JP2009140810A - 燃料電池スタック - Google Patents

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Abstract

【課題】 フラッディング現象の発生を十分に防止して、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池を提供する。
【解決手段】 セルスタック101aが、膜電極接合体5と、この膜電極接合体5に反応ガスを供給する反応ガス流路7,8を備えるセパレータ6a,6bとを備え、膜電極接合体5は触媒層2a,2b及びガス拡散層3a,3bを有し、ガス拡散層3a,3bが、反応ガス流路7,8に沿って延び、反応ガス流路7,8とこれに対向する触媒層2a,2bの一部とを連通させるスリット12,13を備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されて発電する燃料電池スタックに関し、特に、発電に伴い生成する水の排出性を改善するための格別な構成を備える燃料電池スタックに関する。
従来から、高効率な小規模発電が可能である燃料電池システムは、発電の際に発生する熱エネルギーを利用するための構成が比較的簡易な構成であるため、高いエネルギー利用効率を実現可能な分散型の発電システムとして開発が進められている。
燃料電池システムは、その発電部の本体として、燃料電池スタック(以下、単に「燃料電池」という)を備えている。この燃料電池としては、例えば、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、アルカリ水溶液形燃料電池、或いは、高分子電解質形燃料電池等が用いられる。これらの燃料電池の内、高分子電解質形燃料電池は、130℃〜150℃程度の比較的低温での発電が可能である。又、その出力密度が高く、かつ寿命が長いという特徴を有している。そのため、高分子電解質形燃料電池は、高出力特性と同時に短時間起動が要求される電気自動車の動力用電源や、長期信頼性が要求される家庭用コジェネレーションシステムのための燃料電池として利用されている。
高分子電解質形燃料電池では、その発電運転の際、水素を含む燃料ガスが供給されると共に、酸素を含む酸化剤ガスが供給される。これらの燃料ガス及び酸化剤ガスは、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層において拡散した後、アノード触媒層及びカソード触媒層に到達する。すると、高分子電解質形燃料電池のアノード触媒層では、供給された燃料ガスに含まれる水素が電子とプロトンとに変換される。ここで、アノード触媒層で発生した電子は、燃料電池システムに接続された外部負荷を経由して、高分子電解質形燃料電池のカソード触媒層に到達する。又、アノード触媒層で発生したプロトンは、高分子電解質膜を通過してカソード触媒層に到達する。一方、高分子電解質形燃料電池のカソード触媒層では、外部負荷を経由して到達した電子と、高分子電解質膜を通過して到達したプロトンと、供給された酸化剤ガスに含まれる酸素とが用いられて、水が生成する。これらの一連の機序により、高分子電解質形燃料電池は、燃料電池システムの発電部の本体として機能する。
ところで、燃料電池システムから電力が供給される負荷の運転状態は、負荷の使用状況等に応じて変化する。従って、負荷の消費電力は、通常、一定の消費電力で経時的に推移することはなく、負荷の運転状態に応じて変動する。よって、負荷に供給するための電力を燃料電池システムにより賄う場合には、負荷の消費電力の変動に応じて、燃料電池の発電量を増減させる必要がある。そして、燃料電池システムにおいて、燃料電池の発電量を増減させるためには、その燃料電池に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を増減する必要がある。
ここで、負荷の消費電力の増大に対応するべく、高分子電解質形燃料電池の発電量を増加させるために、高分子電解質形燃料電池に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を増加する場合、アノード触媒層における電子及びプロトンの発生量が増加すると共に、カソード触媒層に供給される酸素の供給量が増加するので、カソード触媒層における水の生成量が増加する。つまり、燃料電池システムの出力電力量を増大させる場合、カソード触媒層における水の生成量が増加するので、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層の含水量が増加する。しかし、このように、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層の含水量が増加して、所謂フラッディング現象が発生する場合には、それらのガス透過性が低下して、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層における燃料ガス及び酸化剤ガスの拡散性が悪化する場合がある。この場合、アノード触媒層及びカソード触媒層への燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量が低下するので、燃料電池システムの出力電力量が減少する場合がある。
そこで、高分子電解質形燃料電池用のガス拡散層電極基材(本明細書に記載の「ガス拡散層」に相当する構成要素であって、以下、単に「ガス拡散層」という)において、その一方の面から他方の面に渡る貫通孔を複数形成して、かつその貫通孔の密度及び/又は孔径がその面方向において異なるように構成した、高分子電解質形燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる従来の高分子電解質形燃料電池の構成では、ガス拡散層の一方の面から他方の面に渡る貫通孔を複数形成すること等により、ガス拡散層におけるガス透過性の向上が図られると共に、発電に伴い生成する水のガス拡散層からの排出性(特に、カソードガス拡散層からの排水性)の向上が図られる。又、かかる従来の構成では、ガス拡散層に貫通孔を複数形成すること等により、高分子電解質形燃料電池の高分子電解質膜における含水量の管理を容易にして、高分子電解質膜の局所的な乾燥を防止することが図られる。これらにより、高電流密度であっても安定した発電性能を発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池、及び、それを得るために好適な高分子電解質形燃料電池用のガス拡散層を提供することが図られる。
特開2005−38738号公報(特に、図3参照)
しかしながら、本願の発明者らは、その一方の面から他方の面に渡る貫通孔を複数形成して、かつその貫通孔の密度及び/又は孔径がその面方向において異なるように構成したガス拡散層を搭載しても、高分子電解質形燃料電池のガス拡散層におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することは困難であることを見出した。つまり、本願の発明者らは、上記従来の提案には、高電流密度であっても安定した発電性能を発揮させることが可能な高分子電解質形燃料電池及びそのためのガス拡散層を提供するためには、未だ改善の余地があることを見出した。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することができる、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池を提供することを目的としている。
本願の発明者らは、上記従来の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止するためには、ガス拡散層の一方の面から他方の面に渡る貫通孔を複数形成するのみでは不十分であり、セパレータの反応ガス流路の主要部分に対向するガス拡散層の一部にその主要部分に沿って延びる直線状のスリットをその一方の面から他方の面に貫通するように形成するという特徴的な構成を採用することが極めて有効であることを見出した。
即ち、上記従来の課題を解決するために、本発明に係る高分子電解質形燃料電池は、一対のガス拡散電極間に高分子電解質膜を備える膜電極接合体と、前記膜電極接合体のガス拡散電極上に反応ガスを供給する反応ガス流路をそれぞれが備え該反応ガス流路が前記ガス拡散電極と対向するように前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、を備え、前記一対のガス拡散電極は前記高分子電解質膜を挟むように着設された電極触媒及び高分子電解質を含む一対の触媒層と該一対の触媒層を挟むように着設された一対のガス拡散層とを有し、前記反応ガス流路は前記セパレータの一方の側からこれに対向する他方の側に向けて直線状に延びる2以上の第1溝部を有し、前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方が、前記2以上の第1溝部の内の少なくとも1つに沿って延び、該少なくとも1つの第1溝部とこれに対向する前記触媒層の一部とを連通させる1以上のスリットを備えている。
かかる構成とすると、一対のガス拡散層の内の少なくとも一方が、2以上の第1溝部の内の少なくとも1つに沿って延び、その少なくとも1つの第1溝部とこれに対向する触媒層の一部とを連通させる1以上のスリットを備えているので、反応ガス流路の第1溝部を流れる反応ガスの流れを利用してガス拡散電極中の水分を膜電極接合体の外部に効果的に排出することが可能になる。これにより、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することができるので、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池を提供することが可能になる。
上記の場合、前記反応ガス流路が、前記2以上の第1溝部と、該2以上の第1溝部の内の隣り合う上流側の流路の下流端と下流側の流路の上流端とを連結する1以上の第2溝部と、を有するサーペンタイン構造を備えている。
かかる構成とすると、一対のセパレータにおける反応ガス流路がサーペンタイン構造を備える高分子電解質形燃料電池において、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を確実に防止することが可能になる。
又、上記の場合、前記1以上のスリットが、前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方における前記反応ガス流路の下流側に対応する領域に設けられている。
かかる構成とすると、1以上のスリットが一対のガス拡散層の内の少なくとも一方における反応ガス流路の下流側に対応する領域に設けられているので、ガス拡散電極における特に反応ガス流路の下流側に対応する部分でのフラッディング現象の発生を効果的に防止することが可能になる。
又、上記の場合、前記1以上のスリットが、前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方における前記反応ガス流路の上流側及び下流側に対応する領域に設けられている。
かかる構成とすると、1以上のスリットが一対のガス拡散層の内の少なくとも一方における反応ガス流路の上流側及び下流側に対応する領域に設けられているので、ガス拡散電極の全体においてフラッディング現象の発生を効果的に防止することが可能になる。
又、上記の場合、前記一対の触媒層の内の少なくとも一方が、前記電極触媒及び前記高分子電解質に加えて撥水剤と電子伝導性のカーボン粒子とを有する撥水カーボン層を更に含み、該撥水カーボン層が前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方と隣接するように設けられている。
かかる構成とすると、一対の触媒層の内の少なくとも一方が撥水カーボン層を更に備える高分子電解質形燃料電池においても、反応ガス流路の第1溝部を流れる反応ガスの流れを利用することにより、ガス拡散電極中の水分を膜電極接合体の外部に効果的に排出することが可能になる。
本発明に係る高分子電解質形燃料電池の特徴的な構成によれば、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することができる、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池を提供することが可能になる。
燃料電池システムの発電効率を好適に確保するべく、高分子電解質形燃料電池における電力損失を低減するためには、常識的に、反応ガス流路上の全ての領域にガス拡散層を設ける必要がある。なぜなら、かかる構成とすれば、アノード触媒層からアノードセパレータへの電子の好適な移動経路(電気抵抗が低い移動経路)が形成されるので、アノード触媒層で発生した電子をアノードセパレータに効率良く導くことができるからである。
このような従来の技術常識に基づけば、当業者は、高分子電解質形燃料電池のガス拡散層に排水用のスリットを反応ガス流路と対向するように形成するという本発明に係る特徴的な構成を容易に想到することはできない。なぜなら、当業者が潜在的に有する上記従来の技術常識が、本発明の技術的思想の想到に対して障害となるからである。
しかし、本願の発明者らは、上記従来の技術常識にとらわれることなく鋭意検討を重ねた結果、アノード触媒層からアノードセパレータへの電子の好適な移動経路が十分に形成されなくても、高分子電解質形燃料電池のガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することができれば、燃料電池システムの発電効率を十分に確保することができることを初めて見出した。これにより、本願の発明者らは、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池を提供することを可能とした。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下では、便宜上、全ての図を通じて同一又は相当する構成要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1では、アノードガス拡散層におけるアノードガス流路の上流側及び下流側に対応する領域、及び、カソードガス拡散層におけるカソードガス流路の上流側及び下流側に対応する領域、つまり、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層の全面に渡り複数のスリットが設けられている形態について説明する。
先ず、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。尚、図1では、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。
図1に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム100のブロック図上の構成は、従来から用いられている一般的な燃料電池システムのブロック図上の構成と同様である。即ち、図1に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム100は、燃料ガス及び酸化剤ガス(反応ガス)が供給されて発電する高分子電解質形燃料電池(以下、単に「PEFC」という)101と、PEFC101に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置102と、PEFC101に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置103と、PEFC101に温度制御のための熱媒体を供給する熱媒体供給装置104と、燃料電池システム100の動作を制御する制御装置105とを備えている。
ここで、燃料電池システム100の各構成要素について順を追って説明すると、PEFC101と燃料ガス供給装置102とは、燃料ガス供給流路111及び燃料ガス排出流路112により接続されている。本実施の形態において、燃料ガス供給装置102は、燃料ガス供給流路111を介して、PEFC101のアノード(アノードガス拡散電極)4aに燃料ガスを供給する。ここで、本実施の形態において、燃料ガス供給装置102は、天然ガスを供給するインフラストラクチャーから燃料処理器(図示せず)に天然ガス(原料ガス)を送出するプランジャーポンプ(図示せず)と、その天然ガスの送出量を調整することが可能である流量調整器(図示せず)と、送出された天然ガスを水素リッチな燃料ガスに改質する燃料処理器と、を備えている。この燃料処理器では、天然ガスと水蒸気とを用いる改質反応により改質ガスが生成され、この改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を1ppm程度の濃度にまで減少させて、燃料ガスが生成される。この燃料ガスが、燃料ガス供給流路111を介して、PEFC101のアノード4aに供給される。尚、PEFC101から排出された燃料ガスは、燃料ガス排出流路112を介して、燃料ガス供給装置102の燃料処理器(正確には、燃料処理器102の加熱部)に供給される。燃料ガス供給装置102の燃料処理器では、PEFC101から排出された燃料ガスが改質反応を進行させるための熱源として用いられる。
又、図1に示すように、PEFC101と酸化剤ガス供給装置103とは、酸化剤ガス供給流路113により接続されている。本実施の形態において、酸化剤ガス供給装置103は、酸化剤ガス供給流路113を介して、PEFC101のカソード(カソードガス拡散電極)4bに酸化剤ガスを供給する。ここで、酸化剤ガス供給装置103は、その吸入口が大気開放されているブロワ(図示せず)を備えている。このブロアにより、酸化剤ガス供給装置103からPEFC101のカソード4bに酸化剤ガスが供給される。又、図1に示すように、PEFC101のカソード4bには、酸化剤ガス排出流路114が接続されている。この酸化剤ガス排出流路114を介して、PEFC101のカソード4bから排出された酸化剤ガスが、燃料電池システム100の外部に排出される。
又、図1に示すように、PEFC101と熱媒体供給装置104とは、熱媒体供給流路115及び熱媒体排出流路116により接続されている。本実施の形態において、熱媒体供給装置104は、PEFC101の内部温度を適切な温度で維持するために、熱媒体供給流路115を介してPEFC101に温度制御用の熱媒体を供給する。又、熱媒体供給装置104は、熱媒体排出流路116を介してPEFC101から排出された熱媒体を冷却又は加熱する。ここで、熱媒体を介してPEFC101から排出された熱は、給湯等の用途において有効に利用される。尚、本実施の形態では、温度制御用の熱媒体として水が用いられる。
一方、図1に示すように、燃料電池システム100の制御装置105は、マイコン等のコンピュータにより構成され、CPU等からなる演算処理部41と、メモリ等からなる記憶部42と、モニタ等の表示部43と、キーボード等の操作入力部44とを備えている。本実施の形態において、演算処理部41は、記憶部42に格納された所定の制御プログラムを読み出し、その制御プログラムを実行することにより、燃料電池システム100の動作に関する各種の制御を行う。又、この演算処理部41は、記憶部42に記憶されたデータや操作入力部44から入力されたデータ等を適宜処理する。又、制御装置105の表示部43は、燃料電池システム100の動作状態等を適宜表示する。尚、制御装置105と燃料電池システム100の各構成要素(PEFC101、燃料ガス供給装置102、酸化剤ガス供給装置103、熱媒体供給装置104等)とは、所定の配線により電気的に接続されている。
ここで、本明細書において、「制御装置」とは、単独の制御装置のみに限定されることはなく、複数の制御装置が協働して燃料電池システム100の動作の制御を実行する「制御装置群」をも意味する。従って、制御装置105は、単独の制御装置により構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置され、それらが協働して燃料電池システム100の動作を制御するように構成されていてもよい。
かかる燃料電池システム100では、その発電運転の際、燃料ガス供給装置102からPEFC101のアノード4aに水素を含む燃料ガスが供給されると共に、酸化剤ガス供給装置103からPEFC101のカソード4bに酸素を含む酸化剤ガスが供給される。すると、燃料電池システム100のPEFC101では、燃料ガス供給装置102から供給された水素を含む燃料ガスと、酸化剤ガス供給装置103から供給された酸素を含む酸化剤ガスとが電気化学的に反応して、水の生成を伴いながら、電力が生成される。この生成された電力が、必要に応じて変圧された後、燃料電池システム100に接続された負荷に供給される。尚、PEFC101において未反応であった燃料ガスは、燃料ガス排出流路112を介して、燃料ガス供給装置102の燃料処理器にオフガスとして供給される。このオフガスは、燃料ガス供給装置102の燃料処理器において燃焼用燃料として消費される。
次に、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムが備えるPEFCの構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムが備えるPEFCの構成を模式的に示す斜視図である。尚、図2では、便宜上、PEFCの一部を分解した状態を示しており、その上下方向を図示するように規定している。又、図2では、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。
図2に示すように、本実施の形態に係るPEFC101は、平板状の全体形状を有するセル(単電池)11がその厚み方向に複数積層されてなるセル積層体50と、このセル積層体50の両端に配設された一対の端板(図示せず)と、セル積層体50と一対の端板との全体をセル11の積層方向において締結する締結具(図示せず)とを備えるセルスタック101aから構成されている。尚、本実施の形態に係るセルスタック101aにおいては、一対の端板には集電板及び絶縁板がそれぞれ着設されているが、ここでは、それらの図示を省略している。
図2を参照しながらセル11の構成について概説すると、セル11は、MEA(Membrane−Electrode−Assembly:膜電極接合体/電解質層−電極積層体)5と、一対のガスケット10,10と、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bとを備えている。そして、図2に示すように、これらのMEA5、一対のガスケット10,10、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bが積層されることにより、セル11が構成されている。
ここで、セル11の構成について、図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係るPEFCが備えるセルの構成を模式的に示す断面図である。尚、図3では、便宜上、PEFCが備えるセルの一部を抜粋した状態を示している。又、図3では、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。
図3に示すように、セル11が備えるMEA5は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜(電解質層)1と、アノード4a及びカソード4b(これらを、「ガス拡散電極」という)とを備えている。ここで、アノード4aとカソード4bは、高分子電解質膜1の周縁部より内方に位置するようにして、高分子電解質膜1の両面にそれぞれ設けられている。そして、アノード4aは、高分子電解質膜1の一方の主面上に設けられ、白金系金属触媒(電極触媒)を担持したカーボン粉末と高分子電解質とを主成分とするアノード触媒層2aと、このアノード触媒層2aの上方に設けられ、ガスの通気性と導電性とを兼ね備えたアノードガス拡散層3aとを有している。同様にして、カソード4bは、高分子電解質膜1の他方の主面上に設けられ、白金系金属触媒(電極触媒)を担持したカーボン粉末と高分子電解質とを主成分とするカソード触媒層2bと、このカソード触媒層2bの上方に設けられ、ガスの通気性と導電性とを兼ね備えたカソードガス拡散層3bとを有している。ガス拡散層3a,3bは、例えば、カーボン不織布等で構成されている。尚、図3では例示しないが、燃料電池システム100の使用用途によっては、アノード触媒層2a及びカソード触媒層2bの内の少なくとも一方が、撥水剤と電子伝導性のカーボン粒子とを有する撥水カーボン層を更に含み、この撥水カーボン層がアノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bの内の少なくとも一方と隣接するように設けられている場合もある。
又、図2及び図3に示すように、アノード4a及びカソード4bの周囲には、高分子電解質膜1を挟むようにして、一対のフッ素ゴム製のガスケット10,10が配設されている。ガスケット10,10は、本実施の形態では、高分子電解質膜1の周縁に沿うようにして配設されている。この一対のガスケット10,10により、燃料ガス供給装置102からPEFC101に供給した燃料ガスや、酸化剤ガス供給装置103からPEFC101に供給した酸化剤ガスがPEFC101の外部に漏出することが防止されると共に、セル11の内部においてこれらの燃料ガスや酸化剤ガスが互いに混合されることが防止される。そして、図2及び図3に示すように、一対のガスケット10,10における所定の位置には、その厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、これにより、燃料ガス供給用マニホールド孔21cと、酸化剤ガス供給用マニホールド孔23cと、熱媒体供給用マニホールド孔25cとが設けられている。又、これにより、燃料ガス排出用マニホールド孔22cと、酸化剤ガス排出用マニホールド孔24cと、熱媒体排出用マニホールド孔26cとが設けられている。
一方、図2に示すように、アノードセパレータ6aの周縁部には、その厚み方向に形成された貫通孔からなる、燃料ガス供給用マニホールド孔21aと、酸化剤ガス供給用マニホールド孔23aと、熱媒体供給用マニホールド孔25aとが設けられている。又、このアノードセパレータ6aの周縁部には、その厚み方向に形成された貫通孔からなる、燃料ガス排出用マニホールド孔22aと、酸化剤ガス排出用マニホールド孔24aと、熱媒体排出用マニホールド孔26aとが設けられている。ここで、図2及び図3に示すように、アノードセパレータ6aの一方の主面(MEA5に当接する主面)には、燃料ガスを通流させるための溝状のアノードガス流路(反応ガス流路)7が、燃料ガス供給用マニホールド孔21aと燃料ガス排出用マニホールド孔22aとを相互に連通させるように、サーペンタイン状に形成されている。又、図3に示すように、アノードセパレータ6aの他方の主面(MEA5に当接しない主面)には、熱媒体を通流させるための溝状の熱媒体流路9が、サーペンタイン状に形成されている。
又、カソードセパレータ6bの周縁部には、アノードセパレータ6aの場合と同様、その厚み方向に形成された貫通孔からなる、燃料ガス供給用マニホールド孔21bと、酸化剤ガス供給用マニホールド孔23bと、熱媒体供給用マニホールド孔25bとが設けられている。又、このカソードセパレータ6bの周縁部には、アノードセパレータ6aの場合と同様、その厚み方向に形成された貫通孔からなる、燃料ガス排出用マニホールド孔22bと、酸化剤ガス排出用マニホールド孔24bと、熱媒体排出用マニホールド孔26bとが設けられている。ここで、図3に示すように、カソードセパレータ6bにおける一方の主面(MEA5に当接する主面)には、酸化剤ガスを通流させるための溝状のカソードガス流路(反応ガス流路)8が、酸化剤ガス供給用マニホールド孔23bと酸化剤ガス排出用マニホールド孔24bとを相互に連通させるように、サーペンタイン状に形成されている。又、図2に示すように、カソードセパレータ6bの他方の主面(MEA5に当接しない主面)には、熱媒体を通流させるための溝状の熱媒体流路9が、熱媒体供給用マニホールド孔25bと熱媒体排出用マニホールド孔26bとを連通させるように、サーペンタイン状に形成されている。
そして、図3に示すように、MEA5とガスケット10,10とを挟むようにして、導電性のアノードセパレータ6aと導電性のカソードセパレータ6bとが配設されている。これらのアノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bとしては、例えば、黒鉛板にフェノール樹脂を含浸させて硬化させた樹脂含浸黒鉛板が用いられる。或いは、これらのアノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bとしては、例えば、SUS等の金属材料からなる金属板が用いられる。このように、PEFC101では、アノードセパレータ6aとカソードセパレータ6bとによりMEA5及びガスケット10,10が機械的に固定されて、セル11が構成されている。
このように形成したセル11をその厚み方向に複数積層することにより、セル積層体50が構成される。このように、セル11がその厚み方向に複数積層されることにより、隣り合うMEA5同士が互いに電気的に直列に接続される。又、セル積層体50では、アノードセパレータ6a、カソードセパレータ6b、及びガスケット10,10に設けられた燃料ガス供給用マニホールド孔21a,21b,21c及び燃料ガス排出用マニホールド孔22a,22b,22cが、セル11を積層することによりその厚み方向において接続されて、燃料ガス供給用マニホールド121及び燃料ガス排出用マニホールド122がそれぞれ構成される。又、同様にして、酸化剤ガス供給用マニホールド孔23a,23b,23c及び酸化剤ガス排出用マニホールド孔24a,24b,24cがセル11の厚み方向において接続されて、酸化剤ガス供給用マニホールド123及び酸化剤ガス排出用マニホールド124がそれぞれ構成される。更に、同様にして、熱媒体供給用マニホールド孔25a,25b,25c及び熱媒体排出用マニホールド孔26a,26b,26cがセル11の厚み方向において接続されて、熱媒体供給用マニホールド125及び熱媒体排出用マニホールド126がそれぞれ構成される。尚、それぞれのマニホールドには、適宜な配管(図2では図示せず)が接続されている。
尚、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの外面に設けられた熱媒体流路9は、セル11が複数積層されることにより互いに接合するように形成されている。そして、一方の熱媒体流路9と他方の熱媒体流路9とが接合することにより、1本の熱媒体流路が構成される。又、本実施の形態では、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの外面には、熱媒体が燃料ガス供給マニホールド孔21等に漏出しないように、Oリング等のシール部材が配設されている。これにより、PEFC101において、熱媒体流路等がシールされている。
次に、本発明の実施の形態1に係るPEFCのアノードガス拡散層及びカソードガス拡散層が特徴的に備えるスリットの構成について説明する。
図2及び図3に示すように、本実施の形態に係るPEFC101のアノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bは、アノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13を特徴的に備えている。
具体的に説明すると、本実施の形態に係るPEFC101は、MEA5と、このMEA5のアノード4a及びカソード4bに燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するためのアノードガス流路7及びカソードガス流路8をそれぞれが備え、それらの反応ガス流路がアノード4a及びカソード4bと対向するようにMEA5を挟持するアノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bとを備えている。ここで、アノード4a及びカソード4bは、高分子電解質膜1を挟むように着設されたアノード触媒層2a及びカソード触媒層2bと、これらの触媒層を挟むように着設されたアノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bとを有している。又、アノードガス流路7及びカソードガス流路8は、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの一方の側からこれに対向する他方の側に向けて直線状に延びている。そして、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bは、アノードガス流路7及びカソードガス流路8に沿って延び、かつそれらの反応ガス流路とこれに対向するアノード触媒層2a及びカソード触媒層2bの一部とを連通させるアノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13を特徴的に備えている。
図3を参照しながら更に説明すれば、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bには、セル11を構成した場合において、アノードセパレータ6aのアノードガス流路7と対向する位置、及び、カソードセパレータ6bのカソードガス流路8と対向する位置に、それぞれ、アノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13が形成されている。ここで、本実施の形態では、これらのアノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13のスリット幅は、アノードガス流路7及びカソードガス流路8の流路幅よりも狭く、例えば、2mm以下程度のスリット幅とされている。そして、これらのアノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13は、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bの厚み方向において、アノードガス流路7側からアノード触媒層2a側へ、カソードガス流路8側からカソード触媒層2b側へ、それぞれ貫通している。
図4は、本発明の実施の形態1に係るPEFCのセパレータ及びMEAの構成を模式的に示す平面図である。ここで、図4(a)では、セパレータが備える各種マニホールド孔及び反応ガス流路の平面構成を示している。又、図4(b)では、MEAが備えるスリット及びガスケットが備える各種マニホールド孔の平面構成を示している。尚、図4に示す上下方向は、図2に示す上下方向と対応している。
図4(a)及び図4(b)を参照しながら更に説明すれば、アノードセパレータ6aには、燃料ガス供給用マニホールド孔21aと燃料ガス排出用マニホールド孔22aとの間に1以上(ここでは、2つ)のアノードガス流路7が形成されている。各アノードガス流路7は、互いに平行に、アノードセパレータ6aの一方の側(第1の側)から他方の側(第2の側)に向かう方向(以下、「第1の方向」(ここでは、水平方向)という)に延びる複数の直線状の第1溝部7aと、これらを連結する第2の溝部7bとを有している。そして、各アノードガス流路7は、この複数の第1溝部7aが、第1の方向に垂直な方向(ここでは、下方)において順に、交互にアノードセパレータ6aの異なる側において第1溝部7aの端同士を第2の溝部7bにより連結するようにして、サーペンタイン状に形成されている。尚、第2の溝部7bは、ここでは、第1の方向に垂直な方向(下方)に直線状に延びるように形成されている。
そして、各種マニホールド孔21a〜26aを備えるアノードセパレータ6aに形成された複数のアノードガス流路7の全ての直線状の第1溝部7aに対応するように、MEA5におけるアノードガス拡散層3aの上流側及び下流側に渡る全領域に、直線状のアノードガス拡散層スリット12が複数形成されている。
又、図4(a)及び図4(b)では図示しないが、カソードセパレータ6bには、酸化剤ガス供給用マニホールド孔23aと酸化剤ガス排出用マニホールド孔24aとの間に1以上(ここでは、2つ)のカソードガス流路8が形成されている。各カソードガス流路8は、互いに平行に、カソードセパレータ6bの一方の側から他方の側に向かう方向(第1の方向(ここでは、水平方向))に延びる複数の直線状の第1溝部と、これらを連結する第2の溝部とを有している。そして、各カソードガス流路8は、この複数の第1溝部が、第1の方向に垂直な方向(ここでは、下方)において順に、交互にカソードセパレータ6bの異なる側において第1溝部の端同士を第2の溝部により連結するようにして、サーペンタイン状に形成されている。尚、第2の溝部は、本実施の形態では、第1の方向に垂直な方向(下方)に直線状に延びるように形成されている。
そして、本実施の形態に係るPEFC101では、アノードガス拡散層スリット12と同様の直線状のカソードガス拡散層スリット13が、各種マニホールド孔21b〜26bを備えるカソードセパレータ6bに形成された複数のカソードガス流路8の全ての直線状の第1溝部に対応するようにして、MEA5におけるカソードガス拡散層3bの上流側及び下流側に渡る全領域に複数形成されている。ここで、本実施の形態では、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bにおいて、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bに形成され、2以上の第1溝部の内の隣り合う上流側の流路の下流端と下流側の流路の上流端とを連結する1以上の第2溝部に対応する位置には、スリットは形成されてはいない。
尚、本実施の形態において、アノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13は、例えば、それぞれに対応するガス拡散層基材をトムソン抜型等によって打ち抜くことにより、容易に形成することができる。又、アノードガス拡散層スリット12とアノードガス流路7の第1溝部7aとの積層時の位置合わせは、MEA5とアノードセパレータ6aとの位置決め機構を利用して行う。この位置決め機構としては、例えば、MEA5の周辺部に位置決め用の凹部を形成すると共に、アノードセパレータ6aの周辺部に位置決め用の凸部を形成して、MEA5の凹部にアノードセパレータ6aの凸部を嵌合する構成を採ることが好ましい。又、このアノード側の位置決め機構と同様の位置決め機構により、カソードガス拡散層スリット13とカソードガス流路8の第1溝部との積層時の位置合わせを行う。
以上、本実施の形態に係るPEFC101の構成によれば、MEA5におけるアノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bがアノードガス拡散層スリット12及びカソードガス拡散層スリット13を備えているので、アノードガス流路7及びカソードガス流路8の直線状の第1溝部を流れる反応ガスがダイレクトにアノード触媒層2a及びカソード触媒層2bに到達する。そのため、かかる構成によれば、燃料ガス及び酸化剤ガス等の反応ガスの流れを利用して、アノード4a及びカソード4bに含まれる余剰な水分をMEA5の外部に効果的に排出することが可能になる。これにより、高電流密度運転時や反応ガスの供給量が少ない部分負荷運転時等であっても、燃料電池システム100の発電運転に伴い生成する水によるPEFC101におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することが可能になる。従って、本発明によれば、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することができる、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な高分子電解質形燃料電池を提供することが可能になる。
又、本実施の形態に係るPEFC101の構成によれば、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bにおける、アノードガス流路7及びカソードガス流路8と対向しない部分は、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bと相互に電気的に接続されている。つまり、PEFC101において、アノード4a及びカソード4bとアノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bとの電気的な接続状態は、確実に確保されている。従って、本実施の形態に係るPEFC101の構成により燃料電池システム100における集電効果が損なわれることはない。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの構成は、実施の形態1に係る燃料電池システム100の構成と基本的に同様である。しかし、本発明の実施の形態2では、アノードガス拡散層におけるアノードガス流路の下流側に対応する領域、及び、カソードガス拡散層におけるカソードガス流路の下流側に対応する領域に、複数のスリットが設けられている。以下、実施の形態1に示すPEFC101の構成との相違点いついて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、本発明の実施の形態2に係るPEFCのセパレータ及びMEAの構成を模式的に示す平面図である。ここで、図5(a)では、セパレータが備える各種マニホールド孔及び反応ガス流路の平面構成を示している。又、図5(b)では、MEAが備えるスリット及びガスケットが備える各種マニホールド孔の平面構成を示している。尚、図5に示す上下方向は、図2に示す上下方向と対応している。
図5(a)及び図5(b)に示すように、本実施の形態では、各種マニホールド孔21a〜26aを備えるアノードセパレータ6aに形成された複数のアノードガス流路7の下流側の第1溝部7aに対応するように、MEA5におけるアノードガス拡散層3aの下流側に直線状のアノードガス拡散層スリット12が複数形成されている。又、図5(a)及び図5(b)では図示しないが、本実施の形態に係るPEFCでは、このアノードガス拡散層スリット12と同様の直線状のカソードガス拡散層スリット13が、各種マニホールド孔21b〜26bを備えるカソードセパレータ6bに形成された複数のカソードガス流路8の下流側の第1溝部に対応するように、MEA5におけるカソードガス拡散層3bの下流側に複数形成されている。尚、実施の形態1の場合と同様、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bにおいて、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bに形成された、2以上の第1溝部の内の隣り合う上流側の流路の下流端と下流側の流路の上流端とを連結する1以上の第2溝部に対応する位置には、スリットは形成されてはいない。尚、その他の点については、本実施の形態に係るPEFCの構成と実施の形態1に係るPEFC101の構成とは同様である。
本実施の形態によれば、反応ガスの減少及び発電に伴う水の生成によりフラッディング現象がより一層発生し易い領域において、アノードガス流路及びカソードガス流路の第1溝部を流れる燃料ガス及び酸化剤ガスがアノード触媒層及びカソード触媒層にダイレクトに到達することができる。そのため、フラッディング現象がより一層発生し易い領域において、反応ガスの流れを利用することにより、アノード及びカソードに含まれる余剰な水をMEAの外部に効果的に排出することが可能になる。
又、かかる構成によれば、フラッディング現象が比較的発生し難い領域にはスリットが形成されていないため、アノード及びカソードとアノードセパレータ及びカソードセパレータとの接触面積が大きくなる。つまり、かかる構成によれば、アノード及びカソードとアノードセパレータ及びカソードセパレータとの電気的な接触抵抗がより一層低く抑えられるので、PEFCにおける抵抗分極を低減することが可能になる。これにより、高電流密度運転時や反応ガスの供給量が少ない部分負荷運転時等であってもフラッディング現象の発生を十分に防止することが可能になると共に、PEFCにおける抵抗分極の増加を抑制することが可能になる。
尚、本発明の実施の形態1,2では、燃料電池システムの燃料電池として高分子電解質形燃料電池を備える形態について説明したが、このような高分子電解質形燃料電池を備える形態に限定されることはない。例えば、燃料電池システムの燃料電池として、リン酸形燃料電池等の他の燃料電池を備える形態としてもよい。かかる構成としても、本実施の形態1,2において得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
本発明に係る高分子電解質形燃料電池は、ガス拡散電極におけるフラッディング現象の発生を十分に防止することができる、高電流密度であっても安定した発電性能を十分に発揮することが可能な家庭用コージェネレーションシステムや車載用の高分子電解質形燃料電池として、産業上の利用可能性を有している。
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムが備えるPEFCの構成を模式的に示す斜視図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係るPEFCが備えるセルの構成を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係るPEFCのセパレータ及びMEAの構成を模式的に示す平面図である。 図5は、本発明の実施の形態2に係るPEFCのセパレータ及びMEAの構成を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1 高分子電解質膜(電解質層)
2a アノード触媒層
2b カソード触媒層
3a アノードガス拡散層
3b カソードガス拡散層
4a アノード(アノードガス拡散電極)
4b カソード(カソードガス拡散電極)
5 MEA(膜電極接合体、電解質層−電極積層体)
6a アノードセパレータ
6b カソードセパレータ
7 アノードガス流路
7a 第1溝部
7b 第2溝部
8 カソードガス流路
9 熱媒体流路
10 ガスケット
11 セル
12 アノードガス拡散層スリット
13 カソードガス拡散層スリット
21a 燃料ガス供給用マニホールド孔
21b 燃料ガス供給用マニホールド孔
21c 燃料ガス供給用マニホールド孔
22a 燃料ガス排出用マニホールド孔
22b 燃料ガス排出用マニホールド孔
22c 燃料ガス排出用マニホールド孔
23a 酸化剤ガス供給用マニホールド孔
23b 酸化剤ガス供給用マニホールド孔
23c 酸化剤ガス供給用マニホールド孔
24a 酸化剤ガス排出用マニホールド孔
24b 酸化剤ガス排出用マニホールド孔
24c 酸化剤ガス排出用マニホールド孔
25a 熱媒体供給用マニホールド孔
25b 熱媒体供給用マニホールド孔
25c 熱媒体供給用マニホールド孔
26a 熱媒体排出用マニホールド孔
26b 熱媒体排出用マニホールド孔
26c 熱媒体排出用マニホールド孔
41 演算処理部
42 記憶部
43 表示部
44 操作入力部
50 セル積層体
100 燃料電池システム
101 高分子電解質形燃料電池(PEFC)
101a セルスタック
102 燃料ガス供給装置
103 酸化剤ガス供給装置
104 熱媒体供給装置
105 制御装置
111 燃料ガス供給流路
112 燃料ガス排出流路
113 酸化剤ガス供給流路
114 酸化剤ガス排出流路
115 熱媒体供給流路
116 熱媒体排出流路
121 燃料ガス供給用マニホールド
122 燃料ガス排出用マニホールド
123 酸化剤ガス供給用マニホールド
124 酸化剤ガス排出用マニホールド
125 熱媒体供給用マニホールド
126 熱媒体排出用マニホールド

Claims (5)

  1. 一対のガス拡散電極間に高分子電解質膜を備える膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体のガス拡散電極上に反応ガスを供給する反応ガス流路をそれぞれが備え該反応ガス流路が前記ガス拡散電極と対向するように前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、を備え、
    前記一対のガス拡散電極は前記高分子電解質膜を挟むように着設された電極触媒及び高分子電解質を含む一対の触媒層と該一対の触媒層を挟むように着設された一対のガス拡散層とを有し、
    前記反応ガス流路は前記セパレータの一方の側からこれに対向する他方の側に向けて直線状に延びる2以上の第1溝部を有し、
    前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方が、前記2以上の第1溝部の内の少なくとも1つに沿って延び、該少なくとも1つの第1溝部とこれに対向する前記触媒層の一部とを連通させる1以上のスリットを備えている、高分子電解質形燃料電池。
  2. 前記反応ガス流路が、前記2以上の第1溝部と、該2以上の第1溝部の内の隣り合う上流側の流路の下流端と下流側の流路の上流端とを連結する1以上の第2溝部と、を有するサーペンタイン構造を備えている、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
  3. 前記1以上のスリットが、前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方における前記反応ガス流路の下流側に対応する領域に設けられている、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
  4. 前記1以上のスリットが、前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方における前記反応ガス流路の上流側及び下流側に対応する領域に設けられている、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
  5. 前記一対の触媒層の内の少なくとも一方が、前記電極触媒及び前記高分子電解質に加えて撥水剤と電子伝導性のカーボン粒子とを有する撥水カーボン層を更に含み、該撥水カーボン層が前記一対のガス拡散層の内の少なくとも一方と隣接するように設けられている、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
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