JP2009136916A - ダイカスト金型及びダイカスト法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋳抜きピンとダイカスト金型の孔との隙間に浸入した水がキャビティ内に吸い出されることを防止するダイカスト金型及びダイカスト法の提供。
【解決手段】ダイカスト金型1は、固定型2と、固定型2と共にキャビティ5を画成する可動型3と、固定型2又は可動型3の孔8に挿入されてキャビティ5内に突出する鋳抜きピン7とを有する。孔8内には鋳抜きピン7に貫通されるエンジニアリングプラスチック製のリング状シール部材9が配設され、リング状シール部材9が熱膨脹することにより孔8と鋳抜きピン7との間が密閉される。
【選択図】図2
【解決手段】ダイカスト金型1は、固定型2と、固定型2と共にキャビティ5を画成する可動型3と、固定型2又は可動型3の孔8に挿入されてキャビティ5内に突出する鋳抜きピン7とを有する。孔8内には鋳抜きピン7に貫通されるエンジニアリングプラスチック製のリング状シール部材9が配設され、リング状シール部材9が熱膨脹することにより孔8と鋳抜きピン7との間が密閉される。
【選択図】図2
Description
本発明はダイカスト金型及びダイカスト法に関する。
ダイカスト金型は、ダイカスト品に穴部を成形する為の鋳抜きピンを備える場合がある。鋳抜きピンは、ダイカスト金型に形成された孔に挿入されてキャビティ内に突出する。(特許文献1参照)
ダイカスト金型においては、ダイカスト金型の外冷等に用いられた水が型内に浸入し、さらには鋳抜きピンと該鋳抜きピンが挿入されるダイカスト金型の孔との隙間に浸入する場合がある。鋳抜きピンとダイカスト金型の孔との隙間に浸入した水は、キャビティ内に充填されたアルミニウム合金等の溶湯が凝固する際の収縮に伴い発生する負圧や、キャビティ内を真空排気した場合のキャビティ内の負圧によってキャビティ内に吸い出されることになる。この様に鋳抜きピンとダイカスト金型の孔の隙間から水がキャビティ内に吸い出されると、ダイカスト品の品質に悪影響を与えるという問題が生じる。
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされ、鋳抜きピンとダイカスト金型の孔との隙間に浸入した水がキャビティ内に吸い出されることを防止するダイカスト金型及びダイカスト法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、固定型2と、該固定型2と共にキャビティ5を画成する可動型3と、該固定型2又は可動型3の孔8に挿入されて該キャビティ5内に突出する鋳抜きピン7とを有するダイカスト金型1において、該孔8内には該鋳抜きピン7に貫通されるエンジニアリングプラスチック製のリング状シール部材9が配設され、該リング状シール部材9が熱膨脹することにより該孔8と該鋳抜きピン7との間が密閉されるダイカスト金型1を提供している。
また、本発明は、該リング状シール部材9は、該鋳抜きピン7の軸線方向又は該鋳抜きピン7の軸線方向に直交する周方向の少なくとも一つの方向に熱膨張することにより該孔8と該鋳抜きピン7との間を密閉するダイカスト金型1を提供している。
また、本発明は、上記ダイカスト金型1を用いてダイカストするダイカスト法を提供している。
本発明の請求項1及び請求項2のダイカスト金型、及び請求項2のダイカスト法によれば、孔内に鋳抜きピンに貫通されるエンジニアリングプラスチック製のリング状シール部材を配設したので、ダイカスト金型の型温が上昇した際にはリング状シール部材が熱膨張することにより孔と鋳抜きピンの間が密閉されるので、孔と鋳抜きピンとの隙間に浸入した水がキャビティ内に吸い出されることを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るダイカスト金型について図1乃至図3に基づいて説明する。図1に示されるように、ダイカスト金型1は、固定ホルダー2aと固定ダイス2bとからなる固定型2と、可動ホルダー3aと可動ダイス3bとからなる可動型3と、スリーブ4とを有している。可動型3は固定型2に対して離間・接近するように図1の左右方向へ移動可能である。可動型3は固定型2と当接した際に固定型2と共にダイカスト品を成形する為のキャビティ5を画成する。
スリーブ4は略筒状をなしており、その軸方向は図1の左右方向へ指向して固定型2に取り付けられ、可動型3に取り付けられた分流子6に対向している。スリーブ4には、スリーブ4の内部と外部とを連通する貫通孔からなる給湯孔4aが形成されており、給湯口4aから溶湯Mをスリーブ4内部へ給湯可能である。また、スリーブ4内にはプランジャチップ10が設けられている。プランジャチップ10はスリーブ4内を摺動可能であり、給湯口4aからスリーブ内へ溶湯Mが給湯された後に、プランジャチップ10を前進させることにより、即ち、図1の左方向に摺動させることにより、スリーブ4内の溶湯Mをキャビティ5内に充填可能である。
可動型3にはダイカスト品に穴部を形成する為の鋳抜きピン7、7が配設されている。図2に示すように、鋳抜きピン7は、大径部7aと、大径部7aよりも小径な中径部7bと、中径部よりもさらに小径な小径部7cと、キャビティ5内に突出してダイカスト品に孔部を成形する先細りのテーパ部7dとにより構成されている。
図1に示すように、可動型3の可動ダイス3bには鋳抜きピン7、7が挿入される孔8、8が形成されている。図2に示すように、孔8は、可動ダイス3bの背面側に鋳抜きピン7の大径部7aが挿入される大径孔部8aを有しており、大径部7aが隙間を有して挿入される。尚、鋳抜きピン7の大径部7aの外周面と大径孔部8aの内周面との隙間は2mmである。また、孔8は、大径孔部8aと第1段部8eを介して連続し、大径孔部8aよりも径の小さい連結孔部8bを有しており、鋳抜きピン7の中径部7bが隙間を有して挿入される。尚、鋳抜きピン7の中径部7bの外周面と連結孔部8bの内周面の隙間は0.5mmである。
また、孔8は、連結孔部8bよりもさらに径が小さく、連結孔部8bと第2段部8fを介して連続する小径孔部8cと、小径孔部8cよりもさらに径が小さく、小径孔部8cと第3段部8gを介して連続する嵌合孔部8dとを有している。
鋳抜きピン7は、可動ダイス3bの背面側から孔8に挿入される。大径部7aが第1段部8eに当接することにより図1中右方向への移動が規制されると共に、可動ホルダー3aによって図1中左方向への移動が規制される。また、鋳抜きピン7の小径部7cが嵌合孔部8dに嵌合されることによって鋳抜きピン7の取付位置が保持される。
図2に示すように、孔8の小径孔部8cにおける、鋳抜きピン7の軸部7cの外周面と小径部8cの内周面との間には、エンジニアプラスチック製のリング状シール部材9が配設されている。エンジニアリングプラスチック製のリング状シール部材9は、4フッ化エチレンを主な材質とするものであり、線膨脹係数が0.00012/℃以上、連続最高使用温度が260℃以上の特性を有している。尚、リング状シール部材9を成形するのに用いるエンジニアリングプラスチックは、線膨脹係数が、0.0001/℃以上、連続最高使用温度が200℃以上の特性を有することが好ましい。
図3に示すように、リング状シール部材9は、鋳抜きピン7に貫通される貫通孔9aを有している。尚、リング状シール部材9の外径は30mm、内径(貫通孔9aの径)は20mm、厚さは10mmである。リング状シール部材9は、鋳抜きピン7を可動ダイス3bの孔8に挿入する前に予め鋳抜きピン7の所定位置に取り付けられる。リング状シール部材9の取り付けは、リング状シール部材9の貫通孔9aに鋳抜きピン7のテーパ部7cを挿入し、リング状シール部材9が鋳抜きピン7の中径部7bと当接するまで移動させることにより行われる。鋳抜きピン7の小径部7cの径は20mmであり、リング状シール部材9の内径と同径であるが、公差により、リング状シール部材9が小径部7cの所定位置に取り付けられた際、シール部材9の貫通孔9aの内周面と鋳抜きピン7の小径部7cの外周面とには僅かな隙間が存在する。
図2に示すように、リング状シール部材9はその外径と同径である小径孔部8cに嵌合されるが、公差により、リング状シール部材9の外周面と小径孔部8cの内周面とには僅かな隙間が存在する。また、鋳抜きピン7は、リング状シール部材9の前面が孔8の第3段部8gと当接するよう孔8内に挿入されるが、リング状シール部材9の前面と第3段部8gとには僅かな隙間が存在する。
リング状シール部材9は、ダイカスト金型1の型温が上昇すると熱膨張を開始する。そして、型温がある値(例えば、150℃)に達した場合には、リング状シール部材9は鋳抜きピン7の軸線方向(図2中の左右方向)への熱膨張により、リング状シール部材9の前面と第3段部8gとの僅かな隙間と、リング状シール部材9の後面と鋳抜きピン7の中径部7bとの僅かな隙間とを密閉する。そして、リング状シール部材9は鋳抜きピン7の軸線方向に熱膨張することが出来なくなると、鋳抜きピン7の軸線方向と直交する周方向にのみ熱膨脹するようになり、リング状シール部材9の貫通孔9aの内周面と鋳抜きピン7の小径部7cの外周面とに存在する僅かな隙間と、リング状シール部材9の外周面と小径孔部8cの内周面とに存在する僅かな隙間とが、リング状シール部材9の鋳抜きピン7の軸線方向と直交する周方向への熱膨脹により密閉される。
リング状シール部材9は小径孔部8cにおいて熱膨張することにより、鋳抜きピン7と孔8との間を密閉するので、ダイカスト法を繰り返している間に可動ダイス3bの背面側から鋳抜きピン7と孔8との隙間に水が浸入しても、リング状シール部材9により、鋳抜きピン7の軸部7cの外周面と嵌合孔部8dの内周面との僅かな隙間を介して水がキャビティ5内に吸い出されることが防止される。尚、リング状シール部材9はダイカスト法を行っている間は熱膨張した状態を維持するが、ダイカスト法を終了し、ダイカスト金型1の型温が下がると熱膨張前の寸法に復帰する。
上記構成のダイカスト金型1を用いてダイカスト品をダイカストする方法としては、先ず、図1に示されるように、固定型2に可動型3を当接させてキャビティ5を画成し、スリーブ4内のアルミニウム合金等の溶湯Mをプランジャチップ10によりキャビティ5内に射出・充填する。
キャビティ5内の溶湯Mが凝固した後に可動型3を固定型2から離間させ、可動型3に設けられている図示せぬ押出ピンによりダイカスト品を押し出して、ダイカスト品を取り出す。ダイカスト品を取り出した後、ダイカスト金型1に外部冷却と離型剤塗布を施す。以降、この工程を繰り返してダイカスト法を行う。
本発明のダイカスト金型及びダイカスト法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲で記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態においては、鋳抜きピン7は可動型3の孔8に挿入されていたが、固定型の孔に挿入されていてもよい。
また、本実施の形態においては、リング状シール部材9は小径孔部8cに配設されていたが、これに限定されない。リング状シール部材は、鋳抜きピンの軸線方向又は鋳抜きピンの軸線方向に直交する周方向の少なくとも一つの方向に熱膨張して孔と鋳抜きピンとの間を密閉するように孔と鋳抜きピンとの間に配設されていればよい。
また、本実施の形態においては、固定型2に可動型3を当接させてキャビティ5を画成した後にキャビティ5内の真空排気を行っていないが、キャビティの真空排気を行ってもよい。
1 ダイカスト金型
2 固定型
3 可動型
5 キャビティ
7 鋳抜きピン
8 孔
9 リング状シール部材
2 固定型
3 可動型
5 キャビティ
7 鋳抜きピン
8 孔
9 リング状シール部材
Claims (3)
- 固定型と、該固定型と共にキャビティを画成する可動型と、該固定型又は可動型の孔に挿入されて該キャビティ内に突出する鋳抜きピンとを有するダイカスト金型において、該孔内には該鋳抜きピンに貫通されるエンジニアリングプラスチック製のリング状シール部材が配設され、該リング状シール部材が熱膨張することにより該孔と該鋳抜きピンとの間が密閉されることを特徴とするダイカスト金型。
- 該リング状シール部材は、該鋳抜きピンの軸線方向又は該鋳抜きピンの軸線方向に直交する周方向の少なくとも一つの方向に熱膨張することにより該孔と該鋳抜きピンとの間を密閉することを特徴とする請求項1に記載のダイカスト金型。
- 請求項1又は2記載のダイカスト金型を用いてダイカストを行うことを特徴とするダイカスト法。
Priority Applications (1)
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JP2007318229A JP2009136916A (ja) | 2007-12-10 | 2007-12-10 | ダイカスト金型及びダイカスト法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011147960A (ja) * | 2010-01-20 | 2011-08-04 | Toyota Motor Corp | 減圧鋳造装置および減圧鋳造方法 |
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2007
- 2007-12-10 JP JP2007318229A patent/JP2009136916A/ja active Pending
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