JP2011105846A - ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(a)100重量部と、
高級脂肪酸及びステアリン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の離型剤(b)0.0001重量部以上2重量部以下とを含むポリカーボネート樹脂組成物。
(但し、上記一般式(1)で表される部分が−CH2−O−Hの一部である場合を除く。)
【選択図】 なし
Description
従って、本発明の目的は、イソソルビド等のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含み、耐熱性、透明性、機械的強度が良好で、成形性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
請求項1に係る発明は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(a)100重量部と、高級脂肪酸及びステアリン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の離型剤(b)0.0001重量部以上2重量部以下とを含むポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(a)は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂である。
構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物としては、分子構造の一部に前記一般式(1)で表されるものを含んでいれば特に限定されるものではないが、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基が前記一般式(1)で表される部位であるジヒドロキシ化合物が挙げられる。又、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物等の複素環基の一部が前記一般式(1)で表される部位であるジヒドロキシ化合物が挙げられるが、複素環基の一部が前記一般式(1)で表される部位であるジヒドロキシ化合物が好ましい。下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。また、下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(慣用名:スピログリコール)、3,9−ビス(1,1−ジエチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジプロピル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、ジオキサングルコールなどが挙げられる。
これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な下記一般式(2)の化合物が特に好ましく、種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
イソソルビド約0.5gを精秤し50mlのメスフラスコに採取して純水で定容する。標準試料として蟻酸ナトリウム水溶液を用い、標準試料とリテンションタイムが一致するピークを蟻酸とし、ピーク面積から絶対検量線法で定量する。
イオンクロマトグラフは、Dionex社製のDX−500型を用い、検出器には電気伝導度検出器を用いた。測定カラムとして、Dionex社製ガードカラムにAG−15、分離カラムにAS−15を用いる。測定試料を100μlのサンプルループに注入し、溶離液に10mM−NaOHを用い、流速1.2ml/min、恒温槽温度35℃で測定する。サプレッサーには、メンブランサプレッサーを用い、再生液には12.5mM−H2SO4水溶液を用いる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、通常、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。脂環式ジヒドロキシ化合物が5員環構造又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。
脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。炭素数が過度に大きいと、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になったり、コストが高価になる傾向がある。炭素数が小さいほど、精製しやすく、入手しやすい傾向がある。
HOCH2−R5−CH2OH (I)
HO−R6−OH (II)
(但し、式(I),式(II)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のシクロアルキル構造を含む二価の基を表す。)
が下記一般式(Ib)(式中、nは0又は1で表す。)で表される種々の異性体を包含する。
一般式(Ic)(式中、mは0、又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール等が挙げられる。
異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール等が挙げられる。
含する。このようなものとしては、具体的には、1,3−アダマンタンジメタノール等が挙げられる。
原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基で表される。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジオール等が用いられる。
体を包含する。このようなものとしては具体的には、1,3−アダマンタンジオール等が用いられる。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
オキシアルキレングリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられる。
その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類等が挙げられる。
このため、本発明で使用するポリカーボネート樹脂(a)においては、ポリカーボネート樹脂(a)を構成するジヒドロキシ化合物に由来する全構造単位に対する、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は10モル%以下であることが好ましい。
特に、本発明で使用するポリカーボネート樹脂(a)は、構造の一部に一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のみで構成されることが好ましい。
還元粘度が過度に低いと、レンズ等に成形した際の機械的強度が低下する傾向がある。また、還元粘度が過度に高いと、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の複屈折率が大きくなり易い傾向がある。
弾性係数の値が高いと、溶融押出や溶液キャスト法等で製膜したフィルムの位相差の値が大きくなり、これを延伸した場合、張力のわずかな振れにより、フィルム面内の位相差のばらつきがさらに大きくなる。またこのような位相差フィルムを貼合する場合、貼合時の張力により所望する位相差がずれてしまうばかりでなく、貼合後の偏光板の収縮等により、位相差値が変化しやすい。光弾性係数が小さいほど位相差のばらつきが小さくなる。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(a)は、従来公知の重合方法により製造することができる。重合方法としては、ホスゲンを用いる溶液重合法、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とを反応させる溶融重合法のいずれの方法でも良い。
なかでも、重合触媒の存在下に、前述した構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含むジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合法が好ましい。
溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。
溶融重合法において使用する炭酸ジエステルのモル比率が過度に小さいと、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加し、ポリマーの熱安定性が悪化し、また所望する高分子量体が得られない傾向がある。一方、使用する炭酸ジエステルのモル比率が過度に大きいと、同一重合条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望する分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となる傾向がある。さらに、製造されたポリカーボネート樹脂中の残存する炭酸ジエステル量が増加する傾向があり、残存炭酸ジエステルが、成形時又は成形品の臭気の原因となる傾向がある。
前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物の残存含有量が60ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましく、30ppm以下であることが特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂中の、構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物の残存含有量が過度に多いと、ポリマーの熱安定性が悪化するとともに、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、シートやフィルムを押出成形する際に、ロール付着物の量が多くなることによって表面外観が損なわれる可能性がある。
ポリカーボネート樹脂中の、前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルの含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物や、シートやフィルムを押出成形する際に、ロール付着物の量が多くなることによって表面外観が損なわれ可能性がある。
前述したように、本発明で使用するポリカーボネート樹脂(a)の製造方法において、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用することが好ましい。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂(a)の、下記一般式(5)で表される末端基(以下、「フェニル基末端」と記すことがある。)の存在数(A)の全末端基の存在数(B)に対する割合(A/B)が、20%以上の範囲であることが好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(a)のフェニル基末端の存在数(A)の全末端基の存在数(B)に対する割合(A/B)は、25%以上の範囲であることがさらに好ましく、30%以上の範囲であることが特に好ましい。
フェニル基末端の存在数(A)の全末端基の存在数(B)に対する割合(A/B)が、過度に少ないと、重合反応温度や射出成形温度などが高温となる条件下において、着色が大きくなる可能性がある。
ポリカーボネート樹脂中のフェニル基末端の割合は、NMR分光計にて、測定溶媒としてTMSを添加した重クロロホルムを使用し、1H−NMRスペクトルの測定により算出することができる。
必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物との使用割合は、本発明で使用するポリカーボネート樹脂を構成する各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合に応じ、適宜調整する。
溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属の化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
尚、本明細書において「アルカリ金属」及び「アルカリ土類金属」という用語を、それぞれ、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recomendations 2005)における「第1族元素」及び「第2族元素」と同義として用いる。
具体的には、第1段目の反応は140℃〜220℃、好ましくは150℃〜200℃の温度で0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210℃〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
る。特に、温度、圧力のどちらか一方でも早く過度に変化すると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率が変化し、重合度が低下することがある。
例えば、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドと1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いる場合は、全ジヒドロキシ化合物に対し、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比率が50モル%以上の場合は、1,4−シクロヘキサンジメタノールがモノマーのまま反応系外へ留出しやすくなるので、反応系内の圧力が13kPa程度の減圧下で、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させながら反応させ、さらに、6.67kPa程度までの圧力下で、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させ、最終的に200Pa以下の圧力で、200℃から250℃の温度で重縮合反応を行うと、十分に重合度が上昇したポリカーボネート樹脂が得られるため、好ましい。
尚、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂組成物を構成するポリカーボネート樹脂(a)の構造単位の種類等を適宜選択したり、離型剤(b)の種類又は量を調整することにより、前記ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度を調整することが可能である。
尚、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応においては、炭素数が5以下であるアルキル基を有していてもよい芳香族モノヒドロキシ化合物が副生成物として生成する場合がある。
本実施の形態では、ポリカーボネート樹脂(a)に含まれる炭素数が5以下であるアルキル基を有してもよい芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量が700ppm以下であることが好ましく、含有量が500ppm以下であることがさらに好ましく、含有量が300ppm以下であることが特に好ましい。
但し、本発明で使用するポリカーボネート樹脂(a)は、不可避的に残存する量として10ppm程度の上記芳香族モノヒドロキシ化合物が含有されている。
炭素数が5以下であるアルキル基を有してもよい芳香族モノヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、フェノール、クレゾール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフェノール、p−n−ペンチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノールなどが挙げられる。
例えば、重縮合反応においてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの仕込み比率を1に近づける、重縮合反応を増大させる、重縮合反応が行われる反応器外に効率的に上記芳香族モノヒドロキシ化合物を排出する、重縮合反応の後半において横型反応器を用いて高粘度の反応液に所定の剪断力を与えながら脱揮する、注水脱揮操作により水と上記芳香族モノヒドロキシ化合物を共沸させる等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(a)と離型剤(b)を含んでなる。
離型剤(b)としては、高級脂肪酸、ステアリン酸エステルが挙げられ、好ましくは高級脂肪酸である。
離型剤(b)の含有量が過度に多いと成型時に金型付着物が増える場合があり、大量に成形を実施した場合には成形機の整備に労力を要する可能性がある。又成形品は外観不良をきたす可能性がある、離型剤(b)の含有量が過度に少ないと成型時、成形品が金型から離型せず、成形品が取得できない可能性がある。
ーボネート樹脂(a)を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂(a)と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂(a)が溶融した状態;押出機等を用い、ペレットまたは粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂(a)とブレンド・混練する際等が挙げられる。添加方法としては、ポリカーボネート樹脂(a)に離型剤(b)を直接混合または混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂(a)または他の樹脂等と離型剤(b)を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして添加することもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に酸化防止剤(c)を含有することが好ましい。
ここで、酸化防止剤(c)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、通常0.0001重量部以上1重量部以下、好ましくは、0.0001重量部以上0.1重量部以下、さらに好ましくは0.0002重量部以上0.01重量部以下である。
酸化防止剤(c)の含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、酸化防止剤(c)の含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が不足し、高熱下で変形が起こる可能性がある。ガラス転移温度が上記範囲内であると、光学部品としてのレンズ用途等に好適となる。即ち、このようなガラス転移温度を有するポリカーボネート樹脂組成物を使用することにより、温度85℃、相対湿度85%のような高温高湿度下においても、変形が起こりにくく、面精度のばらつきが少ないレンズ等を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には更に酸性化合物を含有していてもよい。
酸性化合物の配合量は、ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、少なくとも
1種の酸性化合物0.00001重量部以上0.1重量部以下、好ましくは、0.0001重量部以上0.01重量部以下、さらに好ましくは0.0002重量部以上0.001重量部以下である。
酸性化合物の配合量が過度に少ないと、射出成形する際に、ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形機内の滞留時間が長くなった場合における着色を抑制することが充分に出来ない場合がある。また、酸性化合物の配合量が過度に多いと、ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性が著しく低下する場合がある。
これらの酸性化合物は、上述したポリカーボネート樹脂(a)の重縮合反応において使用される塩基性エステル交換触媒を中和する化合物として、ポリカーボネート樹脂組成物の製造工程において添加することができる。
また、ガラス繊維としては、好ましくは長さ1mm〜6mmにカットされたチョップドストランド;好ましくは長さ0.01mm〜0.5mmに粉砕されて市販されているガラスミルドファイバーが挙げられる。これらは単独または両者を混合して用いてもよい。
本発明で使用するガラス繊維は、ポリカーボネート樹脂(a)との密着性を向上させるために、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤等による表面処理、あるいは取扱い性を向上させるために、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等による集束処理を施して使用してもよい。
れの形状も使用できる。炭素繊維は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(i)正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、「第1のモノマー単位」という。)と、負の屈折率異方性を有する高分子モノマー単位(以下、「第2のモノマー単位」という。)と、を含む高分子から構成され、
(ii)第1のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550は、第2のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550よりも小さく、(ただし、「Re450」は「波長450nmでの当該高分子の位相差」を示し、「Re550」は「波長550nmでの当該高分子の位相差」を示す。)
(iii)正の屈折率異方性を有し、
(iv)光弾性係数の絶対値が20×10−12Pa−1以下である高分子から構成される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いることにより、上記条件を容易に実現することができる。
位相差フィルム作製の延伸条件としては、フィルム原料のガラス転移温度の−20℃から+40℃の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、フィルム原料のガラス転移温度の−10℃から+20℃の範囲である。延伸温度がポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度より過度に低いと、延伸フィルムの位相差が大きくなり、所望の位相差を得るためには延伸倍率を低くしなければならず、フィルム面内の位相差のばらつきが大きくなる傾向がある。一方、延伸温度がガラス転移温度より過度に高いと、得られるフィルムの位相差が小さくなり、所望の位相差を得るための延伸倍率を大きくしなければならず適正な延伸条件幅が狭くなる傾向がある。
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、80℃で4時間予備乾燥した。次に乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃の成形条件にて、60mm×60mm×3mmtの平板を成形した。また、前記成形条件にてシャルピー衝撃用試験片も成形した。
日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて上記(1)で成形した平板の全光線透過率およびヘーズを測定した。
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80℃で4時間予備乾燥した。次に乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度240℃、金型温度80℃、充填圧力120MPa、成形サイクル35秒、で、53mm×32mm×16mmの箱(肉厚1.5mm)を成形した。成形品外観については割れの有無を目視で判断し、割れが発生しない場合は、イジェクタピン突き出し時の離型抵抗を測定した。
示差走査熱量計(メトラー社製「DSC822」)によりJIS K 7121(1987)に準拠してガラス転移温度(Tg)を測定した。ポリカーボネート樹脂組成物のペレット約10mgを、前記示差走査熱量計にセットし、10℃/分の昇温速度にて加熱を行い、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、それをカラス転移温度(Tg)とした。
ISO179に準じ、上記(1)で成形したシャルピー衝撃用試験片を用いて、ノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。
イソソルビド(ロケットフルーレ社製)27.7重量部(0.516モル)に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール(イーストマン社製、以下「1,4−CHDM」と略記する。)13.0重量部(0.221モル)、ジフェニルカーボネート(三菱化学社製、以下「DPC」と略記する。)59.2重量部(0.752モル)、および触媒として、炭酸セシウム(和光純薬社製)2.21×10−4重量部(1.84×10−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を約15分で溶解した。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに減圧し、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器全体を190℃で15分間保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaに減圧し、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、更に8分で250℃まで昇温し、発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を停止し、重合機出口より溶融状態のポリカーボネート樹脂を得た。(「PC樹脂A」と記す。)
更に3ベントおよび注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート樹脂を供給し、表1に示した組成となるように離型剤としてS100A、酸化防止剤としてイルガノックス1010及びイルガフォス168を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮したのち、ペレタイザーによりペレット化を行い、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物について、上記記載の評価方法により、各種物性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例1の離型剤をNAA180に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1の離型剤をM-9676に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1の離型剤を添加しない以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1の離型剤をM-2222SLに変えた以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1の離型剤をH-476に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1の離型剤をゴールデンブランドパウダーに変えた以外は、実施例1と同様に行った。
離型剤をパラフィンワックス155に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
尚、表1中に表記した添加剤は以下の通りである。
イルガノックス1010:ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
イルガフォス168:トリス(2,4−ジ−tertブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
S−100A:ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン社製)
NAA−180:ステアリン酸(日油社製)
M−9676:ステアリルステアレート(日油社製)
M−2222SL:ベヘニルベヘネート(日油社製)
H−476:ペンタエリスリトールテトラステアレート(日油社製)
ゴールデンブランドパウダー:サラシミツロウ(三木化学工業社製)
パラフィンワックス155:パラフィンワックス(日本精鑞社製)
ルカーボネートとの溶融重縮合のよって得られたポリカーボネート樹脂と高級脂肪酸あるいはステアリン酸エステルとからなるポリカーボネート樹脂組成物は全光線透過率が高く、ヘーズが低く、透明性に優れ、強度を保持し、且つ成形品外観が良好で、離型性が極度に優れていることがわかる。なかでも、高級脂肪酸を含むポリカーボネート樹脂組成物の離型性は秀でている。
Claims (9)
- 前記ポリカーボネート樹脂(a)が、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物及びオキシアルキレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位を更に含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記離型剤(b)が高級脂肪酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、複素環基を有するジヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して、酸化防止剤(c)を0.0001重量部以上1重量部以下含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記酸化防止剤(c)がフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度が90℃以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるこ
とを特徴とする成形品。
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