JP2009138092A - ポリプロピレン繊維を含む複合材料および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機重合体マトリックス中に、耐熱性、強度に優れるポリプロピレン繊維を含む、耐熱性、力学的特性、耐久性に優れる複合材料及び成形体の提供。
【解決手段】 7cN/dtex以上の繊維強度と共に、(i)DSCによる吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/gあるDSC特性及び(ii)単繊維繊度が0.1〜3dtexで表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するという凹凸特性の一方又は両方を備えるポリプロピレン繊維を有機重合体マトリックス中に含む複合材料並びに当該複合材料からなる成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は有機重合体よりなるマトリックス中に特定のポリプロピレン繊維を含む複合材料および当該複合材料からなる成形体に関する。より詳細には、本発明は、強度および耐熱性に優れ、更にマトリックスをなす有機重合体との接着性に優れる特定のポリプロピレン繊維を有機重合体よりなるマトリックス中に含む、強度、耐熱性および耐久性に優れる複合材料、並びに当該複合材料からなる成形体に関する。
ポリプロピレン繊維は、耐水性、耐薬品性、軽量性などの特性に優れ、容易に溶融できリサイクル性に優れ、しかも焼却してもハロゲンガスなどの有害ガスを発生せず焼却処分が容易であるなどの理由で、多種多様な用途で広く用いられている。
ポリプロピレン繊維の用途の1つとして、有機重合体用の補強繊維としての使用が挙げられる。
例えば、リサイクル性および強度に優れるシートとして、ポリプロピレン繊維で補強したポリオレフィンシートが知られている。このポリプロピレン繊維補強ポリオレフィンシートの製造に当たっては、生産性の向上およびポリプロピレン繊維とポリオレフィンシート基材との間の接着性の向上などの点から、ポリオレフィンをできるだけ高温で溶融してポリオレフィン基材とポリプロピレン繊維の接着を行う必要がある。
しかしながら、ポリプロピレン繊維の耐熱性が不十分で、ポリプロピレン繊維補強ポリオレフィンシートの製造時にポリオレフィンを高温で溶融することができないため、生産速度を十分に高くすることができず、しかもポリプロピレン繊維とポリオレフィン基材との間の接着が不十分であり、生産性の低下、得られるポリプロピレン繊維補強ポリオレフィンシートの強度不足などを招いている。
また、ポリプロピレン繊維をポリオレフィン以外の有機重合体用の補強繊維として用いる場合にも、ポリプロピレン繊維の低耐熱性、有機重合体に対する低接着性によって十分な補強効果が得られない場合があり、耐熱性に優れ、しかも有機重合体との接着性に優れるポリプロピレン繊維が求められている。
ポリプロピレン繊維の耐熱性の向上を目的とした従来技術としては、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上98.5%未満で、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10分であるホモポリプロピレン樹脂を溶融成形後に延伸してなる、170℃、10分間における熱収縮率が10%以下で、融解ピーク温度が178℃以上であるポリプロピレン繊維が知られている(特許文献1を参照)。
しかしながら、このポリプロピレン繊維は、吸熱ピーク形状が、ブロードなダブル形状またはシングル形状であって、結晶が不均一であるため、耐熱性が未だ十分に高いとはいえない。
また、他の従来技術としては、アイソタクチック指数が90〜99%のポリプロピレンホモポリマーを溶融紡糸するかまたは溶融紡糸した後に延伸してなる、155〜170℃で2つのDSC吸熱ピークを有するポリプロピレン繊維が知られている(特許文献2を参照)。
しかしながら、このポリプロピレン繊維では、2つのDSC吸熱ピークのうちで低温側の吸熱ピークがポリプロピレン繊維の耐熱性の指標をなし、しかも吸熱ピーク形状がブロードであって、結晶が不均一であるため、耐熱性が十分ではない。
さらに、有機重合体に対するポリプロピレン繊維の接着性を向上させるための方策として、ポリプロピレン繊維の表面に凹凸を設けたり、ポリプロピレン繊維表面を粗面化して投錨効果によって有機重合体との接着性を向上させることが考えられる。しかしながら、従来知られている表面に凹凸を形成したポリプロピレン繊維や、表面を粗面化したポリプロピレン繊維では、その凹凸(粗面化)が不十分であったり、凹凸の形成に制約があり、当該ポリプロピレン繊維を有機重合体用の補強繊維として用いても、有機重合体との接着が不十分で、強度などに優れる有機重合体とポリプロピレン繊維との複合材料や成形体などが得られない。
例えば、ポリプロピレン繊維に電離性放射線を照射して表面に凹凸を形成させた水硬性物質用の補強繊維(特許文献3を参照)、溶融紡糸したポリプロピレン繊維にエンボス加工および延伸処理を施して表面に凹凸を形成したセメント配合用のポリプロピレン繊維(特許文献4を参照)、押出機により溶融押し出ししたポリプロピレン繊維の引き取り速度を変化させて凹凸を付与した後に延伸処理を施して製造した表面に凹凸を有するセメント配合用のポリプロピレン繊維(引用文献5を参照)などが知られているが、水硬性物質(セメント)配合用のこれらのポリプロピレン繊維を有機重合体用の補強繊維として用いても、強度などの力学的特性に有機重合体との複合材料や成形体は得られない。
具体的には、特許文献3〜5、そのうちでも特許文献3に記載されている凹凸の形成方法によって得られるポリプロピレン繊維(特に単繊維繊度が10dtex以下の細繊度ポリプロピレン繊維)では損傷の発生が著しく、そのため当該ポリプロピレン繊維を有機重合体用の補強繊維として用いても、力学的強度に優れる有機重合体とポリプロピレン繊維との複合材料および成形体は得られない。
さらに、ポリプロピレン未延伸糸を、熱風槽で125〜155℃で延伸して製造した、9cN/dtex以上の単糸強度を有し、繊維表面の曲面に添って筋状の粗面構造を有するコンクリート補強用のポリプロピレン繊維が知られているが(特許文献6)、このポリプロピレン繊維では繊維表面に存在する筋状の粗面構造の間隔および高さが共に小さいため、有機重合体に対する投錨効果が不十分であり、有機重合体の補強繊維として用いても、強度などの力学的特性に優れる複合材料や成形体は得られない。
また、ポリプロピレン未延伸糸を3.0〜5.0kg/cm2(温度133〜151℃)の加圧飽和水蒸気により1段で延伸して、光学的に明部と暗部を有する延伸糸を製造する方法が提案されているが(特許文献7)、この方法により得られるポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)は、繊維表面における凹凸の形成が不十分で、凹凸の間隔および高さが小さいため、有機重合体に対する投錨効果が不十分であり、有機重合体用の補強繊維として用いたとしても、強度などの力学的特性に優れる複合材料や成形体は得られない。
特開2002−302825号公報 特開2001−20132号公報 特公昭61−26510号公報 特開昭56−9268号公報 特公昭61−301号公報 特開2003−293216号公報 特許第3130288号公報 「Macromolecules」、第6巻、1973年、p925 「Macromolecules」、第8巻、1975年、p687
本発明の目的は、強度が大きく、しかも耐熱性に優れていて、高温に曝されても繊維の溶融、溶断、物性低下がなく、更には有機重合体との接着性に優れるポリプロピレン繊維を、有機重合体よりなるマトリックス中に含む、強度などの力学的特性に優れ、しかも耐熱性および耐久性に優れる複合材料を提供することである。
さらに、本発明の目的は、前記した複合材料からなる、力学的特性、耐熱性および耐久性に優れる成形体を提供することである。
本発明者は、前記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた。そして、特定以上のアイソタクチックペンタッド分率(IPF)を有するポリプロピレンを用いて溶融紡糸した後に冷却固化してポリプロピレン未延伸繊維を製造し、それにより得られるポリプロピレン未延伸繊維を特定の条件下で前延伸および後延伸することで、走査示差熱量測定(DSC)において特定の吸熱・融解特性を示し、均一な結晶構造を有していて、耐熱性に優れ、しかも強度にも優れる、従来にないポリプロピレン繊維を得ることができた。
さらに、本発明者は、前記した特定の方法を採用して単繊維繊度が3dtex以下、特に0.1〜3dtexのポリプロピレン繊維を製造することで、繊維表面に、大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在した所定の平均間隔および平均高さの凹凸を有し、しかも強度に優れるポリプロピレン繊維を得ることができた。しかもその際に、当該ポリプロピレン繊維における走査示差熱量測定(DSC)による吸熱・融解特性を特定のものにすることで、結晶構造が均一で且つ前記特定の凹凸を有しながら、更に耐熱性にも優れるポリプロピレン繊維を得ることができた。
そこで、本発明者は、上記で得られたポリプロピレン繊維を有機重合体用の補強繊維として用いて、有機重合体よりなるマトリックス中に当該ポリプロピレン繊維を含む複合材料をつくり、当該複合材料から成形体を製造することを試みた。その結果、それにより得られる複合材料および成形体は、有機重合体よりなるマトリックス中に含まれるポリプロピレン繊維が、強度が大きく、しかも耐熱性に優れていて、高温に曝されても、溶融、溶断、物性低下などが生じにくく、更にはポリプロピレン繊維表面の特定の凹凸による有機重合体マトリックスに対する投錨効果によって、引張強度、衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度などの力学的特性に優れることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 有機重合体よりなるマトリックス中にポリプロピレン繊維を含む複合材料であって、前記ポリプロピレン繊維が、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維であることを特徴とする複合材料;
(2) 有機重合体よりなるマトリックス中にポリプロピレン繊維を含む複合材料であって、前記ポリプロピレン繊維が、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ単繊維繊度が0.1〜3dtexで、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維であることを特徴とする複合材料;および、
(3) 有機重合体よりなるマトリックス中にポリプロピレン繊維を含む複合材料であって、前記ポリプロピレン繊維が、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、単繊維繊度が0.1〜3dtexで、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維であることを特徴とする複合材料;
である。
そして、本発明は、
(4) ポリプロピレン繊維が、短繊維、長繊維、繊維束、糸、織編物、不織布または網の形態である前記(1)〜(3)のいずれかの複合材料;および、
(5) 有機重合体が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および弾性重合体から選ばれる少なくとも1種の有機重合体である前記(1)〜(4)のいずれかの複合材料;
である。
さらに、本発明は、
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかの複合材料からなる成形体である。
本発明の複合材料で用いてなる、「アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、且つ走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維」は、前記特有のDSC特性を備えているために、結晶性が高く、均一な結晶構造を有し、耐熱性に極めて優れており、高温に曝されても簡単に融解せずに、繊維形状および繊維強度を良好に維持することができる。そのため、当該ポリプロピレン繊維を、有機重合体よりなるマトリックス(以下「有機重合体マトリックス」ということがある)中に含む本発明の複合材料および当該複合材料からなる本発明の成形体は、引張強度、衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度などの力学的特性に優れ、しかも耐熱性および耐久性に優れている。
さらに、本発明の複合材料で用いてなる、「アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ単繊維繊度が0.1〜3dtexで、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維」は、繊維強度が高く、しかも前記した特定の凹凸を有することによって有機重合体マトリックスへの投錨効果が高く、有機重合体との接着性に優れている。そのため、当該ポリプロピレン繊維を有機重合体マトリックス中に含む本発明の複合材料および当該複合材料からなる本発明の成形体は、引張強度、衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度などの力学的特性に優れ、しかも耐久性に優れている。
特に、本発明の複合材料で用いてなる、「アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、単繊維繊度が0.1〜3dtexで、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維」は、前記特定のDSC特性によって結晶性が高く、均一な結晶構造を有し、耐熱性に極めて優れており、高温に曝されても簡単に融解せずに、繊維形状および繊維強度を良好に維持することができると共に、前記特定の凹凸構造によって有機重合体マトリックスへの投錨効果が高く、有機重合体との接着性に優れている。そのため、かかるポリプロピレン繊維を有機重合体マトリックス中に含む本発明の複合材料および当該複合材料からなる本発明の成形体は、引張強度、衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度などの力学的特性に一層優れ、しかも耐熱性および耐久性に一層優れている。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の複合材料は、有機重合体よりなるマトリックスと、当該マトリックス中に含まれる上記した特定のポリプロピレン繊維よりなる複合材料である。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)(以下単に「IPF」ということがある)が94%以上のポリプロピレンよりなるポリプロピレン繊維であり、IPFが95〜99%のポリプロピレンからなっていることが好ましく、IPFが96〜99%のポリプロピレンからなることがより好ましい。
ポリプロピレンのIPFが94%未満であると、ポリプロピレン繊維に均一な結晶構造を形成されにくくなって、十分な強度および耐熱性を有する、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維が得られなくなる。一方、IPFが99%を超えるポリプロピレンは工業的には量産が困難であるため、コスト面などから実用性が低い。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、ポリプロピレンとして、IPFが前記した値を満たすものであれば、1種類のプロピレン単独重合体から形成されていてもよいし、またはプロピレンと他の共重合性単量体からなるプロピレン共重合体から形成されていてもよい。或いは、混合物全体でのIPFが前記した値を満たすものであれば、2種類以上のプロピレン単独重合体の混合物、1種または2種以上のプロピレン単独重合体と1種または2種以上のプロピレン共重合体の混合物、または2種類以上のプロピレン共重合体の混合物から形成されていてもよい。
また、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、ポリプロピレン繊維を構成するプロピレン系重合体全体でのIPFが前記した値を満たすものであれば、2種類以上のプロピレン単独重合体および/またはプロピレン共重合体を用いて形成された、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型などの複合形態または混合形態を有する複合紡糸繊維または混合紡糸繊維などであってもよい。
ポリプロピレンにおけるIPFは、その立体規則性を表わす指標であり、ポリプロピレンを繊維化した際の結晶性に影響を及ぼす。一般には、IPFが高いポリプロピレンほど立体規則性が高い。ポリプロピレンにおけるIPFは、13C−NMRのシグナルから求めることができ、本明細書におけるポリプロピレンのIPF値は、以下の実施例に記載する方法で求めた値をいう。
ポリプロピレン繊維を製造する際の溶融紡糸性、延伸性などが良好になり、さらに本発明で用いる上記した特定の物性を備えるポリプロピレン繊維が円滑に得られる点から、本発明で用いるポリプロピレン繊維は、JIS K 7210に従って温度230℃、荷重2.16kg、時間10分の条件で測定したときのメルトフローレート(MFR)が5〜70g、更には10〜50g、特に15〜40gのポリプロピレンから形成されていることが好ましい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、7cN/dtex以上の繊維強度を有しており、9〜13cN/dtexの繊維強度を有することが好ましい。
ここで、本明細書におけるポリプロピレン繊維の繊維強度(単繊維繊度強度)は、以下の実施例に記載した方法で測定した繊維強度をいう。
本発明の複合材料およびそれからなる成形体は、前記した繊維強度を有するポリプロピレン繊維を用いて形成されていることにより、高い強度を有する。繊維強度が前記よりも小さいポリプロピレン繊維を用いて複合材料および成形体を製造した場合には、複合材料および成形体の強度が不足することがある。一方、繊維強度が13cN/dtexを超えるポリプロピレン繊維は、その製造に当たって、量産性の低い条件を採用する必要があるため、実用面で難がある。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維のうち、上記した7cN/dtex以上の繊維強度と共に、『走査示差熱量測定(DSC)(以下単に「DSC測定」ということがある)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である』という特定のDSC特性を備えているポリプロピレン繊維は、かかる特性を備えていることによって、耐熱性に優れている。
DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有する幅の狭い(シャープな)シングル形状をなしていて且つ融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維を用いて本発明の複合材料を製造すると、ポリプロピレン繊維が耐熱性に優れていることにより、高温に曝されても溶断や物性低下が生じにくく、引張強度、耐衝撃性、曲げ弾性率、曲げ強度などの力学的特性に優れる複合材料および成形体が得られる。
ここで、本発明におけるDSC測定による前記した「吸熱ピーク形状」および「融解エンタルピー変化量(△H)」は、以下の実施例に記載する方法で行ったDSC測定による吸熱ピーク形状および融解エンタルピー変化量(△H)をいう。
アイソタクチックポリプロピレン繊維のDSC測定において、160℃以上で観察される吸熱ピークは一般にα晶の融解に由来する。吸熱ピークの温度が160℃以上、場合によっては175℃以上であるポリプロピレン繊維は、従来から知られているが(特許文献8を参照)、そのような従来のポリプロピレン繊維では結晶化が未だ十分に行われていないため、その吸熱ピークの形状はダブルピーク形状であったり、幅の広い(ブロードな)シングルピーク形状であり、その結晶構造は全体として均一性に欠ける。
それに対して、本発明で用いる、「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」というDSC特性を備えているポリプロピレン繊維は、DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有する幅の狭い(シャープな)シングル形状をなしていて、且つ融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であることにより、結晶性が高く、均一な結晶構造をなしており、耐熱性に優れている。
ここで、本明細書でいう「DSC測定による吸熱ピーク形状」と「半価幅」について説明する。
まず、図1は、ポリプロピレン繊維におけるDSC測定による吸熱ピーク形状を模式的に示した図である。
図1において、(a)は、唯一の吸熱ピーク(シングルピーク)を有し、当該シングルピークはシャープでしかも大きなピークをなし、大きな融解エンタルピー変化量(△H)を有する本発明に含まれる本発明のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の代表例を示したものである。
一方、図1において、(b)は従来のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の一例であって、2つの吸熱ピーク(ダブルピーク)を有し、ピークの幅(半価幅)は大きく、融解エンタルピー変化量(△H)は小さい。
また、図1において、(c)は従来のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の他の例であり、吸熱ピークは1個(シングルピーク)ではあるが、融解エンタルピー変化量(△H)は小さい。
次に、図2は、DSC曲線にピーク形状がシングルピークである場合を例に挙げて、本発明で用いるポリプロピレン繊維のDSC測定による吸熱ピークにおける半価幅の求め方を示した図である。
図2において、吸熱ピーク(シングルピーク)の頂点Xから温度軸に下ろした垂線と、吸熱ピークのベースラインとの交点をYとしたときに、線分X−Yを二等分する点をMとし、Mを通り温度軸に平行な直線と吸熱曲線との交点をそれぞれN1およびN2としたときに、線分N1−N2の長さ(温度幅)が本明細書でいう「半価幅(℃)」に相当する。
ポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線が、図1の(b)に示すように2つの吸熱ピークを有するダブルピークである場合や、3つ以上の吸熱ピークを有する場合は、最も高い吸熱ピークの頂点をXとし、当該頂点Xから温度軸に下ろした垂線と、吸熱ピークのベースラインとの交点をYとし、線分X−Yを二等分する点をMとし、Mを通り温度軸に平行な直線と吸熱曲線との交点のうち、温度の最も低い交点をN1とし、温度の最も高い交点をN2としたときに、線分N1−N2の長さ(温度幅)が本明細書でいう「半価幅(℃)」に相当する。この場合には、半価幅(℃)は一般に広いものとなる。
そして、吸熱ピーク曲線において、吸熱ピークのベースライン(図2を参照)と、当該ベースラインよりも上の吸熱ピーク曲線によって包囲される部分の面積が、本明細書における「融解エンタルピー変化量(△H)」に相当する。
ポリプロピレン繊維における結晶形成が不十分であると、DSC測定時の結晶の再配列などによって吸熱ピークや発熱ピークが新たに発現して複雑なDSC曲線になる場合がある。さらに、ポリプロピレン繊維における結晶形成が不十分であると、DSC測定時の昇温速度の違いによって、同じ試料であっても、吸熱ピークや発熱ピークの発現や消失が生じて吸熱ピーク曲線が変化することがある。
それに対して、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維のうち、「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」というDSC特性を備えているポリプロピレン繊維は、当該DSC特性を備えていることによって、DSC測定時の昇温速度1〜50℃/分の範囲では、昇温速度が異なっても、その吸熱ピーク曲線は1個の吸熱ピークのみを有する、シャープで大きなシングルピーク形状をなし、高い融解エンタルピー変化量(△H)を有している。そのことは、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維のうち、前記したDSC特性を有するポリプロピレン繊維が、均一で高い結晶性を有し、その結果として、高い耐熱性を備えていることを裏付けている。
ポリプロピレン繊維の融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g未満であると、耐熱性が不十分になることがある。
但し、「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」という要件を備えていないポリプロピレン繊維であっても、「IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、単繊維繊度が0.1〜3dtexおよび繊維強度が7cN/dtex以上で、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する」という特性を備えるポリプロピレン繊維を用いて本発明の複合材料および成形体を形成した場合には、ポリプロピレン繊維が前記した特定の凹凸を繊維表面に有していることにより、有機重合体マトリックスへの投錨効果が大きくなって、有機重合体マトリックスとの接着性が向上して、引張強度、耐衝撃性、曲げ弾性率、曲げ強度などの力学的特性に優れる複合材料および成形体を得ることができる。
ポリプロピレン繊維の融解エンタルピー変化量(△H)が高いほど、耐熱性が高くなるが、165J/gを超えるポリプロピレン繊維は、製造速度を大幅に低下しないと製造が困難であり、またIPFが100%に近いポリプロピレンを用いて製造することが必要であるため、工業的には実効性が低い。
かかる点から、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、融解エンタルピー変化量(△H)が125〜165J/gであることが好ましく、130〜165J/gであることがより好ましく、135〜165J/gであることが更に好ましく、140〜165J/gであることが一層好ましい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)は特に制限されないが、ポリプロピレン繊維を製造する際の製造の容易性(特に延伸のし易さ)、耐久性などの点から、ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)は、一般的に0.01〜500dtexであることが好ましく、0.05〜50dtexであることがより好ましく、0.1〜5dtexであることが更に好ましい。
ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)が小さ過ぎると、複合材料および成形体を製造する際に、また製造した後に、ポリプロピレン繊維の溶融、断糸などが生じて複合材料および成形体の強度が低下することがある。一方、ポリプロピレン繊維の単繊維繊度が大きすぎると、ポリプロピレン繊維を得るための延伸物性が低下して、高強度で、高度に結晶化したポリプロピレン繊維が得られないことがあり、また当該ポリプロピレン繊維を織編物、不織布、網などの形態にして複合材料に用いる場合に、織編物、不織布、網などが製造しにくくなることがある。
本発明は、7cN/dtex以上の繊維強度と共に、または7cN/dtex以上の繊維強度および本発明で規定する上記したDSC特性[DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特性]と共に、「単繊維繊度が0.1〜3dtexで、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する」という特性を有するポリプロピレン繊維を用いて製造した複合材料および成形体を包含する。
7cN/dtex以上の繊維強度と共に、または7cN/dtex以上の繊維強度および前記した特定のDSC特性と共に、前記した特定の凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を用いる場合は、当該凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を円滑に製造するために、ポリプロピレン繊維の単繊維繊度は0.1〜3dtexであることが好ましく、0.2〜2.5dtexであることがより好ましく、0.3〜2.4dtexであることが更に好ましい。
ここで、本明細書における「ポリプロピレン繊維が、表面に、大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に位置してなる凹凸を有する」とは、図3の模式図に示すように、ポリプロピレン繊維が長さ方向に沿って均一の径を有しておらず、径の大きな隆起部(凸部)(図3におけるA1,A2,A3,A4,・・・・)と、それよりも径の小さな非隆起部(凹部)(図3におけるB1,B2,B3,B4,・・・・)が、繊維軸(繊維の長さ方向)に沿って交互に形成されていて、繊維表面が凹凸をなしていること意味する。
そして、本明細書における前記「平均間隔」とは、繊維軸に沿って形成された多数の凹凸(隆起部と非隆起部)のうち、隣り合う2つの隆起部(凸部)の間の間隔(距離)(図3におけるA1−A2,A2−A3,A3−A4,・・・の長さ)の平均値を意味する。
また、前記「平均高さ」は、繊維軸に沿って形成された多数の凹凸(隆起部と非隆起部)のうち、隣り合う2つの非隆起部(凹部)の最小径部分を結ぶ仮想直線(図3におけるB1とB2を結ぶ直線,B2とB3を結ぶ直線,B3とB4を結ぶ直線,・・・)への、当該隣り合う2つの非隆起部(凹部)の間にある隆起部(凸部)の頂点からの垂線の長さ(図3におけるh1,h2,h3,h4,・・・)の平均値を意味する。
ポリプロピレン繊維の繊維軸に沿って形成された前記凹凸の平均間隔および平均高さは、ポリプロピレン繊維を走査型電子顕微鏡などを用いて撮影した写真から求めることができ、本明細書における凹凸の前記平均間隔および平均高さは以下の実施例に記載する方法で求められる値をいう。
前記した凹凸特性を有するポリプロピレン繊維において、ポリプロピレン繊維の繊度が0.1dtexよりも小さいと、量産性を維持するために紡糸孔数の極めて多い口金を用いて紡糸することになり、それに伴って口金での紡糸孔の間隔を十分に確保するために紡糸装置の規模を大きくするなどの大幅な設備の改良が必要になり、しかも繊度が小さいために延伸工程で断糸トラブルや毛羽が発生し易くなる。一方、ポリプロピレン繊維の繊度が3dtexを超えると、繊維の外周に上記した特定の凹凸を発現させにくくなり、また繊維の比表面積が小さくなるため十分な保水性を確保できなくなり、更に延伸性が低下して十分な繊維強度が得られにくくなる。
前記した特定の凹凸特性を有するポリプロピレン繊維では、その繊度(単繊維繊度)は、0.2〜2.5dtexであることが好ましく、0.3〜2.4dtexであることがより好ましい。
ポリプロピレン繊維として前記した凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を用いた場合には、ポリプロピレン繊維の表面に、平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmである前記した凹凸を繊維軸に沿って有していることにより、有機重合体マトリックスに対する投錨効果が生じて、有機重合体マトリックスとの接着性が向上することにより、引張強度、耐衝撃性、曲げ弾性率、曲げ強固などの力学的特性に優れる複合材料および成形体が得られる。表面に凹凸を有するポリプロピレン繊維において、前記した凹凸の平均間隔が6.5μm未満であると、および/または平均高さが0.35μm未満であると、繊維表面の凹凸が微細になり過ぎて、有機重合体マトリックスに対する投錨効果が低下する。一方、凹凸の平均間隔が20μmを超えるか、および/または平均高さが1μmを超えるポリプロピレン繊維は、ポリプロピレン繊維の製造速度を大幅に低下しないと製造できず、またIPFが100%に近いポリプロピレンを使用する必要があるため、実用性に乏しい。
本発明の複合材料および成形体を前記した凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を用いて形成する場合には、繊維軸方向に沿って形成された凹凸の平均間隔が6.6〜20μm、特に6.8〜20μmで、平均高さが0.40〜1μm、特に0.45〜1μmであるポリプロピレン繊維を用いることが好ましい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維の形状(横断面形状)は特に制限されず、中実の円形断面形状であってもよいし、それ以外の異形断面形状であってもいずれでもよい。繊維の横断面が異形断面形状である場合の具体例としては、偏平形、十字形、Y字形、T字形、V字形、星形、多葉形、アレイ形、中空形などを挙げることができる。
本発明の目的を妨げない範囲で、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤などの1種または2種以上を含有していてもよい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、表面処理を施してなくてもよいし、または複合材料および成形体の用途などに応じて、適当な表面処理剤で表面処理してあってもよい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維の製法は特に制限されず、繊維強度が7cN/dtex以上であると共に上記したDSC特性[DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特性]を備えるポリプロピレン繊維、前記した繊維強度と共に、前記した単繊維繊度と凹凸特性(単繊維繊度が0.1〜3dtexおよび表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するという特性)を備えるポリプロピレン繊維、或いは前記した繊維強度、DSC特性、単繊維繊度および凹凸特性を備えるポリプロピレン繊維を製造し得る方法であれば、いずれの方法で製造してもよい。
そのうちでも、本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、IPFが94%以上のポリプロピレンを溶融紡糸してポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を製造し、それを冷却固化した後に、その冷却固化した未延伸ポリプロピレン繊維を特定の条件下で前延伸および後延伸する以下で説明する方法により、円滑に製造することができる。
まず、ポリプロピレンを溶融紡糸してポリプロピレン未延伸繊維を製造するに当たっては、IPFが94%以上のポリプロピレンを200〜3500m/分、特に300〜2000m/分の紡糸速度で溶融紡糸した後に冷却固化する方法が好ましく採用される。
ポリプロピレンの溶融紡糸および溶融紡糸したポリプロピレン繊維の冷却固化は、通常の方法で行うことができ、一般的にはポリプロピレンを200〜300℃で溶融混練した後、それを220〜280℃の紡糸口金から吐出させ、それに5〜50℃の冷却用気体(空気など)を吹き付けて冷却固化する方法が採用される。
未延伸ポリプロピレン繊維の単繊維繊度は特に制限されず、延伸工程での延伸倍率、最終的に得られるポリプロピレン繊維の用途などに応じて決めることができるが、一般的には0.3〜90dtex、特に1〜60dtexであることが、延伸のしやすさ、強度などの点から好ましい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維の製造に当って、溶融紡糸を低紡糸速度で行った場合(一般に紡糸速度が200〜1000m/分程度の場合)には、溶融紡糸後に冷却固化して得られるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を、次の延伸工程で高倍率で延伸する(一般に総延伸倍率5〜20倍)ことで、高強度および高耐熱性を有するポリプロピレン繊維、特に繊維強度が7cN/dtex以上で、且つDSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
一方、溶融紡糸を高紡糸速度で行った場合(一般に紡糸速度が1000〜3500m/分程度の場合)には、溶融紡糸後に冷却固化して得られるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を延伸する際の延伸倍率が低くても(一般に総延伸倍率3.9〜7倍)、溶融紡糸した繊維を冷却固化する段階での配向が高くなるため、結果として繊維強度が7cN/dtex以上で且つ前記したのと同じDS特性を有する強度および耐熱性に優れるポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
ポリプロピレン繊維の製造にあたって、冷却固化したポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)は、巻き取らずにそのまま引き続いて延伸処理を行ってもよいし、または一旦巻き取った後に、巻き出しながら次の延伸処理を行ってもよく、そのうちでも、一旦巻き取った後に巻き出しながら次の延伸処理を行うことが、延伸条件の制御や管理が容易である点から好ましい。
本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維は、冷却固化したポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を、総延伸倍率(前延伸と後延伸の合計延伸倍率)が3.9〜20倍になるようにして、温度120〜150℃および延伸倍率3〜10倍で前延伸した後、温度170〜190℃で、変形速度1.5〜15倍および延伸張力1.0〜2.5cN/dtexの条件下に延伸倍率1.2〜3.0倍で後延伸することによって円滑に製造することができる。
前記した前延伸および後延伸は、熱風炉または熱プレートを用いて行うことが、延伸処理が円滑に行われる点から好ましい。前延伸および後延伸の両方を熱風炉を用いて行ってもよいし、前延伸と後延伸の両方を熱プレートを用いて行ってもよいし、前延伸を熱風炉を用いて行い、後延伸を熱プレートを行ってもよいし、または前延伸を熱プレートを用いて行い、後延伸を熱風炉を用いて行ってもよい。
前延伸および/または後延伸を熱風炉を用いて行う場合は、前延伸時の上記温度および後延伸時の上記温度は熱風炉の雰囲気温度をいい、また前延伸および/または後延伸を熱プレートを用いて行う場合は、前延伸時時の上記温度および後延伸時の上記温度は熱プレートの温度をいう。
冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)の前延伸は、1段で行ってもよいし、または多段で行ってもよく、一般的には1段〜3段で行うことが好ましい。
また、前延伸したポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)の後延伸は、1段で行ってもよいし、または多段で行ってもよく、一般的には1段〜5段で行うことが好ましい。
延伸処理を行うに当たっては、前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を巻き取らずにそのまま引き続いて後延伸する方法を採用してもよいし、または前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を冷却(一般に室温程度)して巻き取った後に再度巻き出して後延伸する方法を採用してもよい。そのうちでも、前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を一旦巻き取った後に巻き戻して後延伸する後者の方法が、本発明の複合材料に用いる上記した特性を備えるポリプロピレン繊維をより円滑に得ることができる点から好ましい。
前延伸は、冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を、温度(雰囲気温度)が120〜150℃、特に125〜140℃の熱風炉に導入するか、または温度が120〜150℃、特に125〜140℃の熱プレートに接触させて、1段または多段で延伸倍率3〜10倍、特に3〜5倍で行うことが好ましい。
また、後延伸は、前記した条件下で前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を、温度(雰囲気温度)が170〜190℃、更には170〜185℃、特に170〜180℃の熱風炉に導入するか、または温度が170〜190℃、更には170〜185℃、特に170〜180℃の熱プレートに接触させて、1段または多段で延伸倍率1.2〜3.0倍、特に1.3〜2.5倍で行うことが好ましい。
熱風炉または延伸プレートを用いて後延伸を行う際には、熱風炉の雰囲気温度または延伸プレート温度を、後延伸処理を施す直前のポリプロピレン繊維のDSC曲線での吸熱開始温度+10℃以上の温度にして後延伸を行うことが好ましい。
前延伸および後延伸の総延伸倍率は3.9〜20倍であることが好ましく、4.5〜11倍であることがより好ましく、4.7〜10.5倍であることが更に好ましい。
また、ポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を製造するための溶融紡糸速度をA(m/分)とし、前記した前延伸および後延伸を行った後の総延伸倍率をB(倍)としたときに、A×Bの値が、3000〜17000(m・倍/分)、特に3500〜15000(m・倍/分)の範囲になるようにして、ポリプロピレンの溶融紡糸と前記した前延伸および後延伸を行うと、目的とするポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
ここで、前延伸における前記した延伸倍率は、前延伸工程から排出された直後の繊維(糸)の長さを前延伸工程に導入された未延伸繊維(未延伸糸)の長さで除した値をいい、また後延伸における前記した延伸倍率は、後延伸工程から排出された直後の繊維(糸)の長さを後延伸工程に導入された繊維(糸)の長さで除した値をいう。
また、前記した前延伸および後延伸の総延伸倍率とは、後延伸工程から排出された直後の繊維(糸)の長さを前延伸工程に導入された未延伸繊維(未延伸糸)の長さで除した値をいう。
後延伸は、前記した温度(170〜190℃)および延伸倍率(1.2〜3.0倍)を採用すると共に、変形速度1.5〜15倍/分および延伸張力1.0〜2.5cN/dtexという条件を採用して行う。かかる後延伸条件を採用することによって、本発明で用いる上記した特性を備えるポリプロピレン繊維を得ることができる。
後延伸時の変形速度は1.6〜12倍/分であることが好ましく、1.7〜10倍/分であることがより好ましい。
また、後延伸時の延伸張力は、1.1〜2.5cN/dtexが好ましく、1.3〜2.5cN/dtexがより好ましい。
ここで、後延伸における前記した変形速度とは、後延伸での延伸倍率(倍)を後延伸に要した時間(分)[熱風炉で後延伸する場合は繊維(糸)が熱風路内に存在していた時間、延伸プレートで後延伸する場合は繊維(糸)が延伸プレートに接触していた時間]で除した値をいい、後延伸を多段で行った場合は、後延伸での最終延伸倍率(合計延伸倍率)を後延伸に要した延伸処理時間の合計で除した値をいう。
また、後延伸における前記延伸張力は、後延伸における最終段の延伸を行った直後の糸の張力を、張力計を用いて測定する。
また上記した条件下でポリプロピレン繊維を延伸した後、熱固定あるいは収縮処理を施してもよい。その際の処理温度、収縮率は、本発明で用いるポリプロピレン繊維の特性を損なわない範囲において、特に限定されるものではない。
IPFが94%以上のポリプロピレンを溶融紡糸した後に冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維を、上記した条件下で前延伸した後に更に上記した条件下で後延伸してポリプロピレン繊維を製造する上記した方法により、耐熱性および強度に優れるポリプロピレン繊維、特に、DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、且つ繊維強度が7cN/dtex以上である、耐熱性および強度に優れるポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
さらに、IPFが94%以上のポリプロピレンを溶融紡糸した後に冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維を、上記した条件下で前延伸した後に更に上記した条件下で後延伸してポリプロピレン繊維を製造する際に、前延伸工程に供給するポリプロピレン未延伸繊維の単繊維繊度、前延伸および/または後延伸における延伸倍率などを調整することによって、最終的に単繊維繊度が3dtex以下、特に0.1〜3dtexのポリプロピレン繊維が得られるようにすることによって、上記した7cN/dtex以上の繊維強度、上記した特定のDSC特性[DSCによる吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特性]と共に、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する」という特定の凹凸構造を有するポリプロピレン繊維を得ることができる。このポリプロピレン繊維は、耐熱性および強度に優れると共に表面に前記した特定の凹凸を有することによって有機重合体マトリックスに愛する投錨効果を有し、力学的特性および耐熱性に優れる複合材料および成形体を形成する。
本発明の複合材料においては、有機重合体マトリックス中に含まれる上記したポリプロピレン繊維の形態は特に制限されず、例えば、短繊維、長繊維、繊維束、糸、織編物、不織布、網などのいずれの形態であってもよい。
ポリプロピレン繊維が短繊維の形態である場合は、本発明の複合材料は、一般に、有機重合体中に上記したポリプロピレン繊維の短繊維を分散、含有する有機重合体組成物(コンパウンド)の形態となる。また、ポリプロピレン繊維が、長繊維、繊維束、糸、織編物、不織布、網などの短繊維以外の形態である場合は、本発明の複合材料は、有機重合体マトリックス中にポリプロピレン長繊維、ポリプロピレン繊維束、ポリプロピレン繊維製の糸、ポリプロピレン繊維製の織編物、不織布、網などが含まれる種々の形態物、例えば、線状、棒状、シート状、板状、管状、ブロック状などの任意の形状をなす、有機重合体含浸物(FRP)などの形態にすることができる。
上記したポリプロピレン繊維を織物の形態にして有機重合体マトリックス中に含有させる場合は、織物としては、例えば、ジェット織機、スルザー織機、ラピヤー織機、ドビー織機、ジャガード織機、多軸織機、多層織機などを使用して製造される平織物、斜文織物、朱子織物、スダレ状の織物、一方向織物、擬似一方向織物などを用いることができ、また編物としては、丸編み機、縦編み機、横編み来、トリコット機などを使用して得られる種々の編物、ステッチファブリック、ノンクリンプドファブリックなどを用いることができる。これらの織物および/または編物は、上記したポリプロピレン繊維のみから製造されていてもよいし、上記したポリプロピレン繊維と共に必要に応じて他の繊維、例えば、綿、絹、羊毛、麻などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維などの合成繊維、ビスコース、レーヨンなどの半合成繊維などの1種または2種以上を用いて製造されていてもよい。
本発明の複合材料では、短繊維、長繊維、繊維束、糸、織編物、不織布または網の形態をなすポリプロピレン繊維の有機重合体マトリックス中での存在形態(含まれ方)は特に制限されず、複合材料およびそれかなる成形体の用途、使用目的などに応じて適宜選択することができる。ポリプロピレン繊維は、例えば、有機重合体マトリックス中に均一な状態で含まれていてもよいし、有機重合体マトリックス中に不均一またはランダムに含まれていてもよいし、有機重合体マトリックス中に局部的に含まれていてもよいし、有機重合体マトリックスの全体またはほぼ全体に含まれていてもよい。
また、本発明の複合材料および成形体では、ポリプロピレン繊維は、有機重合体マトリックス中に完全に埋没した状態であってもよいし、ポリプロピレン繊維の一部が有機重合体マトリックスから外部に露出した状態であってもよい。ポリプロピレン繊維の一部が有機重合体マトリックスから外部に露出している場合は、その露出の程度は、複合材料および成形体の用途や使用目的などに応じて適宜調節することができる。
本発明の複合材料において、マトリックスをなす有機重合体としては、上記したポリプロピレン繊維の物性や凹凸構造などが損なわれないようにして、有機重合体マトリックス中にポリプロピレン繊維を含有させることのできる有機重合体であればいずれでもよく、特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、弾性重合体のいずれであってもよい。そのような有機重合体として、例えば、ポリプロピレン繊維の溶融温度よりも融点の低い熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー(熱可塑性弾性重合体)、ポリプロピレン繊維の溶融温度よりも低い温度で反応硬化する熱硬化樹脂、ポリプロピレン繊維の溶融温度よりも低い温度で加硫するゴム、ポリプロピレン繊維を溶解しない溶媒に溶解する有機重合体などを挙げることができる。
本発明で用いることのできる有機重合体の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ABSなどのポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド樹脂などの熱硬化性樹脂;天然ゴム、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、シリコーンゴムポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマーなどの弾性重合体などを挙げることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の複合材料における有機重合体マトリックスとポリプロピレン繊維との含有割合は特に制限されず、マトリックスをなす有機重合体の種類、ポリプロピレン繊維の形態、複合材料およびそれからなる成形体の用途などに応じて異なり得る。本発明の複合材料が、有機重合体マトリックス中に短繊維状のポリプロピレン繊維を混合したコンパウンドである場合は、一般的には、マトリックスをなす有機重合体:ポリプロピレン繊維の質量比が、99:1〜50:50、更には98:2〜55:45、特に97:3〜60:40であることが、複合材料の製造の容易性、複合材料の取り扱い性、成形加工性などの点から好ましい。また、本発明の複合材料が、コンパウンド以外のもの(例えばポリプロピレン繊維よりなる織布、不織布、繊維束などにマトリックスをなす有機重合体を含浸させたものなど)である場合は、一般的には、マトリックスをなす有機重合体:ポリプロピレン繊維の質量比が、70:30〜5:95、更には60:40〜10:90、特に50:50〜15:85であることが、複合材料の製造の容易性、複合材料の取り扱い性、成形加工性などの点から好ましい。
本発明の複合材料は、有機重合体マトリックスおよびポリプロピレン繊維以外に、本発明の目的の妨げにならない範囲で、必要に応じて、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、上記したポリプロピレン繊維以外の有機繊維、無機繊維などの1種または2種以上を含有していてもよい。
本発明の複合材料の製造に当たっては、マトリックスをなす有機重合体の種類、物性(特に、融点、軟化点、硬化温度、反応温度、加硫温度などの熱的性質)、有機重合体の溶媒への溶解性、ポリプロピレン繊維の形態、複合材料の用途や使用目的などに応じて、上記したポリプロピレン繊維の物性および構造が失われないようにして有機重合体マトリックス中にポリプロピレン繊維を含有させ得る方法を採用する。
マトリックスをなす有機重合体が、ポリプロピレン繊維よりも低温で溶融する熱可塑性重合体(ポリプロピレン繊維よりも低温で溶融する熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなど)であって、ポリプロピレン繊維が短繊維状である場合は、典型的には、以下の(1a)の方法を採用して複合材料を製造することができる。
(1a)押出機やその他の適当な溶融混合装置(溶融混練装置)を使用して、短繊維状のポリプロピレン繊維と、ポリプロピレン繊維の融点よりも低温で溶融混合する熱可塑性重合体を溶融混合して、当該熱可塑性重合体マトリックス中に短繊維状のポリプロピレン繊維を含む複合材料(熱可塑性重合体組成物、コンパウンド)を製造する方法。
前記(1a)の方法を行うに当たっては、オレフィン系のエマルジョンなどをポリプロピレン繊維に付与しておくと、溶融混合時に繊維ダマの発生などのトラブルが少なくなるので好ましい。本発明で用いる上記したプロピレン繊維は、耐熱性に優れていて、かなりの高温に曝されても溶融せずに繊維形状を維持できるので、従来よりも高温で熱可塑性重合体への配合、溶融混合を行うことができ、それによって熱可塑性有機重合体中にポリプロピレン繊維を含む複合材料(熱可塑性重合体組成物)を従来よりも高い生産速度で製造することができる。
上記(1a)の方法により得られる複合材料(熱可塑性重合体組成物、コンパウンド)を用いて、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、プレス成形、ブロー成形、押出ブロー成形などのような従来から広く知られている溶融成形を行うことによって、種々の成形体を製造することができる。
また、マトリックスをなす有機重合体が、ポリプロピレン繊維よりも低温で溶融する熱可塑性重合体(以下、ポリプロピレン繊維よりも低温で溶融する熱可塑性重合体を「低温溶融熱可塑性重合体」ということがある)であって、ポリプロピレン繊維が長繊維状、繊維束状、糸状、織編物状、不織布状、網状などの形態をなす場合は、例えば、以下の(1b)〜(1e)の方法で本発明の複合材料を製造することができる。
(1b)長繊維状、繊維束状、糸状のポリプロピレン繊維に、低温溶融熱可塑性重合体をポリプロピレン繊維の全表面を覆うように溶融押出被覆して複合材料を製造する方法;
(1c)織編物状、不織布状、網状)のポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)上に、低温溶融熱可塑性重合体を、溶融押出、溶融流延、カレンダーなどによってシート状に施すと共にポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)中に含浸させて複合材料を製造する方法。
(1d)織編物状、不織布状、網状のポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)上に、低温溶融熱可塑性重合体から予め製造したフィルムやシートを積層し、当該フィルムやシートを加熱して、必要であれば更に押圧して、ポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)中に低温溶融熱可塑性重合体を含浸させて複合材料を製造する方法。
(1e)織編物状、不織布状、網状のポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)に、低温溶融熱可塑性重合体の粉末を施し、加熱し、必要であれば押圧して、ポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)中に低温溶融熱可塑性重合体を含浸させて複合材料を製造する方法。
上記した(1b)〜(1e)の方法で得られる複合材料は、得られる複合材料の構造や形態に応じて、そのままで成形体や製品として用いてもよいし、または更に加熱加工などを行って成形体や最終製品を製造してもよい。
限定されるものではないが、上記した(1d)の方法の具体例としては、上記したポリプロピレン繊維を用いて作製した2軸メッシュと予め製造したポリオレフィン系シートを交互に多層(例えば合計で10層)に積層し、それをポリオレフィン系シートの溶融温度以上で且つポリプロピレン繊維の溶融温度よりも低い温度で熱圧着して、ポリプロピレン繊維補強ポリオレフィンボードを製造する方法などを挙げることができる。これにより得られるポリプロピレン繊維補強ポリオレフィンボードは、補強繊維であるポリプロピレン繊維が上記したように高強度で、高い耐熱性とポリオレフィンに対する優れた接着性を有するため引張強度および引裂き強度が従来のものに比べて飛躍的に向上しており、しかもポリプロピレン繊維の優れた耐熱性によって従来よりも高い温度でポリオレフィン系シートを溶融することができるため、生産速度を十分に高くすることができる。
この場合に、ポリプロピレン繊維を織編物にする代わりに一方向プリプレグ状にすると、ポリプロピレン繊維の強度利用率を高くすることができる。
また、マトリックスをなす有機重合体が、ポリプロピレン繊維の融点よりも低温で硬化する熱硬化性樹脂やポリプロピレン繊維の融点よりも低温で加硫する弾性重合体である場合は、例えば、以下の(2a)および(2b)の方法によって本発明の複合材料を製造することができる。
(2a)短繊維状のポリプロピレン繊維と、ポリプロピレン繊維の融点よりも低温で硬化または加硫する熱硬化性樹脂または弾性重合体を、当該熱硬化性樹脂または弾性重合体の硬化温度または加硫温度よりも低い温度で混合して、当該熱硬化性樹脂または弾性重合体マトリックス中に短繊維状のポリプロピレン繊維を含む複合材料を製造する方法。
(2b)長繊維状、繊維束状、糸状、織編物状、不織布状、網状)のポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)に、ポリプロピレン繊維の融点よりも低温で硬化または加硫する、液状、ペースト状、粉末状、シート状の熱硬化性樹脂または弾性重合体を施し、必要であれば更に押圧して、ポリプロピレン繊維(ポリプロピレン繊維構造体)中に熱硬化性樹脂または弾性重合体を含浸させて複合材料を製造する方法。
上記した(2a)および(2b)の方法で得られる複合材料は、熱硬化性樹脂または弾性重合体の硬化温度または加硫温度で、加熱加工したり、加熱成形(例えばSMC,BMCなど)することによって、目的とする成形体や製品にすることができる。その際に、上記した(2a)および(2b)の方法で得られる複合材料に含まれるポリプロピレン繊維は、従来のポリプロピレン繊維よりも耐熱性に優れていて、熱硬化性樹脂の硬化時の温度または弾性重合体の加硫時の温度に発熱や加熱に耐えることができ、それによって硬化温度または加硫温度を高く設定できるために、従来のポリプロピレン繊維で補強された熱硬化性樹脂成形体や弾性重合体成形体の製造におけるよりも、成形体の生産性を高めることができ、しかも得られる成形体の強度などの力学的特性が優れたものとなる。
さらに、本発明の複合材料は、マトリックスをなす有機重合体を、有機重合体を溶解するがポリプロピレン繊維を溶解または膨潤しない溶媒に溶解して有機重合体溶液を調製し、当該有機重合体溶液を、ポリプロピレン繊維(短繊維、長繊維、繊維束、糸、織編物、不織布、網などの形態をなすポリプロピレン繊維)に含浸した後、ポリプロピレン繊維の融点よりも低い温度で溶媒を除去することによっても製造することができる。
有機重合体を溶解し、ポリプロピレン繊維を溶解または膨潤しない溶媒としては、例えば、水、アセトン、タノール、酢酸、トルエン、フェノール、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スチレンなどを挙げることができ、有機重合体の種類に応じて、前記した溶媒の1種または2種以上を用いることができる。
これにより得られる複合材料は、複合材料を構成する有機重合体マトリックスの種類などに応じて、それぞれの有機重合体に適した方法で、成形加工することによって、目的とする成形体にすることができる。
有機重合体中にポリプロピレン繊維を含む本発明の複合材料を用いて成形体を製造するに当たっては、いわゆる「FRP」(繊維強化プラスチック)の技術分野において従来から採用されている種々の成形方法を採用することができる。本発明で採用できる成形法としては、例えば、溶融成形による射出成形方法、押出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、流延法、ブロー成形法などのような上記した溶融成形法、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、連続パネル成形法、引き抜き成形法、フィラメントワインディング法、チョップ併用フープ巻法、遠心成形法、バッグ法、コールドプレス法、レジンインジェクション法、ホートクレーブ法、プリフォームマッチドダイ法、プリミックス法、シートモールディングコンパウンド法、油中加圧モールド法、積層圧縮法などを挙げることができる。
それぞれの成形法に応じて、それに適した複合材料の製造して用いるとよい。
本発明の複合材料およびそれからなる成形体は、強度などの力学的特性、耐熱性、耐久性、軽量性、リサイクル性に優れているため、それらの特性を活かして、自動車部品、電気・電子部品、衛生用品、日用雑貨、レジャー・スポーツ用品、事務用品、宇宙・航空部品などの種々の用途に有効に用いることができる。
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例などにおいて、ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率(IPF)、延伸時の延伸張力、ポリプロピレン繊維のDSC特性、単繊維繊度、繊維強度、繊維表面の凹凸の平均間隔および平均高さ、射出成形による成形体の引張強度およびシャルピー衝撃強度、シート状成形体の引張強度、並びに積層成形体の曲げ弾性率および曲げ強度は、以下に記載した方法で測定または算出した。
(1)ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率(IPF):
超伝導核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製「Lambda500」)を使用して、非特許文献1に記載されている「13C−NMRスペクトル法」に従ってポリプロピレンのIPFを求めた。具体的には、ポリプロピレン中における、13C−NMRスペクトルにおいてプロピレン単量体単位が5個連続してアイソタクチック結合したプロピレン単位(アイソタクチックペンタッド単位)の含有割合(分率)(%)を求めてIPFとした。その際に、13C−NMRスペクトルにおけるピークの帰属に関しては、非特許文献2に記載されている方法に従って決定した。
(2)延伸時の延伸張力:
荷重張力計測器(日本電産シンポ社製「DTMX−5B」)を使用して、延伸炉(熱風炉)から出た直後の糸、または延伸プレートから離れた直後の糸の張力を測定して延伸張力(cN/dtex)とした。
(3)ポリプロピレン繊維のDSC測定:
ポリプロピレン繊維を温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、長さ1mmに切断し、その5mgを量り採ってアルミパン(容量100μL)(METTLER TOLEDO社製「No.51119872」)に入れ、アルミパンカバー(METTLER TOLEDO社製「No.51119871」)を用いてシールし、走査示差熱量測定器(TA Instuments社製「DSC2010」)を使用して、窒素雰囲気中で、昇温速度10℃/分で測定した1st runのDSC曲線から、吸熱ピークの半価幅(℃)および融解エンタルピー変化量(△H)(J/g)を、図1および図2(特に図2)を参照して前述した方法で求めた。
(4)ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度):
ポリプロピレン繊維を、温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、調湿したポリプロピレン繊維(単繊維)の一定長(900mm)を採取し、その質量を測定して繊度を算出した。同じ調湿ポリプロピレン繊維について、前記と同じ測定操作を10回行い、その平均値を採ってポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)とした。なお、繊維が細くて一定試長の質量測定により繊度が測定できない場合は、同じ調湿繊維について、繊度測定装置(Textechno製「VIBROMAT M」)を使用して繊度を測定した。
(5)ポリプロピレン繊維の繊維強度:
ポリプロピレン繊維を温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、ポリプロピレン繊維(単繊維)を長さ60mmに切断して試料とし、当該試料(長さ60mmのポリプロピレン単繊維)の両端を把持して(両端から10mmまで把持)、繊維強度測定装置(Textechno製「FAFEGRAPH M」)を使用して、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、引張速度60mm/分で伸張して、切断時の応力を測定し、その値をポリプロピレン単繊維の繊度で除して繊維強度(cN/dtex)を求めた。なお同じポリプロピレン繊維について同じ操作を10回行って繊維強度を求め、その平均値を採ってポリプロピレン繊維(ポリプロピレン単繊維)の繊維強度とした。
(6)ポリプロピレン繊維の繊維表面の凹凸の平均間隔および平均高さ:
走査型電子顕微鏡(HITACHI製「S−510」)を使用して、ポリプロピレン繊維(単繊維)を、繊維軸に対して垂直方向から1000倍の倍率で写真撮影し、得られた写真について、図3に基づいて先に説明した方法にしたがって、繊維表面の凹凸の平均間隔および平均高さを求めた。平均間隔および平均高さの算出に当たっては、10本のポリプロピレン繊維(単繊維)について、1本の繊維につき、5箇所(各測定箇所の間隔10cm)ずつを選んでその箇所での凹凸の間隔および高さを測定し(延べ50箇所)、その平均値を採って、凹凸の平均間隔(μm)および平均高さ(μm)とした。
(7)射出成形による成形体の引張強度:
以下の実施例1〜3および比較例1で得られた射出成形による成形体(射出成形で製造した試験片)の引張強度を、JIS K7160(ISO 527−1)に準じて測定した。
(8)射出成形による成形体のシャルピー衝撃強度:
以下の実施例1〜3および比較例1で得られた射出成形体(射出成形で製造した試験片)のノッチ付きシャルピー衝撃強度を、JIS 7111(ISO 179−1)に準じて測定した。
(9)シート状成形体の引張強度:
以下の実施例4〜6および比較例2で得られたシート状成形体(厚さ1mm)から、JIS K6773に準じて、1号ダンベル状試験片を切り出し、当該ダンベル状試験片を用いてJIS K6773に準じて引張強度を測定した。
(10)積層成形体の曲げ弾性率および曲げ強度:
以下の実施例7〜9および比較例3で得られた積層成形体から、長さ×幅×厚さ=90mm×15mm×3mmの試験片を切り出し、JIS K7017に準じて、3点曲げ試験を行って、曲げ弾性率および曲げ強度を測定した。
《製造例1》[ポリプロピレン繊維(a−1)の製造]
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%、MFR=18g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して240℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度245℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から22.3g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取り、室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=153.5℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.18cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−1)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−1)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、摩擦防融性、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
また、上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−1)]を、走査型電子顕微鏡(HITACHI製「S−510」)を使用して写真撮影(倍率1000倍)したところ、図4に示すとおりであった。
《製造例2》[ポリプロピレン繊維(a−2)の製造]
(1) 製造例1の(1)において、未延伸糸の引き取り速度を3000m/分に変えた以外は製造例1の(1)と同じ操作を行って、ポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=214dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で3.1倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=69dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=155.3℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.8倍/分および延伸張力1.34cN/dtexの条件下に、3段で1.5倍に後延伸して、総延伸倍率が4.7倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=46dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−2)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−2)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、摩擦防融性、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例3》[ポリプロピレン繊維(a−3)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを溶融紡糸装置の押出機に投入して240℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度245℃の紡糸口金[孔数48個(十字形孔)、孔径0.2mm]から20.2g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=436dtex/48フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度138℃の熱風炉に導入して、2段で3.9倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=112dtex/48フィラメント、吸熱開始温度=155.2℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度2.1倍/分および延伸張力1.12cN/dtexの条件下に、1段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が5.1倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=86dtex/48フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−3)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−3)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、摩擦防融性、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例4》[ポリプロピレン繊維(b−1)の製造]
(1) 製造例1の(1)および(2)と同じ操作を行ってポリプロピレン前延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−1)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン前延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−1)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、摩擦防融性および保水率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。なお、この製造例4で得られたポリプロピレン繊維は、表面に凹凸を有していなかった。
《実施例1〜3および比較例1》[短繊維状のポリプロピレン繊維を含有する複合材料(ポリエチレン組成物)および射出成形体の製造]
(1) 製造例1〜4で得られたポリプロピレン繊維(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b−1)のそれぞれを長さ5mmに切断して短繊維にし、当該ポリプロピレン短繊維のそれぞれと、低密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製「ネオゼックス45200」、MFR=20g/10min)を、低密度ポリエチレン:ポリプロピレン短繊維=90:10質量比で押出機に供給し、160℃で溶融混練した後、押し出し、切断して、低密度ポリエチレンよりなるマトリックス中にポリプロピレン短繊維を含む複合材料(低密度ポリエチレン組成物)のペレットを製造した。
(2) 上記(1)で得られたペレットを用いて、電動式射出成形機(東芝機械社製「EC75N II)を使用して、溶融温度165℃、金型温度30℃の条件下に射出成形を行って、JIS K7139(ISO−3167)に準じて多目的試験片(射出成形による成形体)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた試験片(射出成形による成形体)を用いて、上記した方法で引張強度およびシャルピー衝撃強度を測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
上記の表2にみるように、実施例1〜3では、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、DSC特性が本発明で規定する要件を満たすか、単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たすか、或いはDSC特性と単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たしていて耐熱性が高く、所定の凹凸を有するポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−3)のいずれかを用いて低密度ポリエチレンよりマトリックス中にポリプロピレン短繊維を含む複合材料を製造し、当該複合材料を用いて射出成形によって成形体を製造したことにより、実施例1〜3で得られた成形体は、引張強度およびシャルピー衝撃強度が大きく、力学的特性に優れている。
それに対して、比較例1では、DSC特性および繊維表面における凹凸特性の両方が本発明の規定から外れているポリプロピレン繊維(b−1)からなる短繊維を用いて、低密度ポリエチレンよりなるマトリックス中に当該ポリプロピレン短繊維が含まれる複合材料を製造し、当該複合材料を用いて成形体を製造したことにより、比較例1で得られた成形体は、引張強度およびシャルピー衝撃強度のいずれもが、実施例1〜3で得られた成形体に比べて大幅に小さく、実施例1〜3の成形体に比べて力学的特性が大きく劣っている。
《実施例4〜6および比較例2》[短繊維状のポリプロピレン繊維を含有する複合材料(ポリエチレン組成物)およびシート状成形体の製造]
(1) 製造例1〜4で得られたポリプロピレン繊維(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b−1)のそれぞれを長さ5mmに切断して短繊維にし、当該ポリプロピレン短繊維のそれぞれを用いて、実施例1〜3の(1)と全く同様にして、低密度ポリエチレンよりなるマトリックス中にポリプロピレン短繊維を含む複合材料(低密度ポリエチレン組成物)のペレットを製造した。
(2) 上記(1)で得られたペレットを用いて、温度150℃で熱プレス成形して、厚さ1mmのシート状成形体を製造した。
(3) 上記(2)で得られたシート状成形体から、JIS K6773に準じて1業ダンベル状の試験片を切り出し、上記した方法で引張強度を測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
上記の表3にみるように、実施例4〜6では、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、DSC特性が本発明で規定する要件を満たすか、単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たすか、或いはDSC特性と単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たしていて耐熱性が高く、所定の凹凸を有するポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−3)のいずれかを用いて低密度ポリエチレンよりマトリックス中にポリプロピレン短繊維を含む複合材料を製造し、当該複合材料を用いてシート状成形体を製造したことにより、実施例4〜6で得られたシート状成形体は、引張強度が大きく、力学的特性に優れている。
それに対して、比較例2では、DSC特性および繊維表面における凹凸特性の両方が本発明の規定から外れているポリプロピレン繊維(b−1)からなる短繊維を用いて、低密度ポリエチレンよりなるマトリックス中に当該ポリプロピレン短繊維が含まれる複合材料を製造し、当該複合材料を用いてシート状成形体を製造したことにより、比較例2で得られたシート状成形体は、引張強度が、実施例4〜6で得られたシート状成形体に比べて大幅に小さく、実施例4〜6のシート状成形体に比べて力学的特性が大きく劣っている。
《実施例7〜9および比較例3》[ポリプロピレン繊維織物を含有する複合材料および積層成形体の製造]
(1) 製造例1〜4で得られたポリプロピレン繊維(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b−1)を束ねて約1000dtexの糸(マルチフィラメント糸)にし、そのマルチフィラメント糸を用いて、基布密度が経30本/25.4mmおよび緯30本/25.4mmの平織生地を製造した。
(2) 上記(1)で得られた平織生地に、エポキシ樹脂[ナガセケムテック社製、主剤:DENATOOL XNR6708、硬化剤:DENATOOL XNH6708、主剤/硬化剤=100/33(質量比)]を含浸してエポキシ樹脂含浸平織生地を調製し[エポキシ樹脂の含浸量=58質量%(平織生地の1.4質量倍)]、当該エポキシ樹脂含浸平織生地をハンドライアップ法で10枚積層し、25℃で16時間乾燥した後、熱風循環型乾燥機中で60℃に2時間乾燥し、次いで120℃で3時間熱硬化させた後、160℃で更に1時間熱硬化させて、厚さ3mmの積層成形体を製造した。
(3) 上記(2)で得られた積層成形体から試験片を切り出して、上記した方法で3点曲げ試験を行って、曲げ弾性率および曲げ強度を測定した。その結果を下記の表4に示す。
上記の表4にみるように、実施例7〜9では、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、DSC特性が本発明で規定する要件を満たすか、単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たすか、或いはDSC特性と単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たしていて耐熱性が高く、所定の凹凸を有するポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−3)のいずれかからなる平織生地を用いてエポキシ樹脂中に当該ポリプロピレン繊維平織生地)を含む複合材料を製造し、当該複合材料を硬化して積層成形体を製造したことにより、実施例7〜9で得られた積層成形体は、曲げ弾性率および曲げ強度が大きく、力学的特性に優れている。
それに対して、比較例3では、DSC特性および繊維表面における凹凸特性の両方が本発明の規定から外れているポリプロピレン繊維(b−1)からなる平織生地を用いて、エポキシ樹脂よりなるマトリックス中に当該ポリプロピレン繊維平織生地が含まれる複合材料を製造し、当該複合材料を用いて積層成形体を製造したことにより、比較例3で得られた積層成形体は、曲げ弾性率および曲げ強度の両方が、実施例7〜9で得られた積層成形体に比べて大幅に小さく、実施例7〜9の積層成形体に比べて力学的特性が大きく劣っている。
本発明の複合材料は、強度が大きく、しかも耐熱性に優れていて、高温に曝されても繊維の溶融、溶断、物性低下がなく、更には有機重合体との接着性に優れるポリプロピレン繊維を、有機重合体よりなるマトリックス中に含んでいるため、本発明の複合材料およびそれからなる成形体は、強度などの力学的特性に優れ、しかも耐熱性および耐久性に優れており、それらの特性を活かして各種用途に有効に使用することができる。
ポリプロピレン繊維におけるDSC測定による吸熱ピーク形状を模式的に示した図である。 ポリプロピレン繊維のDSC測定による吸熱ピークにおける半価幅の求め方を示した図である。 本発明の複合材料に用いるポリプロピレン繊維の凹凸形状を模式的に示すと共に、凹凸の平均間隔および平均高さの求め方について説明した図である。 製造例1で得られたポリプロピレン繊維の走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。

Claims (6)

  1. 有機重合体よりなるマトリックス中にポリプロピレン繊維を含む複合材料であって、前記ポリプロピレン繊維が、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維であることを特徴とする複合材料。
  2. 有機重合体よりなるマトリックス中にポリプロピレン繊維を含む複合材料であって、前記ポリプロピレン繊維が、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ単繊維繊度が0.1〜3dtexで、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維であることを特徴とする複合材料。
  3. 有機重合体よりなるマトリックス中にポリプロピレン繊維を含む複合材料であって、前記ポリプロピレン繊維が、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、単繊維繊度が0.1〜3dtexで、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維であることを特徴とする複合材料。
  4. ポリプロピレン繊維が、短繊維、長繊維、繊維束、糸、織編物、不織布または網の形態である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
  5. 有機重合体が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および弾性重合体から選ばれる少なくとも1種の有機重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料からなる成形体。
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