JP2009138102A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】界面法ポリカーボネート樹脂の連続的製造方法であって、簡便な方法により、損失見合量の反応溶媒を供給し得るように改良された方法を提供する。
【解決手段】連続的に供給されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と塩化カルボニルとを反応溶媒の存在下に界面重縮合させる反応工程と、当該反応工程に接続され且つ反応溶媒を伴う物質流を扱う複数の反応溶媒同伴工程とを包含する、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、上記の反応工程および複数の反応溶媒同伴工程から反応溶媒を回収して反応工程に循環すると共に、各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒の全量についてのポリカーボネート樹脂の製造運転の初期からの減少量を算出し、当該反応溶媒の減少量を工程内に供給する。
【選択図】なし
【解決手段】連続的に供給されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と塩化カルボニルとを反応溶媒の存在下に界面重縮合させる反応工程と、当該反応工程に接続され且つ反応溶媒を伴う物質流を扱う複数の反応溶媒同伴工程とを包含する、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、上記の反応工程および複数の反応溶媒同伴工程から反応溶媒を回収して反応工程に循環すると共に、各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒の全量についてのポリカーボネート樹脂の製造運転の初期からの減少量を算出し、当該反応溶媒の減少量を工程内に供給する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関し、詳しくは、界面法によるポリカーボネート樹脂の連続的製造方法に関する。
従来より、界面法によるポリカーボネート樹脂の連続的製造方法として数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜6)。
界面法の反応は塩化メチレン等の反応溶媒の存在下に行われ、反応溶媒は反応工程に続く各工程において回収されて反応工程に循環される。しかしながら、各工程における反応溶媒の回収率は必ずしも完全ではなく、長期間の連続運転においては損失見合量の反応溶媒を供給する必要がある。
しかしながら、従来のポリカーボネート樹脂の製造方法に関する先行技術においては、反応溶媒の供給方法については提案されていない。反応溶媒の供給方法として、反応溶媒の減少に伴う、反応系内の変化、例えば、触媒成分や反応成分の濃度変化、反応物の粘度変化などを利用することも考えられなくはないが、斯かる方法は、物性の測定を伴うために必ずしも簡便ではなく、反応系内が経時に変化する重合反応系には適用困難である。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、界面法ポリカーボネート樹脂の連続的製造方法であって、簡便な方法により、損失見合量の反応溶媒を供給し得るように改良された方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、次のような意外な知見を得た。すなわち、反応系の反応溶媒の損失は長期間の連続運転中に徐々に起こるため、反応溶媒の全回収量の経時変化を記録してポリカーボネート樹脂の製造運転の初期における全回収量と比較し、その減少量を損失量として工程内に供給する方法により、工業的には十分な精度で損失見合量の反応溶媒を供給し得るとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、連続的に供給されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と塩化カルボニルとを反応溶媒の存在下に界面重縮合させる反応工程と、当該反応工程に接続され且つ反応溶媒を伴う物質流を扱う複数の反応溶媒同伴工程とを包含する、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、上記の反応工程および複数の反応溶媒同伴工程から反応溶媒を回収して反応工程に循環すると共に、回収された反応溶媒の全量についてのポリカーボネート樹脂の製造運転の初期からの減少量を算出し、当該反応溶媒の減少量を工程内に供給することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法に存する。
本発明によれば、簡便な方法により損失見合量の反応溶媒を供給し得るため、品質の安定したポリカーボネート樹脂を長期間に亘り工業的有利に製造することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。界面法によるポリカーボネート樹脂の連続的製造方法それ自体は周知の技術であり、本発明においては、基本的に従来公知の方法を採用することが出来る。
ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノ−ル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」、以下、BPAと略記することがある。)等の芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましい。
また、前述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部は、実質的にその特性を損なわない範囲で、他の脂肪族ジヒドロキシ化合物で置き換えてもよい。そのような脂肪族ジヒドロキシ化合物としては二価アルコールが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等を挙げることが出来る。
ジヒドロキシ化合物は、水およびアルカリ又はアルカリ土類金属化合物と共に水相を形成する。そのようなアルカリ又はアルカリ土類金属化合物としては、通常、水酸化物が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、これらの中では水酸化ナトリウムが好ましい。この場合、ジヒドロキシ化合物に対するアルカリ又はアルカリ土類金属化合物の割合は、通常1.0〜1.5(等量比)、好ましくは1.02〜1.04である。アルカリ又はアルカリ土類金属化合物の割合が多くても少なくても得られるオリゴマー末端基に影響し、その結果、重縮合反応が異常となる場合がある。また、水相には、ハイドロサルファイト等の還元剤を少量添加してもよい。
反応溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン等が挙げられるが、これらの中では塩化メチレンが好適である。塩化メチレンには、光や酸素により酸化分解を抑制する観点から、各種の安定剤が微量添加されている。安定剤としては、前述の先行技術で使用される安定剤を使用することが出来る。市販の塩化メチレンには、安定剤として、アルコール、アミン、オレフィン等が添加されている。本発明において、好ましい安定剤はオレフィンである。オレフィンの中では2−メチル−2−ブテン等のアミレン(ペンテン)(C5H10)が好ましく、通常アミレン混合物(ペンテン混合物)が使用される。代表的なアミレン混合物は、2−メチル−2−ブテンを主体とし、2−メチル−1−ブテンと3−メチル−1−ブテンとを夫々10重量%以下の割合で含有する。塩化メチレン中の安定剤の濃度は、塩化メチレンの酸化分解の抑制および得られたポリカーボネート樹脂の色調の観点から、1〜20重量ppm、好ましくは2〜15重量ppmである。塩化メチレン中の安定剤の濃度が20重量ppmを超える場合は得られたポリカーボネート樹脂の色調が悪化する傾向にある。
反応溶媒の使用量は具体的には次の通りである。すなわち、後述するオリゴマー化工程では反応溶媒中にオリゴマーが可溶な範囲であればよく、具体的にはオリゴマー濃度が10〜40重量%程度となる量である。そして、好ましい実施態様においては、このオリゴマーの溶存する反応溶媒相を水相から分離し、必要に応じ、反応溶媒を追加し、後述する重縮合工程では、得られる反応溶媒中のポリカーボネートの濃度が5〜30重量%となるようにする。
また、本発明においては、任意の分岐剤もポリカーボネートの原料とすることが出来る。使用される分岐剤は、3個またはそれ以上の官能基を有する種々の化合物から選ぶことが出来る。適当な分岐剤としては、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物が挙げられ、例えば、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン及び1,4−ビス(4,4′−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼンが挙げられる。また、3個の官能基を有する化合物である、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌルも使用し得る。中でも、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシル基を持つものが好適である。分岐剤の使用量は、目的とする分岐度によっても異なるが、通常、ジヒドロキシ化合物に対し、0.05〜2モル%の量で使用される。
本発明において、連鎖停止剤として使用されるモノフェノール類には種々のフェノール類、例えば、通常のフェノールの他、p−t−ブチルフェノール及びp−クレゾールのような炭素数1〜20のアルキルフェノール、p−クロロフェノール及び2,4,6−トリブロモフェノールのようなハロゲン化フェノールが含まれる。モノフェノール類の使用量は、目的とする重縮合体の分子量によっても異なるが、通常、ジヒドロキシ化合物に対して、0.5〜10モル%(0.005〜0.1倍)の量で使用される。
本発明は、連続的に供給されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と塩化カルボニルとを反応溶媒の存在下に界面重縮合させる反応工程と、当該反応工程に接続され且つ反応溶媒を伴う物質流を扱う複数の反応溶媒同伴工程とを包含する。そして、上記の反応工程および複数の反応溶媒同伴工程から反応溶媒を回収して反応工程に循環する。
上記の反応工程は、具体的には、塩化カルボニル化反応工程、オリゴマー化工程、重縮合工程とから成る。反応工程に接続され且つ反応溶媒を伴う物質流を扱う複数の反応溶媒同伴工程としては、一般的には、反応工程の後に順次に配置されたポリカーボネート樹脂の洗浄工程、単離工程および乾燥工程が挙げられる。そして、これらの各工程間は配管によって接続され、反応溶媒を伴う物質流は移動の配管を通して行われるため、大気中に溶媒が蒸発して損失することは殆どない。
(塩化カルボニル化反応工程)
塩化カルボニルはガス状または液状でジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と反応溶媒との混合溶液中に添加される。塩化カルボニルの添加量は、ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常1.3〜2モルの範囲、好ましくは1.6〜1.9モルの範囲である。塩化カルボニルの添加量1.3モル未満の場合は、未反応モノマーが多く残り、反応率が低下し、2モルを超える場合は、塩化カルボニルが過剰であり、これを中和するためのアルカリが余分に必要となり好ましくない。塩化カルボニル化の反応温度は、通常10〜25℃、好ましくは18〜22℃である。反応温度が10℃未満の場合は、反応速度が遅くなり、反応率や得られるポリカーボネート樹脂の純度が低下し、25℃を超える場合は、ポリカーボネートオリゴマーの分解反応が起こり易く、得られるポリカーボネート樹脂の純度が低下する可能性がある。また、塩化カルボニル化の反応時間は通常20分〜100分程度である。水溶液のpHは9以上に保持することが好ましい。
塩化カルボニルはガス状または液状でジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と反応溶媒との混合溶液中に添加される。塩化カルボニルの添加量は、ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常1.3〜2モルの範囲、好ましくは1.6〜1.9モルの範囲である。塩化カルボニルの添加量1.3モル未満の場合は、未反応モノマーが多く残り、反応率が低下し、2モルを超える場合は、塩化カルボニルが過剰であり、これを中和するためのアルカリが余分に必要となり好ましくない。塩化カルボニル化の反応温度は、通常10〜25℃、好ましくは18〜22℃である。反応温度が10℃未満の場合は、反応速度が遅くなり、反応率や得られるポリカーボネート樹脂の純度が低下し、25℃を超える場合は、ポリカーボネートオリゴマーの分解反応が起こり易く、得られるポリカーボネート樹脂の純度が低下する可能性がある。また、塩化カルボニル化の反応時間は通常20分〜100分程度である。水溶液のpHは9以上に保持することが好ましい。
(オリゴマー化工程)
本発明においては二相界面重縮合法を採用した場合、塩化カルボニルとの接触に先立って有機相と水相とを接触させ、乳濁液を形成させるのが特に好ましい。乳濁液を形成させるためには、通常の撹拌翼を有する撹拌機の他、ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波乳化機などの動的ミキサーや、静的ミキサー等の混合機を使用するのが好ましい。乳濁液は、通常0.01〜10μmの液滴径を有し、乳化安定性を有する。
本発明においては二相界面重縮合法を採用した場合、塩化カルボニルとの接触に先立って有機相と水相とを接触させ、乳濁液を形成させるのが特に好ましい。乳濁液を形成させるためには、通常の撹拌翼を有する撹拌機の他、ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波乳化機などの動的ミキサーや、静的ミキサー等の混合機を使用するのが好ましい。乳濁液は、通常0.01〜10μmの液滴径を有し、乳化安定性を有する。
オリゴマー化においては重縮合触媒の存在下で行うことが出来る。添加は、塩化カルボニルを消費した後に行う方がよく、重縮合触媒としては、二相界面重縮合法に使用されている多くの縮重合触媒の中から、任意に選択することが出来る。中でも、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン及びN−イソプロピルモルホリンが適しており、特にトリエチルアミン及びN−エチルピペリジンが特に適している。
オリゴマー化工程の反応温度は、通常80℃以下、好ましくは60℃以下、更に好ましくは10℃〜50℃の範囲である。また、反応時間は、反応温度によっても左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。反応温度が高すぎる場合は、副反応の制御が出来ず、塩化カルボニル原単位が悪化する可能性がある。一方、反応温度が低すぎる場合は、反応制御上は好ましい状況ではあるが、冷却に要する負荷が増大して、その分コストアップとなり好ましくない。有機相中のオリゴマー濃度は、得られるオリゴマーが可溶な範囲であればよく、具体的には、10〜40重量%程度である。有機相の割合はジヒドロキシ化合物のアルカリ又はアルカリ土類金属塩水溶液、即ち、水相に対して0.2〜1.0の容積比であることが好ましい。
(重縮合工程)
カーボネートオリゴマーから、常法に従い、界面重縮合を実施する。本発明の好ましい実施態様においては、オリゴマーの溶存する有機相を水相から分離し、必要に応じて前述の反応溶媒を追加し、当該オリゴマーの濃度を調節する。すなわち、重縮合によって得られる反応溶媒相中のポリカーボネートの濃度が5〜30重量%となるように反応溶媒の量が調節される。その後、新たに水およびアルカリ金属水酸化物を含む水相を加え、更に、重縮合条件を整えるために好ましくは重縮合触媒を添加し、界面重縮合法に従って所期の重縮合を完結させる。重縮合時の有機相と水相の割合は容積比で有機相:水相=1:0.2〜1程度が好ましい。
カーボネートオリゴマーから、常法に従い、界面重縮合を実施する。本発明の好ましい実施態様においては、オリゴマーの溶存する有機相を水相から分離し、必要に応じて前述の反応溶媒を追加し、当該オリゴマーの濃度を調節する。すなわち、重縮合によって得られる反応溶媒相中のポリカーボネートの濃度が5〜30重量%となるように反応溶媒の量が調節される。その後、新たに水およびアルカリ金属水酸化物を含む水相を加え、更に、重縮合条件を整えるために好ましくは重縮合触媒を添加し、界面重縮合法に従って所期の重縮合を完結させる。重縮合時の有機相と水相の割合は容積比で有機相:水相=1:0.2〜1程度が好ましい。
重縮合時に添加するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられるが、工業的には水酸化ナトリウムを使用するのがよい。アルカリ化合物の使用量は、重縮合反応中、常にアルカリ性が保たれる量以上であればよく、反応終了後における水相のアルカリ化合物濃度が通常0.05N以上、好ましくは0.05N〜0.30N程度となるようにするのがよい。重縮合反応の温度は、常温付近で十分であり、反応時間は0.5〜5時間で十分である。
(洗浄工程)
重縮合完結後は、残存するクロロフォルメート基(CF基)が0.1μeq/g以下になるまで、水酸化ナトリウムのようなアルカリで洗浄処理する。その後、常法によって酸洗浄および水洗浄を行うことにより不純物を除去した後、反応溶媒を除去することによって粒状体のポリカーボネートを分離する。
重縮合完結後は、残存するクロロフォルメート基(CF基)が0.1μeq/g以下になるまで、水酸化ナトリウムのようなアルカリで洗浄処理する。その後、常法によって酸洗浄および水洗浄を行うことにより不純物を除去した後、反応溶媒を除去することによって粒状体のポリカーボネートを分離する。
(樹脂単離工程)
ポリカーボネート樹脂の反応溶液から固体のポリカーボネート樹脂を得る方法としては、当該溶液から反応溶媒をニーダー等で蒸発させる方法(ニーダー法)、反応溶媒と非溶媒とを混合してポリカーボネート樹脂を沈殿させる方法、ポリカーボネート樹脂の反応溶液を攪拌翼を有する造粒槽に供給し水中懸濁状態を保ちながら加熱して反応溶媒を蒸発させポリカーボネート樹脂粒状体を得る方法(造粒法)がある。乾燥性、溶融押出によるペレット化などの加工性の点から造粒法が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の反応溶液から固体のポリカーボネート樹脂を得る方法としては、当該溶液から反応溶媒をニーダー等で蒸発させる方法(ニーダー法)、反応溶媒と非溶媒とを混合してポリカーボネート樹脂を沈殿させる方法、ポリカーボネート樹脂の反応溶液を攪拌翼を有する造粒槽に供給し水中懸濁状態を保ちながら加熱して反応溶媒を蒸発させポリカーボネート樹脂粒状体を得る方法(造粒法)がある。乾燥性、溶融押出によるペレット化などの加工性の点から造粒法が好ましい。
(乾燥工程)
乾燥機としては、伝導加熱方式でも熱風加熱方式でもよい。また、静置乾燥でも攪拌乾燥でもよい。更に、コンベアー等を利用した移送乾燥でもよい。特に、伝導加熱方式でポリカーボネート樹脂粒状体が攪拌される溝形または円筒乾燥機が好ましく、溝形乾燥機が特に好ましい。乾燥温度は通常130℃〜150℃である。
乾燥機としては、伝導加熱方式でも熱風加熱方式でもよい。また、静置乾燥でも攪拌乾燥でもよい。更に、コンベアー等を利用した移送乾燥でもよい。特に、伝導加熱方式でポリカーボネート樹脂粒状体が攪拌される溝形または円筒乾燥機が好ましく、溝形乾燥機が特に好ましい。乾燥温度は通常130℃〜150℃である。
(反応溶媒の回収)
前記の反応工程からの反応溶媒の回収は次のように行うことが出来る。すなわち、オリゴマー化槽と重縮合槽には、槽内の圧力を一定に保つ観点から、槽内で発生する溶媒の蒸気を排出するためにベント配管(排気配管)が設けられている。ベント配管から排出される反応溶媒は、冷却して凝縮した後、反応溶媒同伴工程からの反応溶媒と共に回収される。
前記の反応工程からの反応溶媒の回収は次のように行うことが出来る。すなわち、オリゴマー化槽と重縮合槽には、槽内の圧力を一定に保つ観点から、槽内で発生する溶媒の蒸気を排出するためにベント配管(排気配管)が設けられている。ベント配管から排出される反応溶媒は、冷却して凝縮した後、反応溶媒同伴工程からの反応溶媒と共に回収される。
前記の反応溶媒同伴工程からの反応溶媒の回収は次のように行うことが出来る。すなわち、洗浄工程においては、加熱装置や単蒸留装置などにより洗浄排水から反応溶媒を回収する。樹脂単離工程においては、採用する樹脂単離方法に従って適当な反応溶媒回収手段を採用することが出来る。例えば、上記の造粒法の場合は、上記と同様の手段を採用し、造粒槽から抜き出された反応溶媒と水の混合物から反応溶媒を回収する。この場合、造粒槽の上部に接続された溶媒蒸気排出管から抜き出す留出物の蒸気も冷却して回収し、上記の混合物と一緒に処理する。また、乾燥工程においては、ブロアーで乾燥排ガスを集めた後に冷却して凝縮させる方法が採用される。
(反応溶媒の循環)
前記の反応工程および各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒は、前述の反応工程、通常は塩化カルボニル化反応工程に循環される。反応による反応溶媒の消費はないと考えられるため、反応工程および各反応溶媒同伴工程における反応溶媒回収率が100%であれば、工程内に反応溶媒を供給する必要はない。しかしながら、前述の通り、工業的規模での実施においては完全に反応溶媒を回収することは出来ない。そのため、長期間の連続運転中に反応溶媒が徐々に損失する。
前記の反応工程および各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒は、前述の反応工程、通常は塩化カルボニル化反応工程に循環される。反応による反応溶媒の消費はないと考えられるため、反応工程および各反応溶媒同伴工程における反応溶媒回収率が100%であれば、工程内に反応溶媒を供給する必要はない。しかしながら、前述の通り、工業的規模での実施においては完全に反応溶媒を回収することは出来ない。そのため、長期間の連続運転中に反応溶媒が徐々に損失する。
そこで、本発明においては、反応工程および各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒の全量についてのポリカーボネート樹脂の製造運転の初期からの減少量を算出し、当該反応溶媒の減少量を工程内に供給する。すなわち、反応溶媒の全回収量の経時変化を記録してポリカーボネート樹脂の製造運転の初期における全回収量と比較し、その減少量を損失量として工程内に供給する。ポリカーボネート樹脂の製造運転の初期とは、全工程の運転が順調に行われるようになった定常状態を意味し、工業的には1〜3日要することもある。
反応溶媒の全回収量の経時変化の記録は、各反応溶媒同伴工程ごとに個別に行うことも出来るが、反応工程および各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒を共通の反応溶媒回収タンクに貯蔵し、各反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒を合体して一つにして行うのが好ましい。斯かる方法によれば、設備的に有利であり、しかも、回収された反応溶媒量の測定精度が高められる。回収された反応溶媒量の測定は、回収された反応溶媒を連続的に又は間欠的に循環させながら行うことが出来る。測定手段としては、例えばロードセル付タンクを使用して重量を計測する方法であってもよいが、液面計を使用するのが簡便である。液面計としては、差圧式、超音波式などの各種のものを適宜に選択することが出来る。算出された損失量の反応溶媒は工程内に連続的に又は間欠的に供給される。この場合、反応溶媒回収タンクに算出された損失量を添加し、例えば反応溶媒回収タンク内の液面が一定になるように反応溶媒を添加することにより、間接的に工程内に供給してもよい。反応溶媒が供給される工程は、通常は反応工程、特に塩化カルボニル化反応工程である。また、必要に応じ、前記の洗浄工程に供給して洗浄液に添加して使用することも出来る。
反応溶媒の使用量は、適切に選択されるものの、比較的広い許容範囲を有している。従って、回収された反応溶媒量の測定および算出された損失量の反応溶媒の供給は、適当な期間ごとに行えば十分である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:
ビスフェノールA(BPA)15.09kg/時、水酸化ナトリウム(NaOH)5.49kg/時、及び水93.5kg/時を、ハイドロサルファイト0.017kg/時の存在下に、35℃で溶解した後、25℃まで冷却した水相ならびに5℃に冷却した塩化メチレン(安定剤;2−メチル−2−ブテン、塩化メチレン中の安定剤濃度15ppm)61.9kg/時の有機相を、各々内径6mm、外径8mmのテフロン(登録商標)製配管に供給し、これに接続する内径6mm、長さ34mのテフロン(登録商標)製パイプリアクターにおいて、ここに別途導入される0℃に冷却した液化塩化カルボニル7.2kg/時と接触させた。
ビスフェノールA(BPA)15.09kg/時、水酸化ナトリウム(NaOH)5.49kg/時、及び水93.5kg/時を、ハイドロサルファイト0.017kg/時の存在下に、35℃で溶解した後、25℃まで冷却した水相ならびに5℃に冷却した塩化メチレン(安定剤;2−メチル−2−ブテン、塩化メチレン中の安定剤濃度15ppm)61.9kg/時の有機相を、各々内径6mm、外径8mmのテフロン(登録商標)製配管に供給し、これに接続する内径6mm、長さ34mのテフロン(登録商標)製パイプリアクターにおいて、ここに別途導入される0℃に冷却した液化塩化カルボニル7.2kg/時と接触させた。
上記原料(ビスフェノールA・水酸化ナトリウム溶液)は、塩化カルボニルとパイプリアクター内を1.7m/秒の線速度にて20秒間流通する間に、塩化カルボニル化反応、オリゴマー化反応を行った。この時、反応温度は、断熱系で塔頂温度60℃に達した。反応物の温度は、次のオリゴマー化槽に入る前に35℃まで外部冷却を行い調節した。オリゴマー化に際し、触媒としてトリエチルアミン0.005kg/時、及び分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール0.39kg/時を用い、これらは各々、オリゴマー化槽に導入した。
上記のようにしてパイプリアクターより得られるオリゴマー化された乳濁液を、さらに内容積50リットルの撹拌機付き反応槽に導き、窒素ガス(N2)雰囲気下、30℃で撹拌し、オリゴマー化することにより、水相中に存在する未反応のビスフェノールAのナトリウム塩(BPA−Na)を完全に消費させた後、水相と油相を静置分離し、オリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
上記オリゴマーの塩化メチレン溶液を23kg/時を、希釈用塩化メチレン10kg/時、25重量%水酸化ナトリウム水溶液2.2kg/時、水6kg/時、及び濃度1重量%のトリエチルアミン水溶液0.22kg/時を直列に接続した内容積70リットルのファウドラー翼付き反応槽2基に連続的に供給して重縮合反応を進行させた。得られた重縮合液は塩化メチレンで希釈した後、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗浄の工程を経てポリカーボネートを含む塩化メチレン相と水相とに分離した。さらに得られた精製ポリカーボネート溶液を、造粒槽に40℃温水中にフィードすることにより粒状化し、その後、乾燥機を通して塩化メチレンを分離しポリカーボネートの粒状体(フレーク)を得た。
一方、造粒槽および乾燥機からの塩化メチレンは蒸気として回収し、冷却後、水と分離した後、同一の貯槽(反応溶媒回収タンク:7m3)に連続的に溜めた。また、オリゴマー化反応後の分離水相、重縮合反応後の洗浄水相については、段数10、塔頂温度65℃、塔底温度97℃、還流比2の条件下に蒸留し、得られた塩化メチレンは配管接続された上記の反応溶媒回収タンクに連続的に回収した。各反応槽や分離槽内で発生する蒸気についてもベント配管を介して冷却した後に凝縮器を通して配管接続された上記の反応溶媒回収タンクに連続的に回収した。上記の反応溶媒回収タンクに回収された塩化メチレンのうち30%を、段数10、塔頂温度43℃、塔底温度48℃、還流比2の条件下に蒸留し、得られた塩化メチレンは、塩化カルボニル化反応、重縮合反応、及び希釈洗浄用の塩化メチレンとして連続的に循環使用した。
原料供給開始後、全系が定常状態となった時点(2日後)での反応溶媒回収タンクの液面高さは差圧式液面計指示で90%であったが、連続運転3ケ月経過後の液面高さが84%に低下したため新たに塩化メチレン420リットルを30分間で反応溶媒回収タンクに補給し、前記と同様に塩化カルボニル化反応、重縮合反応、及び希釈洗浄用の塩化メチレンとして連続的に循環使用した。この間、トラブルや運転停止などはなく、単位時間当たりに得られるポリカーボネート樹脂量の変動幅も1%以内であった。
Claims (4)
- 連続的に供給されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と塩化カルボニルとを反応溶媒の存在下に界面重縮合させる反応工程と、当該反応工程に接続され且つ反応溶媒を伴う物質流を扱う複数の反応溶媒同伴工程とを包含する、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、上記の反応工程および複数の反応溶媒同伴工程から反応溶媒を回収して反応工程に循環すると共に、回収された反応溶媒の全量についてのポリカーボネート樹脂の製造運転の初期からの減少量を算出し、当該反応溶媒の減少量を工程内に供給することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 反応工程および複数の反応溶媒同伴工程から回収された反応溶媒を共通の反応溶媒回収タンクに貯蔵して反応溶媒の減少量を算出する請求項1に記載の製造方法。
- 共通の反応溶媒回収タンクに貯蔵した反応溶媒の液面高さの低下によって反応溶媒の減少量を算出する請求項2に記載の製造方法。
- 複数の反応溶媒同伴工程が、反応工程の後に順次に配置されたポリカーボネート樹脂の洗浄工程、単離工程および乾燥工程である請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
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JP2014221727A (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-27 | 昭和電工株式会社 | ジクロロメタンの精製方法およびそれを用いるジフルオロメタンの製造方法 |
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