香族ポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Viol et31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725;、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、 一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solv ent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No 61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。 これらブルーイング剤は、通常、ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.1×10−4〜2×10−4重量部の割合で配合される。
本発明の(A)ポリカーボネートと上述のような各種の添加剤との配合は、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を例えば塩化メチレンなど の共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などがあるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
こうして得られる本発明のポリカーボネート或いは、これに各種添加剤を添加してなるポリカーボネート組成物は、そのまま、または溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で土木建築資材成形物にすることができる。
本発明のポリカーボネートの混和性を高めて安定した各物性を得るためには、溶融押出において単軸押出機、二軸押出機を使用するのが好ましい。単軸押出機、二軸押出機を用いる方法は、溶剤等を用いることがなく、環境への負荷が小さく、生産性の点からも好適に用いることができる。 本発明の医療用途向けポリカーボネートの場合は、押出機の溶融混練温度は通常200〜300℃、好ましくは220〜260℃である。溶融混練温度が200℃より低い温度であると、ポリカーボネートの溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの劣化が起こりやすくなり、ポリカーボネートの色が黄変したり、分子量が低下するため強度が劣化したりする。
押出機を使用する場合、押出時にポリカーボネートの焼け、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、求められる光学的な精度依存するが、100μm以下が好ましい。特に、異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。 さらに、ポリカーボネートの押出は、押出後の異物混入を防止するために、クリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネートを冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの大きさ(目開き)は種々あるが、10〜0.45μmのフィルターのものが好ましい。
本発明のポリカーボネートは、上記の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、周知の種々の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、耐候性付与剤、耐衝撃性改良剤、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料を含有していてもよい。さらには、たとえば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィンなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂などと混練したポリマーアロイを医療器具用材料としても用いることもできる。
本発明のポリカーボネートを用いた医療器具部品の成形には、通常ビスフェノールAタイプの芳香族ポリカーボネート樹脂の成形法と同様に行うことができる。射出成形の場合には金型温度は30℃〜120℃、樹脂温度は220〜290℃となるようにするのが良い。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。 以下において、ポリカーボネートの物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)還元粘度
ウベローデ型粘度計を用い、溶媒としてフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶液を用い、濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した。この数値が高いほど分子量が大きい。
(2)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(メトラー社製「DSC822」)に試料約10mgを用いて、10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS K 7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた折線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度Tgを求めた。
(3)耐衝撃強度
重合体ペレットを、熱風乾燥器中で、120℃にて5時間以上乾燥した後、カスタム・サイエンティフィック(Custom Scientific)社製ミニマックス射出成形機「CS−183MMX」を用いて、温度240〜300℃で、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片を射出成形し、深さ1.2mmのノッチをノッチングマシンで付け、試験片とした。
この試験片について、カスタム・サイエンティフィック社製ミニマックスアイゾット衝撃試験機「CS−183TI型」を用いて、23℃におけるノッチ付きのアイゾット衝撃強度を測定した。この数値が大きいほど、耐衝撃強度が大きく、割れにくいことを示す。
(4)引っかき硬度(鉛筆法)試験
重合体ペレットを、熱風乾燥器中で、120℃にて5時間以上乾燥した後、カスタム・サイエンティフィック(Custom Scientific)社製ミニマックス射出成形機「CS−183MMX」を用いて、温度240〜300℃で、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ0.8mmの試験片を射出成形し、コーテック社製引っかき硬度(鉛筆法)試験器を用いて、JIS K5600-5-4に準拠して、鉛筆硬度を6B〜6Hの範囲で測定した。6Bは表面硬度が低く、6Hは表面硬度が高いことを示す。
(5)電離線照射変色試験
重合体ペレットを、熱風乾燥器中で、120℃にて5時間以上乾燥した後、カスタム・サイエンティフィック(Custom Scientific)社製ミニマックス射出成形機「CS−183MMX」を用いて、温度240〜300℃で、射出成形した長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ0.8mmの試験片を作成した。この試験片に、コバルト60γ線を25キログレイ(kGy)照射し、室温1日経過後の黄色度(YI)を、JIS K 7103に従って、日本電色工業社製分光式色差計SE−2000を用いて測定し、照射前後の黄色度の差、黄変度(ΔYI)を求めた。ΔYIが小さいほど、変色が小さいことを示している。
なお、下記の実施例で用いたイソソルビドの蟻酸含有量は5ppmであった。イソソルビドに含まれる蟻酸の定量方法は、次のような方法によって実施した。
(6)蟻酸の定量
イソソルビドに含まれるギ酸量をイオンクロマトグラフで測定した。イソソルビド0.5gを精秤し50mlのメスフラスコに採取して純水で定容した。標準試料にはギ酸ナトリウム水溶液を用い、標準試料とリテンションタイムの一致するピークをギ酸として、ピーク面積から絶対検量線法で定量した。
イオンクロマトグラフは、Dionex社製のDX−500型を用い、検出器には電気伝導度検出器を用いた。測定カラムとして、Dionex社製ガードカラムにAG−15、分離カラムにAS−15を用いた。測定試料を100μlのサンプルループに注入し、溶離液に10mM−NaOHを用い、流速1.2ml/min、恒温槽温度35℃で測定した。サプレッサーには、メンブランサプレッサーを用い、再生液には12.5mM−H2SO4水溶液を用いた。
[実施例1]
イソソルビド(ロケットフルーレ社製)27.7重量部(0.516モル)に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール(イーストマン社製、以下「1,4−CHDM」と略記する。)13.0重量部(0.221モル)、ジフェニルカーボネート(三菱化学社製、以下「DPC」と略記する。)59.2重量部(0.752モル)、および触媒として、炭酸セシウム(和光純薬社製)2.21×10−4重量部(1.84×10−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。 次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネートのペレットを得た。 得られたポリカーボネートについて、上記記載の評価方法により、還元粘度、ガラス転移温度、アイゾット衝撃値、鉛筆硬度、γ線変色を評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、イソソルビド19.7重量部(0.363モル)、1,4−CHDM21.6重量部(0.404モル)、DPC58.8重量部(0.741モル)、触媒として、炭酸セシウム2.19×10−4重量部(1.82×10−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、イソソルビド35.9重量部(0.674モル)、1,4−CHDM4.4重量部(0.083モル)、DPC59.7重量部(0.764モル)、触媒として、炭酸セシウム2.22×10−4重量部(1.87×10−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、イソソルビド40.1重量部(0.581モル)に対して、DPC59.9重量部(0.592モル、触媒として、炭酸セシウム2.23×10−4重量部(1.45×10−6モル)をに変更した以外は、同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、イソソルビド15.7重量部(0.288モル)に対して、1,4−CHDM25.8重量部(0.480モル)、DPC58.6重量部(0.734モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.18×10−4重量部(1.80×10−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS3000)について、上記記載の評価方法により、還元粘度、ガラス転移温度、アイゾット衝撃値、鉛筆硬度、γ線変色を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2009142404
表1より次のことがわかる。
本発明のポリカーボネートである実施例1〜5は、芳香族ポリカーボネート樹脂である比較例1と比べ、耐熱性、機械的特性について実用上十分な数値であり、表面硬度が高く、ガンマー線照射による変色が少なく、医療用成形品として良好である。
以上の結果より、植物由来のモノマーを使用した本発明のポリカーボネートからなる成形品は、良好な環境・石油資源保全性を有し、電離線照射による変色が少なく、表面硬度が高く、ガラス転移温度と耐衝撃強度のバランスが良好なので、医療用成形品として好適である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートからなる医療用成形品。
    Figure 2009142404
  2. 前記ポリカーボネートのガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の医療用成形品。
  3. 前記ポリカーボネートが、更に脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用成形品。
  4. 前記ポリカーボネートに含まれる、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との比率(モル%)が100:0〜30:70の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の医療用成形品。
  5. 前記ポリカーボネートに含まれる、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との比率(モル%)が90:10〜40:60の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の医療用成形品。
  6. 前記ポリカーボネートに含まれる、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の比率(モル%)が85:15〜45:55の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の医療用成形品。
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