JP2009138396A - 雨水貯留浸透システム用構造部材およびこれを用いた雨水貯留浸透システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 剪断変形に対する抵抗力を十分に有し、当該部材の軽量化を図るとともに、組み立てた場合に大きい空間を確保できて保守点検が容易な構造を有する雨水貯留浸透システム用構造部材およびこれを用いた雨水貯留浸透システムを提供すること。
【解決手段】 縦部材1がその外側面1dに横部材2との接合部Aを有し、横部材2が両側面2eおよび辺部2fからなる周辺部、その両側面2eに縦部材1との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部21を有するとともに、非開口部において板状の筋交い22を形成し、筋交い22同士の接合部22aおよび筋交い22と周辺部の接合部22b〜22eにおいて補強部材23が接合され、接合部Aと接合部Bとが挿抜可能に嵌合して縦部材1と横部材2が接合することによって、三次元構造体10の内部に空間部を形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 縦部材1がその外側面1dに横部材2との接合部Aを有し、横部材2が両側面2eおよび辺部2fからなる周辺部、その両側面2eに縦部材1との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部21を有するとともに、非開口部において板状の筋交い22を形成し、筋交い22同士の接合部22aおよび筋交い22と周辺部の接合部22b〜22eにおいて補強部材23が接合され、接合部Aと接合部Bとが挿抜可能に嵌合して縦部材1と横部材2が接合することによって、三次元構造体10の内部に空間部を形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、雨水貯留浸透システム用構造部材およびこれを用いた雨水貯留浸透システムに関し、詳しくは、複数の棒状の縦部材と板状の横部材を組み立てて三次元構造体を形成し、その内部に空間を形成可能にする雨水貯留浸透システム用構造部材およびこれを用いた雨水貯留浸透システムに関する。
近年、特に都市部で異常降雨や出水、あるいはその逆の異常乾燥といった問題が頻繁に生じており、その原因としてヒートアイランド現象が取り上げられている。かかる現象を緩和するため、雨水を利用する施設の構築が提案されており、雨水貯留構造物あるいは雨水貯留用充填材などの開発が進んでいる。
このような雨水貯留構造物として、例えば、地面にピットを堀り、その外表面に遮水シートを敷設して、その上面に複数の容器状部材を縦横および上下に積み上げ、さらに最上部に覆土などを施して被覆し、雨水を貯留する構造物が提案されている。具体的には、図11に示すように、地面101を掘下げてタンク部102を構成する。タンク部102の形状は平面四辺形を基本として造成し、側壁部102aは緩やかな傾斜面とする。このタンク部102の底部102bおよび側壁部102aには、コンクリート等は打設しない。このタンク部102の底部102bには、砂利を敷き詰め、砂利層103を構成し、その砂利層103上に箱形部材104,104・・・を連設配置する構造物が形成されている。ここで、109は被覆層、110は側溝、111は流出口を表す(例えば特許文献1参照)。
あるいは、中空体である複数の着脱自在支柱を、連結部材によって垂直に固定してなる雨水貯留用充填材であって、連結部材が着脱自在の連結桟および縁枠により一体的に連結する等して、運搬中における隅部での支柱の脱落を防止できるようにした構造物が提案されている。具体的には、図12に示すように、中空体である複数の着脱自在支柱231を連結部材211によって垂直に固定してなり、前記連結部材211は、着脱自在支柱231の端部を挿入固定する複数の支柱嵌合部212を有し、支柱嵌合部212を連結桟221及び縁枠226で一体に連結してなる。前記支柱嵌合部212は支柱端部を挿入する筒部213と内部に設けたストッパー214からなり、筒部213はストッパー214によって上面開口部213aと下面開口部213bに分割されている。隅部における下面開口部213bは、縁枠226の下端から下方に突出している(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、上記実施形態の雨水貯留構造物あるいは雨水貯留用充填材には、以下のような課題があった。
(1)従前の縦部材と横部材および連結部材の嵌合・組み合わせによって構成される雨水貯留構造物は、剪断方向の外力を受けたときに耐える柔構造となっていなかったため、荷重がかかった場合、四角の面を有するジャングルジム構造がゆがみ、ひし形に変形し耐震性の限界が小さかった。
(2)また、容器状部材や着脱自在な支柱と連結部材とからなる雨水貯留用充填材を使用しており、点検用の十分な広さの空間が形成されていないため、保守点検は実質上できず、永年の使用により土砂が蓄積して所定の機能を発揮し得なくなった場合にも、清掃作業は容易でなく、機能を復帰させることはできない。
(3)また、雨水貯留浸透槽の内部を点検用としてマンホール等を設置するが、それはマンホールが槽の骨組み部材に接する開口部の内側(近傍)もしくは、有孔のマンホールを槽の底部まで設置し槽内の水位、水質を点検する程度であった。
(4)さらに、容器状部材や充填材を構成する骨組み部材は、十分な強度を有し、広い空間を確保することとともに、雨水貯留浸透槽の内部全体の保守点検のために点検孔から槽内への上下移動とあわせて水平方向の移動が求められることがある。
(5)また、上記従来技術の容器状部材や充填材を運搬する場合は、これらが雨水を貯留するための大きな空間を内蔵して嵩張るため、搬送量の割に輸送コストが高くかかるという問題がある。しかも、これらの容器状部材や充填材は形状が固定されているため、雨水貯留浸透槽の形状に対して柔軟に対応できないという問題もある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、剪断変形に対する抵抗力を十分に有し、当該部材の軽量化を図るとともに、組み立てた場合に大きい空間を確保できて保守点検が容易な構造を有する雨水貯留浸透システム用構造部材およびこれを用いた雨水貯留浸透システムを提供することにある。また、点検孔からの上下の移動とあわせて水平方向の移動が容易な構造や、個々の構成部材から組立を容易にして、現地での組立を可能にすることにより輸送コストを低減でき、かつ雨水貯留浸透槽の形状に対して柔軟に対応可能な雨水貯留システム用構造部材とこれを備えた雨水貯留浸透システムを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す雨水貯留浸透システム用構造部材およびこれを用いた雨水貯留浸透システムによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、複数の棒状の縦部材と板状の横部材を組立てて三次元構造体を形成する雨水貯留浸透システム用構造部材において、
(1)前記縦部材が、その外側面に前記横部材との接合部Aを有し、
(2)前記横部材が、両側面および辺部からなる周辺部、その両側面に前記縦部材との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部を有するとともに、非開口部において板状の筋交いを形成し、該筋交い同士の接合部および筋交いと前記周辺部の接合部において補強部材が接合され、
前記接合部Aと前記接合部Bとが挿抜可能に嵌合して前記縦部材と前記横部材が接合することによって、前記三次元構造体の内部に空間部を形成することを特徴とする。
(1)前記縦部材が、その外側面に前記横部材との接合部Aを有し、
(2)前記横部材が、両側面および辺部からなる周辺部、その両側面に前記縦部材との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部を有するとともに、非開口部において板状の筋交いを形成し、該筋交い同士の接合部および筋交いと前記周辺部の接合部において補強部材が接合され、
前記接合部Aと前記接合部Bとが挿抜可能に嵌合して前記縦部材と前記横部材が接合することによって、前記三次元構造体の内部に空間部を形成することを特徴とする。
この構成によれば、縦部材と横部材によって組立てられた三次元構造体において、大きい雨水貯留空間を確保できると同時に、縦部材と平行する空間(以下「縦空間」という)が形成され、縦方向の人の移動が可能となり、保守点検が容易な構造を形成することができる。縦部材と横部材は点ではなく線接合を行うことによって、剪断変形に対する抵抗力が得られ、結果として耐震性能が格段に向上する。また、本発明においては、横部材に筋交いと補強部材を用いることによって、さらに強い剪断力に対する抵抗力を確保することができる。つまり、こうした構造体においては、横部材に対して大きな剪断変形をもたらす応力がかかることから、筋交いを設けて補強するとともに、さらなる補強として補強部材を設けることによって、こうした応力に伴って生じる2次的なねじれ力に対しても強い抵抗力を確保することができる。特に、横部材の辺部だけではなく、角部においてもこうした補強部材による補強は効果的であった。
さらに、横部材に設けられた開口部によって、横部材自体の軽量化を図ることができるとともに、三次元構造体全体の軽量化を図ることが可能となる。また、縦部材においてはその外側面の長さ方向に設けられ、横部材においてはその両側面の長さ方向に設けられた溝状あるいは突起状の接合部を用い、これらの部材を挿抜可能に嵌合して組立てることによって、個々の構成部材から組立を容易にして、現地での組立を可能にすることにより輸送コストを低減でき、かつ雨水貯留浸透槽の形状に対して柔軟に対応することが可能となる。このとき、例えば、縦部材に溝状の接合部が設けられていれば、横部材の突起状の接合部と嵌合するが、縦部材に溝状のみならず突起状の接合部を設けることも可能である。その結果、剪断変形に対する抵抗力を十分に有し、当該部材の軽量化を図るとともに、組み立てた場合に大きい空間を確保できて保守点検が容易な構造を有する雨水貯留浸透システム用構造部材を提供することが可能となり、しかも、個々の構成部材から組立を容易にして、現地での組立を可能にすることにより輸送コストを低減でき、かつ雨水貯留浸透槽の形状に対して柔軟に対応可能な雨水貯留システム用構造部材を提供することが可能となった。
このとき、接合部Aが、縦部材の中心軸から互いに垂直な4方向のうちの少なくとも2つの方向に設けられることが好ましい。縦部材と横部材によって組立てられた三次元構造体においては、縦方向の空間は、円筒状あるいは角柱状に形成されることが、上下方向の移動に好ましい。本発明は、縦部材に設けられる接合部Aを縦部材の中心軸から互いに垂直な4方向のうちの少なくとも2つの方向に設けることによって、横部材を直線方向あるいは垂直方向に配列することが可能となり、桝目状の強固な三次元構造体を形成することができる。
本発明は、上記雨水貯留浸透システム用構造部材であって、前記補強部材が、前記筋交いあるいは周辺部と一体的に接合する板状体あるいはパイプ状部材であることを特徴とする。
上記のように、横部材は、点検孔からの上下の移動を確保するという三次元構造体形成上重要な機能を果たすとともに、大きな剪断応力に対する強度を確保することも非常に重要である。本発明は、横部材に筋交いと補強部材を設けることによって、上載荷重および側面からの負荷を効率よく分散させ所望の強度を確保することができるともに、これを補強する補強部材を筋交いあるいは周辺部と一体的に接合することによって、さらに高い補強強度を確保することができる。また、補強部材を板状体あるいはパイプ状部材とすることによって、補強部材自体の強度を確保することができる。なお、ここでいう「一体的に接合する」とは、補強部材が筋交いあるいは周辺部と同一素材で一体成型される場合に限定されず、広く嵌合状態やネジ止めなどによって補強機能が保持できるように筋交いあるいは周辺部と接合されることを含むものとする。
本発明は、上記雨水貯留浸透システム用構造部材であって、前記開口部が、前記周辺部および筋交いを辺とし、前記補強部材を円弧状の角部とすることを特徴とする。
上記のように、横部材にかかる上載荷重および側面からの負荷によって生じる剪断変形に対しては、横部材に筋交いと補強部材を設けることによって、これを効率よく分散させ所望の強度を確保することができる。本発明は、このとき、横部材の周辺部、筋交いおよび補強部材によって形成される開口部の形状が、その剪断変形に対する抵抗力に大きな影響力を有することを見出したもので、周辺部および筋交いを辺とし、補強部材を円弧状の角部とすることによって、板状の横部材の内部に形成される各開口部において剪断力を分散することができ、結果として横部材全体として周囲からの剪断変形に対する抵抗力を有することができる。つまり、半円弧状あるいは円弧状に近い開口部を形成することによって、変形しやすい開口部の形状を強固にすることができ、横部材全体として強固な構造部材を形成することができる。
また、非開口部の端部が、その他部よりも厚肉であることが好ましい。上記のように本発明に係る横部材は、周辺部、筋交いおよび補強部材からなる非開口部と、当該各部材によって形成される開口部から構成される。このとき、周囲からの剪断変形に対する抵抗力は、上記のように非開口部の構成や開口部の形状のみならず、その境界つまり非開口部の端部の構造によっても左右される。本発明は、横部材の外周を構成する周辺部を肉厚に形成するとともに、非開口部の端部をその他部よりも厚肉にすることによって開口部の剪断変形を防止するもので、こうした構成によって、横部材全体として強固な構造部材を形成することができる。
本発明は、上記雨水貯留浸透システム用構造部材であって、前記横部材の少なくとも一つの辺部の側面に溝状あるいは突起状の接合部Cを有し、前記三次元構造体を形成するときに、前記接合部Cに嵌合する中間部材を介して、隣接する横部材同士の接合を行うことを特徴とする。
上記のように、縦部材と横部材の線接合によって剪断変形に対する抵抗力を向上させることができる。本発明は、さらに、隣接する横部材においても同様の線接合を図ることによって、上方からの加重によるたわみに対するだけでなく、横方向あるいはねじれ方向からのたわみに対しても、横部材の強度が一層高まり、三次元構造体全体の強度をさらに向上させることができる。また、こうした縦部材と横部材の互いに線接合によって形成される三次元構造体は、例えば8個の部材によって形成される1つのユニットごとに非常に堅固な構造体を形成することから、施工時に作業者が組み立てる過程において、より安定した作業ができる。
本発明は、雨水貯留浸透システムであって、上記いずれかに記載の構造部材を用い、複数の前記横部材によって囲まれた縦方向の空間を形成可能にするとともに、前記横部材のいくつかを板状の中央部に1つの開口部を有する横部材に代えることによって、前記開口部によって横方向に貫通する空間を形成可能にすることを特徴とする。
上記の構造部材を用いて形成される雨水貯留浸透システムは、大きい空間および通空部を確保できて保守点検が容易であり、しかも個々の構成部材から容易に組立てることができる。従って、現地での組立を可能にすることにより輸送コストを低減でき、かつ雨水貯留浸透槽の形状に対して柔軟に対応可能な雨水貯留浸透システム用構造部材を備えた雨水貯留浸透システムを提供することができる。また、この構成によれば、縦方向の空間によって、上下方向の移動を可能にすると同時に、1つの開口部を有する横部材によって形成された横方向の人が移動可能な大きさの空間(以下「横空間」という)によって水平方向の移動が可能となる。つまり、複数の縦空間を形成されるとともに、その縦空間のいくつかを任意に横空間によって移動可能に接続することができる構造体を形成することが可能となる。従って、こうした構造体を形成することによって、雨水貯留浸透システムの保守・点検などにおける水平方向の移動を必要とする位置などを任意に設定することが可能となる。
本発明に係る実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<本発明に係る雨水貯留浸透システム用構造部材>
本発明に係る雨水貯留浸透システム用構造部材(以下「本構造部材」という)は、複数の棒状の縦部材と板状の横部材を組立てて三次元構造体を形成し、
(1)縦部材が、その外側面に前記横部材との接合部Aを有し、
(2)横部材が、肉厚の周辺部、その両側面に前記縦部材との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部を有するとともに、非開口部において板状の筋交いを形成し、該筋交い同士の接合部および筋交いと周辺部の接合部において補強部材が接合され、
接合部Aと接合部Bとが挿抜可能に嵌合して縦部材と横部材が接合することによって、三次元構造体の内部に空間部を形成することを特徴とするものである。
<本発明に係る雨水貯留浸透システム用構造部材>
本発明に係る雨水貯留浸透システム用構造部材(以下「本構造部材」という)は、複数の棒状の縦部材と板状の横部材を組立てて三次元構造体を形成し、
(1)縦部材が、その外側面に前記横部材との接合部Aを有し、
(2)横部材が、肉厚の周辺部、その両側面に前記縦部材との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部を有するとともに、非開口部において板状の筋交いを形成し、該筋交い同士の接合部および筋交いと周辺部の接合部において補強部材が接合され、
接合部Aと接合部Bとが挿抜可能に嵌合して縦部材と横部材が接合することによって、三次元構造体の内部に空間部を形成することを特徴とするものである。
図1は、本構造部材の構成要素として使用する縦部材1と横部材2とを組み立てて形成された三次元構造体(以下「構造体」という)の単位ブロックの1つの実施態様例を斜視図として示す。4本の所定の長さを有する棒状の縦部材1と、所定の面積を有する板状の横部材2(具体的に図1においては2a〜2dが該当する)が組合せられ、縦空間Vが形成される。
ここで、単位ブロックの大きさについては、縦部材1と横部材2を一辺400mm、あるいは800mm等を定尺Loとして単位ブロックTを形成する場合が多い。このとき、雨水貯留浸透槽の内部全体の保守点検のために、点検孔から槽内への上下移動ができるように、例えば、一辺800mm以上の空間あるいは直径800mm以上の空間を確保できる最小限度の大きさが好ましい。つまり、単位ブロックを大きくすれば、要求される強度を確保するために縦部材1および横部材2の肉厚を大きくする必要があり、各部材の重量が大きくなり操作性・作業性が悪くなる。従って、一辺L=400〜1600mm程度の単位ブロックが好ましい。
〔縦部材1について〕
ここで、縦部材1は、図2(A)〜(C)に例示するように棒状体で形成され、仕様に合った任意の長さを設定することが可能であり、棒状体の断面は同一形状を有することが好ましい。また、複数を垂直に接続する場合には、縦部材1の一端部1aを他端部1bと嵌合しうる構造(図示せず)とし、隣接する縦部材1同士を接合することによって、任意の高さ(深さ)の構造体を形成することができる。あるいは、両端部1a,1bの加工をせずに、図2(B−1)および(B−2)に例示するように、縦部材1に中空部1cに支柱(図示せず)を挿入する方法や、別途接続部材(図示せず)を用いて両端部1a,1bを接合する方法も可能である。また、構造体を形成する場合、単位ブロックごとに1つの縦部材1を用いる方法や複数の単位ブロックを1つの縦部材1で形成する方法、あるいは1つの縦部材1で1つの縦の構造体を形成する方法が可能である。このとき、構造体が求められる強度および輸送面や組立時の作業性に対応して、縦部材1の形状(外径や肉厚あるいは長さ)や本数を設定することが好ましい。
ここで、縦部材1は、図2(A)〜(C)に例示するように棒状体で形成され、仕様に合った任意の長さを設定することが可能であり、棒状体の断面は同一形状を有することが好ましい。また、複数を垂直に接続する場合には、縦部材1の一端部1aを他端部1bと嵌合しうる構造(図示せず)とし、隣接する縦部材1同士を接合することによって、任意の高さ(深さ)の構造体を形成することができる。あるいは、両端部1a,1bの加工をせずに、図2(B−1)および(B−2)に例示するように、縦部材1に中空部1cに支柱(図示せず)を挿入する方法や、別途接続部材(図示せず)を用いて両端部1a,1bを接合する方法も可能である。また、構造体を形成する場合、単位ブロックごとに1つの縦部材1を用いる方法や複数の単位ブロックを1つの縦部材1で形成する方法、あるいは1つの縦部材1で1つの縦の構造体を形成する方法が可能である。このとき、構造体が求められる強度および輸送面や組立時の作業性に対応して、縦部材1の形状(外径や肉厚あるいは長さ)や本数を設定することが好ましい。
縦部材1の材質は、構造体の強度および無害性が確保され、長期の雨水との接触によって変質・腐蝕されない材料であれば、特に制限されないが、接合部Aの加工性あるいは輸送や現場での組立作業の容易性などから軽量で成型が容易な樹脂製素材が好適である。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を使用してもよいし、必要な強度が得られれば、各種の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、樹脂製に代えてステンレス鋼などの金属製パイプとすることもでき、樹脂製パイプ状縦部材の内部にコンクリートを注入したり、あるいは鉄筋コンクリートを挿入したりして補強してもよい。
また、縦部材1は、その外側面1dの長さ方向に複数の溝状あるいは突起状の接合部Aを有している。図2(B)は、4つの溝状の接合部Aを有するタイプを例示するもので、円筒体の外側(外周)面1dに接合部Aを配設したタイプ(B−1)、円筒体の外周面1dに接合部Aを内設したタイプ(B−2)、および角柱体の外側面1dに接合部Aを内設したタイプ(B−3)を示している。また、図2(C)は、4つの突起状の接合部Aを有するタイプを例示するもので、円筒体の外周面1dに接合部Aを配設したタイプ(C−1)、角柱体の外側面1dに接合部Aを配設したタイプ(C−2)を示している。
接合部Aの形状は、接合部Bと挿抜可能に嵌合でき、強度を確保できる形状であれば特に制限されるものではなく、例えば、図2(B)や(C)のような断面形状以外に、図2(D)に例示する(D−1)〜(D−3)のような断面形状などを挙げることができる。
このとき、接合部Aが、図2(B)に示すように、縦部材1の中心軸1xから互いに垂直な4方向のうちの少なくとも2つの方向に設けられることが好ましい。図1のような単位ブロックを上下・縦横に拡張して任意の大きさの構造体を形成することが可能となる。このとき、各単位ブロックが縦部材1を共有しながら接合することによって、強固な構造体を形成することが可能となる。
〔横部材2について〕
横部材2は、図3(A)〜(C)に例示するように、板状体で形成され、両側面2e,2eと辺部2f,2fを周辺部、および両側面2e,2eに設けられた縦部材1との接合部Bを有し、両側面2e,2eは、接合する縦部材1の長さによって規制され、辺部2f,2fは、仕様に合った任意の長さを設定することが可能である。横部材2の材質は、縦部材1と同様、樹脂製素材が好適であるが、上記のように種々の素材を用いた態様が可能である。板状体を形成することによって所望の強度を確保することができるが、さらに剪断変形への対応および部材の軽量化などを課題として以下のような、種々の実施形態を採ることができる。
横部材2は、図3(A)〜(C)に例示するように、板状体で形成され、両側面2e,2eと辺部2f,2fを周辺部、および両側面2e,2eに設けられた縦部材1との接合部Bを有し、両側面2e,2eは、接合する縦部材1の長さによって規制され、辺部2f,2fは、仕様に合った任意の長さを設定することが可能である。横部材2の材質は、縦部材1と同様、樹脂製素材が好適であるが、上記のように種々の素材を用いた態様が可能である。板状体を形成することによって所望の強度を確保することができるが、さらに剪断変形への対応および部材の軽量化などを課題として以下のような、種々の実施形態を採ることができる。
具体的には、図3(A)に示すように、板状体の中央部に4つの開口部21(図3(A)においては21a〜21d)を有するとともに、非開口部(両側面2e,2e、辺部2f,2f、筋交い22,22および補強部材23(図3(A)においては23a〜23e)において板状の筋交い22,22を形成し、筋交い22,22同士の接合部22aおよび筋交い22,22と周辺部の接合部22b〜22eにおいて補強部材23a〜23eが接合される構成例(第1構成例)を挙げることができる。大きな開口部21を形成することによって軽量化を図るとともに、これによる横部材2の強度の低下を防止すべく、筋交い22,22および補強部材23a〜23eを設けたものである。
このとき、補強部材23aによって、横部材2全体にかかる剪断変形の力に対する筋交い22,22同士の接合部22aの補強を図るとともに、これに伴い生じる捻れ力に対しても補強を図ることができる。補強部材23b〜23eは両側面2e,2eと辺部2f,2fの強度を補強的に強化するとともに、その交点に当たる角部2gの変形に対する補強を図ることができる。また、補強部材23a〜23eが、筋交い22,22あるいは両側面2e,2eと辺部2f,2fと一体的に接合する板状体あるいはパイプ状部材であることによって、補強部材23a〜23e自体の強度を確保することができる。特に、補強部材23a〜23eが筋交い22,22あるいは両側面2e,2eと辺部2f,2fと同一素材で一体成型されることによって、その効果は一層高いものとなる。
また、開口部21a〜21dを、両側面2e,2eあるいは辺部2f,2fおよび筋交い22,22を辺とし、補強部材23a〜23eを円弧状の角部とすることによって、図3(A)のように、半円弧状あるいは円弧状に近い開口部を形成することができる。これによって、横部材2にかかる剪断力を開口部21a〜21dにおいて分散することができ、変形しやすい開口部の形状を強固にすることができる。
さらに、図3(A)において二重線で表記するように、横部材2の非開口部の端部を、その他部よりも厚肉状にリブ2rを形成することによって、これらの強度を強化することができる。また、こうした構造は、板状体中央部の厚みを薄くしても所望の強度を確保することができるとともに、さらに横部材2全体の軽量化を図ることが可能となる。
横部材2は、非開口部を合体し、一体成型した上記の構成に限定されるものではなく、開口部21を細分化する等種々の形状を用いることができる。図3(B)は、その一例として、補強部材23a〜23eを板状体あるいはパイプ状部材として非開口部から解除した構成例(第2構成例)を示すもので、開口部の増加によって横部材2全体の軽量化を図ることが可能となる。つまり、図3(A)に示す開口部21a〜21dに加え、両側面2e,2eあるいは辺部2f,2f、筋交い22,22および補強部材23a〜23eを辺とする8つの開口部21e〜21hを形成し、補強部材23a〜23eによる強度の補強と軽量化の両立を図っている。
図3(C)は、図3(B)に示す構成例における補強部材23aに代え、筋交い22,22同士の接合部22aと両側面2e,2eにおいて接合する補強部材23f,23fを設けることによって、横方向からの負荷に対抗できる横部材2を形成する構成例(第3構成例)である。以下、NDEモデルという。同時に開口部21bおよび21dを補強部材23f,23fで分割することによって、これらの補強に役立ち、横部材2全体の強化を図ることが可能となる。このときの筋交い22,22および補強部材23f(23a〜23dも同じ)については、図3(D)に例示するように、その幅はそれぞれ22mmおよび10mm程度(一辺800mmに対して1/30〜1/40および1/80〜1/100程度)、各端部に設けられたリブ2rの幅はそれぞれ4mmおよび2.5mm程度(各幅に対して1/4〜1/6程度)を目安として設定される。
横部材2は、縦部材1と接合するために、その両側面の長さ方向に溝状あるいは突起状の接合部Bを有している。具体的には、横部材2の平面図で例示すると、図3(E)のような突起状の接合部Bを有するタイプと、図3(F)のような溝状の接合部Bを有するタイプがある。前者は図2(B)のような溝状の接合部Aと挿抜可能に嵌合して接合し、後者は図2(C)のような突起状の接合部Aと挿抜可能に嵌合して接合することによって、堅牢で現地での組立が可能な構造体を作製することができる。
接合部Bの形状は、接合部Aと挿抜可能に嵌合できる形状であることから、例えば、図2(D−1)〜(D−3)のような接合部Aの形状に合せて、図3(G−1)〜(G−3)のような断面形状などを挙げることができる。また、接合部Bは、図3(A)のように、両側面2e,2eの一部に複数設けることや、図3(B)や(C)のように、各々1部材として設けることも可能である。
さらに、横部材2において、両側面2e,2eに設けた接合部Bと別に、図4(A)に示すように、辺部2f,2fの少なくとも一つの辺部の側面に溝状あるいは突起状の接合部C,Cを設けることも好ましい。図4(B)に示すように、接合部C,Cに嵌合する中間部材Dを介して、隣接する2つの横部材2,2同士を嵌合状態で接合することができることから、構造体全体の強度をさらに向上させることができる。
〔解析例〕
次に、上記横部材2の構成について、剪断変形に対する抵抗力を解析した。
(1)対象となる横部材
図5の(a)〜(e)の各図番に対応する5つの構成例(a)〜(e)を対象とした。具体的には、従来型である(a)薄壁型(枠体に全面厚さ3mmの薄壁を配設した部材)、(b)O型、本発明に係る(c)X型(補強部材なし)、(d)NDEモデル、(e)新モデルを対象とした。一辺400mmの正方形状の横部材を用いた。
次に、上記横部材2の構成について、剪断変形に対する抵抗力を解析した。
(1)対象となる横部材
図5の(a)〜(e)の各図番に対応する5つの構成例(a)〜(e)を対象とした。具体的には、従来型である(a)薄壁型(枠体に全面厚さ3mmの薄壁を配設した部材)、(b)O型、本発明に係る(c)X型(補強部材なし)、(d)NDEモデル、(e)新モデルを対象とした。一辺400mmの正方形状の横部材を用いた。
(2)解析項目
各構成例に対し、以下の項目について、非線形解析ソフトを用いて解析した。
(2−1)横部材特性:下表1のように、実際に使用する横部材に近い特性を適用した。
(2−2)反発力(N):剪断変形に対する抵抗力を評価することができる。反発力は、高い方が剪断変形に対する反発力があり、好ましいと評価することができる。
(2−3)最大応力(MPa):特定の部位に応力が集中することより部材が破損しやすいと考えられるので、小さい方が荷重分散が上手くできていると評価することができる。
(2−4)最大ひずみ(−):上記(2−3)応力と同様、ひずみが集中することより部材が破損しやすいと考えられるので、小さい方が荷重分散が上手くできていると評価することができる。
(2−5)反発力/重量(N/g):単位重量あたりの値を求めることによって、部材の形状や大きさに限定されずに評価することができる。
(2−6)変位(mm):負荷を与えたときの変位量を示す。上端部に大きな変位を生じるとともに、分布状態によって各横部材における部分的な変位の偏在の有無を評価することができる。
各構成例に対し、以下の項目について、非線形解析ソフトを用いて解析した。
(2−1)横部材特性:下表1のように、実際に使用する横部材に近い特性を適用した。
(2−3)最大応力(MPa):特定の部位に応力が集中することより部材が破損しやすいと考えられるので、小さい方が荷重分散が上手くできていると評価することができる。
(2−4)最大ひずみ(−):上記(2−3)応力と同様、ひずみが集中することより部材が破損しやすいと考えられるので、小さい方が荷重分散が上手くできていると評価することができる。
(2−5)反発力/重量(N/g):単位重量あたりの値を求めることによって、部材の形状や大きさに限定されずに評価することができる。
(2−6)変位(mm):負荷を与えたときの変位量を示す。上端部に大きな変位を生じるとともに、分布状態によって各横部材における部分的な変位の偏在の有無を評価することができる。
(3)解析結果
(3−1)解析の結果として、各部の応力、ひずみおよび変位を図5に示す。(a)薄壁型では、上下部および中央部に大きな応力およびひずみが掛かっているが、変位の偏在はない。(b)O型では、内周および外周に応力およびひずみが掛かるとともに、大きな変位を示す上部領域および小さな変位を示す下部領域の面積が、他の構成例に比較して大きい。(c)X型および(d)NDEモデルでは、角部および交差部に大きな応力およびひずみが掛かり、特に(d)NDEモデルでの交差部におけるひずみが大きい。(e)新モデルでは、応力およびひずみが、角部および交差部に掛かるとともに筋交いに分散している。
(3−2)また、数値化した解析結果を下表2に示す。応力およびひずみは、30mm変形時に最大となり、そのときの最大値によって評価した。最大応力について、(b)O型および(e)新モデルについて荷重分散が良好であるとの結果が得られた。最大ひずみについても、(b)O型および(e)新モデルについて、荷重分散が良好であるとの結果が得られた。なお、(b)O型は、変形追随性には優れているが、反発力が弱く、捻れが生じることによって、辺部や側部の部材がはずれるおそれがあった。こうした従来品に比較して、(c)X型、(d)NDEモデルおよび(e)新モデルでは、補強部材をセットすることにより2倍以上の反発力(剪断剛性)が得られた。また、本発明に係る部材(c)〜(e)についても、(d)NDEモデルに比較して、(e)新モデルの方が約1.4倍の反発力(剪断剛性)が得られた。
(3−1)解析の結果として、各部の応力、ひずみおよび変位を図5に示す。(a)薄壁型では、上下部および中央部に大きな応力およびひずみが掛かっているが、変位の偏在はない。(b)O型では、内周および外周に応力およびひずみが掛かるとともに、大きな変位を示す上部領域および小さな変位を示す下部領域の面積が、他の構成例に比較して大きい。(c)X型および(d)NDEモデルでは、角部および交差部に大きな応力およびひずみが掛かり、特に(d)NDEモデルでの交差部におけるひずみが大きい。(e)新モデルでは、応力およびひずみが、角部および交差部に掛かるとともに筋交いに分散している。
(3−2)また、数値化した解析結果を下表2に示す。応力およびひずみは、30mm変形時に最大となり、そのときの最大値によって評価した。最大応力について、(b)O型および(e)新モデルについて荷重分散が良好であるとの結果が得られた。最大ひずみについても、(b)O型および(e)新モデルについて、荷重分散が良好であるとの結果が得られた。なお、(b)O型は、変形追随性には優れているが、反発力が弱く、捻れが生じることによって、辺部や側部の部材がはずれるおそれがあった。こうした従来品に比較して、(c)X型、(d)NDEモデルおよび(e)新モデルでは、補強部材をセットすることにより2倍以上の反発力(剪断剛性)が得られた。また、本発明に係る部材(c)〜(e)についても、(d)NDEモデルに比較して、(e)新モデルの方が約1.4倍の反発力(剪断剛性)が得られた。
〔構造体について〕
上記においては、主としてブロック単位に形成される構造体について述べたが、水貯留浸透システムを形成する構造体は、この単位ブロックを縦方向、横方向および高さ方向に接合して構成される。具体的には、図6(A)の平面図および正面図に例示するように、縦部材1を共有しながら4つの方向に横部材2を嵌合させながら繰り返し接合することによって、桝目状の単位ブロックを上下・縦横に拡張して任意の大きさの構造体を形成することが可能となる。また、図6(A)および上記構造部材においては、縦空間を形成する構成のみについて述べたが、縦部材1の接合部分において、縦部材1と横部材2それぞれに垂直な板状体を挿入し、縦空間を遮断する構造あるいは通過不可能な構造を形成することが可能である。特に構造体に対する横方向および斜め方向からの力に対する強度を挙げることができる。
上記においては、主としてブロック単位に形成される構造体について述べたが、水貯留浸透システムを形成する構造体は、この単位ブロックを縦方向、横方向および高さ方向に接合して構成される。具体的には、図6(A)の平面図および正面図に例示するように、縦部材1を共有しながら4つの方向に横部材2を嵌合させながら繰り返し接合することによって、桝目状の単位ブロックを上下・縦横に拡張して任意の大きさの構造体を形成することが可能となる。また、図6(A)および上記構造部材においては、縦空間を形成する構成のみについて述べたが、縦部材1の接合部分において、縦部材1と横部材2それぞれに垂直な板状体を挿入し、縦空間を遮断する構造あるいは通過不可能な構造を形成することが可能である。特に構造体に対する横方向および斜め方向からの力に対する強度を挙げることができる。
このとき、構造体を構成する横部材のいくつかを板状の中央部に1つの開口部を有する横部材に代えることによって、開口部によって横方向に貫通する空間を形成することが可能である。つまり、横部材2の一部として、上記図6(B)のようなO型の開口部2jを有する横部材2’を用いた場合には、開口部2jを介して液の流通および人の移動が可能な壁部を形成することができる。具体的には、図6(B)の正面図に例示するように、下2段に開口部2jを有する横部材2’を配設することによって、縦方向の空間によって、上下方向の移動を可能にすると同時に、1つの開口部を有する横部材によって形成された横方向の人が移動可能な大きさの空間(以下「横空間」という)によって水平方向の移動が可能となる。つまり、複数の縦空間を形成されるとともに、その縦空間のいくつかを任意に横空間によって移動可能に接続することができる構造体を形成することが可能となる。従って、こうした構造体を形成することによって、雨水貯留浸透システムの保守・点検などにおける水平方向の移動を必要とする位置などを任意に設定することが可能となる。
また、上記図6(A)および(B)は、単位ブロックを1つの横部材2あるいは横部材2’を用いた場合について例示したが、図6(C)のように、単位ブロックを2つ以上の横部材2”を用いて構成することも可能であり、また、横部材2あるいは横部材2’と横部材2”の組み合わせを用いることも可能である。なお、構造体の大きさについては、<本発明に係る雨水貯留浸透システム>において後述する。
こうした縦部材1と横部材2が互いに線上おいて嵌合状態で接合することによって形成される構造体は、単位ブロックごとに堅固な構造体を形成することから、施工時に作業者が組み立てる過程において、より安定した作業ができるとともに、雨水貯留浸透システムに用いる構造体全体として非常に堅固な構造体を構成することができる。
〔実験例〕
次に、上記構造体について、図7(A)に例示するような剪断変形に対する抵抗力の実験を行った。
(1)対象となる構造体
従来の筋交い等を有しない横部材を配設した構造体と、図7(B)〜(D)に例示するように、本発明に係る筋交いを有した横部材を配設した構造体を対象とした。図7(B)のような全横部材に筋交いを有する構造体(全補強)、図7(C)のような上下を除く全周の横部材に筋交いを有する構造体(全周補強)、および図7(D)のような正面の横部材に筋交いを有し、側面の横部材に千鳥状に筋交いを有する構造体(千鳥補強)とした。
次に、上記構造体について、図7(A)に例示するような剪断変形に対する抵抗力の実験を行った。
(1)対象となる構造体
従来の筋交い等を有しない横部材を配設した構造体と、図7(B)〜(D)に例示するように、本発明に係る筋交いを有した横部材を配設した構造体を対象とした。図7(B)のような全横部材に筋交いを有する構造体(全補強)、図7(C)のような上下を除く全周の横部材に筋交いを有する構造体(全周補強)、および図7(D)のような正面の横部材に筋交いを有し、側面の横部材に千鳥状に筋交いを有する構造体(千鳥補強)とした。
(2)実験方法
各構造体について、引張荷重に対する変位を計測し剪断変形に対する抵抗力を求める実験を行った。具体的には、図8に例示するような実験装置を用いて、上記の対象となる構造体10について、約50cmの土被りに相当する荷重を載せ、構造体10の最上部10aを引張り、荷重と変位を計測し、剪断強度特性を確認する。実験ヤードに設置された構造体10に錘81(例えば、塩化カルシウムを充填させたコンテナバック)を載せる。引張治具82にワイヤ83、ロードセル84および変位計85をセットし、引張装置86を介してフォークリフト87によって引張りながら、ロードセル84によって計測された引張荷重(剪断力)および変位計85によって計測された変位量から各構造体10の剪断変形に対する抵抗特性を把握するとともに、構造体10が変形する状態を確認する。
各構造体について、引張荷重に対する変位を計測し剪断変形に対する抵抗力を求める実験を行った。具体的には、図8に例示するような実験装置を用いて、上記の対象となる構造体10について、約50cmの土被りに相当する荷重を載せ、構造体10の最上部10aを引張り、荷重と変位を計測し、剪断強度特性を確認する。実験ヤードに設置された構造体10に錘81(例えば、塩化カルシウムを充填させたコンテナバック)を載せる。引張治具82にワイヤ83、ロードセル84および変位計85をセットし、引張装置86を介してフォークリフト87によって引張りながら、ロードセル84によって計測された引張荷重(剪断力)および変位計85によって計測された変位量から各構造体10の剪断変形に対する抵抗特性を把握するとともに、構造体10が変形する状態を確認する。
(3)実験結果
実験の結果、図9の各数値を得ることができた。また、これを変位量10mm単位での引張荷重を、補強なしの構造体を基準として評価した結果を下表3に示す。補強なしの構造体に比較して、全補強、外周補強および千鳥補強の構造体が、剪断変形に対する優れた抵抗特性を有することが判る。特に、通常の使用条件に近い、変位量が少ないときに優れた特性を得ることができることから、後述する雨水貯留浸透システムにおいて、実用性の高い構造体を形成することが可能となる。また、全補強とせずに千鳥補強によっても、同等に近い抵抗特性を有することが判った。
実験の結果、図9の各数値を得ることができた。また、これを変位量10mm単位での引張荷重を、補強なしの構造体を基準として評価した結果を下表3に示す。補強なしの構造体に比較して、全補強、外周補強および千鳥補強の構造体が、剪断変形に対する優れた抵抗特性を有することが判る。特に、通常の使用条件に近い、変位量が少ないときに優れた特性を得ることができることから、後述する雨水貯留浸透システムにおいて、実用性の高い構造体を形成することが可能となる。また、全補強とせずに千鳥補強によっても、同等に近い抵抗特性を有することが判った。
<本発明に係る雨水貯留浸透システム>
本発明に係る雨水貯留浸透システム(以下「本システム」という)は、上記いずれかの構造部材を用い、複数の縦空間を形成可能にすることを特徴とする。
本発明に係る雨水貯留浸透システム(以下「本システム」という)は、上記いずれかの構造部材を用い、複数の縦空間を形成可能にすることを特徴とする。
図10は、本システムの1つの実施形態を例示するもので、以下、本構造部材を用いて本システムを組み立てた場合について説明する。
本システムを形成するに当たり、まず地面に1〜5m程度の地面凹部(以下、ピットということがある)を掘削・形成するとともに、ピット周囲に側溝11を形成し、ピットの底面に砕石、砂などを敷設・施工し平準化して基礎12を形成する。その表面に遮水材である遮水シート13を敷設した後、樹脂製の縦部材1と横部材2とから、図1に示す単位ブロックを形成しつつ、更に継ぎ足し拡張して、ピットの内容積に応じた構造体10を配置する。ピットの内容積が大きい場合にはピット内で構造体10を組み立ててもよいし、構造体10をピット外で組み立てた後、ピット内に配置するようにしてもよい。このようにして組み立てた構造体10は、樹脂製あるいは金属製などのベルトで締結・固定されることが好ましい。
ついで、ピット内に配置された構造体10の側面部14,14は、必要に応じて埋め戻しを行うとともに、側溝11よりピット内に雨水を流し込み可能に連通する配管15を敷設し、さらに、上面に遮水シート13を被覆し、その上から0.5〜2m程度の土砂を被覆して覆土16とする。これら、上面の遮水シート13、覆土16などは、被覆層を形成する。また、これら被覆層16の複数箇所には、点検孔が設けられていてもよい。なお、構造体10に遮水シート13を被覆する代わりに、透水性シートを被覆して雨水を浸透させるようにしてもよい。側溝11は、その底部に泥溜17が形成されるように、底部が幾分深くなっている。
ここで、構造体10の大きさについては、要求仕様によって任意に設定されるが、(1)必要とされる雨水貯留浸透槽の内部容積を確保すること、および(2)その保守点検が可能な空間および開口を確保できること、に加え、(3)積載される単位ブロックの自重および覆土16による圧縮に耐えうる強度を確保できること、が求められることから、例えば図10における長さおよび奥行きを、数m〜数10m程度とし、高さをその1/5〜2倍程度とすることが好ましい。
また、構造体10は、少なくとも108kN/m2以上の圧縮強度を有することが好ましい。このようにすれば、最上部に覆土2m程度(負荷:約36kN/m2)を施工したとしても、土圧の3倍以上となる十分な強度を有する。具体的には、長さ約80cmの縦部材1と長さ約80cmの横部材2を組み合わせる場合には、縦部材1は、1.56本/m2となり、少なくとも圧縮強度約69.2kN/本を有する縦部材1を用いることが好ましい。ただし、縦部材1と嵌合状態で接合する横部材2の補強機能によって、その1/2以下であっても十分な強度を確保することができる。
このようにすることにより、一旦雨水を貯留して、庭園などへの散水、洗浄水、非常用水など各種用途に利用したり、大量の雨水を徐々に放流できるような調整機能を備えさせたりすることができる。しかも、コンクリートで構成する場合に比べて、養生期間などが不要であることから、雨水貯留構造物の構築速度を格段に早くすることができる。
本発明に係る雨水貯留構造物は、雨水を貯留して利用するタンクとしての用途に止まらず、ビオトープ等として利用することもできる。
1 縦部材
1a,1b, 両端部
1c 中空部
1d 外周面
2,2’,2a〜2d 横部材
2e 側面
2f 辺部
2r リブ
21,21a〜21h,2j 開口部
22 筋交い
22a〜22e 接合部
23,23a〜23e 補強部材
10 三次元構造体(構造体)
A,B,C 接合部
D 中間部材
V 縦空間
1a,1b, 両端部
1c 中空部
1d 外周面
2,2’,2a〜2d 横部材
2e 側面
2f 辺部
2r リブ
21,21a〜21h,2j 開口部
22 筋交い
22a〜22e 接合部
23,23a〜23e 補強部材
10 三次元構造体(構造体)
A,B,C 接合部
D 中間部材
V 縦空間
Claims (5)
- 複数の棒状の縦部材と板状の横部材を組立てて三次元構造体を形成する雨水貯留浸透システム用構造部材において、
(1)前記縦部材が、その外側面に前記横部材との接合部Aを有し、
(2)前記横部材が、両側面および辺部からなる周辺部、その両側面に前記縦部材との接合部B、および板状の中央部に複数の開口部を有するとともに、非開口部において板状の筋交いを形成し、該筋交い同士の接合部および筋交いと前記周辺部の接合部において補強部材が接合され、
前記接合部Aと前記接合部Bとが挿抜可能に嵌合して前記縦部材と前記横部材が接合することによって、前記三次元構造体の内部に空間部を形成することを特徴とする雨水貯留浸透システム用構造部材。 - 前記補強部材が、前記筋交いあるいは周辺部と一体的に接合する板状体あるいはパイプ状部材であることを特徴とする請求項1記載の雨水貯留浸透システム用構造部材。
- 前記開口部が、前記周辺部および筋交いを辺とし、前記補強部材を円弧状の角部とすることを特徴とする請求項1または2記載の雨水貯留浸透システム用構造部材。
- 前記横部材の接合部Bが設けられていない側面の少なくとも一つに溝状あるいは突起状の接合部Cを有し、前記三次元構造体を形成するときに、前記接合部Cに嵌合する中間部材を介して、隣接する横部材同士の接合を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の雨水貯留浸透システム用構造部材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の構造部材を用い、複数の横部材によって囲まれた縦方向の空間を形成可能にするとともに、前記横部材のいくつかを板状の中央部に1つの開口部を有する横部材に代えることによって、前記開口部によって横方向に貫通する空間を形成可能にすることを特徴とする雨水貯留浸透システム。
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EP3908708A4 (en) * | 2019-01-07 | 2022-10-26 | Infra-SGA, Inc. | BIORETENTION SYSTEM AND CONSTRUCTION METHOD THEREOF |
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