JP2002194616A - 高強度ポリエチレン繊維 - Google Patents

高強度ポリエチレン繊維

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JP2002194616A JP2000387652A JP2000387652A JP2002194616A JP 2002194616 A JP2002194616 A JP 2002194616A JP 2000387652 A JP2000387652 A JP 2000387652A JP 2000387652 A JP2000387652 A JP 2000387652A JP 2002194616 A JP2002194616 A JP 2002194616A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種スポーツ衣料や防弾・防護衣料・防護手袋
や各種安全用品などの高性能テキスタイル、タグロープ
・係留ロープ、ヨットロープ、建築用ロープなどの各種
ロープ製品、釣り糸、ブラインドケーブルなどの各種組
み紐製品、漁網・防球ネットなどの網製品さらには化学
フィルター・電池セパレーターや各種不織布の補強材あ
るいはテントなどの幕材、又はヘルメットやスキー板な
どのスポーツ用やスピーカーコーン用やプリプレグなど
のコンポジット用の補強繊維など産業上広範囲に応用可
能な高強度でしかも圧縮応力の優れたポリエチレン繊維
を提供すること。 【解決手段】引っ張り強度が15cN/dtex以上、
及び引っ張り弾性率が300cN/dtex以上のポリ
エチレン繊維であり、かつ小角X線散乱測定において1
00A以下の長周期構造が観察される高強度ポリエチレ
ン繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種スポーツ衣料
や防弾・防護衣料・防護手袋や各種安全用品などの高性
能テキスタイル、タグロープ・係留ロープ、ヨットロー
プ、建築用ロープなどの各種ロープ製品、釣り糸、ブラ
インドケーブルなどの各種組み紐製品、漁網・防球ネッ
トなどの網製品さらには化学フィルター・電池セパレー
ターや各種不織布の補強材あるいはテントなどの幕材、
又はヘルメットやスキー板などのスポーツ用やスピーカ
ーコーン用やプリプレグなどのコンポジット用の補強繊
維など、産業上広範囲に応用可能な新規な高強度ポリエ
チレン繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度ポリエチレン繊維に関しては例え
ば、特公昭60―47922号公報に開示されるごと
く、超高分子量のポリエチレンを原料にし、いわゆる
“ゲル紡糸法”により従来にない高強度・高弾性率繊維
が得られることが知られており、既に産業上広く利用さ
れている。これらの高強度ポリエチレン繊維は高強度・
高弾性率である利点と反面して、高度に結晶化している
為、圧縮応力に弱いという欠点があった。つまり繊維軸
方向の引っ張りには非常に強いものの逆に圧縮応力がか
かる用途に使用した場合、非常に低い圧縮応力で破壊が
生じるなどの問題があった。
【0003】特公昭64−8732公報に開示されるが
ごとく、重量平均分子量60万以上の超高分子量にポリ
エチレンを原料にし、いわゆる“ゲル紡糸法”により、
従来にない、高強度・高弾性率のポリエチレン繊維が開
示されている。しかしながらこのようにゲル紡糸法用い
て高強度・高弾性率ポリエチレン繊維を製造する場合、
製造された繊維は高度に欠陥が排除された結晶(秩序度
の高い結晶)から形成されているため、繊維物性は非常
に高いものの前述の如く圧縮応力に対して弱いという欠
点が指摘されている。このことは、小角X線散乱測定に
おいて長周期構造が観察されないことで確認されてい
る。
【0004】また、すでに市販されている溶融紡糸で作
られたポリエチレン繊維に於いては、高性能な製品に於
いても引っ張り強度が高々10cN/dtex程であ
り、本発明の如く15cN/dtexを越えるような高
強度ポリエチレン繊維は製造・販売されていないのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この原因について発明
者らは、以下のように推定している。すなわち、溶融紡
糸で高強度ポリエチレン繊維を製造する場合に於いて
は、ポリマー中の分子鎖のからみ合いが非常に多いため
にノズルからポリマーを押し出し引き取った後充分延伸
を行えないことが挙げられる。またそのことにより前述
のゲル紡糸とは逆に、製造した繊維も内部構造は、繊維
軸方向への配向度も悪く結晶としての秩序度の低い部分
の割合が増大することになり結果として繊維の物性が低
下する。さらに、分子量が100万を越える様な超高分
子量ポリマーを、溶融紡糸法を用いて紡糸することは成
形加工機械の制約上実質的に不可能である。たとえ紡糸
が出来たとしても充分高い倍率で延伸が行えず、強度が
低いものとなる。逆に、分子量が100万を越える超高
分子量のポリエチレンを用いた、分子鎖のからみあいを
少なくするために前述のゲル紡糸という手法があるが、
この場合、超延伸操作を行うことは可能となるが、結果
として出来てきた繊維の構造は小角X線線散乱測定に於
いて長周期構造が観察されないほど高度に結晶化・秩序
化してしまうため、高物性のまま繊維内に不均構造を導
入することが出来ない。本発明においてはこのような従
来の溶融紡糸やゲル紡糸のような手法では得ることが困
難であった圧縮特性に優れる且つ引っ張り強度が15c
N/dtex以上、及び引っ張り弾性率が300cN/
dtex以上であり、驚くべきことに小角X線散乱測定
において100A以下の長周期構造が観察されるという
繊維構造上の特徴を有する高強度ポリエチレン繊維を得
ることに成功した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、引っ
張り強度が15cN/dtex以上、引っ張り弾性率が
300cN/dtex以上であり、かつ小角X線散乱測
定において100A以下の長周期構造が観察されること
を特徴とする高強度ポリエチレン繊維である。さらに子
午線と直角方向のフィブリルを構成する結晶の幅が10
0Å以上で有ることを特徴とし、その長周期構造の繰り
返し1ユニット内に於いて秩序の高い部分(結晶)が占
める割合が75%以上で有ることを特徴とする高強度ポ
リエチレン繊維である。以下本発明を詳細に解説する
【0007】本発明における高強度ポリエチレン繊維
は、引っ張り強度が15cN/dtex以上、及び引っ
張り弾性率が300cN/dtex以上であり、かつ小
角X線散乱測定において100Å以下の長周期構造が観
察されることを特徴とする。
【0008】即ち、先ず本発明者らは、上述の従来から
の強い要求である高強度であり且つ応力緩和が可能な構
造を有するポリエチレン繊維はいかなる形態を呈するの
か、或いはどういった形態が理想的なのかを検討した。
その結果、高度に秩序化した結晶の中に非晶部又は結
晶、非晶の中間的な状態つまり結晶部よりも電子密度が
低い部分を導入した形態が最も強度、等の物性を維持し
つつ圧縮特性を向上させ得るモデルであることを明らか
にした。しかしそのような形態モデルは上述した従来技
術を用いても達成することは極めて困難である。即ち、
繊維の中に非晶部または結晶、非晶の中間的な状態つま
り結晶部よりも電子密度が低い部分(秩序度の低い部
分)を導入したとするとその部分が欠陥となり繊維の物
性、強度・弾性率が低下するためである。そこで本発明
者らは、上記本件発明の要件を具備する新規な形態を有
するポリエチレン繊維を得ることに成功したのである。
以下、本発明を詳述する。本発明において上述の形態モ
デルを反映している特性の一つとして小角X線散乱測定
において100Å以下の長周期構造が観察されることが
挙げられる。好ましくは、80Å以下であり、さらに好
ましくは60A以下である。小角X線で観察される長周
期構造が無い場合は繊維の構造内に応力を緩和する非晶
部又は結晶、非晶の中間的な状態つまり結晶部よりも電
子密度が低い部分(結晶としての秩序度が低い部分)が
無くなってしまうため好ましくない。長周期構造が10
0Aを越えると緩和する非晶部又は結晶、非晶の中間的
な状態な部分が存在するものの、長周期構造がしきい値
(100Å)よりも大きいため欠陥構造としての役目も
果たしてしまうためその様な繊維の引っ張り強度・弾性
率は低く、物性面で要求特性を満たさない。それ故に、
繊維を構成する結晶については、高度に結晶化秩序化さ
せた状態になければならないが、同時にその結晶内部に
少量の秩序度の低い部分を内蔵せしめることが必須条件
であることを鋭意検討の結果見出した。この繊維は小角
X線散乱において干渉点パターンを示し、その長周期構
造が100Å以下であるという非常に特異な構造的特徴
を有することが判明した。そのような繊維構造の特徴は
後述するように小角X線散乱パターンをYABUKIら
の方法を用いて解析することにより定量的に示すことが
出来る。
【0009】このような本発明の高強度ポリエチレン繊
維は、これまでに製造することが極めて困難であった。
つまり、従来の技術では小角X線散乱測定に於いて10
0Å以下の長周期構造が観察される繊維は強度が非常に
弱く実用レベルでの使用に達していなかった。さらに、
引っ張り強度・弾性率を向上させるには、前述の如くゲ
ル紡糸などの特殊な紡糸を行うことでしか達成すること
が困難であった。しかしながら、発明者らは鋭意努力し
例えば後述の製造方法を採用することにより、高強度で
あるにも関わらず、圧縮特性に優れ、引っ張り強度が1
5cN/dtex以上、及び引っ張り弾性率が300c
N/dtex以上であり、小角X線散乱測定において1
00A以下の長周期構造が観察されることを特徴とする
高強度ポリエチレン繊維を得ることを可能とした。
【0010】本繊維を製造する方法は、上述のごとく慎
重でかつ新規な製造法を採用する必要であり、例えば以
下のような方法が推奨されるが、それに限定されるもの
では無い。すなわち本繊維の製造に当たっては、原料ポ
リエチレンの重量平均分子量が60,000〜600、
000であることが重要であり、繊維状態での重量平均
分子量が50,000〜300,000であり、重量平
均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.5以
下となることが重要である。好ましくは、原料ポリエチ
レンの重量平均分子量が60,000〜300、000
であることが重要であり、繊維状態での重量平均分子量
が50,000〜200,000であり、重量平均分子
量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下とな
ることが重要である。さらに好ましくは、原料ポリエチ
レンの重量平均分子量が60,000〜200、000
であることが重要であり、繊維状態での重量平均分子量
が50,000〜150,000であり、重量平均分子
量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.0以下とな
ることが極めて重要である。
【0011】本発明におけるポリエチレンとは、その繰
り返し単位が実質的にエチレンであることを特徴とし、
少量の他のモノマー例えばα−オレフィン,アクリル酸
及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導体,ビニル
シラン及びその誘導体などとの共重合体であっても良い
し、これら共重合物どうし、あるいはエチレン単独ポリ
マーとの共重合体、さらには他のα−オレフィン等のホ
モポリマーとのブレンド体であってもよい。特にプロピ
レン,ブテンー1などのαオレフィンと共重合体を用い
ることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度含有させる
ことは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延伸において
の製糸上の安定を与えることとなり、より好ましい。し
かしながらエチレン以外の含有量が増えすぎると反って
延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾性率繊維を得
るという観点からはモノマー単位で0.2mol%以
下、好ましくは0.1mol%以下であることが望まし
い。もちろんエチレン単独のホモポリマーであっても良
い。また、繊維状態の分子量分布を上記値にコントロー
ルする為に溶解押し出し工程や紡糸工程で意図的にポリ
マーを劣化させても良いし、予め狭い分子量分布を持つ
例えばメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン
を使っても良い。
【0012】原料ポリエチレンの重量平均分子量が6
0,000未満となると溶融成形加工をし易いものの分
子量が低い為に実際に得られる糸の強度は小さいものと
なる。また、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60
0、000を越えるような高分子量ポリエチレンでは溶
融粘度が極めて高くなり、溶融成型加工が極めて困難と
なる。又、繊維状態の重量平均分子量と数平均分子量の
比が4.5以上となると同じ重量平均分子量のポリマー
を用いた場合と比較し最高延伸倍率が低く又、得られた
糸の強度も低くなる。これは、緩和時間の長い分子鎖が
延伸を行う際に延びきることができずに破断が生じてし
まうことと、分子量分布が広くなることによって低分子
量成分が増加するために分子末端が増加することにより
強度低下が起こると推測している。
【0013】このように特定の原料ポリエチレンを使用
すると同時に紡糸・延伸条件についてもより慎重な製造
条件の採用が推奨される。即ち本発明の推奨する製造方
法においては、このようなポリエチレンを押し出し機で
溶融押し出しし、ギアポンプにて定量的に紡糸口金を介
して吐出させる。その後冷風にて該糸状を冷却し、所定
の速度で引き取る。この際、充分素早く引き取ることが
重要である。即ち、吐出線速度と巻き取り速度の比が1
00以上で有ることが重要である。好ましくは150以
上、さらに好ましくは200以上である。吐出線速度と
巻き取り速度の比は、口金口径、単孔吐出量、ポリマー
密度、巻き取り速度から計算することが出来る。
【0014】次に以下に示す方法で一段延伸もしくは多
段延伸することが推奨される。この時紡糸した糸状を巻
き取る事無し連続的に延伸しても良いし、一度巻き取っ
た後に延伸してもよい。延伸操作は、何台かのゴデット
ロールにて行われる。多段延伸する場合は、必要分ゴデ
ットローラを増やせば良い。各々のゴデットロールは任
意の温度に設定することが可能である。また、各々のゴ
デットロール間には、温度・長さが調節可能なスリット
ヒータを任意に設置することが可能となっている。望ま
しくは2台目のゴデットロールは20〜90℃で延伸倍
率(DR1)1.5〜5倍、3台目は100〜130℃
とする。2台目と3台目のゴデットロール間でネック延
伸が行われる。ここで重要なことは、ネック延伸を行っ
た後すぐ3台目と4台目のゴデットロール間(DR2)
で0.90〜0.99倍のリラックス延伸することが重
要である。この際あまりリラックスさせすぎると物性面
で好ましくない。その後、4台目と5台目のゴデットロ
ーラ間で延伸(DR3)する。4台目は100〜130
℃、5台目は100〜150℃に保たれている。4台目
と5台目のローラ間には、スリットヒータを設置しても
よい。更に延伸(DR4)を行う場合には、6台目のゴ
デットロールを用いる。その場合、5台目と6台目のゴ
デットロールの間には、スリットヒータを設置すること
もできる。その後、更に数パーセントのリラックスを行
い最終的にワインダーに巻き取られる。さらに多段に延
伸を行う際には、さらにゴデットロールとスリットヒー
タを用いればよい。
【0015】以下に本発明における特性値に関する測定
法および測定条件を説明する。
【0016】(強度・弾性率)本発明における強度,弾
性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、
試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100
%/分の条件で歪ー応力曲線を雰囲気温度20℃、相対
湿度65%条件下で測定し、曲線の破断点での応力を強
度(cN/dtex)、曲線の原点付近の最大勾配を与
える接線より弾性率(cN/dtex)を計算して求め
た。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
【0017】(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn
及びMw/Mn)重量平均分子量Mw、数平均分子量M
n及びMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置
としては、Waters製GPC 150C ALC/
GPCを持ち、カラムとしてはSHODEX製GPC
UT802.5を一本UT806Mを2本用いて測定し
た。測定溶媒は、o−ジクロロベンゼンを使用しカラム
温度を145度した。試料濃度は1.0mg/mlと
し、200マイクロリットル注入し測定した。分子量の
検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により分
子量既知のポリスチレン試料を用いて構成されている。
【0018】(小角X線測定)小角X線散乱は、下記の
方法で測定を行った。測定に供するX線は、(株)リガ
ク製ローターフレックスRU−300を用いて発生させ
る。ターゲットとして銅対陰極を用い、出力30kV
x 30mAのファインフォーカスで運転を行った。光
学系は点収束カメラを用い、X線はニッケルフィルター
を用いて単色化した。検出器は、フジ写真フィルム
(株)製イメージングプレート(FDL UR−V)を
用いた。試料と検出器間の距離は200mm乃至350
mmの間の適当な距離でよい。空気などからの妨害バッ
クグラウンド散乱を抑えるため、試料と検出器の間は、
ヘリウムガスを充填する。露光時間は2時間乃至3時間
である。イメージングプレート上に記録された散乱強度
信号の読みとりは、富士写真フィルム(株)製デジタル
ミクログラフィー(FDL5000)を用いる。得られ
たデータから、サンプルの長周期を求めた。また、Ts
vankinら(Kolloid−Z.u.Z,pol
ymere 250,518−529(1972))の
方法を応用した、YABUKIら(TEXTILE R
ESERCH JOURNAL,56,41−48(1
986))の方法により子午線と直角方向のフィブリル
を構成する、結晶の幅と長周期構造の繰り返しユニット
内に於ける秩序度の高い部分(結晶)が占める割合を求
めた。YABUKIらによると、軸対称を考慮すると小
角X線散乱の強度式は1式で表される。ここで、Jは回
折関数、aは電子密度の高い領域の子午線方向の大き
さ、bはその幅、fはその厚み、Zは電子密度の低い領
域の子午線方向の大きさ、βはβ=Δ/aであり、Δは
電子密度の高い領域と低い領域の界面層の厚みを表す。
h,k,lは実空間座標x,y,zに対応する逆格子空
間軸である(図1参照、図中Ψは傾斜角を示す)。小角
X線散乱像を式1から計算し、実際に得られた小角X線
散乱像を再現するように、パラメータa,b,Zの値を
決定した。また、長周期構造の繰り返しユニット内に於
ける秩序の高い部分(結晶)が占める割合(q)は2式
で計算される。
【0019】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を説明する。
【0020】(実施例1)重量平均分子量115,00
0、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.3である
高密度ポリエチレンを0.8mm10Hからなる紡糸口
金から290度で単孔吐出量0.5g/minの速度で
押し出した。押し出された繊維は、25度の冷風でクエ
ンチされ、300m/min速度で巻き取られる。該未
延伸糸を、5m/minで延伸機に投入し総延伸倍率
9.0倍の延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1に
示した。
【0021】(実施例2)総延伸倍率を15.0倍にし
た以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた繊維
の物性を表1に示した。
【0022】(実施例3)1.2mm10Hからなる紡
糸口金を使用し単孔吐出量を1.5g/minとし、総
延伸倍率を12.0倍にした以外は実施例1と同様に実
験を行った。延伸糸の物性を表1に示した。
【0023】(実施例4)総延伸倍率を20.0倍にし
た以外は実施例3と同様に実験を行った。得られた繊維
の物性を表1に示した。
【0024】(実施例5)重量平均分子量152,00
0、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.4である
高密度ポリエチレンを、1.2mm10Hの紡糸口金か
ら300度で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し
出した以外は実施例1と同様にして未延伸糸を得た。該
未延伸糸を、5m/minで延伸機に投入し総延伸倍率
17.0倍の延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1
に示した。
【0025】(比較例1)重量平均分子量3,200,
000、重量平均分子量と数平均分子量の比が6.3で
ある超高分子量ポリエチレンを10wt%およびデカヒ
ドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散
しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練
り機で溶解し、170℃に設定した直径0.9mmを5
00ホール有する口金に計量ポンプにて単孔吐出量1.
2g/minで供給した。ノズル直下に設置したスリッ
ト状の気体供給オリフィスにて1.2m/分の速度で1
00℃に調整した窒素ガスをできるだけ糸条に均等に当
たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的に蒸発さ
せ、ノズル下流に設置されたネルソン状のローラーにて
80m/分の速度で引き取られた、この際に糸状に含有
される溶剤は元の重量の約20wt%まで低下してい
た。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オーブン
下で3.4倍に延伸した、引き続きこの繊維を149度
に設置した加熱オーブン中にて4.0倍で延伸した。途
中破断することなく均一な繊維が得ることができた。得
られた繊維の物性を表2に示した。
【0026】(比較例2)重量平均分子量125,00
0、重量平均分子量と数平均分子量の比が4.9である
高密度ポリエチレンを0.8mm10Hからなる紡糸口
金から300度で単孔吐出量0.5g/minの速度で
押し出した。押し出された繊維は、270度に加熱され
た長さ60cmのホットチューブを通りその後20度に
保たれた空気によりクエンチされ、90m/min速度
で巻き取られる。該未延伸糸を、100度に加熱し10
m/minで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後
130度まで加熱し15倍の延伸を行い、延伸糸を得
た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0027】(比較例3)比較例2の未延伸糸を100
度に加熱し10m/minで供給し2倍の延伸を行っ
た。さらにその後130度まで加熱し16倍の延伸を行
おうとしたが、糸切れが生じ延伸糸を得ることができな
かった。
【0028】(比較例4)重量平均分子量125,00
0、重量平均分子量と数平均分子量の比が6.7である
高密度ポリエチレンを実施例1と同様にして紡糸を行っ
た。得られた未延伸糸を100度に加熱し10m/mi
nで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後130度
まで加熱し7倍の延伸を行った。得られた繊維の物性を
表2に示した。
【0029】(比較例5)市販されているポリエチレン
モノフィラメントについて引っ張り強度・弾性率、小角
X線散乱における長周期を求めた。結果を表2に示し
た。
【0030】(比較例6)比較例6と同様に市販されて
いるポリエチレンマルチフィラメントについて引っ張り
強度・弾性率、小角X線散乱における長周期を求めた。
結果を表2に示した。
【0031】(比較例7)紡糸速度を60m/minと
した以外は、実施例1と同様にして未延伸糸を得た。得
られた未延伸糸を80度に加熱し5m/minで供給し
2倍の延伸を行った。さらにその後130度まで加熱し
11倍の延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示
した。
【0032】
【数1】
【0033】
【数2】
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明によると産業上広範囲に応用可能
な高強度でしかも圧縮応力の優れたポリエチレン繊維を
提供することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tsvankinらのモデルによる小角X線散
乱パタ−ンから解析したモデル構造を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大田 康雄 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4L035 BB31 BB40 BB56 BB89 BB91 BB94 EE08 EE09 EE20 FF01 FF02 HH01 HH04 HH05 MA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引っ張り強度が15cN/dtex以上、
    及び引っ張り弾性率が300cN/dtex以上であ
    り、かつ小角X線散乱測定において100A以下の長周
    期構造が観察されることを特徴とする高強度ポリエチレ
    ン繊維。
  2. 【請求項2】小角X線散乱測定において80A以下の長
    周期構造が観察されることを特徴とする請求項1記載の
    高強度ポリエチレン繊維。
  3. 【請求項3】小角X線散乱測定において60A以下の長
    周期構造が観察されることを特徴とする請求項1記載の
    高強度ポリエチレン繊維。
  4. 【請求項4】子午線と直角方向のフィブリルを構成する
    結晶の幅(=b)が100Å以上で有ることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の高強度ポリエチレン
    繊維。
  5. 【請求項5】長周期構造の繰り返し1ユニット内に於い
    て秩序度の高い部分(結晶)(=q)が占める割合が7
    5%以上で有ることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載のポリエチレン繊維。
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